JPWO2005047586A1 - ミシンのボビン交換装置 - Google Patents
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Abstract
チャック部11の先端にてボビンケースBを把持するボビン把持装置10を、ミシン釜6とボビンストック部8との間で往復移動させる移動機構20が設けられている。この移動の過程で、チャック部11の向きを釜6の方に向かせる第1のカム板31が一端寄りに設けられ、チャック部11の向きをボビンストック部8に向かせる第2のカム板41が他端寄りに設けられる。各カム板31,41は、移動機構20に対してそれぞれ分離可能であり、運搬時において一方は本体縫製台に付属し、他方は延長縫製台に付属する。ボビン把持装置10は、移動ボディ部13と、チャック部11と、該チャック部の向きを通常時において所定の中立位置に指向させるよう付勢するバネ部材19とを含む。
Description
本発明は、ミシンの釜内に装着される下糸ボビンを収納したボビンケースを自動的に交換するためのボビン交換装置に関する。
釜土台の釜内に装着されているボビンケース内のボビンの下糸が無くなったら、その空のボビンケースを、十分に下糸の巻かれたボビンが収納されている新しいボビンケースと自動交換する下糸交換装置は、ボビンチェンジャーとして従来より知られている。また、特開2000−157774号公報においては、複数個のミシンヘッドを備えている多頭式のミシンにおいて、各ミシンヘッド(各釜土台)毎にボビンチェンジャーを設け、かつ、各ボビンチェンジャーの駆動機構を共通の駆動源で駆動しうるようにしたことが示されている。
ボビンチェンジャーにおいては、縫製台の手前(つまり前縁)寄りにボビンストック部(若しくはボビン交換カセット)を配置し、縫製台の奥寄りにあるミシンヘッドの下方に位置する釜土台の釜と該ボビンストック部との間で、ボビン把持装置(若しくはボビンチャック機構)を往復走行させるように移送機構を配置する。ボビンストック部(若しくはボビン交換カセット)は、複数個のボビンケースを装備し、ボビンチェンジャーとの間でボビンケースの受渡しを行う。すなわち、釜内の下糸ボビンの糸が不足した場合、下糸切れ検出信号等に基づきボビン把持装置が移送機構を介して釜まで移動し、釜から空のボビンを収容しているボビンケースを取り出し、それから、該取り出したボビンケースを把持したままで該ボビン把持装置が移送機構を介してボビンストック部まで移動し、ボビンストック部の空のボビンストック位置に該ボビンケースを渡す。それから、該ボビンストック部が所定角度回転して、別のボビンストック位置にある十分に下糸の巻かれたボビンが収納されている新しいボビンケースを該ボビン把持装置に取り出させる。該ボビン把持装置は、該取り出した新しいボビンケースを把持したままで移送機構を介して釜まで移動し、空の釜内に新しいボビンケースを置く。概ね、このような手順でボビン交換が自動的に行われる。
このようなボビンチェンジャーによれば、作業者は縫製台の手前寄りにあるボビンストック部に対して、空のボビンケースの回収作業や、十分に下糸の巻かれたボビンが収納されている新しいボビンケースの補充作業を行えばよいので、作業しやすいものとなる。一方、このようなボビンチェンジャーを使用しない場合は、作業者が縫製台の下にもぐり込んで、釜土台の釜内のボビンケースを直接人手で交換しなければならないので、大変面倒である。よって、縫製作業の効率化のためには、多頭式ミシンなどの大型の工業ミシン(通常の縫製ミシンは勿論のこと、刺繍ミシンも含む)にあっては、このようなボビンチェンジャーは不可欠のものとなりつつある。しかるに、従来のボビンチェンジャーには改善されるべき余地がまだあり、改善が望まれていた。
たとえば、上記特開2000−157774号公報に示されたボビンチェンジャーでは、ボビン把持装置の移動を案内する案内プレートには直線状の第1の案内溝と、両端付近においてそれぞれ方向転換用の傾斜部を有する第2の案内溝とが設けてあり、この第2の案内溝の傾斜部により案内されることで移動行程の各終端においてボビン把持装置のチャック部の向きを変えるようになっている。要するに、移動行程の各端における方向転換機構が移動機構(案内プレート)に一体不可分に組み込まれた構造となっている。
周知のようにミシンのサイズには刺繍範囲などに応じて種々のものがあり、釜土台から縫製台の前縁の距離、すなわちミシン釜からボビンストック部の距離もミシンサイズによって異なる。このため、ミシン釜からボビンストック部までの距離に対応した種々の種類(サイズ)の案内プレートがそれぞれ必要となる。この場合、上述のような従来技術にあっては、移動行程の各端における方向転換機構が案内プレートに一体不可分に組み込まれた構造となっているため、移動行程の各端における方向転換機構を含む案内プレート全体を、それぞれのミシンのタイプに適したサイズ・構造で個別に製作しなければならず、部品形成に手間が掛かると共にコストの高いものとなっていた。
ところで、サイズの大きなミシンにおいては縫製台が前方部で分割できるようになっており、搬送の際には縫製台の前方部を取り外すようになっている。これは梱包形態を小さくするとともに、建物への搬入出を容易とするためである。その際、縫製台の下面に取り付けられたボビンチェンジャーの案内プレートが縫製台の前方部(取り外される部分)から奥(取り外されない部分)にまたがって延びているので、前方の縫製台を本体から取り外すには、まずボビンチェンジャー(少なくとも案内プレート)を取り外さなければならなかった。そして、搬入後に縫製台の前方部を本体に取り付けた後に、再度、ボビンチェンジャーを縫製台の下面に取り付けるようにしていた。この作業は非常に手間であり、特に案内プレートは、その両端部の方向転換機構の位置によってミシン釜及びボビンストック部に対するボビン把持装置の位置が決まるため、その位置調整は時間のかかるものであった。
ボビンチェンジャーにおいては、縫製台の手前(つまり前縁)寄りにボビンストック部(若しくはボビン交換カセット)を配置し、縫製台の奥寄りにあるミシンヘッドの下方に位置する釜土台の釜と該ボビンストック部との間で、ボビン把持装置(若しくはボビンチャック機構)を往復走行させるように移送機構を配置する。ボビンストック部(若しくはボビン交換カセット)は、複数個のボビンケースを装備し、ボビンチェンジャーとの間でボビンケースの受渡しを行う。すなわち、釜内の下糸ボビンの糸が不足した場合、下糸切れ検出信号等に基づきボビン把持装置が移送機構を介して釜まで移動し、釜から空のボビンを収容しているボビンケースを取り出し、それから、該取り出したボビンケースを把持したままで該ボビン把持装置が移送機構を介してボビンストック部まで移動し、ボビンストック部の空のボビンストック位置に該ボビンケースを渡す。それから、該ボビンストック部が所定角度回転して、別のボビンストック位置にある十分に下糸の巻かれたボビンが収納されている新しいボビンケースを該ボビン把持装置に取り出させる。該ボビン把持装置は、該取り出した新しいボビンケースを把持したままで移送機構を介して釜まで移動し、空の釜内に新しいボビンケースを置く。概ね、このような手順でボビン交換が自動的に行われる。
このようなボビンチェンジャーによれば、作業者は縫製台の手前寄りにあるボビンストック部に対して、空のボビンケースの回収作業や、十分に下糸の巻かれたボビンが収納されている新しいボビンケースの補充作業を行えばよいので、作業しやすいものとなる。一方、このようなボビンチェンジャーを使用しない場合は、作業者が縫製台の下にもぐり込んで、釜土台の釜内のボビンケースを直接人手で交換しなければならないので、大変面倒である。よって、縫製作業の効率化のためには、多頭式ミシンなどの大型の工業ミシン(通常の縫製ミシンは勿論のこと、刺繍ミシンも含む)にあっては、このようなボビンチェンジャーは不可欠のものとなりつつある。しかるに、従来のボビンチェンジャーには改善されるべき余地がまだあり、改善が望まれていた。
たとえば、上記特開2000−157774号公報に示されたボビンチェンジャーでは、ボビン把持装置の移動を案内する案内プレートには直線状の第1の案内溝と、両端付近においてそれぞれ方向転換用の傾斜部を有する第2の案内溝とが設けてあり、この第2の案内溝の傾斜部により案内されることで移動行程の各終端においてボビン把持装置のチャック部の向きを変えるようになっている。要するに、移動行程の各端における方向転換機構が移動機構(案内プレート)に一体不可分に組み込まれた構造となっている。
周知のようにミシンのサイズには刺繍範囲などに応じて種々のものがあり、釜土台から縫製台の前縁の距離、すなわちミシン釜からボビンストック部の距離もミシンサイズによって異なる。このため、ミシン釜からボビンストック部までの距離に対応した種々の種類(サイズ)の案内プレートがそれぞれ必要となる。この場合、上述のような従来技術にあっては、移動行程の各端における方向転換機構が案内プレートに一体不可分に組み込まれた構造となっているため、移動行程の各端における方向転換機構を含む案内プレート全体を、それぞれのミシンのタイプに適したサイズ・構造で個別に製作しなければならず、部品形成に手間が掛かると共にコストの高いものとなっていた。
ところで、サイズの大きなミシンにおいては縫製台が前方部で分割できるようになっており、搬送の際には縫製台の前方部を取り外すようになっている。これは梱包形態を小さくするとともに、建物への搬入出を容易とするためである。その際、縫製台の下面に取り付けられたボビンチェンジャーの案内プレートが縫製台の前方部(取り外される部分)から奥(取り外されない部分)にまたがって延びているので、前方の縫製台を本体から取り外すには、まずボビンチェンジャー(少なくとも案内プレート)を取り外さなければならなかった。そして、搬入後に縫製台の前方部を本体に取り付けた後に、再度、ボビンチェンジャーを縫製台の下面に取り付けるようにしていた。この作業は非常に手間であり、特に案内プレートは、その両端部の方向転換機構の位置によってミシン釜及びボビンストック部に対するボビン把持装置の位置が決まるため、その位置調整は時間のかかるものであった。
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、種々の改善を施した新規な構造のボビン交換装置を提供しようとするものである。また、ボビン把持装置の移動走行距離が異なる場合であっても、それに対処しやすい、使い勝手のよいボビン交換装置を提供しようとするものである。また、分割タイプの縫製台に適用する場合でも、取外し及び再取付作業に面倒のないボビン交換装置を提供しようとするものである。
本発明の1つの観点に従えば、ミシン釜内に装着される下糸ボビンの交換を行うためのボビン交換装置であって、チャック部の先端にてボビンケースを把持するボビン把持装置と、前記ボビン把持装置をミシン釜とボビンストック部との間で往復移動させる移動機構と、前記移動機構によって前記ボビン把持装置が前記ミシン釜に向かって移動される過程で該ボビン把持装置の前記チャック部の向きを、前記ミシン釜の方に向かせる第1の方向転換機構と、前記移動機構によって前記ボビン把持装置が前記ボビンストック部に向かって移動される過程で該ボビン把持装置の前記チャック部の向きを、前記ボビンストック部に向かせる第2の方向転換機構とを具え、前記第1及び第2の方向転換機構は前記移動機構に対してそれぞれ分離可能であることを特徴とするボビン交換装置が提供される。
このように、移動機構の走行経路に設けられる第1及び第2の方向転換機構が該移動機構に対してそれぞれ分離可能であることにより、移動機構を如何なる任意の往復移動距離に対応する構造に設定した場合でも、同じ構造の第1及び第2の方向転換機構を使用することができることになる。従って、縫製台の奥行きサイズが異なることにより、ボビン把持装置の移動走行距離が異なってくるような場合であっても、部品形成に手間が掛かることなく、比較的ローコストでそれに対処しやすい、汎用性があり、使い勝手のよいボビン交換装置を提供することができる、という優れた効果を奏する。また、第1及び第2の方向転換機構と、その中間の位置する移動機構とを分離しうるようにしたことにより、前方部と本体部とに分離しうるタイプの縫製台に適用する場合に、分離に際して、移動機構のみを取り外し、第1及び第2の方向転換機構はそれぞれ縫製台の本体部と前方部に残すようにすることができるので、分離手間がかからず、また再組立ての際には方向転換機構の面倒な位置調整作業が全く不要となる(方向転換機構は縫製台から取り外さなくて済むため)、等々の効果も奏する。
本発明の別の観点に従えば、ミシン釜内に装着される下糸ボビンの交換を行うためのボビン交換装置であって、チャック部の先端にてボビンケースを把持するボビン把持装置と、前記ボビン把持装置をミシン釜とボビンストック部との間で往復移動させる移動機構と、前記移動機構によって前記ボビン把持装置が前記ミシン釜に向かって移動される過程で該ボビン把持装置の前記チャック部の向きを、前記ミシン釜の方に向かせる第1の方向転換機構と、前記移動機構によって前記ボビン把持装置が前記ボビンストック部に向かって移動される過程で該ボビン把持装置の前記チャック部の向きを、前記ボビンストック部に向かせる第2の方向転換機構とを具え、前記ボビン把持装置は、前記移動機構によって直線的に動かされる移動ボディ部と、該移動ボディ部に枢支された前記チャック部と、該チャック部の向きを通常時において所定の中立位置に指向させるよう付勢するバネ部材とを含み、前記第1の方向転換機構は、前記バネ部材の付勢に抗して前記チャック部の先端の向きを前記ミシン釜の方に向かせるものであり、前記第2の方向転換機構は、前記バネ部材の付勢に抗して前記チャック部の先端の向きを前記ボビンストック部の方に向かせるものであることを特徴とするボビン交換装置が提供される。このようにボビン把持装置を構成することで、チャック部の方向制御つまり姿勢制御を簡素な構成で実現することができるようになる、という優れた効果を奏する。
一例として、前記移動機構は、ミシン釜とボビンストック部との間で前記ボビン把持装置をガイドするガイド部と、該ボビン把持装置を該ガイド部に沿って往復移動させる駆動部とを含んでいてよい。これにより、移動機構の構成が簡素化される。また、前記第1及び第2の方向転換機構の各々は、傾斜したカム面を有し、前記ボビン把持装置は、カム従動子を前記チャック部に関連して具備しており、該ボビン把持装置の移動時に該カム従動子が前記カム面に倣って動くことにより前記チャック部が回動されてその先端の向きが変えられるものであってもよい。これにより、方向転換機構の構成が簡素化される。
本発明の更に別の観点に従えば、ミシン釜内に装着される下糸ボビンの交換を行うためのボビン交換装置であって、チャック部の先端にてボビンケースを把持するボビン把持装置と、前記ボビン把持装置をミシン釜とボビンストック部との間で往復移動させる移動機構とを具え、前記ボビン把持装置の前記チャック部が、ボビンケースアームを引き出すためのアーム掴み爪と、該アーム掴み爪を回動させて該ボビンケースアームを引き出し操作を行わせる駆動手段と、該アーム掴み爪によって引き出されたボビンケースアームに係合して保持するアーム係合突起とを具えることを特徴とするボビン交換装置が提供される。これにより、ボビン把持装置におけるボビンケースの把持構造を簡素化し、かつ、確実に把持状態を維持することのできるものとすることができる。
本発明の更に他の観点に従えば、ミシン釜内に装着される下糸ボビンの交換を行うためのボビン交換装置であって、チャック部にてボビンケースを把持するボビン把持装置と、空の前記チャック部によりボビンケースを把持させる掴み動作とボビンを把持した前記チャック部からボビンケースを離す解放動作とを選択的に行うアクチュエータと、前記ボビン把持装置を前記アクチュエータと共に、ミシン釜とボビンストック部との間で、往復移動させる移動機構と、前記移動機構によって前記ボビン把持装置が前記ミシン釜に向かって移動される過程で該ボビン把持装置の前記チャック部の向きを、前記ミシン釜の方に向かせる第1のカム機構と、前記移動機構によって前記ボビン把持装置が前記ボビンストック部に向かって移動される過程で該ボビン把持装置の前記チャック部の向きを、前記ボビンストック部に向かせる第2のカム機構と、前記第1のカム機構と第2のカム機構との間の中間移動行程では、前記ボビン把持装置の前記チャック部の向きを中立姿勢に位置決めする手段とを具え、前記チャック部が前記ミシン釜又は前記ボビンストック部に接する位置で、前記アクチュエータにより該チャック部にボビンケースを取り込む又は該チャック部からボビンケースを解放することで、下糸ボビンを収納したボビンケースの交換を行うようにしたボビン交換装置が提供される。
本発明の1つの観点に従えば、ミシン釜内に装着される下糸ボビンの交換を行うためのボビン交換装置であって、チャック部の先端にてボビンケースを把持するボビン把持装置と、前記ボビン把持装置をミシン釜とボビンストック部との間で往復移動させる移動機構と、前記移動機構によって前記ボビン把持装置が前記ミシン釜に向かって移動される過程で該ボビン把持装置の前記チャック部の向きを、前記ミシン釜の方に向かせる第1の方向転換機構と、前記移動機構によって前記ボビン把持装置が前記ボビンストック部に向かって移動される過程で該ボビン把持装置の前記チャック部の向きを、前記ボビンストック部に向かせる第2の方向転換機構とを具え、前記第1及び第2の方向転換機構は前記移動機構に対してそれぞれ分離可能であることを特徴とするボビン交換装置が提供される。
このように、移動機構の走行経路に設けられる第1及び第2の方向転換機構が該移動機構に対してそれぞれ分離可能であることにより、移動機構を如何なる任意の往復移動距離に対応する構造に設定した場合でも、同じ構造の第1及び第2の方向転換機構を使用することができることになる。従って、縫製台の奥行きサイズが異なることにより、ボビン把持装置の移動走行距離が異なってくるような場合であっても、部品形成に手間が掛かることなく、比較的ローコストでそれに対処しやすい、汎用性があり、使い勝手のよいボビン交換装置を提供することができる、という優れた効果を奏する。また、第1及び第2の方向転換機構と、その中間の位置する移動機構とを分離しうるようにしたことにより、前方部と本体部とに分離しうるタイプの縫製台に適用する場合に、分離に際して、移動機構のみを取り外し、第1及び第2の方向転換機構はそれぞれ縫製台の本体部と前方部に残すようにすることができるので、分離手間がかからず、また再組立ての際には方向転換機構の面倒な位置調整作業が全く不要となる(方向転換機構は縫製台から取り外さなくて済むため)、等々の効果も奏する。
本発明の別の観点に従えば、ミシン釜内に装着される下糸ボビンの交換を行うためのボビン交換装置であって、チャック部の先端にてボビンケースを把持するボビン把持装置と、前記ボビン把持装置をミシン釜とボビンストック部との間で往復移動させる移動機構と、前記移動機構によって前記ボビン把持装置が前記ミシン釜に向かって移動される過程で該ボビン把持装置の前記チャック部の向きを、前記ミシン釜の方に向かせる第1の方向転換機構と、前記移動機構によって前記ボビン把持装置が前記ボビンストック部に向かって移動される過程で該ボビン把持装置の前記チャック部の向きを、前記ボビンストック部に向かせる第2の方向転換機構とを具え、前記ボビン把持装置は、前記移動機構によって直線的に動かされる移動ボディ部と、該移動ボディ部に枢支された前記チャック部と、該チャック部の向きを通常時において所定の中立位置に指向させるよう付勢するバネ部材とを含み、前記第1の方向転換機構は、前記バネ部材の付勢に抗して前記チャック部の先端の向きを前記ミシン釜の方に向かせるものであり、前記第2の方向転換機構は、前記バネ部材の付勢に抗して前記チャック部の先端の向きを前記ボビンストック部の方に向かせるものであることを特徴とするボビン交換装置が提供される。このようにボビン把持装置を構成することで、チャック部の方向制御つまり姿勢制御を簡素な構成で実現することができるようになる、という優れた効果を奏する。
一例として、前記移動機構は、ミシン釜とボビンストック部との間で前記ボビン把持装置をガイドするガイド部と、該ボビン把持装置を該ガイド部に沿って往復移動させる駆動部とを含んでいてよい。これにより、移動機構の構成が簡素化される。また、前記第1及び第2の方向転換機構の各々は、傾斜したカム面を有し、前記ボビン把持装置は、カム従動子を前記チャック部に関連して具備しており、該ボビン把持装置の移動時に該カム従動子が前記カム面に倣って動くことにより前記チャック部が回動されてその先端の向きが変えられるものであってもよい。これにより、方向転換機構の構成が簡素化される。
本発明の更に別の観点に従えば、ミシン釜内に装着される下糸ボビンの交換を行うためのボビン交換装置であって、チャック部の先端にてボビンケースを把持するボビン把持装置と、前記ボビン把持装置をミシン釜とボビンストック部との間で往復移動させる移動機構とを具え、前記ボビン把持装置の前記チャック部が、ボビンケースアームを引き出すためのアーム掴み爪と、該アーム掴み爪を回動させて該ボビンケースアームを引き出し操作を行わせる駆動手段と、該アーム掴み爪によって引き出されたボビンケースアームに係合して保持するアーム係合突起とを具えることを特徴とするボビン交換装置が提供される。これにより、ボビン把持装置におけるボビンケースの把持構造を簡素化し、かつ、確実に把持状態を維持することのできるものとすることができる。
本発明の更に他の観点に従えば、ミシン釜内に装着される下糸ボビンの交換を行うためのボビン交換装置であって、チャック部にてボビンケースを把持するボビン把持装置と、空の前記チャック部によりボビンケースを把持させる掴み動作とボビンを把持した前記チャック部からボビンケースを離す解放動作とを選択的に行うアクチュエータと、前記ボビン把持装置を前記アクチュエータと共に、ミシン釜とボビンストック部との間で、往復移動させる移動機構と、前記移動機構によって前記ボビン把持装置が前記ミシン釜に向かって移動される過程で該ボビン把持装置の前記チャック部の向きを、前記ミシン釜の方に向かせる第1のカム機構と、前記移動機構によって前記ボビン把持装置が前記ボビンストック部に向かって移動される過程で該ボビン把持装置の前記チャック部の向きを、前記ボビンストック部に向かせる第2のカム機構と、前記第1のカム機構と第2のカム機構との間の中間移動行程では、前記ボビン把持装置の前記チャック部の向きを中立姿勢に位置決めする手段とを具え、前記チャック部が前記ミシン釜又は前記ボビンストック部に接する位置で、前記アクチュエータにより該チャック部にボビンケースを取り込む又は該チャック部からボビンケースを解放することで、下糸ボビンを収納したボビンケースの交換を行うようにしたボビン交換装置が提供される。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施例につき詳細に説明しよう。図において、
図1は、本発明に係るボビン交換装置を適用した多頭式刺繍ミシンの一例を示す全体外観略図、
図2は、本発明に係るボビン交換装置の一実施例を示す側面図、
図3は、図2に示したものと同様のボビン交換装置の側面図であって、見易くするために、ガイド長を短縮し、その他の各要素を拡大して示す図、
図4は、図2及び図3におけるボビンチャックユニットの別の姿勢の平面図、
図5は、図4のA矢視図であり、一部の要素を断面で示す図、
図6は、図5と同様の向きから見たボビンチャックユニットの別の姿勢を示す図、
図7(a)〜(c)は、ボビンチャックユニットにおける捩じりバネの状態を抽出して示す側面図、
図8(a)〜(c)は、ボビンチャックユニットにおけるチャック部の姿勢を抽出して示す側面図、
図9は、図2及び図3における第1及び第2の方向転換機構の具体的構成例を側面図にて示すと共に、一連の方向転換動作におけるコロの動きの軌跡を略示する説明図、
図10は、一連の方向転換動作におけるチャック部の動きの軌跡を略示する説明図、
図11は、ボビンチャックユニットのチャック部を上から見た平面図、
図12は、チャック部によってボビンケースを把持した状態を示す平面図、
図13は、ミシン釜側に設ける第1の方向転換機構の取り付け構造の変更例を示す側面図、である。
図1は、本発明に係るボビン交換装置を適用した多頭式刺繍ミシンの一例を示す全体外観略図、
図2は、本発明に係るボビン交換装置の一実施例を示す側面図、
図3は、図2に示したものと同様のボビン交換装置の側面図であって、見易くするために、ガイド長を短縮し、その他の各要素を拡大して示す図、
図4は、図2及び図3におけるボビンチャックユニットの別の姿勢の平面図、
図5は、図4のA矢視図であり、一部の要素を断面で示す図、
図6は、図5と同様の向きから見たボビンチャックユニットの別の姿勢を示す図、
図7(a)〜(c)は、ボビンチャックユニットにおける捩じりバネの状態を抽出して示す側面図、
図8(a)〜(c)は、ボビンチャックユニットにおけるチャック部の姿勢を抽出して示す側面図、
図9は、図2及び図3における第1及び第2の方向転換機構の具体的構成例を側面図にて示すと共に、一連の方向転換動作におけるコロの動きの軌跡を略示する説明図、
図10は、一連の方向転換動作におけるチャック部の動きの軌跡を略示する説明図、
図11は、ボビンチャックユニットのチャック部を上から見た平面図、
図12は、チャック部によってボビンケースを把持した状態を示す平面図、
図13は、ミシン釜側に設ける第1の方向転換機構の取り付け構造の変更例を示す側面図、である。
〔多頭式刺繍ミシンの全体外観〕
図1は、本発明に係るボビン交換装置を適用した多頭式刺繍ミシン1の一例を示す全体外観略図である。
多頭式刺繍ミシン1は、公知のように、複数のミシンヘッド2と、本体縫製台3の下方において各ミシンヘッド2に対応してそれぞれ設けられる釜土台5(図2)と、各釜土台に備わったミシン釜6(図2)とを少なくとも具備する。本体縫製台3の前縁部には、着脱可能に延長縫製台4が配置される。また、縫製台上には刺繍枠駆動機構も設けられるが、図示簡略化の都合上、図示を省略した。各ミシンヘッド2に対応する各ミシン釜6毎に、本発明の一実施例に係るボビン交換装置7がそれぞれ設けられる。ボビン交換装置7は縫製台3,4の下側に配置されるため、図1では顕れてこないが、符号だけ示した。延長縫製台4の手前寄りの下部には、各ボビン交換装置7に対応してボビンストック部8がそれぞれ配置される。なお、添付された全図を通じて、適宜、説明に必要な部分を図示し、不要な部分は図示を省略するものとする。従って、図示されていない部品等であっても、実際製品には存在しており、また、或る図には示されているが、別の図には示されていないものもある。
〔ボビン交換装置7の全体構成〕
図2は、本発明に係るボビン交換装置7の一実施例を示す側面図であり、縫製台3,4の下側に取り付けられた状態を示している。1組のミシンヘッド2及びミシン釜6に対応する1セットのボビン交換装置7のみを示すが、他のボビン交換装置も同一構成である。図3は、図2に示したものと同様のボビン交換装置7の側面図であって、視認性を高めるために、ボビン交換装置7のみを抽出し、かつ、各要素を拡大して示し、ただし、ガイド棒21,22と無端歯付きベルト25の長さは、便宜上、短縮して図示したものである。図2で見難い部分は、図3を合わせて参照されたい。
ボビン交換装置7は、ボビンケースBを把持するためのチャック部11を先端に備えたボビンチャックユニット10(ボビン把持装置)と、該ボビンチャックユニット10をミシン釜6とボビンストック部8との間で往復移動させる移動機構20と、該移動機構20によって該ボビンチャックユニット10がミシン釜6に向かって移動/搬送される過程で該ボビンチャックユニット10のチャック部11の向きを該ミシン釜6の方に向かせる第1の方向転換機構30と、該移動機構20によって該ボビンチャックユニット10がボビンストック部8に向かって移動される過程で該ボビンチャックユニット10のチャック部11の向きを該ボビンストック部8の方に向かせる第2の方向転換機構40とを具える。後述するように、第1及び第2の方向転換機構30,40は、移動機構20に対してそれぞれ分離可能となっている。
〔移動機構20の説明〕
移動機構20は、ミシン釜6とボビンストック部8との間でボビンチャックユニット10を直線移動させるべくガイドするために平行に延びた2本のガイド棒21,22(ガイド部)と、該ボビンチャックユニット10を該ガイド棒21,22に沿って往復移動させるための駆動機構とを含む。ガイド棒21,22は、適用するミシンにおけるミシン釜6とボビンストック部8との間の離隔距離に応じて適切な長さサイズに形成されて、両端が保持金具23,24でそれぞれ連結され、平行な2本のガイド棒21,22からなるガイド部としてユニット化されている。移動機構20の駆動機構は、図示の例では、ベルトガイド棒21,22の長さ範囲にわたって設けられた無端(リング状)の歯付きベルト25で構成される。この無端歯付きベルト25は、ガイド棒21,22の両端側にそれぞれ設けられた駆動ベルト歯車26と従動ベルト歯車27との間に掛け渡されており、該ベルト25の所定箇所にボビンチャックユニット10を固定し、該ベルト25の移動に伴ってボビンチャックユニット10を移動させる。ベルト25の所定箇所に対するボビンチャックユニット10の固定は、ねじ12により取外し可能になされる。
駆動ベルト歯車26は、第1の方向転換機構30を構成する第1のカム板31の所定箇所にて軸受され、かつ、駆動歯車28と同軸に連結される。また、従動ベルト歯車27は、第2の方向転換機構40を構成する第2のカム板41の所定箇所にて軸受され、自由に従動回転する。駆動歯車28は、連動軸歯車29に噛み合う。連動軸歯車29は、共通連動軸50に取り付けられており、この共通連動軸50が、ボビン交換用の共通駆動モータ(図示せず)によって回転駆動される。また、共通連動軸50は、多頭式刺繍ミシン1の本体縫製台3の下側にて横方向に延び、各ミシンヘッド2に対応する各ボビン交換装置7毎の前記連動軸歯車29をそれぞれ固定している。従って、ボビン交換用の共通駆動モータの回転に応じて、共通連動軸50が回転し、これに伴い各ボビン交換装置7毎の前記連動軸歯車29が一緒に回転し、これに伴い、各ボビン交換装置7において、駆動歯車28が回転し、駆動ベルト歯車26が回転して、無端歯付きベルト25を駆動する。これにより、該ベルト25の所定箇所に固定されたボビンチャックユニット10を直線移動させる。
〔ボビンチャックユニット10の説明〕
図4はボビンチャックユニット10の平面図である。なお、ボビンチャックユニット10のチャック部11の傾きが、図3では下向きであるのに対して、図4では水平右向きに描かれている。図5は、図4のA矢視図であり、一部の要素を断面で示してあるが、煩雑さを避けるため、断面を示すハッチングは適宜省略し、必要に応じて描いてある。図6は、図5と同様の向きから見たボビンチャックユニット10を示すものであるが、チャック部11の傾きが、図5では水平向きであるのに対して、図6では下向きに描かれている。他の図においても、同様に、煩雑さを避けるため、断面を示すハッチングは適宜省略し、必要に応じて描いてある。
ボビンチャックユニット10は、ガイド棒21,22にスライド可能に嵌合する移動ボディ13と、傾動軸14を介して該移動ボディ13に傾動可能に枢支されたチャック部11とを含んでいる。図3に示すように、移動ボディ13の下面とベルト締め金具15との間に歯付きベルト25を挟み込み、ねじ12で締め付けることにより、該ボビンチャックユニット10が上記歯付きベルト25に固定される。チャック部11は、本体をなすチャック傾動ボディ11aとその先端に設けられたチャック機構とを含んで構成される。このチャック機構によってボビンケースBが把持されるが、その具体的構造については追って説明する。チャック傾動ボディ11aは傾動軸14の一端に固定され、該傾動軸14が移動ボディ13を貫通して該移動ボディ13に傾動可能に枢支され、チャック傾動ボディ11aと反対側の傾動軸14の端部には傾動軸作動レバー16が固定されている。この傾動軸作動レバー16の先端には、カム従動子としてのコロ17が回転自由に枢支されている。後述するように、コロ17が第1及び第2の方向転換機構30,40のカム板31,41のカム面に沿って転動するとき、これに伴い、傾動軸作動レバー16が傾動軸14を中心にして傾動し、この傾動に応じて傾動軸14が回動し、この回動に応じてチャック傾動ボディ11aつまりチャック部11が傾動軸14を中心にして傾動する。
移動ボディ13と傾動軸作動レバー16との間で、傾動軸14の回りにカラー18が配置されている。カラー18の幅によって、後述するカム板31,41の通過を許すのに必要な間隙が形成される。また、移動ボディ13とチャック傾動ボディ11aとの間で、傾動軸14の回わりに捩じりバネ(又はつる巻バネ)19が嵌装されている。移動ボディ13の所定位置にバネ止めピン191が埋め込まれる。また、チャック傾動ボディ11aにおける軸14を挟んでチャック機構とは反対側の端部に傾動戻しピン192が埋め込まれている。図3及び図6は、捩じりバネ19が中立状態にあるこことを示す。
捩じりバネ19の一端19aは、図3における反時計方向に付勢され、捩じりバネ19の他端19bは、図3における時計方向に付勢される。各ピン191,192は、捩じりバネ19の各端19a,19bに当接しうるような配置となっている。従って、図3あるいは図6に示す中立状態においては、各ピン191,192が捩じりバネ19の各端19a,19bの間に挟まれた状態となり、チャック傾動ボディ11aにおける傾動戻しピン192のある端部が最上位に位置し、それとは反対端にあるチャック機構が最下位に位置する、つまり、チャック部11の先端が下向き設定される。また、コロ17が最上位に位置する。図7(a)は、この中立状態における捩じりバネ19の様子を抽出して示す。図8(a)は、この中立状態におけるチャック部11の様子を抽出して示す。
後述するように、チャック部11の先端をボビンストック部8に向き合わせるための方向転換に際して、コロ17が図3における時計方向に傾動するとき、これに伴い、チャック傾動ボディ11a及び傾動戻しピン192も時計方向に傾動し、バネ19の一端19aを時計方向に回動偏倚させる。これにより、チャック部11の先端が図2あるいは図3で水平左方向を指向する、つまり、ボビンストック部8に向き合う。図7(b)は、この状態における捩じりバネ19の様子を抽出し、図8(b)は、この状態におけるチャック部11の様子を抽出して示す。コロ17に及ぼされる力が解除されると、バネ19の一端19aに対する時計方向の回動偏倚力も解除され、バネの復元力により中立状態に戻る。つまり、バネ19の一端19aが反時計方向に動いて戻り、傾動戻しピン192が反時計方向に動いて、中立状態に戻される。
一方、後述するように、チャック部11の先端を釜6に向き合わせるための方向転換に際して、コロ17が図3における反時計方向に傾動するとき、これに伴い、チャック傾動ボディ11a及び傾動戻しピン192も反時計方向に傾動し、バネ19の他端19bを反時計方向に回動偏倚させる。これにより、チャック部11の先端が図2あるいは図3で水平右方向を指向する、つまり、釜6に向き合う。図7(c)は、この状態における捩じりバネ19の様子を抽出し、図8(c)は、この状態におけるチャック部11の様子を抽出して示す。コロ17に及ぼされる力が解除されると、バネ19の他端19bに対する反時計方向の回動偏倚力も解除され、バネの復元力により中立状態に戻る。つまり、バネ19の他端19bが時計方向に動いて戻り、傾動戻しピン192が時計方向に動いて、中立状態に戻される。
〔方向転換機構30,40の説明〕
図2あるいは図3に戻り、更には図9を参照して、方向転換機構30,40の具体的構成例について説明する。図9は、方向転換機構30,40の具体的構成例を側面図にて示すと共に、参考のために、一連の方向転換動作におけるコロ17の動きの軌跡を略示する図である。
第1の方向転換機構30は、移動機構20(ガイド棒21,22)によるボビンチャックユニット10の搬送行程における釜6寄りの端部に配置されるもので、具体的には、図9に示すような所定形状の第1のカム板31からなる。第1のカム板31は、搬送行程における所定の傾動区間において後端部(釜6の方)に向かうにつれて下がるよう傾斜したカム面31aを有し、また、カム面31aの終了後の所定の長さの直線区間に相当する水平溝31bを有し、更に、前述の駆動ベルト歯車26の回転軸を枢支する軸受部31cを有する。水平溝31bはボビンチャックユニット10のコロ17を嵌合して水平方向に案内するのに適したサイズからなる。また、水平溝31bはボビンチャックユニット10の傾動軸14の水平移動線に沿うものであり、該軸14の侵入をも許す。この第1のカム板31(第1の方向転換機構30)は、本体縫製台3の下面に所定の配置で正確に位置決めされ、ねじ等で取り付けられる。そして、このように正確に位置決めされた第1のカム板31に対して、ガイド棒21,22の一端の保持金具24がねじ等を介して取外し容易に取り付けられる。
第2の方向転換機構40は、移動機構20(ガイド棒21,22)によるボビンチャックユニット10の搬送行程におけるボビンストック部8寄りの端部に配置されるもので、具体的には、図9に示すような所定形状の第2のカム板41からなる。第2のカム板41は、上述の第1のカム板31と実質的に同一構造、より詳しくは対称的な構造からなる。すなわち、第2のカム板41は、搬送行程における所定の傾動区間において前端部(ボビンストック部8の方)に向かうにつれて下がるよう傾斜したカム面41aを有し、また、カム面41aの終了後の所定の長さの直線区間に相当する水平溝41bを有し、更に、前述の従動ベルト歯車27の回転軸を枢支する軸受部41cを有する。この第2のカム板41(第2の方向転換機構40)は、延長縫製台4の下面に所定の配置で正確に位置決めされ、ねじ等で取り付けられる。そして、このように正確に位置決めされた第2のカム板41に対して、ガイド棒21,22の他端の保持金具23がねじ等を介して取外し容易に取り付けられる。従って、各カム板31,41を各縫製台3,4の下面に一旦正確に位置決めして固定した後は、ガイド棒21,22及び保持金具23,24からなる長尺のガイドユニットを該カム板31,41から適宜取り外したとしても、カム板31,41の取付精度に影響を与えることがなく、重要な方向転換機構の部分において精度のよい位置決め状態を保持することができる。換言すれば、ガイド棒21,22及び保持金具23,24からなる長尺のガイドユニットを任意に取り外したとしても、方向転換機構30,40の位置決め精度の再現性を確保することについて全く気づかうことなく、該ガイドユニットを各カム板31,41に対して容易に再取り付けすることができる。
〔ボビンチャックユニット10の搬送走行及び方向転換動作〕
次に、方向転換機構30,40によるボビンチャックユニット10の方向転換動作について、図9及び図10その他を参照して説明する。図10は、一連の方向転換動作におけるチャック部11(チャック傾動ボディ11a)の動きの軌跡を略示する図である。
ボビンチャックユニット10のコロ17が、搬送行程の両端におけるカム板31,41にさしかかっていない場合、前述した通りの捩じりバネ19の作用によって、チャック部11は先端のチャック機構を、図2、図3、図8(a)等に示すように、下向きにした中立状態を維持する。この区間を、図9では「中立区間」として示している。前述した通り、この中立状態では、コロ17は最上位位置(図7(a),図8(a))にある。ボビンチャックユニット10が釜6の方向(図2、図3、図9等で右方向)に移動すると、やがて、コロ17は第1のカム板31のカム面31aの最上部に当接する。このときのコロ17の位置を図9では符号17aで示す。更に移動すると、コロ17は右下がりのカム面31aに倣って軸14を中心にして反時計方向に下向きに傾動し、これに伴い、レバー16及び軸14が同方向に傾動/回動し、チャック傾動ボディ11aが軸14を中心にして反時計方向に傾動し、その先端のチャック機構が釜6の方を指向するように徐々に上向きに反時計方向に回動する。コロ17がカム面31aの最下部に達すると、以後は、水平溝31bに嵌合して水平移動する。このようにコロ17が水平溝31bに嵌合した状態では、コロ17は移動ボディ13に対して図7(c)に示すような関係となり、チャック傾動ボディ11aの先端のチャック機構は図8(c)に示すように水平右方向(釜6に向き合う方向)となる。コロ17が水平溝31bに嵌合して水平移動する区間は、図9では「直線区間」として示されている。この「直線区間」において、チャック傾動ボディ11aの先端のチャック機構は釜6に向き合って水平右方向に更に移動し、最後に釜6に到達して、そこで、該釜6からボビンケースB(この場合通常は中の下糸ボビンは空である)をピックアップする、あるいは該釜6内にボビンケースB(この場合通常は中の下糸ボビンは十分な下糸を有する)を置く動作を行う。なお、この「直線区間」の最後では、傾動軸14が図9で符号14aで示す位置に達する。
次に、前記モータを逆転させて、ベルト25を介してボビンチャックユニット10を前記とは逆方向(図9の左方向)に走行させる。その過程で、コロ17が水平溝31bから外れると、前述の通り、捩じりバネ19の作用で、ピン192が時計方向に付勢され、コロ17が、上向きに時計方向に動き、左上がりのカム面31aに倣って上昇する。コロ17がカム面31aの最上部から外れると、前述の通り、チャック部11(チャック傾動ボディ11a)は中立状態(図7(a)、図8(a))となる。ボビンチャックユニット10は更にボビンストック部8の方向(図2、図3、図9等で左方向)に移動を続け、やがて、コロ17は第2のカム板41のカム面41aの最上部に当接する。このときのコロ17の位置を図9では符号17bで示す。更に移動すると、コロ17は左下がりのカム面41aに倣って軸14を中心にして時計方向に下向きに傾動し、これに伴い、レバー16及び軸14が同方向に傾動/回動し、チャック傾動ボディ11aが軸14を中心にして時計方向に傾動し、その先端のチャック機構がボビンストック部8の方を指向するように徐々に上向きに時計方向に回動する。コロ17がカム面41aの最下部に達すると、以後は、水平溝41bに嵌合して水平移動する。このようにコロ17が水平溝41bに嵌合した状態では、コロ17は移動ボディ13に対して図7(b)に示すような関係となり、チャック傾動ボディ11aの先端のチャック機構は図8(b)に示すように水平左方向(ボビンストック部8に向き合う方向)となる。コロ17が水平溝41bに嵌合して水平移動する区間は、図9では「直線区間」として示されている。この「直線区間」において、チャック傾動ボディ11aの先端のチャック機構はボビンストック部8に向き合って水平左方向に更に移動し、最後にボビンストック部8に到達して、そこで、該ボビンストック部8からボビンケースB(この場合通常は中の下糸ボビンは十分な下糸を有する)をピックアップする、あるいは該ボビンストック部8内にボビンケースB(この場合通常は中の下糸ボビンは空である)を置く動作を行う。なお、この「直線区間」の最後では、傾動軸14が図9で符号14bで示す位置に達する。
次に、前記モータを正転させて、ベルト25を介してボビンチャックユニット10を図9の右方向に走行させる。その過程で、コロ17が水平溝41bから外れると、前述の通り、捩じりバネ19の作用で、ピン192が反時計方向に付勢され、コロ17が、上向きに反時計方向に動き、右上がりのカム面41aに倣って上昇する。コロ17がカム面41aの最上部から外れると、前述の通り、チャック部11(チャック傾動ボディ11a)は中立状態(図7(a)、図8(a))となる。
このように、ボビンチャックユニット10のチャック部11を、その走行行程に応じて、180度の範囲で、自動的に方向転換することができる。
〔チャック機構の説明〕
次に、チャック部11におけるチャック機構の一実施例につき説明する。図11は、ボビンチャックユニット10のチャック部11を上から見た平面図であり、釜6からボビンケースBをこれからピックアップするために、あるいは該釜6内にボビンケースBを置いた直後に、チャック部11の先端が釜6に接した状態を示している。図12は、チャック部11によってボビンケースBを把持した状態を示す平面図である。なお、図11、図12で、ボビンケースB及びその内部のボビンは概ね断面で示されているが、特にハッチングを付していないことに注意されたい。
チャック部11の先端は、ボビンケースBの表面の凸カーブに倣う凹曲線からなるエッジを有する姿勢保持金具11bとして形成されており、所定箇所にボビンアーム掴み爪11cが枢支されている。掴み爪11cと同軸にかつそれに対して一定角度を成して、掴み爪開閉レバー11dが枢支されており、掴み爪開閉レバー11dの作用点は爪開閉シリンダ11eのロッドに連結されている。爪開閉シリンダ11eは例えばエアシリンダからなるが、その他のアクチュエータであってもよい。図11に示すように、シリンダ11eのロッドが縮んだ状態では、掴み爪11cは開いた状態であり、ボビンケースBを把持していない。
図11において、チャック部11によって釜6からボビンケースBをピックアップする場合について説明する。図11に示すように、チャック部11と釜6とが、ボビンケースBの受渡しための所定の位置関係にある場合は、開いた状態の掴み爪11cの先端が、ボビンケースBの閉じたボビンケースアームB1の先端付近の爪挿入用ギャップ内にうまく収まるようになっている。この状態で、シリンダ11eのロッドを伸ばすと、掴み爪開閉レバー11dと掴み爪11cとのリンク構造により、枢支点を中心にして掴み爪11cが図で反時計方向に回動し、該爪11cを閉じる。このとき、爪挿入用ギャップ内の爪11cの先端がボビンケースアームB1をその内側から引っ掛けて、該ボビンケースアームB1を外側に開く。姿勢保持金具11bの所定箇所にはアーム受け部11gとアーム窓突起11fとが設けられており、掴み爪11cによって開かれたボビンケースアームB1をアーム受け部11gで受け止め、かつ、アーム窓突起11fを該ボビンケースアームB1に形成された開口窓B2の孔縁に強く係合させる。こうして、図12に示すように、掴み爪11cとアーム受け部11gとの間でボビンケースアームB1を掴み、かつアーム窓突起11fをボビンケースアームB1の開口窓B2の孔縁に強く係合させ、かつ、姿勢保持金具11bでボビンケースBの表面をしっかりとサポートし、その結果、全体として、ボビンケースBをチャック部11でしっかりと把持することができる。なお。図示を省略したが、掴み爪11cの枢支点につる巻バネが設けられ、該掴み爪11cを図11のように開く状態に常時付勢している。従って、シリンダ11eの伸長駆動力が解除されると、図11のような開状態に掴み爪11cが戻り、把持していたボビンケースBを離す。こうして、シリンダ11eの制御によって、チャック部11によるボビンケースBの把持と解放が制御される。
〔ボビンストック部8の説明〕
ボビンストック部8は、従来公知の構成を用いてよい。1つのボビンストック部8は、図2又は図10に示されるように、90度の間隔で放射状に延びた4つのボビンケースストック部位を有し、割り出し駆動軸81の回転により、ボビンチャックユニット10によってアクセスされる所定出し入れ位置8aに位置させるべきストック部位が割り出される。割り出し駆動軸81は、図1に示されるように、ミシンの横方向に延びており、各ボビン交換装置7に対応する各ボビンストック部8を共通に割り出し制御する。例えば、空のボビンケースBをボビンチャックユニット10から受け取る場合は、空のストック部位を所定出し入れ位置8aに位置させる。そして、所定の少なくとも1つのストック部位には十分な下糸が巻かれたボビンを収納したボビンケースBをセットしておく。そして、ボビンチャックユニット10が釜6から取り出してきた空のボビンケースBを、所定出し入れ位置8aの空のストック部位にて受け取る。その後、割り出し駆動軸81を回転して、ボビンストック部8を回転させ、十分な下糸が巻かれたボビンを収納したボビンケースBの置かれたストック部位を所定出し入れ位置8aに位置させる。そして、ボビンチャックユニット10により該所定出し入れ位置8aにあるボビンケースBをピックアップし、釜6まで持っていって釜6内に収納する。このようにして、下糸ボビンの自動交換がなされる。なお、一般に、ボビンストック部8の各ストック部位に対する、十分な下糸が巻かれたボビンを収納した新しいボビンケースBの補充や、空のボビンケースBの回収は、人手によって行う。従って、ボビンストック部8が、縫製台4の前縁部にあることは、人手による作業がしやすいことを意味する。しかし、これに限らず、ボビンストック部8の各ストック部位に対するボビンケースBの補充及び回収も、適宜自動化するようにしてもよい。
〔分解組立性能についての説明〕
前述の通り、第1の方向転換機構30である第1のカム板31が本体縫製台3の下面に対して正確に位置決めして取り付けられ、また、第2の方向転換機構40である第2のカム板41が延長縫製台4の下面に対して正確に位置決めして取り付けられる。また、図2に示されるように、各ボビンストック部8も延長縫製台4の下面に対して正確に位置決めして取り付けられる。この場合、図2に示すように、例えば、カム板41及びボビンストック部8の取付用のボルト孔等が正確に空けられた共通取付金具9を、延長縫製台4の下面に対して正確に位置決めして取り付け、この共通取付金具9に対してカム板41及びボビンストック部8を取り付けるようにするとよい。
本実施例に係る多頭式刺繍ミシンの製造に際しては、少なくともミシン本体と延長縫製台4を分離した状態で製造し、分離した状態でそれぞれ梱包し、納入先まで運搬する。大型工業機械であり、納入先は、海外であることもざらである。このように、大型の縫製台を、ミシン本体側の本体縫製台3と延長縫製台4に分離して梱包・運搬し、最終搬入先で、延長縫製台4をミシン本体側の本体縫製台3に接続して、最終製品である多頭式刺繍ミシンを組立て上げるようにすると、船積み梱包サイズのコンパクト化、運送コンテナ内での効率的収納等により、運搬コストを大きく節約することができる。
このような分離構成/組立てによる利点それ自体は、従来においても知られていたが、従来装置では、縫製台の下側に設けられるボビン交換装置が全体として一体化されていたため、本体縫製台と延長縫製台を分離した状態では、ボビン交換装置も全部外されて運搬され、最後に、延長縫製台をミシン本体側の本体縫製台に接続した後に、ボビン交換装置全体を正確に位置決めして取り付けねばならず、極めて面倒であった。
これに対して、本発明実施例によれば、工場で製造された段階で、延長縫製台4に対してはカム板41及びボビンストック部8が正確に位置決めして既に取り付けられ、また、本体縫製台3に対してはカム板31が正確に位置決めして既に取り付けられる。また、延長縫製台4の側に属させることができる割り出し駆動軸81も予め装着し、従動ベルト歯車27もカム板41に予め装着してよい。同様に、本体縫製台3の側に属させることができる駆動ベルト歯車26、駆動歯車28をカム板31に予め装着し、連動歯車29、共通連動軸50等も本体縫製台3に予め装着してよい。そして、このように両縫製台が分離された状態でそれぞれ梱包され、最終搬入先で、延長縫製台4をミシン本体側の本体縫製台3に接続して、最終製品である多頭式刺繍ミシンを組み立てる。その際、ボビン交換装置7の組立てに際しては、単に、2本のガイド棒21,22を保持金具23,24で連結してなり、かつ無端歯付きベルト25付きのボビンチャックユニット10をガイド棒21,22に装着してなる1つのユニットを、別途梱包して運搬し(つまり。全体では3つの梱包ユニットを運搬する)、これを最後に、縫製台3,4の下側のカム板31,41に簡便にねじ止め等によって取り付け、ベルト25を各歯車26,27に掛けるだけでよい。従って、ボビン交換装置7の組立てが極めて容易になり、ミシン全体の分離梱包・運搬・組立てに伴う一連のコストを大幅に節約することができる。
本発明は、このようなミシン全体の分離梱包・運搬・組立てに伴うメリットに限らず、移動機構を如何なる任意の往復移動距離に対応する構造に設定した場合でも、同じ構造の第1及び第2の方向転換機構(カム板31,41)を使用することができることによる利点も奏する。すなわち、縫製台の奥行きサイズが異なることにより、ボビン把持装置の移動走行距離が異なってくるような場合であっても、ガイド棒21,22の長さを変更するだけで対処できるため、部品形成に手間が掛かることなく(カム板31,41は共通使用できる)、比較的ローコストでそれに対処しやすいものであり、汎用性があり、使い勝手のよいボビン交換装置を提供することができる、という優れた効果も奏する。
〔変更例の説明〕
上記実施例では、釜土台5側に位置する第1の方向転換機構30を本体縫製台3に取り付けるようにしたが、これに限らず、ミシン本体側の適宜の箇所(問えば釜土台5)に取り付けるようにしてよい。図13は、第1の方向転換機構30を釜土台5に取り付ける例を示している。図13において、釜土台5には略L字状のたブラケット301が固定してあり、ブラケット301の下端部はミシンフレームFに固定してある。このブラケット301に釜土台5側の第1の方向転換機構30が固定される。ブラケット301には共通連動軸50が軸受されている。このように第1の方向転換機構30を釜土台5に対して取り付けるような構造とすることで、釜土台5側でのボビンチャックユニット10の位置決め精度がより上がることとなる。
また、上記実施例では、ボビンチャックユニット10のチャック部11の爪11cをエアシリンダにて駆動しているが、これに限らず、その他適宜の手段を用いてよい。例えば、ワイヤを配索して、これをプッシュ/プル操作することで、チャック部11の爪11cを開閉するようにしてもよい。
また、共通連動軸50の回転駆動によってボビンチャックユニット10を移動させる伝達機構において、ボビンチャックユニット10が停止した状態でも共通連動軸50の回転が可能となるスリップ伝達機構を備えるようにしてもよい。そのためには、例えば、駆動歯車28の軸と駆動ベルト歯車26の軸の端部にそれぞれ円板(図示せず)を固定し、この2枚の円板をバネ部材によって圧接させることによって、駆動歯車28の回転を駆動ベルト歯車26に伝達するようにする。これにより、ボビンチャックユニット10が移動限界に達して駆動ベルト歯車26が回転できない状態になっても、前記2枚の円板の間で滑りを生じさせて駆動歯車28すなわち共通連動軸50を回転させることができる。従って、例えば縫製台4の前縁部の一部分に作業者が進入可能な切欠きを設け、この切欠きがある部分に配置されるボビン交換ユニット7と、切欠きがない部分に配置されるボビン交換ユニット7とでボビンチャックユニット10の移動量が異なるものとなるような構成を採用した場合、移動量の長い方に対応して共通連動軸50を回転駆動することができる。つまり、移動量の短い方において、ボビンチャックユニット10が停止した以後に共通連動軸50を回転駆動させ続けても、上記スリップ伝達機構により、回転が伝達されず、該移動量の短い方のボビンチャックユニット10のそれ以上の直線移動はなされない。また、上記スリップ伝達機構を設けることにより、各ボビン交換装置7のボビンチャックユニット10の移動にずれが生じている場合にも、実際のボビンチャックユニットの移動量よりも多めに移動するように共通連動軸50を回転駆動して、全てのボビンチャックユニット10を移動限界位置まで移動させることができる。
また、上記実施例では共通連動軸50をモータにて回転駆動させるものとしたが、これに限らず、その他の任意の駆動源を用いてよい。例えば、リニア駆動源(例えばエアシリンダ)によるリニア駆動力を共通連動軸50の回転運動に変換するような機構を用いてもよい。
なお、本発明に係るボビン交換装置は、刺繍ミシンに限らず、その他いかなるタイプのミシンにおいても適用できる。また、多頭式ミシンに限らず、1頭式ミシンその他いかなるタイプのミシンにおいても適用できる。
図1は、本発明に係るボビン交換装置を適用した多頭式刺繍ミシン1の一例を示す全体外観略図である。
多頭式刺繍ミシン1は、公知のように、複数のミシンヘッド2と、本体縫製台3の下方において各ミシンヘッド2に対応してそれぞれ設けられる釜土台5(図2)と、各釜土台に備わったミシン釜6(図2)とを少なくとも具備する。本体縫製台3の前縁部には、着脱可能に延長縫製台4が配置される。また、縫製台上には刺繍枠駆動機構も設けられるが、図示簡略化の都合上、図示を省略した。各ミシンヘッド2に対応する各ミシン釜6毎に、本発明の一実施例に係るボビン交換装置7がそれぞれ設けられる。ボビン交換装置7は縫製台3,4の下側に配置されるため、図1では顕れてこないが、符号だけ示した。延長縫製台4の手前寄りの下部には、各ボビン交換装置7に対応してボビンストック部8がそれぞれ配置される。なお、添付された全図を通じて、適宜、説明に必要な部分を図示し、不要な部分は図示を省略するものとする。従って、図示されていない部品等であっても、実際製品には存在しており、また、或る図には示されているが、別の図には示されていないものもある。
〔ボビン交換装置7の全体構成〕
図2は、本発明に係るボビン交換装置7の一実施例を示す側面図であり、縫製台3,4の下側に取り付けられた状態を示している。1組のミシンヘッド2及びミシン釜6に対応する1セットのボビン交換装置7のみを示すが、他のボビン交換装置も同一構成である。図3は、図2に示したものと同様のボビン交換装置7の側面図であって、視認性を高めるために、ボビン交換装置7のみを抽出し、かつ、各要素を拡大して示し、ただし、ガイド棒21,22と無端歯付きベルト25の長さは、便宜上、短縮して図示したものである。図2で見難い部分は、図3を合わせて参照されたい。
ボビン交換装置7は、ボビンケースBを把持するためのチャック部11を先端に備えたボビンチャックユニット10(ボビン把持装置)と、該ボビンチャックユニット10をミシン釜6とボビンストック部8との間で往復移動させる移動機構20と、該移動機構20によって該ボビンチャックユニット10がミシン釜6に向かって移動/搬送される過程で該ボビンチャックユニット10のチャック部11の向きを該ミシン釜6の方に向かせる第1の方向転換機構30と、該移動機構20によって該ボビンチャックユニット10がボビンストック部8に向かって移動される過程で該ボビンチャックユニット10のチャック部11の向きを該ボビンストック部8の方に向かせる第2の方向転換機構40とを具える。後述するように、第1及び第2の方向転換機構30,40は、移動機構20に対してそれぞれ分離可能となっている。
〔移動機構20の説明〕
移動機構20は、ミシン釜6とボビンストック部8との間でボビンチャックユニット10を直線移動させるべくガイドするために平行に延びた2本のガイド棒21,22(ガイド部)と、該ボビンチャックユニット10を該ガイド棒21,22に沿って往復移動させるための駆動機構とを含む。ガイド棒21,22は、適用するミシンにおけるミシン釜6とボビンストック部8との間の離隔距離に応じて適切な長さサイズに形成されて、両端が保持金具23,24でそれぞれ連結され、平行な2本のガイド棒21,22からなるガイド部としてユニット化されている。移動機構20の駆動機構は、図示の例では、ベルトガイド棒21,22の長さ範囲にわたって設けられた無端(リング状)の歯付きベルト25で構成される。この無端歯付きベルト25は、ガイド棒21,22の両端側にそれぞれ設けられた駆動ベルト歯車26と従動ベルト歯車27との間に掛け渡されており、該ベルト25の所定箇所にボビンチャックユニット10を固定し、該ベルト25の移動に伴ってボビンチャックユニット10を移動させる。ベルト25の所定箇所に対するボビンチャックユニット10の固定は、ねじ12により取外し可能になされる。
駆動ベルト歯車26は、第1の方向転換機構30を構成する第1のカム板31の所定箇所にて軸受され、かつ、駆動歯車28と同軸に連結される。また、従動ベルト歯車27は、第2の方向転換機構40を構成する第2のカム板41の所定箇所にて軸受され、自由に従動回転する。駆動歯車28は、連動軸歯車29に噛み合う。連動軸歯車29は、共通連動軸50に取り付けられており、この共通連動軸50が、ボビン交換用の共通駆動モータ(図示せず)によって回転駆動される。また、共通連動軸50は、多頭式刺繍ミシン1の本体縫製台3の下側にて横方向に延び、各ミシンヘッド2に対応する各ボビン交換装置7毎の前記連動軸歯車29をそれぞれ固定している。従って、ボビン交換用の共通駆動モータの回転に応じて、共通連動軸50が回転し、これに伴い各ボビン交換装置7毎の前記連動軸歯車29が一緒に回転し、これに伴い、各ボビン交換装置7において、駆動歯車28が回転し、駆動ベルト歯車26が回転して、無端歯付きベルト25を駆動する。これにより、該ベルト25の所定箇所に固定されたボビンチャックユニット10を直線移動させる。
〔ボビンチャックユニット10の説明〕
図4はボビンチャックユニット10の平面図である。なお、ボビンチャックユニット10のチャック部11の傾きが、図3では下向きであるのに対して、図4では水平右向きに描かれている。図5は、図4のA矢視図であり、一部の要素を断面で示してあるが、煩雑さを避けるため、断面を示すハッチングは適宜省略し、必要に応じて描いてある。図6は、図5と同様の向きから見たボビンチャックユニット10を示すものであるが、チャック部11の傾きが、図5では水平向きであるのに対して、図6では下向きに描かれている。他の図においても、同様に、煩雑さを避けるため、断面を示すハッチングは適宜省略し、必要に応じて描いてある。
ボビンチャックユニット10は、ガイド棒21,22にスライド可能に嵌合する移動ボディ13と、傾動軸14を介して該移動ボディ13に傾動可能に枢支されたチャック部11とを含んでいる。図3に示すように、移動ボディ13の下面とベルト締め金具15との間に歯付きベルト25を挟み込み、ねじ12で締め付けることにより、該ボビンチャックユニット10が上記歯付きベルト25に固定される。チャック部11は、本体をなすチャック傾動ボディ11aとその先端に設けられたチャック機構とを含んで構成される。このチャック機構によってボビンケースBが把持されるが、その具体的構造については追って説明する。チャック傾動ボディ11aは傾動軸14の一端に固定され、該傾動軸14が移動ボディ13を貫通して該移動ボディ13に傾動可能に枢支され、チャック傾動ボディ11aと反対側の傾動軸14の端部には傾動軸作動レバー16が固定されている。この傾動軸作動レバー16の先端には、カム従動子としてのコロ17が回転自由に枢支されている。後述するように、コロ17が第1及び第2の方向転換機構30,40のカム板31,41のカム面に沿って転動するとき、これに伴い、傾動軸作動レバー16が傾動軸14を中心にして傾動し、この傾動に応じて傾動軸14が回動し、この回動に応じてチャック傾動ボディ11aつまりチャック部11が傾動軸14を中心にして傾動する。
移動ボディ13と傾動軸作動レバー16との間で、傾動軸14の回りにカラー18が配置されている。カラー18の幅によって、後述するカム板31,41の通過を許すのに必要な間隙が形成される。また、移動ボディ13とチャック傾動ボディ11aとの間で、傾動軸14の回わりに捩じりバネ(又はつる巻バネ)19が嵌装されている。移動ボディ13の所定位置にバネ止めピン191が埋め込まれる。また、チャック傾動ボディ11aにおける軸14を挟んでチャック機構とは反対側の端部に傾動戻しピン192が埋め込まれている。図3及び図6は、捩じりバネ19が中立状態にあるこことを示す。
捩じりバネ19の一端19aは、図3における反時計方向に付勢され、捩じりバネ19の他端19bは、図3における時計方向に付勢される。各ピン191,192は、捩じりバネ19の各端19a,19bに当接しうるような配置となっている。従って、図3あるいは図6に示す中立状態においては、各ピン191,192が捩じりバネ19の各端19a,19bの間に挟まれた状態となり、チャック傾動ボディ11aにおける傾動戻しピン192のある端部が最上位に位置し、それとは反対端にあるチャック機構が最下位に位置する、つまり、チャック部11の先端が下向き設定される。また、コロ17が最上位に位置する。図7(a)は、この中立状態における捩じりバネ19の様子を抽出して示す。図8(a)は、この中立状態におけるチャック部11の様子を抽出して示す。
後述するように、チャック部11の先端をボビンストック部8に向き合わせるための方向転換に際して、コロ17が図3における時計方向に傾動するとき、これに伴い、チャック傾動ボディ11a及び傾動戻しピン192も時計方向に傾動し、バネ19の一端19aを時計方向に回動偏倚させる。これにより、チャック部11の先端が図2あるいは図3で水平左方向を指向する、つまり、ボビンストック部8に向き合う。図7(b)は、この状態における捩じりバネ19の様子を抽出し、図8(b)は、この状態におけるチャック部11の様子を抽出して示す。コロ17に及ぼされる力が解除されると、バネ19の一端19aに対する時計方向の回動偏倚力も解除され、バネの復元力により中立状態に戻る。つまり、バネ19の一端19aが反時計方向に動いて戻り、傾動戻しピン192が反時計方向に動いて、中立状態に戻される。
一方、後述するように、チャック部11の先端を釜6に向き合わせるための方向転換に際して、コロ17が図3における反時計方向に傾動するとき、これに伴い、チャック傾動ボディ11a及び傾動戻しピン192も反時計方向に傾動し、バネ19の他端19bを反時計方向に回動偏倚させる。これにより、チャック部11の先端が図2あるいは図3で水平右方向を指向する、つまり、釜6に向き合う。図7(c)は、この状態における捩じりバネ19の様子を抽出し、図8(c)は、この状態におけるチャック部11の様子を抽出して示す。コロ17に及ぼされる力が解除されると、バネ19の他端19bに対する反時計方向の回動偏倚力も解除され、バネの復元力により中立状態に戻る。つまり、バネ19の他端19bが時計方向に動いて戻り、傾動戻しピン192が時計方向に動いて、中立状態に戻される。
〔方向転換機構30,40の説明〕
図2あるいは図3に戻り、更には図9を参照して、方向転換機構30,40の具体的構成例について説明する。図9は、方向転換機構30,40の具体的構成例を側面図にて示すと共に、参考のために、一連の方向転換動作におけるコロ17の動きの軌跡を略示する図である。
第1の方向転換機構30は、移動機構20(ガイド棒21,22)によるボビンチャックユニット10の搬送行程における釜6寄りの端部に配置されるもので、具体的には、図9に示すような所定形状の第1のカム板31からなる。第1のカム板31は、搬送行程における所定の傾動区間において後端部(釜6の方)に向かうにつれて下がるよう傾斜したカム面31aを有し、また、カム面31aの終了後の所定の長さの直線区間に相当する水平溝31bを有し、更に、前述の駆動ベルト歯車26の回転軸を枢支する軸受部31cを有する。水平溝31bはボビンチャックユニット10のコロ17を嵌合して水平方向に案内するのに適したサイズからなる。また、水平溝31bはボビンチャックユニット10の傾動軸14の水平移動線に沿うものであり、該軸14の侵入をも許す。この第1のカム板31(第1の方向転換機構30)は、本体縫製台3の下面に所定の配置で正確に位置決めされ、ねじ等で取り付けられる。そして、このように正確に位置決めされた第1のカム板31に対して、ガイド棒21,22の一端の保持金具24がねじ等を介して取外し容易に取り付けられる。
第2の方向転換機構40は、移動機構20(ガイド棒21,22)によるボビンチャックユニット10の搬送行程におけるボビンストック部8寄りの端部に配置されるもので、具体的には、図9に示すような所定形状の第2のカム板41からなる。第2のカム板41は、上述の第1のカム板31と実質的に同一構造、より詳しくは対称的な構造からなる。すなわち、第2のカム板41は、搬送行程における所定の傾動区間において前端部(ボビンストック部8の方)に向かうにつれて下がるよう傾斜したカム面41aを有し、また、カム面41aの終了後の所定の長さの直線区間に相当する水平溝41bを有し、更に、前述の従動ベルト歯車27の回転軸を枢支する軸受部41cを有する。この第2のカム板41(第2の方向転換機構40)は、延長縫製台4の下面に所定の配置で正確に位置決めされ、ねじ等で取り付けられる。そして、このように正確に位置決めされた第2のカム板41に対して、ガイド棒21,22の他端の保持金具23がねじ等を介して取外し容易に取り付けられる。従って、各カム板31,41を各縫製台3,4の下面に一旦正確に位置決めして固定した後は、ガイド棒21,22及び保持金具23,24からなる長尺のガイドユニットを該カム板31,41から適宜取り外したとしても、カム板31,41の取付精度に影響を与えることがなく、重要な方向転換機構の部分において精度のよい位置決め状態を保持することができる。換言すれば、ガイド棒21,22及び保持金具23,24からなる長尺のガイドユニットを任意に取り外したとしても、方向転換機構30,40の位置決め精度の再現性を確保することについて全く気づかうことなく、該ガイドユニットを各カム板31,41に対して容易に再取り付けすることができる。
〔ボビンチャックユニット10の搬送走行及び方向転換動作〕
次に、方向転換機構30,40によるボビンチャックユニット10の方向転換動作について、図9及び図10その他を参照して説明する。図10は、一連の方向転換動作におけるチャック部11(チャック傾動ボディ11a)の動きの軌跡を略示する図である。
ボビンチャックユニット10のコロ17が、搬送行程の両端におけるカム板31,41にさしかかっていない場合、前述した通りの捩じりバネ19の作用によって、チャック部11は先端のチャック機構を、図2、図3、図8(a)等に示すように、下向きにした中立状態を維持する。この区間を、図9では「中立区間」として示している。前述した通り、この中立状態では、コロ17は最上位位置(図7(a),図8(a))にある。ボビンチャックユニット10が釜6の方向(図2、図3、図9等で右方向)に移動すると、やがて、コロ17は第1のカム板31のカム面31aの最上部に当接する。このときのコロ17の位置を図9では符号17aで示す。更に移動すると、コロ17は右下がりのカム面31aに倣って軸14を中心にして反時計方向に下向きに傾動し、これに伴い、レバー16及び軸14が同方向に傾動/回動し、チャック傾動ボディ11aが軸14を中心にして反時計方向に傾動し、その先端のチャック機構が釜6の方を指向するように徐々に上向きに反時計方向に回動する。コロ17がカム面31aの最下部に達すると、以後は、水平溝31bに嵌合して水平移動する。このようにコロ17が水平溝31bに嵌合した状態では、コロ17は移動ボディ13に対して図7(c)に示すような関係となり、チャック傾動ボディ11aの先端のチャック機構は図8(c)に示すように水平右方向(釜6に向き合う方向)となる。コロ17が水平溝31bに嵌合して水平移動する区間は、図9では「直線区間」として示されている。この「直線区間」において、チャック傾動ボディ11aの先端のチャック機構は釜6に向き合って水平右方向に更に移動し、最後に釜6に到達して、そこで、該釜6からボビンケースB(この場合通常は中の下糸ボビンは空である)をピックアップする、あるいは該釜6内にボビンケースB(この場合通常は中の下糸ボビンは十分な下糸を有する)を置く動作を行う。なお、この「直線区間」の最後では、傾動軸14が図9で符号14aで示す位置に達する。
次に、前記モータを逆転させて、ベルト25を介してボビンチャックユニット10を前記とは逆方向(図9の左方向)に走行させる。その過程で、コロ17が水平溝31bから外れると、前述の通り、捩じりバネ19の作用で、ピン192が時計方向に付勢され、コロ17が、上向きに時計方向に動き、左上がりのカム面31aに倣って上昇する。コロ17がカム面31aの最上部から外れると、前述の通り、チャック部11(チャック傾動ボディ11a)は中立状態(図7(a)、図8(a))となる。ボビンチャックユニット10は更にボビンストック部8の方向(図2、図3、図9等で左方向)に移動を続け、やがて、コロ17は第2のカム板41のカム面41aの最上部に当接する。このときのコロ17の位置を図9では符号17bで示す。更に移動すると、コロ17は左下がりのカム面41aに倣って軸14を中心にして時計方向に下向きに傾動し、これに伴い、レバー16及び軸14が同方向に傾動/回動し、チャック傾動ボディ11aが軸14を中心にして時計方向に傾動し、その先端のチャック機構がボビンストック部8の方を指向するように徐々に上向きに時計方向に回動する。コロ17がカム面41aの最下部に達すると、以後は、水平溝41bに嵌合して水平移動する。このようにコロ17が水平溝41bに嵌合した状態では、コロ17は移動ボディ13に対して図7(b)に示すような関係となり、チャック傾動ボディ11aの先端のチャック機構は図8(b)に示すように水平左方向(ボビンストック部8に向き合う方向)となる。コロ17が水平溝41bに嵌合して水平移動する区間は、図9では「直線区間」として示されている。この「直線区間」において、チャック傾動ボディ11aの先端のチャック機構はボビンストック部8に向き合って水平左方向に更に移動し、最後にボビンストック部8に到達して、そこで、該ボビンストック部8からボビンケースB(この場合通常は中の下糸ボビンは十分な下糸を有する)をピックアップする、あるいは該ボビンストック部8内にボビンケースB(この場合通常は中の下糸ボビンは空である)を置く動作を行う。なお、この「直線区間」の最後では、傾動軸14が図9で符号14bで示す位置に達する。
次に、前記モータを正転させて、ベルト25を介してボビンチャックユニット10を図9の右方向に走行させる。その過程で、コロ17が水平溝41bから外れると、前述の通り、捩じりバネ19の作用で、ピン192が反時計方向に付勢され、コロ17が、上向きに反時計方向に動き、右上がりのカム面41aに倣って上昇する。コロ17がカム面41aの最上部から外れると、前述の通り、チャック部11(チャック傾動ボディ11a)は中立状態(図7(a)、図8(a))となる。
このように、ボビンチャックユニット10のチャック部11を、その走行行程に応じて、180度の範囲で、自動的に方向転換することができる。
〔チャック機構の説明〕
次に、チャック部11におけるチャック機構の一実施例につき説明する。図11は、ボビンチャックユニット10のチャック部11を上から見た平面図であり、釜6からボビンケースBをこれからピックアップするために、あるいは該釜6内にボビンケースBを置いた直後に、チャック部11の先端が釜6に接した状態を示している。図12は、チャック部11によってボビンケースBを把持した状態を示す平面図である。なお、図11、図12で、ボビンケースB及びその内部のボビンは概ね断面で示されているが、特にハッチングを付していないことに注意されたい。
チャック部11の先端は、ボビンケースBの表面の凸カーブに倣う凹曲線からなるエッジを有する姿勢保持金具11bとして形成されており、所定箇所にボビンアーム掴み爪11cが枢支されている。掴み爪11cと同軸にかつそれに対して一定角度を成して、掴み爪開閉レバー11dが枢支されており、掴み爪開閉レバー11dの作用点は爪開閉シリンダ11eのロッドに連結されている。爪開閉シリンダ11eは例えばエアシリンダからなるが、その他のアクチュエータであってもよい。図11に示すように、シリンダ11eのロッドが縮んだ状態では、掴み爪11cは開いた状態であり、ボビンケースBを把持していない。
図11において、チャック部11によって釜6からボビンケースBをピックアップする場合について説明する。図11に示すように、チャック部11と釜6とが、ボビンケースBの受渡しための所定の位置関係にある場合は、開いた状態の掴み爪11cの先端が、ボビンケースBの閉じたボビンケースアームB1の先端付近の爪挿入用ギャップ内にうまく収まるようになっている。この状態で、シリンダ11eのロッドを伸ばすと、掴み爪開閉レバー11dと掴み爪11cとのリンク構造により、枢支点を中心にして掴み爪11cが図で反時計方向に回動し、該爪11cを閉じる。このとき、爪挿入用ギャップ内の爪11cの先端がボビンケースアームB1をその内側から引っ掛けて、該ボビンケースアームB1を外側に開く。姿勢保持金具11bの所定箇所にはアーム受け部11gとアーム窓突起11fとが設けられており、掴み爪11cによって開かれたボビンケースアームB1をアーム受け部11gで受け止め、かつ、アーム窓突起11fを該ボビンケースアームB1に形成された開口窓B2の孔縁に強く係合させる。こうして、図12に示すように、掴み爪11cとアーム受け部11gとの間でボビンケースアームB1を掴み、かつアーム窓突起11fをボビンケースアームB1の開口窓B2の孔縁に強く係合させ、かつ、姿勢保持金具11bでボビンケースBの表面をしっかりとサポートし、その結果、全体として、ボビンケースBをチャック部11でしっかりと把持することができる。なお。図示を省略したが、掴み爪11cの枢支点につる巻バネが設けられ、該掴み爪11cを図11のように開く状態に常時付勢している。従って、シリンダ11eの伸長駆動力が解除されると、図11のような開状態に掴み爪11cが戻り、把持していたボビンケースBを離す。こうして、シリンダ11eの制御によって、チャック部11によるボビンケースBの把持と解放が制御される。
〔ボビンストック部8の説明〕
ボビンストック部8は、従来公知の構成を用いてよい。1つのボビンストック部8は、図2又は図10に示されるように、90度の間隔で放射状に延びた4つのボビンケースストック部位を有し、割り出し駆動軸81の回転により、ボビンチャックユニット10によってアクセスされる所定出し入れ位置8aに位置させるべきストック部位が割り出される。割り出し駆動軸81は、図1に示されるように、ミシンの横方向に延びており、各ボビン交換装置7に対応する各ボビンストック部8を共通に割り出し制御する。例えば、空のボビンケースBをボビンチャックユニット10から受け取る場合は、空のストック部位を所定出し入れ位置8aに位置させる。そして、所定の少なくとも1つのストック部位には十分な下糸が巻かれたボビンを収納したボビンケースBをセットしておく。そして、ボビンチャックユニット10が釜6から取り出してきた空のボビンケースBを、所定出し入れ位置8aの空のストック部位にて受け取る。その後、割り出し駆動軸81を回転して、ボビンストック部8を回転させ、十分な下糸が巻かれたボビンを収納したボビンケースBの置かれたストック部位を所定出し入れ位置8aに位置させる。そして、ボビンチャックユニット10により該所定出し入れ位置8aにあるボビンケースBをピックアップし、釜6まで持っていって釜6内に収納する。このようにして、下糸ボビンの自動交換がなされる。なお、一般に、ボビンストック部8の各ストック部位に対する、十分な下糸が巻かれたボビンを収納した新しいボビンケースBの補充や、空のボビンケースBの回収は、人手によって行う。従って、ボビンストック部8が、縫製台4の前縁部にあることは、人手による作業がしやすいことを意味する。しかし、これに限らず、ボビンストック部8の各ストック部位に対するボビンケースBの補充及び回収も、適宜自動化するようにしてもよい。
〔分解組立性能についての説明〕
前述の通り、第1の方向転換機構30である第1のカム板31が本体縫製台3の下面に対して正確に位置決めして取り付けられ、また、第2の方向転換機構40である第2のカム板41が延長縫製台4の下面に対して正確に位置決めして取り付けられる。また、図2に示されるように、各ボビンストック部8も延長縫製台4の下面に対して正確に位置決めして取り付けられる。この場合、図2に示すように、例えば、カム板41及びボビンストック部8の取付用のボルト孔等が正確に空けられた共通取付金具9を、延長縫製台4の下面に対して正確に位置決めして取り付け、この共通取付金具9に対してカム板41及びボビンストック部8を取り付けるようにするとよい。
本実施例に係る多頭式刺繍ミシンの製造に際しては、少なくともミシン本体と延長縫製台4を分離した状態で製造し、分離した状態でそれぞれ梱包し、納入先まで運搬する。大型工業機械であり、納入先は、海外であることもざらである。このように、大型の縫製台を、ミシン本体側の本体縫製台3と延長縫製台4に分離して梱包・運搬し、最終搬入先で、延長縫製台4をミシン本体側の本体縫製台3に接続して、最終製品である多頭式刺繍ミシンを組立て上げるようにすると、船積み梱包サイズのコンパクト化、運送コンテナ内での効率的収納等により、運搬コストを大きく節約することができる。
このような分離構成/組立てによる利点それ自体は、従来においても知られていたが、従来装置では、縫製台の下側に設けられるボビン交換装置が全体として一体化されていたため、本体縫製台と延長縫製台を分離した状態では、ボビン交換装置も全部外されて運搬され、最後に、延長縫製台をミシン本体側の本体縫製台に接続した後に、ボビン交換装置全体を正確に位置決めして取り付けねばならず、極めて面倒であった。
これに対して、本発明実施例によれば、工場で製造された段階で、延長縫製台4に対してはカム板41及びボビンストック部8が正確に位置決めして既に取り付けられ、また、本体縫製台3に対してはカム板31が正確に位置決めして既に取り付けられる。また、延長縫製台4の側に属させることができる割り出し駆動軸81も予め装着し、従動ベルト歯車27もカム板41に予め装着してよい。同様に、本体縫製台3の側に属させることができる駆動ベルト歯車26、駆動歯車28をカム板31に予め装着し、連動歯車29、共通連動軸50等も本体縫製台3に予め装着してよい。そして、このように両縫製台が分離された状態でそれぞれ梱包され、最終搬入先で、延長縫製台4をミシン本体側の本体縫製台3に接続して、最終製品である多頭式刺繍ミシンを組み立てる。その際、ボビン交換装置7の組立てに際しては、単に、2本のガイド棒21,22を保持金具23,24で連結してなり、かつ無端歯付きベルト25付きのボビンチャックユニット10をガイド棒21,22に装着してなる1つのユニットを、別途梱包して運搬し(つまり。全体では3つの梱包ユニットを運搬する)、これを最後に、縫製台3,4の下側のカム板31,41に簡便にねじ止め等によって取り付け、ベルト25を各歯車26,27に掛けるだけでよい。従って、ボビン交換装置7の組立てが極めて容易になり、ミシン全体の分離梱包・運搬・組立てに伴う一連のコストを大幅に節約することができる。
本発明は、このようなミシン全体の分離梱包・運搬・組立てに伴うメリットに限らず、移動機構を如何なる任意の往復移動距離に対応する構造に設定した場合でも、同じ構造の第1及び第2の方向転換機構(カム板31,41)を使用することができることによる利点も奏する。すなわち、縫製台の奥行きサイズが異なることにより、ボビン把持装置の移動走行距離が異なってくるような場合であっても、ガイド棒21,22の長さを変更するだけで対処できるため、部品形成に手間が掛かることなく(カム板31,41は共通使用できる)、比較的ローコストでそれに対処しやすいものであり、汎用性があり、使い勝手のよいボビン交換装置を提供することができる、という優れた効果も奏する。
〔変更例の説明〕
上記実施例では、釜土台5側に位置する第1の方向転換機構30を本体縫製台3に取り付けるようにしたが、これに限らず、ミシン本体側の適宜の箇所(問えば釜土台5)に取り付けるようにしてよい。図13は、第1の方向転換機構30を釜土台5に取り付ける例を示している。図13において、釜土台5には略L字状のたブラケット301が固定してあり、ブラケット301の下端部はミシンフレームFに固定してある。このブラケット301に釜土台5側の第1の方向転換機構30が固定される。ブラケット301には共通連動軸50が軸受されている。このように第1の方向転換機構30を釜土台5に対して取り付けるような構造とすることで、釜土台5側でのボビンチャックユニット10の位置決め精度がより上がることとなる。
また、上記実施例では、ボビンチャックユニット10のチャック部11の爪11cをエアシリンダにて駆動しているが、これに限らず、その他適宜の手段を用いてよい。例えば、ワイヤを配索して、これをプッシュ/プル操作することで、チャック部11の爪11cを開閉するようにしてもよい。
また、共通連動軸50の回転駆動によってボビンチャックユニット10を移動させる伝達機構において、ボビンチャックユニット10が停止した状態でも共通連動軸50の回転が可能となるスリップ伝達機構を備えるようにしてもよい。そのためには、例えば、駆動歯車28の軸と駆動ベルト歯車26の軸の端部にそれぞれ円板(図示せず)を固定し、この2枚の円板をバネ部材によって圧接させることによって、駆動歯車28の回転を駆動ベルト歯車26に伝達するようにする。これにより、ボビンチャックユニット10が移動限界に達して駆動ベルト歯車26が回転できない状態になっても、前記2枚の円板の間で滑りを生じさせて駆動歯車28すなわち共通連動軸50を回転させることができる。従って、例えば縫製台4の前縁部の一部分に作業者が進入可能な切欠きを設け、この切欠きがある部分に配置されるボビン交換ユニット7と、切欠きがない部分に配置されるボビン交換ユニット7とでボビンチャックユニット10の移動量が異なるものとなるような構成を採用した場合、移動量の長い方に対応して共通連動軸50を回転駆動することができる。つまり、移動量の短い方において、ボビンチャックユニット10が停止した以後に共通連動軸50を回転駆動させ続けても、上記スリップ伝達機構により、回転が伝達されず、該移動量の短い方のボビンチャックユニット10のそれ以上の直線移動はなされない。また、上記スリップ伝達機構を設けることにより、各ボビン交換装置7のボビンチャックユニット10の移動にずれが生じている場合にも、実際のボビンチャックユニットの移動量よりも多めに移動するように共通連動軸50を回転駆動して、全てのボビンチャックユニット10を移動限界位置まで移動させることができる。
また、上記実施例では共通連動軸50をモータにて回転駆動させるものとしたが、これに限らず、その他の任意の駆動源を用いてよい。例えば、リニア駆動源(例えばエアシリンダ)によるリニア駆動力を共通連動軸50の回転運動に変換するような機構を用いてもよい。
なお、本発明に係るボビン交換装置は、刺繍ミシンに限らず、その他いかなるタイプのミシンにおいても適用できる。また、多頭式ミシンに限らず、1頭式ミシンその他いかなるタイプのミシンにおいても適用できる。
Claims (15)
- ミシン釜内に装着される下糸ボビンの交換を行うためのボビン交換装置であって、
チャック部の先端にてボビンケースを把持するボビン把持装置と、
前記ボビン把持装置をミシン釜とボビンストック部との間で往復移動させる移動機構と、
前記移動機構によって前記ボビン把持装置が前記ミシン釜に向かって移動される過程で該ボビン把持装置の前記チャック部の向きを、前記ミシン釜の方に向かせる第1の方向転換機構と、
前記移動機構によって前記ボビン把持装置が前記ボビンストック部に向かって移動される過程で該ボビン把持装置の前記チャック部の向きを、前記ボビンストック部に向かせる第2の方向転換機構と
を具え、前記第1及び第2の方向転換機構は前記移動機構に対してそれぞれ分離可能であることを特徴とするボビン交換装置。 - 前記移動機構は、ミシン釜とボビンストック部との間で前記ボビン把持装置をガイドするガイド部と、該ボビン把持装置を該ガイド部に沿って往復移動させる駆動部とを含む請求項1に記載のボビン交換装置。
- 前記第1及び第2の方向転換機構の各々は、傾斜したカム面を有し、
前記ボビン把持装置は、カム従動子を前記チャック部に関連して具備しており、該ボビン把持装置の移動時に該カム従動子が前記カム面に倣って動くことにより前記チャック部が回動されてその先端の向きが変えられることを特徴とする請求項1に記載のボビン交換装置。 - ミシン釜内に装着される下糸ボビンの交換を行うためのボビン交換装置であって、
チャック部の先端にてボビンケースを把持するボビン把持装置と、
前記ボビン把持装置をミシン釜とボビンストック部との間で往復移動させる移動機構と、
前記移動機構によって前記ボビン把持装置が前記ミシン釜に向かって移動される過程で該ボビン把持装置の前記チャック部の向きを、前記ミシン釜の方に向かせる第1の方向転換機構と、
前記移動機構によって前記ボビン把持装置が前記ボビンストック部に向かって移動される過程で該ボビン把持装置の前記チャック部の向きを、前記ボビンストック部に向かせる第2の方向転換機構とを具え、
前記ボビン把持装置は、前記移動機構によって直線的に動かされる移動ボディ部と、該移動ボディ部に枢支された前記チャック部と、該チャック部の向きを通常時において所定の中立位置に指向させるよう付勢するバネ部材とを含み、
前記第1の方向転換機構は、前記バネ部材の付勢に抗して前記チャック部の先端の向きを前記ミシン釜の方に向かせるものであり、前記第2の方向転換機構は、前記バネ部材の付勢に抗して前記チャック部の先端の向きを前記ボビンストック部の方に向かせるものであることを特徴とするボビン交換装置。 - 前記バネ部材は、捩じりバネからなり、前記チャック部の回動に応じて回動するピンが該チャック部に設けられて該捩じりバネに係合し、前記第1及び第2の方向転換機構を介して前記チャック部が回動されるとき該ピンにより該捩じりバネを変位させ、そうでないとき該ピンが該捩じりバネの付勢力を受けて該チャック部を中立位置に戻す請求項4に記載のボビン交換装置。
- 前記第1及び第2の方向転換機構の各々は、傾斜したカム面を有し、
前記ボビン把持装置は、カム従動子を前記チャック部に関連して具備しており、該ボビン把持装置の移動時に該カム従動子が前記カム面に倣って動くことにより前記チャック部が回動されてその先端の向きが変えられることを特徴とする請求項4に記載のボビン交換装置。 - ミシン釜内に装着される下糸ボビンの交換を行うためのボビン交換装置であって、
チャック部の先端にてボビンケースを把持するボビン把持装置と、
前記ボビン把持装置をミシン釜とボビンストック部との間で往復移動させる移動機構とを具え、
前記ボビン把持装置の前記チャック部が、
ボビンケースアームを引き出すためのアーム掴み爪と、
該アーム掴み爪を回動させて該ボビンケースアームを引き出し操作を行わせる駆動手段と、
該アーム掴み爪によって引き出されたボビンケースアームに係合して保持するアーム係合突起と
を具えることを特徴とするボビン交換装置。 - 複数のミシンヘッドを具えるミシンにおいて、各ミシンヘッドに対応する各釜毎に、請求項1に記載のボビン交換装置がそれぞれ設けられていることを特徴とする多頭ミシンのボビン交換装置。
- 前記移動機構は、前記ボビン把持装置を保持して一緒に動かすタイミングベルトを含み、
各ミシンヘッドに対応する前記ボビン交換装置の前記移動機構の前記タイミングベルトに、共通モータの駆動力を伝達する共通動力伝達機構を更に具えたことを特徴とする請求項8に記載の多頭ミシンのボビン交換装置。 - 前記多頭ミシンは本体縫製台と、該本体縫製台に対して着脱可能な任意の広がりの延長縫製台とを含み、
前記ボビンストック部は、前記延長縫製台の前縁寄りに配置され、このため、前記多頭ミシンに装着される前記延長縫製台の広がりに依存して、前記ミシン釜と前記ボビンストック部との間隔が変化し、
前記移動機構は、前記ミシン釜と前記ボビンストック部との間隔に応じた往復移動距離を持つことになる請求項8に記載の多頭ミシンのボビン交換装置。 - 前記第1の方向転換機構は前記本体縫製台の側に取り付けられ、
前記第2の方向転換機構は前記延長縫製台の側に取り付けられ、
前記延長縫製台を前記本体縫製台から分離した状態では、前記移動機構が前記第1及び第2の方向転換機構から分離され、その結果、前記本体縫製台の側、前記延長縫製台の側、及び前記移動機構の側、の少なくとも3ブロックに各構成要素を分離できることを特徴とする請求項10に記載の多頭ミシンのボビン交換装置。 - 複数のミシンヘッドを具えるミシンにおいて、各ミシンヘッドに対応する各釜毎に、請求項4に記載のボビン交換装置がそれぞれ設けられていることを特徴とする多頭ミシンのボビン交換装置。
- 前記移動機構は、前記ボビン把持装置を保持して一緒に動かすタイミングベルトを含み、
各ミシンヘッドに対応する前記ボビン交換装置の前記移動機構の前記タイミングベルトに、共通モータの駆動力を伝達する共通動力伝達機構を更に具えたことを特徴とする請求項12に記載の多頭ミシンのボビン交換装置。 - 前記多頭ミシンは、ミシン本体に対して分離可能な縫製台を含み、
前記ボビンストック部は、前記分離可能な縫製台の前縁寄りに配置され、
前記第1の方向転換機構は、前記ミシン本体の側に取り付けられ、
前記第2の方向転換機構は、前記分離可能な縫製台の側に取り付けられ、
前記縫製台を前記ミシン本体から分離した状態では、前記移動機構が前記第1及び第2の方向転換機構から分離され、その結果、前記ミシン本体の側、前記分離可能な縫製台の側、及び前記移動機構の側、の少なくとも3ブロックに各構成要素を分離できることを特徴とする請求項8に記載の多頭ミシンのボビン交換装置。 - ミシン釜内に装着される下糸ボビンの交換を行うためのボビン交換装置であって、
チャック部にてボビンケースを把持するボビン把持装置と、
空の前記チャック部によりボビンケースを把持させる掴み動作とボビンを把持した前記チャック部からボビンケースを離す解放動作とを選択的に行うアクチュエータと、
前記ボビン把持装置を前記アクチュエータと共に、ミシン釜とボビンストック部との間で、往復移動させる移動機構と、
前記移動機構によって前記ボビン把持装置が前記ミシン釜に向かって移動される過程で該ボビン把持装置の前記チャック部の向きを、前記ミシン釜の方に向かせる第1のカム機構と、
前記移動機構によって前記ボビン把持装置が前記ボビンストック部に向かって移動される過程で該ボビン把持装置の前記チャック部の向きを、前記ボビンストック部に向かせる第2のカム機構と、
前記第1のカム機構と第2のカム機構との間の中間移動行程では、前記ボビン把持装置の前記チャック部の向きを中立姿勢に位置決めする手段と
を具え、前記チャック部が前記ミシン釜又は前記ボビンストック部に接する位置で、前記アクチュエータにより該チャック部にボビンケースを取り込む又は該チャック部からボビンケースを解放することで、下糸ボビンを収納したボビンケースの交換を行うようにしたボビン交換装置。
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