JP4069967B2 - 上糸交換装置付きミシン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数本の異なる色の上糸を使用して刺繍縫いを行う刺繍縫いミシンに代表される上糸交換装置付きミシンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、刺繍縫いミシンにおいては、複数本の異なる色の上糸が選択的に交換使用されているが、上糸を交換する度に縫い針の目孔に上糸をいちいち通す作業が面倒であることから、糸通し作業を自動的に行い得る装置の提案が種々なされている。
例えば、特開昭61−89365号公報により、多数の糸を並列的に導き、かつ各糸に所定糸量を保つための引き込み装置を設けたフレームを選択的に移動させ、先端に姿勢を水平に保つようにした糸挟持部を設けたアームを回動させ、糸挟持具で運ばれた糸をミシン本体に設けた糸挿通具にて針孔に挿通させる上糸交換装置が公知となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の上糸交換装置付きミシンにおいては、例えば、糸道内に糸が掛けられているにも拘わらず、二重に糸掛け動作する可能性があった。
また、従来は、各動作が失敗したことを検出する手段が備えられておらず、例えば、糸交換後に自動的に縫いを開始するミシンの場合、糸交換が失敗しているにも拘わらず、縫いを開始してしまうために、縫い目に不具合を生じてしまうという問題があった。
【0004】
このような問題に鑑みて本出願人は、糸供給源側に上糸を引き戻す糸たぐり動作の失敗を、糸道内の上糸の有無に基づき検出して、たぐり動作を停止したり、エラー表示により報知したり、また、糸道内の上糸の張力に基づく糸通し失敗時には、糸供給源側に上糸をたぐってから、再び糸掛け、糸通しを行って、確実な糸交換により良好な縫い目が得られるようにすることも目的として、特願平10−39186号により上糸交換装置付きミシンを提案した。
【0005】
即ち、この特願平10−39186号提案の上糸交換装置付きミシンとしては、先ず、糸交換の際に、糸供給源側から所定の糸道に引き出された上糸を糸供給源側に引き戻す糸たぐり手段を備えたミシンにおいて、糸道内で上糸の有無を検出する糸有無検出手段と、この糸有無検出手段の検出結果に基づいて、糸たぐり手段による所定量の糸たぐり動作後の糸有り検出時には糸たぐり動作を停止またはエラー表示として報知する制御手段と、を備えた構成、を特徴とするものである。
これによれば、糸交換に際しての糸たぐり動作後において、糸道内に上糸が有ることが検出された場合には、糸たぐり動作が失敗したとの判断によって、たぐり動作を停止したり、エラー表示により作業者に報知できる。
従って、たぐり動作停止により、例えば、糸切れして糸道に残った糸を作業者が取り除いて、再度糸たぐりさせたり、また、エラー表示による報知により、再度糸たぐりすべきことを認識できる。
【0006】
また、糸供給源側から所定の糸道に引き出された上糸を、糸渡し把持部により把持して縫い針の目孔近傍に張り出すように搬送する糸渡し手段と、この糸渡し手段により搬送された上糸を縫い針の目孔内に挿通させる糸通し手段と、糸交換の際に、糸供給源側から糸道に引き出された上糸を糸供給源側に引き戻す糸たぐり手段と、を備えたミシンにおいて、糸道内で上糸の張力変化を検出する張力変化検出手段と、この張力変化検出手段の検出結果に基づいて、糸通し動作後に糸通しが失敗したと判断された時には、糸たぐり手段による糸たぐり動作を行ってから、再び糸渡し手段の糸渡し把持部による糸掛け、糸通し手段による糸通しを行わせる制御手段と、を備えた構成、を特徴とするものである。
これによれば、糸通し動作後において、糸道内の上糸の張力変化により糸通しが失敗したと判断された場合には、糸供給源側に上糸をたぐってから、再び糸掛け、糸通しを行うことにより、確実に糸交換して、良好な縫い目が得られるようになる。
【0007】
ところで、以上のような本出願人による特願平10−39186号提案の上糸交換装置付きミシンにおいて、その糸たぐり手段は、糸供給部に各上糸毎に設けられた駆動側・従動側の糸巻き戻しローラの間に各上糸をセットし、糸たぐり時に選択的に駆動側・従動側の糸巻き戻しローラを接触させて、その間にセットされた上糸のみを糸ゴマ側に引き戻す方式のものであった。
また、上糸交換装置は、糸供給部から垂れ下げられた各上糸の中から、糸搬送手段によって選択捕捉した上糸を糸渡し手段に保持させた後、糸搬送手段と糸渡し手段との間の上糸をカットしていた。
【0008】
しかし、前述した糸たぐり手段において、各上糸毎に設けられた駆動側の糸引き戻しローラは、全てギア連結されていて、1個のアクチュエータによって作動しているので、糸たぐり時には、たぐっていない上糸に対応する駆動側の糸引き戻しローラも回転している。このため、従動側との両糸引き戻しローラ間にセットされた上糸が駆動側の糸引き戻しローラに巻き付いてしまわないように、通常は上糸を駆動側の糸引き戻しローラから離しておく必要がある。
また、たぐられた糸は、糸溜め部に収納するようにしているが、収納された糸が両糸引き戻しローラに巻き付いてしまうという問題が発生することがある。
また、上糸を糸渡し手段に保持させた後にカットして、糸搬送手段側に残る糸片が、次の糸の捕捉のために糸捕捉部を開放した時に落下してしまうと、いろいろな位置に糸片が落下することになり、掃除がめんどうなばかりでなく、糸の捕捉ミスが発生することがある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、糸たぐり手段を備える上糸交換装置付きミシンにおいて、たぐる必要のない上糸が駆動側の糸たぐりローラに接触して巻き付くのを防止することにある。
また、本発明は、糸溜め部に収納された上糸が駆動側及び従動側の両糸たぐりローラに接触して巻き付くのを防止することも目的としている。
また、本発明は、糸搬送手段の待機位置(原点位置)で糸捕捉部を開放して切断後の糸片を確実に落下させるようにすることも目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決すべく本発明は、複数の上糸を有する糸供給源側から選択的に上糸を糸捕捉部により捕捉して所定の糸道に搬送する糸搬送手段と、この糸搬送手段により糸道に引き出された上糸を、糸渡し把持部により把持して縫い針の目孔近傍に張り出すように搬送する糸渡し手段と、この糸渡し手段により搬送された上糸を縫い針の目孔内に挿通させる糸通し手段と、を備え、かつ、糸渡し手段には、糸搬送手段から受け取った上糸を糸通し手段による糸通し動作に必要な長さに切断する糸切り部材が設けられている上糸交換装置付きミシンにおいて、前記糸搬送手段には、所定位置で前記糸捕捉部を開放して前記糸切り部材による切断後の糸片を落下させる糸片落下動作部を設けた構成、を特徴としている。例えば、糸捕捉部を開放動作させておく固定の作動カムを設ける。
【0015】
このように、本発明によれば、糸搬送手段に、所定位置で糸捕捉部を開放して糸渡し手段の糸切り部材による切断後の糸片を落下させる糸片落下動作部を設けた上糸交換装置付きミシンなので、糸搬送手段の待機位置(原点位置)において、糸捕捉部が開放して切断後の糸片が確実に落下することによって、1箇所に纏めた糸屑落としが行え、また、糸捕捉部に糸片が残ることに起因する糸捕捉ミスも防止できる。
【0016】
以上において、糸供給源としては、縫い針と反対側のミシン端部上方に配置されていて複数の上糸を有するものであれば良く、その構成は任意である。
糸搬送手段としては、糸供給源側から糸捕捉部により上糸を捕捉して天秤位置を通過し、糸渡し手段の糸渡し把持部まで上糸を引き出すものであり、その駆動源及び搬送機構の構成は任意である。
糸渡し手段としては、道糸内の上糸を把持して縫い針の目孔近傍に張り出すように搬送する糸渡し把持部を有するものであれば良く、その駆動源及び搬送機構の構成は任意である。
糸通し手段としては、糸渡し手段により搬送された上糸を縫い針の目孔内に挿通させる糸通しフックを有するものが挙げられるが、他の糸通し部材でも良く、その駆動源及び糸通し機構の構成は任意である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る上糸交換装置付きミシンの実施の形態例を図1から図17に基づいて説明する。
図1は本発明を適用した上糸交換装置付きミシンの一例としての刺繍縫いミシンの自動糸掛け装置及び自動糸通し装置を示す概略斜視図で、図2から図13は各部の詳細を示した図である。
また、図14は上糸有無検出手段の一例を示した縦断面図で、図15はその上糸有無検出手段の出力信号の一例を示した線図である。
【0018】
先ず、図2に示すように、上軸1は、図示しないメインモータ(図17のミシンモータ11参照)により回転駆動されるように軸支されており、この上軸1の途中部分に固定された複数の扇状板からなる上軸遮蔽板2が、図示しないフォトセンサ(図17の主軸センサ12参照)により検出されることによって上軸1の回転位相位置の信号が得られる。
上軸1の一端部には、釣合錘3が固定され、この釣合錘3に回転自在に連結されたクランクロッド4の揺動端は、縫い針Nを保持する針棒5の途中に固定された針棒抱き6に対して回転自在に連結されている。クランクロッド4の基部側には、クランク7を介して天秤8が連結され、この天秤8の揺動端部分が「つ」の字状に折り曲げられた糸掛け部8aに形成されていて、天秤8の途中部分に、上糸滑り防止用の突部8bが形成されている。
【0019】
また、ミシン本体の上部には、複数本の異なる色の上糸を選択的に交換しつつ搬送する糸交換装置が備えられている。
この糸交換装置は、図1に示すように、各上糸のそれぞれを保持するようにミシンフレームに固定された糸待機供給手段(糸供給源)100と、この糸待機供給手段100から引き出された上糸を天秤8の位置を通過して糸渡し手段500まで引き出す糸搬送手段200と、を備えている。
糸待機供給手段100は、縫い針Nと反対側のミシン端部上方に配置されて、前記上軸1の方向に並ぶ糸供給部101,101(図1では2体示している)を有している。その糸供給部101には、図13に拡大して示すように、供給すべき上糸Aの先端部分を弾性的に挟んで把持する一対の糸挟持板102,103が互いに密着するように設けられている。
【0020】
即ち、この一対の糸挟持板102,103は、一方側の糸挟持板102に立設された軸104に装着した圧縮コイルバネ105の付勢力によって密着されている。この一対の糸挟持板102,103に対しては、糸待機供給手段100の奥側から、一方の糸挟持板102と一体に設けられたベーステンション板106を通して糸供給部101の上部側に導かれた上糸Aが、ミシン手前側から両糸挟持板102,103の間に挿入して挟み込まれ、この上糸Aが両糸挟持板102,103の間から所定量垂れ下がるようにセットされる。
【0021】
また、両糸挟持板102,103におけるミシン手前側の先端部分は、互いに離れる方向に斜めに折り曲げられて糸案内機能を具備するように構成されている。即ち、各糸挟持板102,103は、後述する糸搬送手段200側に向かって先端開口部が拡大するように形成されており、これにより、各糸挟持板102,103の先端側糸案内部を通して各上糸Aのセットが容易に行われる。
さらに、図1に示すように、両糸挟持板102,103に隣接した所定の位置には、これら両糸挟持板102,103から引き出された上糸Aを所定長さに切断する糸切り用カッタ107が立設されている。この糸切り用カッタ107は、両糸挟持板102,103の間にセットされた上糸Aを案内するガイド溝を有する支持枠108に固定されており、糸搬送手段200の糸把持部(糸捕捉部)203に対して所定の高さ位置に配置されている。
そして、両糸挟持板102,103の間にセットされてその下縁側から引き出された上糸Aの先端部分が、糸切り用カッタ107により所定の長さに切断されて、糸供給部101から垂れ下げられる上糸Aの長さが、糸搬送手段200により容易に受け取られる長さになされる。
【0022】
このように、上糸Aが糸切り用カッタ107により切断される際には、上糸Aが糸挟持板102の下縁部分に接触することになる。しかし、この時、糸挟持板102の下縁部分は、手前側から奥側に向かって上糸Aを滑らせるように傾斜している。この傾斜により、糸切り動作による張力によって、上糸Aが両糸挟持板102,103の間に誘い込まれて確実にセットされる。
さらに、糸挟持板103の前端側部分には、図示しないが、他方の糸挟持板102側に向かって突出する突部が形成されていて、その突部が糸挟持板102側の凹部102a(図13参照)に嵌合している。この嵌合により、両糸挟持板102,103の間に一旦セットされた上糸Aの抜け出しが防止される。
【0023】
また、糸供給部101の奥側には、縫製を終了した後に、この糸供給部101から縫い針Nに至る間に残された上糸Aの先端部を糸供給部101まで引き戻す糸たぐり機構(糸たぐり手段)が備えられている。
即ち、糸待機供給手段100の糸たぐり機構は、図13に拡大して示すように、互いに接触・離間するように構成された一対の糸引き戻しローラ(糸たぐりローラ)109a,109bを有しており、一方の駆動側の糸引き戻しローラ109aが図示しない糸たぐりステッピングモータ(図17の符号「130」参照)の回転駆動力を伝達する中間ギア111を介して常時回転駆動されている。
他方の従動側の糸引き戻しローラ109bは、支軸ピン112により揺動するように取り付けられたローラ支持ブラケット113の揺動端部分に回転自在に装着されている。このローラ支持ブラケット113がねじりコイルバネ114により回転方向の付勢力を与えられることによって、従動側の糸引き戻しローラ109bが駆動側の糸引き戻しローラ109aから離間される。
【0024】
そして、ローラ支持ブラケット113が、後述するように、糸搬送手段200の動作に連動してねじりコイルバネ114の回転付勢力に抗して回動させられることによって、従動側の糸引き戻しローラ109bが駆動側の糸引き戻しローラ109aに接触させられる。また、同時に、従動側の糸引き戻しローラ109aに設けられた図示しない従動ギアが、駆動側の糸引き戻しローラ109bに設けられた図示しない駆動ギアに噛み合い、これら両糸引き戻しローラ109a,109bが互いに接触回転しながら上糸Aを糸供給部101側にたぐり寄せるようになっている。
【0025】
このような糸たぐり機構の両糸引き戻しローラ109a,109bの直前部分には、糸ガイド部材をなす板状で糸ガイド溝を有する糸ガイド115がローラ支持ブラケット113に立設されている。
図16に示すように、駆動側の糸引き戻りローラ109aと従動側の糸引き戻しローラ109bが離れている時、即ち、糸をたぐらない時には、上糸Aを駆動側の糸引き戻しローラ109aに接触させないようにし、糸たぐり時には、上糸Aを駆動側の糸引き戻しローラ109a側に移動させるようになっている。
【0026】
また、図16に示すように、糸たぐり機構の背後側には、糸溜め部152が設けられている(図示例では5個横並びに)。これらの各糸溜め部152は、糸たぐり機構によって糸供給部101に引き戻されて長尺となった上糸Aを収納する中空の箱状体からなり、各上糸A毎に収納空間を仕切ることによって上糸同士が絡み合わないようにするためのものである。この糸溜め部152の奥側部分には、糸ガイド153が設けられている。
さらに、図16に示すように、糸たぐり機構の両糸引き戻しローラ109a,109bには、糸溜め部152から延びる糸絡み防止部材、即ち、弾性部材からなる薄板状の糸絡み防止板150,151が押し付けられている。これらの糸絡み防止板150,151は、両糸引き戻しローラ109a,109bによってたぐられる上糸Aが、両糸引き戻しローラ109a,109bに巻き付いてしまうのを防止するとともに、たぐられて糸溜め部152に収容されている上糸Aが、再度糸掛けされる時に、両糸引き戻しローラ109a,109bに絡み付くのを防止している。
【0027】
また、糸搬送手段200は、糸待機供給手段100の糸供給部101,101の何れかの上糸Aを把持して天秤8の位置を通過して糸渡し手段500の糸渡し把持部526(図1及び図11参照)まで出すものである。
即ち、糸搬送手段200は、図12に拡大して示すように、前記上軸1と略平行に配置された送りスクリュー201に対して、糸選択キャリッジ202に設けられた作動ピン202aが係合することによって、糸選択キャリッジ202が左右方向に往復移動する。この糸選択キャリッジ202の上に一対のピン204,204が立設されて、この両ピン204,204により、移動板205が前後方向に滑動自在に配置されている。この移動板205の手前側部分には、各糸供給部101から引き出されている上糸Aの糸端部分を把持する糸把持部203が設けられている。
移動板205には、その前後方向の側縁部分にラックギア206が形成されている。このラックギア206が、搬送用ステッピングモータ207の回転出力を伝達する中間ギア208に噛み合わされることによって、移動板205が前後方向に往復移動する。この移動板205のミシン手前側部分に、糸把持部203を構成する一対の糸挟持板210,211が設けられている。
【0028】
この糸把持部203を構成する一対の糸挟持板210,211において、一方の固定側の糸挟持板210は、移動板205の前方側の側縁部分を略直角に立ち上げるようにして形成されており、また、他方の揺動側の糸挟持板211は、移動板205に立設された揺動軸212に対し回動自在に取り付けられている。この揺動側の糸挟持板211は、揺動軸212に装着されたねじりコイルバネ213の回転付勢力によって、固定側の糸挟持板210に密着するように押し付けられている。これら両糸挟持板210,211が互いに密着することによって、上糸Aを掴むようになっている。
また、揺動側の糸挟持板211の途中部分には、開閉作動ピン214が下方に突出して固定されている。この作動ピン214は、移動板205がミシン奥側に向かって移動する際に、糸待機供給手段100の各糸供給部101の直前位置に配置された開閉作動カム221(図13参照)の前方側傾斜部221a(図13参照)に当接することによって、揺動側の糸挟持板211がねじりコイルバネ213の回転付勢力に抗して回動させられる。
これにより、揺動側の糸挟持板211が固定側の糸挟持板210から離間する。また、作動ピン214が開閉作動カム221の後方側直線部221b(図13参照)を通り越したときは、揺動側の糸挟持板211が、ねじりコイルバネ213の回転付勢力によって、元の閉鎖位置に回動された揺動側の糸挟持板211が固定側の糸挟持板210に密着される。
【0029】
以上の一対の糸挟持板210,211の直上位置には、糸待機供給手段100の各糸供給部101に向かって開口する案内溝215が設けられている。この案内溝215は、固定側の糸挟持板210の上縁部分から揺動側の糸挟持板211の上方を覆うように水平方向に伸びる板状ガイド部材209を、糸供給部101側から手前側に向かって切り欠くように形成されている。
この案内溝215の開口部は、各糸供給部101の一対の糸挟持板102,102側の開口部と対面可能となる配置関係となっていて、各糸供給部101から引き出された糸端部分を糸挟持板210,211内に導入させるような構成となっている。
ここで、板状ガイド部材209の先端部分209aは、やや上方に湾曲するように形成されており、その湾曲状の先端部分209aが、糸待機供給手段100の糸挟持板102の下縁部に対して、高さ方向に僅かにラップして接触するようになっている。これにより、上糸Aが案内溝215内に誘い込まれる。
なお、この実施の形態例では、案内溝215を画成する片方側のガイド板のみを上方に湾曲形成しているが、案内溝215を挟んで反対側のガイド板を上方に湾曲形成させることも可能である。
【0030】
また、案内溝215の溝最深部には、糸係止溝216が延設されている。この糸係止溝216は、糸搬送手段200の復動方向に伸びるように形成されていて、糸搬送手段200の糸選択キャリッジ202が前記天秤8側に向かって往動する際に、案内溝215内の上糸が糸係止溝216内に導入される。この糸係止溝216内に上糸が一旦導入されると、糸把持部203が前後方向に移動した場合であっても、上糸が溝から外れることはない。
さらに、移動板205において、ラックギア206と反対側の側縁部分には、糸たぐり作動アーム217が揺動軸218により揺動可能に取り付けられている。この糸たぐり作動アーム217は、揺動軸218に装着されたねじりコイルバネ219の回転付勢力により所定の位置に保持されている。
この糸たぐり作動アーム217は、糸把持部203がミシン奥側(後方側)に移動したときに、糸待機供給手段100の糸たぐり機構の前記ローラ支持ブラケット113の突部113a(図13参照)に当接するように設けられたものである。即ち、この糸たぐり作動アーム217の押圧力によりローラ支持ブラケット113を回動させることによって、従動側の糸引き戻しローラ109bを駆動側の糸引き戻しローラ109aに接触させる。
【0031】
ところで、前記針棒5は、図1及び図7に示すように、後述する針振り機構400を構成する針振り揺動台401に対して揺動自在に装着されており、この針振り揺動台401に隣接するようにして糸通し手段300が付設されている。
また、図2に示すように、針棒5に固定された針棒抱き6の直上位置には、糸通し手段300を構成する糸通し位置決めストッパ302がねじ止めされており、針棒5の下端部には、針止め9に設けられた針止めねじ9aによって縫い針Nが取り付けられている。なお、針止め9には、縫い針Nの目孔に上糸を導くように糸ガイド10が取り付けられている。
【0032】
図7に示すように、前記針棒5を支持する針振り揺動台401の上端部分は、前後方向に伸びる左右揺動軸403と、この左右揺動軸403を左右方向に貫通するように設けられた前後揺動軸404とにより、当該針振り揺動台401の下端部分が自在の方向に揺動するように取り付けられている。
また、この針振り揺動台401の下端部分には、図示しない揺動規制腕が連結されている。この揺動規制腕が描く円弧状の軌跡に沿って針振り揺動台401の下端部分が、略水平面内において揺動可能になされているとともに、特に、図7に示すように、針振り機構400における針振りステッピングモータ405の回転駆動力により釜上を往復移動するように構成されている。
【0033】
また、針振り揺動台401には、針棒5と略平行に糸通し軸305が、回転移動自在かつ上下動自在に装着されている。この糸通し軸305の上端部分には、糸通しレバー306の円筒状部307が嵌着されており、糸通し軸305の下端部分には、特に、図4、図5及び図6に示すように、周知の糸通しフックホルダ308が取り付けられている。
そして、糸通しレバー306の円筒状部307内には、図4に示すように、糸通し軸305の上端部分が回転自在に挿入されている。この糸通し軸305の上端部分を軸直角方向に貫通するように固定された作動ピン310の一端側が、糸通しレバー306の円筒状部307に穿設されたカム溝311内に遊嵌状態で挿入されている。
【0034】
円筒状部307のカム溝311は、図11に示すように、スパイラル形状の一部をなすようにして延びる傾斜溝カム311aと、この傾斜溝カム311aの上端部から軸方向上方側に延びる縦溝カム311bとからなる。
傾斜溝カム311aは、糸通しレバー306が前記糸通し軸305に対して相対的に軸移動することによって、糸通し軸305に回動作用を付与する。縦溝カム311bは、糸通し軸305を回動させることなく軸移動可能に保持する構成を有している。
また、図4に示すように、作動ピン310と円筒状部307の上端部との間には、圧縮コイルバネ312が圧縮状態で介装されており、これにより、糸通し軸305に対して糸通しレバー306が上方に引き上げられた状態に維持されている。
【0035】
作動ピン310の他端側は、針棒5の前記糸通し位置決めストッパ302に対して軸方向上側から当接・離間するように配置されている。
作動ピン310が針棒5の糸通し位置決めストッパ302上に当接したときには、糸通しフックホルダ308に設けられた糸通しフック313(図5及び図6参照)が縫い針Nの目孔と一致する位置に糸通し軸305が停止するように高さ関係が調整されている。
また、作動ピン310が針棒5の糸通し位置決めストッパ302に当接した後に糸通しレバー306がさらに下方に押し下げられると、作動ピン310の一端部分が、傾斜カム311aに沿って回転方向に案内され、これにより、糸通し軸305が糸通しフックホルダ308とともに回転されるように構成されている。
【0036】
また、図7に示すように、針振り揺動台401の上端部から垂れ下がるようにして設けられたガイド板314には、糸通しレバー306の途中部分に設けられた突部315との間に引張コイルバネ316が引っ張り状態で掛けられている。この引張コイルバネ316の上方付勢力によって糸通しレバー306が上方側に引き上げられている。
【0037】
さらに、糸通しレバー306の途中部分には、ミシン奥側に向かって突出する係止部317が形成されている。この係止部317に対して、後述する糸渡し手段500の作動体が上方側から当接することによって、糸通しレバー306の下降動作が行われるようになっている。
また、糸通し軸305の高さ方向略中央部分には、糸渡し手段500の作動体に当接して当該作動体をその位置に停止させる糸掛けストッパ318がカラー319(図4参照)を介して所定の位置に取り付けられている。この糸掛けストッパ318は、針棒5に取り付けることも可能である。
【0038】
一方、図5及び図6に示すように、糸通し軸305の下端位置には、糸通しフックホルダ308が固定されている。
この糸通しフックホルダ308は、周知のように、一対の糸通しフックガイド板320,320を有している。これら一対の糸通しフックガイド板320,320の間に糸通しフック313が固定されている。
各糸通しフックガイド板320,320のそれぞれには、略水平に切り込まれた案内溝321,321が、高さを一致させて切り欠くようにして形成されている。これらの両案内溝321,321内に糸通しすべき上糸Aを滑り込ませるように装着して、糸通しフック313の先端部分に形成された鍵部322に上糸Aを引っかけさせるこによって、縫い針Nの目孔内に上糸を引き込む構成になされている。
【0039】
ここで、糸通しフック313の鍵部322は、板状のフック本体の下縁側を略三角形状に切り欠くようにして形成されている。これにより、糸通しフック313の鍵部322に引っかけられた上糸Aが、縫い針Nの目孔挿入後に糸通しフック313の鍵部322から下方に向かって直ちに落下して開放されるようになっている。
【0040】
また、図4に示すように、糸通し軸305には、糸通しフックホルダ308の上側から針止め糸掛け取付体323が回転自在に取り付けられているとともに、その針止め糸掛け取付体323に立設された回動軸324に対して、針止め糸掛け325が回転自在に取り付けられている。
そして、図5に示すように、糸通しフックホルダ308に設けられた部分ギア326に対して、針止め糸掛け325に設けられた部分ギア327が噛み合わされている。
さらに、図4に示すように、針止め糸掛け取付体323に切り起こし形状に立設されたストッパ部材328が、糸通しレバー306の側面に当接して回転を制限されることによって、糸通し軸305の回転力が針止め糸掛け325に伝達され、糸通しフックホルダ308と針止め糸掛け325とが互いに反対方向に回動される構成になされている。
ここで、針止め糸掛け325の揺動端部分は、糸通しされた上糸Aを保持する二股形状に形成されている。この二股形状部分が、糸通しフックホルダ308の回動と同時に反対方向に回動して互いに近接・離間するようになされている。
【0041】
一方、図1、図3及び図11に示すように、糸通し手段300に隣接するようにして糸渡し手段500が配置されている。
この糸渡し手段500においては、糸通し軸305に隣接するようにして、スクリュー状の駆動軸501が台板502上に略鉛直に立設されている。この駆動軸501の上端部分に駆動ギア503が設けられている。この駆動ギア503に対して、図示しないが、糸渡し及び糸通し用のステッピングモータ(図17の符号「330」参照)により回転駆動される中間ギアが噛み合わされている。
【0042】
駆動軸501には、糸渡し作動体504が螺合されて上下方向に往復移動されるようになっている。
この糸渡し作動体504は、図4に示すように、駆動軸501に対して自由移動状態に装着された中空箱状の外部作動体505と、この外部作動体505の内部に装着された内部作動体506と、を有している。内部作動体506の手前側に配置した作動板507に立設された駆動ピン508が、駆動軸501のスクリュー溝に係合することによって、内部作動体506の上下送り動作が行われるようになっている。
【0043】
また、外部作動体505の内部には、内部作動体506の底面部に当接するようにして圧縮コイルバネ509が配置されている。この圧縮コイルバネ509は、内部作動体506を上方に押し上げるように軸方向に延在している。
この圧縮コイルバネ509の付勢力によって、内外の両作動体506,505が互いに一体となって上下方向に移動されるように構成されている。
【0044】
また、内部作動体506に設けられた作動板507の下縁部分には、糸押し係止部511が略直角に折れ曲がるようにして設けられている。この糸押し係止部511が、前記糸通しレバー306の係止部317に対して上方側から当接することによって、糸通しレバー306が下方に押し下げられるようになっている。
さらに、外部作動体505の上面からは、糸渡し係止部512が糸通し軸305側に向かって略水平に突出するように設けられている。このような外部移動体505の糸渡し係止部512が、前記糸通し軸305の糸掛けストッパ318に対して上側から当接されることによって、外部作動体505の下方移動が停止されるようになっている。
【0045】
さらに、外部移動体505の側部近傍には、ラックギア513が略直角に立ち上がるようにして配置されている。
このラックギア513に穿設された長尺状の縦溝514内に、外部移動体505の側部に略水平に突出するように内部作動体506に立設された規制軸515が上下動可能に遊嵌されている。このような構成に基づく案内作用によって、外部移動体505が回転することなく上下動するように案内されている。
【0046】
また、外部移動体505の側部には、図1及び図11に示すように、上規制軸515に隣接するようにして糸渡し軸516が略水平に突出するように固定されている。この糸渡し軸516に対して、糸渡し作動ギア517と糸渡しアーム518の基部側とが、カラーを介して回転可能に装着されている。
これら糸渡し作動ギア517と糸渡しアーム518の基部側とは、糸渡し軸516に装着されたねじりコイルバネ521によって反対方向に回転するように付勢されている。
そして、糸渡し作動ギア517に半径方向に延びるように一体形成された突部522と、糸渡しアーム518の基部側に固定された係止ピン523とが、ねじりコイルバネ512の回転付勢力によって周方向に当接している。これにより、両部材、即ち、糸渡し作動ギア517及び糸渡しアーム518がねじりコイルバネ521を介して回転方向に弾性的に係合されるようになっている。
【0047】
糸渡し作動ギア517は、ラックギア513に噛み合うように配置されており、外部作動体505が上下動することによって当該糸渡し作動ギア517が回転しながら上下動するとともに、この糸渡し作動ギア517の回転に伴って糸渡しアーム518が回動するように構成されている。
【0048】
糸渡しアーム518は、糸渡し作動ギア517側の基部側から糸渡し軸516と略直交する方向に延出する糸渡し第1アーム部518aと、この糸渡し第1アーム部518aの延出端側から略直角に折れ曲がって前記上軸1と略平行に延びる糸渡し第2アーム部518bとを備えている。
糸渡し第2アーム部518bの先端部分には、図1に示すように、二股形状の糸張り板525が設けられている。この糸張り板525と、糸渡し第2アーム部518bの中間部分に設けられた糸渡し把持部526との間に、糸搬送手段200により引き出された上糸Aの先端部分が略直線状に掛け渡されるようになっている。
【0049】
糸渡し把持部526は、糸渡し第2アーム部518bの中間部分から手前側(図11の右側)に向かって突出するように形成された上押え板527と、この上押え板527の下面側に圧接された下押え板528とを有している。
下押え板528から上押え板527を貫通して上方に延びる押え軸529に対して圧力付与用圧縮コイルバネ531が装着されている。この圧力付与用圧縮コイルバネ531の軸方向付勢力によって上下の押え板527,528が互いに密着されるようになっている。
【0050】
なお、圧力付与用圧縮コイルバネ531と上押え板527との間には圧力調整板532が介装されている。この圧力調整板532が押え軸529の軸方向に往復移動されることによって、圧力付与用圧縮コイルバネ531の軸方向圧縮力が調整される。これにより、上下の押え板527,528の密着力が変更されて上糸の把持力が調整される構成にされている。
【0051】
より具体的には、圧力調整板532は、図1に示すように、圧力付与用圧縮コイルバネ531と上押え板527との間部分から糸渡し第2アーム部518bの内面側に沿うようにして延びている。その延出側の基端部分が、糸渡し第1アーム部518aの側面に対して回動自在に取り付けられている。
一方、糸渡し第1アーム部518aの基部側部分には、図1に示すように、糸渡し作動ギア517に近接するようにして略コの字状の糸把持ブラケット533が、糸渡し第1アーム部518aの回動軸である糸渡し軸516と略平行に延びる糸渡し調整軸534の回りに回動自在に取り付けられている。
【0052】
糸把持ブラケット533と圧力調整板532とは、リンク機構を構成する2体のリンクアーム535,536を介して連動するように連結されている。そして、糸把持ブラケット533の回動軸である糸渡し調整軸534に装着されたねじりコイルバネ537の回転付勢力によって、圧力付与用圧縮コイルバネ531を軸方向に圧縮して付勢力を強化する。これにより、上下の押え板527,528を互いに強く圧接させる構成となっている。
【0053】
なお、図11に示すように、糸渡し作動ギア517が最上位置にあることにより糸渡し第1アーム部518aが上方側に向かって延びている場合には、その糸渡し第1アーム部518aに設けられた糸渡し係止板538が、糸把持ブラケット533の上面部に当接することによって、その糸把持ブラケット533の回転が図11の状態で停止される。これにより、圧力付与用圧縮コイルバネ531の圧縮量が抑えられて上下の押え板527,528の互いの圧接力が弱められる構成となっている。
【0054】
また、糸渡し作動ギア517が回転することにより図示の最上位置からやや下方に下がり、図11中の二点鎖線のように、糸渡し第1アーム部518aが所定量回転して傾斜した場合には、その糸渡し第1アーム部518aに設けられた糸渡し係止板538が糸把持ブラケット533の上面から外れることによって、糸把持ブラケット533がねじりコイルバネ537の回転付勢力により回動される。これにより、圧力付与用圧縮コイルバネ531を軸方向に圧縮することによって、上下の押え板527,528が互いに強く圧接されるようになっている。
【0055】
さらに、糸渡し第1アーム部518aには、糸渡し軸516から反対側に突出する糸渡し揺動レバー539が一体に設けられている。この糸渡し揺動レバー539の先端部分には、支持ローラ541が回転自在に取り付けられていて、糸渡し作動ギア517の回転に従って一体的に揺動される構成になっている。
【0056】
一方、ラックギア513の側部に隣接するようにして、糸渡し揺動レバー539に設けられた支持ローラ541を案内するための糸渡し案内板542が固定されている。
この糸渡し案内板542は、2段の直線状案内部542a,542bから構成されている。即ち、ミシン手前側(図11の右側)に張り出すように設けられた上部側直線状案内部542a上に、糸渡し揺動レバー539の支持ローラ541が当接することによって、糸渡し第1アーム部518aが、糸渡し作動ギア517の回転に拘わらず斜め下方に張り出した回動位置に係止される。また、ミシン奥側(図11の左側)にやや引き込むようにして設けられた下部側直線状案内部542b上に、糸渡し揺動レバー539の支持ローラ541が当接することによって、糸渡し第1アーム部518aはやや下方側に回動されることとなる。これにより、糸渡し第1アーム部518aは、糸渡し作動ギア517の回転に拘わらず、図11中の二点鎖線で示すように、鉛直下方向に垂れ下がった回動位置に係止されるようになっている。
【0057】
ここで、糸把持ブラケット533には、作動フック543が半径方向外方に向かって延出するように一体に設けられている。
前述したようにして糸渡し第1アーム部518aが最下方位置に回転したとき(図11中の二点鎖線参照)には、作動フック543が、糸渡し作動ギア517に設けられた突部522の半径方向先端部分に乗り上げられるように位置関係が設定されている。
そして、作動フック543が、糸渡し作動ギア517の突部522上に乗り上げたときには、その乗り上げ分だけ糸把持ブラケット533が回動させられることとなる。これによって、圧力付与用圧縮コイルバネ531の圧縮量が抑えられ、上下の押え板527,528の圧接力が弱められる構成となっている。
【0058】
また、糸渡し把持部526の近傍には、図1に示すように、糸搬送手段200の送りスクリュー201の支持部から立ち上がるようにして設けられた支持枠に対して糸切りカッタ550が取り付けられている。この糸切りカッタ550により、糸渡し把持部526に保持された上糸の先端部分を切断するように構成されている。
【0059】
さらにまた、図1、図7及び図8に示すように、糸搬送手段200の前部側には、糸通し手段300により縫い針Nに通された上糸を天秤8の糸掛け部8aに装着する糸掛け手段600が配置されている。
この糸掛け手段600は、駆動源として糸繰り出し用ステッピングモータ601を兼用している。そして、この糸繰り出し用ステッピングモータ601の出力軸には糸繰り出しローラ602が固定されている。この糸繰り出しローラ602に一体に形成された駆動ギア603に対して、モータ取付板604上に回転自在に固定された中間ギア605が常時噛み合わされている。
【0060】
一方、モータ取付板604には、図示しない押え上げ機構、あるいは、自動糸切り装置に連動して移動する糸繰り出し揺動板606が、所定の位置で回転自在に取り付けられている。
この糸繰り出し揺動板606の一端側には、モータ取付板604との間に糸繰り出し引張コイルバネ607が掛けられており、当該糸繰り出し揺動板606の他端側が中間ギア605から離れる方向に引張付勢されている。
さらに、糸繰り出し揺動板606の他端側には、補助ローラ取付板608の一端側が回転自在に連結されており、この補助ローラ取付板608の他端側は、モータ取付板604に立設された支持ピン609に対して摺動自在に装着されている。
【0061】
補助ローラ取付板608上には、一対の補助ローラ611,611が、糸繰り出し引張コイルバネ607の付勢力によって糸繰り出しローラ602に対して接触するように回転自在に立設されている。
これらの各補助ローラ611には従動ギア612が一体に形成されており、糸繰り出しローラ602に対して補助ローラ611,611が接触したときに、各補助ローラ611の従動ギア612が糸繰り出しローラ602の駆動ギア603に噛み合うようになっている。
なお、糸繰り出しローラ602は、補助ローラ取付板608に形成された長孔から露出するように設けられている。
【0062】
さらに、補助ローラ取付板608の長孔からは、中間ギア605と一体に設けられた第2中間ギア605aが露出している。この第2中間ギア605aに隣接するようにして補助ローラ取付板608上に糸取り作動ギア613が回転可能に立設されている。
この糸取り作動ギア613は、補助ローラ取付板608とともに摺動することによって、中間ギア605に接離するように配置されている。即ち、前述したように、糸繰り出しローラ602に対して補助ローラ611,611が接触したときには、糸取り作動ギア613は中間ギア605に対して非噛み合い状態となり、また、糸繰り出しローラ602から補助ローラ611,611が離れたときには、糸取り作動ギア613は中間ギア605に対して噛み合い状態となる。
【0063】
糸取り作動ギア613には、クランク状をなす糸掛け第1アーム614が糸取り作動ギア613の回転によって揺動するように取り付けられている。
この糸掛け第1アーム614の揺動腕側に、当該糸掛け第1アーム614の腕方向に滑動するようにして糸掛け第2アーム615が取り付けられている。この糸掛け第2アーム615の先端部分に、周知構造の糸取りフック616が取り付けられている。
【0064】
この糸取りフック616は、周知のように、糸通し手段300により縫い針Nに通された上糸の途中部分に係合する糸取りバネ617を、糸案内溝618が設けられた糸取りブラケット619内に備えている。この糸取りブラケット619は、糸掛け第2アーム615の先端部分に糸取り軸620により回転可能に装着されている。
この糸取りブラケット619内に設けられた上ガイド軸621及び下ガイド軸622が、天秤8に隣接するように配置された湾曲形状の糸取りガイド部材(面板)623のガイド経路624上を摺動することによって、糸取りバネ617により挟持された上糸が、天秤8の糸掛け部8aに対して糸掛けされるようになっている。
上ガイド軸621及び下ガイド軸622は、糸取りブラケット619に対して回転付勢力を付与している糸取りねじりコイルバネ625によって、糸取りガイド部材623のガイド経路624上に押し付けられている。
【0065】
また、糸取りガイド部材623のガイド経路624の下端部分には、斜め下方に伸びる糸取り係合溝626が延接されている。この糸取り係合溝626内に、上下のガイド軸621,622が嵌着可能に配置されている。
そして、図10にも示すように、これら両ガイド軸621,622が、糸取り係合溝626内に嵌着状態となった場合には、糸取りブラケット619が下端位置に係止されるように構成されている。
さらに、糸掛け第2アーム615の途中部分には、モータ取付板604との間に引張コイルバネ627が装着されている。この引張コイルバネ627の張力によって、糸取りブラケット619が前述した下端位置に保持される構成となっている。
【0066】
ここで、図10に示すように、糸取りねじりコイルバネ625は、糸取りバネ受け651にセットされて、糸取りブラケット619にねじ止めされている。この糸取りバネ受け651には、糸切れ遮蔽筒652が回転可能に組み付けられており、この糸切れ遮蔽筒652に形成された溝に糸取りねじりコイルバネ625が入れられている。従って、糸取りねじりコイルバネ625が撓むと、糸切れ遮蔽筒652は回転する。
この糸切れ遮蔽筒652には、糸切れ遮蔽板653が形成されており、この糸切れ遮蔽板653は、糸取りフック616(糸取りブラケット619)が縫い位置にある時、糸切りガイド部材(面板)623に取り付けられたフォトセンサ654を開閉する。即ち、このフォトセンサ654が、糸切れセンサ(糸切れ検出手段)となっている。
【0067】
一方、図7及び図9に示すように、針振り機構400の針振り揺動台401の下端部分には、針振りステッピングモータ405により左右方向に往復移動する針振りアーム406の揺動端部分が回転自在に連結されている。この針振りアーム406を通して針振り揺動台401が、当該針振り揺動台401の上端部分に設けられた左右揺動軸403及び前後揺動軸404を中心として、針板の上方部分を略円弧状に揺動するように構成されている。
また、針振りアーム406の基端部分に針振りリンク407が設けられている。この針振りリンク407の先端部分は、針振りステッピングモータ405により回動駆動される針振りカム408の外周カム面に、針振り引張コイルバネ409の引張付勢力によって圧接されている。これにより、針振りカム408の外周形状に従って前述したような針振り動作が行われる構成となっている。
【0068】
ここで、針振りカム408の回転軸411には、糸取りカム630が固定されている。この糸取りカム630の外周カム面に対して、糸取り切替板631の一方側の揺動アーム631aが下方側から接触している。
この糸取り切替板631は、切替軸632に回転可能に装着されている。この糸取り切替板631の上方側に向かって延びる他方側の揺動アーム631bが、水平面内で回動可能に配置された糸取りバネストッパ633の一方側の揺動アームに設けられた係止孔634内に遊嵌状態にて挿入されている。
【0069】
また、糸取りバネストッパ633の他方側の揺動アームには、糸取りストッパ板635が下方に折れ曲げられるようにして形成されている。
このような糸取りバネストッパ633の回転軸636に装着されたストップねじりコイルバネ637の回転付勢力によって、糸取りストッパ板635が糸掛け第2アーム615の途中部分に係合するように配置されている。これによって、糸掛け第2アーム615の揺動が規制される構成となっている。
【0070】
そして、糸取りカム630が針振りカム408と一体に回転されて、当該糸取りカム630に設けられた突起状のカム部分が糸取り切替板631に当接すると、当該糸取り切替板631及び糸取りストッパ板635が回動して、その糸取りストッパ板635が糸掛け第2アーム615から離間して開放状態となる。これにより、糸掛け第2アーム615の回動動作が許容されるようになっている。
【0071】
また、図1に示すように、糸掛け手段600のモータ取付板604の上部側には、天秤8へ導かれる上糸を案内するための上ベーステンション板640が配置されている。
この上ベーステンション板640から下方に延出する軸に装着された圧縮コイルバネ641の付勢力によって、下ベーステンション板642が、上ベーステンション板640の下面側に密着されている。
【0072】
さらに、両ベーステンション板640,642の近傍には、上糸の有無を検出する光学式の上糸有無検出センサ643が配置されている。
この上糸有無検出センサセンサ643は、例えば、図14に示すような構造となっている。即ち、図14では、一端側の発光素子(LED)644から発せられた検出光が、反対側の端部に設けられた受光素子(ソーラセル)645に受けられるように構成されている。
図14に示すように、発光素子644及び受光素子645の間に上糸Aが存在して検査光が遮断される場合と、上糸が存在しない場合とでは、受光素子(ソーラセル)645からの出力電圧が、図15に示すように変化することに基づいて、上糸Aの有無を検出する。
【0073】
次に、以上のように構成された装置による新たな上糸の糸通し動作及び糸掛け動作について説明する。
ミシンに糸掛けされていない状態から、糸待機供給手段100に上糸をセットして糸掛けする場合には、ミシン作業者は、先ず、糸供給源となる図示しない糸ゴマより引き出した上糸の先端部分を摘み、糸待機供給手段100の糸溜め部奥側に設けられた糸ガイドに糸掛けをする。その後、図13に示すように、糸たぐり機構の糸引き戻しローラ109a,109bの間を通して糸ガイド115及びベーステンション板106に糸掛けをし、さらに、糸挟持板102,103の間に上糸を通して、余分な糸を糸切り用カッタ107により切断する。
【0074】
このとき、糸挟持板102,103から糸切り用カッタ107に至る距離が所定量に設定されているため、糸切断後に糸挟持板102,103から垂れ下がる上糸量が、次の糸搬送手段200による糸把持動作に都合の良い長さになる。
【0075】
次の糸搬送手段200による糸搬送動作は、ミシン作業者が糸掛けスイッチを入れることによって開始される。
これにより、先ず、当初原点位置に待機していた糸選択キャリッジ202が、図13に示される糸捕捉位置まで横移動することによって、糸把持部203の案内溝215の開口部が、糸待機供給手段100の糸挟持板102,103と対向状態となる。
【0076】
この状態から、移動板205がミシン奥側に向かって移動を開始すると、糸把持部203の揺動側糸挟持板211が、開閉作動カム221に沿って開放状態となり、さらに、糸把持部203が奥側に移動することによって、上糸Aが案内溝215内に誘い込まれるとともに、糸挟持板210,211の間に入り込む。
そして、糸把持部203が、開閉作動カム221が終了するまで移動することによって、揺動側糸挟持板211が閉塞状態となり、その結果、糸挟持板210,211の間に上糸Aが挟持される。
【0077】
次いで、送りスクリュー201が回転運動することによって、糸選択キャリッジ202が所定量横移動すると同時に、糸把持部203がミシン手前側に戻っていく。
このとき、案内溝215内の上糸Aは、横滑りをして糸係止溝216内に移動することとなって、糸把持部203の前後動によっても上糸Aが糸把持部203から外れない状態となる。
【0078】
糸選択キャリッジ202は、ベーステンション板640,642及び上糸有無センサ643を回避するようにしてさらに横移動し、糸渡し手段500に到達する。
こうして糸選択キャリッジ202が糸渡し手段500に到達すると、その糸渡し手段500の糸渡し把持部526と同一の高さ関係に配置されている糸把持部203が、糸渡し把持部526を通り過ぎた時点でミシン奥側に移動する。これにより、糸把持部203側の上糸が、糸渡し手段500の糸渡し把持部526に保持された後に、糸把持部203側の上糸が、糸切りカッタ550により切断される。
【0079】
切断後に糸渡し把持部526から垂れる上糸の長さは、糸通し手段300により縫い針Nに対する糸通し動作が良好に行われる長さとなるように設定されている。
即ち、長すぎる場合には、上糸が縫い針Nの目孔を完全に通過することができず、また、短すぎる場合には、糸通し後に縫製動作を開始したときに、上糸が縫い針Nの目孔から抜けてしまうからである。
【0080】
糸搬送手段200の糸把持部203が、各部材に衝突しない経路を通って原点位置である待機位置に戻る。
図16に示したのが糸搬送手段200の待機位置であり、この位置では、揺動側の糸挟持板211の作動ピン214が、位置固定の作動カム250が当接して、糸挟持板211は開放となり、上糸片は落下する。
その後、図示しない押え上げ機構、或いは、自動糸切り装置を作動させて糸掛け手段600の糸繰り出し揺動板606を移動させ、糸繰り出しローラ602から補助ローラ611,611を離間させるとともに、中間ギア605の第2中間ギア605aに対して糸取り作動ギア613を噛み合わせる。これと同時に、針振りステッピングモータ405により糸取りストッパ板635を外して、糸掛け第2アーム615の回動を許容する。
【0081】
そして、糸繰り出し用ステッピングモータ601を数ステップ正転駆動させることによって、糸取りフック616をガイド経路624に沿って上端位置に移動させる。
この糸取りフック616の移動は、糸掛け第1アーム614に対して糸掛け第2アーム615が摺動して伸び縮みをしながら行われるため、糸取りフック616の移動軌跡を最小限の張り出し量とすることができ、ミシンの小型化及び外観の向上を図ることができる。
【0082】
次いで、図示しない糸渡し及び糸通し用のステッピングモータ(図17の符号「330」参照)が所定ステップ数にわたって正転駆動させられることによって、駆動軸501が回転させられて内部作動体506とともに外部作動体505が下降していく。
これにより、ラックギア513とともに糸渡しアーム518が回転しながら下降し、糸渡しアーム518の糸渡し把持部526は、上糸を保持したままミシン手前側に倒れ込むようにして下降する。
【0083】
糸渡しアーム518が所定の角度に倒れ込むと、糸渡し係止板538が糸把持ブラケット533の上面部から外れることによって、糸渡し把持部526を構成する上下の押え板527,528が互いに強く圧接させられて、上糸が強く保持された状態で、以後の下降動作が糸の脱落を生じることなく行われる。
【0084】
さらに、駆動軸501が回転させられて内部作動体506とともに外部作動体505が下降していくと、糸渡し揺動レバー539に設けられた支持ローラ541が糸渡し案内板542の上部側直線状案内部542a上に当接し、糸渡しアーム518が他の部材に接触しない位置で回動を停止した状態で下降していく。
このようにすることによって、糸渡しアーム518の張り出し量を最小にした状態で下降させることができ、ミシンの外観の小型化を図ることができる。
【0085】
次いで、内部作動体506の糸押し係止部511が、糸通しレバー306の係止部317に対して上方側から当接することにより、糸通しレバー306が下方に所定量押し下げられて、作動ピン310が針棒5の糸通し位置決めストッパ302に軸方向上側から当接する。これにより、糸通しフックホルダ308に設けられた糸通しフック313が縫い針Nの目孔と一致する高さ位置で糸通し軸305が停止する。
このようにして糸通し軸305が停止した直後に、外部作動体505が糸通し軸305の糸掛けストッパ318に対して上側から当接し、外部作動体505の下方移動も停止する。
【0086】
この外部作動体505の下方移動が停止する前に、糸渡し揺動レバー539に設けられた支持ローラ541が下部側直線状案内部542b上に当接する。これによって、糸渡し把持部526が縫い針Nよりも内側の領域まで回動し(図11の二点鎖線参照)、糸渡し把持部526と糸張り板525との間に張られた上糸Aが、縫い針Nの目孔の前に配置される。
また、このとき、糸把持ブラケット533の作動フック543が、糸渡し作動ギア517に設けられた突部522の半径方向先端部分に乗り上げている。これによって、糸渡し把持部526における糸把持力が弱められている。
【0087】
そして、内部作動体506とともに糸通しレバー306がさらに下降すると、作動ピン310が傾斜溝カム311aに沿って回転案内される。これにより、糸通し軸305が糸通しフックホルダ308とともに回転して、糸通しフック313が縫い針Nの目孔を貫通して上糸を引っかけ、戻り動作が行われることで、糸通しが行われる。
このとき、針止め糸掛け325は、先端部分に上糸を引っかけた状態で針止め9の糸ガイド10に上糸を通すことから、上糸の供給経路が良好に形成されることととなる。
なお、糸通し動作が行われる前に、作動ピン310が縦溝カム311bに沿って移動することにより、糸通し軸305が回転することなく所定量下降する。これは、上軸1の停止位置のバラツキを考慮したものである。
【0088】
また、本実施形態のように、糸通し手段300の作動部と、糸渡し手段500の作動部とを分離して配置することによって、糸渡し手段500により糸通し動作が可能となった後に、糸通し動作を行わせることができ、これらの動作を同時に行う場合に比して、糸通し動作を安定して行わせることができる。
特に、本実施形態では、前述したように、上軸1の停止位置のバラツキを考慮して糸通し動作が行われる前に、糸通し軸305をやや下降させているため、糸通し手段300の作動部と糸渡し手段500の作動部とを分離することが好ましい。そうでなければ、糸通し軸305の位置をセンサで検出する等の装置が必要となってしまうからである。
【0089】
そして、糸繰り出し用ステッピングモータ601が逆転することによって、糸取りフック616が下方に移動して上糸の途中部分を引っかけると、糸取りフック616より糸ゴマ側の上流側の上糸が、所定の案内部材によって、糸繰り出しローラ602にセットされるとともに、糸取りフック616より縫い針N側の下流側の上糸が、天秤8の途中部分に載るように配置される。
【0090】
次いで、針振りステッピングモータ405によって針振りカム408を元の位置に戻すとともに、糸取りストッパ板635を係止位置に戻して、糸掛け第2アーム615の回動をロックさせる。
このときには、糸繰り出しローラ602と補助ローラ611,611との間に上糸が挟み込まれている。また、下端位置に達した糸取りフック616は、図10に示すように、糸取り係合溝626によって、その位置に保持される。
【0091】
次に、駆動軸501を逆転させることによって、内部作動体506を上昇させていくと、糸通し軸305が逆転して、糸通しフック313が上糸を引っかけた状態で縫い針Nの目孔から離脱し、糸通しが行われる。
この糸通し動作が行われた直後に上糸が開放状態になるため、その後の糸の張力によって、糸通しフック313が損傷するような事態が回避される。
さらに、内部作動体506が外部作動体505に当接して一体的に上昇していくと、上糸が外れた糸渡し把持部526が回動しながら上昇して待機状態で停止する。これにより、一連の糸通し動作及び糸掛け動作を終了する。
【0092】
また、既に糸掛けされている上糸を他の上糸に交換する動作について説明する。
先ず、ミシン作業者が糸除去スイッチを入れることによって、糸搬送手段200による糸搬送動作を開始し、当初原点位置に待機していた糸選択キャリッジ202が、図13に示される糸捕捉位置まで横移動する。
これにより、糸把持部203の案内溝215の開口部が糸待機供給手段100の糸挟持板102,103と対向状態となる。
【0093】
この状態から、移動板205がミシン奥側に向かって移動を開始し、糸把持部203の揺動側糸挟持板211が開閉作動カム221に沿って開放状態となり、糸把持部203がさらに奥側に移動することによって、糸たぐり作動アーム217が糸待機供給手段100の糸たぐり機構のローラ支持ブラケット113に当接して、従動側の糸引き戻しローラ109bを駆動側の糸引き戻しローラ109aに接触させる。
この状態で、駆動側の糸引き戻しローラ109aを回転駆動させることによって、既に掛けられている上糸を糸供給部101に引き戻していく。
【0094】
そして、上糸の先端部が、ベーステンション板640,642を過ぎて、上糸有無検出センサ643を通過した信号を得たら、その時から糸たぐりステッピングモータを所定の回転数駆動して停止させる。
この停止までのモータ回転数は、上糸有無検出センサ643から各糸供給部101までの距離に対応して設定されており、モータを停止させたときに、各糸供給部101から上糸が所定の長さ垂れ下がる構成となっている。
【0095】
このようにして既に掛けられている上糸が除去されると、糸選択キャリッジ202が原点待機位置に一旦戻り、糸待機供給手段100にセットされている他の上糸に対して、前述したと同様な糸通し動作及び糸掛け動作を実行することによって、糸交換を完了する。
【0096】
図17はミシンの制御ブロック図で、制御手段である中央制御装置70は、マイコン、ROM、RAM、I/Oポート等で構成されていて、キーマトリクス69、糸有無検出センサ643、糸切れセンサ654、主軸センサ12が接続されている。
さらに、中央制御装置70には、ミシンモータ11が駆動回路71を介して、表示手段60が表示制御回路72を介して接続されるとともに、各ステッピングモータ230,207,130,330,601,405,170が各駆動回路73,74,75,76,77,78,79を介して接続されている。
【0097】
以上の通り、上糸交換装置付き刺繍縫いミシンにおいて、駆動側及び従動側の両糸引き戻しローラ109a,109bを有する糸たぐり機構、ローラ支持ブラケット113、糸ガイド115、糸絡み防止板150,151、糸溜め部152、固定側及び揺動側の両糸挟持板210,211による糸捕捉部203を有する糸搬送手段200、作動カム250等を設けたことによって、以下のような作用効果を発揮できる。
【0098】
(1)従動側の糸引き戻しローラ109bを支持するローラ支持ブラケット113に糸ガイド115を設けたので、図16に示されるように、駆動側及び従動側の両糸引き戻しローラ109a,109bが離れている時は、糸ガイド115も従動側の糸引き戻しローラ109bと一緒に駆動側の糸引き戻しローラ109aから離れているため、上糸Aが駆動側の糸引き戻しローラ109aに接触することがなく、駆動側の糸引き戻しローラ109aへの上糸Aの巻き付きを防止することができる。
【0099】
(2)駆動側及び従動側の両糸引き戻しローラ109a,109bによってたぐられた上糸を収納する糸溜め部152側から弾性薄板状の糸絡み防止板150,151を、両糸引き戻しローラ109a,109bに押し付けているので、糸溜め部152に収納された上糸が両糸引き戻しローラ109a,109bに巻き付くことを防止することができる。
【0100】
(3)糸搬送手段200の待機位置(原点位置)において、図16に示されるように、作動カム250に作動ピン214を当接させることにより、糸捕捉部203の駆動側及び従動側の両糸挟持板210,211を開放して、糸渡し手段500の糸切りカッタ550による切断後の糸片を確実に落下させるようにしたので、1箇所に纏めて糸屑落としすることができ、また、両糸挟持板210,211に糸片が残ることに起因する糸捕捉ミスも防止することができる。
【0101】
なお、以上の実施の形態例においては、刺繍縫いミシンとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、他のミシンであっても良い。
また、各種部品の形状等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【0104】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る上糸交換装置付きミシンによれば、糸搬送手段の待機位置(原点位置)において、糸捕捉部を開放して切断後の糸片を確実に落下させられるため、1箇所に纏めた糸屑落としが可能となり、また、糸捕捉部に糸片が残ることに起因する糸捕捉ミスも防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した上糸交換装置付きミシンの一例としての刺繍縫いミシンの自動糸掛け装置及び自動糸通し装置を示す概略斜視図である。
【図2】上軸及びその周辺の連結構造を示した斜視図である。
【図3】図1の糸渡し手段及び糸通し手段の駆動系を示した拡大斜視図である。
【図4】図1の糸通し手段の構造を示した拡大斜視図である。
【図5】図4の糸通し手段における糸通しフックの構造を示した拡大平面図である。
【図6】図5の糸通しフックを示した拡大斜視図である。
【図7】図1の自動糸掛け手段及び針振り機構の構造を示した拡大斜視図である。
【図8】図7の自動糸掛け手段を示した拡大正面図である。
【図9】図7の自動糸掛け手段と針振り機構との連結関係を示した拡大側面図である。
【図10】図8の糸取りブラケット周辺部の構造を示した平面図である。
【図11】図1の糸渡し手段及び糸通し手段の構造を示した拡大正面図である。
【図12】図1の糸搬送手段の構造を示した拡大斜視図である。
【図13】図1の糸待機供給手段と糸搬送手段との関係を示した拡大斜視図である。
【図14】上糸有無検出手段の一例を示した縦断面図である。
【図15】図14の上糸有無検出手段の出力信号の一例を示した線図である。
【図16】図1の糸たぐり手段の近傍部の具体的構成を拡大して示すもので、糸搬送手段の待機位置を示した一部透視状態の平面図である。
【図17】ミシンの制御ブロック図である。
【符号の説明】
A 上糸
N 縫い針
1 上軸
5 針棒
8 天秤
9 針止め
10 糸ガイド
11 ミシンモータ
70 制御手段
100 糸待機供給手段(糸供給源)
101 糸供給部
102,103 糸挟持板
106 ベーステンション板
107 糸切り用カッタ
109a,109b 糸引き戻しローラ(糸たぐりローラ)
113 ローラ支持ブラケット
115 糸ガイド部材
130 糸たぐりステッピングモータ
150,151 糸絡み防止部材
152 糸溜め部
153 糸ガイド
170 糸切りステッピングモータ
200 糸搬送手段
201 送りスクリュー
202 糸選択キャリッジ
203 糸捕捉部
205 移動板
207 縦送りステッピングモータ
210,211 糸挟持板
212 揺動軸
214 作動ピン
215 案内溝
216 糸係止溝
221 開閉作動カム
230 横送りステッピングモータ
250 作動カム(糸片落下動作部)
300 糸通し手段
302 糸通し位置決めストッパ
305 糸通し軸
306 糸通しレバー
308 糸通しフックホルダ
310 作動ピン
311 溝カム
313 糸通しフック
317 係止部
325 針止め糸掛け
330 糸渡し及び糸通しステッピングモータ
400 針振り機構
405 針振りステッピングモータ
500 糸渡し手段
501 駆動軸
505 外部作動体
506 内部作動体
511 糸押し係止部
513 ラックギア
517 糸渡し作動ギア
518 糸渡しアーム
522 突部
523 係止ピン
526 糸渡し把持部
527 上押え板
528 下押え板
533 糸把持ブラケット
538 糸渡し係止板
539 糸渡し揺動レバー
542 支持ローラ
543 作動フック
550 糸切りカッタ(糸切り部材)
600 糸掛け手段
601 糸繰り出し用ステッピングモータ
602 糸繰り出しローラ
605 中間ギア
605a 第2中間ギア
606 糸繰り出し揺動板
611 補助ローラ
613 糸取り作動ギア
614 糸掛け第1アーム
615 糸掛け第2アーム
616 糸取りフック
624 ガイド経路
626 糸取り係合溝
635 糸取りストッパ板
640,642 ベーステンション板
643 上糸有無検出手段
654 糸切れ検出手段

Claims (1)

  1. 複数の上糸を有する糸供給源側から選択的に上糸を糸捕捉部により捕捉して所定の糸道に搬送する糸搬送手段と、この糸搬送手段により糸道に引き出された上糸を、糸渡し把持部により把持して縫い針の目孔近傍に張り出すように搬送する糸渡し手段と、この糸渡し手段により搬送された上糸を縫い針の目孔内に挿通させる糸通し手段と、を備え、かつ、糸渡し手段には、糸搬送手段から受け取った上糸を糸通し手段による糸通し動作に必要な長さに切断する糸切り部材が設けられている上糸交換装置付きミシンにおいて、
    前記糸搬送手段には、所定位置で前記糸捕捉部を開放して前記糸切り部材による切断後の糸片を落下させる糸片落下動作部を設けたこと、を特徴とする上糸交換装置付きミシン。
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