JPWO2003061700A1 - 慢性腎疾患治療薬 - Google Patents
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Abstract
Na+/Ca2+交換輸送体1を阻害する化合物を有効成分とする慢性腎疾患治療薬。
Description
技術分野
本発明は、新規な慢性腎疾患治療薬に関する。
背景技術
細胞内の遊離Ca2+は、心筋や種々平滑筋の収縮、神経伝達物質の放出、遺伝子発現を制御する重要なイオンであり、このCa2+濃度の調節は細胞膜および筋小胞体膜のCa2+−pump、Ca2+channelやNa+/Ca2+交換輸送体(NCX)により調節されている。特にこの中でもNa+/Ca2+交換輸送体は心筋および血管平滑筋の収縮・弛緩に重要な役割を演じている(Ann.Rev.Physiol.第52卷467頁(1990))。現在哺乳動物から3種のNCX遺伝子が分離同定されている。そしてNCX1蛋白は、脳、心臓、腎臓で多量に発現しており、NCX2蛋白はおもに脳で発現し内臓平滑筋でも少量発現しており、NCX3蛋白は脳でおもに発現し骨格筋に少量発現していることが知られている(血管第24卷No.3,101頁(2001)、Am.J.Physiol.,272,C1250−C1261(1997))。
一方、NCX阻害薬としては(2−[2−[4[nitrobenzyloxy]phenyl]ethyl)isothio−ureamethanesulfonate)(KB−R7943)等のisothiourea誘導体や2−[4−[(2,5−difluorophenyl)methoxy]phenoxy]−5−ethoxyaniline(SEA0400)等のフェノキシアニリン誘導体の報告があり、K−BR7943は急性心筋梗塞モデルや脳および腎臓の虚血再灌流モデルに対しての有効性が確認されている(J.Pharmacol.Exp.Ther.第296卷412頁(2001))。しかし、NCX阻害薬の慢性腎疾患治療への応用については何ら報告されていない。
発明の開示
本発明者らは、脳、心臓、腎臓より調製したNa+/Ca2+交換輸送体(NCX)を用いて、K−BR7943、SEA0400等のNCX阻害作用を測定した。その結果、SEA0400を始めとするフェノキシアニリン誘導体およびフェノキシピリジン誘導体は、脳組織由来のNCXと比較して、心臓および腎臓由来のNCXを選択的に阻害することがわかった。
また、これまでの研究から上記化合物はNCXを阻害する濃度で他の受容体、チャンネルおよびトランスポーターにはほとんど影響を及ぼさないことが報告されている(J.Pharmacol.Exp.Ther.第298卷249頁(2001))
以上のことから、フェノキシアニリン誘導体等はNCX1に高い選択性を有することが明らかとなった。
さらに本発明者らは、NCX1と疾患・治療との関連について解明する目的で、種々の疾患モデル(慢性腎不全/腎糸球体硬化症モデル、糖尿病ラットなど)に関して上記NCX1選択的阻害薬を用いて検討したところ、慢性腎不全、腎糸球体硬化症、糖尿病性腎症においてNCX1を阻害することが腎保護に有効であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、Na+/Ca2+交換輸送体1を阻害する化合物を有効成分とする慢性腎疾患治療薬である。
また、本発明は、式(1)
[式中、R1は水素原子又はC1〜C6アルコキシ基を示し、R2はハロゲン原子又はニトロ基を示し、R3は水素原子又はハロゲン原子を示す。]で表わされる2−フェノキシアニリン誘導体又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする慢性腎疾患治療薬である。
発明を実施するための最良の形態
本発明においてNCX1阻害する化合物は、腎臓由来のNCX1を阻害する化合物であれば特に限定されないが、後述する試験(参考例3)において3μMの濃度で50%以上阻害するものが好ましい。さらに副作用を防止する目的からNCX1を特異的に阻害する化合物が好ましい。
NCX1を特異的に阻害する化合物とは、NCX1を阻害する濃度で他の受容体、チャンネルおよびトランスポーターをほとんど阻害しない化合物をいい、具体的には、例えば3μMの濃度においてCa2+channel、Na+channel、K+channel、Na+/H+transporter、norepinephrine transporter、Na+,K+−ATPase、Ca2+−ATPase、phospholipase A2、phospholipase C、5−lipoxygenase、inducible nitric−oxide synthetase、constitutive nitric−oxide synthetase、Adenosine receptor、Adrenergic receptor、Glutamate receptor、Bradykinin receptor、LTB4 receptor、PAF receptorを50%以上阻害しないことが好ましい。なお、各々のイオンチャンネル、酵素、レセプターを用いた測定方法は、J.Pharmacol.Exp.Ther.第298卷249頁(2001)およびこれに引用された文献に記載されている。
NCX1を特異的に阻害する化合物の例としては、フェノキシアニリン誘導体およびフェノキシピリジン誘導体を挙げることができる。
好ましくは、式(2)
[式中、R4、R5およびR6は、同一又は異なって水素原子又はハロゲン原子を示し、Xは
を示す。R7は水素原子、置換若しくは無置換のC1〜C6アルキル基又は置換若しくは無置換のC1〜C6アルコキシ基を示し、Zはニトロ基、アミノ基又はNHC(O)CH2R8基を示し、R8は水素原子、置換若しくは無置換のC1〜C6アルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C6アルコキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C2〜C7アシロキシ基、NR9R10又は
を示し、R9およびR10は同一又は異なって水素原子、置換若しくは無置換のC1〜C6アルキル基、N−メチル−4−ピペリジニル基を示し、R11は水素原子、ヒドロキシ基又はC2〜C7アルコキシカルボニル基を示し、Yはメチレン基、エポキシ基、チオ基又はNR12基を示し、nは1から4の整数を示す。R12は水素原子、置換若しくは無置換のC1〜C6アルキル基又は置換若しくは無置換のフェニル基を示す。]で表わされる化合物又はその薬学的に許容される塩である。
NCX1阻害活性の点からさらに好ましくは、式(1)
[式中、R1は水素原子又はC1〜C6アルコキシ基を示し、R2はハロゲン原子又はニトロ基を示し、R3は水素原子又はハロゲン原子を示す。]で表わされる2−フェノキシアニリン誘導体又はその薬学的に許容される塩である。
式(1)および(2)においてC1〜C6アルコキシ基とは、炭素原子数1〜6の直鎖又は分枝状のアルコキシ基を意味し、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチロキシ基、イソペンチロキシ基、ネオペンチロキシ基、tert−ペンチロキシ基、1−メチルブトキシ基、2−メチルブトキシ基、1,2−ジメチルプロポキシ基、ヘキシロキシ基、イソヘキシロキシ基等が挙げられる。
置換C1〜C6アルコキシ基の置換基としては、クロロ基、フルオロ基、ニトロ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェニル基、ヒドロキシ基、シアノ基、カルバモイル基等が挙げられる。
ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子をいう。
C1〜C6アルキル基とは、炭素原子数1〜6の直鎖又は分枝状のアルキル基を意味し、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基等が挙げられる。
置換C1〜C6アルキル基の置換基としては、クロロ基、フルオロ基、ニトロ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、カルバモイル基等が挙げられる。
C2〜C7アシロキシ基とは、炭素原子数2〜7の直鎖又は分枝状のアシロキシ基を意味し、アシル部分は、環状であっても、芳香族基を含んでいてもよい。例えばアセトキシ基、プロピオニロキシ基、イソプロピオニロキシ基、シクロヘキシニロキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
C2〜C7アルコキシカルボニル基とは、炭素原子数2〜7の直鎖又は分枝状のアルコキシカルボニル基を意味し、アルコキシル部分は、環状であっても、芳香族基を含んでいてもよい。具体的には、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペンチロキシカルボニル基、イソペンチロキシカルボニル基、ネオペンチロキシカルボニル基、tert−ペンチロキシカルボニル基、1−メチルブトキシカルボニル基、2−メチルブトキシカルボニル基、1,2−ジメチルプロポキシカルボニル基、ヘキシロキシカルボニル基、イソヘキシロキシカルボニル基等が挙げられる。
置換フェニル基の置換基としては、クロロ基、フルオロ基、ニトロ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、カルバモイル基等が挙げられる。
優れた腎保護作用を示す化合物の例としては
で表される化合物(SEA0400)、
で表される化合物(SEA0064)を挙げることができる。
また、さらに副作用を防止する目的からはNCX2、NCX3よりもNCX1を強力に阻害する化合物であることが好ましい。例えば、後述のNa+/Ca2+交換輸送体の測定法にて、
IC50(腎皮質由来)/IC50(脳由来)
IC50(腎皮質由来)/IC50(心筋膜由来)
の各々の計算値がSEA0400を用いたときの計算値より小さいことが好ましい。
なお、式(1)および(2)であらわされる化合物は、WO98/43943、WO99/20598、特開平10−265460、特開平10−218844、特開平11−49752、特開平11−92454に記載の製造方法により合成することができる。
本発明において慢性腎疾患治療薬とは、慢性腎不全、腎糸球体硬化症、糖尿病性腎症、腎硬化症、慢性腎炎、慢性糸球体腎炎、多発性嚢胞腎等を含む慢性腎疾患の腎生理機能を低下させる疾患の治療薬を意味し、尿中蛋白やアルブミンを減少させるなど優れた腎保護作用を有する。
本発明の治療薬は適宜公知の担体、希釈剤等を用いて適宜の医薬組成形態(錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、ドライシロップ、注射剤など)に調製して経口的又は非経口的に使用できる。
固形剤を製造するには種々の添加剤、例えば賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、コーティング基剤を用い、攪拌造粒法、流動層造粒法、破砕造粒法で製造できる。
その他必要に応じて抗酸化剤、コーティング剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、可塑剤等を加えることができる。
本発明医薬の有効成分の投与量は年齢、体重、投与形態等により異なるが、通常成人に対し0.1〜1000mg/日であり、これを1日1回又は数回に分け投与する。
以下、本発明を製剤例、試験例等を用いて説明するが、本発明はこれら試験例等に限定されるものではない。
製剤例1
SEA0400 50mg
乳糖 40mg
コーンスターチ 49.75mg
結晶セルロース 17mg
カルメロースカルシウム 17mg
ヒドロキシプロピルセルロース 5.25mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
合計 180mg
SEA0400、乳糖、コーンスターチ、結晶セルロース、カルメロースカルシウムを均一に混合し、これに10%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液を添加し、連合後、乾燥し、その顆粒を30M篩で篩過し、均一の顆粒として、ステアリン酸マグネシウムを添加し、打錠して錠剤とした。
製剤例2
SEA0064 50mg
乳糖 40mg
コーンスターチ 49.75mg
結晶セルロース 17mg
カルメロースカルシウム 17mg
ヒドロキシプロピルセルロース 5.25mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
合計 180mg
SEA0064、乳糖、コーンスターチ、結晶セルロース、カルメロースカルシウムを均一に混合し、これに10%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液を添加し、連合後、乾燥し、その顆粒を30M篩で篩過し、均一の顆粒として、ステアリン酸マグネシウムを添加し、打錠して錠剤とした。
参考例1 大脳ミクロソームNa+/Ca2+交換輸送体の測定法
ラット(8週齢)の大脳より得られたミクロソーム(1.5mg/ml)を160mM NaCl含有バッファーで前処理し、膜小胞内にNaをロードした。この懸濁液を20μM45CaCl2含有バッファーで50倍希釈して45Ca取り込みを誘発した後、バッファー(0℃)で希釈して反応を停止させ、速やかにニトロセルロース膜上に膜小胞を回収する。その後、膜小胞内の45Caを液体シンチレーター法で定量した。上記の大脳ミクロソームにおけるNa+/Ca2+交換活性の測定はJ.Biol.Chem.第257卷,5111頁(1982)の方法に準じて行った。
参考例2 イヌ心筋膜小胞Na+/Ca2+交換輸送体の測定法
イヌ心筋膜小胞(0.5mg/ml)をMethods enzymology第157卷,85頁(1988)に準じた遠心分画法により調製し、溶液A(20mM MOPS−Tris(pH7.4),160mM NaCl or KCl)に懸濁して室温で 約1時間静置して小胞内にNa or Kをロードした。この懸濁液を20μM 45CaCl2含有バッファーで50倍希釈して45Ca取り込みを誘発した後、バッファー(0℃)で希釈して反応を停止させ、速やかにニトロセルロース膜上に膜小胞を回収した。その後、膜小胞内の45Caを液体シンチレーター法で定量した。Na+/Ca2+交換活性は、Naをロードした場合の値から、Kをロードした場合の値を差し引いた値で評価した。上記のイヌ心筋膜小胞におけるNa+/Ca2+交換活性の測定はJ.Biol.Chem.第257卷,5111頁(1982)の方法に準じて行った。
参考例3 ラット腎臓皮質由来BLMV(basolateral membrane vesicles)の調製法およびNa+/Ca2+交換活性の測定法
(BLMVの調製法)
ラット腎臓皮質由来のBLMVの調製およびNa+/Ca2+交換活性の測定はAm.J.Physiol.第266卷F785頁(1994)の方法に準じて行った。
ラットより腎臓を摘出後、氷冷sucrose buffer(0.25mM sucrose,0.1mM PMSF,10mM Tris−HCl(pH7.6))に入れ、被膜を除いた後、単離した皮質をsucrose buffer中で細かく切断した。ダウンス型ホモジェナイザーでホモジェナイズした後、ポリトロン型ホモジェナイザーでホモジェナイズした。その後2500g、15min遠心して上清を回収した。さらに24000g、20min遠心し、white fluffy portion of the pelletを回収した。さらにsucrose bufferを添加してダウンス型ホモジェナイザーでホモジェナイズし、Percollを添加した後、30000g、35min遠心してmiddle layerを回収した。その後buffer(100mM KCl,100mM mannitol,5mM HEPES−Tris(pH7.4))を添加した後、34000g、30min遠心してloose white pellet(BLMV)を回収した。さらにKCl−mannitol bufferに懸濁した後、34000g、30min遠心して沈殿を回収し、活性測定に用いた。
(Na+/Ca2+交換輸送体(Na依存性45Ca取り込み)の測定方法)
BLMVをpreequilibration buffer(100mM NaCl,40mM KCl,1mM MgSO4,10mM glucose,5mM HEPES−Tris(pH7.4))で平衡化(37℃、10分)した後、遠心(20000g、5min)して沈殿を回収し、preequilibration bufferで再懸濁した。再遠心して沈殿を回収した後、preequilibration bufferで再懸濁した。このBLMV懸濁液をexternal medium(100mM choline chloride,40mM KCl,1mM MgSO4,10mM glucose,5mM HEPES−Tris(pH7.4),25uM valinomycin,10uM CaCl2,1mCi/l 45CaCl2)で20倍希釈して取り込みを開始した。25℃で一定時間反応後、stop solution(ice−cold 150mM KCl)2ml添加して反応を停止した後、速やかに限外濾過膜(0.45umニトロセルロースフィルター)で濾過し、BLMVをフィルター上に回収した。その後2ml stop solutionで2回洗浄した後、液体シンチレーター法でBLMV内へ取り込まれた45Caを定量した。
また、SEA0064にあっても腎皮質由来のNa+/Ca2+交換活性の測定法にてSEA0400の約0.07倍の阻害活性が確認された。
試験例1
Dahl−salt sensitive ratにおけるNa+/Ca2+交換系阻害薬の腎保護作用
本試験は、J.Cardiovascular Pharmacology第23巻970頁(1994)に記載の方法に準拠して行なった。具体的には、以下のように行なった。
<方法>
実験にはDahl−salt sensitive(Dahl−S)ratおよび対照動物であるDahl−salt resistance(Dahl−R)rat(オス、7週齢)を用い、下記のように3群に分けて(1群各6例)試験を行なった。
I群:Dahl−R+4% NaCl食+溶媒経口投与(1日2回)
II群:Dahl−S+4% NaCl食+溶媒経口投与(1日2回)
III群:Dahl−S+4% NaCl食+SEA0400 10mg/kg経口投与(1日2回)
各群の動物には4% NaCl高食塩含有飼料(正常飼料は0.6%)を与え、飲料水は自由に摂取させた。溶媒およびSEA0400は1日2回経口投与し(1回目は8:30〜9:30,2回目は16:30〜17:30)6週間連続経口投与する。投与開始より6週間後、代謝ケージにラットを一匹ずつ入れて尿を採取し、尿中蛋白およびアルブミン量を測定して腎機能に及ぼす影響を観察した。尿中蛋白およびアルブミンの測定は、それぞれBunseki Kagaku第32巻E379−E386頁(1983)およびHypertension第40巻6号834−839頁(2002)に記載の方法に準拠して、日立自動分析装置7060を用いて行なった。
試験開始6週間後の尿中蛋白***量は、I群:23±2mg/day,II群:144±11mg/dayであったが、SEA0400投与群(III群)では91±12mg/dayであり溶媒投与群(II群)と比較して有意に低値であった。
また、尿中アルブミン***量は、I群:2±1mg/day,II群:109±14mg/dayであったが、SEA0400投与群(III群)では58±8mg/dayであり溶媒投与群(II群)と比較して有意に低値であった。
以上の結果よりSEA0400は、Dahl−Sラットにおいて認められた尿中蛋白およびアルブミン***量の増加を有意に抑制し、腎保護作用示した。
試験例2
自然発症糖尿病ラット(ZSF−1)におけるNa+/Ca2+交換系阻害薬の腎保護作用
<方法>
ZSF−1は自然発症の糖尿病ラットであり、腎機能障害を来たすことが知られている(Renal Failure第22巻4号,387−406頁、2000)。本試験では、The Jacks on Laboratoryから入手した8週齢のZSF−1および対照動物であるZSF−1/leanを用い、下記のように5群に分けて(1群各8例)試験を行なった。
I群:ZSF−1/lean+溶媒経口投与(1日2回)
II群:ZSF−1+溶媒経口投与(1日2回)
III群:ZSF−1+SEA0400 1mg/kg経口投与(1日2回)
IV群:ZSF−1+SEA0400 3mg/kg経口投与(1日2回)
V群:ZSF−1+SEA0400 10mg/kg経口投与(1日2回)
溶媒およびSEA0400は1日2回(1回目は8:30〜10:30,2回目は16:30〜18:30)で8週間連続経口投与する。投与開始から8週間後、代謝ケージにラットを一匹ずつ入れて尿を採取し、尿中蛋白およびアルブミン量を測定して腎機能に及ぼす影響を観察した。尿中蛋白およびアルブミン量の測定は、上記の文献の記載に準拠して、日立自動分析装置7060で行なった。
試験開始8週間後の尿中蛋白***量は、I群:14±1mg/day,II群:58±9mg/day III群:40±8mg/day,IV群:37±7mg/day,V群:29±5mg/dayであり、SEA0400 10mg/kg投与群(V群)は溶媒投与群(II群)と比較して有意に低値であった。
また、尿中アルブミン***量は、I群:1±0.1mg/day,II群:28±5mg/day III群:20±5mg/day,IV群:17±5mg/day,V群:9±2mg/dayであり、SEA0400 10mg/kg投与群(V群)は溶媒投与群(II群)と比較して有意に低値であった。
以上の結果よりSEA0400は、自然発症糖尿病ラットにおいて認められた尿中蛋白およびアルブミン***量の増加を有意に抑制し、腎保護作用を示した。
産業上の利用の可能性
本発明により、新規な作用機序に基づく慢性腎疾患治療薬の提供が可能となっり、副作用の少ない慢性腎疾患の治療、予防に有用である。
本発明は、新規な慢性腎疾患治療薬に関する。
背景技術
細胞内の遊離Ca2+は、心筋や種々平滑筋の収縮、神経伝達物質の放出、遺伝子発現を制御する重要なイオンであり、このCa2+濃度の調節は細胞膜および筋小胞体膜のCa2+−pump、Ca2+channelやNa+/Ca2+交換輸送体(NCX)により調節されている。特にこの中でもNa+/Ca2+交換輸送体は心筋および血管平滑筋の収縮・弛緩に重要な役割を演じている(Ann.Rev.Physiol.第52卷467頁(1990))。現在哺乳動物から3種のNCX遺伝子が分離同定されている。そしてNCX1蛋白は、脳、心臓、腎臓で多量に発現しており、NCX2蛋白はおもに脳で発現し内臓平滑筋でも少量発現しており、NCX3蛋白は脳でおもに発現し骨格筋に少量発現していることが知られている(血管第24卷No.3,101頁(2001)、Am.J.Physiol.,272,C1250−C1261(1997))。
一方、NCX阻害薬としては(2−[2−[4[nitrobenzyloxy]phenyl]ethyl)isothio−ureamethanesulfonate)(KB−R7943)等のisothiourea誘導体や2−[4−[(2,5−difluorophenyl)methoxy]phenoxy]−5−ethoxyaniline(SEA0400)等のフェノキシアニリン誘導体の報告があり、K−BR7943は急性心筋梗塞モデルや脳および腎臓の虚血再灌流モデルに対しての有効性が確認されている(J.Pharmacol.Exp.Ther.第296卷412頁(2001))。しかし、NCX阻害薬の慢性腎疾患治療への応用については何ら報告されていない。
発明の開示
本発明者らは、脳、心臓、腎臓より調製したNa+/Ca2+交換輸送体(NCX)を用いて、K−BR7943、SEA0400等のNCX阻害作用を測定した。その結果、SEA0400を始めとするフェノキシアニリン誘導体およびフェノキシピリジン誘導体は、脳組織由来のNCXと比較して、心臓および腎臓由来のNCXを選択的に阻害することがわかった。
また、これまでの研究から上記化合物はNCXを阻害する濃度で他の受容体、チャンネルおよびトランスポーターにはほとんど影響を及ぼさないことが報告されている(J.Pharmacol.Exp.Ther.第298卷249頁(2001))
以上のことから、フェノキシアニリン誘導体等はNCX1に高い選択性を有することが明らかとなった。
さらに本発明者らは、NCX1と疾患・治療との関連について解明する目的で、種々の疾患モデル(慢性腎不全/腎糸球体硬化症モデル、糖尿病ラットなど)に関して上記NCX1選択的阻害薬を用いて検討したところ、慢性腎不全、腎糸球体硬化症、糖尿病性腎症においてNCX1を阻害することが腎保護に有効であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、Na+/Ca2+交換輸送体1を阻害する化合物を有効成分とする慢性腎疾患治療薬である。
また、本発明は、式(1)
[式中、R1は水素原子又はC1〜C6アルコキシ基を示し、R2はハロゲン原子又はニトロ基を示し、R3は水素原子又はハロゲン原子を示す。]で表わされる2−フェノキシアニリン誘導体又はその薬学的に許容される塩を有効成分とする慢性腎疾患治療薬である。
発明を実施するための最良の形態
本発明においてNCX1阻害する化合物は、腎臓由来のNCX1を阻害する化合物であれば特に限定されないが、後述する試験(参考例3)において3μMの濃度で50%以上阻害するものが好ましい。さらに副作用を防止する目的からNCX1を特異的に阻害する化合物が好ましい。
NCX1を特異的に阻害する化合物とは、NCX1を阻害する濃度で他の受容体、チャンネルおよびトランスポーターをほとんど阻害しない化合物をいい、具体的には、例えば3μMの濃度においてCa2+channel、Na+channel、K+channel、Na+/H+transporter、norepinephrine transporter、Na+,K+−ATPase、Ca2+−ATPase、phospholipase A2、phospholipase C、5−lipoxygenase、inducible nitric−oxide synthetase、constitutive nitric−oxide synthetase、Adenosine receptor、Adrenergic receptor、Glutamate receptor、Bradykinin receptor、LTB4 receptor、PAF receptorを50%以上阻害しないことが好ましい。なお、各々のイオンチャンネル、酵素、レセプターを用いた測定方法は、J.Pharmacol.Exp.Ther.第298卷249頁(2001)およびこれに引用された文献に記載されている。
NCX1を特異的に阻害する化合物の例としては、フェノキシアニリン誘導体およびフェノキシピリジン誘導体を挙げることができる。
好ましくは、式(2)
[式中、R4、R5およびR6は、同一又は異なって水素原子又はハロゲン原子を示し、Xは
を示す。R7は水素原子、置換若しくは無置換のC1〜C6アルキル基又は置換若しくは無置換のC1〜C6アルコキシ基を示し、Zはニトロ基、アミノ基又はNHC(O)CH2R8基を示し、R8は水素原子、置換若しくは無置換のC1〜C6アルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C6アルコキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C2〜C7アシロキシ基、NR9R10又は
を示し、R9およびR10は同一又は異なって水素原子、置換若しくは無置換のC1〜C6アルキル基、N−メチル−4−ピペリジニル基を示し、R11は水素原子、ヒドロキシ基又はC2〜C7アルコキシカルボニル基を示し、Yはメチレン基、エポキシ基、チオ基又はNR12基を示し、nは1から4の整数を示す。R12は水素原子、置換若しくは無置換のC1〜C6アルキル基又は置換若しくは無置換のフェニル基を示す。]で表わされる化合物又はその薬学的に許容される塩である。
NCX1阻害活性の点からさらに好ましくは、式(1)
[式中、R1は水素原子又はC1〜C6アルコキシ基を示し、R2はハロゲン原子又はニトロ基を示し、R3は水素原子又はハロゲン原子を示す。]で表わされる2−フェノキシアニリン誘導体又はその薬学的に許容される塩である。
式(1)および(2)においてC1〜C6アルコキシ基とは、炭素原子数1〜6の直鎖又は分枝状のアルコキシ基を意味し、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチロキシ基、イソペンチロキシ基、ネオペンチロキシ基、tert−ペンチロキシ基、1−メチルブトキシ基、2−メチルブトキシ基、1,2−ジメチルプロポキシ基、ヘキシロキシ基、イソヘキシロキシ基等が挙げられる。
置換C1〜C6アルコキシ基の置換基としては、クロロ基、フルオロ基、ニトロ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェニル基、ヒドロキシ基、シアノ基、カルバモイル基等が挙げられる。
ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子をいう。
C1〜C6アルキル基とは、炭素原子数1〜6の直鎖又は分枝状のアルキル基を意味し、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基等が挙げられる。
置換C1〜C6アルキル基の置換基としては、クロロ基、フルオロ基、ニトロ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、カルバモイル基等が挙げられる。
C2〜C7アシロキシ基とは、炭素原子数2〜7の直鎖又は分枝状のアシロキシ基を意味し、アシル部分は、環状であっても、芳香族基を含んでいてもよい。例えばアセトキシ基、プロピオニロキシ基、イソプロピオニロキシ基、シクロヘキシニロキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
C2〜C7アルコキシカルボニル基とは、炭素原子数2〜7の直鎖又は分枝状のアルコキシカルボニル基を意味し、アルコキシル部分は、環状であっても、芳香族基を含んでいてもよい。具体的には、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペンチロキシカルボニル基、イソペンチロキシカルボニル基、ネオペンチロキシカルボニル基、tert−ペンチロキシカルボニル基、1−メチルブトキシカルボニル基、2−メチルブトキシカルボニル基、1,2−ジメチルプロポキシカルボニル基、ヘキシロキシカルボニル基、イソヘキシロキシカルボニル基等が挙げられる。
置換フェニル基の置換基としては、クロロ基、フルオロ基、ニトロ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、カルバモイル基等が挙げられる。
優れた腎保護作用を示す化合物の例としては
で表される化合物(SEA0400)、
で表される化合物(SEA0064)を挙げることができる。
また、さらに副作用を防止する目的からはNCX2、NCX3よりもNCX1を強力に阻害する化合物であることが好ましい。例えば、後述のNa+/Ca2+交換輸送体の測定法にて、
IC50(腎皮質由来)/IC50(脳由来)
IC50(腎皮質由来)/IC50(心筋膜由来)
の各々の計算値がSEA0400を用いたときの計算値より小さいことが好ましい。
なお、式(1)および(2)であらわされる化合物は、WO98/43943、WO99/20598、特開平10−265460、特開平10−218844、特開平11−49752、特開平11−92454に記載の製造方法により合成することができる。
本発明において慢性腎疾患治療薬とは、慢性腎不全、腎糸球体硬化症、糖尿病性腎症、腎硬化症、慢性腎炎、慢性糸球体腎炎、多発性嚢胞腎等を含む慢性腎疾患の腎生理機能を低下させる疾患の治療薬を意味し、尿中蛋白やアルブミンを減少させるなど優れた腎保護作用を有する。
本発明の治療薬は適宜公知の担体、希釈剤等を用いて適宜の医薬組成形態(錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、ドライシロップ、注射剤など)に調製して経口的又は非経口的に使用できる。
固形剤を製造するには種々の添加剤、例えば賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、コーティング基剤を用い、攪拌造粒法、流動層造粒法、破砕造粒法で製造できる。
その他必要に応じて抗酸化剤、コーティング剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、可塑剤等を加えることができる。
本発明医薬の有効成分の投与量は年齢、体重、投与形態等により異なるが、通常成人に対し0.1〜1000mg/日であり、これを1日1回又は数回に分け投与する。
以下、本発明を製剤例、試験例等を用いて説明するが、本発明はこれら試験例等に限定されるものではない。
製剤例1
SEA0400 50mg
乳糖 40mg
コーンスターチ 49.75mg
結晶セルロース 17mg
カルメロースカルシウム 17mg
ヒドロキシプロピルセルロース 5.25mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
合計 180mg
SEA0400、乳糖、コーンスターチ、結晶セルロース、カルメロースカルシウムを均一に混合し、これに10%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液を添加し、連合後、乾燥し、その顆粒を30M篩で篩過し、均一の顆粒として、ステアリン酸マグネシウムを添加し、打錠して錠剤とした。
製剤例2
SEA0064 50mg
乳糖 40mg
コーンスターチ 49.75mg
結晶セルロース 17mg
カルメロースカルシウム 17mg
ヒドロキシプロピルセルロース 5.25mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
合計 180mg
SEA0064、乳糖、コーンスターチ、結晶セルロース、カルメロースカルシウムを均一に混合し、これに10%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液を添加し、連合後、乾燥し、その顆粒を30M篩で篩過し、均一の顆粒として、ステアリン酸マグネシウムを添加し、打錠して錠剤とした。
参考例1 大脳ミクロソームNa+/Ca2+交換輸送体の測定法
ラット(8週齢)の大脳より得られたミクロソーム(1.5mg/ml)を160mM NaCl含有バッファーで前処理し、膜小胞内にNaをロードした。この懸濁液を20μM45CaCl2含有バッファーで50倍希釈して45Ca取り込みを誘発した後、バッファー(0℃)で希釈して反応を停止させ、速やかにニトロセルロース膜上に膜小胞を回収する。その後、膜小胞内の45Caを液体シンチレーター法で定量した。上記の大脳ミクロソームにおけるNa+/Ca2+交換活性の測定はJ.Biol.Chem.第257卷,5111頁(1982)の方法に準じて行った。
参考例2 イヌ心筋膜小胞Na+/Ca2+交換輸送体の測定法
イヌ心筋膜小胞(0.5mg/ml)をMethods enzymology第157卷,85頁(1988)に準じた遠心分画法により調製し、溶液A(20mM MOPS−Tris(pH7.4),160mM NaCl or KCl)に懸濁して室温で 約1時間静置して小胞内にNa or Kをロードした。この懸濁液を20μM 45CaCl2含有バッファーで50倍希釈して45Ca取り込みを誘発した後、バッファー(0℃)で希釈して反応を停止させ、速やかにニトロセルロース膜上に膜小胞を回収した。その後、膜小胞内の45Caを液体シンチレーター法で定量した。Na+/Ca2+交換活性は、Naをロードした場合の値から、Kをロードした場合の値を差し引いた値で評価した。上記のイヌ心筋膜小胞におけるNa+/Ca2+交換活性の測定はJ.Biol.Chem.第257卷,5111頁(1982)の方法に準じて行った。
参考例3 ラット腎臓皮質由来BLMV(basolateral membrane vesicles)の調製法およびNa+/Ca2+交換活性の測定法
(BLMVの調製法)
ラット腎臓皮質由来のBLMVの調製およびNa+/Ca2+交換活性の測定はAm.J.Physiol.第266卷F785頁(1994)の方法に準じて行った。
ラットより腎臓を摘出後、氷冷sucrose buffer(0.25mM sucrose,0.1mM PMSF,10mM Tris−HCl(pH7.6))に入れ、被膜を除いた後、単離した皮質をsucrose buffer中で細かく切断した。ダウンス型ホモジェナイザーでホモジェナイズした後、ポリトロン型ホモジェナイザーでホモジェナイズした。その後2500g、15min遠心して上清を回収した。さらに24000g、20min遠心し、white fluffy portion of the pelletを回収した。さらにsucrose bufferを添加してダウンス型ホモジェナイザーでホモジェナイズし、Percollを添加した後、30000g、35min遠心してmiddle layerを回収した。その後buffer(100mM KCl,100mM mannitol,5mM HEPES−Tris(pH7.4))を添加した後、34000g、30min遠心してloose white pellet(BLMV)を回収した。さらにKCl−mannitol bufferに懸濁した後、34000g、30min遠心して沈殿を回収し、活性測定に用いた。
(Na+/Ca2+交換輸送体(Na依存性45Ca取り込み)の測定方法)
BLMVをpreequilibration buffer(100mM NaCl,40mM KCl,1mM MgSO4,10mM glucose,5mM HEPES−Tris(pH7.4))で平衡化(37℃、10分)した後、遠心(20000g、5min)して沈殿を回収し、preequilibration bufferで再懸濁した。再遠心して沈殿を回収した後、preequilibration bufferで再懸濁した。このBLMV懸濁液をexternal medium(100mM choline chloride,40mM KCl,1mM MgSO4,10mM glucose,5mM HEPES−Tris(pH7.4),25uM valinomycin,10uM CaCl2,1mCi/l 45CaCl2)で20倍希釈して取り込みを開始した。25℃で一定時間反応後、stop solution(ice−cold 150mM KCl)2ml添加して反応を停止した後、速やかに限外濾過膜(0.45umニトロセルロースフィルター)で濾過し、BLMVをフィルター上に回収した。その後2ml stop solutionで2回洗浄した後、液体シンチレーター法でBLMV内へ取り込まれた45Caを定量した。
また、SEA0064にあっても腎皮質由来のNa+/Ca2+交換活性の測定法にてSEA0400の約0.07倍の阻害活性が確認された。
試験例1
Dahl−salt sensitive ratにおけるNa+/Ca2+交換系阻害薬の腎保護作用
本試験は、J.Cardiovascular Pharmacology第23巻970頁(1994)に記載の方法に準拠して行なった。具体的には、以下のように行なった。
<方法>
実験にはDahl−salt sensitive(Dahl−S)ratおよび対照動物であるDahl−salt resistance(Dahl−R)rat(オス、7週齢)を用い、下記のように3群に分けて(1群各6例)試験を行なった。
I群:Dahl−R+4% NaCl食+溶媒経口投与(1日2回)
II群:Dahl−S+4% NaCl食+溶媒経口投与(1日2回)
III群:Dahl−S+4% NaCl食+SEA0400 10mg/kg経口投与(1日2回)
各群の動物には4% NaCl高食塩含有飼料(正常飼料は0.6%)を与え、飲料水は自由に摂取させた。溶媒およびSEA0400は1日2回経口投与し(1回目は8:30〜9:30,2回目は16:30〜17:30)6週間連続経口投与する。投与開始より6週間後、代謝ケージにラットを一匹ずつ入れて尿を採取し、尿中蛋白およびアルブミン量を測定して腎機能に及ぼす影響を観察した。尿中蛋白およびアルブミンの測定は、それぞれBunseki Kagaku第32巻E379−E386頁(1983)およびHypertension第40巻6号834−839頁(2002)に記載の方法に準拠して、日立自動分析装置7060を用いて行なった。
試験開始6週間後の尿中蛋白***量は、I群:23±2mg/day,II群:144±11mg/dayであったが、SEA0400投与群(III群)では91±12mg/dayであり溶媒投与群(II群)と比較して有意に低値であった。
また、尿中アルブミン***量は、I群:2±1mg/day,II群:109±14mg/dayであったが、SEA0400投与群(III群)では58±8mg/dayであり溶媒投与群(II群)と比較して有意に低値であった。
以上の結果よりSEA0400は、Dahl−Sラットにおいて認められた尿中蛋白およびアルブミン***量の増加を有意に抑制し、腎保護作用示した。
試験例2
自然発症糖尿病ラット(ZSF−1)におけるNa+/Ca2+交換系阻害薬の腎保護作用
<方法>
ZSF−1は自然発症の糖尿病ラットであり、腎機能障害を来たすことが知られている(Renal Failure第22巻4号,387−406頁、2000)。本試験では、The Jacks on Laboratoryから入手した8週齢のZSF−1および対照動物であるZSF−1/leanを用い、下記のように5群に分けて(1群各8例)試験を行なった。
I群:ZSF−1/lean+溶媒経口投与(1日2回)
II群:ZSF−1+溶媒経口投与(1日2回)
III群:ZSF−1+SEA0400 1mg/kg経口投与(1日2回)
IV群:ZSF−1+SEA0400 3mg/kg経口投与(1日2回)
V群:ZSF−1+SEA0400 10mg/kg経口投与(1日2回)
溶媒およびSEA0400は1日2回(1回目は8:30〜10:30,2回目は16:30〜18:30)で8週間連続経口投与する。投与開始から8週間後、代謝ケージにラットを一匹ずつ入れて尿を採取し、尿中蛋白およびアルブミン量を測定して腎機能に及ぼす影響を観察した。尿中蛋白およびアルブミン量の測定は、上記の文献の記載に準拠して、日立自動分析装置7060で行なった。
試験開始8週間後の尿中蛋白***量は、I群:14±1mg/day,II群:58±9mg/day III群:40±8mg/day,IV群:37±7mg/day,V群:29±5mg/dayであり、SEA0400 10mg/kg投与群(V群)は溶媒投与群(II群)と比較して有意に低値であった。
また、尿中アルブミン***量は、I群:1±0.1mg/day,II群:28±5mg/day III群:20±5mg/day,IV群:17±5mg/day,V群:9±2mg/dayであり、SEA0400 10mg/kg投与群(V群)は溶媒投与群(II群)と比較して有意に低値であった。
以上の結果よりSEA0400は、自然発症糖尿病ラットにおいて認められた尿中蛋白およびアルブミン***量の増加を有意に抑制し、腎保護作用を示した。
産業上の利用の可能性
本発明により、新規な作用機序に基づく慢性腎疾患治療薬の提供が可能となっり、副作用の少ない慢性腎疾患の治療、予防に有用である。
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