JPWO2003011267A1 - 抗肥満剤およびその原料 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、経口および非経口投与により抗肥満効果を発現する抗肥満剤および原料に関する。
近年、日本人の食事は著しく欧米化し、高カロリー化が進んでいる。その結果、現代人の文明病とも言える肥満を引き起こし、糖尿病、高血圧症、心血管障害、高脂血症、動脈硬化等の種々の疾患に罹る危険率も高く、先進国の国民の健康を脅かす大きな社会問題となっている。肥満とは、消費エネルギーよりも摂取エネルギーの方が過剰となり、脂肪組織が通常以上に蓄積した身体状況のことを言う。脂肪組織は、生体内余剰エネルギーを脂肪として蓄積する器官であり、脂肪細胞やその前駆細胞、マクロファージ、血管周囲細胞、血液細胞等から構成されている。脂肪細胞は、その前駆細胞が食物摂取や運動などの環境因子などから派生する数多くの因子によって分化(分化誘導)され、成熟型脂肪細胞(成熟脂肪細胞)となり、細胞内に脂肪を蓄積するようになる細胞である。また、前駆型脂肪細胞(脂肪前駆細胞)や脂肪細胞自身が細胞***を繰り返し細胞の数が増えることも知られている(杉原ら;別冊・医学のあゆみ,脂肪細胞 −基礎と臨床、p.7−12,1999)。脂肪組織の増大の要因として、脂肪細胞の大きさの増大によるもの(肥大性肥満)、脂肪細胞の数の増大によるもの(過形成性肥満)、あるいは両方の増大によるもの(肥大性−過形成性肥満)がある。したがって、脂肪細胞やその前駆細胞の数を減少させることや、前駆型脂肪細胞から脂肪細胞へと分化・脂肪蓄積(成熟)するのを抑制したり、脂肪細胞の肥大化を抑制することで蓄積脂肪量の増加を抑制することにより、肥満の進行を止め、肥満を治療することが期待される。
現在、肥満の治療法には、食事療法、運動療法、薬物療法がある。原則は食事療法であるが、効果が現れるまで長期間を有するため、強固な意志と忍耐強さを必要とする。運動療法においても同様であり、多忙な現代においては実行が極めて困難であるのが実情である。また、薬物療法では、マジンドールやフェンフルラミンなどの食欲抑制剤が開発されているものの、口渇、抑鬱等の副作用がある。
一方、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリンは、トリテルペン類の1種である。トリテルペン類とは、一般にイソプレン単位6個から成る五環性の化合物で、炭素数は30個を基本とするが、生合成過程で転移、酸化、脱離あるいはアルキル化され炭素数が前後するものも含まれる。これらの効果としては、概して、抗炎症効果、抗発癌プロモーター効果(日本油化学会誌,49,571,2000)等が知られている。しかしながら、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体が、前駆型脂肪細胞増殖抑制(脂肪前駆細胞増殖抑制)効果や、前駆型脂肪細胞分化抑制(脂肪前駆細胞分化誘導抑制)効果、成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制(脂肪前駆細胞成熟抑制)効果を含む抗肥満効果を有することは、これまで、全く知られていなかった。
発明の開示
本発明は、肥大性肥満、過形成性肥満、肥大性−過形成性肥満等の肥満症を予防・治療するために、これらに対する非常に優れた効果を有する抗肥満剤およびその原料を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を達成する為に鋭意検討した結果、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体が、前駆型脂肪細胞増殖抑制効果や前駆型脂肪細胞分化抑制効果、成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果等の、肥満に対する優れた効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有する抗肥満剤に関する。本発明の抗肥満剤は、経口および非経口の何れの形態でも使用することができる。
また本発明は、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有する前駆型脂肪細胞増殖抑制剤に関し、また、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有する前駆型脂肪細胞分化抑制剤に関する。また、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有する成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制剤に関する。これらは、前駆型脂肪細胞に接触および/または包含させることを含む、経口および非経口の何れの形態でも使用することができる。
さらに本発明は、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を含有してなる抗肥満剤原料に関する。本発明の抗肥満剤原料は、天然から得られるものおよび人工的に合成されたものの何れの形態でも使用することができる。これらは、前駆型脂肪細胞増殖抑制剤、前駆型脂肪細胞分化抑制剤、成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制剤の製造を目的として配合することができる。
また本発明は、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を含有してなる前駆型脂肪細胞増殖抑制剤原料に関し、また、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を含有してなる前駆型脂肪細胞分化抑制剤に関する。本発明はまた、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を含有してなる成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制剤原料に関する。これらは、上記同様、天然から得られるものおよび人工的に合成されたものの何れの形態でも使用することができる。
本発明はまた、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有する抗肥大性肥満用および/または抗過形成性肥満用製剤に関する。
本発明はまた、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有する肥満予防剤および/または肥満治療剤に関する。
本発明はまた、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有する痩身用製剤に関する。
本発明はまた、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有する、太りにくい体質への改善剤に関する。
発明を実施するための最良の形態
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明は、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有する抗肥満剤に関する。これらの物質は、イソプレン単位6個から成るトリテルペン類のうちの五環性の化合物であり、自然界においては様々な植物体に多く存在する物質群である。これらは、天然には植物体から抽出して得ることができ、また、その中のいくつかは人工的に合成され、既に試薬等として販売されているものもあり、いずれも好適に使用することができる。これらは、本発明において、経口および非経口の何れの形態でも使用することができる。
これらは前駆型脂肪細胞増殖抑制効果および前駆型脂肪細胞分化抑制効果、成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果といった抗肥満効果を有し、これらの効果は、培養細胞による試験法で評価することができる。この評価方法によれば、強力な抗肥満効果を有する物質として知られている共役リノール酸(CLA)と比較しても、2〜60倍の抗肥満効果を有することがわかる。
ここで、有効成分として含有するとは、その抗肥満効果等を発揮する程度に含有するということであるが、その含量は特に制限されず、摂取の頻度、摂取量、使用の目的によって適宜調整すれば良い。例えば、0.00001質量%以上、好ましくは0.00001〜99.99質量%、より好ましくは0.0001〜99.99質量%、さらに好ましくは0.0005〜99.99質量%、さらに好ましくは0.001〜99.99質量%、さらに好ましくは0.005〜99.99質量%、さらに好ましくは0.01〜99.99質量%、さらに好ましくは0.05〜99.99質量%、さらに好ましくは0.1〜99.99質量%、さらに好ましくは0.5〜99.99質量%、さらに好ましくは1〜99.99質量%である。また、原料剤として使用する場合は、高濃度であることが好ましい。特に限定されないが、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.1〜99.99質量%、さらに好ましくは1〜99.99質量%、さらに好ましくは10〜99.99質量%、さらに好ましくは30〜99.99質量%、さらに好ましくは50〜99.99質量%、さらに好ましくは70〜99.99質量%、さらに好ましくは90〜99.99質量%含有することができる。
また本発明は、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上、および、製剤として薬理学的に許容され得る基剤、担体、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、pH調節剤、緩衝剤、安定化剤、可溶化剤、皮膜化剤、希釈剤、泥状化剤、粘着付与剤、乳化剤、界面活性剤の1種または2種以上を含有する抗肥満剤が好ましい。
また本発明は、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有する前駆型脂肪細胞増殖抑制剤に関し、また、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有する前駆型脂肪細胞分化抑制剤に関する。また、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有する成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制剤に関する。これらは、本発明において、前駆型脂肪細胞に接触および/または包含させることを含む、経口および非経口の何れの形態でも使用することができる。
また本発明は、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を含有してなる抗肥満剤原料に関し、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を含有してなる前駆型脂肪細胞増殖抑制剤原料に関し、また、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を含有してなる前駆型脂肪細胞分化抑制剤原料に関する。また、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を含有してなる成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制剤原料に関する。
本発明の抗肥満剤は、前駆型脂肪細胞増殖抑制効果や前駆型脂肪細胞分化抑制効果、成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果を有し、特に脂肪組織の増生等に対する予防剤・治療剤として使用するものであり、肥満の予防および/または治療剤として使用される。予防剤としての使用とは、前駆型脂肪細胞の増殖や成熟型脂肪細胞への分化や脂肪蓄積を抑制し、新たな脂肪細胞からなる脂肪組織が発生しないようにすることを目的として使用することを示す。治療剤としての使用とは、それ以上の前駆型脂肪細胞の増殖の抑制や、余剰に増生した前駆型脂肪細胞が成熟型脂肪細胞へと分化するのを抑制したり、分化シグナルを既に受けた前駆型脂肪細胞が成熟型脂肪細胞へと分化するのを抑制することにより、余剰に増生した脂肪細胞やその前駆細胞の数を減少させ、脂肪組織量を減少させることを目的として使用する。その結果として、皮下脂肪や内臓脂肪の蓄積を抑制および/または減少させることができ、肥満を予防および/または治療することができる。
ここで、生理的に許容される塩とは、特にマスリン酸、ベツリン酸のカルボキシル基から誘導される塩であり(部分構造:−COOX;Xは任意の陽イオン性物質を示す。)、本発明における天然物からの単離物に本来的に含まれるものも含む。本発明においては、通常医薬組成物又は化粧料で用いられている塩であれば特に限定はされず、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛等のアルカリ土類金属塩、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、テトラブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン等のアルキルアミン塩、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、ジプロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン塩、ピペラジン、ピペリジン等のその他の有機アミン塩、リジン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファン等の塩基性アミノ酸塩等の塩が挙げられる。これらのうち、アルカリ金属塩、アルキルアミン塩、アルカノールアミン塩及び塩基性アミノ酸塩が好ましい。一概にこれらの塩類は、その元となるトリテルペン類に比べて、より水溶性を示すため、本発明においては、特に水系の抗肥満剤に適用する場合に好ましい。
また、誘導体とは、生化学的あるいは人工的に形成可能な誘導体であり、本発明においては、可能な誘導体であれば特に限定はされないが、例えば、アルコールエステル基を有する誘導体、脂肪酸エステル基を有する誘導体、アルコキシ基を有する誘導体、アルコキシメチル基を有する誘導体、あるいは配糖体等が挙げられる。これらのうち、特にアルコールエステル基を有する誘導体、脂肪酸エステル基を有する誘導体、アルコキシ基を有する誘導体、アルコキシメチル基を有する誘導体は、その元となるマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリンに比べて、より脂溶性を示すため、本発明においては、特に油系の抗肥満剤に適用する場合に好ましく、配糖体は、その元となるマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリンに比べて、より水溶性を示すため、本発明においては、特に水系の抗肥満剤に適用する場合に好ましい。
これらの誘導体は、一部は天然にも存在し、また、上述の通り人工により形成させることで得ることができる。また、本発明の誘導体を再度誘導体化して、それらの塩を使用することもできる。
このように、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸及びベツリンを、生理的に許容される適当な塩や誘導体の形態にすることにより、水溶性又は油溶性を向上させることができ、従って、ハンドリング性・品質・抗肥満効果を向上させた製品を設定することができる。
アルコールエステル基とは、一般的なカルボキシル基とアルコール類との脱水反応の結果として形成される官能基を示す(部分構造:−COOR;Rは任意の炭化水素系官能基を示す。)。すなわち、本発明におけるマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリンの、アルコールエステル基を有する誘導体とは、特に、そのカルボキシル基とアルコール類から形成可能な誘導体を示す。この際のアルコール類に特に制限は無いが、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アリルアルコール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、エチレングリコール、トリメチルシリルアルコール、トリエチルシリルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、糖類等が挙げられる。このうち、エタノール、トリエチルシリルアルコール、メタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、トリメチルシリルアルコールから形成される誘導体が好ましい。
脂肪酸エステル基とは、一般的な水酸基と脂肪酸類との脱水反応の結果として形成される官能基を示す(部分構造:−OCOR;Rは任意の炭化水素系官能基を示す。)。すなわち、本発明におけるマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリンの、脂肪酸エステル基を有する誘導体とは、特に、その水酸基と脂肪酸類から形成可能な誘導体を示す。この際の脂肪酸類に特に制限は無いが、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、リノレン酸、γ−リノレン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、ドコサヘキサエン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等が挙げられる。このうち、酢酸、無水酢酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノエライジン酸、リノレン酸、γ−リノレン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、ドコサヘキサエン酸から形成される誘導体が好ましい。
アルコキシ基とは、一般的な水酸基とアルコール類との脱水反応の結果として形成される官能基を示す(部分構造:−OR;Rは任意の炭化水素系官能基を示す。)。すなわち、本発明におけるマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリンの、アルコキシ基を有する誘導体とは、特に、その水酸基とアルコール類から形成可能な誘導体を示す。この際のアルコール類に特に制限は無いが、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アリルアルコール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、エチレングリコール、トリメチルシリルアルコール、トリエチルシリルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、糖類等が挙げられる。このうち、エタノール、トリエチルシリルアルコール、メタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、トリメチルシリルアルコールから形成される誘導体が好ましい。
アルコキシメチル基とは、一般的なヒドロキシメチル基とアルコール類との脱水反応の結果として形成される官能基を示す(部分構造:−CH2OR;Rは任意の炭化水素系官能基を示す。)。すなわち、本発明におけるマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリンの、アルコキシメチル基を有する誘導体とは、特に、そのヒドロキシメチル基とアルコール類から形成可能な誘導体を示す。この際のアルコール類に特に制限は無いが、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アリルアルコール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、エチレングリコール、トリメチルシリルアルコール、トリエチルシリルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、糖類等が挙げられる。このうち、エタノール、トリエチルシリルアルコール、メタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、トリメチルシリルアルコールから形成される誘導体が好ましい。
また、本発明における配糖体とは、上記のアルコールエステル基を有する誘導体、アルコキシ基を有する誘導体、アルコキシメチル基を有する誘導体のうち、特に、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリンのカルボキシル基、水酸基、ヒドロキシメチル基と糖類から形成可能な誘導体を示す(部分構造:−COOR、−OR、−CH2OR;Rは任意の糖類を示す。)。この際の糖類に特に制限は無いが、例えば、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、キシロース、アラビノース、フコース、ラムノース、グルコサミン、ガラクトサミン、グルクロン酸等が挙げられ、何れもα体、β体どちらでもよい。またこれらの配糖体は、単糖でもよいし、二糖以上の様々な組合せのオリゴ糖でもよい。これらの中には、通常天然に存在し、サポニンという総称で知られているものも有るが、本発明においては、これらのいずれを用いてもよい。
マスリン酸、エリトロジオールは、何れもオレアナン系トリテルペン類の一種であり、各種植物中に存在することが知られている物質である。また、これらの生理的に許容される塩および誘導体については、前述と同様である。本発明の抗肥満剤において、マスリン酸、エリトロジオール、それらの生理的に許容される塩、またはそれらの誘導体を使用する場合には、これらの物質の由来は制限されず、天然から得られるもの、人工的に合成されたもの、市販品等何れも使用することができる。
本発明においては、抗肥満効果の高さ、安定供給の面で、マスリン酸・その生理的に許容される塩が最も好ましい。マスリン酸(maslinic acid)は、オレアナン系トリテルペンの一種で、化学式(1)に示す構造であり、効果としては、抗炎症効果や抗ヒスタミン効果を有することが知られている。天然には、オリーブ、ホップ、ハッカ、ザクロ、チョウジ、セージ、ナツメ等に存在することが知られている。本発明の抗肥満剤において、マスリン酸、その生理的に許容される塩および誘導体の由来は制限されず、天然から得られるもの、人工的に合成されたもの、市販品等何れも使用することができるが、経口用途を考慮に入れると、例えば、オリーブ、ホップ、ハッカ、ザクロ、チョウジ、セージ、ナツメ等の天然から得られるものが好ましく、特にオリーブから得られるマスリン酸・その生理的に許容される塩は原料供給や含量の面で非常に好ましい。これらの原料、特にはオリーブ植物から、水・有機溶媒により抽出処理することで得ることができ、さらに濃縮・精製することで高濃度の天然由来マスリン酸・その生理的に許容される塩を簡便かつ大量に得ることができる。
尚、本明細書において、「オリーブ」は、オリーブ植物及び/又はオリーブ油及び/又はオリーブ油製造工程で得られる生成物を意味する。
本発明において、マスリン酸の生理的に許容される塩および誘導体については前記と同様である。すなわち、その生理的に許容される塩とは化学式(1)における−COOHから誘導されるものであり、その塩の種類は通常医薬組成物又は化粧料で用いられるものであれば特に限定はされない。具体的には、例えば、マスリン酸の塩として、マスリン酸ナトリウム、マスリン酸カリウム、マスリン酸アンモニウム、マスリン酸ジメチルアンモニウム、マスリン酸カルシウム、マスリン酸マグネシウム等が挙げられる。このうち、マスリン酸ナトリウム及びマスリン酸カリウムが好ましい。
また、マスリン酸の誘導体としては、例えば、何れか一個所が誘導体化されているものとして、マスリン酸メチルエステル、マスリン酸エチルエステル、マスリン酸n−プロピルエステル、マスリン酸イソプロピルエステル、マスリン酸n−ブチルエステル、マスリン酸トリメチルシリルエステル、マスリン酸トリエチルシリルエステル、マスリン酸−β−D−グルコピラノシルエステル、マスリン酸−β−D−ガラクトピラノシルエステル、3−O−アセチル−マスリン酸、3−O−プロピオニル−マスリン酸、3−O−ブチリル−マスリン酸、3−O−バレリル−マスリン酸、3−O−カプリル−マスリン酸、3−O−ラウリル−マスリン酸、3−O−ミリスチル−マスリン酸、3−O−パルミチル−マスリン酸、3−O−パルミトオレイル−マスリン酸、3−O−ステアリル−マスリン酸、3−O−ステアロイル−マスリン酸、3−O−オレイル−マスリン酸、3−O−バクセニル−マスリン酸、3−O−リノレイル−マスリン酸、3−O−リノレニル−マスリン酸、3−O−アラキジル−マスリン酸、3−O−アラキドニル−マスリン酸、3−O−ベヘニル−マスリン酸、2−O−アセチル−マスリン酸、2−O−プロピオニル−マスリン酸、2−O−ブチリル−マスリン酸、2−O−バレリル−マスリン酸、2−O−カプリル−マスリン酸、2−O−ラウリル−マスリン酸、2−O−ミリスチル−マスリン酸、2−O−パルミチル−マスリン酸、2−O−パルミトオレイル−マスリン酸、2−O−ステアリル−マスリン酸、2−O−ステアロイル−マスリン酸、2−O−オレイル−マスリン酸、2−O−バクセニル−マスリン酸、2−O−リノレイル−マスリン酸、2−O−リノレニル−マスリン酸、2−O−アラキジル−マスリン酸、2−O−アラキドニル−マスリン酸、2−O−ベヘニル−マスリン酸、3−O−メチル−マスリン酸、3−O−エチル−マスリン酸、3−O−t−ブチル−マスリン酸、3−O−トリエチルシリル−マスリン酸、3−O−β−D−グルコピラノシル−マスリン酸、3−O−β−D−ガラクトピラノシル−マスリン酸、3−O−β−D−グルクロノピラノシル−マスリン酸、2−O−メチル−マスリン酸、2−O−エチル−マスリン酸、2−O−t−ブチル−マスリン酸、2−O−トリエチルシリル−マスリン酸、2−O−β−D−グルコピラノシル−マスリン酸、2−O−β−D−ガラクトピラノシル−マスリン酸、2−O−β−D−グルクロノピラノシル−マスリン酸等が挙げられる。このうち、マスリン酸エチルエステル、マスリン酸トリエチルシリルエステル、3−O−アセチル−マスリン酸、2−O−アセチル−マスリン酸、2−O−トリエチルシリル−マスリン酸、3−O−ステアロイル−マスリン酸、2−O−ステアロイル−マスリン酸が好ましい。以上には、誘導体として1基のみ誘導体化されているものを挙げたが、当然、これらのうち誘導される位置および種類が可能な2基以上が誘導体化されたものでもよい。例えば、マスリン酸又は上述の好ましいマスリン酸エステルの2,3−O−ジアセチル体、2,3−O−ジトリエチルシリル体、2,3−ジステアロイル体が好ましいものとしてあげられる。また、配糖体については単糖のもののみ挙げたが、当然、様々な糖類から選ばれる二糖以上のオリゴ糖でもよい。
エリトロジオール(erythrodiol)は、オレアナン系トリテルペンの一種で、化学式(2)の様な構造であり、効果としてはこれまでに、抗炎症効果(Planta.Med. VOL.61,No.2,182−185 1995)等を有することが知られている。天然には、オリーブ、ヒマワリ、キンセンカ、アラビアゴムノキ、コウキシタン、ナガバカコノキ等に存在することが知られている。本発明の抗肥満剤において、エリトロジオールまたはそれらの誘導体の由来は制限されず、天然から得られるもの、人工的に合成されたもの、市販品等何れも使用することができるが、経口用途を考慮に入れると、例えば、オリーブ、ヒマワリ、キンセンカ、アラビアゴムノキ、コウキシタン、ナガバカコノキ等の天然から得られるものが好ましい。特に、オリーブが好ましく、具体的にはオリーブ植物及び/又はオリーブ油製造工程で得られる生成物から得られるものが好ましい。
エリトロジオールについて、その生理的に許容される塩や誘導体については前述と同様である。
ここで、誘導体について以下に制限されないが、例えば、何れか一個所が誘導体化されているものとして、3−O−アセチル−エリトロジオール、3−O−プロピオニル−エリトロジオール、3−O−ブチリル−エリトロジオール、3−O−バレリル−エリトロジオール、3−O−カプリル−エリトロジオール、3−O−ラウリル−エリトロジオール、3−O−ミリスチル−エリトロジオール、3−O−パルミチル−エリトロジオール、3−O−パルミトオレイル−エリトロジオール、3−O−ステアリル−エリトロジオール、3−O−ステアロイル−エリトロジオール、3−O−オレイル−エリトロジオール、3−O−バクセニル−エリトロジオール、3−O−リノレイル−エリトロジオール、3−O−リノレニル−エリトロジオール、3−O−アラキジル−エリトロジオール、3−O−アラキドニル−エリトロジオール、3−O−ベヘニル−エリトロジオール、28−O−アセチル−エリトロジオール、28−O−プロピオニル−エリトロジオール、28−O−ブチリル−エリトロジオール、28−O−バレリル−エリトロジオール、28−O−カプリル−エリトロジオール、28−O−ラウリル−エリトロジオール、28−O−ミリスチル−エリトロジオール、28−O−パルミチル−エリトロジオール、28−O−パルミトオレイル−エリトロジオール、28−O−ステアリル−エリトロジオール、28−O−ステアロイル−エリトロジオール、28−O−オレイル−エリトロジオール、28−O−バクセニル−エリトロジオール、28−O−リノレイル−エリトロジオール、28−O−リノレニル−エリトロジオール、28−O−アラキジル−エリトロジオール、28−O−アラキドニル−エリトロジオール、28−O−ベヘニル−エリトロジオール、3−O−メチル−エリトロジオール、3−O−エチル−エリトロジオール、3−O−t−ブチル−エリトロジオール、3−O−トリエチルシリル−エリトロジオール、28−O−メチル−エリトロジオール、28−O−エチル−エリトロジオール、28−O−t−ブチル−エリトロジオール、28−O−トリエチルシリル−エリトロジオール、3−O−β−D−グルコピラノシル−エリトロジオール、3−O−β−D−ガラクトピラノシル−エリトロジオール、3−O−β−D−グルクロノピラノシル−エリトロジオール、28−O−β−D−グルコピラノシル−エリトロジオール、28−O−β−D−ガラクトピラノシル−エリトロジオール、28−O−β−D−グルクロノピラノシル−エリトロジオール等が挙げられる。このうち、3−O−アセチル−エリトロジオール、28−O−アセチル−エリトロジオールが好ましい。以上には、誘導体として1基のみ誘導体化されているものを挙げたが、当然、これらのうち誘導される位置および種類が可能な2基以上が誘導体化されたものでもよい。例えば、3,28−O−ジアセチル−エリトロジオールがあげられる。また、配糖体については単糖のもののみ挙げたが、当然、様々な糖類から選ばれる二糖以上のオリゴ糖でもよい。
ウルソール酸、ウバオールは、何れもウルサン系トリテルペン類の一種であり、各種植物中に存在することが知られている物質である。また、これらの生理的に許容される塩および誘導体については、前述と同様である。本発明の抗肥満剤において、ウルソール酸、ウバオール、それらの生理的に許容される塩、またはそれらの誘導体を使用する場合には、これらの物質の由来は制限されず、天然から得られるもの、人工的に合成されたもの、市販品等何れも使用することができるが、経口用途を考慮に入れると、天然物を用いることが好ましい。
ウルソール酸(ursolic acid)は、ウルサン系トリテルペンの一種で、化学式(3)で示される構造の化合物で、効果としてはこれまでに、抗炎症効果、抗動脈硬化効果、抗糖尿病効果、抗高脂血症効果(Jie Liu,Journal of Ethnopharmacology,49,57−68,1995)等を有することが知られている。天然には、リンゴ、サクランボ、ウワウルシ等の果実や葉に広く分布することが知られている。本発明の抗肥満剤において、ウルソール酸、それらの生理的に許容される塩、またはそれらの誘導体の由来は制限されず、天然から得られるもの、人工的に合成されたもの、市販品等何れも使用することができるが、経口用途を考慮に入れると、例えば、リンゴ、サクランボ、ウワウルシ等の天然から得られるものが好ましい。
ウルソール酸について、その生理的に許容される塩や誘導体については前述と同様である。
ここで、その生理的に許容される塩について以下に制限されないが、例えば、ウルソール酸の塩として、ウルソール酸ナトリウム、ウルソール酸カリウム、ウルソール酸アンモニウム、ウルソール酸ジメチルアンモニウム、ウルソール酸カルシウム、ウルソール酸マグネシウム等が挙げられる。
ウルソール酸の誘導体としては、例えば、何れか一個所が誘導体化されているものとして、ウルソール酸メチルエステル、ウルソール酸エチルエステル、ウルソール酸n−プロピルエステル、ウルソール酸イソプロピルエステル、ウルソール酸n−ブチルエステル、ウルソール酸トリメチルシリルエステル、ウルソール酸トリエチルシリルエステル、ウルソール酸−β−D−グルコピラノシルエステル、ウルソール酸−β−D−ガラクトピラノシルエステル、3−O−アセチル−ウルソール酸、3−O−プロピオニル−ウルソール酸、3−O−ブチリル−ウルソール酸、3−O−バレリル−ウルソール酸、3−O−カプリル−ウルソール酸、3−O−ラウリル−ウルソール酸、3−O−ミリスチル−ウルソール酸、3−O−パルミチル−ウルソール酸、3−O−パルミトオレイル−ウルソール酸、3−O−ステアリル−ウルソール酸、3−O−ステアロイル−ウルソール酸、3−O−オレイル−ウルソール酸、3−O−バクセニル−ウルソール酸、3−O−リノレイル−ウルソール酸、3−O−リノレニル−ウルソール酸、3−O−アラキジル−ウルソール酸、3−O−アラキドニル−ウルソール酸、3−O−ベヘニル−ウルソール酸、3−O−メチル−ウルソール酸、3−O−エチル−ウルソール酸、3−O−t−ブチル−ウルソール酸、3−O−トリエチルシリル−ウルソール酸、3−O−β−D−グルコピラノシル−ウルソール酸、3−O−β−D−ガラクトピラノシル−ウルソール酸、3−O−β−D−グルクロノピラノシル−ウルソール酸等が挙げられる。このうち、ウルソール酸エチルエステルが好ましい。以上には、誘導体として1基のみ誘導体化されているものを挙げたが、当然、これらのうち誘導される位置および種類が可能な2基以上が誘導体化されたものでもよい。また、配糖体については単糖のもののみ挙げたが、当然、様々な糖類から選ばれる二糖以上のオリゴ糖でもよい。
ウバオール(uvaol)は、ウルサン系トリテルペンの一種で、化学式(4)の様な構造であり、効果としてはこれまでに、抗炎症効果(Planta.Med.VOL.61,No.2,182−185 1995)、グリセロリン酸脱水素酵素阻害効果(特開平9−67249)等を有することが知られている。天然には、オリーブ、ウワウルシ、セージ、アラビアゴムノキ、カユプテ等に存在することが知られている。本発明の抗肥満剤において、ウバオールまたはそれらの誘導体の由来は制限されず、天然から得られるもの、人工的に合成されたもの、市販品等何れも使用することができるが、経口用途を考慮に入れると、例えば、オリーブ、ウワウルシ、セージ、アラビアゴムノキ、カユプテ等の天然から得られるものが好ましい。特に、オリーブが好ましく、具体的にはオリーブ植物及び/又はオリーブ油製造工程で得られる生成物から得られるものが好ましい。
ウバオールについて、その生理的に許容される塩や誘導体については前述と同様である。
ここで、誘導体について以下に制限されないが、例えば、何れか一個所が誘導体化されているものとして、3−O−アセチル−ウバオール、3−O−プロピオニル−ウバオール、3−O−ブチリル−ウバオール、3−O−バレリル−ウバオール、3−O−カプリル−ウバオール、3−O−ラウリル−ウバオール、3−O−ミリスチル−ウバオール、3−O−パルミチル−ウバオール、3−O−パルミトオレイル−ウバオール、3−O−ステアリル−ウバオール、3−O−ステアロイル−ウバオール、3−O−オレイル−ウバオール、3−O−バクセニル−ウバオール、3−O−リノレイル−ウバオール、3−O−リノレニル−ウバオール、3−O−アラキジル−ウバオール、3−O−アラキドニル−ウバオール、3−O−ベヘニル−ウバオール、28−O−アセチル−ウバオール、28−O−プロピオニル−ウバオール、28−O−ブチリル−ウバオール、28−O−バレリル−ウバオール、28−O−カプリル−ウバオール、28−O−ラウリル−ウバオール、28−O−ミリスチル−ウバオール、28−O−パルミチル−ウバオール、28−O−パルミトオレイル−ウバオール、28−O−ステアリル−ウバオール、28−O−ステアロイル−ウバオール、28−O−オレイル−ウバオール、28−O−バクセニル−ウバオール、28−O−リノレイル−ウバオール、28−O−リノレニル−ウバオール、28−O−アラキジル−ウバオール、28−O−アラキドニル−ウバオール、28−O−ベヘニル−ウバオール、3−O−メチル−ウバオール、3−O−エチル−ウバオール、3−O−t−ブチル−ウバオール、3−O−トリエチルシリル−ウバオール、28−O−メチル−ウバオール、28−O−エチル−ウバオール、28−O−t−ブチル−ウバオール、28−O−トリエチルシリル−ウバオール、3−O−β−D−グルコピラノシル−ウバオール、3−O−β−D−ガラクトピラノシル−ウバオール、3−O−β−D−グルクロノピラノシル−ウバオール、28−O−β−D−グルコピラノシル−ウバオール、28−O−β−D−ガラクトピラノシル−ウバオール、28−O−β−D−グルクロノピラノシル−ウバオール等が挙げられる。このうち、3−O−アセチル−ウバオール、28−O−アセチル−ウバオールが好ましい。以上には、誘導体として1基のみ誘導体化されているものを挙げたが、当然、これらのうち誘導される位置および種類が可能な2基以上が誘導体化されたものでもよい。例えば、3,28−O−ジアセチル−ウバオールがあげられる。また、配糖体については単糖のもののみ挙げたが、当然、様々な糖類から選ばれる二糖以上のオリゴ糖でもよい。
ベツリン酸、ベツリンは、何れもルパン系トリテルペン類の一種であり、各種植物中に存在することが知られている物質である。また、これらの生理的に許容される塩および誘導体については、前述と同様である。本発明の抗肥満剤において、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩、またはそれらの誘導体を使用する場合には、これらの物質の由来は制限されず、天然から得られるもの、人工的に合成されたもの、市販品等何れも使用することができるが、経口用途を考慮に入れると、天然物を用いることが好ましい。
ベツリン酸(betulinic acid)は、ルパン系トリテルペンの一種で、化学式(5)の様な構造であり、効果としてはこれまでに、制癌効果、抗炎症効果、創傷治療促進効果(特公平4−26623)、アルコール吸収抑制効果(特開平7−53385)、発毛促進効果(特開平9−157139)等を有することが知られている。天然には、センブリ、チョウジ、ブドウ果皮、オリーブ等に遊離状態で、チクセツニンジン、ニンジン、サトウダイコン等にはサポニンとして存在することが知られている。本発明の抗肥満剤において、ベツリン酸、それらの生理的に許容される塩、またはそれらの誘導体の由来は制限されず、天然から得られるもの、人工的に合成されたもの、市販品等何れも使用することができるが、経口用途を考慮に入れると、例えば、センブリ、チョウジ、ブドウ、オリーブ、チクセツニンジン、ニンジン、サトウダイコン等の天然から得られるものが好ましい。特に、オリーブから得られるものが好ましく、具体的には、オリーブ植物及び/又はオリーブ油製造工程で得られる生成物から得られるものが好ましい。
ベツリン酸について、その生理的に許容される塩や誘導体については前述と同様である。
ここで、その生理的に許容される塩について以下に制限されないが、例えば、ベツリン酸の塩として、ベツリン酸ナトリウム、ベツリン酸カリウム、ベツリン酸アンモニウム、ベツリン酸ジメチルアンモニウム、ベツリン酸カルシウム、ベツリン酸マグネシウム等が挙げられる。このうち、ベツリン酸ナトリウム、ベツリン酸カリウムが好ましい。
ベツリン酸の誘導体としては、例えば、何れか一個所が誘導体化されているものとして、ベツリン酸メチルエステル、ベツリン酸エチルエステル、ベツリン酸n−プロピルエステル、ベツリン酸イソプロピルエステル、ベツリン酸n−ブチルエステル、ベツリン酸トリメチルシリルエステル、ベツリン酸トリエチルシリルエステル、ベツリン酸−β−D−グルコピラノシルエステル、ベツリン酸−β−D−ガラクトピラノシルエステル、3−O−アセチル−ベツリン酸、3−O−プロピオニル−ベツリン酸、3−O−ブチリル−ベツリン酸、3−O−バレリル−ベツリン酸、3−O−カプリル−ベツリン酸、3−O−ラウリル−ベツリン酸、3−O−ミリスチル−ベツリン酸、3−O−パルミチル−ベツリン酸、3−O−パルミトオレイル−ベツリン酸、3−O−ステアリル−ベツリン酸、3−O−ステアロイル−ベツリン酸、3−O−オレイル−ベツリン酸、3−O−バクセニル−ベツリン酸、3−O−リノレイル−ベツリン酸、3−O−リノレニル−ベツリン酸、3−O−アラキジル−ベツリン酸、3−O−アラキドニル−ベツリン酸、3−O−ベヘニル−ベツリン酸、3−O−メチル−ベツリン酸、3−O−エチル−ベツリン酸、3−O−t−ブチル−ベツリン酸、3−O−トリエチルシリル−ベツリン酸、3−O−β−D−グルコピラノシル−ベツリン酸、3−O−β−D−ガラクトピラノシル−ベツリン酸、3−O−β−D−グルクロノピラノシル−ベツリン酸等が挙げられる。このうち、ベツリン酸エチルエステルが好ましい。以上には、誘導体として1基のみ誘導体化されているものを挙げたが、当然、これらのうち誘導される位置および種類が可能な2基以上が誘導体化されたものでもよい。また、配糖体については単糖のもののみ挙げたが、当然、様々な糖類から選ばれる二糖以上のオリゴ糖でもよい。
ベツリン(betulin)は、ルパン系トリテルペンの一種で、化学式(6)の様な構造であり、効果としてはこれまでに、生体タンパク質変性抑制効果(特開平9−67253)、グリセロリン酸脱水素酵素阻害効果(特開平9−67249)、リパーゼ阻害効果(特開平10−265328)、肝疾患予防効果(特開平11−209275)等を有することが知られている。天然には、シラカバの樹皮等に存在することが知られている。本発明の抗肥満剤において、ベツリンまたはそれらの誘導体の由来は制限されず、天然から得られるもの、人工的に合成されたもの、市販品等何れも使用することができるが、経口用途を考慮に入れると、例えば、シラカバの樹皮等の天然から得られるものが好ましい。
ベツリンについて、その生理的に許容される塩や誘導体については前述と同様である。
ここで、誘導体について以下に制限されないが、例えば、何れか一個所が誘導体化されているものとして、3−O−アセチル−ベツリン、3−O−プロピオニル−ベツリン、3−O−ブチリル−ベツリン、3−O−バレリル−ベツリン、3−O−カプリル−ベツリン、3−O−ラウリル−ベツリン、3−O−ミリスチル−ベツリン、3−O−パルミチル−ベツリン、3−O−パルミトオレイル−ベツリン、3−O−ステアリル−ベツリン、3−O−ステアロイル−ベツリン、3−O−オレイル−ベツリン、3−O−バクセニル−ベツリン、3−O−リノレイル−ベツリン、3−O−リノレニル−ベツリン、3−O−アラキジル−ベツリン、3−O−アラキドニル−ベツリン、3−O−ベヘニル−ベツリン、28−O−アセチル−ベツリン、28−O−プロピオニル−ベツリン、28−O−ブチリル−ベツリン、28−O−バレリル−ベツリン、28−O−カプリル−ベツリン、28−O−ラウリル−ベツリン、28−O−ミリスチル−ベツリン、28−O−パルミチル−ベツリン、28−O−パルミトオレイル−ベツリン、28−O−ステアリル−ベツリン、28−O−ステアロイル−ベツリン、28−O−オレイル−ベツリン、28−O−バクセニル−ベツリン、28−O−リノレイル−ベツリン、28−O−リノレニル−ベツリン、28−O−アラキジル−ベツリン、28−O−アラキドニル−ベツリン、28−O−ベヘニル−ベツリン、3−O−メチル−ベツリン、3−O−エチル−ベツリン、3−O−t−ブチル−ベツリン、3−O−トリエチルシリル−ベツリン、28−O−メチル−ベツリン、28−O−エチル−ベツリン、28−O−t−ブチル−ベツリン、28−O−トリエチルシリル−ベツリン、3−O−β−D−グルコピラノシル−ベツリン、3−O−β−D−ガラクトピラノシル−ベツリン、3−O−β−D−グルクロノピラノシル−ベツリン、28−O−β−D−グルコピラノシル−ベツリン、28−O−β−D−ガラクトピラノシル−ベツリン、28−O−β−D−グルクロノピラノシル−ベツリン等が挙げられる。このうち、3−O−アセチル−ベツリン、28−O−アセチル−ベツリンが好ましい。以上には、誘導体として1基のみ誘導体化されているものを挙げたが、当然、これらのうち誘導される位置および種類が可能な2基以上が誘導体化されたものでもよい。例えば、3,28−O−ジアセチル−ベツリンが好ましい。また、配糖体については単糖のもののみ挙げたが、当然、様々な糖類から選ばれる二糖以上のオリゴ糖でもよい。
本発明は、上述したような、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有する抗肥満剤に関する。本発明の抗肥満剤は、前駆型脂肪細胞増殖抑制効果、前駆型脂肪細胞分化抑制効果、成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果等の1または2以上の効果を有する。ここで、前駆型脂肪細胞とは、脂肪組織中に存在し、増殖因子によってその数を増やすことができ、さらに分化因子によって身体に取り込まれた脂肪を蓄積できるようになる成熟型脂肪細胞の、前駆型の細胞のことを言う。
すなわち、本発明の抗肥満剤は、脂肪組織の生成に関与する前駆型脂肪細胞に対する効果により、肥満の予防および/または治療という抗肥満効果を有する。
一般に、肥満とは、身体に脂肪が過剰に蓄積した状態であり、脂肪を溜め込む脂肪細胞からなる脂肪組織の過剰な増生によるものと考えられており、本発明の抗肥満剤はこれらを予防および/または治療することができる。具体的には、皮下脂肪や内臓脂肪の蓄積を抑制することや、これら蓄積された脂肪を減少させることができるという効果を有する。
本発明の抗肥満剤は、経口・非経口で投与することで、抗肥満効果を発現する。
上述の通り、肥満とは、身体に脂肪が過剰に蓄積した状態であり、脂肪を溜め込む脂肪細胞からなる脂肪組織の過剰な増生によるものと考えられているが、この肥満は、高脂血症、糖尿病、動脈硬化、冠状動脈疾患や脳血管疾患等の血管疾患に密接に関与していることが明らかとなっている(板倉 編;脂質の科学、p.135−153,1999)。したがって、脂肪細胞の数や、脂肪細胞の脂肪蓄積を抑制することができれば、肥満やそれに引き続く高脂血症、糖尿病、動脈硬化、冠状動脈疾患や脳血管疾患等の血管疾患を予防、改善することが可能である。この点において、本発明の抗肥満剤は、前駆型脂肪細胞増殖抑制効果、前駆型脂肪細胞分化抑制効果、成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果を有するマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体を含有するため、肥満やそれに引き続く冠状動脈疾患や脳血管疾患等の血管疾患の発症を最小限に抑えることが期待でき、非常に好ましい。すなわち、本発明の抗肥満剤は、摂取することによりその抗肥満効果を発現するものであり、冠状動脈疾患や脳血管疾患等を改善あるいは防止し、延命率の延長等に大きく寄与するものである。
上記、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体は、前駆型脂肪細胞増殖抑制効果を有する。
本発明において、前駆型脂肪細胞増殖抑制効果とは、脂肪組織中の前駆型脂肪細胞が脂肪組織内で増殖することを抑制することを示し、結果的には、脂肪組織が増生することを予防したり、既に存在する脂肪組織がそれ以上肥大しないように、あるいは縮小させたりすることが期待できる。本発明で前駆型脂肪細胞増殖抑制効果の評価に用いた方法は、in vitroでの抗肥満効果を有する物質のスクリーニング法として既知の方法であり(Satory et al.,J.Nutr.129:92−97,1999)、スクリーニングが容易で、迅速且つ多大な動物の犠牲が回避できる点が特徴である。本発明では、培養前駆型脂肪細胞の有する酸化還元能により蛍光物質を生成する試薬を用い、その蛍光物質の生成量を蛍光強度の強弱により判定することで、増殖抑制効果の有無を検討している。
本発明におけるマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体の前駆型脂肪細胞増殖抑制効果は、前駆型脂肪細胞を用いた試験法にて示される。本発明で用いた前駆型脂肪細胞とは、マウス由来の培養前駆型脂肪細胞株であり、この細胞は通常に培養した場合、倍加時間18時間の増殖能で、培養面上に均一に単層を形成する。これに対して、この培養系内に前駆型脂肪細胞増殖抑制効果を有する物質を存在させると、前駆型脂肪細胞の増殖が抑えられ相対的に細胞の酸化還元能が抑制され、生成される蛍光物質の量も減少し蛍光強度が減少する。この相対的な蛍光強度の度合いから、前駆型脂肪細胞増殖抑制効果を見積もることができる。
上記試験法での評価によると、本発明におけるマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体の前駆型脂肪細胞増殖抑制効果を、公知の抗肥満効果を有する物質であるCLAと比較すると、例えば、マスリン酸では約2〜30倍、マスリン酸の塩では約2〜28倍、エリトロジオールでは約2〜50倍、ウルソール酸では約2〜60倍、ウバオールでは約2〜8倍、ベツリン酸では約2〜10倍、ベツリンでは約2〜12倍、マスリン酸エチルエステルでは約2〜30倍、アセチル化マスリン酸では約2〜28倍、トリエチルシリル化マスリン酸では約2〜28倍、ステアリル化マスリン酸エチルでは約2〜32倍、アセチル化エリトロジオールでは約2〜44倍、ウルソール酸エチルエステルでは約2〜48倍、アセチル化ウバオールでは約2〜12倍、ベツリン酸エチルでは約2〜12倍、アセチル化ベツリンでは約2〜12倍という、高い前駆型脂肪細胞増殖抑制効果を有していることが分かる。すなわち、本発明の抗肥満剤は、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体を含有することにより、高い抗肥満効果を有するCLAよりも強い前駆型脂肪細胞増殖抑制効果を享受できるものである。
また、上記、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体は、前駆型脂肪細胞分化抑制効果を有する。
前駆型脂肪細胞分化抑制効果とは、前駆型脂肪細胞への分化因子の作用を抑制することで、前駆型脂肪細胞が成熟型脂肪細胞へと分化を開始するのを抑制することを示し、結果的には、成熟型脂肪細胞の発生を抑制することで新たな脂肪組織が形成されることを予防したり、既に存在する脂肪組織中の前駆型脂肪細胞が成熟型脂肪細胞にならないようにすることが期待できる。本発明では、上記物質を分化時に作用させ、成熟型脂肪細胞へと分化・脂肪蓄積した後の、細胞内に取り込まれた中性脂肪(トリグリセリド)量を対照群と比較することで、分化抑制効果の有無を判定している。
本発明におけるマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体の前駆型脂肪細胞分化抑制効果は、前駆型脂肪細胞を用いた試験法にて示される。本発明で用いた前駆型脂肪細胞とは、マウス由来の培養前駆型脂肪細胞株であり、この細胞を脂肪細胞へ分化させるためには、牛胎児血清、デキサメタゾン、3−イソブチル−1−メチルキサンチン、およびインスリン等の分化因子を効果させる必要がある。この効果により前駆型脂肪細胞が脂肪細胞へと分化を開始する。これに対して、分化期に分化抑制効果を有する物質を存在させると、成熟型脂肪細胞の数が減少、もしくは、細胞内に取り込まれたトリグリセリド量が減少する。このトリグリセリド量の対照群と比較した減少度合いから、前駆型脂肪細胞分化抑制効果を見積もることができる。
上記試験法での評価によると、本発明におけるマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体の前駆型脂肪細胞分化抑制効果を、公知の抗肥満効果を有する物質であるCLAと比較すると、例えば、マスリン酸では約2〜22倍、マスリン酸の塩では約2〜20倍、エリトロジオールでは約2〜20倍、ウルソール酸では約2〜18倍、ウバオールでは約2〜16倍、ベツリン酸では約2〜18倍、ベツリンでは約2〜20倍、マスリン酸エチルエステルでは約2〜22倍、アセチル化マスリン酸では約2〜22倍、トリエチルシリル化マスリン酸では約2〜20倍、ステアリル化マスリン酸エチルでは約2〜22倍、アセチル化エリトロジオールでは約2〜20倍、ウルソール酸エチルエステルでは約2〜18倍、アセチル化ウバオールでは約2〜18倍、ベツリン酸エチルでは約2〜18倍、アセチル化ベツリンでは約2〜20倍という、高い前駆型脂肪細胞分化抑制効果を有していることが分かる。すなわち、本発明の抗肥満剤は、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリンおよびその生理的に許容される塩、またはそれらの誘導体を含有することにより、CLAよりも強い前駆型脂肪細胞分化抑制効果を享受できるものである。
また、上記、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体は、成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果を有する。
成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果とは、前駆型脂肪細胞が分化因子による刺激を受けた後、身体に取り込まれた脂肪を細胞内に蓄積できるようになる成熟型脂肪細胞になることを抑制することを示し、結果的には、新たな成熟型脂肪細胞の発生を抑制することで更なる脂肪組織が形成されることを予防したり、既に存在する脂肪組織中の前駆型脂肪細胞が、分化因子による刺激を受けたのち成熟型脂肪細胞にならないようにすることが期待できる。本発明では、上記物質を分化因子による刺激を受けた前駆型脂肪細胞に作用させ、成熟型脂肪細胞へと分化・脂肪蓄積した後の、細胞内に取り込まれた中性脂肪(トリグリセリド)量を対照群と比較することで、成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果の有無を判定している。
本発明におけるマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体の成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果は、前駆型脂肪細胞を用いた試験法にて示される。本発明で用いた前駆型脂肪細胞とは、マウス由来の培養前駆型脂肪細胞株であり、この細胞を脂肪細胞へ分化させるためには、牛胎児血清、デキサメタゾン、3−イソブチル−1−メチルキサンチン、およびインスリン等の分化因子を効果させる必要がある。この効果により前駆型脂肪細胞が脂肪細胞へと分化を開始し、その後成熟型脂肪細胞となり、細胞内にトリグリセリドが蓄積される。これに対して、分化後の脂肪細胞脂肪蓄積期に、成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果を有する物質を存在させると、成熟型脂肪細胞の数が減少、もしくは、細胞内に取り込まれたトリグリセリド量が減少する。このトリグリセリド量の対照群と比較した減少度合いから、成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果を見積もることができる。
上記試験法での評価によると、本発明におけるマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体の成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果を、公知の抗肥満効果を有する物質であるCLAと比較すると、例えば、マスリン酸では約2〜20倍、マスリン酸の塩では約2〜20倍、エリトロジオールでは約2〜20倍、ウルソール酸では約2〜18倍、ウバオールでは約2〜18倍、ベツリン酸では約2〜18倍、ベツリンでは約2〜18倍、マスリン酸エチルエステルでは約2〜20倍、アセチル化マスリン酸では約2〜20倍、トリエチルシリル化マスリン酸では約2〜20倍、ステアリル化マスリン酸エチルでは約2〜20倍、アセチル化エリトロジオールでは約2〜20倍、ウルソール酸エチルエステルでは約2〜20倍、アセチル化ウバオールでは約2〜18倍、ベツリン酸エチルでは約2〜18倍、アセチル化ベツリンでは約2〜20倍という、高い成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果を有していることが分かる。すなわち、本発明の抗肥満剤は、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリンおよびその生理的に許容される塩、またはそれらの誘導体を含有することにより、CLAよりも強い成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果を享受できるものである。
上記、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体は、合成することも、天然物から抽出することもできる。天然には、それぞれに前述した植物体から抽出することで得ることができる。すなわち、各植物体から、水・有機溶媒で抽出でき、さらにその抽出物から、溶媒抽出法、不純物との溶解度差を利用する方法、分別沈殿法、再結晶法、イオン交換樹脂法、液体クロマトグラフ法等を単独または適宜組み合わせて、あるいは反復使用することによって分離精製することができる。
マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリンおよびそれらのアルコールエステル基を有する誘導体、脂肪酸エステル基を有する誘導体、アルコキシ基を有する誘導体、アルコキシメチル基を有する誘導体は、概して脂溶性なので、油系、あるいは乳化系の抗肥満剤等に好適に配合することができる。また、特に油脂あるいは油脂加工品としての摂取においては、油とともに吸収されることが期待されるため、吸収性の面で好ましい。
また、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリンの生理的に許容される塩あるいは配糖体は、概して水溶性を示すので、水系あるいは乳化系等の抗肥満剤に、均一に溶解ないしは分散させて含有させることで好適に配合することができる。特に水系あるいは乳化系で製品化する場合、必要に応じてマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリンを、その生理的に許容される塩あるいは配糖体とすることで好適に配合することができる。
さらに、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体は、強い効果を有し少量の抗肥満剤等への配合で、通常必要とされる抗肥満効果を得ることができるので、コスト面でのメリットがあるとともに、配合比の面から他の成分を配合できる余裕が生じるので、その他の機能をさらに充実させることができ、好ましい。
当然、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体の配合量を増やすことで、極めて優れた抗肥満効果等を有する抗肥満剤の製造が、本発明により可能である。
本発明におけるマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリンは、上述の通り、天然物として植物等に存在している事が知られており、ほとんどのものがそれらの植物を通して、食経験があるものであり、過剰摂取しない限り生体に対する悪影響はないとされている。
実際に動物に投与した場合では、例えばマスリン酸の場合、LD50値は、2000mg/体重kg以上であり、極めて安全性の高いことが確認できる。このことは、前駆型脂肪細胞増殖抑制効果や、前駆型脂肪細胞分化抑制効果、成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果を有するマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体を安全に投与することができることを示す。
ここで、本発明の抗肥満剤が適用される症状としては、例えば、肥大性肥満、過形成性肥満、肥大性−過形成性肥満等の肥満が挙げられる。
本発明の抗肥満剤は、上述の通り、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリンを含有することを特徴とし、その用途は任意であるが、例えば、医薬品、医薬部外品、化粧料等の広い分野で、抗肥満剤として、または原料として用いることができる。この時、本発明の抗肥満剤の配合量は、用途、投与形態、投与対象の種、年齢、性別、体重、症状の程度、健康状態などの条件により異なるので、一概に規定されないが、当然、前駆型脂肪細胞の増殖抑制、分化抑制、脂肪蓄積抑制による脂肪組織の発生や増生に対する予防・治療に効果を有する量である。
本発明の抗肥満剤は、ヒト及び動物に対し、医薬品、医薬部外品、化粧料等として経口的及び非経口的に安全に投与できる。非経口的投与としては、例えば静脈注射、動脈注射、筋肉注射、皮下注射、皮内注射、腹腔内注射、脊髄内注射、硬膜外注射、経皮投与、経肺投与、経鼻投与、経腸投与、口腔内投与、経粘膜投与等が挙げられ、その剤形としては、例えば注射剤、坐剤(肛門座剤、尿道座剤、膣座剤など)、外用液剤(注入剤、含漱剤、洗口剤、湿布剤、吸入剤、噴霧剤、エアゾール剤、浣腸剤、塗布剤、清拭剤、消毒剤、点鼻剤、点耳剤など)、貼付剤、経皮吸収テープ、皮膚外用剤、軟膏剤(パスタ剤、リニメント剤、ローション剤など)などが挙げられる。また、経口投与製剤としては、例えば、内服用錠剤(素錠、糖衣錠、コーティング錠、腸溶錠、チュアブル錠など)、口腔内錠剤(バッカル錠、舌下錠、トローチ錠、付着錠など)、散剤、カプセル剤(硬カプセル剤、軟カプセル剤など)、顆粒剤(コーティングした物、丸剤、トローチ剤、液剤、またはこれらの製剤学的に許容され得る徐放化製剤など)などが挙げられる。経口投与用液剤としては、例えば、内用水剤、振とう合剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、ドライシロップ剤、エリキシル剤、浸剤、煎剤、リモナーデ剤などが挙げられる。
これらの製剤は公知の製剤学的製法に準じ、製剤として薬理学的に許容され得る基剤、担体、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤等と共に医薬組成物として投与される。
これらの製剤に用いる担体や賦形剤としては、例えば乳糖、ブドウ糖、白糖、マンニトール、馬鈴薯デンプン、トウモロコシデンプン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、結晶セルロース、カンゾウ末、ゲンチアナ末などが挙げられる。
これらの製剤に用いる結合剤としては、例えばデンプン、トラガントゴム、ゼラチン、シロップ、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。
これらの製剤に用いる崩壊剤としては例えばデンプン、寒天、ゼラチン末、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、結晶セルロース、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。
これらの製剤に用いる滑沢剤としては例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、水素添加植物油、マクロゴールなどが挙げられる。
これらの製剤に用いる着色剤としては医薬品に添加することが許容されているものを、それぞれ用いることができる。
また、注射剤を調製する場合は、必要に応じて、pH調節剤、緩衝剤、安定化剤、可溶化剤などを添加して、常法により各注射剤とする。
錠剤、顆粒剤を調製する場合は、必要に応じて、白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、精製セラック、ゼラチン、グリセリン、ソルビトール、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、フタル酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルメタクリレート、メタアクリル酸重合体などで被膜しても良いし、2つ以上の層で被膜しても良い。さらにエチルセルロースやゼラチンのような物質のカプセルでも良い。
外用剤の形態としては、経皮投与用または口腔内あるいは経鼻などの経粘膜投与用の固体、半固体、半固体状、または液状の製剤が挙げられる。
液状製剤としては、例えば製剤学的に許容される乳剤あるいはローション剤などの乳濁剤、外用チンキ剤、経粘膜投与用液剤などが挙げられる。この製剤は通常用いられる希釈剤としては、例えばエタノール、油分、乳化剤などを含む。
半固体製剤としては、例えば油性軟膏、親水性軟膏などの軟膏剤が挙げられる。この製剤は通常用いられる基剤あるいは担体として、例えば、水、ワセリン、ポリエチレングリコール、油分、界面活性剤などを含む。
半固体あるいは固体製剤としては、例えば硬膏(ゴム膏、プラスターなど)、フィルム剤、テープ剤、あるいはパップ剤などの経皮投与用または経粘膜(口腔内、経鼻)投与用の貼付剤などが挙げられる。この製剤は通常用いられる基剤あるいは担体として、例えば天然ゴム、ブタジエンゴム、SBR、SISなどの合成ゴムなどのゴム系高分子、ゼラチン、カオリン、酸化亜鉛などの泥状化剤、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウムなどの親水性高分子、アクリル樹脂、流動パラフィンなどの粘着付与剤、水、その他の油分、界面活性剤を含む。
これらの製剤は、さらに安定化剤、溶解補助剤、経皮吸収促進剤のような補助剤、あるいは芳香剤、防腐剤などの添加剤などを用いても良い。
化粧料として使用する場合、本発明は、モノステアリン酸グリセリン、ポリオキシエチレン(POE)ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(POE)ソルビット脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POE・ポリオキシプロピレン(POP)ブロックポリマー及びPOE硬化ヒマシ油エステル等の乳化剤、ステアリン酸、スクワラン、流動パラフィン、スクワラン、ミツロウ、ラノリン及び還元ラノリン等の油剤、酢酸トコフェロール等のビタミン類、カルボキシビニルポリマー等の粘液質、水酸化ナトリウム等のアルカリ剤、エチルアルコール及びベヘニルアルコール等のアルコール、防腐剤、及び香料等の公知の任意成分を含むことができる。
本発明の抗肥満剤は上述したような抗肥満効果を有する。すなわち、本発明の抗肥満剤を直接または間接的に経口・非経口的に投与することで、その抗肥満効果を享受することができる。さらには、継続的な摂取をすることで、より好適な効果を得ることができる。本発明の抗肥満剤におけるマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上の配合量は、一概には規定されず、トリテルペン類の種類、予防か改善かという使用の目的や使用する期間、量、使用対象の年齢、性別、体重、直接経口摂取するのか等を踏まえ、必要とする効果の強さに応じて適宜決めればよい。以下に限定されないが、例えば、0.00001質量%以上、好ましくは0.00001〜99.99質量%、より好ましくは0.0001〜99.99質量%、さらに好ましくは0.0005〜99.99質量%、さらに好ましくは0.001〜99.99質量%、さらに好ましくは0.005〜99.99質量%、さらに好ましくは0.01〜99.99質量%、さらに好ましくは0.05〜99.99質量%、さらに好ましくは0.1〜99.99質量%、さらに好ましくは0.5〜99.99質量%、さらに好ましくは1〜99.99質量%である。
本発明の抗肥満剤中に有効成分としてマスリン酸及び/又はその生理的に許容される塩又はそれらの誘導体を含有する場合、好ましくは0.00005〜99.99質量%、より好ましくは0.0005〜99.99質量%、さらに好ましくは0.001〜99.99質量%、さらに好ましくは0.01〜99.99質量%、さらに好ましくは0.1〜99.99質量%、さらに好ましくは1〜99.99質量%含有するのが好ましい。
本発明の抗肥満剤中に有効成分としてエリトロジオール及び/又はその生理的に許容される塩又はそれらの誘導体を含有する場合、好ましくは0.00001〜99.99質量%、より好ましくは0.0001〜99.99質量%、さらに好ましくは0.001〜99.99質量%、さらに好ましくは0.01〜99.99質量%、さらに好ましくは0.1〜99.99質量%、さらに好ましくは1〜99.99質量%含有するのが好ましい。
本発明の抗肥満剤中に有効成分としてウルソール酸及び/又はその生理的に許容される塩又はそれらの誘導体を含有する場合、好ましくは0.00001〜99.99質量%、より好ましくは0.0001〜99.99質量%、さらに好ましくは0.001〜99.99質量%、さらに好ましくは0.01〜99.99質量%、さらに好ましくは0.1〜99.99質量%、さらに好ましくは1〜99.99質量%含有するのが好ましい。
本発明の抗肥満剤中に有効成分としてウバオール及び/又はその生理的に許容される塩又はそれらの誘導体を含有する場合、好ましくは0.0001〜99.99質量%、より好ましくは0.001〜99.99質量%、さらに好ましくは0.01〜99.99質量%、さらに好ましくは0.1〜99.99質量%、さらに好ましくは1〜99.99質量%含有するのが好ましい。
本発明の抗肥満剤中に有効成分としてベツリン酸及び/又はその生理的に許容される塩又はそれらの誘導体を含有する場合、好ましくは0.0001〜99.99質量%、より好ましくは0.001〜99.99質量%、さらに好ましくは0.01〜99.99質量%、さらに好ましくは0.1〜99.99質量%、さらに好ましくは1〜99.99質量%含有するのが好ましい。
本発明の抗肥満剤中に有効成分としてベツリン及び/又はその生理的に許容される塩又はそれらの誘導体を含有する場合、好ましくは0.0001〜99.99質量%、より好ましくは0.001〜99.99質量%、さらに好ましくは0.01〜99.99質量%、さらに好ましくは0.1〜99.99質量%、さらに好ましくは1〜99.99質量%含有するのが好ましい。
含量が高いほど効果が強いが、使用の目的や使用する期間、量、使用対象の年齢、性別、体重等を考慮し、含量を調整することが必要である。また、後に詳述するが原料として使用する場合には、比較的高濃度である場合が好適である。
本発明の抗肥満剤のマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体を摂取することにより、好適に抗肥満効果を得るための所用量は、摂取の形態、対象者の性別、体重、体調等により異なり、特に制限されないが、例えば、0.001g/日以上、好ましくは0.01g/日以上、特に好ましくは0.1g/日以上である。
さらに本発明は、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有する前駆型脂肪細胞増殖抑制剤、前駆型脂肪細胞分化抑制剤、成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制剤に関する。
本発明の前駆型脂肪細胞増殖抑制剤、前駆型脂肪細胞分化抑制剤、成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制剤は、前駆型脂肪細胞に直接的に効果するものであり、その増殖や、分化や、脂肪蓄積を抑制するものである。したがって、該前駆型脂肪細胞増殖抑制剤、前駆型脂肪細胞分化抑制剤、成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制剤は、前駆型脂肪細胞の増殖や、分化・脂肪蓄積がその原因である疾病に対してであれば、特に対象は限定されないが、特には肥満に対して用いることが好ましい。
前述の通り、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体は、前駆型脂肪細胞増殖抑制効果を有する。すなわち本発明は、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有する前駆型脂肪細胞増殖抑制剤に関する。ここで、有効成分として含有するとは、その前駆型脂肪細胞増殖抑制効果を発現する程度に含有するということである。マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体については、前述と同様である。本発明の前駆型脂肪細胞増殖抑制剤は、特に脂肪組織の増生等に対する予防剤・治療剤として使用するものである。予防剤としての使用とは、前駆型脂肪細胞の増殖を抑制・阻止することで、新たな脂肪細胞からなる脂肪組織が発生しないようにすることを目的として使用することを示す。治療剤としての使用とは、既に発生した前駆型脂肪細胞がこれ以上増殖しないよう抑制・阻止することにより、余剰に増生した脂肪組織中の脂肪細胞やその前駆細胞の数を減少させ、脂肪組織量を減少させることを目的として使用することを示す。
前述の通り、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体は、前駆型脂肪細胞分化抑制効果を有する。すなわち本発明は、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有する前駆型脂肪細胞分化抑制剤に関する。ここで、有効成分として含有するとは、その前駆型脂肪細胞分化抑制効果を発現する程度に含有するということである。マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体については、前述と同様である。本発明の前駆型脂肪細胞分化抑制剤は、特に脂肪組織の増生等に対する予防剤・治療剤として使用するものである。予防剤としての使用とは、分化因子の、前駆型脂肪細胞への作用を抑制することで、前駆型脂肪細胞が成熟型脂肪細胞へと分化を開始するのを抑制し、新たな成熟型脂肪細胞からなる脂肪組織が発生しないようにすることを目的として使用することを示す。治療剤としての使用とは、既に存在する脂肪組織中の前駆型脂肪細胞が、これ以上成熟型脂肪細胞に分化されないようにすることにより、成熟型脂肪細胞数の更なる増加や、脂肪の蓄積による脂肪組織の肥大化を抑制し、脂肪組織量を減少させることを目的として使用することを示す。
前述の通り、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体は、成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果を有する。すなわち本発明は、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有する成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制剤に関する。ここで、有効成分として含有するとは、その成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果を発現する程度に含有するということである。マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体については、前述と同様である。本発明の成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制剤は、特に脂肪組織の増生等に対する予防剤・治療剤として使用するものである。予防剤としての使用とは、分化因子による刺激後の、前駆型脂肪細胞から成熟型脂肪細胞への成熟化を抑制・阻止することで、新たな成熟型脂肪細胞からなる脂肪組織が発生しないようにすることを目的として使用することを示す。治療剤としての使用とは、既に存在する脂肪組織中の前駆型脂肪細胞が、これ以上成熟型脂肪細胞とならないよう、分化因子刺激後の脂肪蓄積化を抑制・阻止することで、成熟型脂肪細胞数の更なる増加や、脂肪の蓄積による脂肪組織の肥大化を抑制し、脂肪組織量を減少させることを目的として使用することを示す。
本発明の前駆型脂肪細胞増殖抑制剤は、前駆型脂肪細胞に接触および/または包含させることを含む、直接または間接的に経口・非経口的に投与することで、その前駆型脂肪細胞増殖抑制効果を発現するものである。さらには、継続的な摂取をすることで、より好適な効果を得ることができる。
ここで、前駆型脂肪細胞に接触および/または包含させるとは、本発明の物質群が特異的あるいは非特異的に前駆型脂肪細胞に結合するおよび/またはその細胞内に取り込まれること等を言う。
本発明の前駆型脂肪細胞増殖抑制剤におけるマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上の配合量は、一概には規定されず、トリテルペン類の種類、予防か改善かという使用の目的や使用する期間、量、使用対象の年齢、性別、体重、直接経口摂取するのか等を踏まえ、必要とする効果の強さに応じて適宜決めればよい。以下に限定されないが、例えば、0.00001質量%以上、好ましくは0.00001〜99.99質量%、より好ましくは0.0001〜99.99質量%、さらに好ましくは0.0005〜99.99質量%、さらに好ましくは0.001〜99.99質量%、さらに好ましくは0.005〜99.99質量%、さらに好ましくは0.01〜99.99質量%、さらに好ましくは0.1〜99.99質量%、さらに好ましくは1〜99.99質量%であれば良い。何れにせよ含量が高いほど効果が強いが、使用の目的や使用する期間、量、使用対象の年齢、性別、体重等を考慮し、含量を調整することが必要である。また、後に詳述するが、原料として使用する場合には、比較的高濃度である場合が好適である。
特に、マスリン酸およびそれらの生理的に許容される塩、またはそれらの誘導体は、前駆型脂肪細胞増殖抑制効果を有し、かつ、前駆型脂肪細胞分化抑制効果、成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果等の、非常に強い効果を持ちあわせる為、好ましい。すなわち、マスリン酸およびそれらの生理的に許容される塩、またはそれらの誘導体の1種または2種以上を、前駆型脂肪細胞増殖抑制成分として含有する抗前駆型脂肪細胞増殖抑制剤に関する。この場合、前駆型脂肪細胞増殖抑制効果が、前駆型脂肪細胞分化抑制効果および成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果とともに総合的あるいは相乗的に効果し、より効果的に肥満へ効果することが期待される為、好ましい。
この場合、本発明の抗肥満剤は、直接または間接的に経口・非経口的に投与することで、その前駆型脂肪細胞増殖抑制効果を発現するものである。さらには、継続的な摂取をすることで、より好適な効果を得ることができる。その際のマスリン酸およびそれらの生理的に許容される塩、またはそれらの誘導体の配合量は、一概には規定されず、予防か改善かという使用の目的や使用する期間、量、使用対象の年齢、性別、体重、直接経口摂取するのか等を踏まえ、必要とする効果の強さに応じて適宜決めればよい。以下に限定されないが、例えば、0.00005質量%以上、好ましくは0.00005〜99.99質量%、より好ましくは0.0001〜99.99質量%、さらに好ましくは0.0005〜99.99質量%、さらに好ましくは0.001〜99.99質量%、さらに好ましくは0.005〜99.99質量%、さらに好ましくは0.01〜99.99質量%、さらに好ましくは0.1〜99.99質量%、さらに好ましくは1〜99.99質量%であれば良い。何れにせよ含量が高いほど効果が強いが、使用の目的や使用する期間、量、使用対象の年齢、性別、体重等を考慮し、含量を調整することが必要である。また、後に詳述するが、原料として使用する場合には比較的高濃度である場合が好適である。
本発明の前駆型脂肪細胞分化抑制剤は、前駆型脂肪細胞に接触および/または包含させることを含む、直接または間接的に経口・非経口的に投与することで、その前駆型脂肪細胞分化抑制効果を発現するものである。さらには、継続的な摂取をすることで、より好適な効果を得ることができる。
ここで、前駆型脂肪細胞に接触および/または包含させるとは、本発明の物質群が特異的あるいは非特異的に前駆型脂肪細胞に結合するおよび/またはその細胞内に取り込まれること等を言う。
本発明の前駆型脂肪細胞分化抑制剤におけるマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上の配合量は、一概には規定されず、トリテルペン類の種類、予防か改善かという使用の目的や使用する期間、量、使用対象の年齢、性別、体重、直接経口摂取するのか等を踏まえ、必要とする効果の強さに応じて適宜決めればよい。以下に限定されないが、例えば、0.00001質量%以上、好ましくは0.00001質量%〜99.99質量%、より好ましくは0.0001質量%〜99.99質量%、さらに好ましくは0.0005質量%〜99.99質量%、さらに好ましくは0.001〜99.99質量%、さらに好ましくは0.005〜99.99質量%、さらに好ましくは0.01〜99.99質量%、さらに好ましくは0.1〜99.99質量%、さらに好ましくは1〜99.99質量%であれば良い。何れにせよ含量が高いほど効果が強いが、使用の目的や使用する期間、量、使用対象の年齢、性別、体重等を考慮し、含量を調整することが必要である。また、後に詳述するが、原料として使用する場合には比較的高濃度である場合が好適である。
特に、マスリン酸およびそれらの生理的に許容される塩、またはそれらの誘導体は、前駆型脂肪細胞分化抑制効果を有し、かつ、前駆型脂肪細胞増殖抑制効果、成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果等の、非常に強い効果を持ちあわせる為、好ましい。すなわち、マスリン酸およびそれらの生理的に許容される塩、またはそれらの誘導体の1種または2種以上を、前駆型脂肪細胞分化抑制成分として含有する前駆型脂肪細胞分化抑制剤に関する。この場合、前駆型脂肪細胞分化抑制効果が、前駆型脂肪細胞増殖抑制効果および成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果とともに総合的あるいは相乗的に効果し、より効果的に肥満へ効果することが期待される為、好ましい。
この場合、本発明の抗肥満剤は、直接または間接的に経口・非経口的に投与することで、その前駆型脂肪細胞分化抑制効果を発現するものである。さらには、継続的な摂取をすることで、より好適な効果を得ることができる。その際のマスリン酸およびそれらの生理的に許容される塩、またはそれらの誘導体の配合量は、一概には規定されず、予防か改善かという使用の目的や使用する期間、量、使用対象の年齢、性別、体重、直接経口摂取するのか等を踏まえ、必要とする効果の強さに応じて適宜決めればよい。以下に限定されないが、例えば、0.00005質量%以上、好ましくは0.00005〜99.99質量%、より好ましくは0.0001〜99.99質量%、さらに好ましくは0.0005〜99.99質量%、さらに好ましくは0.001〜99.99質量%、さらに好ましくは0.005〜99.99質量%、さらに好ましくは0.01〜99.99質量%、さらに好ましくは0.1〜99.99質量%、さらに好ましくは1〜99.99質量%であれば良い。何れにせよ含量が高いほど効果が強いが、使用の目的や使用する期間、量、使用対象の年齢、性別、体重等を考慮し、含量を調整することが必要である。また、後に詳述するが、原料として使用する場合には比較的高濃度である場合が好適である。
本発明の成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制剤は、前駆型脂肪細胞に接触および/または包含させることを含む、直接または間接的に経口・非経口的に投与することで、その成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果を発現するものである。さらには、継続的な摂取をすることで、より好適な効果を得ることができる。
ここで、前駆型脂肪細胞に接触および/または包含させるとは、本発明の物質群が特異的あるいは非特異的に前駆型脂肪細胞に結合するおよび/またはその細胞内に取り込まれること等を言う。
本発明の成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制剤におけるマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上の配合量は、一概には規定されず、トリテルペン類の種類、予防か改善かという使用の目的や使用する期間、量、使用対象の年齢、性別、体重、直接経口摂取するのか等を踏まえ、必要とする効果の強さに応じて適宜決めればよい。以下に限定されないが、例えば、0.00001質量%以上、好ましくは0.00001質量%〜99.99質量%、より好ましくは0.0001質量%〜99.99質量%、さらに好ましくは0.0005質量%〜99.99質量%、さらに好ましくは0.001〜99.99質量%、さらに好ましくは0.005〜99.99質量%、さらに好ましくは0.01〜99.99質量%、さらに好ましくは0.1〜99.99質量%、さらに好ましくは1〜99.99質量%であれば良い。何れにせよ含量が高いほど効果が強いが、使用の目的や使用する期間、量、使用対象の年齢、性別、体重等を考慮し、含量を調整することが必要である。また、後に詳述するが、原料として使用する場合には比較的高濃度である場合が好適である。
特に、マスリン酸およびそれらの生理的に許容される塩、またはそれらの誘導体は、成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果を有し、かつ、前駆型脂肪細胞増殖抑制効果、前駆型脂肪細胞分化抑制効果等の、非常に強い効果を持ちあわせる為、好ましい。すなわち、マスリン酸およびそれらの生理的に許容される塩、またはそれらの誘導体の1種または2種以上を、成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制成分として含有する成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制剤に関する。この場合、成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果が、前駆型脂肪細胞増殖抑制効果および前駆型脂肪細胞分化抑制効果とともに総合的あるいは相乗的に効果し、より効果的に肥満へ効果することが期待される為、好ましい。
この場合、本発明の成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制剤は、直接または間接的に経口・非経口的に投与することで、その成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果を発現するものである。さらには、継続的な摂取をすることで、より好適な効果を得ることができる。その際のマスリン酸およびそれらの生理的に許容される塩、またはそれらの誘導体の配合量は、一概には規定されず、予防か改善かという使用の目的や使用する期間、量、使用対象の年齢、性別、体重、直接経口摂取するのか等を踏まえ、必要とする効果の強さに応じて適宜決めればよい。以下に限定されないが、例えば、0.00005質量%以上、好ましくは0.00005〜99.99質量%、より好ましくは0.0001〜99.99質量%、さらに好ましくは0.0005〜99.99質量%、さらに好ましくは0.001〜99.99質量%、さらに好ましくは0.005〜99.99質量%、さらに好ましくは0.01〜99.99質量%、さらに好ましくは0.1〜99.99質量%、さらに好ましくは1〜99.99質量%であれば良い。何れにせよ含量が高いほど効果が強いが、使用の目的や使用する期間、量、使用対象の年齢、性別、体重等を考慮し、含量を調整することが必要である。また、後に詳述するが、原料として使用する場合には比較的高濃度である場合が好適である。
前述の通り、マスリン酸およびそれらの生理的に許容される塩、またはそれらの誘導体は、合成することも、天然物から抽出することもできる。天然には、前述の植物体から抽出することにより、詳しくは、水および/または有機溶媒で抽出処理し、さらに濃縮処理および/または分画・精製処理することにより得ることができる。すなわち、各植物体から、水および/または有機溶媒で抽出でき、さらにその抽出物から、溶媒抽出法、不純物との溶解度差を利用する方法、分別沈殿法、再結晶法、イオン交換樹脂法、液体クロマトグラフ法等を単独または適宜組み合わせて、あるいは反復使用することによって分離精製することができる。
特に、マスリン酸・その生理的に許容される塩は、オリーブ植物等から、水・有機溶媒で抽出でき、さらにその抽出物から、溶媒抽出法、不純物との溶解度差を利用する方法、分別沈殿法、再結晶法、イオン交換樹脂法、液体クロマトグラフ法等を単独または適宜組み合わせて、あるいは反復使用することによって分離精製することができる。
オリーブ植物(Olea europaea L.)は、国産、欧州産などの産地、食用あるいは搾油用を問わず使用できる。本発明の抗肥満剤に含有されるマスリン酸・その生理的に許容される塩は、天然植物であるオリーブ植物の主に、実または種子から得ることができ、さらに、その種皮、葉、茎、芽から得ることができる。また、これらの乾燥物、粉砕物、脱脂物からも好適に得ることができる。このうち、脱脂された実(果皮含む)や果皮の乾燥物及び粉砕物が好ましい。さらに、オリーブ油の製造工程で生じる生成物、例えば圧搾残査、抽出残査、搾油残査、圧搾油、抽出油、脱ガム油滓、脱酸油滓、ダーク油、廃脱色剤、脱臭スカム、搾油ジュース、排水、廃濾過材から得ることができる。このうち、搾油残査が好ましい。
また、上記オリーブ植物の果実やその脱脂物等に、添水する等により加水した場合、あるいは蒸気により蒸す等の加湿処理を行った場合、これらオリーブ植物の果実やその脱脂物等が適度に膨潤するので、抽出効率が良くなり好ましい。
特に、オリーブ植物の脱脂物には、マスリン酸・その生理的に許容される塩が高濃度で存在し、かつ、得られたマスリン酸・その生理的に許容される塩から油分を除去する必要がないため好ましい。
当該脱脂物は、食油精製工程中に産出するオリーブ搾油残査、またはヘキサン等による抽出残査を原料とすることができる。
また、オリーブ植物または当該脱脂物に含まれる脂質成分をペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素、酢酸エチルエステル等の低級脂肪酸アルキルエステル、ジエチルエーテル等の公知の非水溶性の有機溶媒の1種又は2種以上で抽出除去し、更に必要に応じてこの洗浄処理を繰り返した脱脂物も好適に利用できる。
上記オリーブ植物から水・有機溶媒で抽出することにより、本発明の抗肥満剤に含有されるマスリン酸・その生理的に許容される塩を得ることができる。
オリーブ植物からマスリン酸・その生理的に許容される塩を得るために用いる有機溶媒としては、親水性有機溶媒、疎水性有機溶媒のいずれでもよい。具体的には、親水性有機溶媒として、メチルアルコール、エチルアルコール、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等のアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、1,4−ジオキサン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸等の公知の有機溶媒が挙げられ、疎水性有機溶媒として、ヘキサン、シクロヘキサン、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン等の公知の有機溶媒が挙げられる。また、これらの有機溶媒は1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
工業的には、例えば植物組織への浸透性、抽出効率等からは、親水性有機溶媒を用いることが好ましく、また含水親水性有機溶媒を用いることが好ましい。具体的にはメチルアルコール、エチルアルコール、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等のアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等の有機溶媒およびこれらの含水溶媒が挙げられる。これらの中から選ばれる、1種または2種以上により、オリーブ植物から、本発明の抗肥満剤に含有されるマスリン酸・その生理的に許容される塩を得ることができる。
抽出条件は、特に限定されないが、例えば、温度は5℃〜95℃、好ましくは10℃〜90℃、さらに好ましくは15℃〜85℃で、常温でも好適に抽出することができる。温度が高いほうが、抽出効率が高くなる傾向はある。圧力は、常圧でも、加圧でも、吸引等による減圧でも好適に抽出することができる。また、抽出効率を向上させるため、振とう抽出や、攪拌機等のついた抽出機でも抽出することができる。抽出時間は、他の抽出条件によるが、数分〜数時間であり、長時間なほど十分な抽出がなされるが、生産設備、収率等の生産条件によって適宜決めれば良い。
また、抽出に使用する溶媒は、水を単独で使用する場合、有機溶媒を単独で使用する場合、水と有機溶媒とを混合して使用する場合のいずれの場合にも、原料に対し1〜100倍量(「質量/質量」。以下同様。)、好ましくは1〜20倍量を使用することができる。
また、人体等への安全性等を考えれば、特に、水、含水低級アルコール、無水低級アルコールの何れかにより抽出することが好ましい。
さらに、得られるマスリン酸・その生理的に許容される塩の収率や、抗肥満効果の強さをも考慮に入れた場合、低級アルコール含量が10質量%以上である含水低級アルコールで抽出することが好ましい。さらには低級アルコール含量が10質量%〜95質量%の含水アルコールを使用することが好ましく、最も好ましくは低級アルコール含量が30質量%〜95質量%に調節された含水低級アルコールが好ましい。
ここで、本発明で使用するアルコールは、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロパノール、1−ブタノール等の1級アルコール、2−プロパノール、2−ブタノール等の2級アルコール、2−メチル−2−プロパノール等の3級アルコールさらにエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の液状多価アルコール等の公知の溶媒が挙げられ、これらの溶媒は1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
低級アルコールとは、炭素数が1〜4である公知のアルコール、例えば、前述の1、2、3級、もしくは、液状多価のアルコール等があげられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
このようにして得られた粗抽出物及び/又は粗抽出液から、溶媒、水分を除去することで、本発明におけるマスリン酸・その生理的に許容される塩を得ることができる。
溶媒、水分の除去は減圧蒸留、減圧・真空乾燥、凍結乾燥、スプレードライ等の公知の方法で行うことができる。
もちろん、溶媒、水分を含んだままでも良く特に状態は制限されない。
脱脂物からの抽出物は、トリグリセリドやステロール、トコフェロール等の油溶性成分は含有していないので、これらを除去、精製する必要がないため、好ましい。加えて、脱脂物とは、搾油後の残査を含むので、オリーブ油を搾油した圧搾粕および抽出粕を使用できることから、オリーブの極めて優れた有効利用方法であり、通常は廃棄または飼料等に使用されるものを利用するため、生産コストの面から見ても優れた方法といえる。
さらに、オリーブ植物から抽出されるマスリン酸・その生理的に許容される塩の抗肥満効果をより一層引き出すためには、本発明の抗肥満剤に含有させるマスリン酸・その生理的に許容される塩を濃縮処理等することが好ましい。
濃縮条件は、特に限定されないが、例えば、水への溶解性を利用した方法が挙げられる。本発明の抗肥満剤に含有されるマスリン酸・その生理的に許容される塩は、比較的極性が低く、難水溶性の化合物である。この性質を利用して、オリーブ植物からの粗抽出物を水に溶解しにくい成分・水に溶解しない成分、つまり難水溶性等の成分と水に容易に溶ける成分とに分けることで、大幅に濃縮することができる。オリーブ植物からの粗抽出物に含まれる難水溶性等の成分は、オリーブ植物からの粗抽出物全体と比べても、大幅に抗肥満効果に優れており、マスリン酸・その生理的に許容される塩が濃縮されていることが確認できる。
難水溶性等の成分は、オリーブ植物からの粗抽出物を水に添加・攪拌した後、析出している部分をろ過等により採取することで簡易に得ることができる。
また、本発明の抗肥満剤に含有されるマスリン酸・その生理的に許容される塩は、必要に応じて、一般的な溶剤の組み合わせによる液−液分配により濃縮することができる。溶剤の組み合わせは一概に規定し難いが、例えば、水−疎水性有機溶媒の組み合わせが挙げられ、疎水性有機溶媒としては、ヘキサン、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、n−ブタノール、ベンゼン、トルエン等の公知の有機溶媒が挙げられる。このうち、ヘキサン、酢酸エチル、n−ブタノールが好ましい。
マスリン酸・その生理的に許容される塩は難水溶性であるため、疎水性有機溶媒相を分取することで、不要な水溶性成分を除去することができる。溶媒を除去することで、容易にマスリン酸・その生理的に許容される塩を濃縮することができる。
さらに、本発明の抗肥満剤に含有されるマスリン酸・その生理的に許容される塩は、上述した抽出物・濃縮物から分画・精製処理することが好ましい。これにより上記濃縮以上に濃縮することができ、目的とする成分を単離することができる。
分画・精製処理することの利点としては、抗肥満効果等を非常に向上させることができることに加え、不純物を除去することができること等が挙げられる。すなわち、該分画・精製処理した場合、マスリン酸・その生理的に許容される塩を白色結晶として得ることができるため、抗肥満剤に余計な色をつけることなく好適に配合することができる等のメリットがあり、好ましい。
分画・精製処理の方法については一概に規定し難いが、例えば、再結晶法、分別沈殿法、クロマトグラフィーを利用する方法などが挙げられる。特にクロマトグラフィーの中でも液体クロマトグラフィーを利用する方法は、本発明の抗肥満剤に含有されるマスリン酸・その生理的に許容される塩を分解することなく、収率良く分画・精製出来るので、好ましい。液体クロマトグラフィーとしては、具体的に、順相液体クロマトグラフィー、逆相液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等が挙げられるが、本発明の抗肥満剤に含有されるマスリン酸・その生理的に許容される塩を分画・精製処理する際には、いずれの方法を用いることができる。とりわけ、分離能、処理量、工程数等を考慮に入れると、順相液体クロマトグラフィー、逆相液体クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)が好ましい。
ここで、順相液体クロマトグラフィーとは、例えば以下のような方法を指す。すなわち、例えばシリカゲルを固定相、ヘキサン−酢酸エチル混液、クロロホルム−メタノール混液等を移動相としたカラムを作成し、オリーブ植物からの粗抽出物あるいはその濃縮物を負荷率0.1〜5%(wt(質量)/v(体積))で供し、単一移動相による連続的溶出法あるいは溶媒極性を順次増加させる段階的溶出法により、所定の画分を溶出させる方法である。
逆相液体クロマトグラフィーとは、例えば以下のような方法を指す。すなわち、例えばオクタデシルシランを結合させたシリカ(ODS)を固定相、水−メタノール混液、水−アセトニトリル混液、水−アセトン混液等を移動相としたカラムを作成し、オリーブ植物からの粗抽出物あるいはその濃縮物を負荷率0.1〜5%(wt(質量)/v(体積))で供し、単一溶媒による連続的溶出法あるいは溶媒極性を順次低下させる段階的溶出法により、所定の画分を溶出させる方法である。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)とは、原理的には、上記順相液体クロマトグラフィーあるいは逆相液体クロマトグラフィーと同様のものであり、より迅速かつ高分離能での分画・精製を行うためのものである。
上記手法を1種または2種以上組み合わせることで、マスリン酸・その生理的に許容される塩を非常に濃縮でき、かつ、不純物が除去された状態で得ることができるため好ましい。
さらに、上記手法を1種または2種以上組み合わせることで、マスリン酸・その生理的に許容される塩の純度を調整することができ、必要に応じた抗肥満効果の強さ、特性等を設計することもできる。すなわち、抗肥満効果の強さと作用機序とを適宜調整することにより抗肥満効果を設計できる。抗肥満果の強さは、例えば、より強力な効果が必要な場合は濃縮し、弱い効果でよい場合は希釈して配合することにより調整することができる。あるいはまた、本発明で対象とするマスリン酸等以外のその他の抗肥満剤とマスリン酸等とを組み合わせることによっても、抗肥満効果の強さを調整することができる。抗肥満効果の作用機序としては、前駆型脂肪細胞増殖抑制、前駆型脂肪細胞分化抑制及び成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制があげられる。このような作用は、本発明以外のその他の抗肥満剤とマスリン酸等とを組み合わせることによって調整することができる。
前述した濃縮処理について、好ましくは繰り返し濃縮処理することができ、さらには異なる濃縮処理を組み合わせることができる。同様に、分画・精製処理について、好ましくは繰り返し分画・精製処理することができ、さらには異なる分画・精製処理を組み合わせることができる。さらに、濃縮処理を行った後に分画・精製処理しても良く、分画・精製処理を行った後に分画・精製処理しても良く、濃縮処理した後に分画・精製処理を行い更に濃縮処理することもできる。当然、前述の組み合わせ以外の組み合わせでも良い。
上記に記載した抽出処理、濃縮処理、分画・精製処理等を様々に組み合わせることによって、マスリン酸・その生理的に許容される塩を好適に得ることができる。その組み合わせについては特に限定されないが、一連の処理の具体例としては以下のような方法が挙げられる。
例えば、オリーブ植物を水・親水性有機溶媒で抽出処理した後、得られた抽出液について親水性有機溶媒の一部または全部を除去し、必要により水を加えて撹拌し、水層部に析出した水不溶分を回収することで濃縮する。析出した水不溶分は、ろ過や遠心分離等のよって回収することができるが、この回収効率の向上のため、必要に応じ水溶液に対して水の添加・攪拌等の処理を行うことができる。また、オリーブ植物から得られる抽出液の水・親水性有機溶媒を除去した乾固状態の抽出物についても、上記同様に水の添加・攪拌等の処理を行い、ろ過等によりその水不溶分を回収することで濃縮処理することができる。この濃縮方法によれば、水系での処理であるので、溶剤を用いた濃縮よりも安全性に優れ、また、使用できる機器の範囲も広いため好ましい。また、油分がほとんど含まれていないため、濃縮・精製の効率にも優れており、好ましい。
これらの濃縮物を順相・逆相クロマトグラフィー・再結晶にて分画・精製処理することにより、高純度に精製されたマスリン酸・その生理的に許容される塩を好適に得ることができる。
また、オリーブ植物から得られる抽出液について親水性有機溶媒を除去し、残った水溶液に対して、必要に応じて水を添加し、更に疎水性有機溶媒を添加することで、水−疎水性有機溶媒での液−液分配により濃縮処理することができる。また、乾固状態の抽出物についても、上記同様に水を添加し、更に疎水性有機溶媒を添加することで、水−疎水性有機溶媒での液−液分配により濃縮処理することができる。これらの濃縮物を順相・逆相クロマトグラフィー・再結晶にて分画・精製処理することにより、高純度に精製されたマスリン酸・その生理的に許容される塩を得ることができる。
ここで、液−液分配の際に添加する水の量は分配処理し得る量を用いれば特に限定されないが、乾固された抽出物の質量当り1〜100倍量が好ましく、より好ましくは5〜50倍量、さらに好ましくは10〜30倍量程度である。
また、水−疎水性有機溶媒での液−液分配において、水と疎水性有機溶媒とは、水:疎水性有機溶媒=9:1〜1:9(体積比)で使用するのが好ましく、8:2〜2:8で使用するのがより好ましい。
また、オリーブ植物及び/又はオリーブ油製造工程で得られる生成物から得られるマスリン酸と生理的に許容されるその塩との混合物中のマスリン酸及び生理的に許容されるそれらの塩の合計の含有率が、95%以上であるのが好ましく、より好ましくは95%〜99.99%である。当該含有率は、例えば、ガスクロマトグラフィーにより測定することができる。
本発明の抗肥満剤は、マスリン酸・その生理的に許容される塩を含有させることができるが、前記抽出物及び濃縮物を含有させることでも本発明の抗肥満剤を得ることもできる。また、濃縮、精製等の度合いを調整することで、マスリン酸・その生理的に許容される塩の濃度等を調整することができ、抗肥満剤へ好適に配合することができる。つまり、より強力な効果が必要な場合は濃縮し、弱い効果で良い場合は希釈した配合もでき、使用目的に応じた濃度での使用に好適な形態とすることができる。
さらに、他の抗肥満物質を配合して使用することができ、これにより、詳細な抗肥満効果の設計が可能であり、また、他の抗肥満物質との相乗効果により大幅な抗肥満効果の強化も期待できる。
オリーブ油にはマスリン酸が含有されていることから、本発明の抗肥満剤について、油性成分としてさらにオリーブ油を使用することで、さらに好適な抗肥満効果等が得られるため好ましい。
また、オリーブ植物からマスリン酸・その生理的に許容される塩を抽出する場合には、同時にオレアノール酸・その生理的に許容される塩が抽出されるが、このオレアノール酸・その生理的に許容される塩は、マスリン酸との相溶性に優れている点から、これらの混合物を本発明の抗肥満剤に直接配合することができる。これにより、それぞれが有する生理効果について相乗効果が期待でき、特にはマスリン酸・その生理的に許容される塩の本発明における抗肥満効果について相乗効果が期待できるため好ましい。マスリン酸・その生理的に許容される塩をオリーブ植物から抽出、分離精製等するに際し、その条件を調整することで、オレアノール酸・その生理的に許容される塩との混合物として得ることもでき、オリーブ植物からそれぞれ別々にマスリン酸・その生理的に許容される塩、オレアノール酸・その生理的に許容される塩を単離し、後に混合することでも得ることができる。また、それぞれ異なる原料から得られたマスリン酸・その生理的に許容される塩と、オレアノール酸・その生理的に許容される塩を混合した物でも良い。
なお、本発明で対象とするマスリン酸および/またはその生理的に許容される塩以外の五環性トリテルペン類についても、マスリン酸および/またはその生理的に許容される塩について記載した原料及び方法に準じて天然物から単離することができる。
本発明は、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を含有してなる抗肥満剤原料に関する。この場合、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上の由来に、特に制限は無く、天然から得たものでも、人工的に得たものでも何れも好適に使用できるが、その目的が抗肥満剤である以上、その純度が高まったものほど好ましい。純度が高いことの利点としては、抗肥満効果を非常に向上させることができることに加え、不純物が除去されていること等が挙げられる。すなわち、不純物等による予測不能な副作用等の危険性を回避や、抗肥満剤製造時における予測不能なトラブルの回避、ハンドリングの向上といった、製品の品質等の向上に大きく寄与することができるため、純度が高まったものほど好ましい。また、単離精製処理により純度が高くなった場合、本発明におけるマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上は、概ね白色あるいは無色の固体、半固体、液体等として得ることができるため、抗肥満剤に余計な色をつけることなく好適に配合することができる等のメリットがあり、好ましい。本発明の抗肥満剤原料におけるマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上の純度は、上述の通り純度が高いものほど好ましいが、一概には規定されず、トリテルペン類の種類、予防か改善かという使用の目的、投与形態、製法、製造コスト等を踏まえ、適宜決めればよい。以下に限定されないが、例えば、0.1質量%以上、好ましくは0.1〜99.99質量%、より好ましくは1〜99.99質量%、さらに好ましくは10〜99.99質量%、さらに好ましくは30〜99.99質量%、さらに好ましくは50〜99.99質量%、さらに好ましくは70〜99.99質量%、さらに好ましくは90〜99.99質量%であれば良い。上記範囲内であれば、抗肥満剤を製造するために、または、医薬品、医薬部外品、皮膚外用剤、化粧料等に配合しても好適に抗肥満効果を発揮することができるため好ましい。
本発明の抗肥満剤原料中に有効成分としてマスリン酸及び/又はその生理的に許容される塩又はそれらの誘導体を含有する場合、好ましくは0.1〜99.99質量%、より好ましくは1〜99.99質量%、さらに好ましくは10〜99.99質量%、さらに好ましくは30〜99.99質量%、さらに好ましくは50〜99.99質量%、さらに好ましくは70〜99.99質量%、さらに好ましくは90〜99.99質量%含有するのが好ましい。
本発明の抗肥満剤原料中に有効成分としてエリトロジオール及び/又はその生理的に許容される塩又はそれらの誘導体を含有する場合、好ましくは0.1〜99.99質量%、より好ましくは1〜99.99質量%、さらに好ましくは10〜99.99質量%、さらに好ましくは30〜99.99質量%、さらに好ましくは50〜99.99質量%、さらに好ましくは70〜99.99質量%、さらに好ましくは90〜99.99質量%含有するのが好ましい。
本発明の抗肥満剤原料中に有効成分としてウルソール酸及び/又はその生理的に許容される塩又はそれらの誘導体を含有する場合、好ましくは0.1〜99.99質量%、より好ましくは1〜99.99質量%、さらに好ましくは10〜99.99質量%、さらに好ましくは30〜99.99質量%、さらに好ましくは50〜99.99質量%、さらに好ましくは70〜99.99質量%、さらに好ましくは90〜99.99質量%含有するのが好ましい。
本発明の抗肥満剤原料中に有効成分としてウバオール及び/又はその生理的に許容される塩又はそれらの誘導体を含有する場合、好ましくは0.5〜99.99質量%、より好ましくは5〜99.99質量%、さらに好ましくは50〜99.99質量%、さらに好ましくは70〜99.99質量%、さらに好ましくは90〜99.99質量%含有するのが好ましい。
本発明の抗肥満剤原料中に有効成分としてベツリン酸及び/又はその生理的に許容される塩又はそれらの誘導体を含有する場合、好ましくは0.5〜99.99質量%、より好ましくは5〜99.99質量%、さらに好ましくは50〜99.99質量%、さらに好ましくは70〜99.99質量%、さらに好ましくは90〜99.99質量%含有するのが好ましい。
本発明の抗肥満剤中原料に有効成分としてベツリン及び/又はその生理的に許容される塩又はそれらの誘導体を含有する場合、好ましくは0.5〜99.99質量%、より好ましくは5〜99.99質量%、さらに好ましくは50〜99.99質量%、さらに好ましくは70〜99.99質量%、さらに好ましくは90〜99.99質量%含有するのが好ましい。
本発明は、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を含有してなる前駆型脂肪細胞増殖抑制剤原料に関する。この場合、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体の由来に、特に制限は無く、天然から得たものでも、人工的に得たものでも何れも好適に使用できるが、その目的が前駆型脂肪細胞増殖抑制剤である以上、その純度が高まったものほど好ましい。純度が高いことの利点としては、前駆型脂肪細胞増殖抑制効果を非常に向上させることができることに加え、不純物が除去されていること等が挙げられる。すなわち、不純物等による予測不能な副作用等の危険性を回避や、前駆型脂肪細胞増殖抑制剤製造時における予測不能なトラブルの回避、ハンドリングの向上といった、製品の品質等の向上に大きく寄与することができるため、純度が高まったものほど好ましい。また、単離精製処理により純度が高くなった場合、本発明におけるマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上は、概ね白色あるいは無色の固体、半固体、液体等として得ることができるため、前駆型脂肪細胞増殖抑制剤に余計な色をつけることなく好適に配合することができる等のメリットがあり、好ましい。本発明の前駆型脂肪細胞増殖抑制剤原料におけるマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上の純度は、上述の通り純度が高いものほど好ましいが、一概には規定されず、トリテルペン類の種類、予防か改善かという使用の目的、投与形態、製法、製造コスト等を踏まえ、適宜決めればよい。以下に限定されないが、例えば、0.1質量%以上、好ましくは0.1〜99.99質量%、より好ましくは1〜99.99質量%、さらに好ましくは10〜99.99質量%、さらに好ましくは30〜99.99質量%、さらに好ましくは50〜99.99質量%、さらに好ましくは70〜99.99質量%、さらに好ましくは90〜99.99質量%であれば良い。上記範囲内であれば、前駆型脂肪細胞増殖抑制剤を製造するために、または、医薬品、医薬部外品、皮膚外用剤、化粧料等に配合しても好適に前駆型脂肪細胞増殖抑制効果を発揮することができるため好ましい。
本発明は、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を含有してなる前駆型脂肪細胞分化抑制剤原料に関する。この場合、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体の由来に、特に制限は無く、天然から得たものでも、人工的に得たものでも何れも好適に使用できるが、その目的が前駆型脂肪細胞分化抑制剤である以上、その純度が高まったものほど好ましい。純度が高いことの利点としては、前駆型脂肪細胞分化抑制剤効果を非常に向上させることができることに加え、不純物が除去されていること等が挙げられる。すなわち、不純物等による予測不能な副作用等の危険性を回避や、前駆型脂肪細胞分化抑制剤製造時における予測不能なトラブルの回避、ハンドリングの向上といった、製品の品質等の向上に大きく寄与することができるため、純度が高まったものほど好ましい。また、単離精製処理により純度が高くなった場合、本発明におけるマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上は、概ね白色あるいは無色の固体、半固体、液体等として得ることができるため、前駆型脂肪細胞分化抑制剤に余計な色をつけることなく好適に配合することができる等のメリットがあり、好ましい。本発明の抗肥満剤原料等におけるマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上の純度は、上述の通り純度が高いものほど好ましいが、一概には規定されず、トリテルペン類の種類、予防か改善かという使用の目的、投与形態、製法、製造コスト等を踏まえ、適宜決めればよい。以下に限定されないが、例えば、0.1質量%以上、好ましくは0.1〜99.99質量%、より好ましくは1〜99.99質量%、さらに好ましくは10〜99.99質量%、さらに好ましくは30〜99.99質量%、さらに好ましくは50〜99.99質量%、さらに好ましくは70〜99.99質量%、さらに好ましくは90〜99.99質量%であれば良い。上記範囲内であれば、前駆型脂肪細胞分化抑制剤を製造するために、または、医薬品、医薬部外品、皮膚外用剤、化粧料等に配合しても好適に前駆型脂肪細胞分化抑制効果を発揮することができるため好ましい。
本発明は、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を含有してなる成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制剤原料に関する。この場合、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体の由来に、特に制限は無く、天然から得たものでも、人工的に得たものでも何れも好適に使用できるが、その目的が成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制剤である以上、その純度が高まったものほど好ましい。純度が高いことの利点としては、成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果を非常に向上させることができることに加え、不純物が除去されていること等が挙げられる。すなわち、不純物等による予測不能な副作用等の危険性を回避や、成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制剤製造時における予測不能なトラブルの回避、ハンドリングの向上といった、製品の品質等の向上に大きく寄与することができるため、純度が高まったものほど好ましい。また、単離精製処理により純度が高くなった場合、本発明におけるマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上は、概ね白色あるいは無色の固体、半固体、液体等として得ることができるため、成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制剤に余計な色をつけることなく好適に配合することができる等のメリットがあり、好ましい。本発明の成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制剤原料におけるマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上の純度は、上述の通り純度が高いものほど好ましいが、一概には規定されず、トリテルペン類の種類、予防か改善かという使用の目的、投与形態、製法、製造コスト等を踏まえ、適宜決めればよい。以下に限定されないが、例えば、0.1質量%以上、好ましくは0.1〜99.99質量%、より好ましくは1〜99.99質量%、さらに好ましくは10〜99.99質量%、さらに好ましくは30〜99.99質量%、さらに好ましくは50〜99.99質量%、さらに好ましくは70〜99.99質量%、さらに好ましくは90〜99.99質量%であれば良い。上記範囲内であれば、成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制剤を製造するために、または、医薬品、医薬部外品、皮膚外用剤、化粧料等に配合しても好適に成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果を発揮することができるため好ましい。
本発明はマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有する抗肥満剤に関する。これらのマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体は前駆型脂肪細胞増殖抑制効果、前駆型脂肪細胞分化抑制効果、成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果に優れている。また、本発明におけるマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体は、天然植物から得たもの、人工的に得られたもの、何れも好適に使用でき、特に抗肥満剤原料とする場合、その純度は高いものほど好ましい。
本発明の抗肥満剤は、抗肥大性肥満および/または抗過形成肥満用製剤として使用することができる。上述の通り、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体は、前駆型脂肪細胞増殖抑制効果、前駆型脂肪細胞分化抑制効果や成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果を有することから、これらの効果により、抗肥大性肥満および/または抗過形成肥満効果を有する。つまり、主に前駆型脂肪細胞増殖抑制効果や前駆型脂肪細胞分化抑制効果により抗過形成性肥満効果を得ると推測され、また、主に成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果により抗肥大性肥満効果を得ることが推測され、抗肥大性肥満および/または抗過形成肥満効果を有すると考えられる。
本発明の抗肥満剤は、肥満の予防および/または肥満の治療用製剤として用いることができる。すなわち、本発明は、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を含有する肥満予防および/または肥満治療用製剤に関する。肥満の予防を目的とした使用とは、肥満が気になりだしたり、成長期や中年期等にさしかかったりして、肥満が懸念される際に、予め肥満にならないようにする場合等を示す。このような場合、本発明の製剤は、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体といった抗肥満等の効果を有する物質を含有する製剤であるため、無理な食事制限等をする必要性が低くなり、健康的な肥満予防を可能とするため、好ましい。また、肥満の治療を目的とした使用とは、既に肥満であり、特に健康上、肥満を治す必要性が高いなどといった際に、肥満を改善する場合等を示す。このような場合、本発明の抗肥満剤は、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体といった抗肥満等の効果を有する物質を含有する製剤であるため、身体に負担がかかる急激な食事制限や食生活習慣の変更等の必要性を最小限に抑え、比較的緩やかな食事制限等で肥満の治療を行うことを可能にするものであり、好ましい。
また、本発明の抗肥満剤は、痩身用製剤として用いることができる。すなわち、本発明は、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を含有する痩身用製剤に関する。痩身を目的とした使用とは、健康あるいは美容上、痩せることが必要な際に、必要に応じた痩身を行う場合等を示す。このような場合、本発明の抗肥満剤は、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体といった抗肥満等の効果を有する物質を含有する製剤であるため、苦痛や栄養失調等を伴うような無理なダイエットを行うことなく、十分な食事と栄養を提供しながら、効果的な痩身を行うことを可能にするため、好ましい。
また、本発明の抗肥満剤は、太りにくい体質への改善用製剤として用いることができる。すなわち、本発明は、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を含有する、太りにくい体質への改善用製剤に関する。太りにくい体質への改善を目的とした使用とは、根本的かつ長期的な肥満対策において、体質そのものを改善し、太らない体質を作り上げようとする場合等を示す。このような場合、本発明の抗肥満剤は、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体といった抗肥満等の効果を有する物質を含有する製剤であるため、長期的な食事制限等といったような苦痛を伴うことなく、十分な食事と栄養を提供しながら、太りにくい体質への改善を行うことを可能にするため、好ましい。
本発明の具体的な実施態様として、オリーブの脱脂果実をエタノール溶液で抽出処理し、乾燥することにより濃縮し、次いでクロマトグラフィーにかけて精製したマスリン酸を80質量%以上の量で含有する抗肥満用錠剤があげられる。
また、本発明の具体的な実施態様として、オリーブの搾油粕をエタノール溶液で抽出処理し、乾燥することにより濃縮し、次いでクロマトグラフィーにかけて精製したマスリン酸を1質量%以上含有する抗肥満用散剤があげられる。
また、本発明の具体的な実施態様として、オリーブの脱脂果実をエタノール溶液で抽出処理し、乾燥することにより濃縮し、次いでクロマトグラフィーにかけて精製したマスリン酸を0.01kg/L以上の量で含有する抗肥満用注射剤があげられる。
また、本発明の具体的な実施態様として、オリーブの搾油粕をエタノール溶液で抽出処理し、乾燥することにより濃縮し、次いでクロマトグラフィーにかけて精製したマスリン酸を0.7質量%以上を含有する抗肥満用錠剤があげられる。
また、本発明の具体的な実施態様として、オリーブの抽出残渣をエタノール溶液で抽出処理し、乾燥することにより濃縮し、次いでクロマトグラフィーにかけて精製したマスリン酸を20質量%以上とエリトロジオールとを含有する抗肥満用錠剤があげられる。
また、本発明の具体的な実施態様として、オリーブの搾油粕をエタノール溶液で抽出処理し、乾燥することにより濃縮し、次いでクロマトグラフィーにかけて精製したマスリン酸を1質量%以上とウルソール酸とを含有する抗肥満用散剤があげられる。
また、本発明の具体的な実施態様として、オリーブの脱脂果実をエタノール溶液で抽出処理し、乾燥することにより濃縮し、次いでクロマトグラフィーにかけて精製したマスリン酸を3.8質量%以上とエリトロジオールとを含有する抗肥満用カプセル剤があげられる。
また、本発明の具体的な実施態様として、オリーブの搾油粕をエタノール溶液で抽出処理し、乾燥することにより濃縮し、次いでクロマトグラフィーにかけて精製したマスリン酸を0.01質量%以上含有する抗肥満用ゲル軟膏があげられる。
また、本発明の具体的な実施態様として、オリーブの脱脂果実をエタノール溶液で抽出処理し、乾燥することにより濃縮し、次いでクロマトグラフィーにかけて精製したマスリン酸を0.01質量%以上含有する抗肥満用乳液があげられる。
また、本発明の具体的な実施態様として、オリーブの抽出残渣をエタノール溶液で抽出処理し、乾燥することにより濃縮し、次いでクロマトグラフィーにかけて精製したマスリン酸を0.2質量%以上含有する抗肥満用錠剤があげられる。
実施例
次に、実施例を挙げ、本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例に使用した五環性トリテルペンとして、エリトロジオール(フナコシ社製)、ウルソール酸(和光純薬社製)、ウバオール(フナコシ社製)、ベツリン酸(フナコシ社製)、ベツリン(フナコシ社製)については、試薬として購入した。HPLCグレードのものはそのまま用い、そうでないものは、沸点まで加熱したエタノールに飽和になるまで溶解した後、冷却して再結晶させたものを濾過、乾固して用いた。マスリン酸については、以下に実例を挙げて説明するが、オリーブ植物から抽出、精製し、純度95%であることを確認したものを用いた。
<製造例1>
国内産のオリーブ(Olea europaea L.)の乾燥果実(種子を含む)500gを破砕し、3Lのヘキサンを加え3時間抽出した。これを4度繰り返した脱脂果実(脱脂粕)について、種子を除去した後、粉砕し、再度5倍量のヘキサンで3時間抽出することで、完全に油分を除去した脱脂粕229gを得た。この脱脂粕に10倍量のエタノール含量が60質量%の含水エタノール水溶液を加え、室温で激しく攪拌しながら3時間抽出した。全量をろ過後、ろ液を濃縮乾固して抽出物112.7gを得た。
この抽出物100gに、水2Lを加え、室温で1時間、激しく攪拌した。全量を遠心分離で処理した後、上澄みはデカンテーションにより除去し、残った沈殿を乾燥して濃縮物10.0gを得た。
次にこの濃縮物を、約40倍量(400g)のシリカゲルを充填したカラムを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分画した。まず、充填したゲルの10倍量(4000mL)のヘキサン:酢酸エチル=3:1の溶離液で雑多な不要分を溶出させた後、さらに2.5倍量(1000mL)のヘキサン:酢酸エチル=1:1の溶離液で雑多な不要分を溶出させた。続いて充填したゲルの10倍量(4000mL)のヘキサン:酢酸エチル=1:1の溶離液で目的とするマスリン酸を溶出させて、粗マスリン酸画分を得た。この画分からヘキサンおよび酢酸エチルを除去後、真空乾燥し粗マスリン酸分画物を1.96g得た。
さらにこの粗マスリン酸分画物を、約30倍量(60g)のオクタデシルシリカゲルを充填したカラムを用いたODSカラムクロマトグラフィーで精製した。まず、充填したゲルの10倍量(600mL)のメタノール:水=8:2の溶離液で雑多な不要分を溶出させた。続いて充填したゲルの30倍量(1800mL)のメタノール:水=8:2の溶離液で目的とするマスリン酸を溶出させて、精製マスリン酸画分を得た。この画分からメタノールを除去後、真空乾燥し精製マスリン酸1を1.51g得た。
ここで、NMR、MS等の解析から、この精製マスリン酸1は、その一部がナトリウム塩およびカリウム塩の状態で、残りの大部分が遊離酸の状態であることを確認した。また、これらの純度をGCで測定し、マスリン酸としての純度が95%以上であることを確認した。
<製造例2>
イタリア産のオリーブ(Olea europaea L.)を搾油し得られた搾油残査(搾油粕)1kgに、10倍量のエタノール含量が65質量%の含水エタノール水溶液を加え、室温で激しく攪拌しながら3時間抽出した。全量をろ過後、ろ液を濃縮乾固し抽出物を20.2g得た。
この抽出物に、n−ブタノール1L、水1Lを加えて10分間攪拌した後、n−ブタノール相と水相に分けた。n−ブタノール相のn−ブタノールを除去後、真空乾燥し濃縮物を13.3g得た。
次にこの濃縮物を、約40倍量(500g)のシリカゲルを充填したカラムを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分画した。まず、充填したシリカゲルの10倍量(5000mL)のヘキサン:酢酸エチル=3:1の溶離液で雑多な不要分を溶出させた後、さらに2.5倍量(1250mL)のヘキサン:酢酸エチル=1:1の溶離液で雑多な不要分を溶出させた。続いて充填したシリカゲルの10倍量(5000mL)のヘキサン:酢酸エチル=1:1の溶離液で目的とするマスリン酸を溶出させて、粗マスリン酸画分を得た。この画分からヘキサンおよび酢酸エチルを除去後、真空乾燥し粗マスリン酸分画物を2.66g得た。
さらにこの粗マスリン酸分画物を、約30倍量(80g)のオクタデシルシリカゲルを充填したカラムを用いたODSカラムクロマトグラフィーで精製した。まず、充填したゲルの10倍量(800mL)のメタノール:水=8:2の溶離液で雑多な不要分を溶出させた。続いて充填したゲルの30倍量(2400mL)のメタノール:水=8:2の溶離液で目的とするマスリン酸を溶出させて、精製マスリン酸画分を得た。この画分からメタノールを除去後、真空乾燥し精製マスリン酸2を2.06g得た。
ここで、NMR、MS等の解析から、この精製マスリン酸2は、その一部が遊離酸の状態で、残りの大部分がナトリウムやカリウム等の塩の状態であることを確認した。また、これらの純度をGCで測定し、マスリン酸としての純度が97%以上であることを確認した。
マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリンの誘導体としては、以下のようにして得た。
<製造例3>
オリーブ油製造工程で得られるイタリア産のオリーブの抽出残渣(搾油残渣をさらに抽出工程で処理した脱脂粕)1kgに、10倍量のエタノールを加え、55℃に加温して激しく攪拌しながら3時間抽出した。全量をろ過後、ろ液を濃縮乾固して、抽出物35gを得た。
次にこの抽出物を、約40倍量(1400g)のシリカゲルを充填したカラムを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供した。まず、充填したシリカゲルの約10倍量(14L)のヘキサン:酢酸エチル=3:1の溶離液で、雑多な不要分を溶出させた後、さらに2.5倍量(3500mL)のヘキサン:酢酸エチル=1:1の溶離液で、雑多な不要分を溶出させ、さらに、充填したシリカゲルの10倍量(14L)のヘキサン:酢酸エチル=1:1の溶離液で、目的とするマスリン酸を溶出させて、粗マスリン酸画分を得た。この画分からヘキサンおよび酢酸エチルを除去後、真空乾燥し粗マスリン酸分画物5.90gを得た。
さらにこの粗マスリン酸分画物を焼く30倍量(180g)のオクタデシルシリカゲルを充填したカラムを用いたODSカラムクロマトグラフィーで精製した。まず、充填したゲルの10倍量(1800ml)のメタノール:水=8:2の溶離液で雑多な不要分を溶出させた。続いて充填したゲルの30倍量(5400ml)のメタノール:水=8:2の溶離液で目的とするマスリン酸を溶出させて、精製マスリン酸画分を得た。この画分からメタノールおよび水を除去後、真空乾燥し精製マスリン酸3を5.36g得た。
ここで、NMR、MS等の解析から、この精製マスリン酸3は、この精製マスリン酸1は、その一部がナトリウム塩およびカリウム塩の状態で、残りの大部分が遊離酸の状態であることを確認した。また、これらの純度をGCで測定し、マスリン酸としての純度が97%以上であることを確認した。
<合成例1> マスリン酸エチル
マスリン酸4.5gとトリエチルアミン1.0gをクロロホルム50mLに溶解し、塩化チオニル1.1gをクロロホルム10mLに溶解したものを、氷冷下、滴下しながら、1時間攪拌した。続いて、エタノール3.2gを加え、トリエチルアミン1.0gをクロロホルム10mLに溶解したものを氷冷下、滴下しながら、3時間攪拌した。反応終了後、クロロホルム溶解分を抽出し、クロロホルムを溜去して得た粗反応物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、マスリン酸エチルエステルを3.5g得た。
<合成例2> 2,3−O−ジ−アセチル−マスリン酸
マスリン酸2.0gをピリジン100mLに溶解し、無水酢酸50mLを加え、一晩攪拌した。ピリジン及び無水酢酸を溜去した後、残留物をエーテルに溶かし、このエーテル相を1N塩酸水溶液で一回、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で一回、純水で3回洗浄した後、硫酸マグネシウムを加えて一晩放置した。濾過により硫酸マグネシウムを除去し、エーテルを溜去して得た粗反応物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、2,3−O−ジ−アセチル−マスリン酸を2.2g得た。
<合成例3> 2,3−O−ジ−トリエチルシリル−マスリン酸トリエチルシリルエステル
マスリン酸1.0gを無水ジメチルフォルムアミド200mLに溶解し、イミダゾール144.0mgおよびトリエチルシリルクロライド350□Lを0□で加え、密栓して2時間攪拌した。ジメチルフォルムアミドを溜去した後、残留物をエーテルに溶かし、このエーテル相を1N塩酸水溶液で一回、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で一回、純水で3回洗浄した後、硫酸マグネシウムを加えて一晩放置した。濾過により硫酸マグネシウムを除去し、エーテルを溜去して得た粗反応物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、2,3−O−ジ−トリエチルシリル−マスリン酸トリエチルシリルエステルを1.5g得た。
<合成例4> 2,3−O−ジ−ステアリルマスリン酸エチル
合成例1で得たマスリン酸エチル1.0gを無水トルエン50mLに溶解し、トリエチルアミン5.0gを加え、さらにステアリン酸クロライド6.0gを氷冷下で徐々に添加しながら、1時間攪拌し、徐々に室温に戻しながら9時間攪拌した。1N塩酸水溶液を適量加え、エーテルで抽出し、エーテル相はさらに飽和炭酸水素ナトリウム溶液で一回、純水で3回洗浄した後、硫酸マグネシウムを加えて一晩放置した。濾過により硫酸マグネシウムを除去し、エーテルを溜去して得た粗反応物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、2,3−O−ジ−ステアリルマスリン酸エチルを1.2g得た。
<合成例5> 3,28−O−ジ−アセチル−エリトロジオール
エリトロジオール5.0gをピリジン250mLに溶解し、無水酢酸100mLを加え、一晩攪拌した。ピリジン及び無水酢酸を溜去した後、残留物をエーテルに溶かし、このエーテル相を1N塩酸水溶液で一回、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で一回、純水で3回洗浄した後、硫酸マグネシウムを加えて一晩放置した。濾過により硫酸マグネシウムを除去し、エーテルを溜去して得た粗反応物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、3,28−O−ジ−アセチル−エリトロジオールを5.4g得た。
<合成例6> ウルソール酸エチル
ウルソール酸5.0gとトリエチルアミン1.1gをクロロホルム50mLに溶解し、塩化チオニル1.2gをクロロホルム10mLに溶解したものを、氷冷下、滴下しながら、1時間攪拌した。続いて、エタノール3.5gを加え、トリエチルアミン1.1gをクロロホルム10mLに溶解したものを氷冷下、滴下しながら、3時間攪拌した。反応終了後、クロロホルム溶解分を抽出し、クロロホルムを溜去して得た粗反応物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、ウルソール酸エチルエステルを3.8g得た。
<合成例7> 3,28−O−ジ−アセチル−ウバオール
ウバオール5.0gをピリジン250mLに溶解し、無水酢酸100mLを加え、一晩攪拌した。ピリジン及び無水酢酸を溜去した後、残留物をエーテルに溶かし、このエーテル相を1N塩酸水溶液で一回、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で一回、純水で3回洗浄した後、硫酸マグネシウムを加えて一晩放置した。濾過により硫酸マグネシウムを除去し、エーテルを溜去して得た粗反応物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、3,28−O−ジ−アセチル−ウバオールを5.4g得た。
<合成例8> ベツリン酸エチル
ベツリン酸5.0gとトリエチルアミン1.1gをクロロホルム50mLに溶解し、塩化チオニル1.2gをクロロホルム10mLに溶解したものを、氷冷下、滴下しながら、1時間攪拌した。続いて、エタノール3.5gを加え、トリエチルアミン1.1gをクロロホルム10mLに溶解したものを氷冷下、滴下しながら、3時間攪拌した。反応終了後、クロロホルム溶解分を抽出し、クロロホルムを溜去して得た粗反応物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、ベツリン酸エチルエステルを3.8g得た。
<合成例9> 3,28−O−ジ−アセチル−ベツリン
ベツリン5.0gをピリジン250mLに溶解し、無水酢酸100mLを加え、一晩攪拌した。ピリジン及び無水酢酸を溜去した後、残留物をエーテルに溶かし、このエーテル相を1N塩酸水溶液で一回、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で一回、純水で3回洗浄した後、硫酸マグネシウムを加えて一晩放置した。濾過により硫酸マグネシウムを除去し、エーテルを溜去して得た粗反応物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、3,28−O−ジ−アセチル−ベツリンを5.4g得た。
実施例1
<前駆型脂肪細胞増殖抑制効果の評価>
マウス由来前駆型脂肪細胞株3T3−L1(ATCC寄託□受託番号CL−173)を、3x105細胞/75cm2組織培養フラスコ(Nunc社製)の密度で、10%牛胎児血清を含むDMEM培地(ナカライテスク社製)にて培養した。対数増殖期後半に入る2日後に、細胞を1x104細胞/0.32cm2マルチプルウェルプレート(Corning Costar社製)の密度で移植し、1%牛胎児血清を含むDMEM培地にて、各トリテルペン類を、表1に記載の濃度になるように加えた状態で48時間培養した。培養開始後44時間目にAlamarBlueTM(Alamar社製)を加え、更に4時間培養した。培養終了後、細胞による酸化還元反応によって生じた蛍光物質を蛍光分光光度計で測定し、コントロール群の蛍光強度と比較することより細胞増殖抑制率を算出した。
(評価基準) トリテルペン類を溶かした溶媒のみを加えた群をコントロールとし、コントロールで得られた蛍光強度を100%とした時の、被検物質添加時の蛍光強度から、増殖抑制率を算出した。すなわち、数式1の通りである。
上記方法によって前駆型脂肪細胞増殖抑制効果を評価した。その結果を増殖抑制率として表1に示す。
表1から、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体の前駆型脂肪細胞増殖抑制効果は、強力な抗肥満効果を有する物質として知られている共役リノール酸と比較し、非常に強いことが分かった。
これにより、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体は、非常に優れた前駆型脂肪細胞増殖抑制効果を享受できることが明らかになった。
実施例2
<前駆型脂肪細胞分化抑制効果及び成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果の評価>
マウス由来前駆型脂肪細胞株3T3−L1(ATCC寄託−受託番号CL−173)を、3x105細胞/75cm2組織培養フラスコ(Nunc社製)の密度で、10%牛胎児血清を含むDMEM培地(ナカライテスク社製)にて培養した。分化抑制効果は、以下の方法で評価した。対数増殖期後半に入る2日後に、1.9cm2マルチプルウェルプレート(Corning Costar社製)に、培養細胞を8x103細胞/ウェルの密度で移植し、4〜7日間培養した後、分化因子を含むDMEM培地と、トリテルペン類を、表2に記載の濃度となるように加えた状態で、48時間培養した。その後、牛胎児血清とインスリンを含むDMEM培地にてさらに8日間培養した。培養終了後、各ウェルに細胞溶解用緩衝液を添加、溶解液中の脂肪量をトリグリセライドG−テストワコー(和光純薬工業社製)で測定することで、脂肪細胞内に取り込まれたトリグリセリド量を割り出し、対象群と比較することにより脂肪細胞分化抑制効果を算出した。また、脂肪蓄積抑制効果は、分化因子共存下での2日間培養後、牛胎児血清とインスリンを含むDMEM培地に交換して添加する際、トリテルペン類を表2に記載の濃度となるよう加えた状態で8日間培養し、培養終了後に分化抑制効果判定同様の操作を行うことで、脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果を算出した。
(評価基準) トリテルペン類を溶かした溶媒のみを加えた群をコントロールとし、コントロールで得られたトリグリセリド量を100%とした時の、被検物質添加時のトリグリセリド量から、分化・脂肪蓄積抑制率を算出した。すなわち、数式2の通りである。
上記方法によって前駆型脂肪細胞分化抑制効果、および成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果を評価した。その結果を分化・脂肪蓄積抑制率として表2に示す。
表2から、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体の前駆型脂肪細胞分化抑制効果、および成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果は、強力な抗肥満効果を有する物質として知られている共役リノール酸と比較し、非常に強いことが分かった。
これにより、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体は、優れた前駆型脂肪細胞分化抑制効果および/または成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果を享受できることが明らかになった。
実施例3
<体脂肪蓄積抑制試験>
体脂肪蓄積抑制試験は以下の方法で行った。ウィスター系雄性ラット(6週齢、平均体重160g)をAIN−93組成の粉末調製飼料で1週間予備飼育した後、平均体重が均等になるように11群(1群8匹)に分け、被験物質(詳細は表4に記載)を1質量%添加した飼料(対照として大豆油を使用)を8週間自由摂取させた。表3に摂取させた飼料の組成を示す。8週間後、各群のラットを解剖し、皮下および内臓脂肪量を測定し、終体重に対する体脂肪蓄積率を算出した。
(評価基準) 大豆油摂取群をコントロール群とし、コントロール群で得られた体脂肪蓄積率を100%とした時の、被験物質摂取群の体脂肪蓄積率から、体脂肪蓄積抑制率を算出した。すなわち、数式3の通りである。
上記方法によって体脂肪蓄積抑制効果を評価した。その結果を体脂肪蓄積抑制率として表4に示す。
表4から、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体は、コントロール群と比較して、有意に(P<0.05)体脂肪の蓄積を抑制した。
これにより、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体は、優れた抗肥満効果を享受できることが明らかになった。
実施例4 錠剤
上記配合比率にて、各物質をよく混合し、この混合物を打錠して一錠300mg錠剤を得た。
実施例5 散剤
上記配合比率にて、まず、精製マスリン酸2と乳糖をよく混合した後、ヒドロキシプロピルセルロースを加えて造粒する。これを乾燥後に製粒し、軟質無水ケイ酸を加えてさらによく混合して、散剤を得た。
実施例6 カプセル剤
上記配合比率にて、各物質をよく混合したものを、カプセルに充填してカプセル剤を得た。
実施例7 ゲル軟膏
次に示す処方及び下記製法でゲル軟膏を調製した。
(製法)
A.成分(1)及び(3)〜(5)を混合溶解する。
B.Aに成分(2)を加え、混合して均一にし、ゲル軟膏を得た。
実施例8 乳液
次に示す処方及び下記製法で乳液を調製した。
(製法)
A.成分(9)〜(13)を加熱混合し、70℃に保つ。
B.成分(1)〜(6)を加熱混合し、70℃に保つ。
C.BにAを加えて混合し、均一に乳化する。
D.Cを冷却後(7)、(8)及び(14)を加え、均一に混合して乳液を得た。
実施例9 錠剤
上記配合比率にて、各物質をよく混合し、この混合物を打錠して一錠300mgの錠剤を得た。
本発明の抗肥満剤によれば、マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上の非常に優れた抗肥満効果を享受することができる。マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上は、特に、前駆型脂肪細胞増殖抑制効果、前駆型脂肪細胞分化抑制効果、成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制効果に優れており、本発明の抗肥満剤によれば、これらの効果を特に享受することができる。
Claims (33)
- マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有する抗肥満剤。
- 次の成分(A)及び(B)を含有する請求項1に記載の抗肥満剤:
(A)マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上;及び
(B)製剤として薬理学的に許容され得る基剤、担体、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、pH調節剤、緩衝剤、安定化剤、可溶化剤、皮膜化剤、希釈剤、泥状化剤、粘着付与剤、乳化剤及び界面活性剤からなる群より選ばれる1種または2種以上。 - 天然原料から抽出されたマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有する請求項1または2に記載の抗肥満剤。
- マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有する前駆型脂肪細胞増殖抑制剤。
- マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有する前駆型脂肪細胞分化抑制剤。
- マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有する成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制剤。
- マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を含有してなる抗肥満剤原料。
- マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上が天然原料から抽出されたものである請求項7に記載の抗肥満剤原料。
- マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を含有してなる前駆型脂肪細胞増殖抑制剤原料。
- マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を含有してなる前駆型脂肪細胞分化抑制剤原料。
- マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を含有してなる成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制剤原料。
- マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を抗肥満剤として使用する方法。
- マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を、前駆型脂肪細胞および/または成熟型脂肪細胞に接触および/または包含させることを含む、前記物質を抗肥満剤として使用する方法。
- マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を前駆型脂肪細胞増殖抑制剤として使用する方法。
- マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を、前駆型脂肪細胞に接触および/または包含させることを含む、前記物質を前駆型脂肪細胞増殖抑制剤として使用する方法。
- マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を前駆型脂肪細胞分化抑制剤として使用する方法。
- マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を、前記物質を前駆型脂肪細胞に接触および/または包含させることを含む、前駆型脂肪細胞分化抑制剤として使用する方法。
- マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制剤として使用する方法。
- マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を、成熟型脂肪細胞に接触および/または包含させることを含む、前記物質を成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制剤として使用する方法。
- マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を抗肥満剤原料として使用する方法。
- 天然原料から抽出されたマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を抗肥満剤原料として使用する方法。
- マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を前駆型脂肪細胞増殖抑制剤原料として使用する方法。
- マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を前駆型脂肪細胞分化抑制剤原料として使用する方法。
- マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制剤原料として使用する方法。
- 抗肥満剤を製造するためのマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を使用する方法。
- 抗肥満剤を製造するための、天然原料から抽出されたマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を使用する方法。
- 前駆型脂肪細胞増殖抑制剤を製造するためのマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を使用する方法。
- 前駆型脂肪細胞分化抑制剤を製造するためのマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を使用する方法。
- 成熟型脂肪細胞脂肪蓄積抑制剤を製造するためのマスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を使用する方法。
- マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有する抗肥大性肥満用および/または抗過形成性肥満用製剤。
- マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有する肥満予防剤および/または肥満治療剤。
- マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有する痩身用製剤。
- マスリン酸、エリトロジオール、ウルソール酸、ウバオール、ベツリン酸、ベツリン、それらの生理的に許容される塩及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上を有効成分として含有する、太りにくい体質への改善剤。
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