JPWO2002093181A1 - 波形検出装置とそれを使用した状態監視システム - Google Patents
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Abstract
周期的繰り返しの無い過渡的な状態変動を特徴化して検出したり、あるいは入力波形を1/fゆらぎ変換を行って出力波形を得ることが出来る信号処理機能を持った波形検出装置およびその装置を利用した状態監視システムを提供する。このため、本発明は、状態変動の兆候を特徴化することを特徴とする波形検出装置において、演算処理部のデジタルフィルタ演算手段に複数のデジタルフィルタを設け、非整数n回積分の式から導かれる係数パターンを乗算係数パターンの素パターンとし、少なくともこの素パターン、入力信号データ、あるいはデジタルフィルタ出力のいずれかの位相を変更する変更手段(位相合わせパラメータ手段)を設け、素パターンを用いたデジタルフィルタの出力の合成が、特徴抽出処理機能の一部の位相が変化した状態で得られるようにしたことを特徴とする。
Description
技術分野
本発明は、周期的繰り返しの無い過渡的な状態変動を特超過して検出したり、あるいは入力波形を1/fゆらぎ変換を行って出力波形を得ることが出来る信号処理機能を持った波形検出装置およびその装置を利用した状態監視システムに関するものである。
背景技術
状態監視システムにおいて時系列データの中から兆候を探す方法として、コンピュータの発達によって実用化されたウェーブレット技術を用いる方法がある。ウェーブレットは、フーリエ変換に比べてスペクトルを解析する精度については劣る。しかし、ウェーブレットは、フーリエ変換に比べて動的な分析が可能であり、時系列データや画像などのスペクトルの変化をより的確に掴まえることができるという特徴がある。このため、現在では時系列データの兆候の検知や、画像データの画像認識などに広く利用されている。
図37、38に従来公知のウェーブレット技術を用いた波形検出装置(以下ウェーブレットシステムと呼ぶ)の構成を示す。このウェーブレットシステムは図示のごとく、センサ、信号入力部、演算処理部、判定部、出力部から構成されており、入力信号データを演算部で処理し、波形検出ができるようになっている。
図37において、信号入力部はセンサからの出力データを収集するための変換器、A/Dコンバータ、メモリ、データ切り出し手段から構成されている。センサからの計測値はA/Dコンバータでデジタルデータに変換される。また、メモリでは入力信号をファイルし、演算処理部の処理の進行に合せてデータを切り出し、演算処理部に計測入力信号データ(Ij)を創出する。
演算処理部は、信号処理部と複数のデジタルフィルタとパラメータ設定手段により構成されるデジタルフィルタ演算手段とその出力を統合する合成部とを備えている。演算処理部に設けた信号処理部は必須構成部ではなく、必要に応じて設けるもので、個々では、入力信号のノイズ処理やデータの正規化、複数データの分配を行う。
図39、40を参照して前記演算処理部のデジタルフィルタの仕組みを説明する。デジタルフィルタは、図37に示すように入力信号データを記憶し遅延させる遅延メモリと乗算係数パターンを貯える乗算係数パターンメモリを備えている。また、前記パラメータ設定手段は図38に示すようにフィルタパラメータ設定手段と乗算係数パターン設定手段を備えている。また、この演算処理部では、デジタルフィルタに遅延メモリが設けられる。
デジタルフィルタは、図40に示すように、遅延メモリに入力される入力信号とあらかじめ設定される乗算係数パターンとの積和を取って出力とする。乗算係数パターンの形状と近似する波形が入力信号に混じっているときに出力値が大きくなる。図39に示すように、新しい入力信号データが入力されて遅延メモリ内のデータは順送りされるので、フィルタの出力はその時点の特徴を時間の変化とともに出力できる。よって、この出力の配列は、ある時間の各成分の強度分布であり、その信号の特徴と見ることが出来る。その特徴の組合わせが、特定の時系列データのパターンやシンボルコードの形状と関連付けられていれば、時系列データの状態の変動をあらわす兆候を検知したり、画像のシンボルやコードを識別し切り出すこと、あるいは信号をデジタルフィルタに入力し、入力信号のゆらぎ成分の一部を強調することによって入力波形の推移を予測することが出来る。
図46に一般的なデジタルフィルタ演算処理部による入力信号処理の実例を示した。同じ入力信号に対して、3種類のデジタルフィルタでの積和演算と、それらの和をとり合成部にて出力の合成を行う。ここでは、それぞれのフィルタ形状が異なり、波形の特長を抽出したそれぞれ3種類の出力の和を取ることにより、波形検出を行っている。
図37中の判定部は、演算処理部から出力された合成出力(デジタルフィルタ出力)を閾値と比較して大小判別を行い、判別結果(Ds・j)を得る機能を備えている。出力部では判定部からの判別結果を画面出力したり、接点出力を介して警報ランプなどの警報手段を作動させる。
ウェーブレットシステムでは、図41のような複数のデジタルフィルタの乗算係数パターンを基本パターンと呼ばれる関数のパターンに合せる。このパターンを基本にして周波数成分の強さの識別を目的として、異なる複数の周期の短い相似形パターンを作る。基本パターンの形状によって、信号からどのような成分を抽出するかが決まる。この相似形パターンを乗算係数パターンの列の長さによって異なる周波数帯域のフィルタとなる。さらに乗算係数パターンが、積分や微分など信号処理の性質を決めるので基本パターンが決まれば、その相似形である乗算係数パターンを持つ複数のデジタルフィルタは、周波数帯域だけが異なる同じ信号処理を行うものとなる。ウェーブレットシステムでは入力信号との相関を掴むための乗算係数パターンの基本パターンのスケール(時間軸上の長さ)が、それぞれの周波数の数波長分の長さであることから、多くのデータ数が必要な高速フーリエ変換技術に比べて、比較的、短時間(端区間)のパワースペクトルを分析する能力を持つことができる。
図42は、入力信号に対して、従来のウェーブレットで使用する乗算係数パターンを使用してデジタルフィルタ出力を求めた例である。ウェーブレットは通常、特徴化したい最低周波数の波長の数倍のスケールを持つ。乗算係数パターンの列の中央位置に基準時間がおかれ、左右に同じ位相でパターンが展開する形式となっている。このため入力信号を順次遅延させながら記憶する遅延メモリの中央に入力信号が到達し、乗算係数パターンの列の中央の係数と内積が取られる時点で、何がしかの有効な出力が得られるようになる。したがって、このような乗算係数パターンで入力信号データを識別する場合、その長さに比例する検出の遅れが存在する。
又、ウェーブレットは、一定時間持続する周期性のある信号処理に向いているため、これまで、ある程度の長さをもった音声や振動、またはある程度の距離に含まれるテクスチャ(画質、基本的な模様)分析に利用されてきた。しかし、時系列データに埋め込まれている兆候は振動成分を伴っていない場合が多い。したがって、乗算係数パターンのスケールが大きいほど時系列データの全体と兆候の存在する部分のテクスチャの差は少ないため、過渡的な減少を掴まえることが困難である。繰り返しの少ない振動や小さな領域の画像などの非周期的な信号処理の分析に用いるときには、上記のスケールの大きさが問題となってきた。すなわち、ウェーブレットでは後の説明でも使用する図31に示す入力信号にあるような一度だけのパルス音を特徴化することは困難である。つまり減衰カーブ、特定音のうねりに着目するので、音の余韻による識別が精度よくできない。又図42のように入力信号と立ち上がりと立下りの波形の形状が異なる場合に、立ち上がり部分の波形だけ識別することは困難であるため、波形(a)正常と波形(b)異常の識別が出来ず、波形(c)正常に強く反応してしまっている。
一方、上記とは別に、現在、入力波形を1/fゆらぎ変換を行うことで、人に優しい制御を実現する研究が種種なされている。こうした従来の1/fゆらぎ波形発生器の例として図43に示すものがある。この例は、フィルタの特性を一般的なローパスフィルタ(LPF)とハイパスフィルタ(HPF)とし、それを組合わせて近似的に1/fゆらぎ波形を出力する例である。ランダム波形を入力し、ハイパスフィルタにかかる係数を調整すれば1/fゆらぎ波形を出力させることができる。すなわち、通常ローパスフィルタの特性は−2以上の傾きで減衰する。目的とする1/fゆらぎの傾きは−1である。この2以上の傾きとなるハイパスフィルタに係数kを乗じたフィルタを並列に組合わせフィルタセットとする。係数kの調節によってほぼ−1の傾きが得られる。この特性を広い周波数領域に拡大するためには、帯域の異なるフィルタセットを直列に接続する。
しかし、この方法では、目的とするフィルタを電気的素子で構成することができるものの、その場合精度のよい演算増幅器などを必要とし、これを製造する費用が大となるという問題がある。元のままを構成するには上記ハードウェアによるフィルタを前記デジタルフィルタとした上でフィルタセットを構成すれば比較的簡単に実現できる。たとえば、ローパスフィルタの乗算係数パターンに後の説明でも使用する図29に示す(A)従来の乗算係数パターンを用いることが出来る。同様にハイパスフィルタも構成できる。しかし、ローパスフィルタとハイパスフィルタでは入力と出力の変化の時間差つまり位相のずれが異なるので、両者の乗算係数パターンを合成してひとつの乗算係数パターンとすることが困難であり、又係数kの値を換算したハイパスフィルタの乗算係数パターンを作成してから、両者を合成することはさらに複雑な手段を要する。
さらに従来行われている別の方法は1/2回積分である。ランダム関数などを用いて得られるランダムな数列を入力とし出力のパワースペクトルを1/fゆらぎに近似する方法であり、書籍(インテリジェント制御システム(ファジー・ニューロ、6A・カオスによる知的制御)、共立出版(株)、田中一男著)にその詳細が記載されている。前述のローパスフィルタのうち積分回数が1に等しい1次遅れのデジタルフィルタではその出力のパワースペクトルの傾きは−2である。傾き−1のパワースペクトル変換を行う方法は積分回数を1以下に減らしランダム数列を平滑にすることにある。図44は8タップのデジタルフィルタによる1/2回積分の乗算係数パターン(a)とその変換出力図同(b)、(c)である。又、図45も同様8タップのデジタルフィルタによる1/3回積分の乗算係数パターン(a)とその変換出力図同(b)、(c)である。両方共に積分回数は1回以下であるが、傾き−1の滑らかな1/fゆらぎ特性を得るためにはタップ数を大きく取る必要があり、デジタルフィルタのタップ数を少なくするとパワースペクトルのカーブは滑らかにならない。
そこで、本発明は、
a.従来のウェーブレットの考えとは逆に周波数分離特性を犠牲にした代わりに、位相特性(うねりなどの変異を察知する能力)を最大限に出来るように工夫する。
b.複数のフィルタの位相遅れ(検出時間のずれ)のタイミングを合せて判断する。
ことにより、従来のウェーブレットシステムが有する問題点を解決することを目的とする。
また、デジタルフィルタの乗算係数パターンのパターン設定、パターン形状を数式を使用しソフトウエアで求めることにより、上記従来の1/fゆらぎ変換の問題点を解決することを目的とする。特にデジタルフィルタは信号をデジタルフィルタに入力し、入力信号のゆらぎ成分の一部を強調することによって入力波形の推移を予測し出力することが可能であることに着目し、デジタルフィルタを利用して1/fゆらぎ波形など特定の波形を出力するために、非整数n回積分の式を利用するようにしている。
本発明では、音や振動など、時系列のデータの一度のうねりや、単発のパルス(脈動)の一つ一つの性質を見分け、結果として予知診断や、商品の良否判定を行うことができる。あるいはランダム波形を入力として、1/fゆらぎ波形などの周波数成分分布を持った特定の波形を出力することができる。従来もこのような方向の技術として、うねりやパルス波形を折れ線で近似した後に、折れ線座標を入力としてニューラルネットワークでパターンの違いを識別するものがあった。しかし、この方法では、処理の手順と計算負荷が大きいために、システムコストがきわめて大きくなり、かつ、ゆっくりしたパルスを処理することはできるが、リアルタイムでの処理は不可能であった。これに対して、本発明では、急峻で高い周波数の音域の成分を含むパルス音から、きわめて周期の長い長期間で変化がわずかずつ現れる時系列データにいたるまで広範囲の波形の特徴化を、複雑でない処理手順により、行うことができる。又本発明は上記波形変換装置内に組み込まれたデジタルフィルタを有効に利用することで1/fゆらぎ波形など特定の波形を容易に出力できる。
発明の開示
このため本発明が採用した技術解決手段は、
センサと、信号入力部と、前記信号入力部からの出力信号に基づいて信号データの特徴化をする機能を持った演算処理部と、演算処理部からの出力に基づいて波形の特徴を判定する判定部と、判定部の判定結果を出力する出力部とを備えている波形検出装置であり、前記演算処理部は、デジタルフィルタ演算手段と、位相合せパラメータ設定手段と、合成部とを有し、さらに前記デジタルフィルタ演算手段は、入力信号を記憶し遅延させる遅延メモリと乗算係数パターンを蓄える乗算係数パターンメモリを備えたデジタルフィルタとパラメータ設定手段とを有し、前記パラメータ設定手段は、乗算係数パターンを設定する乗算係数パターン設定手段とフィルタパラメータ設定手段とを有し、前記デジタルフィルタ演算手段は信号入力部より入力される入力信号データを前記デジタルフィルタに接続し前記両メモリの内容の積和を算出し出力する機能を有し、前記デジタルフィルタ演算手段の出力を合成部にて融合した合成出力から状態変動の兆候を特徴化することを特徴とする波形検出装置において、前記演算処理部のデジタルフィルタ演算手段に複数のデジタルフィルタを設け、非整数n回積分の式から導かれる係数パターンを乗算係数パターンの素パターンとし、少なくともこの素パターン、入力信号データ、あるいはデジタルフィルタ出力のいずれかの位相を変更する変更手段(位相合わせパラメータ手段)を設け、素パターンを用いたデジタルフィルタの出力の合成が、特徴抽出処理機能の一部の位相が変化した状態で得られるようにしたことを特徴とする波形検出装置である。
また、信号データの特徴化をする機能を持った演算処理部と、パラメータ入力部とを備えた波形検出装置であり、前記演算処理部は、デジタルフィルタ演算手段と、パラメータ入力部を有し、さらに前記デジタルフィルタ演算手段は、入力信号を記憶し遅延させる遅延メモリと乗算係数パターンを貯える乗算係数パターンメモリを備えたデジタルフィルタとパラメータ設定手段とを有し、前記パラメータ設定手段は、パラメータ入力部を介して乗算係数パターンを設定する乗算係数パターン設定手段とフィルタパラメータ設定手段とを有し、前記デジタルフィルタ演算手段は入力部より入力される入力信号データを前記デジタルフィルタに接続し、前記両メモリの内容の積和を算出し出力する機能を有しており、前記乗算係数パターンに単調減少または単調増加な傾きを持ったパターンを用いるようにし、そのデジタルフィルタ演算手段の出力を変換出力とすることを特徴とする波形検出装置において、前記乗算係数パターンを、非整数n回積分の式より導かれるパターンを乗算係数パターンの素パターンとし、周波数応答のパワースペクトルの傾きが一部の周波数帯域で1あるいは−1の傾きとなるよう積分回数nを用いてデジタルフィルタの出力を調整できる特徴とする波形検出装置である。
さらに、上記した構成からなる波形検出装置を利用し、信号入力部からの入力信号データの中から波形の特徴を抽出し、前記特徴化した波形を元に入力信号の状態を判定し、判定結果を表示できるようにしたことを特徴とする状態監視システムである。
発明を実施するための最良の形態
以下本発明の信号処理機能を持った波形検出装置及びその装置を利用した状態監視システムの好ましい実施形態の説明をする。図1は波形検出装置にかかわる本実施形態の構成図である。波形検出装置は図に示すごとく、センサ、信号入力部、演算処理部、判定部、出力部とから構成されており、これらのハードウエアについては、前述したウェーブレットによる波形検出装置と同じものを使用している。以下、改めて各構成部分の特徴的な構成を説明をしておく。
信号入力部はセンサ出力データを収集するための変換器、A/Dコンバータ、メモリから構成されており、センサからの計測値をデジタルデータに変換し、さらに、メモリでは入力信号をファイルとし、演算処理部の処理の進行に合せてデータを切り出して、演算処理部に入力(計測)信号データ(Ij)を創出する機能を備えている。尚、リアルタイムで信号を処理する場合には必ずしも前記メモリを必要としない。この場合には、リアルタイムで計測されるデータをデジタル化し、直接演算処理部に送出する。
演算処理部は、信号処理部と、複数のデジタルフィルタとパラメータ設定手段とにより構成されるデジタルフィルタ演算手段と、その出力を統合する合成部と、位相合わせパラメータ設定手段とにより構成されている。なお、信号処理部は必須構成部ではなく、必要に応じて設けるもので、個々では、入力信号のノイズ処理やデータの正規化、複数データの分配を行う。
又、前記デジタルフィルタは、入力信号を記憶し遅延させる遅延メモリと乗算係数パターンを貯える乗算係数パターンメモリを備えており、さらに前記パラメータ設定手段は図2に示すようにフィルタパラメータ設定手段と乗算係数パターン設定手段を備えている。この演算処理部では、デジタルフィルタに位相メモリが設けられ、位相合せパラメータ設定手段によって位相メモリの遅延時間動作が決められる。そして、複数のデジタルフィルタの出力を個別に遅延させて位相を合せた上で、合成部で波形を合成する(Dt・j)。
デジタルフィルタ演算処理部による入力信号処理をした実例をしめす(前記図46参照)。同じ入力信号に対して、3種類のデジタルフィルタでの積和演算と、それらの和をとり合成部にて出力の合成を行う。ここでは、それぞれのフィルタ形状が異なり、波形の特長を抽出したそれぞれ3種類の出力の和を取ることにより、波形検出を行っている。
又、上記複数のデジタルフィルタを用いて各々のデジタルフィルタの乗算係数パターンに素となるパターン(以下素パターンという)を用いるようにする。この素パターンの位相、タップ数及び係数の和の値をパラメータとして乗算係数パターン形状を決定する。これらの素パターンを用いた複数のデジタルフィルタの出力を上記合成部にて波形を合成する方法と、あるいは素パターンそのものを合成し、ひとつの新たな乗算係数パターンとした後にひとつのデジタルフィルタに設定する方法とが可能で、両者はまったく同じ波形変換効果を得ることが出来る。このように素パターンをあらかじめ合成して用いる変換装置ではすでに位相合せ処理と波形合成処理が合成された新たな乗算係数パターンの中に仕組んであるため、両者は必須の構成である。判定部では、演算処理部から出力された合成出力を閾値と比較して大小判別を行い、判別結果(Ds・j)を得る。出力部では判定部からの判別結果を画面出力したり、接点出力を介して警報ランプなどの警報手段を作動させる。
上記合成パターンの作成方法を図36のフローチャートを参照して説明する。
このフローチャートは、素パターン(JK1)のパラメータを入力して、素パターンを演算により求め、入力された素パターンより合成した合成パターン(jk0)を作成する方法である。
ステップS1:JK0(合成パターン)を0(ゼロ)クリアする。
ステップS2:素パターンの指定が終了するまで▲1▼のループを繰り返す。
ステップS3:ファイル入力かどうかを指定する。但しメモリなどに素パターンがある場合はメモリ指定でもよい。
ステップS4:後述する図7の素パターンのパラメータである底辺(タップ数)を入力する。
ステップS5:同図7の素パターンのパラメータである積分回数nを入力する。
ステップS6:同図7の素パターンのパラメータの極性(+,−)を入力する。
ステップS7:合成パターンを作る際のずれを入力する。
ステップS8:ステップS4〜ステップS7で指定された素パターンのパラメータより,直線近似して素パターンを算出してJK1へ設定する。
ステップS9:素パターンをファイルから読み込んでJK1に設定する。または別のメモリ上にある素パターンをJK1へコピーする。
ステップS10:i=1かどうかを判断する。
ステップS11:JK0(合成パターン)にステップS4からステップS9で指定または作成した素パターン(JK2)を加算する。
ステップS12:カウンタIを1加算する。
ステップS13:必要であればステップS1〜ステップ12で作成したJKφをファイルに保存する。
こうして合成パターンを得ることが出来る。
上記演算処理部の内部構成についてさらに詳細に説明すると、図3(a)はデジタルフィルタ演算手段を構成するデジタルフィルタ機能の図であり、図3(b)(c)は同(a)に示すデジタルフィルタを使用して演算処理部を構成した例である。
デジタルフィルタDf1には入力信号データIj、乗算係数パターンP1、フィルタパラメータ、クロック信号が入力され、演算処理されてデジタルフィルタ出力(O1・j)が出力される。
入力信号データIjは時系列データのような配列を持ったデータであり、乗算係数パターンは後述する方法によって求めたパターン信号であり、フィルタパラメータは前記フィルタパラメータ設定手段より設定されるデータ入力であり、各デジタルフィルタのフィルタタップ数、乗算係数パターンデータ及び合成部に与えられる合成重みパターンデータなどからなる。又、本例では、フィルタパラメータ以外に位相合せパラメータが位相合わせパラメータ設定手段から与えられる。
位相合せパラメータは、各デジタルフィルタにデジタルフィルタの遅延メモリとは別に付随する位相メモリDIの遅延時間を指示する。簡単な方法としては、位相メモリのタップ数をパラメータとするものである。パラメータによってタップ数が設定されたとき、クロックをカウントするカウンターを設け、デジタルフィルタ出力を一時記憶しておき、クロックカウンターが設定タップ数と等しくなったら一時記憶した出力を遅延出力として出力する。
デジタルフィルタの特性は、乗算係数パターンのみによって決まっているので、入力信号が時間的に遅延した場合は、遅延しない入力信号が与えられた場合と比べ、フィルタの出力が、この遅延時間分だけ送れて、同一の出力が得られる。このため、上記位相メモリDIは図3(b)に示すようにデジタルフィルタDfの出力側に設けても、図3(c)に示すように入力側に設けても機能上の差は無い。
以上のハードウエアについては、従来のウェーブレットによる波形検出装置のものと全く同じ構成となっている。
続いて本発明の特徴であるデジタルフィルタの乗算係数パターンの設定の仕方について説明する。本発明では数式を用い乗算係数パターンをモデル化し、乗算係数パターンの設定を、ソフトウエアによって行うようにした点に特徴がある。
以下、一例として周期的繰り返しの無い過渡的な状態変動を特徴化するための乗算係数パターン設定について説明する。また乗算係数パターンは、図1の演算処理部のパラメータ設定手段にあらかじめ入力された数列を、各デジタルフィルタの乗算係数パターンメモリに転送して用いることもできる。パターンの変更はデジタルフィルタの特性を変えるので、通常システム稼動時に更新されるか、あるいは、半固定的な状態で用いられる。
図4で乗算係数パターンの設定手順を示す。尚、図4は横軸が時間tであるので、右側がより新たな時間の状態に対応していくことになる。図4(a)は従来のデジタルフィルタをバンドパスフィルタとして用いるときに使用される代表的なパターンを連続的なグラフとして表現したものである。実際にはデジタルフィルタのタップ数がn個と設定されれば図4(a)を時間方向にn分割された位置の値を数列として取り出し、乗算係数パターンとする。図4(a)に示す1サイクルの周期tcがフィルタの周波数特性を決める。図4(a)のパターンを用いるとf=tc/2πの周波数の波形を選択的に抽出するフィルタとなる。
ところで、本発明者は、乗算係数パターンの作成方法として特開平10−260066号に示したものを提案している。この乗算係数パターン作成方法は、コンピュータの画面上で、図4(a)の波形から図4(b)に示すごとく過去の部分を残すように中心側より左半分の波形を切り出し、右側の波形を削除する。次に図4(c)の(1/4)tcに相当する時間軸との交点までを残し切り取り、その他の部分を削除する〔図4(d)〕。図4(d)は基本波の1周期の1/4だけを残した波形で、周期的な振動成分は残されていないが、基本波の立ち上がりの形状が残されている。この波形の右端(図の中心)は時間的に最も新しい部分となり、計測データが入力信号として与えられたとき、その最新データとの演算に用いられる。図4(d)の立ち上がり形状をデジタルフィルタの乗算係数パターンとして用いると入力信号の波形が基本波形の立ち上がり形状と同じであれば出力つまりマッチングの結果は最大となり、立ち上がりが異なれば出力値が低下する。立ち上がり形状の差異で出力値が変化するのでこのような形状のパターンを設定したデジタルフィルタは基本波形から位相差を検出して出力するフィルタということができる。図4(d)のパターン形状をそのまま用いてもよいが、特開平10−260066では、図4(f)のように底辺がta(=1/4tc)の一本の直線によるパターンを決め、これを素パターンとして、さらに抽象化し、単純化した素パターンを作成し、この複数の位相組合わせによって目的とする位相差検出を行わせている。
しかしながら、上記のようにコンピュータの画面上で図形を切り出し図4(f)(g)のように乗算係数パターンを設定する方法では、複数の素パターンの線形和を取ることによりデジタルフィルタの出力を合成部にて波形を合成する場合に、
a.設定に用いる素パターン形状に関するパラメータ数が2×(素パターンの数)だけ必要であり、最少でも4個のパラメータを用いてオペレータがフィルタパターン作成する場合に、試行錯誤の回数が多い
b.デジタルフィルタの主な周波数特性を決定するタップ長を決めても、複数個のパラメータの組合わせで形状が変化するため、フィルタ形状即ちデジタルフィルタの特性の推測および決定が容易でない。
という不都合がある。
このため本発明では以下のように数式を用いることにより種々の検出波形に合わせた乗算係数パターンを簡単に得ることができるようにしている。この方法を図5を参照して説明する。
本発明では、非整数n回積分の式より乗算係数パターンの素パターンを計算し導出する。
非整数n回積分の式は次のように表される。
ここで
φ(t):入力波形
Γ(n):既知のn次Γ関数で
と表せる。
式(1)の右辺のφ(t)に掛かる係数τ^(n−1)が、τを時間変数として
、入力波形に対して内積を取る乗算係数パターンの概形
にあたる。その概形は図5に示すように、積分回数nがn<1のとき単調減少かつ下に凸の形状である。なお図5では積分回数nを0.5とした。
またn=1のとき積分区間で1、それ以外の区間で0の値をとるステップ関数状である。
これまでの1/fゆらぎ変換を行うデジタルフィルタについて次のような課題が有る。すなわち、非整数回積分によるデジタルフィルタは、FFTスペクトルにて傾き−1の滑らかな1/fゆらぎ特性を得るためにはタップ数を大きく取る必要があった。
また、デジタルフィルタ出力の時間遅れを小さくし、演算処理の負荷を小さくする目的のためにタップ数を少なくした場合には、0に漸近する側の端点が滑らかに0に近づかず、端点で急に0となる。このような場合、デジタルフィルタ特有の偏った減衰が発生する。このため、パワースペクトルのカーブが滑らかにならない。この課題を解決するために、図5中に示す端点処理1次式
y1=1−(1/L)(τ−1) −−−−(4)
但し、L:フィルタタップ数
とy0との積
y=y0×y1 −−−−(5)
をとり、図5中に示すようにy1が0に滑らかに近づく、式(2)に準じた下に凸の概形を持つ関数yを得ることができる。式(5)の関数yの時間軸上各点の値を乗算係数パターンに代入することによって素パターンを得る。
n<0の場合は、数学上の意味は無いが、デジタルフィルタの形状をさらに急激に0に近づけることができ、本発明において有効である。
また図6に積分回数nによる素パターン形状の違いを示した。nが0から−1の範囲の例を示したが、nの値によりフィルタの係数パターンの形状が一義的に決まり、nとフィルタのタップ数の二つを変えることにより検出しようとする波形に対して形状および周波数特性の調整が容易にでき、オペレータによる調整の試行錯誤回数も少ない。またnの値は(3)の式で発散する側を漸近的に0に近づける処理が施されていれば、デジタルフィルタの係数パターンの形状のうえでnの値の制限はない。
この素パターンは極性の+(プラス)側のみで構成されている。デジタルフィルタの入力信号として、ある時点より0から1に値が変化してそのままとなるステップ状の入力信号波形を入力すれば、この素パターンとの積和は入力信号が一定時間1として持続した後は出力が有限の値で全ての係数に1を乗じて和を取った値となり、その値が持続する。
よって上記素パターンは一種の部分積分をデジタルフィルタの長さ(=区間)の範囲で行ったものといえる(積分特性パターン)。同様に逆の傾きを持ったパターンあるいはそれらの極性をマイナスとしたパターンも、同じく素パターンとなりその特性は上記と同様に積分特性をもつ。同じ入力を用いて出力が0となるような微分特性を持たせるためには、たとえば図4(g)のように素パターンを対照的に配置し、全体の係数の総和がゼロに等しくなるようにすればよい(微分特性パターン)。この時(−)側の負荷パターンはたち下がり特性を示し、その長さが同じtaであれば、立ち上がり、たち下がり共にtaで決まる基本周波数との位相差を検出するフィルタとすることができる。
図7、8は図4(f)と(g)のパターンを乗算係数パターンとして設定したときのパターンの順序を示すもので、図の左側ほどより新たな時間に対応する部分となる。図7は積分特性の、図8は微分特性を有する乗算係数パターンである。図9はテスト用の入力信号データの波形3種である。3つのサンプル波形は幅を増大させると共に立ち上がり、立ち下りの傾きをゆるくなるようにしてある。なお、以上の乗算係数パターンの設定は前述した数式を用いてソフトウエアで行う。
図10は図9のテスト用入力信号データを入力に用いて、図7、8の積分特性パターンとした2種類のデジタルフィルタの出力波形をあらわしている。積分特性パターンを持つフィルタの出力は入力波形に対し、時間遅れを伴いながら立ち上がり、一定値に達して持続し、入力波形の立下りに対してやはり時間遅れをもって緩やかにたち下がってゆく。波形の時間遅れは一時的にデジタルフィルタに入力信号の一部が蓄積されたと同じ作用で、部分的積分を意味する。このような作用は電子回路に用いられる低域通過型(ローパス)フィルタと同じ特性であり、ノイズ除去や入力信号の平滑化に用いることが出来る。
次に微分特性パターンを持つフィルタ出力は、入力信号の立ち上がりに反応し、鋭いパルス出力があり、入力の立ち上がり字には不の鋭いパルス出力がある。入力が一定で持続すれば出力はゼロとなり入力の立ち上がり立下りを傾きが大であれば出力も大となるように微分特性を持った傾き検出の作用を持つ。図4(a)のような従来の乗算係数パターンと本発明のパターンの差を明らかにするため、図11に示すテスト用の乗算係数パターンを用いる。図でも明確なように従来例では図4(a)よりも簡略化したにもかかわらず、デジタルフィルタのタップ数は29を必要とし、本発明では7タップと約1/4以下の短さで動作する。
図9のテスト用入力信号に対し、従来の乗算係数パターンと本発明の乗算係数パターンを用いたときのデジタルフィルタの出力を図12に示す。時間は1クロック毎に演算され、入力信号はそのたびに1タップ分遅延メモリ上を動く。従来例では出力波形が振動を繰り返しているが、本発明では入力の変化に対しひとつのパルス上の波形出力となる。
以上のように本発明ではデジタルフィルタのタップ数を大幅に減じることができ、情報処理負荷を軽減することができ、入力の変化に対する検出の遅れを改善でき、さらに単一のパルス出力となるので判定がしやすくなるなどの利点がある。
図11に示す本発明の乗算係数パターンは次のようにして二つの素パターンの合成で作ることが出来る。図13(a)、(b)の二つの素パターンを時間(=タップ数)taずらして合成すれば図13(c)の微分特性パターンが作成できる。同様にしてtaより小さな値だけずらせば図13(d)のようになる。時間(=タップ数)をある値ずらすという操作は、位相メモリによって一定時間、一時記憶して出力することと同じ意味を持つ。
ここで素パターンを予め合成した場合と出力を合成した場合について図14を参照して説明する。
ひとつは図14(a)に示すごとく、素パターンをあらかじめ合成して、ひとつの乗算係数パターンを設定することが出来る。また図14(b)、(c)に示すように、素パターンを持つデジタルフィルタの入力あるいは出力のいずれかに位相メモリを設けて出力側にて合成出力を得ることもでき、上記(a)(b)(c)の方法とも、全て結果は等しくなる。図15の乗算係数パターンは図13に示したような合成法に基づいて傾きが0.5で長さが8,17の二つのパターンを合成し新たな乗算係数パターンとしたものである。
図16は上記合成パターンを用いてパルス上の入力信号波形の形状を特徴化する過程を説明している。図中t1、t2は実在しない波形で乗算係数パターンを時間経過毎に2つ図に投影しプロットしたものである。デジタルフィルタに入力信号が順次取り込まれることは、図16の上では乗算係数パターンが順次右へ移行してゆくことに等しい。パターンの右端の位置がデジタルフィルタの最新入力となる。t1の時点では入力信号がゼロで乗算を行う状態に無い。t2の時点では4つの位置で乗算を行うことが出来、その総和が出力の220となっている。
図17は図16の出力を連続的にプロットしたものである。この乗算係数パターンと入力信号の関係では、入力の立上り区間が短いため乗算係数パターンとの積和が最大になるのは入力のピークを多少過ぎたときになる。同様にして負の積分特性パターン(図18)、特殊形状の微分特性パターン(図19)を作ることができ、以上の合成されたパターン3種を用いて図20の4つの波形を識別できる例を以下に示す。それぞれの特性パターンの性質は、入力波形の形状に対して異なる応答を示す。どのパターンが入力の立ち上がりの急峻なときに大となるか、それらの特性を把握してから識別のための組合わせを作る必要がある。
図19に示す微分特性パターンを用いて図20の入力信号の特徴化を行った結果を図21に示す。図21から明らかなように、立ち上がり、たち下がり共に急峻で傾きが大きいほど出力が鋭く強く出ている。このような出力の違いを3つの特性パターンに試したものが図22である。3種の特性パターンの出力をそれぞれ積分P−1(パターン)、積分P−2、微分pと名付ける。ここで考える組合わせ方法は、時間上でずらす方法か波形の符号を反転させえるかである。符号反転は位相を180°ずらすことと同じ意味で、いずれも位相上での操作である。
図22を見れば、入力波形1を識別するためには、立ち上がりを特徴化している微分Pの適用時間を10(10タップ分の時間)遅延させえ、ゆるい立下りで大きな出力となっている積分P−2を符号反転して合成させればよいことが分かる。この結果は図23に示すように入力波形1に対して最大となる出力が得られる。また入力波形2を識別させるためには、微分Pを8(8タップ分の時間)遅延させ、微分Pの負のピークの符号を反転させ合成させる。この結果を図24に示す。さらに入力波形3を識別するためには、積分P−1を8(8タップ分の時間)遅延させ、微分Pの負のピークの符号を反転させ合成させる。この結果を図25に示す。
以上の入力信号の波形1、2、3、4の識別を行う機能の構成を図26に示す。なおデジタルフィルタの出力(正)は正規の出力であり、出力(判)は符号反転出力である。
又、波形1、2、3、4以外に識別する波形が無い場合には図26の波形4検出の機能は不要となる。以上の説明は合成部での合成を二つのデジタルフィルタ出力あるいは遅延出力の1:1の合成としている。
各デジタルフィルタの特性の差が特徴をうまく識別できるパターンとあまり識別に寄与できないパターンとに分かれた場合には、それに比例した重みを乗じた後に合成すればよい。この説明を図27を参照して行う。尚全ての特性パターンを素パターンに戻しておいて素パターンの乗算係数パターンの持つ複数のフィルタ群の出力の遅延や反転などの位相合せと合成とを行ってもよい。合成重みパターンは各デジタルフィルタ出力あるいはその遅延処理後の遅延出力0di・jの加重平均を取るために用いられる。遅延出力0di・jに重みwiが乗じられた後、全ての和を取って重みの総和w1+w2+w3+w4−−=Σ(wn)(n=1〜i)で除算される。
システムアプリケーションの種類によって重みの用い方が異なる場合があり、単に重みを乗じて和を求める総和演算やそのほか相乗平均などの処理にも利用できる。
図28に示すように、融合した合成出力を判定部で判定する前に、各デジタルフィルタの出力01,j〜0j,jをそれぞれ判定するための判定機能を設ける方法とすることができる。入力信号の波形が、音声の音素や電波の信号のように意味を持った信号のつながりである場合、その音素や信号を特徴化して、閾値との大小判定をして音素を確定し、この結果を位相メモリに一時記憶し、次の音素や信号の判定結果の出現とタイミングを合せて、合成した上で統合判定を下すことが可能となる。このような応用でも位相メモリを挿入する位置は、デジタルフィルタ演算手段の入力部としても同様の効果を得ることができる。
本発明の波形検出装置は上記のように構成されているが、この波形検出装置と従来のウェーブレットとの波形検出の比較例を次に説明する。図29において、乗算係数パターン(図中(A))は従来のウェーブレットによる乗算係数パターンであり、図中(B)は本発明にかかわる乗算係数パターンである。従来のウェーブレットによる乗算係数パターン(A)と乗算係数パターン(B)を使用して同じ入力信号に対して、その出力を求めたグラフ1、2が示されている。最初のグラフが電波を検出した入力信号である。中央に近い急峻でピークの強いパルスが不要な雑音である。左右にあるピークの小さい波形が抽出したい波形である。いかに雑音を無視できて検出目標の波形を強調できるかが検出器の性能となる。
図中、グラフ1は従来のウェーブレット方法での検出、グラフ2が本発明での検出結果である。両者とも、雑音にかかわらずに目標波形を検出できているが、図を比較して分かるように、従来方式の検出時間が大幅に遅れている。従来の乗算係数パターン(A)の代わりに、識別したい波形の傾きだけに類似させた乗算係数パターン(B)で求めたデジタルフィルタ出力を使用すると、検出の遅れは(A)の半分程度となる。このような単純な形状の乗算係数パターンのほうが演算処理が早くなる。又パターン(B)はその傾きを変更したときの出力誤差が少なくなるほうに、乗算係数パターンタップ数と積分パラメータnを変えてゆけば、容易に自動的な調整を行う学習システムが実現できる。パターン(A)ではその形状を変更し、調整することが容易でないことは一目瞭然である。
次に上記波形検出装置を状態監視システムに適用した例について図30を用いて説明する。この状態監視システムは図に示す構成になっており、波形検出装置にはセンサからの検出信号がアンプとADコンバータを介して入力され、演算処理されるようになっている。このシステムは、たとえば放射性物質により目詰まりを起こす可能性のある導圧管の圧力波形に対して予知診断を行うことが出来、圧力波形の変化を波形検出装置で捉えて、目詰まり状態を監視することができる。図31において、入力信号は圧力波形であり、ピーク1が正常時の波形、ピーク2が異常の予兆となる波形である。グラフ1のように、従来の乗算係数パターンAでは、ピーク1とピーク2に対して、デジタルフィルタ出力は同程度の強さを示すため、閾値判定でピーク1とピーク2を識別することが不可能である。
グラフ2は立ち上がり特性検出を、グラフ3は立ち下り特性検出の乗算係数パターンを用いた結果である。立ち上がり特性は、正常、予兆波形とも同じであるので、結果に差異は無い。立ち下り特性だけでは明らかに差が生じている。グラフ2を時間tdだけ遅延させて、グラフ3と和を取れば、正常波形の検出結果は全てマイナスの値であるが、予兆波形のほうは、プラスに突出し、これによって予兆信号を検出できることが分かる。このように波形に遅延を行い、ピーク位置を合せることを位相合せといい、これも本発明の特徴である。検出結果は公知の表示手段によって表示され、導圧管の目詰まりがあるか否かを知ることができる。
波形のうねりに着目した特徴化例を図32に示す。図32は図40の従来のウェーブレットで使用する乗算係数パターンを使用してデジタルフィルタの出力を求めた例と対比するための本発明の乗算係数パターンを使用したデジタルフィルタの出力をあらわしたものである。乗算係数パターンは微分特性パターンでデジタルフィルタのタップ数を7とした。図32で明確なように、図42と比べ、入力信号のウネリ(a)正常、(b)異常、(c)正常に対応し、単一のパルス状出力が得られ、且つ(c)正常は負出力となり、(b)以上に対して最大の出力が得られる。判定部の閾値を130と200の間に設定すれば異常検出が可能となる。又図で明らかなように、検出の遅れは図42の10〜20タップ分の時間遅れに比べ、本発明ではほとんど時間遅れが無く、早期の異常検出が実現されている。
続いて、従来公知の1/fゆらぎフィルタを作る波形変換装置の構成を説明する。この波形変換装置のハードウエアも従来公知のものをそのまま使用する。
図33は、波形検出装置のデジタルフィルタを用いて1/fゆらぎ変換を行う基本的構成を表す図である。図33では図1の波形検出装置の構成中の演算処理部を用いて波形検出を行う方法を示している。図33に示したデジタルフィルタは図1に示した合成部は必須な構成ではない。デジタルフィルタの乗算係数パターンは、パラメータ設定手段により設定され、外部よりパラメータ入力部を通して転送される乗算係数パターンも設定することが出来る。
図33はデジタルフィルタ演算手段を構成するデジタルフィルタ機能の図であり、このデジタルフィルタ機能は先に説明した図3(a)と同じものを使用する。又図34は図33の概念図であり、図中Paはデジタルフィルタを表し、そのPaは、
Pa=P1+P2+P3+−−−+Pi −−−−(6)
の式で求められる。図中Piは個別のデジタルフィルタに設定された乗算係数パターンであり、この乗算係数パターンは上述した式を用いて求めたものを使用す。
図34の個々のデジタルフィルタの出力を合成した結果得られる出力波形は図34のPaを乗算係数パターンとするデジタルフィルタの出力と同一となる。また上記波形変換装置により1/fゆらぎフィルタ用の乗算係数パターンを本発明以外の方法にて作成することもできる。手順を説明すると、1/fゆらぎフィルタは、二つ以上の素パターンを持つデジタルフィルタを組合わせて出力を合成するか、あるいは素パターンを組合わせて新たな乗算係数パターンを作る。ただしこの場合にはフィルタ作成に多くの乗算係数パターン設定パラメータを設定する必要があり、オペレータのフィルタパターン作成に手間が掛かる。
本発明の素パターン作成方法では上述した数式を用いてデジタルフィルタタップ数Lと積分回数nの2つのパラメータを設定すればよく、
a.乗算係数パターン設定において操作するパラメータが少ないため試行錯誤の回数が少なくて済む。
b.デジタルフィルタの形状が積分回数nで一義的に決定できるために、形状即ちフィルタ特性の推測および決定が容易である。
という特長をもつ。
図35(a)はこの素パターンを用いて合成された乗算係数パターンであり、図35(b)はこのパターンを用いたデジタルフィルタによって得られたパワースペクトル図である。このパワースペクトル図と図44に示す従来のパワースペクトル図とを比較すると、従来のものより図35(b)のパワースペクトラムの傾きが滑らかになっており、最も1/fゆらぎの傾きに近い−1となっている。
以上説明したよう本発明にかかわる波形検出装置では,デジタルフィルタの乗算係数パターンのパターン形状をウェーブレットの考えとは逆に周波数分離特性を犠牲にした変わり、位相特性(ウネリなどの変異を察知する能力)を最大限に出来るように工夫すると共に、複数のフィルタの位相遅れ(検出ずれ)時間を合せて判断するようにしたため、急峻で高い周波数の音域の成分を含むパルス音から、きわめて周期の長い長期間で変化がわずかずつ現れる時系列データにいたるまで広範囲の波形の特徴化を行うことができる。又本発明の波形検出装置を使用することで、1/fゆらぎ波形など特定の波形を容易に出力することができる。尚、上記実施形態は従来のウェーブレットによる演算処理と同様にコンピュータによって行っているが、それぞれの機能を持ったハードウェアを組合わせて構成することもでき、上記実施形態はあくまでも本発明の1例に過ぎず,本発明はその精神及び必須特徴事項から逸脱することなくほかのさまざまな方法で実施することが出来る。
産業上での利用可能性
以上詳細に説明したように本発明によれば、従来のウェーブレットシステムに比較して、高速応答性が向上されると共に,波形検出装置をセンサアンプやモニタに内蔵することが出来るため装置がコンパクト化される。また低周波、ウネリ、急峻なパルスの検出が用意となり、乗算係数パターンの作成も容易であるため各種システムに簡単に適合することが出来る。さらに、1/fゆらぎ波形など特定の波形を容易に出力することができる等などの優れた効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に係る実施形態としての波形検出装置の構成図である。図2は、図1の波形検出装置のパラメータ設定手段の構成図である。図3(a)は演算処理部を構成する一般的なデジタルフィルタ機能の図、同(b)は同(a)に示すデジタルフィルタを利用して演算処理部を構成した図、同(c)は位相メモリをデジタルフィルタの入力側に設けた図である。図4は、従来の乗算係数パターンの設定手順を示す図である。図5は、本発明に係るn回積分の式から素パターンを生成する方法の説明図である。図6は本発明に係る積分回数n回による素パターンの形状の違いを説明する図である。図7は、図4(f)のパターンを乗算係数パターンとして作成した例の図である。図8は、図4(g)のパターンを乗算係数パターンとして作成した例の図である。図9はテスト用の入力信号データの波形3種の図である。図10は図9のテスト用入力信号データを用いて図7、図8の積分特性パターンとした2種類のデジタルフィルタ出力を示す図である。図11は、従来例と本発明のテスト用の乗算係数パターンの図である。図12は、図9のテスト用入力信号に対し、従来の乗算係数パターンと本発明の乗算係数パターンを用いたときのデジタルフィルタの出力図である。図13は図11に示す乗算係数パターンを二つの素パターンの合成で作る説明図である。図14は、素パターンを予め合成した場合と出力を合成した場合の説明図である。図15は、乗算係数パターン(積分P−1)の例である。図16は合成パターンを用いてパルス状の入力信号波形の形状を特徴化する過程の説明図である。図17は、図16を継続的にプロットしたものである。図18は負の積分特性パターン図である。図19は特殊形状の微分特性パターン図である。図20は4つのテスト用入力波形を示す図である。図21は、図19の微分特性パターンを用いて図20の入力信号のデジタルフィルタ出力を求めた結果である。図22は、3つの特性パターンの出力の違い示した図である。図23は図20の入力波形1を識別するために図22の積分P−2の出力を符号反転して合成させた図である。図24は図20の入力波形2を識別するために、微分Pの出力を8遅延させ、微分Pの負のピークの符号を反転させ合成した結果の図である。図25は図19の入力波形3を識別するために、積分P−1の出力を8遅延させ、微分Pの負のピークの符号を反転させ合成した結果の図である。図26は波形検出機能の構成図である。図27は合成出力を作成する時の加重平均の求め方の説明図である。図28は判定部の一例を示す図である。図29は同じ入力信号に対して従来の乗算係数パターンによるデジタルフィルタ出力と、本発明の乗算係数パターンによるデジタルフィルタ出力とを比較した例である。図30は本発明に係わる波形検出装置を状態監視システムに適用した構成図である。図31は上記状態監視システムに適用したものの検出波形の比較図である。図32は図41の従来のウエーブレットで使用する乗算係数パターンを使用してデジタルフィルタの出力を求めた例と対比するための本発明の乗算係数パターンを使用したデジタルフィルタの出力を表したものである。図33は他のデジタルフィルタ演算手段を構成するデジタルフィルタ機能の図である。図34は他のデジタルフィルタ演算手段を構成するデジタルフィルタ機能の構成図である。図35は(a)はこの素パターンを用いて合成された乗算係数パターンであり、図35(b)(c)はその変換出力図である。図36は本発明の乗算係数パターンを作成するフローチャートである。図37は従来のウエーブレットによる波形検出装置の構成図である。図38は従来のパラメータ設定手段の構成図である。図39はウェーブレットの演算の基本となる一般的なデジタルフィルタの構成図である。図40はデジタルフィルタ演算の方法を説明する図である。図41は従来のウェーブレットの説明図である。図42は従来のウエーブレットで使用する乗算係数パターンを使用してデジタルフィルタの出力を求めた例である。図43は従来の1/fゆらぎ波形発生器の概略構成図である。図44は8タップのデジタルフィルタによる1/2回積分の乗算係数パターン(a)とその変換出力図同(b)、(c)である。図45は図44と同様8タップのデジタルフィルタによる1/3回積分の乗算係数パターン(a)とその変換出力図同(b)、(c)である。図46はデジタルフィルタにおける積和演算と合成方法を説明する図である。
本発明は、周期的繰り返しの無い過渡的な状態変動を特超過して検出したり、あるいは入力波形を1/fゆらぎ変換を行って出力波形を得ることが出来る信号処理機能を持った波形検出装置およびその装置を利用した状態監視システムに関するものである。
背景技術
状態監視システムにおいて時系列データの中から兆候を探す方法として、コンピュータの発達によって実用化されたウェーブレット技術を用いる方法がある。ウェーブレットは、フーリエ変換に比べてスペクトルを解析する精度については劣る。しかし、ウェーブレットは、フーリエ変換に比べて動的な分析が可能であり、時系列データや画像などのスペクトルの変化をより的確に掴まえることができるという特徴がある。このため、現在では時系列データの兆候の検知や、画像データの画像認識などに広く利用されている。
図37、38に従来公知のウェーブレット技術を用いた波形検出装置(以下ウェーブレットシステムと呼ぶ)の構成を示す。このウェーブレットシステムは図示のごとく、センサ、信号入力部、演算処理部、判定部、出力部から構成されており、入力信号データを演算部で処理し、波形検出ができるようになっている。
図37において、信号入力部はセンサからの出力データを収集するための変換器、A/Dコンバータ、メモリ、データ切り出し手段から構成されている。センサからの計測値はA/Dコンバータでデジタルデータに変換される。また、メモリでは入力信号をファイルし、演算処理部の処理の進行に合せてデータを切り出し、演算処理部に計測入力信号データ(Ij)を創出する。
演算処理部は、信号処理部と複数のデジタルフィルタとパラメータ設定手段により構成されるデジタルフィルタ演算手段とその出力を統合する合成部とを備えている。演算処理部に設けた信号処理部は必須構成部ではなく、必要に応じて設けるもので、個々では、入力信号のノイズ処理やデータの正規化、複数データの分配を行う。
図39、40を参照して前記演算処理部のデジタルフィルタの仕組みを説明する。デジタルフィルタは、図37に示すように入力信号データを記憶し遅延させる遅延メモリと乗算係数パターンを貯える乗算係数パターンメモリを備えている。また、前記パラメータ設定手段は図38に示すようにフィルタパラメータ設定手段と乗算係数パターン設定手段を備えている。また、この演算処理部では、デジタルフィルタに遅延メモリが設けられる。
デジタルフィルタは、図40に示すように、遅延メモリに入力される入力信号とあらかじめ設定される乗算係数パターンとの積和を取って出力とする。乗算係数パターンの形状と近似する波形が入力信号に混じっているときに出力値が大きくなる。図39に示すように、新しい入力信号データが入力されて遅延メモリ内のデータは順送りされるので、フィルタの出力はその時点の特徴を時間の変化とともに出力できる。よって、この出力の配列は、ある時間の各成分の強度分布であり、その信号の特徴と見ることが出来る。その特徴の組合わせが、特定の時系列データのパターンやシンボルコードの形状と関連付けられていれば、時系列データの状態の変動をあらわす兆候を検知したり、画像のシンボルやコードを識別し切り出すこと、あるいは信号をデジタルフィルタに入力し、入力信号のゆらぎ成分の一部を強調することによって入力波形の推移を予測することが出来る。
図46に一般的なデジタルフィルタ演算処理部による入力信号処理の実例を示した。同じ入力信号に対して、3種類のデジタルフィルタでの積和演算と、それらの和をとり合成部にて出力の合成を行う。ここでは、それぞれのフィルタ形状が異なり、波形の特長を抽出したそれぞれ3種類の出力の和を取ることにより、波形検出を行っている。
図37中の判定部は、演算処理部から出力された合成出力(デジタルフィルタ出力)を閾値と比較して大小判別を行い、判別結果(Ds・j)を得る機能を備えている。出力部では判定部からの判別結果を画面出力したり、接点出力を介して警報ランプなどの警報手段を作動させる。
ウェーブレットシステムでは、図41のような複数のデジタルフィルタの乗算係数パターンを基本パターンと呼ばれる関数のパターンに合せる。このパターンを基本にして周波数成分の強さの識別を目的として、異なる複数の周期の短い相似形パターンを作る。基本パターンの形状によって、信号からどのような成分を抽出するかが決まる。この相似形パターンを乗算係数パターンの列の長さによって異なる周波数帯域のフィルタとなる。さらに乗算係数パターンが、積分や微分など信号処理の性質を決めるので基本パターンが決まれば、その相似形である乗算係数パターンを持つ複数のデジタルフィルタは、周波数帯域だけが異なる同じ信号処理を行うものとなる。ウェーブレットシステムでは入力信号との相関を掴むための乗算係数パターンの基本パターンのスケール(時間軸上の長さ)が、それぞれの周波数の数波長分の長さであることから、多くのデータ数が必要な高速フーリエ変換技術に比べて、比較的、短時間(端区間)のパワースペクトルを分析する能力を持つことができる。
図42は、入力信号に対して、従来のウェーブレットで使用する乗算係数パターンを使用してデジタルフィルタ出力を求めた例である。ウェーブレットは通常、特徴化したい最低周波数の波長の数倍のスケールを持つ。乗算係数パターンの列の中央位置に基準時間がおかれ、左右に同じ位相でパターンが展開する形式となっている。このため入力信号を順次遅延させながら記憶する遅延メモリの中央に入力信号が到達し、乗算係数パターンの列の中央の係数と内積が取られる時点で、何がしかの有効な出力が得られるようになる。したがって、このような乗算係数パターンで入力信号データを識別する場合、その長さに比例する検出の遅れが存在する。
又、ウェーブレットは、一定時間持続する周期性のある信号処理に向いているため、これまで、ある程度の長さをもった音声や振動、またはある程度の距離に含まれるテクスチャ(画質、基本的な模様)分析に利用されてきた。しかし、時系列データに埋め込まれている兆候は振動成分を伴っていない場合が多い。したがって、乗算係数パターンのスケールが大きいほど時系列データの全体と兆候の存在する部分のテクスチャの差は少ないため、過渡的な減少を掴まえることが困難である。繰り返しの少ない振動や小さな領域の画像などの非周期的な信号処理の分析に用いるときには、上記のスケールの大きさが問題となってきた。すなわち、ウェーブレットでは後の説明でも使用する図31に示す入力信号にあるような一度だけのパルス音を特徴化することは困難である。つまり減衰カーブ、特定音のうねりに着目するので、音の余韻による識別が精度よくできない。又図42のように入力信号と立ち上がりと立下りの波形の形状が異なる場合に、立ち上がり部分の波形だけ識別することは困難であるため、波形(a)正常と波形(b)異常の識別が出来ず、波形(c)正常に強く反応してしまっている。
一方、上記とは別に、現在、入力波形を1/fゆらぎ変換を行うことで、人に優しい制御を実現する研究が種種なされている。こうした従来の1/fゆらぎ波形発生器の例として図43に示すものがある。この例は、フィルタの特性を一般的なローパスフィルタ(LPF)とハイパスフィルタ(HPF)とし、それを組合わせて近似的に1/fゆらぎ波形を出力する例である。ランダム波形を入力し、ハイパスフィルタにかかる係数を調整すれば1/fゆらぎ波形を出力させることができる。すなわち、通常ローパスフィルタの特性は−2以上の傾きで減衰する。目的とする1/fゆらぎの傾きは−1である。この2以上の傾きとなるハイパスフィルタに係数kを乗じたフィルタを並列に組合わせフィルタセットとする。係数kの調節によってほぼ−1の傾きが得られる。この特性を広い周波数領域に拡大するためには、帯域の異なるフィルタセットを直列に接続する。
しかし、この方法では、目的とするフィルタを電気的素子で構成することができるものの、その場合精度のよい演算増幅器などを必要とし、これを製造する費用が大となるという問題がある。元のままを構成するには上記ハードウェアによるフィルタを前記デジタルフィルタとした上でフィルタセットを構成すれば比較的簡単に実現できる。たとえば、ローパスフィルタの乗算係数パターンに後の説明でも使用する図29に示す(A)従来の乗算係数パターンを用いることが出来る。同様にハイパスフィルタも構成できる。しかし、ローパスフィルタとハイパスフィルタでは入力と出力の変化の時間差つまり位相のずれが異なるので、両者の乗算係数パターンを合成してひとつの乗算係数パターンとすることが困難であり、又係数kの値を換算したハイパスフィルタの乗算係数パターンを作成してから、両者を合成することはさらに複雑な手段を要する。
さらに従来行われている別の方法は1/2回積分である。ランダム関数などを用いて得られるランダムな数列を入力とし出力のパワースペクトルを1/fゆらぎに近似する方法であり、書籍(インテリジェント制御システム(ファジー・ニューロ、6A・カオスによる知的制御)、共立出版(株)、田中一男著)にその詳細が記載されている。前述のローパスフィルタのうち積分回数が1に等しい1次遅れのデジタルフィルタではその出力のパワースペクトルの傾きは−2である。傾き−1のパワースペクトル変換を行う方法は積分回数を1以下に減らしランダム数列を平滑にすることにある。図44は8タップのデジタルフィルタによる1/2回積分の乗算係数パターン(a)とその変換出力図同(b)、(c)である。又、図45も同様8タップのデジタルフィルタによる1/3回積分の乗算係数パターン(a)とその変換出力図同(b)、(c)である。両方共に積分回数は1回以下であるが、傾き−1の滑らかな1/fゆらぎ特性を得るためにはタップ数を大きく取る必要があり、デジタルフィルタのタップ数を少なくするとパワースペクトルのカーブは滑らかにならない。
そこで、本発明は、
a.従来のウェーブレットの考えとは逆に周波数分離特性を犠牲にした代わりに、位相特性(うねりなどの変異を察知する能力)を最大限に出来るように工夫する。
b.複数のフィルタの位相遅れ(検出時間のずれ)のタイミングを合せて判断する。
ことにより、従来のウェーブレットシステムが有する問題点を解決することを目的とする。
また、デジタルフィルタの乗算係数パターンのパターン設定、パターン形状を数式を使用しソフトウエアで求めることにより、上記従来の1/fゆらぎ変換の問題点を解決することを目的とする。特にデジタルフィルタは信号をデジタルフィルタに入力し、入力信号のゆらぎ成分の一部を強調することによって入力波形の推移を予測し出力することが可能であることに着目し、デジタルフィルタを利用して1/fゆらぎ波形など特定の波形を出力するために、非整数n回積分の式を利用するようにしている。
本発明では、音や振動など、時系列のデータの一度のうねりや、単発のパルス(脈動)の一つ一つの性質を見分け、結果として予知診断や、商品の良否判定を行うことができる。あるいはランダム波形を入力として、1/fゆらぎ波形などの周波数成分分布を持った特定の波形を出力することができる。従来もこのような方向の技術として、うねりやパルス波形を折れ線で近似した後に、折れ線座標を入力としてニューラルネットワークでパターンの違いを識別するものがあった。しかし、この方法では、処理の手順と計算負荷が大きいために、システムコストがきわめて大きくなり、かつ、ゆっくりしたパルスを処理することはできるが、リアルタイムでの処理は不可能であった。これに対して、本発明では、急峻で高い周波数の音域の成分を含むパルス音から、きわめて周期の長い長期間で変化がわずかずつ現れる時系列データにいたるまで広範囲の波形の特徴化を、複雑でない処理手順により、行うことができる。又本発明は上記波形変換装置内に組み込まれたデジタルフィルタを有効に利用することで1/fゆらぎ波形など特定の波形を容易に出力できる。
発明の開示
このため本発明が採用した技術解決手段は、
センサと、信号入力部と、前記信号入力部からの出力信号に基づいて信号データの特徴化をする機能を持った演算処理部と、演算処理部からの出力に基づいて波形の特徴を判定する判定部と、判定部の判定結果を出力する出力部とを備えている波形検出装置であり、前記演算処理部は、デジタルフィルタ演算手段と、位相合せパラメータ設定手段と、合成部とを有し、さらに前記デジタルフィルタ演算手段は、入力信号を記憶し遅延させる遅延メモリと乗算係数パターンを蓄える乗算係数パターンメモリを備えたデジタルフィルタとパラメータ設定手段とを有し、前記パラメータ設定手段は、乗算係数パターンを設定する乗算係数パターン設定手段とフィルタパラメータ設定手段とを有し、前記デジタルフィルタ演算手段は信号入力部より入力される入力信号データを前記デジタルフィルタに接続し前記両メモリの内容の積和を算出し出力する機能を有し、前記デジタルフィルタ演算手段の出力を合成部にて融合した合成出力から状態変動の兆候を特徴化することを特徴とする波形検出装置において、前記演算処理部のデジタルフィルタ演算手段に複数のデジタルフィルタを設け、非整数n回積分の式から導かれる係数パターンを乗算係数パターンの素パターンとし、少なくともこの素パターン、入力信号データ、あるいはデジタルフィルタ出力のいずれかの位相を変更する変更手段(位相合わせパラメータ手段)を設け、素パターンを用いたデジタルフィルタの出力の合成が、特徴抽出処理機能の一部の位相が変化した状態で得られるようにしたことを特徴とする波形検出装置である。
また、信号データの特徴化をする機能を持った演算処理部と、パラメータ入力部とを備えた波形検出装置であり、前記演算処理部は、デジタルフィルタ演算手段と、パラメータ入力部を有し、さらに前記デジタルフィルタ演算手段は、入力信号を記憶し遅延させる遅延メモリと乗算係数パターンを貯える乗算係数パターンメモリを備えたデジタルフィルタとパラメータ設定手段とを有し、前記パラメータ設定手段は、パラメータ入力部を介して乗算係数パターンを設定する乗算係数パターン設定手段とフィルタパラメータ設定手段とを有し、前記デジタルフィルタ演算手段は入力部より入力される入力信号データを前記デジタルフィルタに接続し、前記両メモリの内容の積和を算出し出力する機能を有しており、前記乗算係数パターンに単調減少または単調増加な傾きを持ったパターンを用いるようにし、そのデジタルフィルタ演算手段の出力を変換出力とすることを特徴とする波形検出装置において、前記乗算係数パターンを、非整数n回積分の式より導かれるパターンを乗算係数パターンの素パターンとし、周波数応答のパワースペクトルの傾きが一部の周波数帯域で1あるいは−1の傾きとなるよう積分回数nを用いてデジタルフィルタの出力を調整できる特徴とする波形検出装置である。
さらに、上記した構成からなる波形検出装置を利用し、信号入力部からの入力信号データの中から波形の特徴を抽出し、前記特徴化した波形を元に入力信号の状態を判定し、判定結果を表示できるようにしたことを特徴とする状態監視システムである。
発明を実施するための最良の形態
以下本発明の信号処理機能を持った波形検出装置及びその装置を利用した状態監視システムの好ましい実施形態の説明をする。図1は波形検出装置にかかわる本実施形態の構成図である。波形検出装置は図に示すごとく、センサ、信号入力部、演算処理部、判定部、出力部とから構成されており、これらのハードウエアについては、前述したウェーブレットによる波形検出装置と同じものを使用している。以下、改めて各構成部分の特徴的な構成を説明をしておく。
信号入力部はセンサ出力データを収集するための変換器、A/Dコンバータ、メモリから構成されており、センサからの計測値をデジタルデータに変換し、さらに、メモリでは入力信号をファイルとし、演算処理部の処理の進行に合せてデータを切り出して、演算処理部に入力(計測)信号データ(Ij)を創出する機能を備えている。尚、リアルタイムで信号を処理する場合には必ずしも前記メモリを必要としない。この場合には、リアルタイムで計測されるデータをデジタル化し、直接演算処理部に送出する。
演算処理部は、信号処理部と、複数のデジタルフィルタとパラメータ設定手段とにより構成されるデジタルフィルタ演算手段と、その出力を統合する合成部と、位相合わせパラメータ設定手段とにより構成されている。なお、信号処理部は必須構成部ではなく、必要に応じて設けるもので、個々では、入力信号のノイズ処理やデータの正規化、複数データの分配を行う。
又、前記デジタルフィルタは、入力信号を記憶し遅延させる遅延メモリと乗算係数パターンを貯える乗算係数パターンメモリを備えており、さらに前記パラメータ設定手段は図2に示すようにフィルタパラメータ設定手段と乗算係数パターン設定手段を備えている。この演算処理部では、デジタルフィルタに位相メモリが設けられ、位相合せパラメータ設定手段によって位相メモリの遅延時間動作が決められる。そして、複数のデジタルフィルタの出力を個別に遅延させて位相を合せた上で、合成部で波形を合成する(Dt・j)。
デジタルフィルタ演算処理部による入力信号処理をした実例をしめす(前記図46参照)。同じ入力信号に対して、3種類のデジタルフィルタでの積和演算と、それらの和をとり合成部にて出力の合成を行う。ここでは、それぞれのフィルタ形状が異なり、波形の特長を抽出したそれぞれ3種類の出力の和を取ることにより、波形検出を行っている。
又、上記複数のデジタルフィルタを用いて各々のデジタルフィルタの乗算係数パターンに素となるパターン(以下素パターンという)を用いるようにする。この素パターンの位相、タップ数及び係数の和の値をパラメータとして乗算係数パターン形状を決定する。これらの素パターンを用いた複数のデジタルフィルタの出力を上記合成部にて波形を合成する方法と、あるいは素パターンそのものを合成し、ひとつの新たな乗算係数パターンとした後にひとつのデジタルフィルタに設定する方法とが可能で、両者はまったく同じ波形変換効果を得ることが出来る。このように素パターンをあらかじめ合成して用いる変換装置ではすでに位相合せ処理と波形合成処理が合成された新たな乗算係数パターンの中に仕組んであるため、両者は必須の構成である。判定部では、演算処理部から出力された合成出力を閾値と比較して大小判別を行い、判別結果(Ds・j)を得る。出力部では判定部からの判別結果を画面出力したり、接点出力を介して警報ランプなどの警報手段を作動させる。
上記合成パターンの作成方法を図36のフローチャートを参照して説明する。
このフローチャートは、素パターン(JK1)のパラメータを入力して、素パターンを演算により求め、入力された素パターンより合成した合成パターン(jk0)を作成する方法である。
ステップS1:JK0(合成パターン)を0(ゼロ)クリアする。
ステップS2:素パターンの指定が終了するまで▲1▼のループを繰り返す。
ステップS3:ファイル入力かどうかを指定する。但しメモリなどに素パターンがある場合はメモリ指定でもよい。
ステップS4:後述する図7の素パターンのパラメータである底辺(タップ数)を入力する。
ステップS5:同図7の素パターンのパラメータである積分回数nを入力する。
ステップS6:同図7の素パターンのパラメータの極性(+,−)を入力する。
ステップS7:合成パターンを作る際のずれを入力する。
ステップS8:ステップS4〜ステップS7で指定された素パターンのパラメータより,直線近似して素パターンを算出してJK1へ設定する。
ステップS9:素パターンをファイルから読み込んでJK1に設定する。または別のメモリ上にある素パターンをJK1へコピーする。
ステップS10:i=1かどうかを判断する。
ステップS11:JK0(合成パターン)にステップS4からステップS9で指定または作成した素パターン(JK2)を加算する。
ステップS12:カウンタIを1加算する。
ステップS13:必要であればステップS1〜ステップ12で作成したJKφをファイルに保存する。
こうして合成パターンを得ることが出来る。
上記演算処理部の内部構成についてさらに詳細に説明すると、図3(a)はデジタルフィルタ演算手段を構成するデジタルフィルタ機能の図であり、図3(b)(c)は同(a)に示すデジタルフィルタを使用して演算処理部を構成した例である。
デジタルフィルタDf1には入力信号データIj、乗算係数パターンP1、フィルタパラメータ、クロック信号が入力され、演算処理されてデジタルフィルタ出力(O1・j)が出力される。
入力信号データIjは時系列データのような配列を持ったデータであり、乗算係数パターンは後述する方法によって求めたパターン信号であり、フィルタパラメータは前記フィルタパラメータ設定手段より設定されるデータ入力であり、各デジタルフィルタのフィルタタップ数、乗算係数パターンデータ及び合成部に与えられる合成重みパターンデータなどからなる。又、本例では、フィルタパラメータ以外に位相合せパラメータが位相合わせパラメータ設定手段から与えられる。
位相合せパラメータは、各デジタルフィルタにデジタルフィルタの遅延メモリとは別に付随する位相メモリDIの遅延時間を指示する。簡単な方法としては、位相メモリのタップ数をパラメータとするものである。パラメータによってタップ数が設定されたとき、クロックをカウントするカウンターを設け、デジタルフィルタ出力を一時記憶しておき、クロックカウンターが設定タップ数と等しくなったら一時記憶した出力を遅延出力として出力する。
デジタルフィルタの特性は、乗算係数パターンのみによって決まっているので、入力信号が時間的に遅延した場合は、遅延しない入力信号が与えられた場合と比べ、フィルタの出力が、この遅延時間分だけ送れて、同一の出力が得られる。このため、上記位相メモリDIは図3(b)に示すようにデジタルフィルタDfの出力側に設けても、図3(c)に示すように入力側に設けても機能上の差は無い。
以上のハードウエアについては、従来のウェーブレットによる波形検出装置のものと全く同じ構成となっている。
続いて本発明の特徴であるデジタルフィルタの乗算係数パターンの設定の仕方について説明する。本発明では数式を用い乗算係数パターンをモデル化し、乗算係数パターンの設定を、ソフトウエアによって行うようにした点に特徴がある。
以下、一例として周期的繰り返しの無い過渡的な状態変動を特徴化するための乗算係数パターン設定について説明する。また乗算係数パターンは、図1の演算処理部のパラメータ設定手段にあらかじめ入力された数列を、各デジタルフィルタの乗算係数パターンメモリに転送して用いることもできる。パターンの変更はデジタルフィルタの特性を変えるので、通常システム稼動時に更新されるか、あるいは、半固定的な状態で用いられる。
図4で乗算係数パターンの設定手順を示す。尚、図4は横軸が時間tであるので、右側がより新たな時間の状態に対応していくことになる。図4(a)は従来のデジタルフィルタをバンドパスフィルタとして用いるときに使用される代表的なパターンを連続的なグラフとして表現したものである。実際にはデジタルフィルタのタップ数がn個と設定されれば図4(a)を時間方向にn分割された位置の値を数列として取り出し、乗算係数パターンとする。図4(a)に示す1サイクルの周期tcがフィルタの周波数特性を決める。図4(a)のパターンを用いるとf=tc/2πの周波数の波形を選択的に抽出するフィルタとなる。
ところで、本発明者は、乗算係数パターンの作成方法として特開平10−260066号に示したものを提案している。この乗算係数パターン作成方法は、コンピュータの画面上で、図4(a)の波形から図4(b)に示すごとく過去の部分を残すように中心側より左半分の波形を切り出し、右側の波形を削除する。次に図4(c)の(1/4)tcに相当する時間軸との交点までを残し切り取り、その他の部分を削除する〔図4(d)〕。図4(d)は基本波の1周期の1/4だけを残した波形で、周期的な振動成分は残されていないが、基本波の立ち上がりの形状が残されている。この波形の右端(図の中心)は時間的に最も新しい部分となり、計測データが入力信号として与えられたとき、その最新データとの演算に用いられる。図4(d)の立ち上がり形状をデジタルフィルタの乗算係数パターンとして用いると入力信号の波形が基本波形の立ち上がり形状と同じであれば出力つまりマッチングの結果は最大となり、立ち上がりが異なれば出力値が低下する。立ち上がり形状の差異で出力値が変化するのでこのような形状のパターンを設定したデジタルフィルタは基本波形から位相差を検出して出力するフィルタということができる。図4(d)のパターン形状をそのまま用いてもよいが、特開平10−260066では、図4(f)のように底辺がta(=1/4tc)の一本の直線によるパターンを決め、これを素パターンとして、さらに抽象化し、単純化した素パターンを作成し、この複数の位相組合わせによって目的とする位相差検出を行わせている。
しかしながら、上記のようにコンピュータの画面上で図形を切り出し図4(f)(g)のように乗算係数パターンを設定する方法では、複数の素パターンの線形和を取ることによりデジタルフィルタの出力を合成部にて波形を合成する場合に、
a.設定に用いる素パターン形状に関するパラメータ数が2×(素パターンの数)だけ必要であり、最少でも4個のパラメータを用いてオペレータがフィルタパターン作成する場合に、試行錯誤の回数が多い
b.デジタルフィルタの主な周波数特性を決定するタップ長を決めても、複数個のパラメータの組合わせで形状が変化するため、フィルタ形状即ちデジタルフィルタの特性の推測および決定が容易でない。
という不都合がある。
このため本発明では以下のように数式を用いることにより種々の検出波形に合わせた乗算係数パターンを簡単に得ることができるようにしている。この方法を図5を参照して説明する。
本発明では、非整数n回積分の式より乗算係数パターンの素パターンを計算し導出する。
非整数n回積分の式は次のように表される。
ここで
φ(t):入力波形
Γ(n):既知のn次Γ関数で
と表せる。
式(1)の右辺のφ(t)に掛かる係数τ^(n−1)が、τを時間変数として
、入力波形に対して内積を取る乗算係数パターンの概形
にあたる。その概形は図5に示すように、積分回数nがn<1のとき単調減少かつ下に凸の形状である。なお図5では積分回数nを0.5とした。
またn=1のとき積分区間で1、それ以外の区間で0の値をとるステップ関数状である。
これまでの1/fゆらぎ変換を行うデジタルフィルタについて次のような課題が有る。すなわち、非整数回積分によるデジタルフィルタは、FFTスペクトルにて傾き−1の滑らかな1/fゆらぎ特性を得るためにはタップ数を大きく取る必要があった。
また、デジタルフィルタ出力の時間遅れを小さくし、演算処理の負荷を小さくする目的のためにタップ数を少なくした場合には、0に漸近する側の端点が滑らかに0に近づかず、端点で急に0となる。このような場合、デジタルフィルタ特有の偏った減衰が発生する。このため、パワースペクトルのカーブが滑らかにならない。この課題を解決するために、図5中に示す端点処理1次式
y1=1−(1/L)(τ−1) −−−−(4)
但し、L:フィルタタップ数
とy0との積
y=y0×y1 −−−−(5)
をとり、図5中に示すようにy1が0に滑らかに近づく、式(2)に準じた下に凸の概形を持つ関数yを得ることができる。式(5)の関数yの時間軸上各点の値を乗算係数パターンに代入することによって素パターンを得る。
n<0の場合は、数学上の意味は無いが、デジタルフィルタの形状をさらに急激に0に近づけることができ、本発明において有効である。
また図6に積分回数nによる素パターン形状の違いを示した。nが0から−1の範囲の例を示したが、nの値によりフィルタの係数パターンの形状が一義的に決まり、nとフィルタのタップ数の二つを変えることにより検出しようとする波形に対して形状および周波数特性の調整が容易にでき、オペレータによる調整の試行錯誤回数も少ない。またnの値は(3)の式で発散する側を漸近的に0に近づける処理が施されていれば、デジタルフィルタの係数パターンの形状のうえでnの値の制限はない。
この素パターンは極性の+(プラス)側のみで構成されている。デジタルフィルタの入力信号として、ある時点より0から1に値が変化してそのままとなるステップ状の入力信号波形を入力すれば、この素パターンとの積和は入力信号が一定時間1として持続した後は出力が有限の値で全ての係数に1を乗じて和を取った値となり、その値が持続する。
よって上記素パターンは一種の部分積分をデジタルフィルタの長さ(=区間)の範囲で行ったものといえる(積分特性パターン)。同様に逆の傾きを持ったパターンあるいはそれらの極性をマイナスとしたパターンも、同じく素パターンとなりその特性は上記と同様に積分特性をもつ。同じ入力を用いて出力が0となるような微分特性を持たせるためには、たとえば図4(g)のように素パターンを対照的に配置し、全体の係数の総和がゼロに等しくなるようにすればよい(微分特性パターン)。この時(−)側の負荷パターンはたち下がり特性を示し、その長さが同じtaであれば、立ち上がり、たち下がり共にtaで決まる基本周波数との位相差を検出するフィルタとすることができる。
図7、8は図4(f)と(g)のパターンを乗算係数パターンとして設定したときのパターンの順序を示すもので、図の左側ほどより新たな時間に対応する部分となる。図7は積分特性の、図8は微分特性を有する乗算係数パターンである。図9はテスト用の入力信号データの波形3種である。3つのサンプル波形は幅を増大させると共に立ち上がり、立ち下りの傾きをゆるくなるようにしてある。なお、以上の乗算係数パターンの設定は前述した数式を用いてソフトウエアで行う。
図10は図9のテスト用入力信号データを入力に用いて、図7、8の積分特性パターンとした2種類のデジタルフィルタの出力波形をあらわしている。積分特性パターンを持つフィルタの出力は入力波形に対し、時間遅れを伴いながら立ち上がり、一定値に達して持続し、入力波形の立下りに対してやはり時間遅れをもって緩やかにたち下がってゆく。波形の時間遅れは一時的にデジタルフィルタに入力信号の一部が蓄積されたと同じ作用で、部分的積分を意味する。このような作用は電子回路に用いられる低域通過型(ローパス)フィルタと同じ特性であり、ノイズ除去や入力信号の平滑化に用いることが出来る。
次に微分特性パターンを持つフィルタ出力は、入力信号の立ち上がりに反応し、鋭いパルス出力があり、入力の立ち上がり字には不の鋭いパルス出力がある。入力が一定で持続すれば出力はゼロとなり入力の立ち上がり立下りを傾きが大であれば出力も大となるように微分特性を持った傾き検出の作用を持つ。図4(a)のような従来の乗算係数パターンと本発明のパターンの差を明らかにするため、図11に示すテスト用の乗算係数パターンを用いる。図でも明確なように従来例では図4(a)よりも簡略化したにもかかわらず、デジタルフィルタのタップ数は29を必要とし、本発明では7タップと約1/4以下の短さで動作する。
図9のテスト用入力信号に対し、従来の乗算係数パターンと本発明の乗算係数パターンを用いたときのデジタルフィルタの出力を図12に示す。時間は1クロック毎に演算され、入力信号はそのたびに1タップ分遅延メモリ上を動く。従来例では出力波形が振動を繰り返しているが、本発明では入力の変化に対しひとつのパルス上の波形出力となる。
以上のように本発明ではデジタルフィルタのタップ数を大幅に減じることができ、情報処理負荷を軽減することができ、入力の変化に対する検出の遅れを改善でき、さらに単一のパルス出力となるので判定がしやすくなるなどの利点がある。
図11に示す本発明の乗算係数パターンは次のようにして二つの素パターンの合成で作ることが出来る。図13(a)、(b)の二つの素パターンを時間(=タップ数)taずらして合成すれば図13(c)の微分特性パターンが作成できる。同様にしてtaより小さな値だけずらせば図13(d)のようになる。時間(=タップ数)をある値ずらすという操作は、位相メモリによって一定時間、一時記憶して出力することと同じ意味を持つ。
ここで素パターンを予め合成した場合と出力を合成した場合について図14を参照して説明する。
ひとつは図14(a)に示すごとく、素パターンをあらかじめ合成して、ひとつの乗算係数パターンを設定することが出来る。また図14(b)、(c)に示すように、素パターンを持つデジタルフィルタの入力あるいは出力のいずれかに位相メモリを設けて出力側にて合成出力を得ることもでき、上記(a)(b)(c)の方法とも、全て結果は等しくなる。図15の乗算係数パターンは図13に示したような合成法に基づいて傾きが0.5で長さが8,17の二つのパターンを合成し新たな乗算係数パターンとしたものである。
図16は上記合成パターンを用いてパルス上の入力信号波形の形状を特徴化する過程を説明している。図中t1、t2は実在しない波形で乗算係数パターンを時間経過毎に2つ図に投影しプロットしたものである。デジタルフィルタに入力信号が順次取り込まれることは、図16の上では乗算係数パターンが順次右へ移行してゆくことに等しい。パターンの右端の位置がデジタルフィルタの最新入力となる。t1の時点では入力信号がゼロで乗算を行う状態に無い。t2の時点では4つの位置で乗算を行うことが出来、その総和が出力の220となっている。
図17は図16の出力を連続的にプロットしたものである。この乗算係数パターンと入力信号の関係では、入力の立上り区間が短いため乗算係数パターンとの積和が最大になるのは入力のピークを多少過ぎたときになる。同様にして負の積分特性パターン(図18)、特殊形状の微分特性パターン(図19)を作ることができ、以上の合成されたパターン3種を用いて図20の4つの波形を識別できる例を以下に示す。それぞれの特性パターンの性質は、入力波形の形状に対して異なる応答を示す。どのパターンが入力の立ち上がりの急峻なときに大となるか、それらの特性を把握してから識別のための組合わせを作る必要がある。
図19に示す微分特性パターンを用いて図20の入力信号の特徴化を行った結果を図21に示す。図21から明らかなように、立ち上がり、たち下がり共に急峻で傾きが大きいほど出力が鋭く強く出ている。このような出力の違いを3つの特性パターンに試したものが図22である。3種の特性パターンの出力をそれぞれ積分P−1(パターン)、積分P−2、微分pと名付ける。ここで考える組合わせ方法は、時間上でずらす方法か波形の符号を反転させえるかである。符号反転は位相を180°ずらすことと同じ意味で、いずれも位相上での操作である。
図22を見れば、入力波形1を識別するためには、立ち上がりを特徴化している微分Pの適用時間を10(10タップ分の時間)遅延させえ、ゆるい立下りで大きな出力となっている積分P−2を符号反転して合成させればよいことが分かる。この結果は図23に示すように入力波形1に対して最大となる出力が得られる。また入力波形2を識別させるためには、微分Pを8(8タップ分の時間)遅延させ、微分Pの負のピークの符号を反転させ合成させる。この結果を図24に示す。さらに入力波形3を識別するためには、積分P−1を8(8タップ分の時間)遅延させ、微分Pの負のピークの符号を反転させ合成させる。この結果を図25に示す。
以上の入力信号の波形1、2、3、4の識別を行う機能の構成を図26に示す。なおデジタルフィルタの出力(正)は正規の出力であり、出力(判)は符号反転出力である。
又、波形1、2、3、4以外に識別する波形が無い場合には図26の波形4検出の機能は不要となる。以上の説明は合成部での合成を二つのデジタルフィルタ出力あるいは遅延出力の1:1の合成としている。
各デジタルフィルタの特性の差が特徴をうまく識別できるパターンとあまり識別に寄与できないパターンとに分かれた場合には、それに比例した重みを乗じた後に合成すればよい。この説明を図27を参照して行う。尚全ての特性パターンを素パターンに戻しておいて素パターンの乗算係数パターンの持つ複数のフィルタ群の出力の遅延や反転などの位相合せと合成とを行ってもよい。合成重みパターンは各デジタルフィルタ出力あるいはその遅延処理後の遅延出力0di・jの加重平均を取るために用いられる。遅延出力0di・jに重みwiが乗じられた後、全ての和を取って重みの総和w1+w2+w3+w4−−=Σ(wn)(n=1〜i)で除算される。
システムアプリケーションの種類によって重みの用い方が異なる場合があり、単に重みを乗じて和を求める総和演算やそのほか相乗平均などの処理にも利用できる。
図28に示すように、融合した合成出力を判定部で判定する前に、各デジタルフィルタの出力01,j〜0j,jをそれぞれ判定するための判定機能を設ける方法とすることができる。入力信号の波形が、音声の音素や電波の信号のように意味を持った信号のつながりである場合、その音素や信号を特徴化して、閾値との大小判定をして音素を確定し、この結果を位相メモリに一時記憶し、次の音素や信号の判定結果の出現とタイミングを合せて、合成した上で統合判定を下すことが可能となる。このような応用でも位相メモリを挿入する位置は、デジタルフィルタ演算手段の入力部としても同様の効果を得ることができる。
本発明の波形検出装置は上記のように構成されているが、この波形検出装置と従来のウェーブレットとの波形検出の比較例を次に説明する。図29において、乗算係数パターン(図中(A))は従来のウェーブレットによる乗算係数パターンであり、図中(B)は本発明にかかわる乗算係数パターンである。従来のウェーブレットによる乗算係数パターン(A)と乗算係数パターン(B)を使用して同じ入力信号に対して、その出力を求めたグラフ1、2が示されている。最初のグラフが電波を検出した入力信号である。中央に近い急峻でピークの強いパルスが不要な雑音である。左右にあるピークの小さい波形が抽出したい波形である。いかに雑音を無視できて検出目標の波形を強調できるかが検出器の性能となる。
図中、グラフ1は従来のウェーブレット方法での検出、グラフ2が本発明での検出結果である。両者とも、雑音にかかわらずに目標波形を検出できているが、図を比較して分かるように、従来方式の検出時間が大幅に遅れている。従来の乗算係数パターン(A)の代わりに、識別したい波形の傾きだけに類似させた乗算係数パターン(B)で求めたデジタルフィルタ出力を使用すると、検出の遅れは(A)の半分程度となる。このような単純な形状の乗算係数パターンのほうが演算処理が早くなる。又パターン(B)はその傾きを変更したときの出力誤差が少なくなるほうに、乗算係数パターンタップ数と積分パラメータnを変えてゆけば、容易に自動的な調整を行う学習システムが実現できる。パターン(A)ではその形状を変更し、調整することが容易でないことは一目瞭然である。
次に上記波形検出装置を状態監視システムに適用した例について図30を用いて説明する。この状態監視システムは図に示す構成になっており、波形検出装置にはセンサからの検出信号がアンプとADコンバータを介して入力され、演算処理されるようになっている。このシステムは、たとえば放射性物質により目詰まりを起こす可能性のある導圧管の圧力波形に対して予知診断を行うことが出来、圧力波形の変化を波形検出装置で捉えて、目詰まり状態を監視することができる。図31において、入力信号は圧力波形であり、ピーク1が正常時の波形、ピーク2が異常の予兆となる波形である。グラフ1のように、従来の乗算係数パターンAでは、ピーク1とピーク2に対して、デジタルフィルタ出力は同程度の強さを示すため、閾値判定でピーク1とピーク2を識別することが不可能である。
グラフ2は立ち上がり特性検出を、グラフ3は立ち下り特性検出の乗算係数パターンを用いた結果である。立ち上がり特性は、正常、予兆波形とも同じであるので、結果に差異は無い。立ち下り特性だけでは明らかに差が生じている。グラフ2を時間tdだけ遅延させて、グラフ3と和を取れば、正常波形の検出結果は全てマイナスの値であるが、予兆波形のほうは、プラスに突出し、これによって予兆信号を検出できることが分かる。このように波形に遅延を行い、ピーク位置を合せることを位相合せといい、これも本発明の特徴である。検出結果は公知の表示手段によって表示され、導圧管の目詰まりがあるか否かを知ることができる。
波形のうねりに着目した特徴化例を図32に示す。図32は図40の従来のウェーブレットで使用する乗算係数パターンを使用してデジタルフィルタの出力を求めた例と対比するための本発明の乗算係数パターンを使用したデジタルフィルタの出力をあらわしたものである。乗算係数パターンは微分特性パターンでデジタルフィルタのタップ数を7とした。図32で明確なように、図42と比べ、入力信号のウネリ(a)正常、(b)異常、(c)正常に対応し、単一のパルス状出力が得られ、且つ(c)正常は負出力となり、(b)以上に対して最大の出力が得られる。判定部の閾値を130と200の間に設定すれば異常検出が可能となる。又図で明らかなように、検出の遅れは図42の10〜20タップ分の時間遅れに比べ、本発明ではほとんど時間遅れが無く、早期の異常検出が実現されている。
続いて、従来公知の1/fゆらぎフィルタを作る波形変換装置の構成を説明する。この波形変換装置のハードウエアも従来公知のものをそのまま使用する。
図33は、波形検出装置のデジタルフィルタを用いて1/fゆらぎ変換を行う基本的構成を表す図である。図33では図1の波形検出装置の構成中の演算処理部を用いて波形検出を行う方法を示している。図33に示したデジタルフィルタは図1に示した合成部は必須な構成ではない。デジタルフィルタの乗算係数パターンは、パラメータ設定手段により設定され、外部よりパラメータ入力部を通して転送される乗算係数パターンも設定することが出来る。
図33はデジタルフィルタ演算手段を構成するデジタルフィルタ機能の図であり、このデジタルフィルタ機能は先に説明した図3(a)と同じものを使用する。又図34は図33の概念図であり、図中Paはデジタルフィルタを表し、そのPaは、
Pa=P1+P2+P3+−−−+Pi −−−−(6)
の式で求められる。図中Piは個別のデジタルフィルタに設定された乗算係数パターンであり、この乗算係数パターンは上述した式を用いて求めたものを使用す。
図34の個々のデジタルフィルタの出力を合成した結果得られる出力波形は図34のPaを乗算係数パターンとするデジタルフィルタの出力と同一となる。また上記波形変換装置により1/fゆらぎフィルタ用の乗算係数パターンを本発明以外の方法にて作成することもできる。手順を説明すると、1/fゆらぎフィルタは、二つ以上の素パターンを持つデジタルフィルタを組合わせて出力を合成するか、あるいは素パターンを組合わせて新たな乗算係数パターンを作る。ただしこの場合にはフィルタ作成に多くの乗算係数パターン設定パラメータを設定する必要があり、オペレータのフィルタパターン作成に手間が掛かる。
本発明の素パターン作成方法では上述した数式を用いてデジタルフィルタタップ数Lと積分回数nの2つのパラメータを設定すればよく、
a.乗算係数パターン設定において操作するパラメータが少ないため試行錯誤の回数が少なくて済む。
b.デジタルフィルタの形状が積分回数nで一義的に決定できるために、形状即ちフィルタ特性の推測および決定が容易である。
という特長をもつ。
図35(a)はこの素パターンを用いて合成された乗算係数パターンであり、図35(b)はこのパターンを用いたデジタルフィルタによって得られたパワースペクトル図である。このパワースペクトル図と図44に示す従来のパワースペクトル図とを比較すると、従来のものより図35(b)のパワースペクトラムの傾きが滑らかになっており、最も1/fゆらぎの傾きに近い−1となっている。
以上説明したよう本発明にかかわる波形検出装置では,デジタルフィルタの乗算係数パターンのパターン形状をウェーブレットの考えとは逆に周波数分離特性を犠牲にした変わり、位相特性(ウネリなどの変異を察知する能力)を最大限に出来るように工夫すると共に、複数のフィルタの位相遅れ(検出ずれ)時間を合せて判断するようにしたため、急峻で高い周波数の音域の成分を含むパルス音から、きわめて周期の長い長期間で変化がわずかずつ現れる時系列データにいたるまで広範囲の波形の特徴化を行うことができる。又本発明の波形検出装置を使用することで、1/fゆらぎ波形など特定の波形を容易に出力することができる。尚、上記実施形態は従来のウェーブレットによる演算処理と同様にコンピュータによって行っているが、それぞれの機能を持ったハードウェアを組合わせて構成することもでき、上記実施形態はあくまでも本発明の1例に過ぎず,本発明はその精神及び必須特徴事項から逸脱することなくほかのさまざまな方法で実施することが出来る。
産業上での利用可能性
以上詳細に説明したように本発明によれば、従来のウェーブレットシステムに比較して、高速応答性が向上されると共に,波形検出装置をセンサアンプやモニタに内蔵することが出来るため装置がコンパクト化される。また低周波、ウネリ、急峻なパルスの検出が用意となり、乗算係数パターンの作成も容易であるため各種システムに簡単に適合することが出来る。さらに、1/fゆらぎ波形など特定の波形を容易に出力することができる等などの優れた効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に係る実施形態としての波形検出装置の構成図である。図2は、図1の波形検出装置のパラメータ設定手段の構成図である。図3(a)は演算処理部を構成する一般的なデジタルフィルタ機能の図、同(b)は同(a)に示すデジタルフィルタを利用して演算処理部を構成した図、同(c)は位相メモリをデジタルフィルタの入力側に設けた図である。図4は、従来の乗算係数パターンの設定手順を示す図である。図5は、本発明に係るn回積分の式から素パターンを生成する方法の説明図である。図6は本発明に係る積分回数n回による素パターンの形状の違いを説明する図である。図7は、図4(f)のパターンを乗算係数パターンとして作成した例の図である。図8は、図4(g)のパターンを乗算係数パターンとして作成した例の図である。図9はテスト用の入力信号データの波形3種の図である。図10は図9のテスト用入力信号データを用いて図7、図8の積分特性パターンとした2種類のデジタルフィルタ出力を示す図である。図11は、従来例と本発明のテスト用の乗算係数パターンの図である。図12は、図9のテスト用入力信号に対し、従来の乗算係数パターンと本発明の乗算係数パターンを用いたときのデジタルフィルタの出力図である。図13は図11に示す乗算係数パターンを二つの素パターンの合成で作る説明図である。図14は、素パターンを予め合成した場合と出力を合成した場合の説明図である。図15は、乗算係数パターン(積分P−1)の例である。図16は合成パターンを用いてパルス状の入力信号波形の形状を特徴化する過程の説明図である。図17は、図16を継続的にプロットしたものである。図18は負の積分特性パターン図である。図19は特殊形状の微分特性パターン図である。図20は4つのテスト用入力波形を示す図である。図21は、図19の微分特性パターンを用いて図20の入力信号のデジタルフィルタ出力を求めた結果である。図22は、3つの特性パターンの出力の違い示した図である。図23は図20の入力波形1を識別するために図22の積分P−2の出力を符号反転して合成させた図である。図24は図20の入力波形2を識別するために、微分Pの出力を8遅延させ、微分Pの負のピークの符号を反転させ合成した結果の図である。図25は図19の入力波形3を識別するために、積分P−1の出力を8遅延させ、微分Pの負のピークの符号を反転させ合成した結果の図である。図26は波形検出機能の構成図である。図27は合成出力を作成する時の加重平均の求め方の説明図である。図28は判定部の一例を示す図である。図29は同じ入力信号に対して従来の乗算係数パターンによるデジタルフィルタ出力と、本発明の乗算係数パターンによるデジタルフィルタ出力とを比較した例である。図30は本発明に係わる波形検出装置を状態監視システムに適用した構成図である。図31は上記状態監視システムに適用したものの検出波形の比較図である。図32は図41の従来のウエーブレットで使用する乗算係数パターンを使用してデジタルフィルタの出力を求めた例と対比するための本発明の乗算係数パターンを使用したデジタルフィルタの出力を表したものである。図33は他のデジタルフィルタ演算手段を構成するデジタルフィルタ機能の図である。図34は他のデジタルフィルタ演算手段を構成するデジタルフィルタ機能の構成図である。図35は(a)はこの素パターンを用いて合成された乗算係数パターンであり、図35(b)(c)はその変換出力図である。図36は本発明の乗算係数パターンを作成するフローチャートである。図37は従来のウエーブレットによる波形検出装置の構成図である。図38は従来のパラメータ設定手段の構成図である。図39はウェーブレットの演算の基本となる一般的なデジタルフィルタの構成図である。図40はデジタルフィルタ演算の方法を説明する図である。図41は従来のウェーブレットの説明図である。図42は従来のウエーブレットで使用する乗算係数パターンを使用してデジタルフィルタの出力を求めた例である。図43は従来の1/fゆらぎ波形発生器の概略構成図である。図44は8タップのデジタルフィルタによる1/2回積分の乗算係数パターン(a)とその変換出力図同(b)、(c)である。図45は図44と同様8タップのデジタルフィルタによる1/3回積分の乗算係数パターン(a)とその変換出力図同(b)、(c)である。図46はデジタルフィルタにおける積和演算と合成方法を説明する図である。
Claims (10)
- センサと、信号入力部と、前記信号入力部からの出力信号に基づいて信号データの特徴化をする機能を持った演算処理部と、演算処理部からの出力に基づいて波形の特徴を判定する判定部と、判定部の判定結果を出力する出力部とを備えている波形検出装置であり、前記演算処理部は、デジタルフィルタ演算手段と、位相合せパラメータ設定手段と、合成部とを有し、さらに前記デジタルフィルタ演算手段は、入力信号を記憶し遅延させる遅延メモリと乗算係数パターンを蓄える乗算係数パターンメモリを備えたデジタルフィルタとパラメータ設定手段とを有し、前記パラメータ設定手段は、乗算係数パターンを設定する乗算係数パターン設定手段とフィルタパラメータ設定手段とを有し、前記デジタルフィルタ演算手段は信号入力部より入力される入力信号データを前記デジタルフィルタに接続し前記両メモリの内容の積和を算出し出力する機能を有し、前記デジタルフィルタ演算手段の出力を合成部にて融合した合成出力から状態変動の兆候を特徴化することを特徴とする波形検出装置において、前記演算処理部のデジタルフィルタ演算手段に複数のデジタルフィルタを設け、非整数n回積分の式から導かれる係数パターンを乗算係数パターンの素パターンとし、少なくともこの素パターン、入力信号データ、あるいはデジタルフィルタ出力のいずれかの位相を変更する変更手段(位相合わせパラメータ手段)を設け、素パターンを用いたデジタルフィルタの出力の合成が、特徴抽出処理機能の一部の位相が変化した状態で得られるようにしたことを特徴とする波形検出装置。
- 前記デジタルフィルタの入力あるいは出力を一定時間だけ遅延させる位相メモリを設け、別のデジタルフィルタの出力と位相が合うような遅延時間を上記位相合せパラメータ設定手段により設定し、各デジタルフィルタの出力を合成して、判定部に伝達することを特徴とする請求項1に記載の波形検出装置。
- 前記デジタルフィルタの出力の最大あるいは最小値を前記位相メモリ(にて一時記憶し、複数のデジタルフィルタ出力を組み合わせて判定するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の波形検出装置。
- デジタルフィルタの出力に出力値を判定する判定機能とその値を前記位相メモリにて一時記憶して、この判定結果の位相を合せて合成出力を得るようにしたことを特徴とする請求項3に記載の波形検出装置。
- 前記演算処理部の位相を変更する変更手段(位相合わせパラメータ設定手段)によって、上記デジタルフィルタの入出力遅延などの位相合せをする代わりに、前記位相合せパラメータ設定手段から、パラメータを前記パラメータ設定手段の乗算係数パターン設定手段に伝達し、乗算係数パターンの位相を変化させて、複数の乗算係数パターンを合成した新たな乗算係数パターンを生成しデジタルフィルタに設定したことを特徴とする請求項1に記載の波形検出装置。
- 信号データの特徴化をする機能を持った演算処理部と、パラメータ入力部とを備えた波形検出装置であり、前記演算処理部は、デジタルフィルタ演算手段と、パラメータ入力部を有し、さらに前記デジタルフィルタ演算手段は、入力信号を記憶し遅延させる遅延メモリと乗算係数パターンを貯える乗算係数パターンメモリを備えたデジタルフィルタとパラメータ設定手段とを有し、前記パラメータ設定手段は、パラメータ入力部を介して乗算係数パターンを設定する乗算係数パターン設定手段とフィルタパラメータ設定手段とを有し、前記デジタルフィルタ演算手段は入力部より入力される入力信号データを前記デジタルフィルタに接続し、前記両メモリの内容の積和を算出し出力する機能を有しており、前記乗算係数パターンに単調減少または単調増加な傾きを持ったパターンを用いるようにし、そのデジタルフィルタ演算手段の出力を変換出力とすることを特徴とする波形検出装置において、前記乗算係数パターンを、非整数n回積分の式より導かれるパターンを乗算係数パターンの素パターンとし、周波数応答のパワースペクトルの傾きが一部の周波数帯域で1あるいは−1の傾きとなるよう積分回数nを用いてデジタルフィルタの出力を調整できる特徴とする波形検出装置。
- 前記乗算係数パターンの素パターン1を選択し、次に素パターン1と逆符号となる相似の素パターン2を選択し、前記パターン1と逆符号となる素パターン2の先頭位置を異ならせて、同じ位置同士の係数の値を加えて、新たなる乗算係数パターンを算出し、これを上記デジタルフィルタに用いて、入力信号に対して出力信号の周波数応答でパワースペクトルの傾きが2(f2乗揺らぎ変換)となるようにしたことを特徴とする請求項6に記載の波形検出装置。
- 前記非整数n回積分の式から導かれる係数パターンと前記f2乗ゆらぎ変換となる乗算係数パターンを加算して新たなる乗算係数パターンを作成し、これを上記デジタルフィルタに用いて入力信号に対し、出力信号のパワースペクトルの傾きが1(fゆらぎ変換)となり、かつ出力の値が入力の近未来の値を予測するようにした請求項7に記載の波形検出装置。
- 前記乗算係数パターンの値が0(ゼロ)に近づく側の乗算係数パターンの端を段階的にゼロに近づくように補正し、デジタル情報処理に特有の偏った減衰の発生を押さえるようにしたことを特徴とする請求項7または8に記載の波形検出装置。
- 前記請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の波形検出装置を利用し、信号入力部からの入力信号データの中から波形の特徴を抽出し、前記特徴化した波形を元に入力信号の状態を判定し、判定結果を表示できるようにしたことを特徴とする状態監視システム。
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