JP2001159585A - 音評価方法及び装置並びに音評価用プログラムを記憶した記憶媒体 - Google Patents

音評価方法及び装置並びに音評価用プログラムを記憶した記憶媒体

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JP2001159585A
JP2001159585A JP34309999A JP34309999A JP2001159585A JP 2001159585 A JP2001159585 A JP 2001159585A JP 34309999 A JP34309999 A JP 34309999A JP 34309999 A JP34309999 A JP 34309999A JP 2001159585 A JP2001159585 A JP 2001159585A
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Hideo Suda
英雄 須田
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Original Assignee
Suzuki Motor Corp
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  • Testing Of Devices, Machine Parts, Or Other Structures Thereof (AREA)
  • Measurement Of Mechanical Vibrations Or Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 種々の音源から発せられる音のうち特定の音
の影響を評価すること。 【解決手段】 評価対象物の複数の音源から発せられタ
イミングパルスと同期した音データから次数抽出周波数
幅で特定次数の次数音を各次数毎に抽出する次数音抽出
工程D4と、この次数音抽出工程D4にて抽出された複
数の次数の各次数音データと音データとをそれぞれ比較
する比較工D5程と、この比較工程D5によって生成さ
れた次数毎の比較結果を当該次数の大きさ順に並べ替え
る次数軸データ生成工程D6とを備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、音評価装置に係
り、特に、評価対象物の回転動作に伴って発生する音を
評価する音評価装置に関する。
【0002】本発明は特に、二輪車や四輪車のメカ音
(エンジン音や排気音等を含めたメカニカルノイズ)の
評価に応用される。また、エンジンを有する移動体のメ
カ音以外にも、回転動作に依存した音が生じる物体であ
れば、応用可能であり、例えば、モータ駆動の構造物の
評価にも適用できる。また、音に限らず、一定のタイミ
ングでタイミング信号が出力されるメカの振動の解析に
も良好に用いられる。製品分野としては、二輪、四輪、
特機等、電動自動車など必要に応じて全車種の音質を評
価できる。また、生産技術についても、工場や生産ライ
ンの完成検査等の音質評価を行うことができる。
【0003】
【従来の技術】従来、二輪車や四輪車等のメカ音の評価
は、開発・出荷検査を含め、聴覚で行われている。従っ
て、音評価に絶対的な尺度がなく、評価を不安定で不確
実なものとしている。そして、聴覚で評価を行うには、
被験者を数時間拘束し、限られた調査項目について調査
を行うため、大量かつ多種類の音の評価を得ることが現
実的に困難であった。また、一部はパーソナルコンピュ
ータ(PC)を導入し、音の数値化を行っているが、人
間の聴覚の特性に応じた音の評価点を得るのは難しい。
【0004】例えば、特開平8−122140号公報で
は、自動車変速器等のギヤノイズを絶対的に評価するた
めに、FFTアナライザからの複数の音圧値に対する官
能評価値を学習したニューラルネットワークを備えたギ
ヤノイズ評価装置が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例では、回転動作に伴って生じる種々の音源からの音
を個別に評価することができない、という不都合があっ
た。すなわち、上記従来例では、問題音の有無が判明し
たとしても、問題音の音源を特定することができない。
【0006】また、従来例では、評価対象物の回転数の
増加や減少があると、評価対象物から連続的に発せられ
る音に対して聴覚による評価と同様な評価を行うこと困
難となる、という不都合があった。
【0007】さらに、上記従来例では、音データのうち
どの次数音の影響が最も大きいのかを調べることができ
なかった。
【0008】
【発明の目的】本発明は、係る従来例の有する不都合を
改善し、特に、回転駆動に伴って種々の音源から発せら
れる音のうち特定の音の影響を評価することのできる音
評価装置を提供することを、その目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明では、評
価対象物の回転動作に応じて出力されるタイミングパル
スの間隔に基づいて当該回転動作の回転数を時系列にて
算出する回転数算出工程と、この回転数算出工程にて算
出された回転数と評価対象となる範囲の各次数とから各
次数毎に各タイミングでの周波数を次数中心周波数とし
て各次数毎に算出する次数中心周波数算出工程と、この
次数中心周波数の前後の帯域で且つ所定幅の周波数幅を
各次数毎の次数抽出周波数幅に設定する次数抽出周波数
幅設定工程とを備えている。そして、この次数抽出周波
数幅設定工程に続いて、評価対象物の複数の音源から発
せられタイミングパルスと同期した音データから次数抽
出周波数幅で特定次数の次数音を各次数毎に抽出する次
数音抽出工程と、この次数音抽出工程にて抽出された複
数の次数の各次数音データと音データとをそれぞれ比較
する比較工程と、この比較工程によって生成された次数
毎の比較結果を当該次数の大きさ順に並べ替える次数軸
データ生成工程とを備えた、という構成を採っている。
これにより前述した目的を達成しようとするものであ
る。
【0010】回転数算出工程では、評価対象物の回転動
作の周期を示すタイミングパルスの間隔に基づいて、評
価対象物の回転数を算出する。評価対象物が例えばエン
ジンであれば、当該エンジンの回転数を算出する。続い
て、次数中心周波数算出工程では、評価対象の次数と、
回転数とから、当該評価対象の次数の周波数を求める。
例えば、1回転毎に1周期である音の次数は1である。
また、n次の音であれば、回転数をHzで表現し、評価
対象となる次数と掛けることで当該n次の音の当該回転
数における周波数が求まる。従って、同じ次数であって
も、その次数音は、高回転では高い音となり、一方、低
回点では低い音となる。
【0011】次数抽出周波数幅設定工程は、次数中心周
波数の前後の帯域で所定幅の周波数幅を次数抽出周波数
幅に設定する。次数音はほぼ次数中心周波数の成分のみ
か、その高調波を有する。この次数中心周波数幅の前後
の帯域にある成分を抽出すると、当該次数音のみが抽出
される。所定幅の周波数幅は、例えば、100 [Hz]か
ら200 [Hz] までの予め定められた固定の幅としても
良いし、また、回転数に依存して周波数幅を変化させる
ようにしても良い。そして、次数音抽出工程にて次数音
を抽出する。抽出する次数は、周波数分析を行うFFT
の能力に応じた上限としても良いし、また、音データの
音源での最大次数に応じて予め定めた上限次数までとし
ても良い。比較工程は、この次数毎の次数音データと音
データとを比較すると共に当該比較結果を出力する。音
データの比較は、音圧、音圧の大きさ、最大圧力などの
物理量について、一定期間の音データについてのピーク
の値や、積算した後の比率など、音データ全体に対する
次数音の影響を知るための比較が行われる。続いて、本
発明では、次数軸データ生成工程が、比較工程によって
生成された次数毎の比較結果を当該次数の大きさ順に並
べ替える。すると、1次からn次までの評価結果が得ら
れる。
【0012】本発明による音評価装置は、評価対象物の
複数の音源から発せられる一定期間の音をデジタルの音
データとして記憶した音データ記憶手段と、音データ記
憶手段に格納された音データを信号処理して評価用デー
タを生成する信号処理手段と、この信号処理手段によっ
て生成される評価用データを外部出力する評価用データ
出力手段とを備えている。しかも、信号処理手段に、評
価対象物の一定期間内での回転動作に応じて出力される
タイミングパルスを音データに同期して記憶したタイミ
ングデータ記憶手段を併設している。そして、信号処理
手段が、タイミングデータ記憶手段に格納されたタイミ
ングパルスの間隔に基づいて評価対象物の回転数を一定
期間分順次算出する回転数算出部と、この回転数算出部
によって算出された回転数と評価対象となる範囲の次数
とに基づいて各評価タイミング毎に各次数の中心周波数
を当該各次数毎に算出する次数中心周波数算出部と、こ
の次数中心周波数算出部によって算出された各次数毎の
次数中心周波数の前後の周波数帯域であって所定の大き
さの周波数幅を各次数毎の次数抽出周波数幅に設定する
次数抽出周波数幅設定部とを備えている。信号処理手段
は、次数抽出周波数幅設定部によって設定された次数抽
出周波数幅で音データ中の次数音を各次数毎にそれぞれ
抽出する次数音抽出部と、この次数音抽出部によって各
次数毎に抽出された次数音の特徴を当該次数の大きさに
沿って並べ替えると共に当該並べ替えられた各次数毎の
特徴値を評価用データとして出力する次数軸データ生成
部とを備えた、という構成を採っている。これによって
前述した目的を達成しようとするものである。
【0013】ここでは、評価対象物から発せられた原音
はデジタル化された音データとして音データ記憶手段に
格納される。また、この評価対象物の回転動作を示すタ
イミングパルスは、タイミングデータ記憶手段に格納さ
れる。そして、コンピュータ等による信号処理手段は、
タイミングパルスと音データとに基づいて各種信号処理
を行い、音の評価用データを出力する。信号処理手段で
は、まず、回転数算出部が、タイミングデータ記憶手段
に格納されたタイミングパルスの間隔に基づいて評価対
象物の回転数を一定期間分順次算出する。すると、一定
期間内の音データの全時間についてそれぞれ評価対象物
の回転数が判明する。そして、次数中心周波数算出部
は、回転数と評価対象となる特定次数とに基づいて各評
価タイミング毎に当該特定次数の中心周波数を各次数毎
に算出する。例えば、1次数から100次数など予め定
められた次数まで算出するか、またはFFT等の上限周
波数に至る次数まで算出する。続いて、次数抽出周波数
幅設定部は、次数中心周波数の前後の周波数帯域であっ
て回転数に応じた大きさの周波数幅を各次数毎に次数抽
出周波数幅に設定する。例えば、当該特定次数に隣接す
る次数の一次数分の周波数を算出し、この周波数幅を次
数抽出周波数幅に設定する。続いて、次数音抽出部は、
この次数抽出周波数幅内の周波数成分を次数音として抽
出する。各次数音が抽出されると、次数軸データ生成部
は、各次数毎に抽出された次数音の特徴を当該次数の大
きさに沿って並べ替えると共に当該並べ替えられた各次
数毎の特徴値を評価用データとして出力する。次数音の
特徴としては、次数音の音圧のピークや、背景となる音
に対して次数音が占める割合や、一定期間内の次数音の
積算値と全体音の積算値との比などが該当する。そし
て、このような次数毎の特徴値を次数の大きさ順に並べ
る。すると、次数軸と特徴値の大きさを示す軸からなる
次数軸データが生成される。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1は本発明による音評価方法の
実施形態を示すフローチャートである。図1に示すよう
に、本実施形態による音評価方法は、評価対象物の回転
動作に応じて出力されるタイミングパルスの間隔に基づ
いて当該回転動作の回転数を時系列にて算出する回転数
算出工程D1と、この回転数算出工程D1にて算出され
た回転数と評価対象となる範囲の各次数とから各次数毎
に各タイミングでの周波数を次数中心周波数として各次
数毎に算出する次数中心周波数算出工程D2と、この次
数中心周波数の前後の帯域で且つ所定幅の周波数幅を各
次数毎の次数抽出周波数幅に設定する次数抽出周波数幅
設定工程D3とを備えている。
【0015】しかも、この次数抽出周波数幅設定工程D
3に続いて、評価対象物の複数の音源から発せられタイ
ミングパルスと同期した音データから次数抽出周波数幅
で特定次数の次数音を各次数毎に抽出する次数音抽出工
程D4と、この次数音抽出工程D4にて抽出された複数
の次数の各次数音データと音データとをそれぞれ比較す
る比較工D5程と、この比較工程D5によって生成され
た次数毎の比較結果を当該次数の大きさ順に並べ替える
次数軸データ生成工程D6とを備えている。この次数軸
データ生成工程にて生成された次数軸データは、評価用
データとして外部出力される(ステップD7,評価用デ
ータ出力工程)。
【0016】評価対象物は、二輪車や四輪車のエンジン
など、回転動作を行う構造物であり、音源及び振動源で
ある。エンジンの場合、点火パルス等をタイミングパル
スとして使用できる。また、モーター駆動の場合には、
モータ駆動用のパルスの一部を用いてタイミングパルス
にすると良い。1回転に1つのタイミングパルスが出力
されるとすると、タイミングパルスの間隔から、当該評
価対象物の回転数が得られる。タイミングパルスの間隔
が短ければ回転数が大きく、一方、タイミングパルスの
間隔が長ければ、ゆっくりとした回転を行っている。本
実施形態では、この回転数情報を利用して、評価対象物
の音の評価を行う。音を評価する目的の一つは、人間が
不快と感じる音が含まれているか否かの判定にある。こ
のため、人間の聴覚の特性に応じた評価を行わなければ
ならず、しかも、数値として表さなければならない。聴
覚は複雑であるため、種々の音に対して唯一の手法で評
価を行うことは難しい。このため、本実施形態では、音
の特性に応じて複数の手法を使い分けて評価を行うこと
で、人間の聴覚と一致する評価結果を算出する。
【0017】まず、用語を定義する。 連続音: 時間的に連続的に発せられる音で、複数の周
波数成分を含むことは少なく、主要な周波数成分は回転
数が一定であれば、一定の周波数である。 断続音: 特定の回転角度の時に孤立的に発せられる音
で、多くの周波数成分を含むこともある。 評価: 音データを信号処理することにより所定の比率
などの数値を得ること。 次数: 1回転に対する連続音の周期であり、1回転の
期間で1周期である音は、1次数である。1回転でn周
期の音は、n次数である。また、歯が37個ある歯車
で、評価対象物の1回転で1回転するのであれば、この
歯車からは37次の音が生じる。 次数音: 連続音のうち、特定の次数成分のみを抽出し
た音をいう。 特定次数: 連続音の評価において、評価対象となる次
数をいう。 特定次数の次数中心周波数: 回転数と次数とが定まる
と、特定次数の音の周波数が特定される。すなわち、 次数中心周波数 [Hz] = (回転数 [rpm] /60)×次
数 次数フィルタ抽出周波数幅(周波数幅): 特定次数を
抽出するためのバンド幅であり、次数中心周波数の前後
の帯域を有する周波数幅である。 一次数幅(又は、ΔHz): 回転数に依存して定まる
一次数の次数中心周波数の大きさをいう。例えば、12
00回転であれば、20 [Hz] 幅である。
【0018】再度図1を参照すると、ステップD1にて
回転数を参照した後、次数中心周波数を算出している。
評価対象とする次数は、例えばエンジンであれば調整し
ようとする歯車の歯数などによって定めることができる
が、次数軸データを生成する場合には予め特定次数を定
める必要がなくなる。次数中心周波数は次式により求め
る。 次数中心周波数 [Hz] = (回転数 [rpm] /60)×次
【0019】続いて、回転数に基づいて次数抽出周波数
幅を算出する。次数音はほぼ特定の周波数成分のみから
構成されるため、次数抽出周波数幅を広くすると、複数
の次数音を抽出してしまう。そして、次数中心周波数が
回転数に依存することから、隣接する次数間の間隔 [H
z] も回転数に依存して定まる(図8参照)。このた
め、次数抽出幅設定工程D3は、特定次数に隣接する次
数の一次数分の周波数幅を次数抽出周波数幅の周波数幅
に設定する一次別抽出設定工程を備えると良い。する
と、隣接する周波数成分を同時に抽出することがなくな
るため、単一の次数成分のみを抽出することができる。
これは、低回転の状態で有効な手法である。
【0020】また、高回転では、例えばエンジンの場合
音圧も大きくなり、さらに、断続音の周期も短くなる。
このため、隣接次数の一次数分の周波数幅で連続音であ
る次数音を抽出しようとしても、他の次数音以外の他の
成分を重ねて抽出してしまうことが想定される(図9参
照)。このため、しきい値となる回転数よりも高回転の
場合には、周波数幅を固定として抽出すると良い。する
と、次数音以外の成分の影響が少なくなる。この固定幅
である次数抽出周波数幅としては、100 [Hz] から2
00[Hz] 程度が好ましい。また、タイミングパルスに
よる回転数を高精度で算出できるのであれば、この抽出
周波数幅をより狭く設定できる。
【0021】次数抽出周波数幅が算出されると、音デー
タから、例えば50 [Hz] から150 [Hz]などの次数
抽出周波数幅の周波数域の音を抽出する。これが、特定
次数の次数音となる。次数音が抽出されると、この次数
音データのみを再生することで背景となる音を除去した
状態で次数音を再生することができる。また、次数音の
音圧変化が判明するため、この音圧変化波形に基づいて
種々の評価を行うことができる。すなわち、一定時間内
の次数音の音圧のピーク値を取ると、大きい音の有無及
びその値を得ることができ、また、次数音の音圧変化波
形を積分すると、その積算値に基づいて当該次数音の全
体的な影響を知ることができる。また、次数音を時間微
分した値が大きい場合には、急激に音が大きくなってい
る状態であるなど、種々の分析が可能となる。このと
き、回転数に応じて次数抽出周波数幅を可変としたた
め、次数音成分のみを良好に抽出することができ、これ
により、評価の精度を向上させ、より聴覚に一致した評
価を行うことができる。
【0022】本実施形態では、音データによる全体音と
抽出した次数音を比較することで、次数毎の特徴データ
を生成する。特徴データは、例えば、時系列で微少時間
毎に全体音に対して次数音が占める比率データや、ま
た、全体音の積算値に対する次数音の積算値の比率デー
タである。また、特定の回転数範囲内や、回転数が上昇
又は下降している範囲にて比較するようにしてもよい。
すると、例えばエンジンではアイドリング状態での次数
音の影響を知ることができ、また、加速時にエンジンが
活発に動作しているときの次数音の影響を知ることがで
きる。
【0023】そして、図1に示すステップD6では、こ
のような次数毎の特徴データを、次数の大きさに沿って
並べ替える。すると、次数軸と特徴値の大きさの軸とを
有する次数軸データが生成される(例えば、図13参
照)。このように図1に示す音評価方法では、各次数毎
の特徴値を算出して次数軸データを生成するため、評価
対象の音にどのような次数音成分が含まれているのかが
不明な状態であっても、聴覚上問題となり得る次数音を
自動的に抽出することができる。すなわち、次数音と全
体音の積算比率が予め定められたしきい値以上の次数を
抽出するなどの処理が可能となる。従って、回転数の変
化によって次数音の音圧などの特性が変化し、複数の次
数音やその倍音成分が重畳した音であっても、問題とな
る次数を良好に特定することができる。
【0024】図2は、本実施形態による音評価装置の構
成を示すブロック図である。本実施形態による音評価装
置は、評価対象物の複数の音源から発せられる一定期間
の音をデジタルの音データとして記憶した音データ記憶
手段2と、音データ記憶手段2に格納された音データを
信号処理して評価用データを生成する信号処理手段6
と、評価対象物の一定期間内での回転動作に応じて出力
されるタイミングパルスを音データに同期して記憶した
タイミングデータ記憶手段4と、信号処理手段6によっ
て生成される評価用データを外部出力する評価用データ
出力手段22とを備えている。信号処理手段6は、例え
ばパーソナルコンピュータ(PC)であり、パーソナル
コンピュータは、プログラムを実行するCPUと、この
CPUの主記憶となるRAMと、プログラムを記憶する
ハードディスク等の補助記憶装置と、キーボードなどの
入力デバイスを備え、CD―ROMなどの記憶媒体から
データやプログラムデータを読み出すディスクドライブ
7を併設する。
【0025】しかも、信号処理手段6が、タイミングデ
ータ記憶手段に格納されたタイミングパルスの間隔に基
づいて評価対象物の回転数を一定期間分順次算出する回
転数算出部8と、この回転数算出部8によって算出され
た回転数と評価対象となる範囲の次数とに基づいて各評
価タイミング毎に各次数の中心周波数を当該各次数毎に
算出する次数中心周波数算出部10と、この次数中心周
波数算出部10によって算出された各次数毎の次数中心
周波数の前後の周波数帯域であって所定の大きさの周波
数幅を各次数毎の次数抽出周波数幅に設定する次数抽出
周波数幅設定部12とを備えている。
【0026】さらに、信号処理手段6は、次数抽出周波
数幅設定部12によって設定された次数抽出周波数幅で
音データ中の次数音を各次数毎にそれぞれ抽出する次数
音抽出部18と、この次数音抽出部18によって各次数
毎に抽出された次数音の特徴を当該次数の大きさに沿っ
て並べ替えると共に当該並べ替えられた各次数毎の特徴
値を評価用データとして出力する次数軸データ生成部2
1とを備えている。このような構成を採ることにより、
図1に示すステップD1乃至D6を実行し、音データ中
の問題となる次数を明らかにする。
【0027】また、次数抽出周波数幅設定部12が、特
定次数に隣接する次数の一次数分の周波数幅を次数抽出
周波数幅の周波数幅に設定する一次別抽出設定機能14
や、予め定められた回転数以上の場合に次数抽出周波数
幅を予め定められた固定幅に設定する高回転固定抽出設
定機能16を備えるようにしてもよい。評価対象物が低
回転である場合や、次数音(連続音)以外の音の成分が
少ない場合には一次別抽出設定機能14が好ましく、一
方、次数音以外の成分も含む場合には、高回転固定抽出
設定機能が好ましい。
【0028】次数音抽出部18によって次数音が抽出さ
れると、その音圧変化波形に基づいて種々の評価を行う
ことができる。しかし、数多くの音を評価する場合、ベ
ースとなる音圧が異なることがあるため、絶対値の比較
では評価の均一性が保てなくなる。このため、次数軸デ
ータ生成部は、次数音抽出部18によって抽出された次
数音の音圧と音データの音圧の比率を時系列で次数毎に
算出する比率算出機能20を備えている。このように、
音データ全体の音圧に対する次数音の音圧が占める割合
を算出すると、種々の音データに対する評価結果が規格
化され、均一な数値を得ることができる。
【0029】次数軸データに基づいて問題次数を特定す
る際に、低い次数にて特徴値が大きく現れる場合があ
る。エンジンを評価対象物とする場合、排気音成分が大
きく、これは次数音ではないけれども、低い次数の次数
抽出周波数幅で抽出すると排気音成分が次数音として現
れてしまう。図2に示す例では、このような低い次数で
の抽出周波数幅に含まれてしまう次数音以外の成分の影
響を除去するために、次数音抽出部18が、予め定めら
れた抽出下限周波数よびも大きい周波数域の音データか
ら次数音を抽出する低域遮断フィルタ機能70を備えて
いる。抽出下限周波数は、例えばエンジンの排気音成分
を除去する場合には、200 [Hz] から300 [Hz] が
好ましい。
【0030】また、周波数の高い領域で共振がある構造
物を評価対象物とする場合、抽出上限周波数を用いると
良い。共振周波数が予め判明している場合には、その共
振周波数(固有振動数)に基づいて抽出上限周波数を定
めるようようにしても良い。次数の上限が予め判明して
いる場合には、想定される高回転数と次数の上限とに基
づいて、抽出上限周波数を定めるとよい。この場合、次
数音抽出部18が、予め定められた上限次数に至るまで
音データ中の次数音を抽出する上限次数設定機能72を
備える。このように抽出下限周波数と抽出上限周波数と
が定まると、FFT計算での上限周波数の範囲内で回転
数によらず各次数の次数音を抽出することができる。
【0031】図3は、図2に示した信号処理手段の詳細
構成の一例を示すブロック図である。図3に示す例で
は、信号処理手段6が、音データを周波数分析する周波
数分析部74を備えている。そして、次数音抽出部18
が、周波数分析部74によって算出された音データの周
波数スペクトルの複数のピーク値のうち予め定められた
周波数よりも低いピーク値に基づいて抽出下限周波数を
設定する抽出下限周波数設定機能76を備える。一定時
間内全体のデータの周波数スペクトルを得るには、数1
0[Hz] 単位で一定時間内の特定周波数帯域の音を抽出
し、この特定周波数音の全体音に対する比率を算出す
る。そして、この特定周波数音を0 [Hz]を越える値か
ら10,000 [Hz] 程度まで順次抽出し、比率を求め
る。この比率を周波数軸に並べると、評価対象物の回転
数に依存しない音の成分が現れる。すなわち、次数音以
外の共振音の大きさ及び周波数や、排気音の大きさなど
が判明する。この周波数スペクトルのピーク値に基づい
て、上記抽出下限周波数及び抽出上限周波数をオペレー
タの入力又は信号処理用のプログラムの実行により定め
ることができる。すると、音データの次数音以外の周波
数分布を参照して次数軸データを生成することができ、
すると、次数音以外の成分の影響を除去し次数音の評価
精度を向上させることができる。
【0032】また、図3に示す例では、次数音の特徴値
として積算比率を用いるために、次数軸データ生成部2
1が、次数音抽出処理機能78によって抽出された次数
音の音圧を一定期間分積算する次数音圧積算機能と、音
データの音圧を一定期間分積算する全体音積算機能26
と、次数音積算機能24によって積算された次数音の積
算値と全体音積算機能26によって算出された全音圧の
積算値との比率を算出すると共に当該比率を評価用デー
タとして出力する積算比率算出機能28とを備えてい
る。これにより、回転数の増減に渡った全体的な次数音
の影響に対する評価を行うことができる。
【0033】この図2及び図3に示した構成は、パーソ
ナルコンピュータ等の信号処理手段6で音評価用のプロ
グラムを実行することで実現される。この音評価用プロ
グラムデータは、CD―ROM等の記憶媒体に格納され
てパーソナルコンピュータ6まで搬送される。そして、
音評価用プログラムは、パーソナルコンピュータ6の図
示しないハードディスク等に格納される。
【0034】この音評価用プログラムは、信号処理手段
6を動作させる指令として、タイミングデータ記憶手段
4に格納されたタイミングパルスの間隔に基づいて評価
対象物の回転数を一定期間分順次算出させる回転数算出
指令と、この回転数算出指令に応じて算出された回転数
と評価対象となる範囲の次数とに基づいて各評価タイミ
ング毎に各次数の中心周波数を当該各次数毎に算出させ
る次数中心周波数算出指令と、この次数中心周波数算出
指令に応じて算出された各次数毎の次数中心周波数の前
後の周波数帯域であって所定の大きさの周波数幅を各次
数毎の次数抽出周波数幅に設定させる次数抽出周波数幅
設定指令とを備えている。
【0035】この音評価用プログラムはさらに、次数抽
出周波数幅設定指令に応じて設定された次数抽出周波数
幅で音データ中の次数音を各次数毎にそれぞれ抽出させ
る次数音抽出指令と、この次数音抽出指令に応じて各次
数毎に抽出された次数音の特徴を当該次数の大きさに沿
って並べ替えると共に当該並べ替えられる各次数毎の特
徴値を評価用データとして出力させる次数軸データ生成
指令とを備えている。これら各指令がしパーソナルコン
ピュータ6にて実行されることで、パーソナルコンピュ
ータは図2に示す信号処理手段として動作する。
【0036】ここで、「動作させる指令」というときに
は、各指令のみで信号処理手段(パーソナルコンピュー
タ)を動作させる指令と、信号処理手段に予め格納され
ているオペレーティングシステム等の他のプログラムに
依存して当該コンピュータを動作させる指令とのいずれ
かまたは双方を含む。
【0037】本実施形態による評価手法は、タイミング
パルスと音とが時間的、角度的に相関する評価対象物に
対して応用可能であり、最終的な評価部分を変更するこ
とで色々な音の評価が可能となる。また、音に限らず、
振動波形に対しても同様の効果が得られる。
【0038】上述したように本実施形態によると、連続
音(次数音)を抽出する際に、抽出幅を可変としたた
め、回転数の変動に伴う次数音圧成分を正確に抽出する
ことができる。また、評価を比率ピーク値のみならず積
算値でも行うため、瞬間的に大きい等の誤差要因を排除
しより聴覚に近い数値を得ることができる。
【0039】
【第1実施例】<連続音と断続音の評価>次に、本発明
による音評価装置の実施例を図面を参照して説明する。
本実施例では、音評価装置は、タイミングパルスを取込
むための回転計と、音を取込むための騒音計(マイク)
と、それらとパーソナルコンピュータ(PC)6に増設
されたA/D変換器とを接続するインタフェースボック
スと、PC6とを備えている。
【0040】パーソナルコンピュータ(PC)6は、信
号処理手段6として、解析ソフトとタイミングフィルタ
ソフトとこれらによって得られた数値から評価点数を算
出する評価点算出ソフトとを備えている。解析ソフト
は、例えば、音の解析で使用されるFFTや、周波数フ
ィルタ等の機能を持つ。
【0041】本実施例での評価対象には連続音と断続音
とがある。連続音とは、ギヤやチェーンなどのようにク
ランク1回転に対し、多くの噛あいなどで発生する音
で、うなり音とも呼ばれている。これらの音は、タイミ
ングパルスがあれば、次数フィルタ(回転数とギヤの歯
数から周波数を求め、その周波数を中心とした所定幅分
透過させるフィルタをかけるもの)で比較的容易に抽出
することができる。この抽出された音を実際に評価する
には、別途数値に変換する必要がある。次数フィルタ
は、図2に示す例では、次数抽出周波数幅設定部12
と、次数音抽出部18とを備える。
【0042】断続音は、1サイクルに1回もしくは2回
程度で、ほぼ特定のタイミングで発生する音である。断
続音としては、例えば、燃焼直後のクランクの回転変動
に伴うギヤの歯打ち音や、クラッチの音などがある。こ
れらの音は、限定された周波数で出るものもあるが、広
い周波数帯域で発生するものもある。この様な音に対
し、従来は、周波数フィルタを使用し、問題音のみを抽
出し、音の大小で比較していたが、この方法では、抽出
後の音が、原音とかけはなれた音となる上、その他のタ
イミングで発生する音も含まれてしまう。また、問題音
の周波数が広い場合には、抽出自体が困難である。これ
を解決するための構成がタイミングフィルタであり、こ
れにより得られた数値に基づいて評価点数を算出する。
【0043】図4は信号処理手段6の処理例の概略を示
すフローチャートである。音データを取込むと(ステッ
プS1)、問題音のタイプを確認する(ステップS
2)。これは、予め図示しない入力手段からPCに入力
しておくようにしても良いし、音データの開始時に音デ
ータにて一方を選択する指示用のデータを格納するよう
にしてもよい。連続音の評価の場合には(ステップS
3)、次数フィルタによる音の抽出を行う(ステップS
4)。そして、全体音と抽出した問題音との相関を算出
する(ステップS5)。例えば、音圧の比率を算出す
る。そして、この相関に基づいて評価点数を算出する。
このため、各次数毎に音の聴覚上の評価点数を得ること
ができる。
【0044】一方、断続音である場合には(ステップS
7)、まず、タイミングフィルタにより問題音自体また
は問題音以外の音をマスクし、又は増幅する(ステップ
S8)。このようにタイミング別に音データを整形した
後、全体音(問題音)の音圧変動を算出する(ステップ
S9)。断続音の評価では、この音圧変動に基づいて、
評価点数を算出する。
【0045】<連続音>連続音は次数フィルタを使用す
ることで比較的容易に抽出が可能である。しかし、この
抽出された音のみで評価点を算出することは困難であ
る。これは、抽出された音がいくら大きくても、その他
のバックグラウンドノイズ(全体音又は背景音ともい
う)がそれよりも大きい場合は、問題にはならず、聴覚
上の評価点数は良くなる。逆に、抽出された音が小さく
ても、その他の音が小さい場合は問題となり、評価点数
は悪くなる。このバックグラウンドノイズとの関係で抽
出した周波数の音の評価を行うことは、従来できなかっ
た。
【0046】このため、本実施例では、全体の音に対す
る問題音のしめる比率を求めることで、バックグラウン
ドの音を含めた相対的な問題音の数値化を行う。この手
法の例を図5(A)乃至図5(C)に示す。図5に示す
例は、エンジンニュートラル状態でアクセルをオンオフ
した場合のものであり、その前半部分でアクセルをオン
し、回転が上昇し、全体音も大きくなっている。その
後、アクセルをオフし、回転の下降とともに全体音も小
さくなっている。
【0047】図6は連続音評価のフローチャートであ
る。連続音の評価(ステップS11)では、まず、図5
(A)に示すように特定次数60の音を特定のバンド幅
(次数抽出周波数幅)58で切出す(ステップS1
2)。次に、図5(B)に示すように、切出した音の音
圧64を求める(ステップS13)。さらに、全体の音
の音圧63を求める(ステップS14)。さらに、図5
(C)に示すように、全体の音圧63に対する問題音の
音圧64の比率67を算出する(ステップS15)。す
ると、次数音比率が高まる図5(C)の符号62で示す
部分は音の好ましくない状態を示す数値となり、一方、
その他の部分は問題音以外の音で聴覚上マスクされてし
まうことから評価点数を比較的良好である評価点とする
(ステップS16)。
【0048】連続音の次数は、図5(A)に示すよう
に、回転上昇と共に高い周波数となり、アクセルオフで
回転が下降すると、周波数も低くなる。この様な次数の
問題音を、あるバンド幅58で抽出し、その音圧を求め
ると図5(B)の抽出音圧のようになる。このとき、同
時に全体の音圧も図のように求めておく。この抽出され
た問題音の音圧64と全体音の音圧63との比率を取る
と、図5(C)に示すように、問題音が大きく聞える場
合には全体音に対する問題音の比率67が大きくなる。
この比率の大小を比較することで、バックグラウンドの
音を含めた問題音の評価が可能となる。
【0049】図7(A)および(B)は、8次と17次
の問題音が小さいと評価されたものと、大きいと評価さ
れたものとについて前述した処理により比率を求めたも
のである。聴覚上、問題音が最も良く聞える部分を円6
1で囲んだ。ここは、アクセルをオフし、回転の下降と
共に全体音が小さくなるが、問題音が残り、アイドリン
グ直前で大きく聞える部分である。図7に示すように、
問題音が小さい評価のものは、全体音に対し8次音が1
0%、17次が20%程度、その他の音が70%程度と
なっている。一方、問題音が大きい評価のものは、8次
のピークが60%、17次のピークが35%程度と非常
に大きくなっている。この様にして得られた問題音の全
体音に対する比率を評価点算出ソフトを使用して数値化
することにより、人の聴覚上の評価点と同等の数値を得
ることができる。このように本実施例では、特定周波数
の音を抽出すると原音とかけ離れた音となってしまい、
実際の音を再生させても評価が難しいのに対して、音圧
の比率に着目してその問題音の影響を評価するため、音
の評価を比較的単純な構成で精度の良い有用な評価用デ
ータを得ることができる。
【0050】
【第2実施例】<可変次数抽出周波数幅>次に、第1実
施例で説明した次数フィルタの詳細を第2実施例として
説明する。第2実施例の構成は、図2に示した実施形態
と同様である。100[Hz] の次数フィルタ抽出周波数
幅(次数抽出周波数幅,バンド幅)58で次数音の抽出
を行う場合、特定次数の次数中心周波数30の上下50
[Hz] 幅で抽出する。これは、6000 [rpm] で丁度
一次数幅に対応しており、それ以上の回転数では、一次
数幅以下であるが、それ以下の回転数範囲では、一次数
幅以上となる。
【0051】図8(A)に示すように、一様に回転数が
下降する場合、特定次数の次数中心周波数30も同様に
低くなる。ここで、隣接する次数の中心周波数を考える
と、図8(A)の破線のようになる。すなわち、隣接す
る次数の次数中心周波数との差はΔHz=RPM/60
であり、回転数と共に小さくなる。このΔHzは、当該
次数での一次数幅でもある。
【0052】ここで問題になるのが、エンジンの回転数
が低い場合で、1800 [rpm] の場合、ΔHz=30
[Hz] であり、100 [Hz] 幅という固定の次数抽出周
波数幅32で抽出すると、3次数幅以上で抽出すること
となってしまい、1次数の次数音のみを抽出することが
できなくなる。
【0053】図9は、全体音63の音圧変化波形と、特
定次数の次数音64の音圧変化波形と、全体音63に対
して次数音が占める比率の時間軸での変化を示す次数音
比率67の比率変化波形とを示す波形図である。図9
(A)は、次数抽出周波数幅を100 [Hz] 幅等に固定
して抽出したものである。固定の次数抽出周波数幅32
で次数音を抽出すると、図9(A)にて符号44で示す
ように、低回点部分での計算誤差が大きくなる。すなわ
ち、図9(A)に示す例では、全体音63は回転数の下
降に伴い順次音圧が小さくなる。そして、符号44で示
す部分はアイドリング状態であり、全体音は略一定の音
圧となっている。一方、固定抽出周波数幅32で抽出し
た次数音比率67の比率変化波形は、当該符号44で示
すように大きくなっている。これは、聴覚上の評価より
も大きい比率となっている。
【0054】これを防止する方法として、抽出幅を固定
ではなく、回転数により可変にすることが考えられる。
本実施例では、隣接する次数の中心周波数の大きさを、
次数抽出周波数幅とする。すると、回転数が変化しても
次数をまたいで抽出することが無くなり、計算誤差が小
さくなる。図9(B)に、この可変次数抽出周波数幅3
4で次数音64を抽出した場合の音圧変化波形とその次
数音比率67の比率変化波形を示す。図9(B)に示す
ように、可変次数抽出周波数幅34を用いると、符号4
6で示す領域のように、低回転部分での比率がより聴覚
に近いものとなった。
【0055】図9(B)の符号46で示される部分のよ
うに、可変次数抽出周波数幅34を用いると、低回転部
分での次数音の音圧がより聴覚に近いものとなり、従っ
て、次数音を精度良く抽出できたものと考えられる。一
方、高回転部分で聴覚との差が生じた。すなわち、隣接
次数中心周波数の大きさを次数フィルタ抽出周波数幅に
設定し、次数音の抽出を行うと、高回転部分での音圧が
聴覚による評価よりも強調される場合がある。これは、
高回転に応じた次数中心周波数の周波数帯域に、連続音
である次数音以外の成分も重なっていることも影響して
いると考えられる。また、エンジンの場合、高回転にな
るほど一般に音圧も大きくなるため、高回転部分の次数
音の音圧が強調されることも理由として考えられる。
【0056】図9(A)に示す固定抽出周波数幅32に
よる次数音の抽出結果と比較して、図9(B)に示す例
では、符号48で示す高回転部分にて、次数音の音圧は
図9(A)に示す例と比較して大きくなっている。
【0057】このような高回転部分での聴覚との不一致
に対処するためには、経験的に、3000回転よりも高
回転の場合には100 [Hz] での固定周波数幅で次数音
の抽出を行うと良い。一方、1800回転以下では、隣
接次数での中心周波数を抽出周波数幅とする可変抽出周
波数幅を用いると良い。1800回転から3000回転
までは、固定周波数幅での抽出による次数音と可変周波
数幅での抽出による次数音との間に大きな差は認められ
なかった。このため、固定次数抽出周波数幅32と可変
次数抽出周波数幅34との切替は、エンジンの場合に
は、1800回転から3000回転の間の回転数をしき
い値とすると良い。
【0058】図8(B)に示すように、この次数抽出周
波数幅を固定と可変とで切り替える場合には、しきい値
38の前後で固定領域40と可変領域42とを定義し
て、次数抽出周波数幅を可変領域内でのみ変化させると
良い。このように問題次数(評価対象となる特定次数)
の抽出幅を可変とすることで、より聴覚に近い問題音の
抽出が可能となり、従って、評価精度の向上が期待され
る。
【0059】図10は、この次数音抽出処理の一例を示
すフローチャートである。
【0060】まず、一定時間の音データの評価範囲か
ら、FFT計算の位置を算出する(ステップA11)。
続いて、回転数算出部8は、計算位置の点火パルス(タ
イミングパルス)を用いて回転数を求める。さらに、次
数中心周波数算出部10は、指定次数の中心周波数を求
め、一方、次数抽出周波数幅設定部12は、隣接する次
数の中心周波数を求めるる(ステップA12)。
【0061】続いて、次数音抽出部18は、回転数が例
えば3000 [rpm] 等の所定のしきい値を越えている
か否かを判定する(ステップA13)。そして、指定次
数の中心周波数が、50 [Hz] を越えており、従って、
回転数が3000 [rpm] を越えている場合には、10
0[Hz] の固定周波数を抽出周波数幅32とする(ステ
ップA14)。一方、50 [Hz] 未満の場合には、隣接
次数の周波数を抽出周波数幅34とする(ステップA1
5)。
【0062】さらに、次数音抽出部は、FFT計算の基
準幅を上記抽出周波数幅として周波数分析する。続い
て、比率算出部(比率算出機能)20は、当該周波数分
析することで抽出した次数音の全体音に対する次数音比
率67を求める(ステップA16)。続いて、評価範囲
内が終了するまで、上記ステップA12からステップA
16までを繰り返す(ステップA17)。評価範囲内に
ついてのFFT計算が完了すると、評価時間内の次数音
圧比率でグラフ化し、評価範囲内で積算全音圧と積算次
数音圧から、積算次数音圧比率を求める(ステップA1
8)。次数軸データを生成する実施例では、このステッ
プA12乃至A17の処理を各次数毎に行う。
【0063】上述したように本実施例によると、回転数
に依存して次数抽出周波数を変化させるため、次数成分
以外のノイズが少ない次数音を抽出することができ、こ
れにより、次数音に対する評価をより人間による聴感評
価と一致させることができる。また、図8(B)に示す
ように、次数抽出周波数幅を所定のしきい値を前後に固
定と可変とに切り替えるため、高回転部分については次
数音以外の成分を取り込むことなく、一方、低回転部分
では隣接する次数音の成分を取り込むことがなくなり、
次数音抽出精度がより向上する。
【0064】
【第3実施例】<積算比率>第2実施例では、次数音圧
比率のピーク値に基づいて音の評価を行っていた。この
手法は、同じようなタイミング(回転数)で発生する音
に対しては有効であるが、発生回転数が違ったり、音の
持続時間が変わった場合に聴感による評価結果と異なる
ことがある。
【0065】図11(A)に示す例では、比較的高い回
転数で比率のピーク値が現れている。具体的には、符号
51で示す位置にて、3900 [rpm] で18.0とな
っている。そして、符号50で示す領域では、やや高め
の回転数で次数音比率67の高い部分が発生している。
一方、図11(B)に示す例では、それよりも低い回転
数でピークが現れている。具体的には、符号51で示す
位置にて、2800 [rpm] で16.2となっている。
そして、次数音比率67は、図11(A)に示す場合よ
りも低い回転数(符号54参照)で比率の高い部分が発
生しており、アイドリング(符号52参照)まで高い比
率が持続している。この二つの音を人間の聴感で評価す
ると、図11(A)に示す原音よりも図11(B)に示
す原音の方が悪い評価となる。
【0066】図11(A)に示す波形の原音は、高回転
で次数音比率67のピークが現れているため、全体の音
が大きく、比率が大きくても次数音として強い印象を与
えない上、持続時間が短く、回転下降と共に次数音の比
率も小さくなっている。これに対し、図11(B)に示
す例では、低い回転数でピークが出ているため、全体音
が小さく、次数音として強い印象を受ける上、アイドリ
ングまで次数音が続いている。このような相違により、
図11(A)に示す原音の方が図11(B)に示す波形
の原音よりも悪い評価となると考えられる。
【0067】この不都合を改善すべく、第3実施例で
は、次数音の音圧と全体音とをそれぞれ積算し、この積
算結果の比率を用いて次数音の評価を行う。この第3実
施例では、信号処理手段6が、図3に示す次数音積算部
(機能)24,全体音積算部(機能)26、および積算
比率算出部(機能)28とを備える。そして、次数音の
発生回転数、持続時間、比率ピークの値を反映した数値
を得るために、評価範囲内の全音圧、次数音圧の積算を
行い、その結果の比率を算出した。こうすることによ
り、短時間に発生する比率の高い音よりも、比率は低め
ではあるが長時間発生する次数音の方が大きい比率とな
る。すると、聴覚評価の結果とより相関性の高い結果が
得られる。上述した例では、図11(A)に示す積算比
率は5.96であるのに対して、図11(B)に示す積
算比率は6.18と、聴覚と一致する結果が得られた。
【0068】算出式は、次の通りである。 積算次数音圧比率=(Σ次数音圧)/(Σ全音圧) 積算区間は、評価対象時間内である。
【0069】図12は、この積算比率を算出する処理を
示すフローチャートである。まず、評価開始位置でのF
FT計算を行い、問題次数音圧を求める(ステップA2
1)。次の位置でのFFT計算を行い、問題次数音圧を
求める(ステップA22)。さらに、評価終了位置まで
繰り返す(ステップA23)。計算結果から、評価範囲
内の次数音圧の和と全体音圧の和の比率(積算次数音圧
比率)を求める(ステップA24)。
【0070】上述したように第3実施例によると、従来
の次数音圧比率のピーク値のみの評価に加え、積算値を
評価値とすることで、より聴感に近い評価ができると共
に、詳細な評価が可能となり、評価の制度の向上が期待
される。
【0071】
【第4実施例】<次数軸分析>次数音に対しては、特定
次数の音圧比率を求めて数値化してきた。しかし、回転
パルスから次数音に対する周波数を求めているため、実
際の次数の周波数と計算上の周波数とにずれが生じるこ
とがある。これに対し、本実施例では、ある程度のずれ
を見込み、次数を抽出するときに抽出周波数に幅を持た
せて対応している。しかし、複数の次数音がある場合
や、より正確な評価を行うためには、ある程度の次数幅
全体を計算してその傾向を見る必要がある。このような
課題を解決すべく、本実施例では、次数音比率を、次数
軸にて評価する。第4実施例では、図1に示す各構成要
素を備え、特に、次数軸データ生成部21を備える。
【0072】図13に示す次数軸評価データは、複数の
次数音の計算を行い、第3実施例として開示した手法を
用いて積算比率を求めたものである。すなわち、1次か
ら例えば100次までを1ずつ特定次数に指定し、次数
音を抽出した後、次数音比率を積算により求めた。この
求めた離散的な結果を次数の順序に従って連続させて表
示した。
【0073】図13(A)は、37次の次数音がピーク
となるデータであるが、次数音のピークは計算上38次
に現れており、1次分のずれが生じている。この程度の
ずれであれば、前述の抽出幅の調整にて十分に対応可能
である。この次数のズレ以上に次数軸分析で問題となる
のが、最も大きいピークを持つ3次の成分である。これ
は、実際には次数音ではなく、低周波を発生している排
気音成分であると考えられる。図13(B)は、38次
にピークがあるデータであるが、図13(A)と同様に
一次分ずれている。この図13(B)に示す音データで
は、排気音成分である低い次数成分は小さい。
【0074】聴覚上の評価は、図13(A)に示す排気
音成分が大きいデータよりも、図13(B)に示す排気
音成分が小さいデータの方が悪い評価となる。しかし、
積算結果を見ると図13(A)に示す38次の積算比率
が6.82であるのに対して、図13(B)に示す38
次の積算比率は7.62であり聴覚上の結果と逆転して
いる。この原因の一つが、排気音成分の大きさにあると
考えられる。これは、人が音を聞く場合、無意識のうち
に問題になる音の周波数帯に注目し、他の周波数域の音
にはあまり影響されないからである。すなわち、バンド
パスフィルタを通した音を聞いて評価していることにな
る。
【0075】そこで、次数軸評価では、積算比率を求め
る際にバンドパスフィルタと同様な処理を行うと良い。
一般的には、一度バンドパスフィルタを通して次数比率
を計算するが、フィルタ処理には減衰量の指定が必要に
なる上、減衰してもその後に若干ではあるがノイズが残
り、計算結果に影響を与えてしまう。そこで、フィルタ
処理ではなく、比率計算からその周波数域を除外すると
よい。すなわち、この例では、図3に示す予め定められ
た抽出下限周波数よびも大きい周波数域の音データから
次数音を抽出する低域遮断フィルタ機能70を備える。
これにより、個別の減衰量の指定やノイズの影響を受け
ずに安定して比率計算を行うことができる。
【0076】図14は図13に示したデータを下限25
0 [Hz] 、上限5000 [Hz] と設定し、次数音圧比率
を算出した結果である。図14(A)及び(B)に示す
ように、排気音に相当する低次数部分が無くなっている
のが判る。また、抽出上限周波数を設定することは、下
限と同じように問題次数とかけ離れて高い周波数に共振
等がある場合の影響を除去するためである。積算次数比
率の計算結果は、図14(A)のピークが10.25%
で、図14(B)のピークが9.90%となり、聴感の
評価結果と一致した。
【0077】次数軸評価では、設定周波数の値に注意し
なければならない。特に、問題次数が小さい場合、回転
数の下降と共に次数の周波数が低下し、次数抽出に用い
る周波数と、抽出下限周波数がラップする場合がでてく
る。この場合、極力ラップがなくなるように計算下限周
波数を下げる必要がある。また、計算上限周波数に対し
ても同様にできるだけ高く設定した方が聴感の結果と相
関が取れるため、高周波数での共振等がないかぎり、高
く設定した方が良い。
【0078】計算上限周波数を一様に設定する方法に対
して、次数で上限を設定するようにしても良い。これ
は、FFT計算の上限周波数がサンプリングレートが2
5 [kHz] の場合、12.5 [kHz] になり、上限一杯ま
で計算すると1000 [rpm]では750次までの計算と
なるのに対し、5000 [rpm] では150次までの計
算にしかならないことに着目したものである。従って、
予め計算する上限の次数を設定しておくことで、上限周
波数と同様の効果が得られる。この場合、回転数によっ
て計算の上限の周波数が変化する。また、一様な計算上
限周波数を設定する手法と、次数で上限を設定する手法
とを組み合わせるようにしてもよい。
【0079】このように、特定次数だけでなく、複数の
次数音比率を求めることで、排気音成分の大きさ、計算
上の次数のずれ、問題次数以外の次数音の存在等がわか
り、評価を行う上で有効である。
【0080】<周波数分析>上述した例では、次数計算
の結果から計算周波数の上下限を設定する必要がわかっ
た。そこで、次数計算をせずに、周波数分布を調べるた
めに、次数計算で行っている比率計算を一定幅の周波数
単位で行うことで、事前に全体の周波数特定を把握する
ことができる。この例では、図3に示す周波数分析部7
4を備える。
【0081】計算は、評価回転数または、評価時間範囲
内を数10 [Hz] 毎に特定周波数域の音(特定帯域音)
を抽出し、全体音に対する音圧比率を時間経過に沿って
求め、その平均値を求める。特定帯域音の周波数を低い
側から高い側へ順次シフトさせながら特定帯域音の音圧
比率を求め、平均を算出することで、周波数軸での比率
変化が求まる。この周波数スペクトルを図15に示す。
図15(A)に示す例では、低い周波数帯域(符号57
参照)部分で共振によるピークが現れているが、図15
(B)に示す音データでは、符号58で示すように共振
成分が少ない。
【0082】図15に示す周波数スペクトルの特徴は、
次数音など回転数に依存して周波数が変化する成分の影
響が小さくなり、回転数に依存しない成分が残っている
点にある。すなわち、評価時間内全ての比率の平均を算
出しているため、時間経過及び回転数の変化に依存しな
い成分のみが図15に示すように抽出される。従って、
排気音の低周波数成分や、共振成分の大きさを知ること
ができる。
【0083】図15に示す例では、共振音の有無、その
大きさ、排気音の大きさ等時間的に変わらない周波数成
分の分布がわかり、計算上下限周波数の設定に有効であ
る上、計算時間が次数計算に比べて短時間で済む。ま
た、次数音は、時間(回転数)と共に周波数が変化する
ため、この周波数分布に影響を与えない。図15の符号
57A及び58Aに示すように、低回転部分のピークは
共振成分が大きい場合でも小さい場合であっても他の比
率と比較して大きくなっている。従って、例えば最大ピ
ーク値の2/3をしきい値としてこれを越えた部分の周
波数を次数軸データ生成用の低域遮断周波数(抽出下限
周波数)に設定するようにしてもよい。すると、抽出下
限周波数の設定を自動化することができる。
【0084】上述したように第4実施例によると、どの
ような次数音が問題となるかがわからない場合であって
も、ピークとなる次数を特定することができる。さら
に、低次数部分を遮断すると、排気音など次数音ではな
い成分を除去し、より聴覚に近い評価を得ることができ
る。
【0085】
【第5実施例】<タイミングパルス>上述した各実施例
では、タイミングパルスは評価対象物から得ることが前
提であった。しかし、従来の音だけのデータや、データ
測定現場で、パルスデータが取れない場合、音だけのデ
ータで周波数解析はできるが、次数解析はできなかっ
た。これに対し、予め問題次数が判っている場合には、
擬似的にタイミングパルスを時系列の音データに追加す
ることができる。本実施例では、問題次数に基づいて、
パルスデータを近似的に生成する。パルスデータを得る
ことで、特定次数別の評価が可能となるほか、第4実施
例での次数軸評価を行うことができる。
【0086】まず、周波数スペクトルから、問題次数音
の時間と周波数を求める。この周波数スペクトルは、横
軸を時間として、縦軸を周波数とする。3つ目の軸とし
て強度を取る。この強度を色の相違で表すと、次数音は
回転数に応じて周波数が変化し、また、共振周波数での
ピーク異なり一定の周波数幅で時間的に連続して大きい
強度を保つため、強度と色の関係を調節すると、次数音
成分が周波数スペクトル上に良好に現れる。
【0087】すなわち、横軸を時間として縦軸を周波数
とし、強度の強い部分を赤色に、弱い部分を黒色とする
と、右下がり又は右上がりの赤線が周波数スペクトル上
に現れる。時間経過と共に回転数が下がっている場合に
は、次数中心周波数も時間経過と共に低くなるため、右
下がりの赤線が現れる。加速時の音データでは、赤線は
右上がりに現れる。この赤線が生じている時間内が次数
音の影響を評価すべき一定時間となるため、この赤線の
両端の時間と周波数を読み取り、回転数の変化を一次式
で近似する。2次式以上で近似する場合には、3カ所以
上の点で時間及び周波数を読み取るようにするとよい。
【0088】図16はタイミングパルス5の生成を一次
式を用いて行う場合の説明図であり、図17はパルス作
成のフローチャートである。
【0089】1. 始点と終点の時間、次数音の周波数を
周波数スペクトルから読み取る(ステップB1)。 2. 始点位置の周波数と既知の問題次数から回転数を求
める。例えば、2476[Hz] で37次であるから、2
467/37×60=4000 [rpm]となる(ステップ
B2)。 3. 同様に、終点での回転数を求める。終点の周波数が
925 [Hz] とすると、925/3737×60=15
00 [rpm] となる(ステップB2)。 4. 始点と終点の間の回転の下降を直線として一次式を
算出する(ステップB3)。 RPM=4000―1500×Δt 5. 始点での回転数から、次のパルス位置を求め、パル
スを書き込む(ステップB4)。例えば、 60/4000=0.015 [sec] 6. さらに、Δtの値が定まったため、4.の式を用いて
そのパルス位置での回転数を上式により求める(ステッ
プB5)。 4000―1500×0.015=3977.5 [rpm] 7. 求めた回転数から次のパルスの位置を求め、パルス
を書き込む(ステップB6)。例えば、 60/3995.5=0.01508 [sec] 8. 上記6,7を繰り返し、終点まで行い、指定範囲内にパ
ルスデータを書き込む(ステップB7,B8)。
【0090】このように、問題音の次数が既知の場合
は、擬似的ではあるがパルスを作成することができ、こ
のパルスから次数音比率の計算が可能となり、従来評価
できなかった音だけのデータであっても、色々な処理が
可能となり、その結果から各種評価が可能となる。
【0091】上記の例では、始点と終点のみの指定で、
回転数の下降状態を直線で近似しているが、実際には二
次曲線的に下降している場合が多い。その場合は、始点
と終点以外に中間点のデータを入力し、回転数下降曲線
を二次又は三次曲線で近似することで、より実際に近い
パルスデータを作ることができる。このように音だけの
データにパルスを加えることで、周波数しか判らなかっ
たデータで次数解析が可能となる。
【0092】
【発明の効果】本発明は以上のように構成され機能する
ので、これによると、次数抽出周波数幅設定工程が、次
数中心周波数の前後の帯域で所定幅の周波数幅を各次数
毎の次数抽出周波数幅に設定し、次数抽出部が、複数の
次数の次数音をそれぞれ抽出するため、音データ全体を
次数成分毎に分割することができ、さらに、比較工程に
て、この次数毎の次数音データと音データとを比較し、
次数軸データ生成工程が、この次数毎の比較結果を当該
次数の大きさ順に並べ替えるため、1次からn次までの
評価結果の分布が明らかとなり、音データ中の問題とな
る次数を自動的に特定することができ、このため、音源
の状態が不明であり問題音となる次数を事前に特定する
ことができなくても、問題音となる次数を特定すること
ができ、すると、評価可能な音データの種類が増加し、
さらに、複数の次数音が問題となる場合であっても、次
数毎に比率のピークや積算比率の大小を比較することが
でき、すると、回転数が変化している期間内の音データ
を詳細に評価することができ、これにより、聴覚によら
ず聴覚と同様な音データに対する評価を得ることができ
る、という従来にない優れた音評価方法を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による音評価方法の実施形態の構成を示
すフローチャートである。
【図2】本発明による音評価装置の実施形態の構成を示
すブロック図である。
【図3】図2に示した信号処理手段の詳細構成例を示す
ブロック図である。
【図4】本発明の第1実施例の処理概要を示すフローチ
ャートである。
【図5】図4に示す構成での連続音の評価の一例を示す
波形図であり、図5(A)は特定周波数の音の抽出を示
す図で、図5(B)は全音圧と抽出音圧とを比較した例
を示す図で、図5(C)は各音圧の比率を示す図であ
る。
【図6】図4に示す構成での連続音の評価処理の一例を
示すフローチャートである。
【図7】各次数での音圧の比率を示す波形図であり、図
7(A)は次数フィルタ後の音が問題とならない例を示
す図で、図7(B)は8次の音が問題となる例を示す図
である。
【図8】本発明の第2実施例の背景を示す説明図であ
り、図8(A)は固定次数抽出周波数幅及び可変次数抽
出周波数幅の例を示す図で、図8(B)は回転数に応じ
て固定次数抽出周波数幅と可変次数抽出周波数幅とを切
り替える例を示す図である。
【図9】一定期間の全体音の音圧変化と特定次数音の音
圧変化とその比率との波形例を示す波形図であり、図9
(A)は固定次数抽出周波数幅で次数音を抽出した例を
示す図で、図9(B)は可変次数抽出周波数幅で次数音
を抽出した例を示す図である。
【図10】固定次数抽出周波数幅と可変次数抽出周波数
幅とを切り替えて次数音を評価する第1実施例での処理
工程の一例を示すフローチャートである。
【図11】第3実施例の背景を説明するための波形図で
あり、図11(A)は第1の音データの全体音、次数音
及びその比率の波形を示す図で、図11(B)は第2の
音データの全体音、次数音及びその比率の波形を示す図
である。
【図12】第3実施例での処理工程の一例を示すフロー
チャートである。
【図13】本発明の第4実施例の背景を説明するための
波形図であり、図13(A)は排気音成分の大きい音デ
ータの次数軸波形を示す図で、図13(B)は排気音成
分の小さい音データの次数軸波形を示す図である。
【図14】図13に示した各波形の低次数成分を除去し
た例を示す波形図であり、図14(A)は排気音成分が
大きい音データの低次数成分を除去した次数軸波形を示
す図で、図14(B)は排気音成分が小さい音データの
低次数成分を除去した次数軸波形を示す図である。
【図15】所定幅の周波数毎に全体音に対する比率を求
めた波形図であり、図15(A)は共振成分の多い音デ
ータの音圧比率を示す図で、図15(B)は共振成分の
少ない音データの音圧比率を示す図である。
【図16】本発明の第5実施例の処理内容を説明する説
明図である。
【図17】本発明の第5実施例の処理工程の一例を示す
フローチャートである。
【符号の説明】
2 音データ記憶手段(例えばハードディスク) 4 タイミングデータ記憶手段(例えば、ハードディス
ク) 6 信号処理手段 8 回転数算出部 10 次数中心周波数算出部 12 次数抽出周波数幅設定部 14 一次別抽出設定機能 16 高回転固定抽出設定機能 18 次数音抽出部 20 比率算出機能 22 評価用データ出力手段 70 低域遮断フィルタ機能 72 上限次数設定機能 74 周波数分析部 76 抽出下限周波数設定機能 78 次数音抽出処理機能

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 評価対象物の回転動作に応じて出力され
    るタイミングパルスの間隔に基づいて当該回転動作の回
    転数を時系列にて算出する回転数算出工程と、この回転
    数算出工程にて算出された回転数と評価対象となる範囲
    の各次数とから各次数毎に各タイミングでの周波数を次
    数中心周波数として各次数毎に算出する次数中心周波数
    算出工程と、この次数中心周波数の前後の帯域で且つ所
    定幅の周波数幅を各次数毎の次数抽出周波数幅に設定す
    る次数抽出周波数幅設定工程とを備え、 この次数抽出周波数幅設定工程に続いて、前記評価対象
    物の複数の音源から発せられ前記タイミングパルスと同
    期した音データから前記次数抽出周波数幅で次数音を各
    次数毎に抽出する次数音抽出工程と、この次数音抽出工
    程にて抽出された複数の次数の各次数音データと前記音
    データとをそれぞれ比較する比較工程と、この比較工程
    によって生成された次数毎の比較結果を当該次数の大き
    さ順に並べ替える次数軸データ生成工程とを備えたこと
    を特徴とする音評価方法。
  2. 【請求項2】 評価対象物の複数の音源から発せられる
    一定期間の音をデジタルの音データとして記憶した音デ
    ータ記憶手段と、前記音データ記憶手段に格納された音
    データを信号処理して評価用データを生成する信号処理
    手段と、この信号処理手段によって生成される評価用デ
    ータを外部出力する評価用データ出力手段とを備え、 前記信号処理手段に、前記評価対象物の前記一定期間内
    での回転動作に応じて出力されるタイミングパルスを前
    記音データに同期して記憶したタイミングデータ記憶手
    段を併設し、 前記信号処理手段が、前記タイミングデータ記憶手段に
    格納されたタイミングパルスの間隔に基づいて前記評価
    対象物の回転数を前記一定期間分順次算出する回転数算
    出部と、この回転数算出部によって算出された回転数と
    評価対象となる範囲の次数とに基づいて各評価タイミン
    グ毎に各次数の中心周波数を当該各次数毎に算出する次
    数中心周波数算出部と、この次数中心周波数算出部によ
    って算出された各次数毎の次数中心周波数の前後の周波
    数帯域であって所定の大きさの周波数幅を各次数毎の次
    数抽出周波数幅に設定する次数抽出周波数幅設定部とを
    備えると共に、 前記信号処理手段は、前記次数抽出周波数幅設定部によ
    って設定された次数抽出周波数幅で前記音データ中の次
    数音を各次数毎にそれぞれ抽出する次数音抽出部と、こ
    の次数音抽出部によって各次数毎に抽出された次数音の
    特徴を当該次数の大きさに沿って並べ替えると共に当該
    並べ替えられた各次数毎の特徴値を前記評価用データと
    して出力する次数軸データ生成部とを備えたことを特徴
    とする音評価装置。
  3. 【請求項3】 前記次数音抽出部が、予め定められた抽
    出下限周波数よりも大きい周波数域の音データから前記
    次数音を抽出する低域遮断フィルタ機能を備えたことを
    特徴とする請求項2記載の音評価装置。
  4. 【請求項4】 前記信号処理手段が、前記音データを周
    波数分析する周波数分析部を備え、 前記次数音抽出部が、前記周波数分析部によって算出さ
    れた音データの周波数スペクトルの複数のピーク値のう
    ち予め定められた周波数よりも低いピーク値に基づいて
    前記抽出下限周波数を設定する抽出下限周波数設定機能
    を備えたことを特徴とする請求項3記載の音評価装置。
  5. 【請求項5】 前記次数音抽出部が、予め定められた上
    限次数に至るまで前記音データ中の次数音を抽出する上
    限次数設定機能を備えたことを特徴とする請求項2又は
    3記載の音評価装置。
  6. 【請求項6】 評価対象物の複数の音源から発せられる
    一定期間の音をデジタルの音データとして記憶した音デ
    ータ記憶手段と、評価対象物の前記一定期間内での回転
    動作に応じて出力されるタイミングパルスを前記音デー
    タに同期して記憶したタイミングデータ記憶手段と、前
    記音データ記憶手段に格納された音データを信号処理し
    て評価用データを生成する信号処理手段と、この信号処
    理手段によって生成される評価用データを外部出力する
    評価用データ出力手段とを備えた音評価装置を使用して
    評価対象物から発せられる音の聴感を評価するための音
    評価用プログラムを記憶した記憶媒体であって、 該プログラムは前記信号処理手段を動作させる指令とし
    て、前記タイミングデータ記憶手段に格納されたタイミ
    ングパルスの間隔に基づいて前記評価対象物の回転数を
    前記一定期間分順次算出させる回転数算出指令と、この
    回転数算出指令に応じて算出された回転数と評価対象と
    なる範囲の次数とに基づいて各評価タイミング毎に各次
    数の中心周波数を当該各次数毎に算出させる次数中心周
    波数算出指令と、この次数中心周波数算出指令に応じて
    算出された各次数毎の次数中心周波数の前後の周波数帯
    域であって所定の大きさの周波数幅を各次数毎の次数抽
    出周波数幅に設定させる次数抽出周波数幅設定指令とを
    備えると共に、 前記プログラムは、前記次数抽出周波数幅設定指令に応
    じて設定された次数抽出周波数幅で前記音データ中の次
    数音を各次数毎にそれぞれ抽出させる次数音抽出指令
    と、この次数音抽出指令に応じて各次数毎に抽出された
    次数音の特徴を当該次数の大きさに沿って並べ替えると
    共に当該並べ替えられる各次数毎の特徴値を前記評価用
    データとして出力させる次数軸データ生成指令とを備え
    たことを特徴とする音評価用プログラムを記憶した記憶
    媒体。
JP34309999A 1999-12-02 1999-12-02 音評価方法及び装置並びに音評価用プログラムを記憶した記憶媒体 Withdrawn JP2001159585A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008298474A (ja) * 2007-05-29 2008-12-11 Fuji Heavy Ind Ltd 車両用音質評価装置、及び、車両用音質評価方法
JP2011196944A (ja) * 2010-03-23 2011-10-06 Nippon Steel Corp 回転機械の回転数推定方法、装置及びプログラム

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