JPWO2002021938A1 - 飲食品の風味増強または改善組成物およびこれを使用する飲食品の風味増強または改善方法 - Google Patents

飲食品の風味増強または改善組成物およびこれを使用する飲食品の風味増強または改善方法 Download PDF

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Abstract

本願明細書には、不揮発性のチアゾリジン化合物を単独で使用し、またはこれに加えて不揮発性フレーバー化合物および/またはリアクションフレーバーを併用して、飲食物一般の風味を増強または改善する方法、ならびにレトルト食品の加熱殺菌時における風味劣化を抑制し、喫食時の不快臭を抑制してその風味を改善するための、簡便でかつ効果的な方法、および大豆利用食品における大豆特有の青臭い不快臭を抑制してその風味を改善するための、簡便でかつ効果的な方法が開示されている。

Description

(技術分野)
本発明は、飲食物などの分野において製品の良好なフレーバー(風味)を強化し、また長時間にわたって安定的に良好なフレーバーを発現させる技術において有効な食品フレーバーの保持、発現組成物に関する。
本発明は、また、飲食物などの分野において製品の良好なフレーバー(風味)を強化し、また長時間にわたって安定的に良好なフレーバーを発現させる技術において有効な新規チアゾリジン化合物に関する。
本発明は、さらにまた、飲食品のフレーバーを安定に保持し、喫食時に発現させることによって、飲食品の不快臭を抑制したり、好ましいフレーバー(風味)を付与して嗜好性を高めた食品を得る方法を提供するものである。
本発明は、また、冷凍食品中のフレーバーを安定に保持し、喫食時に発現させることによって、冷凍食品の不快臭を抑制したり、好ましいフレーバー(風味)を付与して嗜好性を高めた冷凍食品を得る方法を提供するものである。
本発明は、また、不揮発性チアゾリジン化合物を使用して特にレトルト食品の不快臭を抑制してその風味を改善する方法に関するものである。
本発明は、さらにまた、不揮発性チアゾジリン化合物を使用して特に大豆利用食品の青臭い不快臭を抑制してその風味を改善する方法に関するものである。
(背景技術)
飲食物の出来立てのフレーバー(風味)を喫食時まで良好なまま保ち、また必要な時に発現させることは食品製造においては非常に重要である。
しかしながら、実際の食品工業においては調味料、加工食品などの製造工程において濃縮、乾燥などの操作によりその製品本来の風味が弱化したり失われたりする場合があり、また逆に製造工程や流通過程において商品として好ましくない風味が発現する場合もあることから、製品の良好な風味を強化し、また長時間にわたって安定的に良好な風味を発現させる技術が強く望まれている。
一方、これまでも香りの保持や発現をコントロールする技術については多くの検討がなされていて(「最新食品フレーバー技術」工業技術会1988年発行)、例えば、マイクロカプセル化、マトリックスへの封じ込め、シクロデキストリンなどによる包接、配糖体などの揮発性香気成分前駆体への酵素の作用、等が知られている。
しかしながら、香りの物理的な保持方法においてはその発現量を思い通りに制御するのは難しい、また配糖体を利用する方法においては対象化合物がアルコール類に限られ、かつ酵素を用いるために加熱した系では使用酵素が失活する、等の問題点が有る。
また、加工食品などにおいては、その製造工程での濃縮、乾燥などの操作によりその商品本来のフレーバーが弱化したり失われたりする場合がある。
一方、香気物質の含硫化合物は一般的に香りの閾値が低く、香粧品、食品などにおいても香気特性上重要な働きをしている場合が多い。例えば、フラン誘導体のチオール化合物(2−フリルメタンチオール(2−Furylmethanethiol(FMT))、2−メチル−3−フランチオール(2−Methyl−3−furanthiol(MFT)など)はコーヒーや畜肉を始めとした食品香気への寄与が大きいことが知られている(”Sulfur Compounds in Foods”,ACS Symposium Series 564,American Chemical Society(1994))。しかしながら、これらのチオール化合物は閾値が低いためにその香りの発現量を適正な範囲に保つのが困難で、しかも長期間一定範囲の濃度に保つことは難しく、その有効な保持または発現方法の開発が望まれている。
先に説明したように、飲食物の出来立てのフレーバー(風味)を喫食時まで良好なまま保ち、また必要なときに発現させることは食品製造において非常に重要である。
しかしながら、実際の食品工業においては、フレーバー(風味)は製造、流通、保存等の各段階で徐々に揮散して弱化しまたは消滅したり、あるいは劣化して不快臭を生成したりすることから、製品の良好な風味を強化し、また長時間にわたって安定的に良好な風味を発現させる技術が強く望まれている。
一方、これもまた先に説明したように、これまでも香りの保持や発現をコントロールする技術については多くの検討がなされていて(「最新食品フレーバー技術」工業技術会1988年発刊)、例えば、マイクロカプセル化、マトリックスへの封じ込め、シクロデキストリンなどによる包接、配糖体などの揮発性香気成分前駆体への酵素の利用、等が知られている。
また、香気成分の揮散防止法として、香料の香気成分を溶解し得る、かつ当該香気成分の昇華及び/又は揮散温度よりも沸点の高い物質に香料を溶解させ、これを食品又は香粧品に混合する方法(特開平11−50084号公報)、ポリリジンもしくはその塩を有効成分として配合する方法(特開平6−30712号公報)、ホエー蛋白質やその誘導体を飲食品に添加する方法、フレーバーの貯蔵安定性を目的として、ソルビトール、マンニトール及びサッカリンの混合物を溶解してその中にフレーバーを封じ込めたソルビトールカプセル化されたフレーバー(特開昭58−71866号公報)、或いは、キシリトール内部にフレーバーが含有されているフレーバー複合物(特開昭58−76062号公報)のように、糖質の内部に香料成分を封じ込める方法等が提案されている。
飲食品の不快臭を抑制する方法としては、酸素による香味の劣化対策として、酸素透過性を低くした合成樹脂製の容器や袋の開発、また、脱酸素条件を組み入れた食品製造工程の導入、さらには酸化防止剤の添加等が行なわれている。光による香味劣化対策として、ルチン、モリン又はケルセチンを添加して悪臭・異味物質の発生を防止して保存性の向上を図った乳含有酸性飲料(特公平4−21450号公報)やコーヒー生豆抽出物由来のクロロゲン酸、カフェー酸またはフェルラ酸と、ビタミンC、ルチンまたはケルセチンとを併用して日光によるフレーバー劣化を防止する方法(特開平4−27374号公報)、また、天然物由来の香料組成物にコーヒー豆由来のクロロゲン酸を添加して天然香料の劣化防止を図る方法(特開平4−345693号公報)が提案されている。また、光、熱及び酸素による劣化抑制効果をも併せもつような手段として、特定のフラボン誘導体を使用する方法(特開平11−169148号公報)が提案されている。
ところで、従来より、種々のチオール類が香気成分として各種食品類に広く分布していることはよく知られている。チオール類によっては、植物精油等の天然物中に含まれているもののほか、加工時の加熱処理や酵素反応などによって二次的に生成されるものもある。これらは、滅菌処理等の食品加工時の加熱や長期保存によってチオール本来の香気が消失してしまうという問題があり、加熱等によるチオールの分解や変質、あるいは揮散等が原因と考えられている。特開2000−281697号公報においては、香気を呈するチオール化合物を配糖体の形態で使用するとき、食品等の製造過程で加えられる熱等に対する安定性が向上し、その一方で該配糖体が熱やpHの影響で徐々に分解してチオール本来の香気を呈するようになるため、いき値の低さから低濃度で使用するにもかかわらず、香気を長く持続させることができるという方法を提案しているが、食品の喫食時に香気を発現する機能はなく、後に詳述する本発明とは異なる。
また、冷凍食品に関する背景技術は、次の通りである。
すなわち、従来、冷凍食品において香気揮発性の強い成分を添加する場合、精油状のものをそのまま加えるか、または、デキストリンなどに吸着させて粉末状にしたものを添加している。この方法では、添加された当該成分はフライ調理など過酷な加熱条件ではほとんど揮発し充分な量を製品中に残存させることが困難である。さらにまた、添加された当該成分は冷凍保存中にも徐々に揮発が進むため、ガス不透過性の包材を用いて密閉などの対策を施す必要がある。
また、油状の香気揮発性分をカプセル内に封入し、加熱工程を経ても香気揮発成分が充分に製品中に残存する冷凍食品(特開2000−014332号公報)や、電子レンジ調理により食品に良好な焦げ目や香ばしい香りを付与しうる電子レンジ用トッピング組成物として、アミノ酸、還元糖、タンパク質及び水を含む組成物(特開平11−103790号公報)が提案されている。
また、レトルト食品に関する背景技術は、次の通りである。
すなわち、レトルト食品とは、周知のように、アルミニウム箔を積層した遮光性プラスチックフィルムまたは酸素透過性の低い透明プラスチックフィルムで製造した袋状の容器(パウチ)に食品を詰め、開口部をヒートシール法により密封し、加圧式殺菌装置(レトルト)を用いて100℃を超える温度で、商業的加熱殺菌を施して製造したいわゆるレトルトパウチ食品(狭義)を始めとして、缶詰やビン詰食品をも含めて指称される(広義)。レトルト食品は常温で長時間保存が可能なので、その利便性から広く利用されている。
しかしながら、レトルト食品は高温で加熱処理(レトルト処理)されるため、いわゆるレトルト臭といった不快臭が生成し、製品の品賀上好ましくないとされてきた。
レトルト食品喫食時の不快臭(以下、レトルト臭と称することがある)の原因物質は特定されていない。
レトルト臭を低減するために、これまで加熱殺菌条件を緩和することなどが検討されているが、レトルト食品を常温で流通させるためには、ある程度、高温での殺菌が必要であり、加熱殺菌条件の緩和は風味劣化を防止する方法としては制約される。
また、レトルト食品に用いられる包装容器をガス不透過性のものにしたり(特開平4−29845号公報参照)、レトルト殺菌時に容器内部を窒素ガスで置換する方法(特開昭61−254167号公報参照)などが提案されている。また、さらにレトルト食品製造時にサイクロデキストリンを添加する方法(特昭開60−75366号公報参照)、ショ糖脂肪酸エステルを添加する方法(特開昭57−17407号公報)なども検討されている。
しかしながら、包装容器の改良や窒素ガス置換は、既存の包装材料や充填設備の変更を伴うのでコストが上昇し、また、サイクロデキストリンやショ糖脂肪酸エステルを使用する方法では、満足のいく効果が得られなかった。
そこで、レトルト臭を抑制してレトルト食品の風味を改善するのに簡便でかつ効果的な方法の開発が望まれている。
さらにまた、大豆利用食品に関する背景技術は次の通りである。
すなわち、大豆利用食品の代表として大豆たん白が挙げられる。植物性たん白である大豆たん白は、主要な食用たん白源としてだけではなく、その特性を生かして様々な食品加工に使用されており、健康志向の高まりを受けて、今後ますます利用が期待される食品である。
ところが、大豆たん白は、独特の味、臭い、色調などを有することから、栄養価あるいは乳化特性等の機能性の点で優れているにもかかわらず、食品の原料や素材として利用する場合、制限されることが多い。そして、この独特な味および臭いは大豆たん白に残存している脂質部分に因るところが大きいことが知られている。すなわち、不飽和脂肪酸のリノール酸、リノレン酸等が酵素的あるいは非酵素的要因で酸化反応を起し、ヘキサナールなどのアルデヒド類を代表としたカルボニル化合物などに変化し、これらの物質が脱脂豆乳や分離大豆たん白等の独特な味や青臭い大豆臭に寄与しているといわれている。
このため、大豆たん白特有の不快臭を除去あるいは低減する目的で、従来より数多くの検討がなされている。例えば、酵素処理、微生物処理、活性炭処理、加熱真空処理等の方法(Wolf,W.J.:J.Agric.Food Chem.,23,136(1975)、佐々木隆造、千葉英雄:化学と生物、21,536(1983)、Warner,K.,Mounts,T.L.,Rackis,J.J.and Wolf,W.J.,Cereal Chem.,60,102(1982)等)が知られている。また、簡便法としては、種々のマスキング剤を添加する方法も検討されている。
さらに、大豆たん白を含む溶液を弱塩基性陰イオン交換樹脂、両性イオン交換樹脂または無官能基型吸着樹脂の合成吸着樹脂と接触させて、大豆特有の豆臭あるいは青草臭といわれる大豆臭を除去する方法も検討されている(特開平6−276955号公報)。
ところが、上記の酵素処理、微生物処理、活性炭処理、加熱真空処理、イオン交換樹脂処理等の方法は、不快臭すなわち大豆臭を完全に取り除くまでには至っておらず、またこれらの処理では工程が複雑となり、コストも高くなる等、実際の応用面で幾つかの課題が残されている。更には、上記したマスキング剤を添加する方法は、一定の効果はあるものの、根本的に大豆臭を除去するものではないため、大豆たん白を主原料として高濃度で使用する場合には適用できず、その使用量が制限されるといった問題がある。
(発明の開示)
前項記載の従来技術の背景下に、本発明は、飲食物などの分野において使用することのできる、製品の良好なフレーバーを強化し、また長時間にわたってフレーバーを有効に保持し、また発現することのできる、不揮発性チアゾリジン化合物を有効成分とする優れたフレーバーの保持、発現組成物を提供することを目的とする(第一の目的)。
前項記載の従来技術の背景下に、本発明は、また、飲食物などの分野において使用することのできる、製品の良好なフレーバーを強化し、また長時間にわたってフレーバーを有効に保持し、また発現することのできる新規不揮発性チアゾリジン化合物である優れたフレーバーの保持、発現物質を提供することを目的とする(第二の目的)。
前項記載の従来技術の背景下に、本発明は、さらにまた、不揮発性チアゾリジン化合物に加えて不揮発性フレーバー化合物(後述)を使用して、飲食品のフレーバーを安定に保持し、またこれを喫食時に発現させることによって飲食品の不快臭を抑制したり、および/または好ましいフレーバーを付与して嗜好性を高めた飲食品を提供することを目的とする(第三の目的)。
前項記載の従来技術の背景下に、本発明は、また、不揮発性チアゾリジン化合物に加えて不揮発性フレーバー化合物を使用して、冷凍食品中のフレーバーを安定に保持し、またこれを喫食時に発現させることによって冷凍食品の不快臭を抑制したり、および/または好ましいフレーバーを付与して嗜好性を高めた冷凍食品を得る方法を提供することを目的とする(第四の目的)。
前項記載の従来技術の背景下に、本発明は、また、不揮発性チアゾリジン化合物を使用して、レトルト食品の加熱殺菌時における風味劣化を抑制し、喫食時の不快臭を抑制してその風味を改善するための、簡便でかつ効果的な方法、乃至はそのような方法によって製造された、レトルト臭が抑制されて風味の改善されたレトルト食品を提供することを目的とする(第五の目的)。さらに、この場合、不揮発性チアゾリジン化合物に加えて、これに不揮発性フレーバー化合物および/またはリアクションフレーバーを併用することで好ましい香気を付与することができまた不快臭成分をマスキングすることもできる。
前項記載の従来技術の背景下に、本発明は、さらにまた、不揮発性チアゾリジン化合物を使用して、大豆利用食品における大豆特有の青臭い不快臭を抑制してその風味を改善するための、簡便でかつ効果的な方法、乃至はそのような方法によって製造された、不快臭が抑制されて風味の改善された大豆利用食品を提供することを目的とする(第六の目的)。さらに、この場合、不揮発性チアゾリジン化合物に加えて、これに不揮発性フレーバー化合物および/またはリアクションフレーバーを併用することで好ましい香気を付与することができまた不快臭成分をマスキングすることもできる。
そこで、先ず、上記第一の目的を達成すべき本発明の第一の態様(a first embodiment of the present invention)について説明する。
本発明者は、上記の目的を達成すべく鋭意研究の結果、(a)チアゾリジン化合物を飲食物中に喫食時濃度で0.1〜10,000ppm、好ましくは1〜1,000ppm共存させることによりその飲食物本来のフレーバーが増強されると共にフレーバー成分が長期間安定に保持され、喫食時まで好ましいフレーバーを保持することが可能となること、また、(b)加工食品などにおいては製品中に前記化合物を存在させることにより、フレーバーの弱化や消失を防止することが可能となること、(c)前記化合物によるフレーバーの強化は徐放性を伴う効果であるため有効フレーバー成分を長期間一定の適性範囲の濃度に保つことが可能であること、更に、(d)前記化合物自体はわずかに酸味を有する無臭の物質であるため、被添加飲食物本来のフレーバーを損なうことなく広い範囲に適用可能となること、を見い出し、このような知見に基づいて本態様を完成するに至った。
すなわち、本態様は不揮発性のチアゾリジン化合物を有効成分として含有してなる飲食物フレーバーの保持、発現組成物、このような組成物を添加使用することを特徴とする飲食物の製造法、および該製造法によって製造されたこれらの組成物を含む飲食物に関する。
なお、本態様に係わるチアゾリジン化合物によるフレーバーの保持や発現のメカニズムについては、以下のように考えられる。
すなわち、下記式(1)に示すごとく、不揮発性のチアゾリジン化合物(a)は平衡反応により2−アミノエタンチオール(2−Aminoethanethiol)誘導体(b)を生成する。
Figure 2002021938
上記式中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子によりチアゾリジン環骨格に結合している官能基を表わし、例えばアルキル基、アリール基、カルボキシル基、プロトンなどを例として挙げることができる。
この平衡反応により生成する化合物(b)は、そのチオール基の還元性によって飲食物中に存在するスルフィド結合を還元的に切断する。その結果、2分子がジスルフィド結合した状態で存在する香気性チオール類やシステインなどの不揮発性チオール類とジスルフィド結合した状態で存在する香気性チオール類を遊離させ、これらが香気を発現し、強化する。また、上記反応により生成した化合物(b)は、そのチオール基が加熱などによってさらに化学的変化を受けて他の香気成分を生成する。一方、チアゾリジン化合物(a)から平衡反応により生成するチオール化合物(b)は、一旦生じたチオール化合物が上記のジスルフィド結合を還元的に切断し、またはその他の化学変化を受けて消減するに伴って徐々に新たに生ずるため、その効果が長時間にわたって維持され、被添加飲食物の香気成分が長期間安定に保持され、喫食時まで適正な香気成分発現量を長期間にわたって維持することができることとなる。
また、本態様に係わる不揮発性のチアゾリジン化合物は、飲食物に対するその添加量を変えることによって発現香気成分量を制御することも可能となるのである。
さらに、香気性チオール化合物自体は酸化されやすく、飲食物(飲食物素材を含む)中に存在するチオール化合物は、当該飲食物の流通や保存時に消失しやすいが、本発明に係わるチアゾリジン化合物はチオール化合物に比べ安定性に優れており(後掲実施例3)、食品などに添加して利用する上でも非常に有利であり、有用である。
次に、上記第二の目的を達成すべき本発明の第二の態様(a second embodiment of the present invention)について説明する。
本発明者は、上記の目的を達成すべく鋭意研究の結果、先に本発明の第一の態様に関して説明したと同様に、(a)特定の新規チアゾリジン誘導体(新規チアゾリジン化合物)を飲食物中に喫食時濃度で0.1〜10,000ppm好ましくは1〜1,000ppm共存させることによりその飲食物本来のフレーバーが増強されると共にフレーバー成分が長期間安定に保持され、喫食時まで好ましいフレーバーを保持することが可能となること、また、(b)加工食品などにおいては製品中に前記化合物を存在させることにより、フレーバーの弱化や消失を防止することが可能となること、(c)前記化合物によるフレーバーの強化は徐放性を伴う効果であるため有効フレーバー成分を長期間一定の適正範囲の濃度に保つことが可能であること、更に、(d)前記化合物自体はわずかに酸味を有する無臭の物質であるため、被添加飲食物本来のフレーバーを損なうことなく広い範囲に適用可能となること、を見い出し、このような知見に基づいて本態様を完成するに至った。
すなわち、本態様は、下記一般式(2)で表される有機化合物であって、Rがアルデヒド基から酸素原子を除いたアルドースまたはアルドース型少糖類の残基あるいはカルボニル基から酸素原子を除いたケトースまたはケトース型少糖類の残基と同一の構造を有する基であることを特徴とする新規チアゾリジン化合物およびその塩に関する。
Figure 2002021938
因みに、この新規チアゾリジン化合物は、上に説明した本発明の第一の態様に言う不揮発性のチアゾリジン化合物に包含されるものである。
なお、本態様の新規化合物のフレーバー保持や発現のメカニズムについては、本発明の第一の態様に関して上に説明した不揮発性チアゾリジン化合物と同様で、以下のように考えられる。
すなわち、下記式(3)に示すごとく、新規チアゾリジン化合物(a)は平衡反応によりシステイニルグリシン(b)を生成する。
Figure 2002021938
この平衡反応により生成するシステイニルグリシン(b)は、そのチオール基の還元性によって飲食物中に存在するスルフィド結合を還元的に切断する。その結果、2分子がジスルフィド結合した状態で存在する香気性チオール類やシステインなどの不揮発性チオール類とジスルフィド結合した状態で存在する香気性チオール類を遊離させ、これらが香気を発現し、強化する。また、上記反応により生成したシステイニルグリシン(b)は、そのチオール基が加熱などによってさらに化学的変化を受けて他の香気成分を生成する。一方、チアゾリジン化合物(a)から平衡反応により生成するチオール化合物のシステイニルグリシン(b)は、一旦生じたものが上記のジスルフィド結合を還元的に切断し、またはその他の化学変化を受けて消減するに伴って徐々に新たに生ずるため、その効果が長時間にわたって維持され、被添加飲食物の香気成分が長期間安定に保持され、喫食時まで適正な香気成分発現量を長期間にわたって維持することができることとなる。因みに、上記式(3)において、(c)および(d)は、それぞれ、アルドース型少糖類およびケトースまたはケトース型少糖類を示す。
また、本態様の新規チアゾリジン化合物は、飲食物に対するその添加量を変えることによって発現香気成分量を制御することも可能となるのである。
さらに、チオール化合物自体は酸化されやすく、飲食物(飲食物素材を含む)中に存在するチオール化合物は、当該飲食物の流通や保存時に消失しやすいが、本態様の新規チアゾリジン化合物は、先に言及したように本発明の第一の態様に言う不揮発性のチアゾリジン化合物に包含されることから当然のことながら、チオール化合物に比べ安定性に優れており、食品などに添加して利用する上でも非常に有利であり、有用である。
次に、上記第三の目的を達成すべき本発明の第三の態様(a third embodiment of the present invention)について説明する。
本発明者は、上記の目的を達成すべく鋭意研究の結果、本発明の第一の態様に言う不揮発性チアゾリジン化合物に、香気性チオール類(揮発性フレーバー化合物)がシステインなどの不揮発性チオール類とジスルフィド結合したフレーバー化合物(本明細書において、“不揮発性フレーバー化合物”と略称する)を併用すると、本発明の第一の態様の効果が更に改善され得ることを見出し、このような知見に基いて本態様を完成するに到った。詳述すると、不揮発性チアゾリジン化合物を飲食品中に喫食時濃度で0.1〜10,000ppm、好ましくは1〜1,000ppmと、不揮発性フレーバー化合物を飲食品中に喫食時濃度で0.1〜10,000ppb、好ましくは1〜1,000ppbとを共存させることにより、飲食品のフレーバーが増強されると共にフレーバー成分が長期間安定に保持され、喫食時まで好ましいフレーバーを保持し、喫食時に好ましいフレーバーを発現し、また、飲食品の不快臭を抑制して飲食品の嗜好性を高めることを見出し、このような知見に基づいて本態様を完成するに到った。
すなわち、本態様は喫食時濃度で、不揮発性チアゾリジン化合物を1〜10,000ppm、そして不揮発性フレーバー化合物および/またはリアクションフレーバーを1〜10,000ppbの割合で含有することを特徴とする飲食物フレーバーの保持、発現組成物、このような組成物を添加使用することを特徴とする飲食品の製法、および該製造法によって製造された飲食品に関する。
なお、前述のチアゾリジン化合物及び不揮発性フレーバー化合物は、それぞれ、それらを含む素材、すなわち調味料、エキス等の形態であってもよい。
次に、上記第四の目的を達成すべき本発明の第四の態様(a fourth embodiment of the present invention)について説明する。
本発明者は、上記の目的を達成すべく鋭意研究の結果、本発明の第一の態様に言う不揮発性チアゾリジン化合物に前記不揮発性フレーバー化合物を併用すると本発明の第一の態様の効果が更に改善され得ることを見出し、このような知見に基づいて本態様を完成するに到った。詳述すると、不揮発性チアゾリジン化合物を、上に説明した本発明の第三の態様におけると同じく、冷凍食品中に喫食時濃度で0.1〜10,000ppm、好ましくは1〜1,000ppmと、不揮発性フレーバー化合物を、冷凍食品中に喫食時濃度で0.1〜10,000ppb、好ましくは1〜1,000ppbとを共存させることにより、冷凍食品のフレーバーが増強されると共にフレーバー成分が長期間安定に保持され、喫食時まで好ましいフレーバーを保持し、喫食時に好ましいフレーバーを発現し、また、冷凍食品の不快臭を抑制して飲食品の嗜好性を高めることを見出し、このような知見に基づいて本態様を完成するに到った。
すなわち、本態様は喫食時濃度で、不揮発性チアゾリジン化合物を1〜10,000ppm、そして不揮発性フレーバー化合物および/またはリアクションフレーバーを1〜10,000ppbの割合で含有することを特徴とする飲食物フレーバーの保持、発現組成物、このような組成物を添加使用することを特徴とする冷凍食品の製法、および該製造法によって製造された冷凍食品に関する。
なお、前述のチアゾリジン化合物及び不揮発性フレーバー化合物は、それぞれ、それらを含む素材、すなわち調味料、エキス等の形態であってもよいことは上記本発明の第三の態様の場合と同じである。
次に、上記第五の目的を達成すべき本発明の第五の態様(a fifth embodiment of the present invention)について説明する。
本発明者は、上記の目的を達成するべく鋭意研究の結果、本発明の第一の態様に言う不揮発性チアゾリジン化合物をレトルト食品の製造工程における加熱殺菌前、あるいはレトルト食品を開封して調理若しくは喫食する時のいずれかの時期に添加することにより、簡便かつ効果的にレトルト食品の不快臭を抑制することができることを見いだし、このような知見に基づいて本態様を完成した。
すなわち、本態様は、レトルト食品に不揮発性チアゾリジン化合物を添加することによりレトルト食品の不快臭を抑制することを特徴とするレトルト食品の風味改善方法に関する。
本態様の方法によるレトルト臭抑制のメカニズムは、その詳細は不明であるが、本発明者は、添加した不揮発性チアゾリジン化合物がレトルト臭の一つの原因と考えられているアルデヒド類やケトン類と反応し、これらを不揮発性化しているため、レトルト臭が抑制されるものと現時点では推定している。
次に、上記第六の目的を達成すべき本発明の第六の態様(a sixth embodiment of the present invention)について説明する。
本発明者は、上記の目的を達成するべく鋭意研究の結果、本発明の第一の態様に言う不揮発性チアゾリジン化合物を大豆利用食品に対して、原料加工前、原料加工あるいは大豆利用食品の調理時または喫食時のいずれかの時期に添加することにより、簡便かつ効果的に大豆利用食品の不快臭を抑制することができることを見いだし、このような知見に基づいて本態様を完成した。
すなわち、本態様は、大豆利用食品に不揮発性チアゾリジン化合物を添加することにより大豆利用食品特有の青臭い不快臭を抑制することを特徴とする大豆利用食品の風味改善方法に関する。
以下、本発明を各態様ごとに順次更に詳細に説明する。
まず、本発明の第一の態様について詳細に説明する。
本態様における不揮発性チアゾリジン化合物とは、チアゾリジン骨格に1以上の置換基を有する不揮発性のチアゾリジン誘導体をいい、例えば、チオプロリン(Thioproline)およびその誘導体や2−(ポリヒドロキシアルキル)チアゾリジン−4−カルボン酸(2−(Polyhydroxyalkyl)thiazolidine−4−carboxylic acid)類、具体的には、2−(1,2,3−トリヒドロキシプロピル)チアゾリジン−4−カルボン酸(2−(1,2,3−Trihydroxypropyl)thiazolidine−4−carboxylic acid)、2−(1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)チアゾリジン−4−カルボン酸(2−(1,2,3,4−Tetrahydroxybutyl)thiazolidine−4−carboxylic acid)、2−(1,2,3,4,5−ペンタヒドロキシペンチル)チアゾリジン−4−カルボン酸(2−(1,2,3,4,5−Pentahydroxypentyl)thiazolidine−4−carboxylic acid)、2−ヒドロキシメチル−2−(1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)チアゾリジン−4−カルボン酸(2−Hydroxymethyl−2−(1,2,3,4−tetrahydroxybutyl)thiazolidine−4−carboxylic acid)、2−(1,2,4,5−テトラヒドロキシ−3−グルコピラノシルオキシペンチル)チアゾリジン−4−カルボン酸(2−(1,2,4,5−Tetrahydroxy−3−glucopyranosyloxypentyl)thiazolidine−4−carboxylic acid)等を挙げることができる。更に、本発明の第二の態様に係わる2−(1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)チアゾリジン−4−カルボニル−N−グリシン(2−(1,2,3,4−Tetrahydroxybutyl)thiazolidine−4−carbonyl−N−glycine)や2−(1,2,3,4,5−ペンタヒドロキシペンチル)チアゾリジン−4−カルボニル−N−グリシン(2−(1,2,3,4,5−Pentahydroxypentyl)thiazolidine−4−carbonyl−N−glycine)をも挙げることができる。
そして、これらのチアゾリジン化合物は、例えばシステインとアルデヒド類を水溶液中、中性〜アルカリ性条件下で反応させる常法により得ることができる。
次に、本態様の飲食物フレーバーの保持、発現組成物の調製法について説明する。
本態様の組成物を調製するには、有効成分として不揮発性のチアゾリジン化合物を含有せしめることを除いては特別の制限はない。このようなチアゾリジン化合物としては、市販のもしくは合成により得られたチアゾリジン化合物を用いることができ、また、差し支えがなければチアゾリジン化合物を含有する天然物もしくはチアゾリジンの合成反応混合物をそのまま用いても良い。
その剤形にも特別な制限はなく、適宜、賦形剤や希釈剤などを使用してまたは使用することなく単体で、粉末、顆粒、液体、ペーストなど適宜の形態とすることができる。これには、種々の調味料に混合して、調味料の形態としたものも含まれる。
そして、このような本態様の飲食物フレーバーの保持、発現組成物を使用してフレーバーの保持、発現をすべき飲食物は、本態様の飲食物フレーバーの保持、発現組成物を使用することによる所期の効果の奏される限りは、これには特別の制限はない。そのような飲食物としては、例えば、コンソメスープ、コーンスープ、ラーメンスープなどのスープ類、風味調味料などの粉末調味料類、液体だし、鍋物のつゆ、めんつゆなどの液体調味料類、カップ麺、コーヒーなどの飲料、ハンバーグ、ミートボールなどの食肉加工品類などを挙げることができる。また、種々の冷凍食品をも挙げることができる。
次に、本態様の飲食物フレーバーの保持、発現組成物の使用によるフレーバーの保持、発現方法を説明する。
先に説明した本態様に係わるチアゾリジン化合物によるフレーバーの保持や発現のメカニズムから理解されるように、ポイントは該組成物に含有されるチアゾリジン化合物が喫食時に他の風味成分と共存する状態になれば効果が発揮される。従って、該組成物の添加時期、添加方法、添加形態などは広い範囲から選択することが可能である。添加量も、要するに、チアゾリジン化合物による所期の効果の奏せられる範囲の量であるが、例えば、チキンコンソメスープの場合は、喫食時の濃度として1〜1,000ppmが好ましい。
最後に、本態様の飲食物フレーバーの保持、発現組成物の流通について説明する。
本組成物はそのまま、あるいは他の風味成分と混合して調味料として流通に置くことも可能である。また、製造時に本組成物を使用した加工食品などの形で流通に置くことも可能である。
次に、本発明の第二の態様について詳細に説明する。
先ず、本態様の新規化合物そのものについて説明する。
上記一般式(2)で表される本態様の新規チアゾリジン化合物におけるRは、その構造がアルデヒド基から酸素原子を除いたアルドースまたはアルドース型少糖類の残基あるいはカルボニル基から酸素原子を除いたケトースまたはケトース型少糖類の残基と同一のものである。ここに、アルドースとしては、本発明の新規チアゾリジン化合物が食品用途に使用される場合は、例えば、キシロース、リボースなどのアルドペントースやグルコース、ガラクトース、マンノースなどのアルドヘキソースを好適なものとして挙げることができる。また、アルドース型少糖類とはアルデヒト基を有する少糖類を言うが、この少糖類の重合度は、同じく食品用途に使用される場合は、2〜5程度が好ましい。このようなアルドース型少糖類としては、例えば、マルトース、ラクトース、セロビオースなどを挙げることができる。また、ケトースとしては、フルクトースを例示することができる。
次に、本態様の新規チアゾリジン化合物の合成法について説明する。
本態様の新規チアゾリジン化合物は、例えばシステイニルグリシンとアルドースまたはアルドース型少糖類あるいはケトースまたはケトース型少糖類とを水溶液中、中性〜アルカリ性条件下で反応させる常法により得ることができる。
次に、本態様の飲食物フレーバーの保持、発現組成物の調製法について説明する。これは、本発明の第一の態様に関して先に説明したところと同じである。
すなわち、本態様の組成物を調製するには、有効成分として本態様の新規チアゾリジン化合物を含有せしめることを除いては特別の制限はない。このような新規チアゾリジン化合物は、それ自体は常法の反応によって得ることのできることは先に説明した通りであり、また、差し支えがなければチアゾリジン化合物を含有するチアゾリジン化合物の合成反応混合物をそのまま用いても良い。
また、その剤形にも特別な制限はなく、適宜、賦形剤や希釈剤などを使用してまたは使用することなく単体で、粉末、顆粒、液体、ペーストなど適宜の形態とすることができる。これには、種々の調味料に混合して、調味料の形態としたものも含まれる。
次に、本態様の飲食物フレーバーの保持、発現組成物の使用によるフレーバーの保持、発現方法を説明する。これも、本発明の第一の態様に関して先に説明したところと同じである。
すなわち、先に説明した本態様に係わるチアゾリジン化合物によるフレーバーの保持や発現のメカニズムから理解されるように、ポイントは該組成物に含有されるチアゾリジン化合物が喫食時に他の風味成分と共存する状態になれば効果が発揮されるということである。従って、該組成物の添加時期、添加方法、添加形態などは広い範囲から選択することが可能である。添加量も、要するに、チアゾリジン化合物による所期の効果の奏せられる範囲の量であるが、例えば、ビーフコンソメスープの場合は、喫食時の濃度として1〜1,000ppmが好ましい。
最後に、本態様の飲食物フレーバーの保持、発現組成物の流通について説明する。これもまた、本発明の第一の態様に関して先に説明したところと同じである。
すなわち、本組成物はそのまま、あるいは他の風味成分と混合して調味料として流通に置くことも可能である。また、製造時に本組成物を使用した加工食品などの形で流通に置くことも可能である。
次に、本発明の第三の態様について詳細に説明する。
本態様における不揮発性チアゾリジン化合物は、本発明の第一および第二の態様に関して先に説明したところと全く同じである。
本態様における不揮発性フレーバー化合物とは、先に説明したように、香気性チオール類(揮発性フレーバー化合物)が不揮発性チオール類とジスルフィド結合を形成し、安定化した化合物をいい、香気性チオール類(揮発性フレーバー化合物)としては、例えば、2−フリルメタンチオール(2−Furylmethanethiol(FMT))や2−メチル−3−フランチオール(2−Methyl−3−furanthiol(MFT))や2−(1−メルカプトエチル)フラン(2−(1−Hercaptoethyl)furan(MEF))などを挙げることができ、そして不揮発性チオール類としては、例えば、システインやグルタチオンなどを挙げることができる。
本態様の飲食品としては、例えば、コンソメスープ、コーンスープ、ラーメンスープなどのスープ類、風味調味料などの粉末調味料類、液体だし、鍋物のつゆ、めんつゆなどの液体調味料類、カップ麺、コーヒーなどの飲料、ハンバーグ、ミートボールなどの食肉加工品類などを挙げることができる。
飲食品の重量に対してチアゾリジン化合物を喫食時濃度で0.1〜10,000ppm、好ましくは1〜1,000ppmとなるように、そして香気性チオール類(揮発性フレーバー化合物)がシステインなどの不揮発性チオール類とジスルフィド結合した不揮発性フレーバー化合物を喫食時濃度で0.1〜10,000ppb、好ましくは1〜1,000ppbとなるように添加する。
不揮発性チアゾリジン化合物及び不揮発性フレーバー化合物の添加形態は、粉末混合、溶液混合などいずれでも構わない。
飲食品の製造加工時および喫食時のうちいずれの時期に不揮発性チアゾリジン化合物および不揮発性フレーバー化合物を添加しても効果は確認できた。
次に、本発明の第四の態様について詳細に説明する。
本態様における不揮発性チアゾリジン化合物は、本発明の第一および第二の態様に関して先に説明したところと全く同じである。
本態様における不揮発性フレーバー化合物は、本発明の第三の態様に関して上に説明したところと全く同じである。
本態様の冷凍食品としては、例えば、ハンバーグ、コロッケ、ギョウザ、シューマイなどの食肉加工品類、えびフライ、焼おにぎり、ピラフ、チャーハンなどの米飯加工品類、グラタン、ピザ、ラーメン、カレー、中華丼の具などを挙げることができる。
冷凍食品の重量に対してチアゾリジン化合物を喫食時濃度で0.1〜10,000ppm、好ましくは1〜1,000ppmとなるように、そして不揮発性フレーバー化合物を喫食時濃度で0.1〜10,000ppb、好ましくは1〜1,000ppbとなるように添加する。
不揮発性チアゾリジン化合物及び不揮発性フレーバー化合物の添加形態は、本発明の第三の態様に関して上に説明したところと同じく粉末混合、溶液混合などいずれでも構わない。
冷凍食品の製造加工時および喫食時のうちいずれの時期に不揮発性チアゾリジン化合物および不揮発性フレーバー化合物を添加しても効果は確認できたことも、本発明の第三の態様に関して上に説明したところと同じである。
次に、本発明の第五の態様について詳細に説明する。
本態様における不揮発性チアゾリジン化合物は、本発明の第一および第二の態様に関して先に説明したところと全く同じである。
本態様のレトルト食品としては、例えば、レトルトパウチや缶、ビン等の耐熱容器(レトルト容器)入りのミートソース、ホワイトソース、デミグラスソースなどのソース類、液体型合わせ調味料類、シチュー類、スープ類、カレー類、お粥類、ハンバーグ、ミートボールなどの食肉加工品類、かまぼこ、サバの味噌煮などの水産加工品類などを挙げることができる。
不揮発性チアゾリジン化合物の添加使用量は、本態様の所期の効果の奏される限り、それには特別の制限はなく、例えばミートソース、ホワイトソース、カレーなどの食品の場合、その重量に対して喫食時濃度で1〜10,000ppm、好ましくは10〜1,000ppmの不揮発性チアゾリジン化合物を添加し、例えばレトルト用パウチに密閉後、加熱殺菌(レトルト処理)を行う。
不揮発性チアゾリジン化合物の添加形態は、粉末混合、溶液混合などいずれでも構わない。
不揮発性チアゾリジン化合物の添加時期に関しては、レトルト食品の製造工程において、材料の加熱殺菌(レトルト処理)前、加熱殺菌(レトルト処理)後レトルト容器を開封して調理する時、およびレトルト容器を開封して喫食に際してのうちのいずれの時期に不揮発性チアゾリジン化合物を添加してもレトルト臭抑制効果は確認できたが、殺菌というレトルト加熱本来の目的および喫食時のレトルト臭抑制効果の大きさを考慮すると、レトルト食品の製造工程における加熱殺菌前にレトルト食品の材料に添加するのが最も適当である。
なお、差し支えのない限り、本態様に係わる不揮発性チアゾリジン化合物にMFT−Cys(2−メチル−3−フランチオールとシステインのジスルフィド体、2−Methyl−3−furanthiol cysteine disulfide)などのジスルフィド化合物(不揮発性フレーバー化合物)やリアクションフレーバー等を併用することができることは言うまでもない。
また、ここで言うレトルト加熱殺菌条件は100〜130℃程度で数分〜数十分の加熱条件が好ましいが、レトルト処理の目的の達せられる限りは特に温度、圧力および時間には特別の制限はなく、適宜常法に準ずることができる。
最後に、本発明の第六の態様について詳細に説明する。
本態様における不揮発性チアゾリジン化合物は、本発明の第一および第二の態様に関して先に説明したところと全く同じである。
本態様の大豆利用食品としては、例えば、豆腐、おから、豆乳、大豆たん白、その水溶液あるいは大豆たん白を利用した食品、具体的にはハム、ソーセージ、ハンバーグなどを挙げることができる。また、大豆から搾油した大豆油などへの利用も可能である。
不揮発性チアゾリジン化合物の添加使用量は、本態様の所期の効果の奏される限り、それには特別の制限はなく、例えば豆乳の場合、その重量あたり1〜10,000ppm、好ましくは10〜1,000ppmの不揮発性チアゾリジン化合物を添加する。また、大豆たん白の場合も、その重量あたり1〜10,000ppm、好ましくは10〜1,000ppmの不揮発性チアゾリジン化合物を添加する。
不揮発性チアゾリジン化合物の添加形態は、本発明の第五の態様に関して上に説明したと同じく、粉末混合、溶液混合などいずれでも構わない。
不揮発性チアゾリジン化合物の添加時期に関しては、本態様の所期の効果の奏される限りは特別の制限はない。例えば、大豆たん白入りハンバーグの場合で、大豆たん白を作成するときのような原料加工時あるいはこの大豆たん白を使用して大豆たん白入りハンバーグを作成するときのような大豆利用食品の調理時および豆乳やおからのような大豆利用食品の喫食時のうちいずれの時期に不揮発性チアゾリジン化合物を添加しても不快臭抑制効果は確認できたが、大豆臭抑制効果の大きさを考慮すると、原料加工前、原料加工あるいは調理時の添加が最も適当である。
なお、差し支えのない限り、本態様に係わる不揮発性チアゾリジン化合物にMFT−Cys(2−メチル−3−フランチオールとシステインのジスルフィド体、2−Methyl−3−furanthiol cysteine disulfide)などのジスルフィド化合物(不揮発性フレーバー化合物)やリアクションフレーバー等を併用することができることは言うまでもない。
以上、本発明を、その六つの態様に分けて説明したが、いずれの態様も不揮発性チアゾリジン化合物を飲食品の風味増強または改善剤として使用している。従って、これらの六つの態様は不揮発性チアゾリジン化合物を飲食品の風味増強または改善剤として確認する単一の一般的発明概念を形成するように連関している一群の発明を形成するものである。
(発明を実施するための最良の形態)
以下、実施例により本発明をさらに説明する。
先ず、本発明の第一の態様に関する実施例を掲げる。
実施例1: 2−(1,2,3,4−Tetrahydroxybutyl)thiazolidine−4−carboxylic acidの合成
システイン塩酸塩17.56g(100mmol)とキシロース15.01g(100mmol)を純水35mlに溶解させ、ピリジン8.36ml(100mmol)を加えた後、室温で72時間攪拌した。300mlのエタノールを加え、冷蔵庫に静置するとペースト状の沈殿が生じた。溶媒をデカンテーションにより除き、沈殿を水100mlに溶解後不溶物を濾去し、約30mlまで濃縮した。濃縮物にエタノールを沈殿が生じる直前まで加え、冷蔵庫で一晩静置した。生じた結晶を濾取し、減圧乾燥した。結晶を再び水に溶解し、不溶物を濾去してから濃縮し、再びエタノールを加えて再結晶させ、生じた結晶を濾取し、減圧乾燥することにより白色粉末10.8gが得られた(対システインモル収率42.7%)。この白色粉末は、後掲図1に示すこのもののESI−MSスペクトル(Electron Spray Ionization−Mass Spectrometry)のイオン質量数が目的化合物の水素付加体の分子量(254)に等しいことから目的化合物であると同定することができた。
実施例2: 2−(1,2,3,4,5−Pentahydroxypentyl)thiazolidine−4−carboxylic acidの合成
システイン塩酸塩17.56g(100mmol)とグルコース18.02g(100mmol)を純水35mlに溶解させ、ピリジン8.36ml(100mmol)を加えた後、室温で96時間攪拌した。200mlのメタノールを加え、生成した沈殿を濾取した。沈殿を水300mlに懸濁し、50℃に加熱して溶解させた。45℃で減圧濃縮し、100ml程度に濃縮した後、不溶物を濾去し、メタノール200mlを加えて冷蔵庫で一晩静置した。生じた結晶を濾取し、減圧乾燥することにより白色粉末15.0gが得られた(対システインモル収率52.9%)。この白色粉末は、後掲図2に示すこのもののESI−MSスペクトルのイオン質量数が目的化合物の水素付加体の分子量(284)に等しいことから目的化合物であると同定することができた。
実施例3: 2−(1,2,4,5−Tetrahydroxy−3−glucopyranosyloxypentyl)thiazolidine−4−carboxylic acidの合成
システイン塩酸塩17.56g(100mmol)とマルトース34.20g(100mmol)を純水35mlに溶解し、ピリジン8.36ml(100mmol)を加えた後、室温で72時間攪拌した。300mlのエタノールを加え、冷蔵庫に静置するとペースト状の沈殿が生じた。溶媒をデカンテーションにより除き、沈殿を水100mlに溶解後不溶物を濾去し、約30mlまで濃縮した。濃縮物にエタノールを沈殿が生じる直前まで加え、冷蔵庫で一晩静置した。生じた結晶を濾取し、再び水に溶解後、不溶物を濾去してから濃縮し、再びエタノールを加えて再結晶させた。生じた結晶を濾取し、減圧乾燥することにより白色粉末2.2gが得られた(対システインモル収率4.9%)。
この白色粉末は、後掲図3に示すこのもののAPCI−MS(Atmospheric Pressure Chemical Ionization−Mass Spectrometry)スペクトルのイオン質量数が目的化合物の水素脱離体([M−H])の分子量(444)に等しいことから目的化合物であると同定することができた。
実施例4: グルタチオンおよびシステインとの安定性比較
本発明に係わる不揮発性チアゾリジン化合物の1種である2−(1,2,3,4−Tetrahydroxybutyl)thiazolidine−4−carboxylic acid(以下、TCAと略記)、グルタチオン(以下、GSHと略記)及びシステイン(以下、Cysと略記)を各0.5mMになるように50mMリン酸カリウム溶液に溶かし、生じた各溶液を1N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.0に調整後室温(25℃)で静置し、各成分の残存率の時間的消長を高速液体クロマトグラフィーにより測定した。その結果、後掲図4に示すように、チアゾリジン化合物はシステインやグルタチオンに比べ安定性に優れていることが判る。
実施例5: 市販コンソメスープの系における官能評価(その1)
実施例1におけると同様にして得られた不揮発性チアゾリジン化合物を市販のチキンコンソメスープに対し喫食時0.07%になるように添加し、無添加のものを対照として6名の専門パネルにより下記第1表に付記した評価基準に従って、風味の強さおよび風味の好ましさを評価した。その結果、同表に示すように、添加品は無添加品に比べ有意に風味が強まり、かつ好ましかった。
Figure 2002021938
<評価基準>
評点 +2:強い、または好ましい
+1:やや強い、またはやや好ましい
0:どちらとも言えない
−1:やや弱い、またはやや好ましくない
−2:弱い、または好ましくない
実施例6: 市販卵スープの系における官能評価
実施例1におけると同様にして得られた不揮発性チアゾリジン化合物を市販の卵スープに対し喫食時0.07%になるように添加し、無添加のものを対照として6名の専門パネルにより上掲第1表に付記した評価基準に従って風味の強さおよび風味の好ましさを評価した。その結果、下記第2表に示すように、添加品は無添加品に比べ有意に風味が強まり、かつ好ましかった。
Figure 2002021938
実施例7: 市販コーンスープの系における官能評価(その2)
実施例1におけると同様にして得られた不揮発性チアゾリジン化合物を実施例5におけると異なる他の市販のコーンスープに対し喫食時0.07%になるように添加し、無添加のものを対照として6名の専門パネルにより上掲第1表に付記した評価基準に従って風味の強さおよび風味の好ましさを評価した。その結果、下記第3表に示すように、添加品は無添加品に比べ有意に風味が強まり、かつ好ましかった。
Figure 2002021938
以下、実施例により本発明の第二の態様を更に詳しく説明する。
実施例8: 新規化合物2−(1,2,3,4−Tetrahydroxybutyl)thiazolidine−4−carbonyl−N−glycineの合成
システニルグリシン(シグマ社製)100mg(0.56mmol)とキシロース84mg(0.56mmol)を純水0.2mlに溶解し、ピリジン50μl(0.59mmol)を加えてよく混合した後、室温で5時間静置して反応させた。反応液にエタノール2mlを加え、5℃で一晩静置すると白色の沈殿が生じた。遠心分離によって沈殿物を集め、エタノールで洗浄した後、純水0.2mlに溶解し凍結乾燥することによって白色粉末94mgを得た。
この白色粉末は、後掲図5に示すこのもののESI−MSスペクトル(Electron Spray Ionization−Mass Spectrometry)のイオン質量数が目的化合物の水素付加体の分子量(311)に等しいことから目的化合物であると同定することができた。
実施例9: 新規化合物2−(1,2,3,4,5−Pentahydroxypentyl)thiazolidine−4−carbonyl−N−glycineの合成
システニルグリシン(シグマ製)100mg(0.56mmol)とグルコース100mg(0.56mmol)を純水0.2mlに溶解し、ピリジン50μl(0.59mmol)を加えてよく混合した後、室温で5時間静置して反応させた。反応液にエタノール2mlを加え、5℃で一晩静置すると白色の沈殿が生じた。遠心分離によって沈殿物を集め、エタノールで洗浄した後、純水0.2mlに溶解し凍結乾燥することによって白色粉末85mgを得た。
この白色粉末が目的化合物であることは、後掲図6に示すこのもののESI−MSスペクトルのイオン質量数が目的化合物の水素付加体の分子量(341)に等しいことから目的化合物であると同定することができた。
実施例10:ビーフコンソメスープへの使用
市販の固形ビーフコンソメ(クノール食品(株)製)に実施例8で得られたチアゾリジン化合物を喫食時濃度が0.03%となるように添加したものを熱湯に溶解し、コンソメスープを調製して開放系70℃で保温し、無添加のものと比較した。添加品(本発明)は無添加品(対照)に比べて明らかにビーフ様のフレーバーが強かった。また、サンプル調製後1時間経過時点においてもチアゾリジン化合物添加品は、無添加品よりも明らかに香りが強く感じられ、その効果が持続していた。
実施例11:インスタントコーヒーへの使用
市販のフリーズドライタイプのインスタントコーヒーに実施例8で得られたチアゾリジン化合物を喫食時濃度が0.01%となるように添加したものを熱湯に溶解して開放系70℃で保温し、無添加のものと比較した。添加品(本発明)は無添加品(対照)に比べて明らかに好ましいコーヒーの香りが強かった。また、サンプル調製後30分経過時点においてもチアゾリジン化合物添加品は無添加品よりも明らかに香りが強く感じられ、その効果が持続していた。
以下、本発明の第三の態様に関する実施例を掲げる。
実施例12:2−(1,2,3,4−Tetrahydroxybutyl)thiazolidine−4−carboxylic acidの合成:
前記実施例1を繰返して2−(1,2,3,4−Tetrahydroxybutyl)thiazolidine−4−carboxylic acidを得た。
実施例13:2−Methyl−3−furanthiol cysteine
disulfide(MFT−Cys)の合成
2−メチル−3−フリルチオール(56mg)をN,N−ジメチルホルムアミド(400μl)に溶解させ、この溶液をアセトニトリル(20ml)に撹拌しながら溶かした。別に、シスチン(0.1g)に2当量分の27%水酸化ナトリウム水溶液を加えて溶かし、得られた溶液と水(20ml)を上記溶液に加えて撹拌した。得られた混合溶液にシステイン(0.1g)を加え、溶液を撹拌しながら室温で2日間反応させた。反応混合物のpHを2に調整後、生じた沈殿を0.45μmフィルターでろ過してアセトニトリルを留去した。濃縮液を0.45μmフィルターでろ過し、約15mlにして、逆相HPLCで精製した。カラムはGL Science社製Inertsil ODS 20×250mm、溶離液は、A液:0.1%蟻酸、そしてB液:0.1%蟻酸含むアセトニトリル、グラジェント:5%B→40%B(20分)、流速10ml/分、検出は254nmで行い、目的物を含む画分を集めて凍結乾燥することにより、褐色粉末11.0mgが得られた(収率9.6%)。
実施例14:2−Furylmethanethiol cysteine disulfide(FFT−Cys)の合成
シスチン(1.0g)に2当量分の27%NaOH水溶液と水(20ml)を加えて溶かし、これに2−フリルメタンチオールとMeOH(40ml)を加え、撹拌しながら室温で1週間反応させた。反応混合物のpHを2に調整後生じた沈殿をろ過し、沈殿を水とMeOHで洗浄し、炉液と洗液を集め濃縮した。生じた沈殿を0.45μmフィルターでろ過し、約8mlにして、逆相HPLCで精製した。カラム:GL Science社製Inertsil ODS 20×250mm、A液:0.1%蟻酸、そしてB液:0.1%蟻酸含むアセトニトリル、グラジェント:5%B→40%B(20min)、流速10ml/min。検出は210nmで行い、目的物を含む画分を集めて凍結乾燥して白色粉末34.5mgを得た(収率17.2%)。
実施例15:2−(1−Mercaptoethyl)furan cysteine disulfide(MEF−Cys)の合成
シスチン100mgを0.1N水酸化ナトリウム溶液50mlに溶解し、MEF41.8mgをメタノール10mlに溶解した溶液を加え、密栓して5日間室温で放置した。その後、溶液を中和し、エーテルで洗浄を行った後、水層をロータリエバポレーターにより濃縮乾固した。乾燥物を再び少量の水に溶解した後、固相抽出カラム(Varian製ボンドエルートC18)を使用して精製を行った。メタノール溶出画分を凍結乾燥すると、白色粉末10mgが得られた(収率12.4%)。
実施例16:市販チキンコンソメスープの系における官能評価(その1)
市販チキンコンソメ(クノール社製)キューブ2個(14g)に熱湯600mlを加えて調製したチキンコンソメスープ100gに上記実施例12で得られた不揮発性チアゾリジン化合物を喫食時濃度5ppmになるように添加し、無添加のものを対照として、専門パネル5名により下記第4表に付記した評価基準に従って官能評価を実施した。その結果、同表に示すように、添加品は無添加品に比べ有意に好ましさが向上した。
Figure 2002021938
<評価基準>
評点 +2:強い、または好ましい
+1:やや強い、またはやや好ましい
0:無添加品と同じ
−1:やや弱い、またはやや好ましくない
−2:弱い、または好ましくない
実施例17:市販チキンコンソメスープの系における官能評価(その2)
市販チキンコンソメ(クノール社製)キューブ2個(14g)に熱湯600mlを加えて調製したチキンコンソメスープ100gに実施例12で得られた不揮発性チアゾリジン化合物を喫食時濃度5ppm及び実施例13で得られたMFT−Cysを喫食時濃度500ppbになるように添加し、不揮発性チアゾリジン化合物もMFT−Cysも無添加のものを対照として、専門パネル5名により上掲第4表に付記した評価基準に従って官能評価を実施した。その結果、下記第5表に示すように、添加品は無添加品に比べ有意に好ましさが向上した。
Figure 2002021938
実施例18:市販チキンコンソメスープの系における官能評価(その3)
市販チキンコンソメ(クノール社製)キューブ2個(14g)に熱湯600mlを加えて調製したチキンコンソメスープ100gに実施例12で得られた不揮発性チアゾリジン化合物を喫食時濃度5ppm及び市販リアクションフレーバー「アロメイトMB」(味の素(株)製)を喫食時濃度100ppmになるように添加し、不揮発性チアゾリジン化合物も「アロメイトMB」も無添加のものを対照として、専門パネル5名により上掲第4表に付記した評価基準に従って官能評価を実施した。その結果、下記第6表に示すように、添加品は無添加品に比べ有意に好ましさが向上した。
Figure 2002021938
実施例19:市販コーンクリームスープの系における官能評価(その1)
市販カップスープ「コーンクリーム」(味の素(株)製)3袋(52g)に熱湯450mlを加えて調製したコーンクリームスープ100gに実施例12で得られた不揮発性チアゾリジン化合物を喫食時濃度5ppmになるように添加し、無添加のものを対照として、専門パネル5名により上掲第4表に付記した評価基準に従って官能評価を実施した。その結果、下記第7表に示すように、添加品は無添加品に比べ有意に好ましさが向上した。
Figure 2002021938
実施例20:市販コーンクリームスープの系における官能評価(その2)
市販カップスープ「コーンクリーム」(味の素(株)製)3袋(52g)に熱湯450mlを加えて調製したコーンクリームスープ100gに実施例12で得られた不揮発性チアゾリジン化合物を喫食時濃度5ppm及び実施例15で得られたMEF−Cysを喫食時濃度100ppbになるように添加し、無添加のものを対照として、専門パネル5名により上掲第4表に付記した評価基準に従って官能評価を実施した。その結果、下記第8表に示すように、添加品は無添加品に比べ有意に好ましさが向上した。
Figure 2002021938
実施例21:市販即席みそ汁の系における官能評価
市販即席みそ汁「あさげ」((株)永谷園製)3食分(63.6g)に熱湯450mlを加えて調製したみそ汁100gに実施例12で得られた不揮発性チアゾリジン化合物を喫食時100ppmになるように添加し、無添加のものを対照として、専門パネル5名により上掲第4表に付記した評価基準に従って官能評価を実施した。その結果、下記第9表に示すように、添加品は無添加品に比べ有意に好ましさが向上した。
Figure 2002021938
以下、本発明の第四の態様に関する実施例を掲げる。
実施例22:2−(1,2,3,4−Tetrahydroxybutyl)t
hiazolidine−4−carboxylic acidの
合成
実施例1を繰返して2−(1,2,3,4−Tetrahydroxybutyl)thiazolidine−4−carboxylic acidを得た。
実施例23:2−Methyl−3−furanthiol cysteine disulfide(MFT−Cys)の合成
実施例13を繰返してMFT−Cysを得た。
実施例24:2−Furylmethanethiol cysteine disulfide(FFT−Cys)の合成
実施例14を繰返して2−Furylmethamethiol cysteine disulfideを得た。
実施例25:2−(1−Mercaptoethyl)furan cysteine disulfide(MEF−Cys)の合成
実施例15を繰返して2−(1−Mercaptoethyl)furan cysteine disulfideを得た。
実施例26:市販冷凍ハンバーグの系における官能評価(その1)
市販冷凍食品のハンバーグ(ニチレイ製)の20gに、実施例22で得た不揮発性チアゾリジン化合物を喫食時濃度20ppmになるように添加し、電子レンジで解凍、加熱して、無添加のものを対照として、専門パネル5名により下記第10表に付記した評価基準に従って官能評価を実施した。その結果、同表に示すように、添加品は無添加品に比べ有意に好ましさが向上した。
Figure 2002021938
<評価基準>
評点 +2:強い、または好ましい
+1:やや強い、またはやや好ましい
0:無添加品と同じ
−1:やや弱い、またはやや好ましくない
−2:弱い、または好ましくない
実施例27:市販冷凍ハンバーグの系における官能評価(その2)
市販冷凍食品のハンバーグ(ニチレイ製)の20gに、実施例22で得た不揮発性チアゾリジン化合物を喫食時濃度20ppm及び実施例23で得たMFT−Cysを喫食時濃度100ppbになるように添加して、無添加のものを対照として、専門パネル5名により上掲第10表に付記した評価基準に従って官能評価を実施した。その結果、下記第11表に示すように、添加品は無添加品に比べ有意に好ましさが向上した。
Figure 2002021938
実施例28:市販冷凍ハンバーグの系における官能評価(その3)
市販冷凍食品のハンバーグ(ニチレイ製)の20gに、実施例22で得た不揮発性チアゾリジン化合物を喫食時濃度20ppm及び実施例24で得たFFT−Cysを喫食時濃度100ppbになるように添加して、不揮発性チアゾリジン化合物もFFT−Cysも無添加のものを対照として、専門パネル5名により上掲第10表に付記した評価基準に従って官能評価を実施した。その結果、下記第12表に示すように、添加品は無添加品に比べ有意に好ましさが向上した。
Figure 2002021938
実施例29:市販冷凍ハンバーグの系における官能評価(その4)
市販冷凍食品のハンバーグ(ニチレイ製)の20gに、実施例22で得た不揮発性チアゾリジン化合物を喫食時濃度20ppm及び市販リアクションフレーバー「アロメイトMB」(味の素(株)製)を喫食時濃度500ppmになるように添加して、不揮発性チアゾリジン化合物も「アロメイトMB」も無添加のものを対照として、専門パネル5名により上掲第10表に付記した評価基準に従って官能評価を実施した。その結果、下記第13表に示すように、添加品は無添加品に比べ有意に好ましさが向上した。
Figure 2002021938
以下、本発明の第五の態様に関する実施例を掲げる。
実施例30:2−(1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)チアゾリジン−4−カルボン酸の合成
実施例1を繰返して2−(1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)チアゾリジン−4−カルボン酸を得た。
実施例31:ミートソース
下記第14表に示すレシピで調製したミートソース120gに実施例30で得られた不揮発性チアゾリジン化合物を100ppm添加し、レトルト用パウチに密閉後、123℃で15分加熱処理(レトルト処理)を行った(本発明品)。また、比較のために不揮発性チアゾリジン化合物を使用しなかったことを除いては全く同様にしてミートソースを作成した(コントロール品)。
翌日、2種類のミートソースを開封し、専門パネル6名により官能評価を実施した。すなわち、レトルト臭の強さを−2〜+2の5段階で、そして香りおよび風味の好ましさを+2〜−2の5段階でコントロールと同じときを0として比較したときの本発明品の評価を行わせ、各評価項目について平均点を算出した。結果を下記第15表に示す。
Figure 2002021938
Figure 2002021938
<評価基準>
評点 +2:強い、または好ましい
+1:やや強い、またはやや好ましい
0:どちらとも言えない
−1:やや弱い、またはやや好ましくない
−2:弱い、または好ましくない
第15表より分かるように、本発明によればレトルト臭が低減され、香りや風味全体が向上した。
最後に、本発明の第六の態様に関する実施例を掲げる。
実施例32:2−(1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)チアゾリジン−4−カルボン酸の合成
実施例1を繰返して2−(1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)チアゾリジン−4−カルボン酸を得た。
実施例33:大豆たん白の官能評価
大豆たん白「アジプロンHP」(味の素(株)製)1g当たり水19gを加えて調製した濃度5%の大豆たん白水溶液に実施例32で得た不揮発性チアゾリジン化合物を喫食時濃度100ppmになるように添加し、不快臭抑制効果を増強する目的で100℃で1時間加熱した。この大豆たん白水溶液(本発明品)を、不揮発性チアゾリジン化合物を添加しなかったことを除いては全く同様にして作成したもの(コントロール品)を対照として専門パネル5名により下記第16表に示す評価項目について同表に付記した評価基準に従って官能評価を実施した。なお、総合評価は、次のようにして行った。すなわち、コントロール品を5点としたときの10段階評価を行った。その結果も各評価項目についての平均点で同表に併示した。第16表により理解されるように、不揮発性チアゾリジン化合物の添加品(本発明品)は無添加品(コントロール品)に比べ有意に好ましさが向上している。
Figure 2002021938
<評価基準>
評点 +2:強い、または好ましい
+1:やや強い、またはやや好ましい
0:コントロール(無添加品)と同じ
−1:やや弱い、またはやや好ましくない
−2:弱い、または好ましくない
実施例34:大豆たん白配合ハンバーグの系における官能評価(その1)
下記第17表に示すレシピで調製したハンバーグのたねの250gに実施例32で得た不揮発性チアゾリジン化合物を喫食時濃度500ppmとなるように添加してよく混合し、50gずつ丸く成形してフライパンで焼成し、専門パネル5名により上掲第16表に付記した評価基準に従って官能評価を実施した。その結果、下記第18表に示すように、添加品は無添加品に比べ有意に好ましさが向上した。
Figure 2002021938
Figure 2002021938
実施例35:大豆たん白配合ハンバーグの系における官能評価(その2)
上記第17表に示したレシピで配合したハンバーグのたねの材料250gに実施例32で得た不揮発性チアゾリジン化合物を喫食時濃度500ppm及びMFT−Cysを大豆臭低減および肉様香気の増強の目的で喫食時濃度200ppbとなるように添加してよく混合し、50gずつ丸く成形してフライパンで焼成した(本発明品)。また、比較のために不揮発性チアゾリジン化合物もMFT−Cysも添加しなかったことを除いては全く同様にしてハンバーグを作成した(コントロール品)。実施例33におけると同様にして本発明品をコントロール品と比較評価した。その結果、下記第19表に示すように、添加品(本発明品)は無添加品(コントロール品)に比べ有意に好ましさが向上していた。
Figure 2002021938
実施例36:大豆たん白配合ハンバーグの系における官能評価(その3)
上掲第17表に示したレシピで配合したハンバーグのたねの材料250gに実施例32で得た不揮発性チアゾリジン化合物を喫食時濃度500ppm及び市販リアクションフレーバー「アロメイトMB」(味の素(株)製)を大豆臭低減および肉様香気の増強の目的で喫食時濃度250ppmとなるように添加してよく混合し、50gずつ丸く成形してフライパンで焼成した(本発明品)。また、比較のために不揮発性チアゾリジン化合物も「アロメイトMB」も添加しなかったことを除いては全く同様にしてハンバーグを作成した(コントロール品)。実施例33におけると同様にして本発明品をコントロール品と比較評価した。その結果、下記第20表に示すように、添加品(本発明品)は無添加品(コントロール品)に比べ有意に好ましさが向上していた。
Figure 2002021938
(産業上の利用可能性)
本発明によれば、飲食物などの分野において使用することのできる、フレーバーを有効に保持し、また発現することのできる優れたフレーバーの保持、発現組成物を容易に提供することができる。
また、本発明によれば、不揮発性チアゾリジン化合物を単独で使用してまたはこれに不揮発性フレーバー化合物および/またはリアクションフレーバーを併用してレトルト食品の不快臭を容易に抑制することができ、延いては風味の改善されたレトルト食品を容易に提供することができる。
さらにまた、本発明によれば、不揮発性チアゾリジン化合物を単独で使用してまたはこれに不揮発性フレーバー化合物および/またはリアクションフレーバーを併用して大豆利用食品の不快臭を容易に抑制することができ、延いては風味の改善された大豆利用食品を容易に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第一の態様に係わるチアゾリジン化合物の生成を示すESI−MSスペクトルを示す(実施例1)。
図2は、本発明の第一の態様に係わる他のチアゾリジン化合物の生成を示すESI−MSスペクトルを示す(実施例2)。
図3は、本発明の第一の態様に係わるさらなる他のチアゾリジン化合物の生成を示すAPCI−MSスペクトルを示す(実施例3)。
図4は、グルタチオンおよびシステインとの安定性比較を示す(実施例4)。
図5は、本発明の第二の態様に係わる新規チアゾリジン化合物の一例のESI−MSスペクトルを示す(実施例8)。
図6は、本発明の第二の態様に係わる新規チアゾリジン化合物の他の例のESI−MSスペクトルを示す(実施例9)。

Claims (25)

  1. 不揮発性のチアゾリジン化合物を有効成分として含有することを特徴とする飲食物フレーバーの保持、発現組成物。
  2. 不揮発性のチアゾリジン化合物に加えて、揮発性フレーバー化合物が不揮発性化合物とジスルフィド結合を形成することにより安定化した不揮発性フレーバー化合物および/またはリアクションフレーバーをも含有することを特徴とする請求項1記載の飲食物フレーバーの保持、発現組成物。
  3. 該チアゾリジン化合物がチアゾリジン−4−カルボン酸の2位の炭素原子に炭素原子数3〜11のポリヒドロキシアルキル基誘導体が結合した構造を有する化合物から選択される1以上の化合物であることを特徴とする請求項1または2記載の飲食物フレーバーの保持、発現組成物。
  4. 不揮発性チアゾリジン化合物が2−(1,2,3−トリヒドロキシプロピル)チアゾリジン−4−カルボン酸、2−(1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)チアゾリジン−4−カルボン酸、2−(1,2,3,4,5−ペンタヒドロキシペンチル)チアゾリジン−4−カルボン酸、2−ヒドロキシメチル−2−(1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)チアゾリジン−4−カルボン酸、2−(1,2,4,5−テトラヒドロキシ−3−グルコピラノシルオキシペンチル)チアゾリジン−4−カルボン酸、2−(1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)チアゾリジン−4−カルボニル−N−グリシンおよび2−(1,2,3,4,5−ペンタヒドロキシペンチル)チアゾリジン−4−カルボニル−N−グリシンから選ばれる1種または2種以上の混合物であることを特徴とする請求項3記載の飲食物フレーバーの保持、発現組成物。
  5. 不揮発性チアゾリジン化合物の含有量が組成物の乾燥重量あたり1ppm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の飲食物フレーバーの保持、発現組成物。
  6. 喫食時濃度で、不揮発性チアゾリジン化合物を1〜1,000ppm、そして不揮発性フレーバー化合物および/またはリアクションフレーバーを1〜1,000ppbの割合で含有することを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の飲食物フレーバーの保持、発現組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の飲食物フレーバーの保持、発現組成物を使用して製造することを特徴とする飲食物の製造法。
  8. 請求項7記載の製造法によって製造されたことを特徴とする飲食物。
  9. 下記一般式(2)で表される有機化合物であって、Rがアルデヒド基から酸素原子を除いたアルドースまたはアルドース型少糖類の残基あるいはカルボニル基から酸素原子を除いたケトースまたはケトース型少糖類の残基と同一の構造を有する基であることを特徴とする新規チアゾリジン化合物およびその塩。
    Figure 2002021938
  10. レトルト食品に不揮発性チアゾリジン化合物を添加することによりレトルト食品の不快臭を抑制することを特徴とするレトルト食品の風味改善方法。
  11. 該チアゾリジン化合物がチアゾリジン−4−カルボン酸の2位の炭素原子に炭素原子数3〜11のポリヒドロキシアルキル基誘導体が結合した構造を有する化合物から選択される1種または2種以上の化合物であることを特徴とする請求項10記載のレトルト食品の風味改善方法。
  12. 該チアゾリジン化合物が2−(1,2,3−トリヒドロキシプロピル)チアゾリジン−4−カルボン酸、2−(1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)チアゾリジン−4−カルボン酸、2−(1,2,3,4,5−ペンタヒドロキシペンチル)チアゾリジン−4−カルボン酸、2−ヒドロキシメチル−2−(1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)チアゾリジン−4−カルボン酸、2−(1,2,4,5−テトラヒドロキシ−3−グルコピラノシルオキシペンチル)チアゾリジン−4−カルボン酸、2−(1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)チアゾリジン−4−カルボニル−N−グリシン、および2−(1,2,3,4,5−ペンタヒドロキシペンチル)チアゾリジン−4−カルボニル−N−グリシンから選ばれる1種または2種以上の化合物であることを特徴とする請求項11記載のレトルト食品の風味改善方法。
  13. レトルト食品の製造工程において、加熱殺菌前に材料に不揮発性チアゾリジン化合物を添加することを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載のレトルト食品の風味改善方法。
  14. 不揮発性チアゾリジン化合物の添加量がレトルト食品の材料または製品の重量に対し、10〜1,000ppmであることを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載のレトルト食品の風味改善方法。
  15. 不揮発性チアゾリジン化合物に不揮発性フレーバー化合物および/またはリアクションフレーバーを併用することを特徴とする請求項10〜14のいずれかに記載のレトルト食品の風味改善方法。
  16. 喫食時濃度で、不揮発性チアゾリジン化合物を10〜1,000ppm、そして不揮発性フレーバー化合物および/またはリアクションフレーバーを10〜1、000ppb使用することを特徴とする請求項15記載のレトルト食品の風味改善方法。
  17. 請求項10〜16のいずれかに記載の方法により得られたことを特徴とするレトルト食品。
  18. 大豆利用食品に不揮発性チアゾリジン化合物を添加することにより大豆利用食品特有の青臭い不快臭を抑制することを特徴とする大豆利用食品の風味改善方法。
  19. 該チアゾリジン化合物がチアゾリジン−4−カルボン酸の2位の炭素原子に炭素原子数3〜11のポリヒドロキシアルキル基誘導体が結合した構造を有する化合物から選択される1種または2種以上の化合物であることを特徴とする請求項18記載の大豆利用食品の風味改善方法。
  20. 該チアゾリジン化合物が2−(1,2,3−トリヒドロキシプロピル)チアゾリジン−4−カルボン酸、2−(1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)チアゾリジン−4−カルボン酸、2−(1,2,3,4,5−ペンタヒドロキシペンチル)チアゾリジン−4−カルボン酸、2−ヒドロキシメチル−2−(1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)チアゾリジン−4−カルボン酸、2−(1,2,4,5−テトラヒドロキシ−3−グルコピラノシルオキシペンチル)チアゾリジン−4−カルボン酸、2−(1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル)チアゾリジン−4−カルボニル−N−グリシン、および2−(1,2,3,4,5−ペンタヒドロキシペンチル)チアゾリジン−4−カルボニル−N−グリシンから選ばれる1種または2種以上の化合物であることを特徴とする請求項19記載の大豆利用食品の風味改善方法。
  21. 大豆利用食品の製造工程における、原料加工前若しくは原料加工時または大豆利用食品の調理時若しくは喫食時に不揮発性チアゾリジン化合物を添加することを特徴とする請求項18〜20のいずれかに記載の大豆利用食品の風味改善方法。
  22. 不揮発性チアゾリジン化合物の添加量が、大豆利用食品の原料もしくは材料または製品の重量に対し、10〜1,000ppmであることを特徴とする請求項18〜21のいずれかに記載の大豆利用食品の風味改善方法。
  23. 不揮発性チアゾリジン化合物に不揮発性フレーバー化合物および/またはリアクションフレーバーを併用することを特徴とする請求項18〜22のいずれかに記載の大豆利用食品の風味改善方法。
  24. 喫食時濃度で、不揮発性チアゾリジン化合物を10〜1,000ppm、そして不揮発性フレーバー化合物および/またはリアクションフレーバーを10〜1、000ppb使用することを特徴とする請求項23記載の大豆利用食品の風味改善方法。
  25. 請求項18〜24のいずれかの方法により得られたことを特徴とする大豆利用食品。
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