JPS645819Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は陰極線管に装着される偏向ヨーク、特
に高解像度の陰極線管に適用される偏向ヨークに
関する。

近年、テレビジヨン受信機に文字情報が映出さ
れることが企画され、ビデオモニタ、デイスプレ
ーが普及するにつれて高解像度の陰極線管が使用
される傾向にある。これに伴つて偏向ヨークに対
しても高性能のものが要求されている。

所で、偏向ヨークの性能は偏向コア形状及び偏
向コイル形状に左右され、これらの製造上の誤差
をいかに小さくするかにあるが、例えば偏向コイ
ルについて述べると実際は導線分布のバラツキや
内部応力による変形等製造工程で回避出来ないも
のがある。又、陰極線管構造と偏向ヨークの相互
整合性の問題もある。従つて、このような偏向ヨ
ークの偏向磁界では必然的にミスコンバージエン
スが発生することになる。

従来は、偏向ヨークに、磁性片や永久磁石片を
付着させ、或は捕助コイルを巻装し、更には動的
コンバージエンスヨークを装着する等の手段をこ
うじるが、偏向磁界の全体的修正を伴うものでな
いためコンバージエンス残りが生じる場合があつ
た。又、実公昭55−29158号公報のように、鞍型
偏向コイルを２つに分割して構成し、より一層精
密な偏向磁界を発生させるものがあるが、製造工
程で生ずるバラツキによるミスコンバージエンス
は依然として発生するものであつた。

本考案は偏向磁界の形態を修正することによつ
て良好なコンバージエンスが得られる偏向ヨーク
を提供するものである。

以下本考案の実施例を添付図面を参照して詳細
に説明する。第１図は本考案に係る偏向ヨークの
一例を示すもので、水平偏向コイル１，２及び垂
直偏向コイル３，４を共に鞍型コイルに構成して
いる。一対の水平偏向コイル１，２は２分割され
て成型された円錐状のコイルボビン６の内側に配
置されている。このコイルは導線分布の途中で２
つに分けられ内側水平区分巻線１１，２１及び外
側水平区分巻線１２，２２として構成されてお
り、各区巻線には引出線１１ａ，１１ｂ、１２
ａ，１２ｂ，２１ａ，２１ｂ、２２ａ，２２ｂが
設けられている。コイルボビン６の外面には、一
対の垂直偏向コイル３，４が水平偏向コイルと
90゜の位置関係に配置され、その各々は導線分布
の途中で２分割されて内側垂直区分巻線３１，４
１及び外側垂直区分巻線３２，４２として構成さ
れており、各区分巻線からは引出線３１ａ，３１
ｂ、３２ａ，３２ｂ、４１ａ，４１ｂ、４２ａ，
４２ｂが引出されている。尚、５は筒状の偏向コ
アである。

第２図は低インピーダンス構成とした垂直偏向
コイルの結線図を示す。内側水平区分巻線１１，
２１の引出線１１ａ，２１ｂは電流差動制御手
段、例えば差動コイル７の一端７ａに接続され、
外側区分巻線１２，２２の引出線１２ａ，２２ｂ
は差動コイルの他端７ｂに接続されている。区分
巻線１１，２１，１２，２２の引出線１１ｂ，２
１ａ，２１ｂ，２２ａは共通線８に接続されてい
る。差動コイル７は中間タツプ７ｃを持つてお
り、コア７ｄを移動させることにより両側のコイ
ル７１，７２のインピーダンス差動的に変え、区
分巻線１１，２１と区分巻線１２，２２に流れる
電流量を差動的に変化させる。差動コイル７の中
間タツプ７ｃと共通線８は図示しない水平偏向回
路に接続される。

第３図は低インピーダンスとなる垂直偏向コイ
ルの結線図を示す。垂直区分巻線３１，４１の引
出線３１ａ，４１ｂは電流差動制御手段、例えば
可変差動抵抗器９の一端子９ａに接続され、引出
線３１ｂ，４１ａは共通線１０に接続される。
又、垂直区分巻線３２，４２の引出端３２ａ，４
２ｂは差動抵抗器９の他端子９ｂに接続され、引
出線３２ｂ，４２ａは共通線１０に接続される。
差動抵抗器９の可動子９ｃと共通線１０は図示し
ない垂直偏向回路に接続される。従つて、可動子
９ｃを動かすことにより、区分巻線３１，４１と
区分巻線３２，４２に流れる電流量は差動的に変
えられる。

上述の構成の偏向ヨークに於て、差動コイル７
のコア７ｄを移動してコイル７１のインピーダン
スを小さく、コイル７２のインピーダンスを大き
くすると水平区分巻線１１，２１には水平区分巻
線１２，２２より多くの電流が流れるようになる
から水平偏向磁界はバレル傾向となり、逆にコイ
ル７２のインピーダンスを小さくコイル７１を大
きくすると、区分巻線１２，２２には区分巻線１
１，２１より多くの電流が流れるから、水平偏向
磁界は糸巻傾向に変えることが出来る。従つて、
差動コイルを調整することにより、第４図に示す
如く、画面の水平方向Ｘ両端に於ける水平方向ミ
スコンバージエンス量X_Hを零に調整することが
出来る。即ちインライン配列の電子ビームＢ，
Ｇ，Ｒの内の両側に位置する電子ビームＲ，Ｂに
よるラスタが中央の電子ビームＧが描くラスタに
一致するようになる。

次に、可変差動抵抗器９の可動子９ｃを端子９
ａ方向へ移動すると、垂直区分巻線３１，４１に
は垂直区分巻線３２，４２より多くの電流が流
れ、可動子９ｃを逆に移動すると区分巻線３１，
４１に流れる電流量は区分巻線３２，４２より小
さくなる。従つて、水平偏向コイルの場合と同様
に垂直偏向磁界の形態を変えることが出来るの
で、第４図に示す如く、画面の垂直方向Ｙ両端に
於ける水平方向ミスコンバージエンス量Y_Hを零
に調整することが出来る。

上述の実施例では偏向コイルの低インピーダン
ス結線について示したが、第５図及び第６図に示
すように、内側区分巻線１１と２１及び３１と４
１を其れ其れ直列に接続し、同様に外側区分巻線
１２と２２及び３２と４２を直列に接続し、電流
差動制御手段７，９によつて差動電流を流すよう
に構成すると、高インピーダンスのコイル結線と
なる。

又、垂直偏向コイルをトロイダル巻線で構成す
ることが出来、この場合は垂直偏向磁界の形態は
修正し得ずX_Hの調整のみとなる。

尚、上述の結線では内側区分巻線と外側区分巻
線の間に電位差が生じるので、両区分巻線を連続
巻線して構成すると耐圧上問題が生じる。この場
合は内側区分巻線と外側区分巻線を別個に形成
し、実公昭55−29158号公報記載の如き突出縁を
両者の間に設けたコイルボビンを使用する。

第７図は偏向コイル結線の他の実施例を示すも
ので、水平偏向コイルの例について述べている。
内側区分巻線１１，２１と外側区分巻線１２，２
２の隣接部分が等電位となる結線を特徴としてい
る。。区分巻線１１，１２の引出線１１ｂと１２
ａの間に差動コイル７が接続され、区分巻線２
１，２２の引出線２１ｂ，２２ａは共通線８に接
続される。区分巻線１１の引出線１１ａは区分巻
線２１の引出線２１ａに接続され、同様にして引
出線１２ｂは２２ｂに接続されて高インピーダン
スの直列接続となる。この結線ではコイル１，２
の内側区分巻線１１，２１を外側区分巻線１２，
２２に対して逆方向に巻線して発生する偏向磁界
が打消し合うのを防止する。

このような偏向コイルは、先ず巻線機を逆転回
転して内側区分巻線を巻線し、回転停止して中間
タツプを引出し、次に巻線機を正回転して外側区
分巻線を巻線することで得られる。このようにし
て形成された偏向コイルは従来形状同様連続した
導線分布となり、組立や取扱いが容易になると共
に、上記した特殊構造のコイルボビンが不要にな
る利点がある。

本考案は上述の如き構成であるから、水平偏向
磁界と垂直偏向磁界の形態を個別に調整すること
が出来、従つて必然的に発生する偏向コイルに帰
因するミスコンバージエンス、特に偏向コイルの
バラツキによるミスコンバージエンス量X_H，Y_H
を除去することが出来る利点を有する。これによ
り、陰極線管に文字等を映出した場合でも色ずれ
による読みにくさは生じなくなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の偏向ヨークの断面構成図、第
２図は本考案に係る水平偏向コイルの結線図、第
３図は本考案に係る垂直偏向回路の結線図、第４
図はミスコンバージエンスの説明図、第５図乃至
第７図は他の実施例のコイル結線図である。 図中の１，２は水平偏向コイル、３，４は垂直
偏向コイル、５は偏向コア、１１，２１，３１，
４１は内側区分巻線、１２，２２，３２，４２は
外側区分巻線、１１ａ，１１ｂ、１２ａ，１２
ｂ、２１ａ，２１ｂ、２２ａ，２２ｂ、３１ａ，
３２ａ，３２ｂ、４１ａ，４１ｂ、４２ａ，４２
ｂは引出線、７は差動コイル、９は可変差動抵抗
器である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 偏向コアと、該コアの内側に配置された一対の
   鞍型水平偏向コイルと、該コイルが発生する水平
   偏向磁界と直交する垂直偏向磁界を発生する一対
   の垂直偏向コイルを備える偏向ヨークに於て、少
   くとも上記水平偏向コイルは２つに分割されて内
   側区分巻線と外側区分巻線を持つて構成され、各
   区分巻線には其れ其れ引出線が設けられると共
   に、前記対のコイルの内側区分巻線及外側区分巻
   線が其れ其れ直列又は並列に接続され、且つ内側
   区分巻線と外側区分巻線間には両区分巻線に流す
   偏向電流量を差動的に変え得る電流差動制御手段
   を接続して構成したことを特徴とする偏向ヨー
   ク。