JPS645044Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の技術分野］ 本考案は新規なオイルパン構造に係り、特に２
以上の鋼板を互いに樹脂層を介して積層した制振
鋼板によりオイルパン本体を成型し、このオイル
パンの底部に貫通孔を形成してドレン抜き孔を形
成しても接合鋼板間にオイルの侵入を完全に遮断
して制振鋼板の剥離を防止することができるオイ
ルパン構造に関するものである。

［考案の技術的背景とその問題点］ 一般に内燃機関に用いられるオイルパンは一枚
鋼板をプレス加工により成型されるかあるいは一
体的に鋳造されている。このように単一鋼板ある
いは一体鋳造によるオイルパンにあつてはオイル
パンが内燃機関に直接接続されて取り付けられる
ために、内燃機関からの振動が直接伝達され、貯
留されるオイルが激しく揺動したりあるいはオイ
ルパン自体が上記振動によつて振動され騒音が発
生する問題があつた。

そこで、本出願人は従来のオイルパンにおける
問題点を有効に解決すべく、２以上の鋼板を互い
に樹脂層を介して積層した制振鋼板によりオイル
パンを成型することを見出した。このように制振
鋼板によりオイルパン本体を成型加工すると、内
燃機関からの振動が減衰され、振動による騒音の
発生を完全に防止することができる。

ところが、オイルパンにはその底部にドレン抜
き孔を設ける必要があり、従来どおり単にオイル
パンに貫通孔を穿設したのでは貫通孔内周部に露
出される鋼板の接合間隙からその内部にオイルが
侵入して、介設された樹脂層が溶解して接合鋼板
が互いに剥離され、内板と外板とが独自に振動す
るようになり、防音効果が減衰されてしまうと共
に強度低下を招く結果となる。

尚、関連する技術として、実開昭55−158399号
公報が提案されている。

［考案の目的］ 本考案は従来のオイルパンの問題点を有効に解
決すべく創案されたものである。

本考案の目的はオイルパンを制振鋼板によつて
成型することを可能にし、内燃機関からの振動を
減衰させて騒音発生を防止することができると共
にオイルパンによる制振鋼板の剥離を防止するこ
とができ、耐久性のあるオイルパン構造を提供す
るものである。

［考案の概要］ 以上の目的を達成するために本考案に２以上の
鋼板をそれらの間に樹脂層を介設させて積層した
制振鋼板を成型し、この制振鋼板によりオイルパ
ン本体を成型し、該オイルパン本体の底部に貫通
孔を設け、この貫通孔内に外側部が貫通孔の内側
周縁部から内周部に亙つて覆うと共に内側部がド
レンを外部に排出させる排出通路を形成するドレ
ン管を設けると共にこのドレン管と上記貫通孔の
内周部との間にシール剤層を形成して構成された
ものである。

［考案の実施例］ 第１図に示す如く、例えば固有振動数の異なる
２枚の鋼板１，２を重ね合せ、これら重ね合わさ
れた間に樹脂層を介して互いに接合して積層した
制振鋼板３を形成する。

このように形成された制振鋼板３をプレス加工
等により図示する如きオイルパン本体４を成型す
る。オイルパン本体４を制振鋼板３より成型した
後に、底部に所定の内径を有する貫通孔５を穿設
して形成する。この貫通孔５には、オイルパン本
体４内底部よりドレンを排出するためのドレン管
６が挿入される。このドレン管６は第１図に示す
ように、外側部７がオイルパン本体４の底部に設
けられた貫通孔５の入口側乃至内側周縁部８上か
ら内周部９に亙つて覆うと共に内側部１０がオイ
ルパン本体４から外部にドレンを排出させる排出
通路１１を形成するように構成されている。具体
的には第２図及び第３図に示すようにドレン管６
は貫通孔５内に沿つてオイルパン本体４内側から
外側に所定長さ延出された管体１２と、この管体
１２のオイルパン本体内側上端部が径方向外方に
延出されたフランジ部１３とによつて形成されて
いる。

また、管体１２はその外周部１４が貫通孔５の
内周部１５より所定の間隙Ｓを有するように貫通
孔５の内径より外径が小さく設定されている。

フランジ部１３とオイルパン本体４内底部とは
互いにプロジエクシヨン溶接１６により溶着され
て固着され、管体１２が貫通孔５の略中央部に位
置されるように取りつけれる。このフランジ部１
３と制振鋼板３とをプロジエクシヨン溶接するに
際して、貫通孔５が形成される周縁部に予め設け
られた通電スポツト１７を用いてなされる。

次に、管体１２の外周部と貫通孔５の内周部１
５との間隙Ｓにはシール剤層１８が塗布されて形
成される。このシール剤層１８はオイルパン本体
４の外側より凹部に形成された間隙Ｓ内に塗布さ
れて、制振鋼板３の接合部はシール剤層１８とフ
ランジ部１３を含むドレン管６の外側部により完
全に遮断されるべく覆われることになる。

また、上記シール剤層１８はシリコンゴム系の
接着剤が用いられる。このシリコンゴム系の接着
剤は耐熱温度が200℃以上であり、且つ弾性に富
み耐油性にも優れることから十分シール機能を発
揮することができる。特に、オイルパン本体４に
は底部乃至壁面はオイル交換の繰返しにより多少
陥没変形を起すので、これに追従できる弾性力を
有する必要があり、上記シリコン系の接着剤が選
ばれることになる。

上記ドレン管６を構成し、上記貫通孔５から外
側に延出された管体１２の端部にはこれを開閉す
るためのふくろナツト１が着脱自在に螺合され
る。ふくろナツト１９と貫通孔５の出口側乃至外
側周縁部との間にはパツキン２０が介設されるこ
とになる。また、上記シール剤層１８が塗入され
る間隙Ｓは上記パツキン２０の幅の1/2程度に設
定されるのが好ましい。

以上の構成からなる本考案の作用について述べ
る。

オイルパン本体４が制振鋼板３により成型され
ることになり、内燃機関に直接接続されても、内
燃機関からの振動は減衰されオイルパン本体４は
振動せず、騒音の発生を防止することができる。

またオイルパン本体４の底部に形成された貫通
孔５の内周部にシール剤層１８によつて覆われる
と共にドレン管６の外側部がその内側周縁部から
内周部に亙つて覆われることになり、オイルパン
本体４に貯留されたオイルあるいはドレン管６を
ふくろナツト２０により開放してオイルを含むド
レンを外部に抜き出しても貫通孔５の内周部に位
置される鋼板１，２の接合間にオイルが侵入され
ることを完全に防止することができる。従つて、
制振鋼板３の場合間にオイルが侵入しないので、
オイルによる剥離を防止することができ耐久性を
可及的に高めることができる。

尚、第４図に変形実施例を示すものであり、特
にドレン管６のドレン排出通路１１を形成する内
周部にオイルパン本体４の外側から着脱自在に螺
合し、通路１１を開閉するドレンコツクボルト２
１を設けたものである。

また、ドレンコツクボルト２１はそのフランジ
部２２がドレン管６を構成しオイルパン本体４の
外側部に延出された管体１２の端部に係合し、こ
れらの間にパツキン２０が介設されている。

第５図は別の実施例を示すものであり、ドレン
管６を構成する管体１２がオイルパン本体４内に
起立するように延出されている。また、ドレン管
６内には前記実施例同様にオイルパン本体４の外
側部から着脱自在に螺合されるドレンコツクボル
ト２１が設けられている。このドレンコツクボル
ト２１のフランジ部２２は拡径され、貫通孔５の
内周部と管体１２の外周部との間隙Ｓ内に形成さ
れるシール剤層１８を覆うと共に制振鋼板３によ
つて形成される貫通孔５の外側周縁部を覆うよう
に構成されている。

［考案の効果］ 以上要するに本考案によれば、次の如き優れた
効果を発揮する。

(1) オイルパンを制振鋼板によつて成型すること
を可能にし、内燃機関からオイルパンに伝達さ
れる振動を減衰させることができる、騒音の発
生を防止できる。

(2) オイルパンによる制振鋼板の剥離を防止で
き、耐久性を可久的に高めることができる。

(3) 構造が簡単であり、汎用性に富む。

(4) 制振鋼板製のオイルパン本体にドレン管を固
定出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す部分断面斜視
図、第２図は部分拡大側断面図、第３図は本考案
に用いられるドレン管を示す斜視図、第４図は変
形実施例を示す側断面図、第５図は別の変形実施
例を示す側断面図である。 図中、１，２は鋼板、３は制振鋼板、４はオイ
ルパン本体、５は貫通孔、６はドレン管、１１は
排出通路、１８はシール剤層である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 鋼板間に樹脂層を介在させた制振鋼板で成形さ
   れたオイルパン本体の底部に貫通孔を開口し、該
   貫通孔内に上記底部に着座されてその底部に溶接
   される環状フランジを有したドレン管を挿入し、
   ドレン管周りにドレン管と貫通孔内周部との間を
   密閉するシール剤層を形成したことを特徴とする
   オイルパン構造。