JPS644157Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は電子楽器に係り、特に、実際の楽器に
近い音調を得ることができるようにしたものに関
する。

（従来例） 電子楽器は一般に、既存の楽器音、例えばピア
ノの音色等を模した音色が出るように構成されて
いるが、周知の如く楽器音を模した音を発生させ
るためには周期関数たる波形を同一に設定すると
共にそのエンベロープ、即ち、時間軸上における
出力レベルを同一に設定する必要がある。エンベ
ロープは第１図に示すように時間ＴとレベルＬと
を示す平面上に表わすことができ、音の立ち上が
りを示すアタツクＡ、アタツクＡから減衰する状
態を示すデイケイＤ、音の減衰率が比較的緩やか
なサステインＳ、音が消えてゆく状態を示すリリ
ースＲから構成されている。このエンベロープは
楽器により異なつており、管楽器では一般にアタ
ツクＡが緩やかで、その後も一定のレベルを保つ
ことができるためあまり起伏のないグラフとなる
が、ピアノ等の楽器音においてはアタツクＡが突
出しており、その後は緩やかに減衰するグラフと
なる。第２図及び第３図はピアノのエンベロープ
を示すグラフであり、第２図は低音側、第３図は
高音側の特性を示しているが、弦楽器の性質とし
て低音側はアタツクＡからリリースＲまでの時間
が長く、高音側はその時間が短くなる。音程と時
間との関係は１オクターブ高くなる毎に時間が略
１／√２倍となることが知られており、実際には
各鍵毎に減衰時間が異なつている。

しかるに、従来の電子楽器においては、エンベ
ロープが全音域で共通であつたため、低域側で実
物に近い音が得られるようにエンベロープを設定
すると高域側では減衰時間が長過ぎてしまうこと
となり、その逆では低域側の減衰時間が短くなり
過ぎていずれにしても不自然な音調になつてしま
うという欠点があつた。

本考案の目的は、上記した従来のものの欠点を
解消し、実際の楽器に近いエンベロープが得られ
るようにした電子楽器を提供することにある。

（本考案の構成） 本考案の構成は、音源たるクロツク発振器と、
その後段に設けられ任意の音程を選択できるセレ
クタと、その後段に設けられた第１のカウンタ
と、その後段に設けられた楽音形成回路と、該楽
音形成回路の後段に設けられ、楽音のエンベロー
プを設定するためのエンベロープ乗算回路と、該
エンベロープ乗算回路からのデジタル信号をアナ
ログ信号に変換するためのＤ／Ａコンバーター
と、上記セレクタの後段に設けられた第２のカウ
ンタと、該第２のカウンタの後段に設けられ、上
記エンベロープ乗算回路のエンベロープを制御す
べきデータを収容するためのエンベロープメモリ
と、キーボードによつて指定された音程指定信号
に応じて上記第１のカウンタと第２のカウンタと
を同期的に制御するためのコントローラーとを備
えている。

（実施例） 本考案の実施例を第４図及び第５図に基づいて
説明する。図中、１は音源たるクロツク発振器で
あつて、キーボード２の鍵数分の音程を同時に出
力することができるようになつている。３はセレ
クタであつて、上記クロツク発振器１の後段に設
けられ、後に述べるコントローラー４からの信号
に応じて所望の音程の楽音だけを選択的に通過さ
せることができるようになつている。５は上記セ
レクタ３の後段に設けられた第１のカウンタ、６
はその後段に設けられた楽音形成回路、７は楽音
のエンベロープを設定するためのエンベロープ乗
算回路、８はその後段に設けられたＤ／Ａコンバ
ーターである。９は上記セレクタ３の後段に設け
られた第２のカウンタ、１０は上記カウンタ９の
後段に設けられたエンベロープメモリであつて上
記エンベロープ乗算回路７のエンベロープを制御
すべきデータが収容されている。上記コントロー
ラ４はキーボード２によつて指定された音程指定
信号に応じて上記第１のカウンタ５と第２のカウ
ンタ９とを同期的に制御するようになつている。

上記した構成においてその動作例を説明する
に、キーボード２において適当なキーが押される
と楽音形成回路６からはキーに対応した音程の楽
音が出力される。一方、第２のカウンタ９はキー
が押された瞬間カウンタがクリア状態となり、ク
ロツク発振器１から出力されるクロツクのカウン
トを開始する。エンベロープメモリ１０には第２
図に示すようなエンベロープが予め記憶されてお
り、第２のカウンタからのパルスによりアドレス
AD毎のデータDAが読み出されるようになつて
いる。したがつて、その読み出し速度はセレクタ
３から出力されるクロツクの周波数に比例して増
減することとなる。エンベロープ乗算回路７にお
いては楽音形成回路６からの楽音と上記エンベロ
ープメモリ１０からのエンベロープデータとを乗
算し、次段のＤ／Ａコンバーターへ出力する。コ
ントローラ４は第１のカウンタ５と第２のカウン
タ９との同期をとるように動作する。

（考案の効果） 本考案に係る電子楽器によれば、上述した実施
例からも明らかなように、キーボード２が押され
ると、コントローラ４によつて、第１のカウンタ
５および第２のカウンタ９のいずれもがクリアさ
れて、押されたキーボード２に対応して選択され
たクロツク信号が、第１のカウンタ５と第２のカ
ウンタ９へ供給されることにより、一方は楽音を
形成し、他方はアタツクからリリースを決めると
ころのエンベロープを形成するように機能させる
ことができる。

したがつて、キーボード２が押された時点か
ら、楽音形成とエンベロープ形成が同期して、楽
音の音程によりエンベロープの時間も変化するよ
うに動作させることができる。

このように、アタツクからリリースまでの時間
を音程に応じて可変することによつて、より楽音
の音に近い音調を得ることができるという効果が
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は楽器音のエンベロープを説明するため
のグラフ、第２図はピアノの低域側のエンベロー
プを示すグラフ、第３図はピアノの高域側のエン
ベロープを示すゲラフ、第４図及び第５図は本考
案に係る電子楽器の実施例を示し、第４図はブロ
ツク図、第５図はエンベロープメモリに収容され
ているエンベロープを示すグラフである。 １：クロツク発振器、２：キーボード、３：セ
レクタ、４：コントローラ、５：第１のカウン
タ、６：楽音形成回路、７：エンベロープ乗算回
路、８：Ｄ／Ａコンバータ、９：第２のカウン
タ、１０：エンベロープメモリ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 音源たるクロツク発振器と、その後段に設けら
   れ任意の音程を選択できるセレクタと、その後段
   に設けられた第１のカウンタと、その後段に設け
   られた楽音形成回路と、該楽音形成回路の後段に
   設けられ、楽音のエンベロープを設定するための
   エンベロープ乗算回路と、該エンベロープ乗算回
   路からのデジタル信号をアナログ信号に変換する
   ためのＤ／Ａコンバーターと、上記セレクタの後
   段に設けられた第２のカウンタと、該第２のカウ
   ンタの後段に設けられ、上記エンベロープ乗算回
   路のエンベロープを制御すべきデータを収容する
   ためのエンベロープメモリと、キーボードによつ
   て指定された音程指定信号に応じて第１のカウン
   タと第２のカウンタとを同期的に制御するための
   コントローラーとを備えていることを特徴とする
   電子楽器。