JPS64219Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は本縫いミシン、二重環縫いシン偏平
縫いミシンなどの平型ミシンに用いられる押え金
に関する。

メリヤス肌着、水着、ニツト外着などではオー
バーロツクミシンで縫合した布の縁かゞり部をニ
ツト地の伸縮性を損わずに補強し、かつ該部によ
る着衣感を改善して品質を高めるための二本針二
重環縫いミシンや偏平縫いミシンを使用するオー
バーロツクミシンで縫合した布を開いて縁かゞり
部を布側に倒し、或いは倒さないでそのまゝその
上より再度縫着するいわゆる被せ縫いを行うこと
が多い。

二重環縫いミシンや偏平縫いミシンではこのた
め一般に、押え金手前のミシンフレームに縁かゞ
り部を押え金下に案内する案内溝を備えたシーム
ガイドを設け、布を開いた状態にし、かつ裏側の
縁かゞり部を案内溝に通して押え金下に送るよう
にしており、押え金下に送られた縁かゞり部は左
右いづれか一方の側に倒れ、或いは倒れないでそ
のまゝ縫着されるようになつている。縁かゞり部
を倒すか倒さないか、倒す場合どの方向に倒すか
は縫製業者の好みや縫製品の用途或いはニツト地
の種類によつて決められ、それに適合したシーム
ガイドが使用される。すなわち、縫製品の裏面に
おいて縁かゞり部を左倒しとする際には針に対し
て案内溝を右寄りとするシームガイドを、右倒し
とする際には左寄りのシームガイドを、また倒さ
ないで中間に起きた状態で被せ縫いを行う場合に
は針と針の間に案内溝を位置させたシームガイド
が使用される。

以上のように一般には縁かゞり部を倒す方向に
よつてそれに適合した案内溝を有するものが使用
されるが、実開昭57−132665号に示されるよう
に、シームガイドを左右に分割してそれぞれをミ
シンフレームに位置調整可能に止着して案内溝の
位置や更には溝巾を変えられるようにしたものも
ある。

しかしながら、いづれにしても上記のようなシ
ームガイドだけではパイル地等の厚手の布地では
ともかく綿、ジヤージ等の薄手の布地では縁かゞ
り部の倒れる方向が不安定となり、該縁かがり部
や二本針二重環縫いミシン或いは二本針偏平縫い
ミシンによつて形成される縫い目中に収まらない
ではみ出す傾向があり、製品の品質低下をもたら
しがちであつた。

この考案は押え金の布送り込み側の傾斜部前面
に送り方向と直向する方向に取付位置が調整可能
な案内体を設け、被せ縫いを行おうとするときに
はシームガイドの案内溝に対応してその取付位置
を調整したのち布を開いたときに生ずる継ぎ目の
凹部若くは段部を案内体に当てがい、シームガイ
ドと協動して布地を押え金下に案内することによ
り縁かゞり部の向きを安定させ、該部を常に二本
針二重環縫いミシン若くは二本針偏平縫いミシン
によつて形成される縫目中に収まらせるようにし
たものである。

図示するものは本考案による押え金を二本針二
重環縫いミシンに用いた実施例を示すもので、押
え棒１にはその下端に押え金本体２が傾動可能に
取着されており、その両側には補助押え金３が上
下方向に摺動可能に取付けられ、常にはバネ４に
よつて針板５に押付けられるようになつている。
押え金本体２上には送り方向と直交する方向に形
成された長孔６を通して上記本体２に螺着される
止めネジ７により取付板８が位置調整可能に取着
され、取付板８手前側より垂直下方に屈折させた
案内体９を押え金本体２の布送り込み側の傾斜部
１０前面に沿わせ、針板５に向けて伸ばしてい
る。図中１２は押え金手前のミシンフレーム１３
に取付けられるシームガイドで、左右に分割され
てそれぞれが送り方向と直交する方向に位置調整
可能に止着され、両者で形成される案内溝１４の
位置及び巾を調整できるようにしてある。

被せ縫いを行う場合、布地が綿、ジヤージ等の
ように比較的薄く、かつ縁かゞり部を例えば第２
図に示すように右側に倒そうとするときには案内
溝１４が両針１５間の中央より左側に位置するよ
うシームガイド１２の位置決めをする。そして上
記溝１４に縁かゞり部１６を通して布Ｗを開き、
案内体９を縁かゞり部１６を右側に倒すことによ
つて生ずる段部１７に当てがうようにして位置決
めする。以上のようにしてミシンを駆動すると、
図示するように縁かゞり部１６を覆つて二本針二
重環縫い目１８が形成される。縁かゞり部を逆に
左側に倒す時には、上記と逆に案内溝１４が両針
１５間の左側に位置するようにシームガイド１２
の位置決めを行う。そして縁かゞり部１６を溝１
４に通して布Ｗを開き、縁かゞり部１６を左側に
倒すことによつて生ずる段部に案内体９を当てが
う。

布地がパイル地のように比較的厚いときには、
案内溝１４が両針１５間の中央に位置し、かつ縁
かゞり部の厚みに応じた溝巾となるようシームガ
イド１２を調節し取付ける。そして該溝１４に縁
かゞり部２０を通して布Ｗを開き、継ぎ目部分に
生ずる凹部に下端部が当てかわれるよう案内体９
を位置決めする（第３図）。しかしてミシンが駆
動されると、縁かゞり部２０は左右のいづれの向
きにも倒れず、二本針二重環縫い目中に縫い込ま
れていく。

被せ縫いを行わないときにはシームガイドとと
もに案内体が取付板を取着する止めネジを強める
ことによつて押え金本体より取外される。

上記実施例ではシームガイドは左右に分割され
て案内溝の位置及び巾を調整できるようにしてあ
るが、案内溝の位置やその巾の異なる従前の一体
化されたシームガイドを使用してもよい。

本考案の押え金は以上のように構成され、被せ
縫いを行うときには、押え金の手前に設けたシー
ムガイドの案内溝に対応して案内体の取り付け位
置を調整したのち縁かゞり縫いされた布の縁かゞ
り部をシームガイドの案内溝に通して布を開き、
継ぎ目部分に生ずる凹部或いは段部に案内体を当
てがつてシームガイドを協動して布を押え金下に
案内するようになつており、シームガイドの案内
溝の位置や巾を変更したり、案内体の取付位置を
調節することによつて縁かゞり部を左倒し若しく
は右倒し或いは左右のどちら側にも倒さず立てた
状態で被せ縫いを行うことができるばかりでな
く、縁かゞり部の向きが常に安定されて縫い目中
に収まるようになり、縁かゞり部が縫い目中より
はみ出ることによる製品の品質低下が解消され
る。

また被せ縫いを行わないときには簡単に取外し
て単なる偏平縫いを行う事ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る押え金を備えた二本針二
重環縫いミシンの要部斜視図、第２図は比較的薄
手の、第３図は厚手の布地を被せ縫いするときの
状態を示す概略図である。 １……押え棒、２……押え金本体、６……長
孔、７……止めネジ、８……取付板、９……案内
体、１０……傾斜部、１２……シームガイド、１
５……針。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 重ね合わせた布の端を縁かゞり縫いミシンに
   より縫に合わせた後に布Ｗを開いて縁かゞり部
   を布側に倒し或いは倒さないでそのまゝその上
   より再度縫着する被せ縫いに使用されるミシン
   の押え金において、開いた布Ｗの継ぎ目部分に
   生ずる凹部或いは段部に当てがわれ、押え金手
   前に設けたシームガイド１２の縁かゞり部１
   ６，２０を案内する案内溝１４と協動して布を
   押え金下に案内する案内体９を押え金の布送り
   込み側の傾斜部前面に布送り方向と直交する向
   きに位置調節可能に取り付けたミシンの押え
   金。 (2) シームガイドは左右に分割されてそれぞれ送
   り方向と直交する向きに取り付け位置の調整が
   可能である登録請求の範囲第１項記載のミシン
   の押え金。