JPS641549Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はデイスクブレーキの改良特にアウター
側摩擦パツドのガタ止め構造の改良に関するもの
である。

一般にフローテイングキヤリパのデイスクブレ
ーキにおいては、ローターを挾んで対向する一対
の摩擦パツドのうちインナー側のものはキヤリパ
に内蔵したパツド押圧機構によつてローターに押
付け、アウター側のものはその反力にてローター
軸方向に移動するキヤリパの反作部によりロータ
ーに押付ける構成をなしているものであるため、
アウター側摩擦パツドはキヤリパの付属部材とし
てこれと一体的にローター軸方向に前後進移動す
るように構成されることが望ましい。

これはローター方向への前進はブレーキ力の発
生のために背面より押圧力を受けることから当然
であり、また後進は非ブレーキ時における引き摺
り防止のためである。

そこで、このような観点から、ブレーキトルク
をキヤリパを介することなくサポートによつて直
接受圧する型のデイスクブレーキにおいては、例
えばパツドリテーナピンによつて一対の摩擦パツ
ドをローター軸方向に移動案内するように設ける
と共に、このパツドリテーナピンにコイルスプリ
ングを嵌装して摩擦パツドにローターより離れる
方向のバネ力を付勢せしめるなどの工夫がなされ
たものが提供されている。

このような構成によれば、非ブレーキ時におけ
るアウター側摩擦パツドの振動によるパツドリテ
ーナピンの段付摩耗等の弊害は防止されるが、そ
の取着部分はローター縁部となるため、ローター
径、キヤリパの設計上有利とは言い難い面もあつ
た。

また摩擦パツド及びキヤリパの加工を施してこ
れらを締結するバネ力付勢機構を組込むことも考
えられるが、他の型式のデイスクブレーキに対す
る互換性の上で問題もあるし、キヤリパ加工とい
う加工工数を増加させるという難点もあつた。

そこで本考案は、従来の型式のデイスクブレー
キについて殆どその構成を変更することなく、単
に簡易なる形状の保持バネの追加のみにてアウタ
ー側摩擦パツドの安定化を得られるようにしたも
のである。

而してかかる目的を実現する本考案よりなる摩
擦パツドのガタ止め構造は、ローター縁部径外方
を横切るように配置固定されたサポートと、ロー
ター縁部を跨ぐキヤリパと、ローターの一側方に
配置され前記キヤリパ内蔵のパツド押圧機構によ
りローターに押付けられるインナー側摩擦パツド
と、ローター他側方に配置され、かつ移動するキ
ヤリパの反作用部によりローターに押付けられる
アウター側摩擦パツドと、ローター軸方向をなす
ようキヤリパのボス部に組付固定され、かつ少な
くとも前記アウター側摩擦パツドを厚さ方向に挿
通係合して吊持すると共にキヤリパをサポートに
てローター軸方向に移動可能に支持するためのス
ライドピンとを備えたデイスクブレーキにおい
て、前記スライドピンに嵌合してアウター側摩擦
パツドにローター離反方向へのバネ力を付勢する
皿状の保持バネを組付け、前記キヤリパの前記ボ
ス部とアウター側摩擦パツドとの間で前記バネ力
を作用するように配置されている構成をなすとこ
ろにある。

以下本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図は比較例を示し、１はローター（図示せ
ず）縁部を跨ぐように配設固定されたサポートで
あり、このサポート１にはローター軸方向に貫通
した開口２が形成されている。３はローター縁部
を跨ぐように配設されたキヤリパであり、ロータ
ーを挾んだ対向脚部の一方（インナー側）の脚部
４にはパツド押圧機構（油圧シリンダ装置等）を
内蔵し、他方の脚部５は反作用部をなしている。
そしてこのキヤリパ３は次記する滑動支持機構を
介してサポート１によりローター軸方向移動可能
に支持され、パツド押圧機構によるインナー側摩
擦パツド（図示せず）のローターへの押圧と、こ
の反力によるローター軸方向への移動により反作
用部がアウター側摩擦パツド６のローターへの押
圧とによりブレーキ力を得るように設けられてい
る。

７はキヤリパ３の左右側方への延出ボス部８，
９に螺着固定されたスライドピンであり、これが
サポート１の開口２に滑合することによりキヤリ
パ３を移動可能に支持する滑動支持機構を構成し
ている。

尚、図面中の記載においてはスライドピン７と
開口２の滑合部を外気から封止するブーツ、ある
いはスライドピンに外装させるスリーブ等の構成
については本考案と直接関係がないため省略して
いるが、実際上はこれらを適宜必要に応じて組付
けてもよいことは当然である。

そしてこの例は、スライドピン７のアウター側
端部を、キヤリパボス部９より貫通突出せしめる
と共に、この先端に段付小径部１１を形成せし
め、前記スライドピン７の突出部１０によりアウ
ター側摩擦パツド６を吊持してローター軸方向に
移動可能に支持せしめ、更にこのアウター側摩擦
パツド６の裏板前面（ローターに面する面）と、
スライドピン７の小径段付部１２との間で把持バ
ネ力を作用する保持バネ１３を取着せしめたこと
にある。この保持バネ１３は、コ字状をなしてそ
の一方の腕部１４は、スライドピン７の突出部１
０に対して軸方向に移動自由度を持つように該突
出部１０よりも大径の貫通孔又は切欠きを備え、
かつもう一方の腕部１５は、小径部１１よりも大
径の貫通孔又は切欠きを備えるが、突出部１０に
対してはその段付部１２に係合して嵌合できない
ように構成されている。換言すればこの保持バネ
１３はスライドピン７のアウター側先端部におけ
る段付部１２に係止される一方の腕部１５に対
し、他方の腕部１４がスライドピン７の突出部１
０に嵌合した状態でコの字の開放端を拡開するよ
うに弾性変形できる構成をなしているのである。
そしてキヤリパ３の反作用部であるアウター側の
脚部５（所謂キヤリパの爪部）にその背面が係合
するアウター側摩擦パツド６の裏板を、前記のよ
うにスライドピン７に取着された保持バネ１３の
コの字の一対の腕部１４，１５間に位置せしめ、
しかもこの組付けによつて保持バネ１３が自然状
態よりその一対の腕部１４，１５先端を拡開する
よう弾性変形されるように設けることによつて、
組付後アウター側摩擦パツド６は常に保持バネ１
３の弾性復元力にてキヤリパ３のアウター側脚部
５に弾着係合されることになる。

第２図は本考案の実施例を示すものであり、本
実施例においてはスライドピン７の突出部に皿バ
ネ１６を嵌挿させ、これが組付け状態においてキ
ヤリパ３のボス部９側面とアウター側摩擦パツド
６の裏板前面との間で弾性圧縮変形されるように
したものである。換言すれば、キヤリパ３のボス
部９側とアウター側脚部５のパツド係合面とのロ
ーター軸方向についての間隙量から、アウター側
摩擦パツド６の裏板厚みを減じた長さに対し、皿
バネ１６が自然状態において若干大きな高さを備
えるように構成したものである。

尚、本例においては共通部材には第１図と同一
の符号を付してその説明は省略した。

以上のような構成によれば、アウター側摩擦パ
ツドの組付作業は殆ど従来形式のものと変ること
がなく、しかも皿バネはシンプルな構造で大きな
バネ力を作用することができ、部材の一つの追加
によつて該摩擦パツドの安定した振動防止を図る
ことが可能となり、しかもブレーキ型式の変更に
対しても互換性を与えることが容易であるためそ
の実用上の利益は極めて大なるものであつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は比較例におけるデイスクブレーキの一
部平断面図、第２図は本考案の実施例を示す保持
バネの組付け部の拡大平断面図である。 １：サポート、２…開口、３：キヤリパ、４，
５…脚部、６：アウター側摩擦パツド、７：スラ
イドピン、８，９…ボス部、１０…突出部、１１
…小径部、１２…段付部、１３…保持バネ、１
４，１５…腕部、１６…皿バネ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ローター縁部径外方を横切るように配置固定さ
   れたサポートと、ローター縁部を跨ぐキヤリパ
   と、ローターの一側方に配置され前記キヤリパ内
   蔵のパツド押圧機構によりローターに押付けられ
   るインナー側摩擦パツドと、ローター他側方に配
   置され、かつ移動するキヤリパの反作用部により
   ローターに押付けられるアウター側摩擦パツド
   と、ローター軸方向をなすようキヤリパのボス部
   に組付固定され、かつ少なくとも前記アウター側
   摩擦パツドを厚さ方向に挿通係合して吊持すると
   共にキヤリパをサポートにてローター軸方向に移
   動可能に支持するためのスライドピンとを備えた
   デイスクブレーキにおいて、前記スライドピンに
   嵌合してアウター側摩擦パツドにローター離反方
   向へのバネ力を付勢する皿状の保持バネを組付
   け、前記キヤリパの前記ボス部とアウター側摩擦
   パツドとの間で前記バネ力を作用するように配置
   されていることを特徴とするデイスクブレーキの
   摩擦パツドのガタ止め構造。