JPS638979Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、前進段数が５段又は３段の変速機に
おけるシフト機構に関するものである。

一般に、この種の変速機においては、シフトフ
オークシヤフトに、５速又は３速の前進段用のシ
フトフオークとリバースアイドルギヤをシフトす
るリバースシフトレバーとを支持せしめ、該シフ
トフオークシヤフトを往復動させることにより、
前進段またはリバースに選択的に変速し得るよう
にしたシフト機構が採用されている。

ところが、このようなシフト機構では、前進段
シフト時にリバースアイドルギヤがシフトフオー
クシヤフトの移動に伴つてリバースシフト方向と
は反対の前進段シフト方向に移動するため、ミツ
シヨンハウジング内にその移動を許容するための
スペースを設けなければならず、変速機のシフト
方向長さが増大するという問題があつた。

そこで、このような問題を解決するために、リ
バースシフトレバーをミツシヨンハウジングに支
持せしめるとともに、該リバースシフトレバーに
逆Ｌ字形のスロツトを形成し、該スロツトを、シ
フトフオークシヤフトに設けられた突起に係合さ
せ、前進段シフト時には上記スロツトにより上記
突起の移動を許容してリバースシフトレバーを不
動に保つ一方、リバースシフト時にはリバースシ
フトレバーをリバースシフト方向に傾倒させるよ
うにしたもの（特公昭56−2624号公報参照）が提
案されている。

しかし、この提案のものでは、リバースシフト
レバーのミツシヨンハウジングへの支持点がシフ
トフオークシヤフトに対してリバースアイドルギ
ヤとの係合部の反対側にあつて、該支持点から突
起までの距離₁に対する支持点から係合部まで
の距離₂の比₂／₁が大きいため、スロツト
と突起との係合不良によるリバースシフトレバー
のガタつきが係合部では大巾に増幅されて、大き
な騒音が発生するという不具合がある。

本考案はかかる諸点に鑑みてなされたものであ
り、シフトフオークシヤフトに、前進段用のシフ
トフオークとリバースアイドルギヤをシフトする
リバースシフトレバーとを支持せしめ、該リバー
スシフトレバーを、シフトフオークシヤフトへの
支持点から一方側にリバースアイドルギヤと係止
される係合部を形成し、他方側を上記支持点から
反対側に延ばし、該他方側とミツシヨンハウジン
グとのいずれか一方に突起を形成し、他方に該突
起に係合される長孔を形成するようにし、リバー
スシフト時には上記突起を支点としてリバースシ
フトレバーをリバース方向に傾倒させる一方、前
進段シフト時にはリバースシフトレバーを、リバ
ースアイドルギヤとの係合部を支点として前進段
シフト方向に傾倒自在とすることにより、前進段
シフト時におけるリバースアイドルギヤの移動用
スペースを不要にして変速機の小型化を図りつ
つ、リバースシフトレバーのガタつきによる振動
騒音の発生を低減し得るようにした変速機のシフ
ト機構を提供せんとするものである。

以下、本考案を図面に示す実施例に基づいて詳
細に説明する。

第１図および第２図において、１はミツシヨン
ハウジング、２はミツシヨンハウジング１内に軸
方向に摺動自在に配設されたシフトフオークシヤ
フトであつて、該シフトフオークシヤフト２は、
図示していないが車室内に設けたチエンジレバー
に連接され、該チエンジレバーの操作により往復
摺動するものである。上記シフトフオークシヤフ
ト２の一端部（図では右端部）には５速又は３速
用スリーブ３に形成した環状溝４に嵌合するシフ
トフオーク５が嵌着支持され、上記スリーブ３を
シンクロナイザーハブ６上をシフトせしめて５速
又は３速の前進段ギヤ７の小径ギヤ７ａに噛合さ
せることにより前進段ギヤ７が回転するように構
成されている。

また、上記シフトフオークシヤフト２の他端部
（図では左端部）にはリバースアイドルギヤ８を
シフトする略三角板状のリバースシフトレバー９
が固定ピン１０によつて揺動可能に支持されてい
る。該リバースシフトレバー９は、シフトフオー
クシヤフト２への支持点（つまり固定ピン１０）
から一方側（図では上側）に、リバースアイドル
ギヤ８のボス部８ａに形成された環状溝１１に係
止されるピン状の係合部１２が形成され、他方側
（図では下側）に長孔１３が形成されており、該
長孔１３はミツシヨンハウジング１に形成された
ピン状の突起１４に係合されている。また、上記
リバースアイドルギヤ８は、ミツシヨンハウジン
グ１の内壁によつてリバースシフト方向とは反対
の前進段シフト方向への移動が規制されている。
以上によつて、リバースシフト時には突起１４を
支点としてリバースシフトレバー９をリバースシ
フト方向に傾倒させる一方、前進段シフト時には
リバースシフトレバー９を、リバースアイドルギ
ヤ８との係合部１２を支点として前進段シフト方
向に傾倒自在とするように構成されている。尚、
１５はリバースアイドルギヤシヤフト、１６はシ
フトフオークシヤフト２の一端部に形成された３
個の切欠部１７，１７，１７に係合する係合部材
であり、該係合部材１６と切欠部１７との係合に
よつてシフトフオークシヤフトの移動が位置決め
される。

次に上記実施例の作動について説明するに、リ
バースシフト時には、シフトフオークシヤフト２
を第２図の実線で示す位置から右方へ移動させる
と、リバースシフトレバー９が突起１４を中心点
として時計方向に回動して一点鎖線で示す状態ま
で傾倒し、該リバースシフトレバー９の係合部１
２からの押圧力によりリバースアイドルギヤ８が
リバースアイドルギヤシヤフト１５上を右方すな
わちリバースシフト方向にシフトされる。尚、こ
の時、シフトフオークシヤフト２の移動力がシフ
トフオーク５を介して前進段ギヤ用のスリーブ３
に伝達されることにより、該スリーブ３はシンク
ロナイザーハブ６上を右方に移動して前進段ギヤ
７の小径ギヤ７ａとの噛合が解除される。

一方、前進段シフト時には、シフトフオークシ
ヤフト２を左方へ移動させると、その移動力がシ
フトフオーク５を介してスリーブ３に伝達され、
該スリーブ３がシンクロナイザーハブ６上を左方
すなわち前進段シフト方向にシフトして前進段ギ
ヤ７の小径ギヤ７ａに噛合することにより、前進
段ギヤ７が回転する。この時、リバースシフトレ
バー９の長孔１３に係合する突起１４が長孔１３
内を移動するのに対し、リバースアイドルギヤ８
の前進段シフト方向への移動がミツシヨンハウジ
ング１の内壁によつて規制されるため、リバース
シフトレバー９はリバースアイドルギヤ８との係
合部１２を中心点として時計方向に回動して二点
鎖線で示す状態まで傾倒する。

したがつて、このように、シフトフオークシヤ
フト２の往復動によりリバースシフトと前進段シ
フトとを行うに当り、前進段シフト時にはリバー
スシフトレバー９をリバースアイドルギヤ８との
係合部１２を支点として前進段シフト方向に傾倒
させるようにしたので、前進段シフト時における
リバースアイドルギヤ８の移動用スペースが不要
となり、変速機のシヤフト方向長さを短くして小
型化を図ることができる。

しかも、上記リバースシフトレバー９は、その
シフトフオークシヤフト２への支持点が一方側の
リバースアイドルギヤ８との係合部１２の他方側
の長孔１３に係合するミツシヨンハウジング１の
突起１４との間のほぼ中間位置にあつて、該支持
点から突起１４までの距離₁と上記支持点から
係合部１２までの距離₂とがほぼ１：１に対応
してその比₂／₁が小さいため、長孔１３と突
起１４との係合不良によるリバースシフトレバー
９のガタつきが係合部１２において増幅されるこ
とはなく、よつてこのリバースシフトレバー９の
ガタつきによる異常摩耗を防止でき、また振動騒
音の発生を大巾に低減させることができる。

尚、上記実施例では、リバースアイドルギヤ８
の前進段シフト方向への移動を、ミツシヨンハウ
ジング１の内壁によつて規制したが、リング材等
のストツパ部材によつて規制するようにしてもよ
いのは勿論である。また、上記長孔１３と突起１
４との配置関係を逆にして、突起１４をリバース
シフトレバー９の支持点より他方側に、長孔１３
をミツシヨンハウジング１に設けるようにしても
よい。

以上説明したように、本考案によれば、シフト
フオークシヤフトの往復動によりリバースシフト
と前進段シフトとを行うに当り、リバースシフト
時にはリバースシフトレバーをそのシフトフオー
クシヤフトへの支持点から一方側における突起を
支点としてリバースシフト方向に傾倒させる一
方、前進段シフト時にはリバースシフトレバーを
上記支持点から他方側におけるリバースアイドル
ギヤとの係合部を支点として前進段シフト方向に
傾倒させるようにしたものであるので、前進段シ
フト時におけるリバースアイドルギヤの移動用ス
ペースを不要として、変速機の小型化を図ること
ができるとともに、リバースシフトレバーのガタ
つきによる異常摩耗を防止でき、また振動騒音の
大巾な低減化を図ることができるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施態様を例示するもので、第
１図は斜視図、第２図は側面図である。 １……ミツシヨンハウジング、２……シフトフ
オークシヤフト、５……シフトフオーク、８……
リバースアイドルギヤ、９……リバースシフトレ
バー、１２……係合部、１３……長孔、１４……
突起。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シフトフオークシヤフトに、前進段用のシフト
   フオークとリバースアイドルギヤをシフトするリ
   バースシフトレバーとが支持され、該リバースシ
   フトレバーは、シフトフオークシヤフトへの支持
   点から一方側にリバースアイドルギヤと係止する
   係合部が形成され、他方側は上記支持点から反対
   側に延びており、該他方側とミツシヨンハウジン
   グとのいずれか一方には突起が形成され、他方に
   は該突起に係合される長孔が形成されており、リ
   バースシフト時には上記突起を支点としてリバー
   スシフトレバーをリバースシフト方向に傾倒させ
   る一方、前進段シフト時にはリバースシフトレバ
   ーを、リバースアイドルギヤとの係合部を支点と
   して前進段シフト方向に傾倒自在としたことを特
   徴とする変速機のシフト機構。