JPS638680Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、枚葉印刷機における排紙機構に関す
るものであり、特にその排紙機構に吸引装置を用
いたものである。

従来の枚葉印刷機においては、印刷が完了した
印刷紙をチエーンに数個連結されているグリツパ
ーによつて所定の位置まで搬送して紙揃えをして
いるが、印刷スピードが速いために紙積台上に印
刷紙を良好に載置することができず、これがため
にエアーによる吸引装置を装備した吸引車を取付
けて搬送中の印刷紙を吸着させて積載している。
ところが、この方法は片面刷の場合にはよいが、
両面刷の枚葉印刷機においては、裏面の印刷が完
了してから印刷紙を搬送し積載するまでにインキ
が乾燥しないために、吸着時に印刷紙のスピード
と吸引車の外周スピードとのズレによつて、スリ
ツプ現象を起し、良好な印刷物ができず、多くの
欠損印刷物が生じたりして経済的にも問題が生じ
ていた。

本考案は、上記の如き問題点を解消すべく新た
に開発されたものであつて、吸引車を回転させて
エアー吸引穴に印刷紙の咬尻部を吸着せしめる印
刷紙吸引機構と、該吸引車の位置決めおよび左右
への移動を自在ならしめる吸引車移動機構とから
成る枚葉印刷機の排紙機構において、前記吸引車
のほぼ半円周面に少なくとも６個乃至８個位の小
穴を等間隔に穴設して成るエアー吸引穴と、該エ
アー吸引穴の最後尾に印刷紙の咬尻を一定位置ま
で吸着した状態で移動可能にするエアー吸引溝と
から成る吸引車を設け、該吸引車の１回転と印刷
紙の一印刷工程とを同時に回転させ、該各吸引穴
をエアーホースに連着した吸引管を介して常時エ
アーを吸引せしめ、搬送中の印刷紙の咬尻を吸引
車に吸引なさしめることによつて、吸着時のスリ
ツプ現象を防止すると共に、印刷紙を良好に搬送
載置せしめることを目的とした枚葉印刷機に於け
る排紙機構の印刷吸引装置を提供するものであ
る。

以下、図面に従つて本考案の一実施例について
説明する。

第１図は本考案の枚葉印刷機に於ける排紙機構
の印刷紙吸引装置の概要説明図であり、１はその
印刷紙吸引装置である。この印刷紙吸引装置１
は、吸引車軸２に円形の吸引車３を具設すると共
に、エアーホース７に連着した吸引管６を内設し
た吸引車ホルダー８とから成つている。吸引車３
には、数個の吸引穴４ａと、更に吸引溝５を有す
る吸引穴４ｂとが内設してあり、この各吸引穴４
ａ、４ｂは吸引管６により常時エアーを吸引する
ようにしてある。すなわち、固定された吸引管６
より常に一定量のエアーが吸引されているので、
吸引車３の回転によつて、常時各吸引穴４ａ、４
ｂからエアーが吸引されることになる。この吸引
車３の回転は、印刷機構（図示せず）が１回転す
れば（印刷紙に印刷される一印刷工程のこと）、
吸引車３も１回転できるようにしてある。９は吸
引車フレームステであり、ボルト１０にて、吸引
車ホルダー８に固着されている。１１は吸引車軸
２のキーであり、１２はスプロケツトである。な
お、１３は吸引車フレーム、１４は後部紙揃え板
および１５は紙揃え板止めアングルである。次
に、ハ図により本案装置を用いた排紙装置の機構
全体について詳述すれば、まず本案装置の印刷紙
吸引装置は、吸引車移動装置１６の下の方に取付
けてあり、この吸引車移動装置は本案出願人がす
でに開発して出願した枚葉印刷機の排紙機構（特
開昭55−29901号）でもつて示してある吸引車移
動装置と同じものが用いてある。この装置に用い
られている印刷紙吸引機構は、１個の吸引穴から
成るスプロケツト付の吸引車を設け、該吸引車の
回転により常時吸引穴から印刷紙の咬尻部を吸着
せしめるように構成されている。本考案は、この
吸引車の改良装置である。また、印刷紙吸引装置
１の左右移動であるが、ギヤ１８に固着されてい
る吸引車移動軸１７を回動し、吸引車フレーム１
３に固定されているラツク２２を移動する。この
ラツク２２の移動によつて印刷紙吸引装置１全体
を左右自在に移動させることができる。

次に、本案装置の作動、機能等について、第２
図イ，ロから詳述すれば、まず第１図ハ図に示す
ように、印刷紙Ａをグリツパー３２の咬部３３が
咬えてチエーン３０の回動によつて左の方向に引
つぱられて行くと、咬尻３５が本案装置の印刷紙
吸引装置１上を通過する。その通過の状態を更に
拡大したのがイ図である。第２図ロに図示されて
いるように、クリツパー３２が印刷紙Ａの前部の
咬部３３を咬えて吸引車３上を通過して咬尻３５
が吸引車３の真上の位置までくると、第２図イの
ａに図示されている印刷紙Ｂの状態となる。この
状態になると、印刷紙Ｂの後部の咬尻３５は吸引
車３の吸引穴４ｂにより吸引が開始され、一方印
刷紙Ｂの前方の咬部３３はグリツパー３２にその
まま咬えられている。したがつて、印刷紙Ｂはグ
リツパー３２の引つぱり力と吸引穴４ｂの吸引力
によつてピーンと張つた状態となる（第２図ロの
Ｂの状態参照）。ついで、吸引車３が矢印方向に
回転して印刷紙ｂが印刷紙Ｃの状態まで移動する
と、第２図ロに図示されているようにグリツパー
３２から印刷紙Ｃの咬部３３は離れるが、咬尻３
５は第２図イのｂに図示されているように吸引穴
４ｂに吸引されたままの状態になつている（第２
図ロのｃの状態参照）。同様にして、印刷紙Ｃが
印刷紙Ｄの位置まで移動されても咬尻３５はその
まま吸引穴４ｂに吸引されたままである（第２図
ロのｄ図参照）。このようにして、印刷紙Ｂ，Ｃ，
Ｄが吸引穴４ｂに吸引されているのは、吸引穴４
ｂに連設されている吸引溝５からの連続的なエア
ーの吸引によるものである。そして、印刷紙Ｄの
状態から更に吸引車３が矢印方向に回転すると、
第２図イのｄに図示されているように印刷紙Ｄの
咬尻３５は吸引穴４ｂから離れて前部の咬部３３
とほぼ水平状態となつて落下される。そして、第
２図ロに図示されているように、落下された印刷
紙Ｄの前部が紙当３６に当るとほぼ同時に、後部
の方も後部紙揃え部１４に順次落下されて印刷紙
Ａは紙積台３７上に不整いもなくきれいに積み重
ねられることになる。

更に吸引車が矢印方向に回転すると、吸引穴４
ａが上方向に移動して次の印刷紙Ａを吸引すると
共に、次々に印刷紙Ａを吸引して、ＢからＣ、Ｄ
の状態となつて順次印刷紙Ａを紙積台３７とに積
み重ねることができる。このようにして、印刷機
構から送られてきた印刷紙Ａが、常に一定の位置
でもつて各吸引穴４ａ、４ａ、４ａ、……と吸引
穴４ｂによつて吸引され、更に一定の位置までく
ると吸引されない状態になるのは、前述したよう
に印刷機構が１回転すれば（印刷紙に印刷される
一印刷工程のこと）、吸引車３も１回転できるよ
うに構成されているからである。

このことは、第１図ハに示した吸引車駆動機構
のスプロケツト２５が、印刷機構とは別の駆動
（チエーン又はギヤーを使用）モータが使用され
るているので、印刷機構が１回転するとスプロケ
ツト２５も１回転するように構成されており、更
に吸引車軸２に軸着されているスプロケツト１２
とスプロケツト２５とが同径に構成されているの
で、印刷機構が１回転すれば吸引車も１回転する
ことになる。

また、印刷紙搬送用のチエーン３１に取付けら
れているグリツパー３２が等間隔（本実施例では
850mmごと）に連結されており、一方印刷紙Ａの
咬尻３５の搬送間隔も、前記グリツパー３２の間
隔に合わせるように構成（850mmの移動ごとに印
刷紙Ａの咬尻３５が移送される。）されており、
更に吸引車３の方も前記印刷紙Ａの咬尻３５が常
に上方部の一定位置で吸引されるように吸引穴４
ｂと吸引溝５との溝の長さとが構成されていると
共に、該吸引車３の円周（本実施例では、200mm）
と周速（印刷紙Ａの搬送速度よりも減速され、本
実施例では850mm対200mmの割合のスピード差にし
てある。）とが、それぞれ設定されるように構成
されている。なお、この減速は印刷機構によりチ
エーン又はギヤー等を使用して機械的に駆動すれ
ばよい。

更に、この点の具体的な作動について、第２図
イにより詳述する。今、ａ図を図示するようにグ
リツパー３３に咬えられた印刷紙Ｂが吸引車３上
を通過し、咬尻３５が吸引車３の吸引穴４ｂの位
置にくると、吸引管６の吸引エアー（図示せず）
を介して吸引穴４ｂから咬尻３５が吸引されて吸
引穴４ｂに吸着されて同時にグリツパー３３の咬
部３３から印刷紙Ｂが紙放しされる。ついで、吸
引車３はそのまま一定速度で回転しているので、
ｂ図に示されているように印刷紙Ｃの咬尻３５は
吸引穴４ｂに吸着されたまま矢印方向に移動され
る。更に、そのまま移動してＣ図に図示されてい
る状態までくると、吸引溝５からのエアー吸引が
なくなるので、吸引穴４ｂからのエアーは吸引さ
れず印刷紙Ｄの咬尻３５は吸引穴４ｂから放れる
ことになる。そうすれば、ｄ図に図示されるよう
に、印刷紙Ｄはほぼ水平状態で落下して、第２図
ロに図示されているように紙当３６と後部紙揃え
部１４との間に順次積み重ねられることになる。

このように、前記吸引車３に設けられている吸
引穴４ｂは、本考案から成る装置の要部であり、
この吸引穴４ｂの吸着によつて、印刷紙ＡがＢ，
Ｃ，Ｄへと通過して行く際、咬尻３５のブレやズ
レなどによる吸着時のスリツプ現象を完全に防ぐ
ことができると共に、印刷紙Ａをできるだけ水平
の位置でもつて紙積台３７上に落下させることに
よつて、良好な紙揃えを行うことができる。

第３図イ，ロは、従来公知技術による排紙機構
の印刷紙吸引装置を示したものである。本図から
も明らかのように、吸引車３にはその円周全面に
多数の吸引穴４ａが設けてあり、これは吸引車３
を常時回転させることによつて、常に印刷紙Ａの
咬尻３５の突端を丸めるようにして吸着させよう
としたものである。したがつて、印刷紙Ａの搬送
速度と吸引車３の回転速度が異なるために、グリ
ツパー３２から印刷紙Ａを放す際に、印刷紙Ａの
搬送速度よりも吸引車３の外周速度を減速させて
紙揃えをしなければならず、これがために印刷紙
Ａと吸引車３の外周面間にスリツプ現象が生じ
て、表面に印刷された印刷紙面に汚れなどの印刷
障害が起て印刷物の商品価値を低下させている。

本考案は、上記のように構成されているので、
次のような効果を有する。

ア 印刷機構から送られてきた印刷紙の後部が長
く吸引車に吸引されていることによつて、印刷
紙の前部とほぼ水平状態で紙積台上に落下させ
ることができる。その結果、従来よりも良好な
紙揃えができる。

イ 印刷紙の咬尻部をできるだけ長く吸引できる
ように吸引穴が構成されているので、従来生じ
ていた咬尻部分のブレやズレなどによるスリツ
プ現象を完全に防ぐことができる。

ウ 印刷機構の一印刷工程と印刷車の１回転を同
時回転させ、印刷機構から送り込まれる印刷紙
の咬尻部分を順次吸引して紙積台へ落下させる
ように構成されているので、従来のように印刷
スピートと吸引スピートによるズレによつて生
じていたスリツプ現状を完全に防止させること
ができる。

エ 以上のような具体的な効果を有する本装置
は、特に従来から困難、不可能とされていた両
面刷用の枚葉印刷機における裏面印刷において
も良好な紙揃えが得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の枚葉印刷機に於ける排紙機構
の印刷紙の吸引装置の説明概要図であり、イ，ロ
はその要部の拡大図、ハは本装置を用いた排紙機
構全体図、および第２図は本装置の作動、機能等
を表わした一部拡大説明図、ならびに第３図は従
来公知技術による吸引装置の説明概要図である。 １……印刷紙吸引装置、２……吸引車軸、３…
…吸引車、４a.４ｂ……吸引穴、５……吸引溝、
６……吸引管、７……エアーホース、８……吸引
車ホルダー、９……吸引車フレームステ、１０…
…ボルト、１１……キー、１２．２４．２５．２
６．２７．２８．２９……スプロケツト、１３…
…吸引車フレーム、１４……後部紙揃え板、１５
……紙揃え板止めアングル、１６……吸引車移動
装置、１７……吸引車移動軸、１８．１９．２
０．２１……ギヤ、２２．２２′……ラツク、２
３……駆動軸、３０……ラツク案内、３１……チ
エーン、３２……グリツパー、３３……咬部、３
４……チエーンガイドレール、３５……咬尻、３
６……紙当、３７……紙積台。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 吸引車を回転させてエアー吸引穴に印刷紙の咬
   尻部を吸着せしめる印刷紙吸引機構と、該吸引車
   の位置決めおよび左右への移動を自在ならしめる
   吸引車移動機構とから成る枚葉印刷機の排紙機構
   において、前記吸引車のほぼ半円周面に少なくと
   も６個乃至８個位の***を等間隔に穴設して成る
   エアー吸引穴と、該エアー吸引穴の最後尾に印刷
   紙の咬尻を一定位置まで吸着した状態で移動可能
   にするエアー吸引溝とから成る吸引車を設け、該
   吸引車の１回転と印刷紙の一印刷工程とを同時に
   回転ならしめて成ることを特徴とする枚葉印刷機
   に於ける排紙機構の印刷紙吸引装置。