JPS6344226Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、ホツトワイヤ式アーク溶接トー
チ、特にワイヤを内部に通して送給するワイヤガ
イドの改良に関するものである。

ワイヤに電流を流し、そのI²R発熱によりワイ
ヤを加熱してアーク部へ送給しながら溶接を行う
いわゆるホツトワイヤ方式の非消耗電極式アーク
溶接法は、既に特公昭40−19731号公報に開示さ
れている。、この方法によると、ワイヤを加熱し
ないで送給する場合に比べて溶着量を大巾に増加
できるものの、アーク発生用トーチと、ワイヤ加
熱用トーチとの２本の比較的大型なトーチが必要
な為、手溶接には適さないものであつた。即ち、
手溶接を可能とする為には、上記２本のトーチを
一体化すると共に、実用可能な程度にまで小型化
する必要があつた。

この小型化の為には、ワイヤ加熱トーチ部を、
TIGトーチに平行状態で固定し、その先端だけを
TIGトーチ側に傾斜させる構造が良く、第１図に
示す様な従来装置が提供されていた。

図において、１はTIGトーチであり、その軸心
に一致させてタングステン製電極２を保持してい
る。３はシールドノズルで、アーク６及び溶融池
２３をシールドガス７によりシールドするもので
ある。４はホルダーで、ワイヤ加熱トーチ部を
TIGトーチ１に固定させるものである。９は、そ
の中をスライド片８が上下に移動する円筒状のス
ライドベースであり、上記ホルダー４に固着され
ている。１２は調整ナツトで、スライドベース９
の切り込み部に位置し、スライド片８の上部に切
られたオネジに螺合している。従つてこの調整ナ
ツト１２を回転させると、調整ナツト１２は上下
動せず、スライド片８のみが上下することにな
る。また、この時スライド片８には回転防止用の
ガイド溝が切つてあり、このガイド溝には、スラ
イドベース９に取付けたツマミ１１が係合してい
る。スライド片８下部には、その延長線が電極２
に向かう様に、ガイドカバー１６が螺合してい
る。このガイドカバー１６の内部には、絶縁ガイ
ド１５が挿入されており、同様にスライド片８内
部にも、絶縁スペーサ１０が挿入されている。こ
れら絶縁ガイド１５及び絶縁スペーサ１０には、
ワイヤ５を電気絶縁的にアーク６部に送給するワ
イヤ径に見合つた小径の孔を設ける。１８は給電
金具で、その中心にはコンジツトケーブル２０が
装着されている。１７は銅線で、その一端は給電
金具１８にロウ付され、他端はワイヤ加熱電源２
１に接続されている。また、給電金具１８には絶
縁性を有する袋ナツト１４を介して、給電チツプ
１３を螺合させる。この袋ナツト１４は、スライ
ド片８に螺合させることによつて、給電チツプ１
３及び給電金具１８を電気絶縁的に取付けてい
る。１９は給電金具１８の絶縁チユーブである。
なお、図中２２は溶接のための母材であり、６は
母材２２と電極２間に発生するアークであり、２
３はそのアーク熱により形成される溶融池であ
る。

次に、この従来装置の操作及び動作を説明す
る。まず、スライド片８に螺合させた調整ナツト
１２を回転させて、スライド片８を上下動させ、
ワイヤ５の先端と電極２の先端との位置関係を適
正値に調整する。その後、ワイヤ送給装置（図示
せず）から、コンジツトケーブル２０に送給され
たワイヤ５が、給電チツプ１３を通り、絶縁スペ
ーサ１０及び絶縁ガイド１５に案内され、溶融池
２３に送られる。

一方、ワイヤ加熱電流は、ワイヤ加熱電源２１
から銅線１７、給電金具１８を経て、給電チツプ
１３に供給され、この給電チツプ１３で、ワイヤ
５に給電される。ワイヤ加熱電流は全てワイヤ５
が絶縁スペーサ１０及び絶縁ガイド１５により絶
縁されているので、ワイヤ５を通り、溶融池２
３、母材２２を経てワイヤ加熱電源２１に流れる
ものである。この時、ワイヤ５は給電チツプ１３
下端から溶融池２３までの抵抗と、この間を流れ
る電流とにより、融点近くまで抵抗加熱され、ア
ーク６による加熱及び溶融池２３の保有熱によ
り、容易に溶融して母材２２に溶着していく。

以上のように構成された従来の装置では、ワイ
ヤ送給装置から送給されるワイヤ５の曲りぐせに
より、絶縁ガイド１５と溶融池２３間において、
第２図の様にL₂だけワイヤ振れが発生し、溶接
に悪影響を及ぼすことがある。例えばワイヤ５が
適正位置よりアーク６側に挿入されれば、アーク
熱によりワイヤ５先端が燃え上がり、玉になつて
落下する。又、逆に反対側であれば溶融池２３よ
り外れてワイヤ５が母材に突込んで融合不良を発
生する。このため、ワイヤ５の振れを少しでも軽
減するため、ガイドカバー１６をよりアーク６近
辺に近づけるのであるが、アーク６の輻射熱によ
りガイドカバー１６の先端部が溶け落ちたりして
L₁は通常15〜20mmに限定される。第３図は第２
図におけるL₁とL₂の関係、すなわち絶縁ガイド
１５先端部から母材２２におけるワイヤの曲りぐ
せによる振れを測定したものである（アークは出
さない状態）。

従来のホツトワイヤ式アーク溶接トーチのワイ
ヤガイドは、以上のように構成されているので、
ワイヤの曲りぐせによるワイヤ振れが発生するた
め、溶融池に挿入される位置が変動し、溶接ビー
ドの楕行や融合不良等の溶接欠陥を引き起こす等
の欠点があつた。

この考案は、上記のような従来のものの欠点を
除去するためになされたもので、ガイドカバーの
先端部より、絶縁ガイドを突出させることによ
り、絶縁ガイド先端部と溶融池の距離を短くし、
極力ワイヤ振れを少なくすることができるホツト
ワイヤ式アーク溶接トーチを提供することを目的
としている。

以下、この考案の一実施例を第４図にしたがつ
て説明する。絶縁ガイド２４以外は従来のものと
同一であるので、その説明を省略する。

スライド片８下部には、その延長線が電極に向
う様にガイドカバー１６が螺合している。このガ
イドカバー１６の内部には絶縁ガイド２４が挿入
されており、ワイヤ５を電気絶縁している。絶縁
ガイド２４の先端部は、ガイドカバー１６より突
出させ、ワイヤ５をより溶融池に近い位置までガ
イドする。また、絶縁ガイド外周部に、径の小な
る箇所を設け、ガイドカバー１６先端の内径段付
部と係合させることにより、絶縁ガイド２４の下
方向への落下を防止する。

なお、絶縁ガイド２４はその先端部がアーク６
及び溶融池２３により近くなり、その幅射熱によ
るヒートシヨツク等による損傷を防ぐため多孔質
アルミナ系セラミツク材料で成形されている。

なお、上記実施例では、絶縁ガイド２４の材質
を多孔質アルミナ系セラミツクで説明したが、溶
接電流が低く幅射熱が弱い場合には、ち密質アル
ミナ系セラミツク材料で成形するようにしても上
記実施例と同様の効果を奏する。

以上のようにこの考案によれば、絶縁ガイドを
ガイドカバーから突出させ、絶縁ガイド先端部
と、溶融池間の距離を極力短くする様に構成した
ので、ワイヤ振れによるビードの楕行及び融合不
良等の溶接欠陥を防止できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のホツトワイヤ式アーク溶接トー
チを示す断面正面図、第２図は従来のホツトワイ
ヤ式アーク溶接トーチのワイヤガイド部詳細図、
第３図は絶縁ガイドと溶融池間のワイヤの振れを
示す曲線図、第４図はこの考案の一実施例による
ホツトワイヤ式アーク溶接トーチを示す断面正面
図である。 １……TIGトーチ、２……電極、５……ワイ
ヤ、６……アーク、８……スライド片、１６……
ガイドカバー、２１……ワイヤ加熱電源、２２…
…母材、２３……溶融池、２４……絶縁ガイド。
なお、図中同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 先端部に電極を有するTIGトーチと、この
   TIGトーチと平行に配設されたワイヤ加熱トー
   チと、このワイヤ加熱トーチの先端部に上記電
   極に向けて傾斜し、着脱自在に装着された円筒
   状のガイドバーと、耐熱材料から成りワイヤを
   貫通させる孔を有し、上記ガイドバーの内部に
   収納固定された絶縁ガイドとを備え、上記電極
   と母材との間に発生されるアークによつて、母
   材上に作られる溶融池に上記絶縁ガイド内を貫
   通したワイヤを案内するホツトワイヤ式アーク
   溶接トーチにおいて、上記絶縁ガイドの先端部
   を上記ガイドカバーの先端部より突出させて、
   この絶縁ガイドにより上記ワイヤをより溶融池
   の近くまで案内するようにしたことを特徴とす
   るホツトワイヤ式アーク溶接トーチ。 (2) 上記絶縁ガイドは多孔質アルミナ系セラミツ
   ク材料にて成形されたものであることを特徴と
   する実用新案登録請求の範囲第１項記載のホツ
   トワイヤ式アーク溶接トーチ。