JPS6232695Y2

JPS6232695Y2 -

Info

Publication number: JPS6232695Y2
Application number: JP1982001111U
Authority: JP
Priority date: 1982-01-08
Filing date: 1982-01-08
Publication date: 1987-08-21
Also published as: JPS58107274U; US4493971A

Description

【考案の詳細な説明】この考案は、ホツトワイヤー式アーク溶接トー
チの改良に関するものである。

ワイヤに電流を流し、そのI²R発熱によりワイ
ヤを加熱してアーク部へ送給しながら溶接を行な
う、いわゆるホツトワイヤ方式の非消耗電極式ア
ーク溶接法は、既に特公昭40−19731号公報に開
示されている。この方法によると、ワイヤを加熱
しないで送給する場合に比べて溶着量を大巾に増
加できるものの、アーク発生用トーチと、ワイヤ
加熱用トーチとの２本の比較的大型なトーチが必
要な為、手溶接には適さないものであつた。即
ち、手溶接を可能とするためには、上記２本のト
ーチを一体化すると共に、実用可能な程度にまで
小型化する必要があつた。この小型化のために
は、ワイヤ加熱トーチ部をTIGトーチに平行状態
で固定し、その先端だけをTIGトーチ側に傾斜さ
せる構造が良く、第１図、第２図に示す様な従来
装置が提供されていた。

図において、１はTIGトーチであり、その軸心
に一致させてタングステン製電極２を保持してい
る。３はシールドノズルで、アーク６及び溶融池
２８をシールドガス７によりシールドするもので
ある。４はホルダーで、ワイヤ加熱トーチ部を
TIGトーチ１に固定させるためのものである。９
はその中をスライド片８が上下に移動する円筒状
のスライドスベースであり、上記ホルダー４に固
着されている。１２は調整ナツトで、スライドス
ベース９の切り込み部に位置し、スライド片８の
上部に切られた大ネジに螺合している。従つてこ
の調整ナツト１２を回転させると、調整ナツト１
２は上下動せずスライド片８のみが上下すること
となる。又、この時、スライド片８には、回転防
止用のガイド溝が切つてあり、このガイド溝に
は、スライドベース９に取付けたツマミ１１が係
合している。スライド片８下部には、その延長線
が電極２に向かう様に、ガイド２７が螺合してい
る。このガイド２７の内部には、絶縁ガイド２６
が挿入されており、同様にスライド片８内部にも
絶縁管１０が挿入されている。これら絶縁ガイド
２６及び絶縁管１０には、ワイヤ５を電気絶縁的
にアーク６部に送給するワイヤ径に見合つた小径
の孔を設ける。１８は給電金具で、その中心には
コンジツトケーブル２０が装着されている。１７
は銅線で、その一端は給電金具１８にロウ付さ
れ，他端はワイヤ加熱電源２１に接続されてい
る。又、給電金具１８には、絶縁性を有する袋ナ
ツト１４を介して給電チツプ１３を螺合させる。
この袋ナツト１４はスライド片８に螺合させるこ
とによつて、給電チツプ１３及び給電金具１８を
電気絶縁的に取付けている。なお、１９は給電金
具１８の絶縁チユーブである。

なお図中２２は溶接のための母材であり、６は
母材２２と電極２との間に発生するアークであり
２８はそのアーク熱により形成される溶融池であ
る。

次に、この従来装置の操作及び動作を説明す
る。

まず、スライド片８に螺合させた調整ナツト１
２を回転させて、スライド片８を上下動させ、ワ
イヤ５の先端と電極２の先端との位置関係を適正
値に調整する。その後、ワイヤ送給装置（図示せ
ず）からコンジツトケーブル２０に送給されたワ
イヤ５が、給電チツプ１３を通り、絶縁管１０及
び絶縁ガイド穴２６に案内され、溶融池２８に送
られる。一方、ワイヤ加熱電流は、ワイヤ加熱電
源２１から、銅線１７、給電金具１８を経て、給
電チツプ１３に供給され、この給電チツプ１３下
端でワイヤ５に給電される。ワイヤ加熱電流は、
全てワイヤ５が絶縁管１０及び絶縁ガイド２６に
より絶縁されているので、ワイヤ５を通り、溶融
池２８，母材２２を経て、ワイヤ加熱電源２１に
流れるものである。この時、ワイヤ５は、給電チ
ツプ１３下端から溶融池２８までの抵抗と、この
間を流れる電流とにより、融点近くまで抵抗加熱
され、アーク６による加熱及び溶融池２８の保有
熱により容易に溶融して母材２２に溶着してい
く。この様にワイヤ５先端が、融点近くまで加熱
されるので、絶縁管１０及び絶縁ガイド２６はセ
ラミツクスの様な耐熱性及び絶縁性を有する材料
が必要とされる。

加熱状態のワイヤ５が、絶縁管１０のワイヤ案
内用穴を通過するとき、ワイヤ５は絶縁管の
“Ａ”部に接触しつつ絶縁ガイド２６のワイヤ案
内穴に送給されるが、ワイヤ５は、“Ａ”部に接
触するとその反力により、絶縁管１０のワイヤ挿
入角θの角度を有する傾斜穴になじむのではな
く、“Ｂ”部に再び接触し、絶縁ガイド２６に送
給される。尚加熱状態のワイヤ５とセラミツクス
等絶縁物から成る絶縁管１０の摩擦係数は、ワイ
ヤ５が加熱状態にない時と比較して、数倍にもな
る。

従来のホツトワイヤー式アーク溶接トーチは以
上のように構成されているので、ワイヤ案内通路
の屈折部において、加熱状態のワイヤは急激に曲
げられ、送給抵抗が高くなり、送給不安定にな
る。また、ワイヤ案内通路“ｄ”の径を大きくす
れば、ワイヤ送給抵抗は低くなるが、“Ａ”から
“Ｂ”の通路において必ず２点以上の接触点を持
つため、ワイヤ“ｄ”の径が大きくなつた割合だ
け内部でだ行しやすくなり、しいては送給不安定
になるなどの欠点があつた。

この考案は、上記のような従来ものの欠点を除
去するためになされたもので、屈折部のワイヤ案
内通路をワイヤの曲率半径に見合つたガイドを具
備したホツトワイヤー式アーク溶接トーチを提供
することを目的としている。以下、この考案の一
実施例を図について説明する。第３図，第４図に
おいて、スライド片８内部に配設した絶縁カラー
２９、絶縁スペーサ３０以外は従来装置と同一で
あるので説明を省略する。２９はその内部に給電
チツプ１３を具備する孔と、ワイヤ径に見合つた
小径の孔を設けたセラミツクスの様な、耐熱性及
び絶縁性を有する材料から成る絶縁カラーであ
る。３０は絶縁カラー２９と同一性質の材料から
成る絶縁スペーサで、絶縁カラー２９と、絶縁ガ
イド２６間のワイヤ５の案内をなし、TIGトーチ
１に対し“θ”だけワイヤ５の挿入角度を与える
ものである。

次いで、絶縁スペーサ３０の作用について説明
する。TIGトーチ１に対し、ワイヤ５を挿入角度
θを保持して溶融池２８に供給するため、給電チ
ツプ１３に対し、絶縁ガイド２６及びガイド２７
はθ゜傾斜させて、スライド片８に配設する。従
つて、ワイヤ５は、絶縁カラー２９下端面より絶
縁ガイド２６の間、すなわち、絶縁スペーサ３０
によりθ゜曲げて供給される。絶縁スペーサ３０
は、その内部に直径が“ｄ”、直線部の長さ
“１”の穴を絶縁カラー２９に対し、θ／２だけ
傾斜させた穴を有する。また、その穴の入口部と
出口部は“ｄ”より大なる径でテーパ状にし、ワ
イヤ５の接触部を極力小さくする。したがつて、
給電チツプ１３を通過したワイヤ５は絶縁スペー
サ３０の“Ｃ”面に接触しつつ、半径“Ｒ”で
θ／２矯正され、さらに、その半径“Ｒ”を保ち
つつ絶縁ガイド２６に案内される時にθ／２矯正
され、最終的にワイヤ５挿入角度θを保ち、溶融
池２８に案内される。

図中“ｄ”はワイヤ５径の1.5〜2.5d、“１”は
０〜５mm程度とすることが望ましい。

また上記実施例では、絶縁スペーサ３０の内部
の穴に直線部“１”を設けたが、第５図に示すよ
うに、直線部“１”＝０とし、入口側と出口側か
らのテーパ部の交点を半径“ｒ”で結んだ形状の
ものでもよい。

以上のように、この考案によれば、ホツトワイ
ヤー式アーク溶接トーチのワイヤ案内部分の特に
ワイヤの接触抵抗の大きくなる屈曲部に、ワイヤ
案内通路に連通する入口側および出口側とテーパ
状の逃し穴部を有し、上記入口および出口のテー
パ状の逃し穴部に挟まれたワイヤ案内通路の径
が、実質的にワイヤ径の1.5倍〜2.5倍で、かつ長
さが０〜５mmの絶縁スペーサを設けるとともに、
TIG溶接トーチのノズルに対する上記絶縁スペー
サのワイヤ挿入角度θに対し、上記絶縁スペーサ
の入口側および出口側のワイヤ案内通路をθ／２
傾斜させることによりワイヤとの接触部を短かく
するとともに、ワイヤの接触抵抗を極力小さくし
たので、加熱状態のワイヤを安定して溶接部に供
給できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のホツトワイヤー式アーク溶接ト
ーチを示す断面図、第２図は第１図のワイヤガイ
ド部分の詳細断面図、第３図はこの考案の一実施
例によるホツトワイヤー式アーク溶接トーチを示
す断面図、第４図は第３図のワイヤガイド部分の
詳細断面図、第５図はこの考案の他の実施例を示
す絶縁スペーサ断面図である。１……TIGトーチ、２……電極、３……ノズ
ル、４……ホルダー、５……ワイヤ、６……アー
ク、７……シールドガス、８……スライド片、９
……スライドベース、１０……絶縁管、１１……
ツマミ、１２……調整ナツト、１３……給電チツ
プ、１４……袋ナツト、１７……銅線、１８……
給電金具、１９……絶縁チユーブ、２０……コン
ジツトケーブル、２１……ワイヤ加熱電源、２２
……母材、２６……絶縁ガイド、２７……ガイ
ド、２８……溶融池、２９……絶縁カラー、３０
……絶縁スペーサ。なお、図中、同一符号は同
一、又は相当部分を示す。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

ワイヤ加熱トーチをTIG溶接トーチに対して平
行に配置するとともに、上記２本のトーチを一体
化し、かつワイヤ加熱トーチの先端部を上記TIG
溶接トーチ側に傾斜させて構成し、上記ワイヤ加
熱トーチ内部には、TIG溶接トーチに対して平行
に配設した給電チツプおよび絶縁カラーと、上記
平行部からTIG溶接トーチ側へ傾斜する屈折部分
に位置する絶縁スペーサと、上記絶縁スペーサに
続く傾針した絶縁ガイドとを有し、上記給電チツ
プ，絶縁カラー，絶縁スペーサおよび絶縁ガイド
には、それぞれ互いに連通するワイヤ案内通路を
設けてなるホツトワイヤー式アーク溶接トーチに
おいて、上記絶縁スペーサの上記ワイヤ案内通路
に連通するガイド穴は、入口側および出口側にテ
ーパ状の逃し穴部を有するとともに、上記入口お
よび出口のテーパ状の逃し穴部にて挾まれたワイ
ヤ案内通路の径が実質的にワイヤ径の1.5〜2.5倍
で、かつ長さが０〜５mmとなるよう設定し、かつ
上記TIG溶接トーチのノズルに対する上記絶縁ス
ペーサのワイヤ挿入角度θに対し、上記絶縁スペ
ーサの入口側および出口側のワイヤ案内通路を
θ／２傾斜させたことを特徴とするホツトワイヤ
ー式アーク溶接トーチ。