JPS6342669Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、ステアリングホイールの中心部に装
着された各種取付部材を、非回転状態に維持する
ための機構を備えたステアリング装置の保護構造
に関する。

従来技術 近年の自動車には、オーデイオセツトやドライ
ブコンピユータ（燃料消費率等を算出するもの）
等が組み込まれるようになつてきており、従来か
ら多数の計器類が設けられたインストルメントパ
ネルは一層集中化が進み、レイアウトが複雑化し
ている。このため従来のホーンスイツチのみが設
けられていたステアリングホイールの中心パツド
部に、各種器機のキースイツチ等を配列して、そ
の操作性やレイアウトを向上せしめることが提案
されており、この場合前記中心パツド部を回転さ
せないように構成する必要がある。

このようにステアリングホイールの中心パツド
部を回転させないように構成したものとしては、
第１図に示すようなものが既に提案されている
（特願昭57−217511号）。

すなわちステアリングシヤフト１が挿通された
ステアリングコラム２の端部には、小径部３ａと
大径部３ｂとからなる筒状部材３が小径部３ａに
て、ねじ４によつて固着されており、前記大径部
３ｂの内周には環状の段部５ｂが形成されている
とともに、この環状の段部５ｂに隣接して同じく
大径部３ｂの内周奥部には、環状の段部５ｂより
も一段中心に向かつて高くなつた内歯車６ｂが形
成されている。また前記ステアリングシヤフト１
の端部には、ステアリングホイール７のスポーク
８と一体となつた取付ボス部９が固着され、この
取付ボス部９にリングギア１０がステアリングシ
ヤフト１に対し、相対回転自在に装着されてい
る。そしてリングギア１０の縁部には、前記環状
の段部５ｂと同一径の段部５ａが相対向して形成
されているとともに、このリングギア１０の内周
にも段部５ａと隣接して、これより一段中心に向
つて高くなつた内歯車６ａが前記内歯車６ｂと同
一径かつ同一歯数に形成されている。また前記取
付ボス部９には両端に遊星ギヤ１１ａ，１１ｂが
固着された軸１２が取り付けられており、この遊
星ギヤ１１ａ，１１ｂは前記内歯車６ａ，６ｂに
噛合されている。さらに、この遊星ギヤ１１ａ，
１１ｂに対して、ステアリングシヤフト１を挾ん
で対称的位置の取付ボス部９には、ブラケツト１
３が固着されており、該ブラケツト１３には板ば
ね１４によつて軸１５ａ，１５ｂを押圧支持され
たローラ１６が、その周面を段部５ａ，５ｂに押
し付けて転動するように取り付けられている。

一方前記リングギヤ１０の前面には、スイツチ
ボタン１７，１８，１９を有する電気ユニツト２
０が固着されており、該電気ユニツト２０にはパ
ツド２１が前記スイツチボタン１７，１８，１９
を突出させて、固着されている。又リングギヤ１
０の周部にはホイールカバー２２が、他方ステア
リングコラム２及び筒状部材３の周部にはシエル
カバー２３が、相対向する端部間にステアリング
ホイール７の回転操作時にスポーク８が移動する
間隙Ｓを設けて装着されている。

しかしてステアリングホイール７を回転操作す
ると、遊星ギヤ１１ａ，１１ｂは内歯車６ａ，６
ｂと噛合しながら、又ローラ１６は段部５ａ，５
ｂに圧接しつつ転動し、又スポーク８は前記間隙
Ｓ内を回転移動する。このとき遊星ギヤ１１ａと
１１ｂとの歯数及び内歯車６ａ，６ｂとの歯数が
それぞれ同一であるため、ステアリングホイール
７を回転させてもリングギヤ１０及びこれに取り
付けられている電気ユニツト２０、パツド２１等
は回転されず、これらの部材を非回転状態に維持
することができ、よつてスイツチボタン１７，１
８，１９を同位置に維持してその操作を容易にす
ることができるのである。

しかしながらかかる構造のステアリング装置に
あつては、前記ホイールカバー２２、シエルカバ
ー２３を装着することによつて、遊星ギヤ１１
ａ，１１ｂローラ１６等により構成される非回転
機構に対する一応の保護はなされるものの、この
両部材の対向縁部間には前述のように、スポーク
１０が回転移動するための間隙Ｓを設けざるを得
ないことから、該間隙Ｓから内部に異物が侵入
し、この異物が遊星ギヤ１１ａ，１１ｂと内歯車
６ａ，６ｂ間に介在した場合には、遊星ギヤ１１
ａ，１１ｂの自転及び公転が阻害されて非回転機
構の正常な作動が妨げられ、又異物がローラ１６
と段部５５ａ又は５ｂ間に介在しあるいは付着し
てしまつた場合には、該ローラ１６が斜状に変位
し、段部５ａと５ｂとの圧接力に差が生じ、該段
部５ａ，５ｂへの均等な圧接力による非回転機構
のガタツキ防止機能が低下し、非回転状態を維持
すべきパツド２１等に、わずかながら回転が生じ
てしまい、外観品質を低下させてしまうという問
題が生ずるおそれがある。

考案の目的 本考案は非回転機構を有するステアリング装置
のかかる現状に鑑みてなされたものであり、該非
回転機構内への異物の侵入を防止することによつ
て、該異物の侵入に起因する非回転機構の不具合
の発生を防止して、保守性能及び品質感を向上さ
せることができるステアリング装置の保護構造を
提供することを目的とするものである。

考案の構成 前記目的を達成するために本考案にあつては、
ステアリングホイールが取り付けられたステアリ
ングシヤフトの先端部位に、該シヤフトに対して
相対回転自在にスイツチ類を取付ける取付部材を
装着し、該取付部材とこれに対向するステアリン
グコラム側端部間に、この取付部材をステアリン
グシヤフトに対して相対回転させて非回転状態に
維持する非回転機構が設けられたステアリング装
置において、該非回転機構の周部には、外部から
該機構内部への異物の侵入を阻止するための遮蔽
部材を設けてある。

実施例 以下本考案の構成について図面に示した一実施
例に基づいて説明する。なお前記従来例と同一部
分、同一部分については同一符号を付して重複し
た説明は省略する。

第２図に示したように、本実施例に係る遮蔽部
材は、前記取付けボス部９の筒状部材３対向面側
に取り付けられたシエルカバー側遮蔽リング２４
と、リングギヤ１０対向面側に取り付けられたホ
イールカバー側遮蔽リング２５とで構成されてお
り、前記シエルカバー側遮蔽リング２４にあつて
は、第３，４図に示したように、前記シエルカバ
ー２３の端縁開口径より小径の環状であつて所要
の幅を有する遮蔽部２４ａと、該遮蔽部２４ａの
端部に一体的に設けられた中心方向に屈曲されて
なる複数の取付部２４ｂ……と、該取付部２４ｂ
に設けられビス３０が挿通されるビス孔２４ｃと
から構成されており、第２図に示したように遮蔽
部２４ａをシエルカバー２３の開口縁内側に位置
させて、前記取付部２４ｂにてボス部９に固定さ
れている。又前記ホイールカバー側遮蔽リング２
５は、第５，６図に示したようにホイールカバー
２２の端縁開口径より小径の環状であつて、所要
の幅を有する遮蔽部２５ａと該遮蔽部２５ａの端
部に一体的に設けられ中心方向に屈曲されてなる
複数の取付部２５ｂ……と、該取付部２５ｂに設
けられたビス孔２５ｃとから構成されており、前
記第２図に示したように遮蔽部２５ａをホイール
カバー２２の開口縁内側に位置させて、前記取付
部２４ｂにてボス部９に固定されている。

一方電気ユニツト２０には同図に示したよう
に、発光部２６ａを有する制御回路２６が設けら
れており、該発光部２６ａは前記両遮蔽リング２
４，２５より外側に位置している。他方シエルカ
バー２３内部には受信回路２７がステアリングコ
ラム２に固着して設けられており、該受信回路２
７には前記発光部２６ａに対向して受光部２７ａ
が設けられている。そしてこの発光部２６ａと受
光部２７ａ間に介在するホイールカバー２２、シ
エルカバー２３の端縁及びボス部９にはそれぞれ
通光路２２ａ，２３ａ，９ａが設けられており、
前記発光部２６ａと受光部２７ａ間の光通信が確
保されている。

以上の構成に係る本実施例において、ステアリ
ングホイール７を回転操作すると、取付ボス部９
に固着されているシエルカバー側遮蔽リング２４
及びホイールカバー側遮蔽リング２５は、該取付
けボス部９とともに回転する。このとき前記発光
部２６ａと受光部２７ａとは両遮蔽リング２４，
２５の外側に配置されていることから、該両遮蔽
リング２４，２５によつて光通信を阻害されるこ
となく、前記通信路２２ａ，２３ａ，９ａを介し
て、制御回路２６と受信回路２７間の通信を支障
なく行なうことができ、スイツチボタン１７，１
８，１９の操作により、この回路内に組み込まれ
ている電気器機を作動させることができる。

一方シエルカバー２３とホイールカバー２２の
対向する端部間の間隙Ｓは、遮蔽部材たる両遮蔽
リング２４，２５の遮蔽部２４ａ，２５ａによつ
て、内側より遮蔽されることとなり、該間隙Ｓ部
位に落下した硬貨やキツプ端券等の異物は、両遮
蔽リング２４，２５の遮蔽部２４ａ，２５ａに当
接し内部への侵入を阻止され、あるいは該遮蔽部
２４ａ，２５ａと両カバー２２，２３の端縁間の
間隙２２ａ，２３ａに案内されて下方に移動しつ
つ外部にに落下する。よつて異物は両カバー２
２，２３より内側に侵入することなく、この異物
が遊星ギヤ１１ａ，１１ｂと内歯車６ａ，６ｂに
介在してしまうことによつて生ずる該遊星ギヤ１
１ａ，１１ｂの公転、自転時の不具合の発生を防
止することができ、又異物がローラ１６と段部５
ａ，５ｂ間に介在しあるいは付着したことに起因
してローラ１６が斜状変位し、該段部５ａ，５ｂ
に対する押圧力が相違するものとなつて、該回転
状態を維持すべきパツド２１等にガタツキが生ず
る不具合の発生を防止することができるのであ
る。

第７図は、本考案の他の実施例を示すものであ
つて、前記実施例と同様に遮蔽部材は、前記取付
けボス部９の、筒状部材３対向面側に取り付けら
れたシエルカバー側遮蔽リング２８と、リングギ
ヤ１０対向面側に取り付けられたホイールカバー
側遮蔽リング２９とで構成されており、前記シエ
ルカバー側遮蔽リングにあつては、第８，９図に
示したように、所要の幅及び厚さを有する環状の
遮蔽部２８ａと、該遮蔽部２８ａの端部に一体的
に設けられ中心方向に折曲されてなる複数の取付
部２８ｂ……と、該取付部２８ｂに設けられたビ
ス孔２８ｃとから構成されており、一方ホイール
カバー側遮蔽リング２９は、第１０，１１図に示
したように該シエルカバー側遮蔽部材２８の遮蔽
部２８ａと同一径同一厚の遮蔽部２９ａと、該遮
蔽部２９ａの端部に一体的に設けられ中心方向に
屈曲されてなる複数の取付部２９ｂ……と、該取
付部２９ｂに設けられたビス孔２９ｃ、及び該取
付部２９ｂと同端部に設けられた複数の凸部２９
ｄとからなる。この両遮蔽リング２８，２９はと
もに色透透明の素材、例えばアクリル樹脂で成形
されており、凸部２９ｄは、前記通光路９ａ内に
遊嵌されて、その先端部をシエルカバー側遮蔽リ
ング２８の遮蔽部２８ａに当接されている。なお
この実施例にあつては発光部２１ａと受光部２０
ａは、両遮蔽リング２８，２９の遮蔽部２８ａ，
２９ａに対向する位置に設けられている。

以上の構成に係る本実施例において、前記間隙
Ｓは、遮蔽部材たるシエルカバー側遮蔽リング２
８と、ホイールカバー側遮蔽リング２９とによつ
て内側より遮蔽され、前記実施例と同様に非回転
機構内への異物の侵入を防止することができ、こ
れに起因する該機構の不具合及び品質感の低下を
防止し得るとともに、発光部２６ａと受光部２７
ａ間の光通信は通光路２２ａ，２３ａ，９ａを介
して直接行なわれる以外に、ホイールカバー側遮
蔽リング２９の遮蔽部２９ａ、凸部２９ｄ、シエ
ルカバー側遮蔽リング２８の遮蔽部２８ａを透光
して行なわれることとなり、送信をより確実なも
のにすることができるのである。

考案の効果 以上説明したように本考案は、ステアリングホ
イールが取り付けられたステアリングシヤフトの
先端部位に、該シヤフトに対して相対回転自在に
スイツチ類を取付ける取付部材を装着し、該取付
部材とこれに対向するステアリングコラム側端部
間に、この取付部材をステアリングシヤフトに対
して相対回転させて非回転状態に維持する非回転
機構が設けられたステアリング装置において、該
非回転機構の周部には、外部から該機構内部への
異物の侵入を阻止するための遮蔽部材を設けたこ
とから、異物が非回転機構を構成する遊星ギヤ等
の噛合部材に介在し、これによつて生ずる該噛合
部材の噛み合い状態の不具合、さらには公転、自
転時の不具合等が生ずるのを防止して、非回転機
構の保守性能を向上させることができるととも
に、均等な押圧力により非回転維持性能を向上さ
せるべく非回転機構内部に設けられているローラ
の周面に前記異物が付着し、該ローラを変位させ
て均等な押圧力が得られなくなるような不具合の
発生を防止し、正常な押圧状態、延いては非回転
維持性能を保守し、この種非回転部材を有するス
テアリング装置の品質感の低下を防止することが
できる。

加えて前記実施例にあつては、この遮蔽部材を
透明素材で成形し、光学的伝達手段の伝達径路と
して用いるようにしたことから、発光部より放射
された光は遮蔽部材に案内されて正確に受光部に
達し、信号伝達の確実性を向上させることができ
るという効果をも奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、非回転部材を有するステアリング装
置の一例を示す断面側面図、第２図は本考案の一
実施例を示す断面側面図、第３図は同実施例に係
るシエルカバー側遮蔽リングの平面図、第４図は
第３図Ａ−Ａ断面図、第５図は同実施例のホイー
ルルカバー側遮蔽リングの平面図、第６図は第５
図Ｂ−Ｂ断面図、第７図は本考案の他の実施例の
断面側面図、第８図は同実施例に係るシエルカバ
ー、側遮蔽リングの平面図、第９図は第８図Ｃ−
Ｃ線断面図、第１０図は同実施例のホイールカバ
ー側遮蔽部材の平面図、第１１図は第１０図Ｄ−
Ｄ線断面図である。 １……ステアリングシヤフト、２……ステアリ
ングコラム、３……筒状部材、６ａ，６ｂ……内
歯車、７……ステアリングホイール、８……スポ
ーク、９……取付ボス部、１０……リングギヤ、
１１ａ，１１ｂ……遊星ギヤ、１６……ローラ、
２０……電気ユニツト、２１……パツド、２２…
…ホイールカバー、２３……シエルカバー、２
４，２８……シエルカバー側遮蔽リング、２５，
２９……ホイールカバー側遮蔽リング、２６……
制御回路、２６ａ……発光部、２７……受信回
路、２７ａ……受信部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) ステアリングホイールが取り付けられたステ
   アリングシヤフトの先端部位に、該シヤフトに
   対して相対回転自在にスイツチ類を取付ける取
   付部材を装着し、該取付部材とこれに対向する
   ステアリングコラム側端部間に、この取付部材
   をステアリングシヤフトに対して相対回転させ
   て非回転状態に維持する非回転機構が設けられ
   たステアリング装置において、該非回転機構の
   周部には、外部から該機構内部への異物の侵入
   を阻止するための遮蔽部材を設けたことを特徴
   とするステアリング装置の保護構造。 (2) 前記遮蔽部材は透光性素材で成形するととも
   に、この遮蔽部材を光学的信号伝達手段の伝達
   径路として用いるようにしたことを特徴とする
   実用新案登録請求の範囲第１項記載のステアリ
   ング装置の保護構造。