JPS6341816Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は同期電動機に関し、特にロータの軸方
向の振動を防止して振動騒音の低減を図つた同期
電動機に関するものである。

従来、小型かつ軽量型の同期電動機として第１
図に示すものが提案されている。この同期電動機
１は容器状の本体３と蓋体４とからなるケース２
内にコイル構体５を内装し、かつこのコイル構体
５の内周位置に前記本体３と蓋体４とに夫々切起
し成形した複数個のステータ６を配設している。
また、ロータアツシ７は回転出力軸８に嵌着した
ボス９の周囲に円周方向に交互に異極を着磁した
ロータ１０を設けており、前記ステータ６の内周
位置に一対の軸受１１，１２によつて軸転可能に
支持している。図中、１３は回転出力軸８に一体
的に取着したギヤである。

ところで、この種の同期電動機にあつては、ロ
ータ１０の軸方向の位置を前記した一対の軸受１
１，１２により規制しており、例えば第１図の例
では軸受１２下面とボス９上面との当接、および
軸受１１と回転出力軸８の下端との当接により規
制を行なつている。しかしながら、これらの間の
寸法を常に高精度に製作、管理することは実際上
極めて困難であり、このため軸受１１，１２とロ
ータアツシ７との間に若干の軸方向のガタが生じ
ることは避けられない。

したがつて、ロータ１０の軸転に伴なつて前記
ガタ分だけロータアツシが軸方向に振動され、こ
の振動音が電動機騒音となつて現われる。また、
ロータアツシの振動が軸受１１，１２やコイル構
体５、ケース２に伝達され、電動機全体の耐久性
や信頼性に悪影響をおよぼすことになる。このた
め、従来では同図に示すように、電動機１を組付
ける機構の一部１４に板ばね１５を片持支持し、
その先端に固着した押え板１６を介して前記回転
出力軸８を一方向（下方向）に付勢することによ
りロータアツシ７の軸振動を防止する試みがなさ
れている。しかしながら、この対策では機構が変
わる毎に板ばね１５等を新規に設けねばならず。
面倒であると共に機構の小型化の障害となり、し
かも部品点数が増大してコスト高になるという問
題がある。

本考案は以上に鑑みなされたもので、コイル枠
の底面にステータが挿通する穴を形成すると共に
中心に向かつて突出する舌片状の支持片を一体に
形成し、この支持片の先端部に凹部を設けてロー
タアツシの回転出力軸の下端を支承する軸受を構
成したことにより、他の振動防止部品を用いるこ
となく、ロータアツシの軸方向のガタを前記支持
片の弾性変形によつて吸収して振動発生を防止
し、もつて部品点数、組立工数を削減すると共に
小型、安価な同期電動機を提供することを目的と
したものである。

以下、図示の実施例により本考案を説明する。

第２図および第３図は一実施例を示しており、
この同期電動機２０は、短円筒容器状の本体２２
と、この本体２２の開口部に嵌着する蓋体２３と
からなるケース２１を備える。前記本体２２と蓋
体２３とは夫々対向する面の数箇所を舌片状に切
起し、かつこれらの舌片を円周方向に夫々交互に
配列することによりステータ２４を形成してい
る。そして、このステータ２４の外周にはコイル
構体２５を配置し、内側にはロータアツシ２６を
配置している。このロータアツシ２６は、回転出
力軸２７に嵌着した絶縁性のボス２８の周囲に円
周方向に交互に異極を着磁したロータ２９を取着
している。また、コイル構体２５は周囲に細線を
巻回したコイルスプール３０と、このコイルスプ
ール３０を内装すると共にその一部に設けた端子
３２に前記細線を接続している短円筒容器状のコ
イル枠３１とを有している。

そして、このコイル枠３１は樹脂材等の若干の
弾性力を有する部材にて形成する一方、その底面
には前記ステータ２４の挿通する穴３１ａを形成
し、更に穴３１ａの周囲一部には中心に向かつて
突出した舌片状の支持片３３を一体に形成してい
る。この支持片３３はその先端位置、換言すれば
コイル枠３１の中心位置に相当する部位３４に凹
部３４ａを形成し、この凹部３４ａ内で前記回転
出力軸２７の下端を支承することにより、この部
位を前記ロータアツシ２６の下部の軸受３４とし
て構成している。また、この軸受３４と対をなし
て前記回転出力軸２７の上部を軸支する軸受３５
は、前記蓋体２３の中央穴内に嵌入支持され、回
転出力軸２７を径方向に拘束している。図中、３
６は回転出力軸２７の先端に嵌着したギヤであ
る。

以上の構成によれば、ロータアツシ２６、換言
すれば回転出力軸２７は、上部を軸受３５によつ
て径方向に拘束されながら軸方向には自由な状態
で軸受され、下端は軸受３４によつて軸方向に当
接した状態で軸受されることになる。そして、こ
の状態では、軸受３４は支持片３３の弾性力によ
つて上方へ弾力付勢され、これにより回転出力軸
２７を上軸方向へ付勢する。このため、ロータア
ツシ２６はボス２８上面が軸受３５下面に当接さ
れ、この状態はロータアツシ２６の回転動作中に
おいても保持される。

したがつて、軸受３４，３５とロータアツシ２
６との間のガタは支持片３３の弾性力によつて零
となり、ステータ２４に対するロータアツシ２６
の軸位置を一定状態に保つと共にロータアツシの
回転動作に伴なう軸方向の振動を防止する。この
結果、ロータアツシの軸振動により生じる騒音の
防止を図ると共に、コイル構体２５やケース２１
への振動による悪影響を防止できる。

以上のように本考案の同期電動機によれば、別
部材によるロータアツシの軸振動を防止するため
の付勢手段を設ける必要がないので、電動機を組
み込む構体の構成も簡易となり、部品点数および
組立工数の増大が防止され、かつその製造は用意
となる等の種々の実用的効果を有する。

以上のように本考案の同期電動機によれば、ロ
ータアツシを軸支する一対の軸受のいずれか一方
にロータアツシを他方の軸受方向に弾力付勢する
付勢手段を設けているので、ロータアツシと軸受
との軸方向のガタを吸収して軸振動を防止し、電
動機騒音の低減および信頼性の向上を図ると共
に、従来のものに比較して部品数の低減を図つて
小型化、低コスト化を実現できるという効果を奏
する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の同期電動機の破断正面図、第２
図は本考案の同期電動機の部分分解斜視図、第３
図は縦断面図である。 ２０……同期電動機、２１……ケース、２４…
…ステータ、２５……コイル構体、２６……ロー
タアツシ、２７……回転出力軸、２９……ロー
タ、３３……支持片、３４，３５……軸受、３７
……軸受、３８……圧縮スプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 短円筒容器状の本体２２とその開口部に嵌着す
   る蓋体２３とからなるケース２１と、このケース
   の内部に円周配置されるようにケース構成部材か
   ら一体に形成した複数個のステータ２４と、この
   ステータの外周位置に設けられたコイルスプール
   ３０および樹脂材等によつて形成されたコイル枠
   ３１とからなるコイル構体２５と、前記ステータ
   の内周位置に設けると共に一対の軸受にて軸転可
   能に軸支したロータアツシ２６とを備えた同期電
   動機において、コイル枠の底面に前記ステータの
   挿通する穴３１ａを形成するとともに中心に向か
   つて突出する舌片状の支持片３３を一体に形成
   し、この支持片の先端部に凹部３４ａを設け、こ
   の凹部を上端が前記蓋体に設けた軸受３５に支承
   された前記ロータアツシの回転出力軸２７の下端
   軸受として構成したことを特徴とする同期電動
   機。