JPS6338002Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は垂直圧延機に関する。

鋼片、棒鋼、線材、形鋼等の圧延設備に使用さ
れる従来の垂直圧延機は、ロールユニツトと該ユ
ニツトを着脱自在に装備するスタンドとから成る
ロールスタンドユニツトを、バーチカルフレーム
に着脱自在に且つ昇降自在に装着してなるもので
あつた。上記スタンドはロールユニツトの圧延荷
重を支持するため、強度及び剛性が高く、大型で
かつ大重量のものであつた。

この様な従来の垂直圧延機において、ロールの
型替、ロールの摩耗等によるロール交換作業を行
なう場合、２種類のロール交換方法がとられてい
た。その１つは、ロールスタンドユニツト毎に交
換するものであり、他は、ロールスタンドユニツ
トを一旦バーチカルフレーム内から引出した後、
スタンドからロールユニツトを吊り上げ抜き取つ
てロールユニツト毎に交換するものであつた。

前者にあつては、大重量のロールスタンドユニ
ツトを吊上げ移動させるものであるから、大容量
の移動設備を必要とし、且つ、交換用ロールスタ
ンドユニツトを保有する必要があり、コスト高を
招いていた。

後者にあつては、ロールユニツトのスタンドへ
の組込をライン上で行ない、且つロール軸方向調
整及びロール間隙の設定をライン上で行なうの
で、ロールユニツト交換作業に時間がかかり、圧
延作業の能率低下をきたしていた。

そこで、本考案は、上記問題点に鑑みて案出さ
れたものであり、ロールユニツト交換のための設
備費のコスト低減を図り、且つ交換時間の短縮を
図り、圧延作業能率向上を図ることのできる垂直
圧延機を提供することを目的とする。従つて、そ
の特徴とする処は、垂直圧延機のバーチカルフレ
ームに着脱自在に装着されるロールスタンドユニ
ツトが、ロールユニツトを着脱自在に装備したイ
ンナースタンドと、該インナースタンドを着脱自
在に収容するアウタースタンドとから成り、前記
アウタースタンドがバーチカルフレームに着脱自
在に装着される点にある。

以下、本考案の実施例を図面に基づき詳述す
る。

第１図に示すものは、本考案を採用した垂直圧
延機１の全体構成であり、同図において、２はベ
ースで、該ベース２上にバーチカルフレーム３が
立設されている。このバーチカルフレーム３の頂
部にピニオンスタンド４が設けられている。ピニ
オンスタンド４は垂直伝動軸５を介してバーチカ
ルフレーム３後方に配置された減速機６に連動連
結されている。減速機６は水平伝動軸７を介して
モータ８に連動連結されている。上記バーチカル
フレーム３には、昇降用モータ９及び昇降スクリ
ユー１０等から成る昇降駆動装置１１を介して上
下昇降自在な昇降フレーム１２が支持されてい
る。

上記昇降フレーム１２に連結装置１３を介して
ロールスタンドユニツト１４が着脱自在に吊持連
結され、該ロールスタンドユニツト１４はバーチ
カルフレーム３に着脱自在に且つ上下昇降自在に
支持されている。ロールスタンドユニツト１４
は、垂直軸心を有する前後一対の垂直圧延ロール
１５からなるロールユニツト１６を、インナース
タンド１７を介してアウタースタンド１８に収容
することにより構成されている。そしてロールユ
ニツト１６は、前記ピニオンスタンド４から下垂
するスピンドル１９にユニバーサルジヨイント２
０を介して連動連結されている。

尚、２１は組替台車で、ベース２前方に配置さ
れ、ロールスタンドユニツト１４の横移動を行な
うためのものであり、２２は挿入装置で、組替台
車２１の前方に配置され、組替台車２１上のロー
ルスタンドユニツト１４をアウタースタンド１８
内に挿入したり、又は逆にアウタースタンド１８
内から組替台車２１上に引出したりするものであ
る。

さて、第２図乃至第４図に示すものは、ロール
スタンドユニツト１４を構成するインナースタン
ド１７の詳細であり、ロールユニツト１６を装備
した状態で示されている。

インナースタンド１７は、上下一対の略同形状
の水平上・下枠２３，２４と、該枠２３，２４を
連結する垂直枠２５とから成り、全体的に薄肉軽
量に成形されている。上・下枠２３，２４は略矩
形状に成形され、前・後壁２６，２７及び左右側
壁２８を有して上下に貫通する矩形状開口部２９
を有し、この前壁２６のみは剛性を有するよう厚
肉に形成されている。前壁２６の左右両側部には
左右外方に張出す突出部３０が設けられている。
上部枠２３の側壁２８上部には左右張出状のフラ
ンジ３１が設けられている。このフランジ３１上
面の後方にロールユニツトクランプ装置３２が左
右に一対設けられている。又、フランジ３１上面
には、左右一対の垂直圧延ロール１５の軸心方向
調整を行なう左右一対の調整装置３３が設けら
れ、左右の調整装置３３はリンク機構３４を介し
てターンバツクル３５で連動連結されている。下
部枠２４下面には４個のキヤスタ３６が設けら
れ、インナースタンド１７を前後方向移動自在と
している。

上記インナースタンド１７の上・下枠２３，２
４の開口部２９に、ロールユニツト１６が上方よ
り挿脱自在に収容されている。ロールユニツト１
６は前後一対の垂直圧延ロール１５を有し、各ロ
ール１５の上下ネツク部に軸受箱３７が各々套嵌
され、該軸受箱３７が上下枠２３，２４の開口部
２９に着脱自在に収納保持されている。後方かつ
上部の軸受箱３７はロールユニツトクランプ装置
３２によつて固定される。前方の軸受箱３７は、
軸心方向調整装置３３によつて上下方向の取付位
置が調整される。この調整はターンバツクル３５
を回動することにより調整装置３３の伝動軸３８
がリンク機構３４を介して回動することにより行
なわれる。前方の軸受箱３７前面は前壁２６に高
さ調整用ライナーを介して接当しており、前・後
の軸受箱３７間にはロールバランス装置３９が介
在され、垂直ロール１５を前・後方向におしひろ
げている。

第５図及び第６図に示すものは、ロールスタン
ドユニツト１４を構成するアウタースタンド１８
の詳細であり、上下一対の略同形状の水平上・下
枠４０，４１と、該枠４０，４１を連結する垂直
枠４２とから成り、全体的に厚肉で充分な剛性を
有するよう形成されている。この上・下枠４０，
４１の離間距離は、前記インナースタンド１７の
上・下枠２３，２４の離間距離と同じに形成され
ている。上・下枠４０，４１は平面視が前方開放
状のコ字形に形成され、該開放部より前記インナ
ースタンド１７を挿脱自在に受入れる収容空間４
３が形成されている。アウタースタンド１８の
上・下枠４０，４１の後壁４４には手動又は電動
又は油圧モータ駆動等の圧下装置４５が設けら
れ、同上・下枠４０，４１の側壁４６前部の内面
には、前記インナースタンド１７の突出部３０を
上方から嵌脱自在に受入れる凹部４７が設けられ
ている。この圧下装置４５と凹部４７とは、上記
収容空間４３にインナースタンド１７を収納し、
突出部３０と凹部４７とが嵌合したとき、圧下装
置４５がロールユニツト１６の後方軸受箱３７後
面をロールバランス装置３９の圧力にうちかつて
押圧し、圧延装置を、前方軸受箱３７及びインナ
ースタンド１７の前壁２６を介して突出部３０と
凹部４７との嵌合部で支承するものである。

アウタースタンド１８の上下枠４０，４１の左
右外側面は前記バーチカルフレーム３に摺動自在
に嵌合する摺接面４８に形成されている。この上
部枠４０上面には、前記バーチカルフレーム３に
設けられた連結装置１３に着脱自在に連結される
連結部４９が突設されると共に、インナースタン
ド１７のフランジ３１を固定するクランプ装置５
０が左右一対、かつ前後に２組設けられている。
下部枠４１下面には４個のキヤスタ５１が設けら
れ、アウタースタンド１８を前後方向移動自在と
している。

上記構成の本考案の実施例の組立順序及び作用
効果を第７図乃至第１２図に基づき説明すれば、
前述した如く、インナースタンド１７にロールユ
ニツト１６が組込まれ、前後一対の垂直圧延ロー
ル１５の軸心方向の調整及び径方向の予調整が行
なわれる。この組込調整作業はロールシヨツプ等
で行なわれ、従つて、カリバー等の正確な位置決
めが能率良く行なわれる。このようにロールユニ
ツト１６を装備したインナースタンド１７はクレ
ーン等の移動設備によつて圧延ラインに運ばれ
る。この際、インナースタンド１７は軽量のため
移動設備は小容量のもので足りる。

第７図に示すように上記インナースタンド１７
は組替台車２１上に載置され、台車２１は所定圧
延機１の前面までレール５２上を移動する。圧延
機１のバーチカルフレーム３内には、インナース
タンド１７を取り外されたアウタースタンド１８
が残置されており、該アウタースタンド１８と組
替台車２１上のインナースタンド１７とが対面状
に保持される。このとき、インナースタンド１７
は、アウタースタンド１８の上部枠４０よりも、
インナースタンド１７の上部枠２３の方が上方に
位置するよう対面する。

次に、第８図は、挿入装置２２が圧延され、イ
ンナスタンド１７がアウタースタンド１８内に押
し込まれる途中課程を示す。押し込みの後この挿
入装置２２は単独で後退する。この押し込み操作
によつて、インナースタンド１７はアウタースタ
ンド１８の収容空間４３に収容される。この際、
インナースタンド１７の上部枠２３がアウタース
タンド１８の上部枠４０より上方に位置している
ので、突出部３０及びフランジ３１等が、アウタ
ースタンド１８に衝突することはない。

第９図は、アウタースタンド１８にインナース
タンド１７が前後方向に完全に収納された状態を
示している。この状態で、インナースタンド１７
の突出部３０と、アウタースタンド１８の凹部４
７とは上下に対面している。

次に、第１０図に示すように、アウタースタン
ド１８が昇降フレーム１２の連結装置１３を介し
て昇降駆動装置１１によつて上昇させられる。こ
の上昇によつて、アウタースタンド１８の上部枠
４０上面にインナースタンド１７のフランジ３０
下面が接当し、且つ、突出部３０と凹部４７とが
嵌合する。その後、アウタースタンド１８のフラ
ンジ用クランプ装置５０が突出してフランジ３０
上面をクランプする。その後、圧下装置４５によ
り前後ロールのスキの最終調整が行なわれる。
（本調整は自動的に行なうことも出来る。） しかして、インナースタンド１７はアウタース
タンド１８に完全に収容固定され、ロールスタン
ドユニツト１４の組立が完了する。この様に、単
にアウタースタンド１８にインナースタンド１７
を収納する簡単な作業で組立が完了するものであ
るから、ロール交換時間の短縮が図られ圧延作業
の能率向上が図られる。

その後、ロールユニツト１６にユニバーサルジ
ヨイント２０が連結され、ロールスタンドユニツ
ト１４は所定高さに上昇して保持される。

圧延作業においては、ロールスタンドユニツト
１４のインナースタンド１７は薄肉軽量である
が、圧延荷重はアウタースタンド１８の凹部４７
と圧下装置４５を介してアウタースタンド１８の
後壁４４で支承されることになるので、薄肉軽量
化しても何ら支障を生じない。

また、バーチカルフレーム３からロールスタン
ドユニツト１４を取り外す場合は、上記逆の手順
を行なえばよい。

以上のように上記実施例では、ロールスタンド
ユニツト１４を圧延荷重を支承する強固なアウタ
ースタンド１８と、ロールユニツト１６を保持す
るだけの軽便なインナースタンド１７とに分離
し、ロールユニツト１６を装備したインナースタ
ンド１７毎にロール交換作業を行なうようにした
ので、交換予備部品の低減が図られる。

尚、本考案は、上記実施例に限定されるもので
はない。

本考案によれば、ロールスタンドユニツトをア
ウタースタンドとインナースタンドに分離したの
で、ロール交換に際し、インナースタンド毎の交
換を行なえば良く、クレーンの吊り上げ重量が低
くなりクレーン等の移動設備が小容量となり設備
費のコスト低減が図られる。またロールの軸方向
調整はロールシヨツプ等で行なうことができるの
で、迅速容易かつ正確に能率良く行なうことがで
きるため、圧延ライン上での調整がほとんど不要
となりロール組替時間が大巾に短縮出来る。更
に、交換用予備部品はインナースタンドのみで良
く設備費が安くなる等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の実施例を示し、第１図は全体構成
を示す一部断面側面図、第２図はインナースタン
ドの平面図、第３図は同正面図、第４図は同側面
図、第５図はアウタースタンドの平面図、第６図
は同側面図、第７図乃至第１０図はロールスタン
ドユニツト組立手順を示す側面図、第１１図はロ
ールスタンドユニツトの平面図、第１２図は同側
面図である。 １……垂直圧延機、３……バーチカルフレー
ム、１４……ロールスタンドユニツト、１６……
ロールユニツト、１７……インナースタンド、１
８……アウタースタンド。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 垂直圧延機１のバーチカルフレーム３に着脱自
   在に装着されるロールスタンドユニツト１４が、
   ロールユニツト１６を着脱自在に装備したインナ
   ースタンド１７と、該インナースタンド１７を着
   脱自在に収容するアウタースタンド１８とから成
   り、前記アウタースタンド１８がバーチカルフレ
   ーム３に着脱自在に装着されることを特徴とする
   垂直圧延機。