JPS6337998B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は映像信号記録方式に係り、映像信号を
周波数変調して記録するに際し、周波数変調され
た映像信号の各水平帰線期間での位相を相対的に
一致せしめることにより、安定した良質な画像を
得ることのできるように映像信号を記録しうる方
式を提供することを目的とする。

一般に２ヘツドヘリカルスキヤン方式のVTR
等における再生画質の劣化原因の一つとして、相
隣るトラツクからのクロストークがある。従来は
このクロストークによる再生画質の劣化の防止の
ために、相隣るトラツクを形成する回転ビデオヘ
ツドのギヤツプ角を互いに異ならしめ、磁気テー
プ上の相隣るトラツクの磁化方向を互いに異なら
しめて記録し、再生するアジマス記録、再生方式
を採用していた。

しかしながら、限られた長さの磁気テープにで
きるだけ長時間の映像信号を記録し再生する上か
らは、磁気テープ走行速度の低速化に伴い、実質
的にトラツク幅が減少し再生出力レベルが低下す
るため、従来以上に高性能の記録再生特性が必要
とされるに至つた。本出願人は種々実験の結果、
映像信号レベルが急峻に変化する部分での再生画
像が、特に上記の長時間記録再生において明瞭で
なくなるという現象を発見し、これが周波数変調
波である記録映像信号の各水平帰線期間での相対
的な位相の相違から生ずることをつきとめた。ま
た上記のアジマス記録、再生方式によつても、長
時間記録再生時には、クロストークによる再生画
像の劣化が問題となり、上記のように映像信号レ
ベルが急峻に変化する部分での再生画像を特に劣
化させていた。

すなわち、例えば第１図Ａに示すように画面の
左側が黒部分１で、画面の右側が白部分２よりな
りそれらの境界線が画面の縦方向である画像を記
録、再生するものとすると、記録時の任意の水平
走査線における再生画像上黒部分１から白部分２
へ移行する位置付近での映像信号は第１図Ｂに示
す如くになり、急峻に立上る波形部分４を有す
る。この映像信号を周波数変調して磁気テープに
記録し、これを再生した復調前の周波数変調波で
ある映像信号（以下FM映像信号という）の波形
は、ある水平走査期間では第１図Ｃに示す如くに
なり、その水平走査期間前後の各水平走査期間で
は同図Ｄに示す如くになり、夫々の過渡部の相対
位相がT₁，T₂で示す如く相違する。なお、第１
図ＣはｎフイールドのFM映像信号、同図Ｄは
（ｎ±１）フイールドのFM映像信号でも同様で
ある。

この第１図Ｃに示すFM映像信号を復調すると
同図Ｅに５で示す映像信号が復調され、同図Ｄに
示すFM映像信号を復調すると同図Ｅに６で示す
映像信号が復調され、上記T₁，T₂の位相の差異
に応じて異なる過渡応答を示し、同図Ｅに△Ｅ，
△E′で示す異なる不特定な変動分が１水平走査期
間毎にランダムに現われ、画面上では第１図Ａに
３で示す如く白部分１と黒部分２との境界線にお
いてノイズ状のちらつき３となつて見える。これ
はクロストークが多いほどちらついて見える。

本発明は上記の欠点を除去したものであり、以
下第２図乃至第４図と共にその各実施例について
説明する。

第２図は本発明になる映像信号記録方式の一実
施例のブロツク系統図、第３図Ａ〜Ｆは夫々第２
図の動作説明用信号波形図を示す。第２図におい
て、入力端子１０に入来したカラー映像信号は、
帯域フイルタ１１、低域フイルタ１２、水平同期
信号分離回路１３に夫々供給される。帯域フイル
タ１１により周波数選択されて取り出された入力
カラー映像信号中の搬送色信号は、記録カラー回
路１４により後述する周波数変調輝度信号の帯域
よりも低域へ周波数変換された後、後述する混合
器へ供給される。

第２図において、低域フイルタ１２より取り出
された輝度信号はペデスタル・クランプ回路３２
に供給されてペデスタルレベルが一定値にクラン
プされた後混合器３３に供給される。このペデス
タル・クランプ回路３２の出力輝度信号は、第３
図Ａにａで示す如くになる。

一方、水平同期信号分離回路１３で分離された
第３図Ｂに示す如き水平同期信号ｂは、235逓倍
器３４に供給され、ここで235倍逓倍されてペデ
スタルレベルに相当するFM輝度信号の周波数
3.7MHzとされる一方、カウンタ３５のリセツト
端子に供給され、水平同期信号の前縁でリセツト
し、その前縁より輝度信号の水平帰線期間のフロ
ントポーチ前端部までの時間（第３図Ａ，ＢにＴ
で示す）に相当する計数値まで、上記235逓倍器
３４よりの3.7MHzのパルスｃ（第３図Ｃに示す）
を計数させる。カウンタ３５はこの設定した計数
値を計数終了した時にフリツプフロツプ３６のセ
ツト入力端子にパルスを印加してこれをセツト状
態とする。セツト状態とされたフリツプフロツプ
３６はハイレベルの信号を混合器３３に供給し、
ここで上記輝度信号ａの水平帰線期間内のフロン
トポーチに重畳される。このフリツプフロツプ３
６のハイレベルの信号は、ホワイトレベルに相当
する値が望ましい。これは後述する記録輝度回路
３７により周波数変調して得られたFM輝度信号
は、そのホワイトレベルが最も高い搬送波周波数
4.4MHzとなるような周波数変調波であり、従つ
てホワイトレベルとすると後述する位相検波回路
３８において3.7MHzの235逓倍器３４の出力パル
スｃと位相が早く一致することとなり、輝度信号
ａに重畳されるフリツプフロツプ３６の出力パル
ス幅が短かくなり、輝度信号に悪影響を及ぼさな
いからである。

混合器３３より取り出されたフロントポーチに
ホワイトレベルのパルスが重畳された輝度信号
は、記録輝度回路３７に供給され、ここで搬送波
周波数がホワイトレベルで4.4MHz、ペデスタル
レベルで3.7MHzとなるような被周波数変調波と
された後、低域変換搬送色信号帯域の周波数成分
が高域フイルタで除去される。この結果、記録輝
度回路３７より第３図Ｅに示すFM輝度信号ｅが
取り出されて混合器２１に供給される一方、位相
検波回路３８に供給される。

位相検波回路３８はFM輝度信号ｅの位相と
235逓倍器３４よりの一定周波数3.7MHz（ペデス
タルレベルに相当する周波数）と位相比較され、
位相が一致した時フリツプフロツプ３６のリセツ
ト端子にリセツトパルスを印加し、これをリセツ
トする。これにより、フリツプフロツプ３６の出
力はローレベルとなる。従つて、フリツプフロツ
プ３６の出力には第３図Ｄに示す如く輝度信号ａ
のフロントポーチに相当する期間ホワイトレベル
のパルスｄが発生し、これが位相補償用パルスと
して混合器３３で輝度信号ａに重畳されるため、
混合器３３の出力信号は第３図Ｆにで示す如く
になる。この位相補償用パルスは水平同期信号や
カラーバースト信号及び映像信号に悪影響を与え
ない水平帰線期間内のフロントポーチに挿入する
ことが望ましい（カウンタ３５で調整する）。

なお、位相検波回路３８においてFM輝度信号
と位相検波するための信号周波数として、ペデス
タルレベルに相当する3.7MHzにしたのは、両者
の位相が一致した直後よりFM輝度信号周波数は
ペデスタルレベルの3.7MHzとなり両信号の周波
数が夫々等しくなり、回路動作上好ましいからで
ある。

本実施例によれば、位相検波回路３８の２入力
信号のうち、一方の入力信号は水平同期信号に位
相同期したペデスタルレベル相当周波数の信号ｃ
であり、他方の入力信号はFM輝度信号ｅであ
り、このFM輝度信号ｅの位相補償用パルスｄで
変調された信号区間の周波数は4.4MHzに向けて
急峻に高くなり、位相の変化が加速されるので、
信号ｃの位相とフロントポーチ内で両入力信号の
位相が一致する。

そして、両入力信号の位相が一致すると、位相
補償用パルスｄが立下り、上記の位相の変化の加
速が停止される。この位相補償用パルスｄのパル
ス幅は、該パルスｄの立上り時点直前の絵柄によ
つてFM輝度信号ｅの周波数が異なるから、FM
輝度信号ｅと信号ｃとの位相一致時点が異なるた
め、絵柄によつて変化するが、位相補償用パルス
ｄの立下り時点は必ずフロントポーチ内にあり、
該立下り時点以降のFM輝度信号ｅの水平帰線期
間の位相は各水平走査線で一致することになる。

従つて、FM輝度信号ｅのバツクポーチの最終
位置（映線期間の始端位置）の位相は各水平走査
線において常に一致するという位相補償が施され
たものとなる。

このFM輝度信号ｅは混合器２１に供給され、
ここで低域変換搬送色信号と周波数分割多重され
る。この混合器２１より取り出された周波数分割
多重信号は、記録増幅器２２で増幅された後ロー
タリートランス２３を経て回転ビデオヘツド２４
に供給され、これにより磁気テープ（図示せず）
の長手方向上傾斜したトラツクを形成して記録さ
れる。従つて、磁気テープ上の各々の水平帰線期
間でのFM輝度信号の位相は一致されて（特にバ
ツクポーチでは正確に位相が一致している）記録
されることとなる。

このため、上記の如くにして記録された磁気テ
ープを再生すると、例えば第４図Ａに示す如く画
面の左側が黒部分１、右側が白部分２よりなるラ
イン相関のある画像（フイールド相関のある画像
の場合も同様）を記録した場合、その記録映像信
号の黒部分１と白部分２との境界線付近の或る水
平走査期間の波形は第４図Ｂに示す如く急激に立
上るため、再生映像信号（再生輝度信号）の波形
は立上り部の過渡応答により、減衰振動を生じる
が、少なくとも記録FM輝度信号の映像期間の始
端位置の位相が各水平走査期間で一致して記録さ
れているので、境界線付近における或る水平走査
期間での再生FM輝度信号と、これと相隣る水平
走査期間での再生FM輝度信号とは夫々第４図
Ｃ，Ｄに示す如く相対的に位相が一致し、よつて
その復調波形は同図Ｅに実線と破線で示す如く相
隣る水平走査期間で略一致する。従つて、再生画
像は第４図Ａに示す如くに再生され、従来のよう
に境界線でちらついたノイズは発生せず、静止し
た線７が再生されるので視覚的な悪影響を防止で
きる。

またクロストークが生じたとしても、クロスト
ーク分の信号も各水平走査期間毎に上記のような
画像の場合は相対位相が一致しているため、ちら
ついたノイズ状には再生されず、よつて第４図Ａ
の７の部分は極めて見易い安定した画像として再
生される。

なお、上記の各実施例では輝度信号を周波数変
調し、搬送色信号を低域へ周波数変換し、これら
両信号を周波数分割多重して磁気テープに記録す
る方式に適用する場合について説明したが、映像
信号全体を周波数変調して記録する記録系にも本
発明方式を適用しうる。

上述の如く、本発明になる映像信号記録方式
は、映像信号の水平帰線期間に、予め設定したレ
ベルの位相補償用パルスを重畳する手段と、位相
補償用パルスが重畳された映像信号で搬送波を周
波数変調して被周波数変調波を得る周波数変調手
段と、映像信号中の水平同期信号と位相同期した
一定周波数の信号を発生する信号発生手段と、信
号発生手段よりの一定周波数の信号と被周波数変
調波との位相検波を行ない、一定周波数の信号の
位相と被周波数変調波の位相補償用パルス信号区
間の位相とが一致した時点で位相補償用パルスの
出力を停止させる手段と、周波数変調手段の出力
被周波数変調波を記録媒体に記録する記録手段と
よりなるため、映像信号の急峻なレベル変化部分
での再生画像に従来発生していたちらつくノイズ
は発生せず、またクロストークが発生したり復調
信号波形に減衰振動が生じても、前記位相補償用
パルスの後縁以降の各水平帰線期間の相対位相が
夫々一致しているため、相隣る水平走査期間及び
各フイールド毎の映像信号の急峻なレベル変化部
分の位相はライン相関やフイールド相関がある場
合は一致するのでちらついたノイズ状には再生さ
れず、極めて見易い安定した画像を得ることがで
き、また再生系に何らの特別な回路を設けること
なく安定な再生画像を得るための被周波数変調映
像信号を記録でき、更に前記映像信号のホワイト
レベルに相当するレベルの前記位相補償用パルス
を発生して、前記映像信号の水平帰線期間に重畳
するようにしたため、前記位相検波による位相一
致検出時点を速めることができる等の特長を有す
るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図Ａ〜Ｅは夫々従来方式による再生画像及
び記録信号波形、再生信号波形を示す図、第２図
は本発明方式の一実施例を示すブロツク系統図、
第３図は第２図の動作説明用信号波形図、第４図
は本発明方式による再生画像及び記録信号波形、
再生信号波形を示す図である。 １０……カラー映像信号入力端子、１１……搬
送色信号分離用帯域フイルタ、１２……輝度信号
分離用低域フイルタ、１３……水平同期信号分離
回路、１７……周波数変調器、１９……位相制御
回路、２５……再生輝度信号入力端子、２７……
再生水平同期信号入力端子、３４……235逓倍器、
３５……カウンタ、３６……フリツプフロツプ、
３７……記録輝度回路、３８……位相検波回路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 映像信号の水平帰線期間に、予め設定したレ
   ベルの位相補償用パルスを重畳する手段と、 該位相補償用パルスが重畳された映像信号で搬
   送波を周波数変調して被周波数変調波を得る周波
   数変調手段と、 該映像信号中の水平同期信号と位相同期した一
   定周波数の信号を発生する信号発生手段と、 該信号発生手段よりの一定周波数の信号と該被
   周波数変調波との位相検波を行ない、該一定周波
   数の信号の位相と該被周波数変調波の該位相補償
   用パルス信号区間の位相とが一致した時点で該位
   相補償用パルスの出力を停止させる手段と、 該周波数変調手段の出力被周波数変調波を記録
   媒体に記録する記録手段とよりなることを特徴と
   する映像信号記録方式。 ２ 前記重畳手段は、前記映像信号のホワイトレ
   ベルに相当するレベルの前記位相補償用パルスを
   発生して、前記映像信号の水平帰線期間に重畳す
   ることを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の
   映像信号記録方式。