JPS633780B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明はトラクタ等の車両における正逆転切
替型動力取出装置の改良に係り、特に正逆転切替
のため動力取出ケース内に配備される正転従動ギ
アと逆転従動ギアとの間にシフタ等の存在によつ
て必然的に形成されるギア間空間を旨く利用して
この間にアイドル軸を支持するための内空間突出
型の軸支壁とアイドラとを入込み状に対応配置
し、これによつて軽量コンパクトで強度的にも充
足される安価な正逆転切替型動力取出装置を提供
することを目的とする。

まずこの発明の動力取出装置の一例を説明する
前に第１図乃至第４図に示した前装作業機取付機
構について概様的に説明すると、１はトラクタ車
体であつて、前車軸受台２、エンジン３、クラツ
チハウジング４及びミツシヨンケース等を構造体
として成り、その前部のエンジン３等はボンネツ
ト５により覆われている。前車軸受台２は、トラ
クタ車体１の前端部に位置し、エンジン３のクラ
ンクケースに剛結合されている。６は前車軸ケー
スで、前車軸受台２にセンター軸廻りに揺動自在
に支架され、この前車軸ケース６の左右両端には
終減速装置７等を介してキングピン８廻りに操向
動作可能に前輪９が設けられている。なお前輪９
は駆動車輪とされている。１０はトラクタ車体１
の前部両側に配置された側面視Ｌ字状の取付枠
で、前端の起立部１１が前車軸受台２より前方に
突出した状態にあり、前端部が取付ボルト１２に
より前車軸受台２に、後端部が取付ボルト１３に
よりクラツチハウジング４に夫々着脱自在に装着
されている。各取付枠１０の起立部１１上端間は
ボンネツト５の前方位置で筒状の連結部材１４に
より左右一体に連結されており、この連結部材１
４の央央部にトツプリンク取付台１５が設けられ
る。トツプリンク取付台１５は上下方向に複数個
の取付孔１６を具備し、枢支ピン１７によりトツ
プリンク１８が着脱自在に枢着される。なおトツ
プリンク１８はターンバツクルにより伸縮自在で
ある。１９は取付枠１０の前端下隅部の内側に補
強板２０，２１を介して装着された取付台で、こ
の取付台１９と取付枠１０とにまたがつて挿抜自
在な枢支ピン２２，２３によりロアリンク２４及
びリフトシリンダ２５が着脱自在に枢着されてい
る。つまり、ロアリンク２４及びリフトシリンダ
２５は取付枠１０の内方、即ち前車軸受台２の横
幅以内に枢着されており、前車軸受台２近傍にお
ける横方向外方への突出部ができるだけ少なくな
るようにしている。ロアリンク２４は左右一対あ
り、トラクタ車体１から前方に突出した状態で枢
支ピン２２により上下動自在に枢支される。リフ
トシリンダ２５はロアリンク２４昇降用であつ
て、各ロアリンク２４に対応して左右一対あり、
このリフトシリンダ２５の一端は枢支ピン２６を
介してリフトアーム２７に連結される。リフトア
ーム２７は連結部材１４によりその軸心廻りに上
下動自在に枢支され、このリフトアーム２７の前
端には各ロアリンク２４に連結されたリフトロツ
ド２８が枢着されている。なおロアリンク２４は
両端にボール継手を有する。２９はロアリンク２
４の左右揺動を規制するチエツクチエーンで、タ
ーンバツクル３０により伸縮調整自在であり、か
つ各取付枠１０の内側に取付けられたチエツクチ
エーン取付具３１に、枢支ピン２２と同一軸心上
の取付ピンにより着脱自在に連結されている。３
３は前装作業機である。３４は前部動力取出装置
で、左右の取付枠１０間において前車軸受台２の
前面にスペーサ３５を介して複数本の取付ボルト
３６により着脱自在に取付けられており、この前
部動力取出装置３４は後部側の一部がボンネツト
５のライトグリル部の下側に入込んだ状態にあ
り、またこの前部動力取出装置３４の側方部位に
ロアリンク２４及びリフトシリンダ２５の枢支ピ
ン２２，２３が配置されている。前部動力取出装
置３４は入力軸３７と出力軸（前部PTO軸）３
８とを有し、その入力軸３７はクラツチ３９、伝
動軸４０を介してエンジン３のクランク軸４１に
着脱自在に連結されている。４２は左右一対の取
付枠１０間に架設された接当部材で、前車軸受台
２の前面２ａに接当し、作業機上昇時にリフトシ
リンダ２５を経て枢支ピン２３に作用する力、及
び作業機後押し時にロアリンク２４を経て枢支ピ
ン２２に作用する力を前車軸受台２の前面２ａ側
に伝達するためのものである。なお、この場合、
リフトシリンダ２５及びロアリンク２４の軸線が
前車軸受台２の前面２ａの高さ範囲内を通るよう
に構成されている。トツプリンク１８及び左右一
対のロアリンク２４により三点リンク機構が構成
される。

こうして前装作業機用の取付・駆動系が構成さ
れる訳であるが、作業機の機種によつては旧来か
らの正転駆動のみの動力取出装置では限界があ
り、これに代わつて正逆転切替の可能な装置の提
供が要求され、本出願人においてもその具体的装
置を創作し提案に及んだ処である。

即ち、第５図乃至第７図に示したものがその一
実施例である。

その全体的な概様を説明すると、４３は後部ケ
ース４４と前部ケース４５とをボルト４６………
で合着し一つとなした動力取出ケースであり、同
ケース４３の上部及び下部には夫々前後方向に向
く入力軸３７と出力軸３８とが装架されこれらを
軸受体４７………にて回転自在に支持して成る。
入力軸３７の前端にはカラー４８の後方を介して
正転駆動ギヤ４９が固着されまたその後方にデイ
スタンスカラー５０を介して逆転駆動ギア５１が
固着されている。

これら各ギア４９，５１は油路５２，５２をも
つ、一方下部の出力軸３８には前部に正転従動ギ
ア５３が遊転装備され、これが上部の正転駆動ギ
ア４９に所要の減速比のもとに常噛されると共
に、後方には逆転従動ギア５４を遊転装備してあ
る。これら各ギア５３，５４には油路５２，５２
が形成されると共にその間にシフタ５５が配備さ
れ外部からレバー５６及びシフトフオーク５７を
応動することによつて各従動ギア５３，５４端部
の咬合歯５８，５８に選択的に唆合自在とされ出
力軸３８に伝動自在とされている。

こうして入力系と出力系を構成した訳である
が、逆転伝動系について構成されるアイドル軸５
９と入力側アイドラ６０及び出力側アイドラ６１
それにその軸受手段等が位置的に又支持強度上ど
のような関係で構成されるかがここで問題となつ
てきた。

この発明ではこうした点に鑑み正逆転型動力取
出装置に今一応の配慮をなしたものであり、従つ
てここに特徴とする処は、車両に備えた動力取出
ケース４３に入力軸３７と出力軸３８とアイドル
軸５９とを設け、入力軸３７に正転駆動ギヤ４９
と逆転駆動ギヤ５１とを設け、出力軸３８に、正
転駆動ギヤ４９に噛合する正転従動ギヤ５３と、
逆転従動ギヤ５４とを遊転自在に設けると共にこ
れら従動ギヤ５３，５４を該出力軸３８に選択的
に結合するシフタ５５を設け、アイドル軸５９
に、逆転駆動ギヤ５１と逆転従動ギヤ５４とに
別々に噛合する入力側アイドラ６０と出力側アイ
ドラ６１とを備え、アイドル軸５９の一端を動力
取出ケース４３に、他端を該動力取出ケース４３
から内方に突出した軸支壁６３により支承し、こ
の軸支壁６３と入力側アイドラ６０とを両者従動
ギヤ５３，５４間の空間に入込み状に設けた点に
ある。

以下、前述の実施例を前提としその要部を説明
する。

即ち、前部ケース４５内には、第６図示のよう
に一体的な軸支壁６３が内空間へと突設されその
中央にボール型軸受体４７を嵌装して成る。この
軸受体４７にアイドル軸５９の前端を軸承させる
一方後端については後部ケース４４に後方突出状
に窪設した軸承孔６２内にニードル型軸受体４
７′を介して軸承させてある。

このアイドル軸５９の前部には、逆転駆動ギア
５１に噛合する大径側の入力側アイドラ６０が、
またその後部には小径側の出力側アイドラ６１が
取付けられており、ここで特に配慮した処は、出
力系の前後の従動ギア５３，５４間が正逆切替の
ためのシフタ５５等の存在により必然的に所要の
前後空間を置いて配置されることを旨く利用し、
その間に軸支壁６３と前部の入力側アイドラ６０
とを入込み状に対応配置した点である。こうした
ことによりアイドル系を出力系よりも可成り上方
に避けて配置する必要がなくなり、ケース４３の
コンパクト化が達成されたものである。またコン
パクトにすると軽量安価になると共に剛度もアツ
プし、また出力系を基準にすると低く位置するか
ら油潤滑性能もアツプすることとなつた。

他の特徴点は、前述の如く出力側アイドラ６１
が小径側となることから大径側の入力側アイドラ
６０よりも伝動トルクが大きくなり、そのまま双
方をボールベアリング１個で支承したのでは当然
乍ら小径な出力側アイドラ６１の方の軸端に大き
い負荷が作用するのであり、従つてここで今一つ
考慮をし、アイドル軸５９の後端については軸受
長の長いニードル型軸受体４７′を介装して対処
したものである。勿論この場合実質的な軸受能力
の大小を問題とするのであるからニードルに代え
て２列以上のボールベアリングで構成してもよ
い。

尚、補足的に上記実施例の構成点を説明する
と、第６図６４は前車軸受台２又は接当部材４２
上に突出固定されたＬ型補助ブラケツトであり、
これを介して動力取出ケース４３の左側上部の取
付ボス６５を取付固着してある。これは第６図仮
想線Ａのように正転のみのケース４３であれば取
付ボルト３６………を正４点配置にできるが、第
６図実線ケースのように上肩がアイドル系で膨隆
した格好となればその外部近傍部材との位置的制
約を受けるから正位置にボルト３６を配置できな
いか困難であることに基く。又、６６はケース４
３前面に突設した給油部である。

この発明は以上の如くであり、出力軸３８上の
正転従動ギヤ５３と逆転従動ギヤ５４との間に、
これら従動ギヤ５３，５４を出力軸３８に選択的
に結合するためのシフタ５５があり、これによつ
て必然的に形成される空間を利用して、アイドル
軸５６を支持する軸支壁６３と入力側アイドラ６
０とを該空間に入込み状に設けているので、装置
全体を小型化し軽量化を図ることができる。また
アイドル軸５９上に、入力軸３７の逆転駆動ギヤ
５１と出力軸３８の逆転従動ギヤ５４とに別々に
噛合する入力側アイドラ６０と出力側アイドラ６
１とを設け、その入力側アイドラ６０を前述の如
く従動ギヤ５３，５４間の空間に入込ませている
ので、逆転側の減速比を大きく取ることができ
る。従つて、本発明によれば、小型かつ軽量で、
逆転時の減速比の大きな正逆転切替型動力取出装
置を提供することができるに至つたものである。

尚、この発明は、後部その他の動力取出装置と
しても実施する予定がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一例を示すトラクタ側面
図、第２図はその前部側面図、第３図はその平面
図、第４図はその正面図、第５図は動力取出装置
の拡大断面図、第６図は第５図−線断面図、
第７図は他部の断面図である。 ３４……前部動力取出装置、３７……入力軸、
３８……出力軸、４３……動力取出ケース、４９
……正転駆動ギア、５１……逆転駆動ギア、５３
……正転従動ギア、５４……逆転駆動ギア、５９
……アイドル軸、６０……入力側アイドラ、６１
……出力側アイドラ、６３……軸支壁。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 車両に備えた動力取出ケース４３に入力軸３
   ７と出力軸３８とアイドル軸５９とを設け、入力
   軸３７に正転駆動ギヤ４９と逆転駆動ギヤ５１と
   を設け、出力軸３８に、正転駆動ギヤ４９に噛合
   する正転従動ギヤ５３と、逆転従動ギヤ５４とを
   遊転自在に設けると共にこれら従動ギヤ５３，５
   ４を該出力軸３８に選択的に結合するシフタ５５
   を設け、アイドル軸５９に、逆転駆動ギヤ５１と
   逆転従動ギヤ５４とに別々に噛合する入力側アイ
   ドラ６０と出力側アイドラ６１とを備え、アイド
   ル軸５９の一端を動力取出ケース４３に、他端を
   該動力取出ケース４３から内方に突出した軸支壁
   ６３により支承し、この軸支壁６３と入力側アイ
   ドラ６０とを両者従動ギヤ５３，５４間の空間に
   入込み状に設けたことを特徴とする車両における
   正逆転切替型動力取出装置。