JPS6332822Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は外壁構造に関するものである。

従来の大壁構法を用いたプレハブ住宅の外壁
は、第１図および第２図に示すようにして施工し
ている。施工手順に従つて詳説すると、つぎのと
おりである。

(1) ラチス梁１を、上弦材１ａ，下弦材１ｂ，斜
材１ｃ，溝形冠部１ｄで構成して、柱（図示省
略）間に架設する。この場合、ラチス梁１上に
はＬ形壁パネル受金具２を溶接固定する。

(2) ２階壁パネル３を、その下枠３ａに設けた溝
３ｂを介して、壁パネル受金具２上に嵌合載置
する。

(3) １階壁パネル４を、両取付金具５，６を用い
て、ラチス梁１へ連結する。すなわち、一方の
取付金具５を１階壁パネル４の上端面へビス止
めし、この取付金具５と他方の取付金具６とで
溝形冠部１ｄの室内側フランジ１ｅを挾持し
て、両取付金具５，６をボルト７，ナツト８で
連結することにより、１階壁パネル４をラチス
梁１へ取付ける。また、１階壁パネル４の上端
面屋外側に横木９を固着する。

(4) ラチス梁１の屋外側に梁カバー１０を取付け
る。この梁カバー１０は、その屋外面上端コー
ナ部に凹段部１１を有し、裏面上部に梁カバー
下地材１２を固着する。また、Ｚ形水切板１３
の中央横片１３ａを梁カバー１０の上端面に沿
わせ、下部縦片１３ｂを凹段部１１に嵌合して
釘１４により梁カバー１０へ固定する。この場
合、下部縦片１３ｂの屋外面と梁カバー１０の
屋外面は同一平面に揃える。これら梁カバー１
０および水切板１３の取付けは、水切板１３の
上部縦片１３ｃを２階壁パネルの３の嵌合溝３
ｃ内へ嵌合するとともに、梁カバー下地材１２
の下面をラチス梁１の上端面に載置して、梁カ
バー下地材１２の背面を壁パネル受金具２へビ
ス１５により固定し、さらに梁カバー１０の下
端を横木９へ釘打固定する。

(5) Ｚ形水切板１３の下部縦片１３ｂの屋外面か
ら梁カバー１０の屋外面上部にかけてクロス１
６を貼り、エポキシ樹脂で接着する。

(6) Ｚ形水切板１３と２階壁パネル３の目地部
に、バツクアツプ材１７を介して伸縮性コーキ
ング材１８を充填する。

(7) 梁カバー１０と１階壁パネル４の目地部にコ
ーキング材１９を充填する。

(8) 伸縮性コーキング材１８の領域を避けて、２
階壁パネル３，梁カバー１０，コーキング材１
９，１階壁パネル４の各屋外面へ塗料を吹き付
けることにより、塗膜層２０を積層形成する。

このように、建物外壁面に伸縮性コーキング材
１８の領域を避けて塗膜層２０を形成したのは、
かりに建物外壁に加わる応力により２階壁パネル
３と梁カバー１とが相対的に接近，離隔移動した
としても、伸縮性コーキング材１８だけが伸縮し
て、塗膜層２０には一切亀裂が発生しないように
するためである。また、伸縮性コーキング材１８
の背部に水切板１３を配したのは、コーキング材
１８の配設領域においては塗膜層２０を設けてい
ないため、その分だけ水切性能が低下するので、
その水切性能を良好に維持するためである。さら
に、水切板１３と梁カバー１０の接合部にクロス
１６を接着したのは、水切板１３が梁カバー１０
へ強固に固定されないと、それら接合部に対応す
る塗膜層２０の領域にクラツクを発生することと
なるため、それを防止するためである。ところ
が、Ｚ形水切板１３の下部縦片１３ｂと梁カバー
１０の屋外面とが同一平面上に位置するため、ク
ロス１６の接着性が悪くなつてクラツク防止を確
実に図れなくなるとともに、クロス１６の納まり
も悪くなつてクロス１６に対応する塗膜層２０の
領域が屋外側へ膨出して美感を損なうという問題
を有していた。

したがつて、この考案の目的は、塗膜層の亀裂
発生を確実に防止でき、美感にも優れる外壁構造
を提供することである。

この考案の一実施例を第３図および第４図を用
いて説明する。すなわち、この外壁構造は、第１
図および第２図に示すＺ形水切板１３に代えて、
第３図および第４図に示す略Ｚ形水切板２１を用
いる。この水切板２１は、上部縦片２１ａと中央
横片２１ｂと下部縦片２１ｃをＺ形に配し、中央
横片２１ｂから屋外側へ水平に突片２１ｄを突設
したもので、上部縦片２１ａを２階壁パネル３の
嵌合溝３ｃに嵌合し、中央横片２１ｂを梁カバー
１０の上端面から梁カバー下地材１２の上端面に
沿わせ、下部縦片２１ｃを凹段部１１の垂直面へ
沿わせて釘２２により固定する。この場合、突片
２１ｄの先端を梁カバー１０の屋外面と同一平面
上に配する。そして、突片２１ｄと下部縦片２１
ｃと凹段部１１の水平面とで囲む凹部に接着剤含
浸クロス２３を充填し、クロス２３の屋外面を梁
カバー１０の屋外面と同一平面上に配する。その
他の構成は従来例と同一であるので、同一部分に
同一符号を付してその説明を省略する。

このように、水切板２１に突片２１ｄを形成し
てその突片２１ｄと下部縦片２１ｃと凹段部１１
の水平面とで囲む凹部に接着剤含浸クロス２３を
充填したため、クロス２３の接着性が向上し、言
い換えれば、水切板２１がクロス２３により梁カ
バー１０へ強固に固定されるので、水切板２１と
梁カバー１０の接合部に対応する塗膜層２０の領
域に亀裂が発生するのを確実に防止できる。ま
た、クロス２３の納まりも向上し、すなわちクロ
ス２３の屋外面を梁カバー１０の屋外面と同一平
面に揃えることができるため、クロス２３に対応
する塗膜層２０の領域が屋外側へ膨出することも
なく、建物外壁面の美感も向上する。

以上のように、この考案の外壁構造は、梁と、
この梁上に立設した壁パネル受金具と、この壁パ
ネル受金具上に設置して下端面屋外側端部に嵌合
溝を形成した壁パネルと、前記梁の屋外側に被覆
配置して上端面を前記壁パネルの下端面屋外側端
部に対向配置するとともに屋外面上端コーナ部に
凹段部を形成した梁カバーと、この梁カバーの裏
面上端に固着され背面を前記壁パネル受金具へ固
定した梁カバー下地材と、上部縦片を前記嵌合溝
に嵌合して中央横片を前記梁カバーの上端面に沿
わせるとともに下部縦片を前記凹段部の垂直面に
沿わせて中央横片から屋外側へ水平に突出した突
片の先端を前記梁カバーの屋外面と同一平面上に
配した略Ｚ形水切板と、前記突片と下部縦片と凹
段部水平面とで囲む凹部に充填して屋外面を前記
梁カバーの屋外面と同一平面に揃えた接着剤含浸
クロスと、前記水切板の中央横片と前記壁パネル
下端面間の目地部へ充填したコーキング材と、こ
のコーキング材を避けて前記壁パネル，クロス，
梁カバーの各屋外面へ積層した塗装膜とを備えて
いるため、塗膜層の亀裂発生を確実に防止でき、
美感にも優れるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例の断面図、第２図はその要部拡
大断面図、第３図はこの考案の一実施例の施工途
中を示す断面図、第４図はその施工後の要部断面
図である。 １……ラチス梁、２……壁パネル受金具、３…
…２階壁パネル、３ｃ……嵌合溝、１０……梁カ
バー、１１……凹段部、１２……梁カバー下地
材、１８……コーキング材、２０……塗膜層、２
１……略Ｚ形水切板、２１ａ……上部縦片、２１
ｂ……中央横片、２１ｃ……下部縦片、２１ｄ…
…突片、２３……接着剤含浸クロス。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 梁と、この梁上に立設した壁パネル受金具と、
   この壁パネル受金具上に設置して下端面屋外側端
   部に嵌合溝を形成した壁パネルと、前記梁の屋外
   側に被覆配置して上端面を前記壁パネルの下端面
   屋外側端部に対向配置するとともに屋外面上端コ
   ーナ部に凹段部を形成した梁カバーと、この梁カ
   バーの裏面上端に固着され背面を前記壁パネル受
   金具へ固定した梁カバー下地材と、上部縦片の前
   記嵌合溝に嵌合して中央横片を前記梁カバーの上
   端面に沿わせるとともに下部縦片を前記凹段部の
   垂直面に沿わせて中央横片から屋外側へ水平に突
   出した突片の先端を前記梁カバーの屋外面と同一
   平面上に配した略Ｚ形水切板と、前記突片と下部
   縦片と凹段部水平面とで囲む凹部に充填して屋外
   面を前記梁カバーの屋外面と同一平面に揃えた接
   着剤含浸クロスと、前記水切板の中央横片と前記
   壁パネル下端面間の目地部へ充填したコーキング
   材と、このコーキング材を避けて前記壁パネル、
   クロス、梁カバーの各屋外面へ積層した塗膜層と
   を備えた外壁構造。