JPS6330347Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は、後方からの回動操作により化粧芯が
前進後退される化粧品繰出容器において、化粧芯
を摩損させることが極めて少なく、しかもガタ
き・横ブレなどを生じることなく高度に安定に保
持して前後動させる、回動防止機能を兼備した化
粧芯の摩損防止摺接案内構造を有する化粧品繰出
容器に関する。

〔従来技術とその問題点〕

通常、繰出容器に使用される化粧芯は断面が円
形である。従来の繰出容器の構造は、このような
円形断面化粧芯を円筒状の筒内に収容し、同じく
基本的には円筒形の輪郭を有する芯チヤツクを前
記筒内に収容して化粧芯後端を把持させ、芯チヤ
ツク後端に回動繰出機構と連結されて回動繰出機
構の回動により直線的に前後動される押棒を取付
け、こうして化粧芯を円筒形孔壁に摺接させつつ
前後に案内するものであつた。

このような従来の構造において、化粧芯がガタ
つかないようにするには化粧芯の外周面をなるべ
く大きい面積で円筒形孔壁に摺接させることが必
要である。しかし、そうすると、ガタつきは防止
されるものの、化粧芯の外周面が孔壁にこすられ
て摩損する度合いが大きくなり、また柔かい化粧
芯の場合には孔壁との摩擦抵抗が増大するなどの
不具合があつた。また、化粧芯をつかむ芯チヤツ
クの爪は化粧芯の円形輪郭より外側にあるから、
この爪をなるべく薄肉にしないと、芯と円筒形孔
壁との隙間が大きくなつて芯のガタつきが大きく
なる不都合があるが、余り薄くすると芯を把持す
る爪の力が弱くなる欠点があつた。爪を薄くしな
いで十分な把持力をもたせるためには、爪を孔壁
の肉厚分に追い込む、すなわち円筒形孔壁に爪を
収容する凹溝を刻設することが必要であつたが、
円筒形孔壁に凹溝を形成することは煩雑な作業で
あり、製作費を高騰させる欠点があつた。

〔考案の目的〕

本考案はこのような事情を考慮してなされたも
ので、その目的は、後方からの回動操作により化
粧芯が前後動される化粧品繰出容器において、化
粧芯の周面の摩損を最小にして、しかも化粧芯の
ガタつき・横ブレなどが最大限に防止して安定に
化粧芯を把持案内することができ、さらに回動操
作に対しそれ自体で回動防止機能を発揮する化粧
芯の摩擦防止摺接案内構造を有する化粧品繰出容
器を提供することにある。

〔考案の概要〕

本考案は、断面円形をなす化粧芯の外周に外接
する三角形、四角形、五角形等々の多角形状、ま
たは該多角形の頂点（隅角）を若干そいだ多角形
相当形状の断面形状をなす案内孔を先筒（または
案内筒）の中に貫通して設け、この先筒（案内
筒）の中に前記案内孔の孔壁に実質上すき間なく
摺接する外壁を有する、前記多角形状または多角
形相当形状に対応する多角形状または多角形相当
形状の断面形状の化粧芯把持体を摺動可能に収納
し、該把持体には内周壁が化粧芯の外周を密嵌さ
せる円弧切片をなす把持爪を前記多角形状または
多角形相当形状の頂点または頂点相当部分の数に
相当する数だけ設け、隣接する各把持爪の間には
化粧芯の外周一部を前記案内孔の孔壁に事実上線
接触させるに足る間隔を設け、前記把持体の後方
は回動可能な螺旋繰出機構と係合させて成る、化
粧芯を事実上摩損させることなく安定に摺接案内
することのできる化粧品繰出容器を提供するもの
である。

〔考案の実施例〕

第１図は、本考案の基本的実施例である断面三
角形の案内孔と三角形輪郭の化粧芯把持体を組合
せて示す横断面図であり、第２図は第１図の化粧
芯把持体を鎖線で表わす案内筒と共に示した斜視
図である。

第１，２図において、１は横断面が円形をなす
化粧芯、例えば眉墨、アイライナー、アイシヤド
ウなどである。この化粧芯１が内接する三角形の
断面形状をした案内孔２が案内筒３の中に形成さ
れる。案内孔２は、直線的な３辺からできている
ので、円形の化粧芯１は第１図にａで示す如く線
接触で案内孔２に接触し、少ない摩擦抵抗でガタ
つきなく孔壁上を案内される。４は三角形の各頂
点である。三角形の案内孔２の中には、ほぼ同一
の三角形輪郭の中に納まる化粧芯把持体５が摺動
自在に挿入される。三角形把持体５には、各頂点
４付近から化粧芯１の円周にまで延びる３本の化
粧芯把持爪６が、第２図に示すように、或る軸線
方向長さにわたつて形成される。各把持爪６は、
化粧芯１と案内孔２との線接触部を少なくともあ
けるように互いに離間されている。各把持爪の化
粧芯１を把持する面は、第１図の断面で見られる
とおり、円弧切片である。

案内孔２内において、化粧芯把持体５は把持爪
６の外側の直線状外側面７により直線的な孔壁と
摺接して案内される。従つて、把持体５の三角形
の各頂点は必らずしも尖鋭状にする必要はなく、
例えば第１図に鎖線８で示すように、若干そぎ落
しても把持体の安定な摺動に影響を与えない。そ
れに対応して案内孔２の各頂点４も尖頂でなく、
若干角を削つた形（第４図参照）にすることがで
きる。重要なのは、化粧芯１を線接触で案内する
直線的な辺と、同じ辺が把持体の外側壁を摺接さ
せて案内することができることである。このよう
に、多角形の各頂点（隅角）を多少切除した形を
本考案においては「多角形相当形状」という。

また、把持体の輪郭をなす多角形は、通常案内
孔の断面形状の多角形状よりわずかに小さい（相
似形）ものとするが、把持体の外側壁及び孔壁を
滑りのよい材質とし、把持体を若干弾性圧縮可能
な材質とした場合は、両多角形を実質上同一寸
法、乃至把持体をわずかに大きめの寸法に形成す
ることもできる。やや大きめの把持体を案内孔に
押込んだ場合は、把持爪６の化粧芯把持力が増大
する。

化粧芯把持体５の後半部９は、第２図に示すよ
うに、好適には把持爪６を形成している前半部と
一体のものとして後方へ延長され、後端に形成し
た凸部９ａは周知の螺旋繰出機構（例えば第３図
に示す軸筒２０）の内周螺旋と係合する。螺旋繰
出機構を回動させると、把持体５の部分で案内孔
２が回動防止形状になつているから、凸部９ａ
は、回転力ではなく、直線的な力だけを前方へ伝
達する。従つて、後半部９は、ねじれに十分抵抗
し得るものである限り、もはや三角形状である必
要はなく、また把持爪６を有する部分と一体に形
成されている必要もない。

以上のように本考案によれば、直線的な案内孔
２の孔壁各辺に円形の芯１を線接触させて案内す
るから、芯１のガタつき・横ブレなどは最大限に
防止されると共に芯１と案内孔２との接触部は事
実上極小であるから芯の摩損は最小限となる。し
かも、把持爪６は三角形の頂点対応部に位置する
ので、その厚みを減じる必要がなく、十分な把持
力を発揮することができる。さらに、把持体５と
その案内孔２との三角形状（その他の多角形状）
輪郭をそのまま回動防止にも利用することができ
るので、従来のように回動式螺旋繰出機構とそれ
に駆動される押棒との間に別個の回動防止部材を
配置する必要もなくなる。

次に、第３図は本考案の思想を具現した化粧品
繰出容器の好適実施例を示す縦断面図であり、第
４図は第３図４−４線における横断面拡大図であ
る。

化粧芯１が内接する三角形状断面の貫通孔（案
内孔）１２が先筒（案内筒）１３内に形成され
る。三角形の各頂点に相当する部分１４は、やや
丸みをもつて切除されている。この貫通孔１２と
ほぼ同一の三角形状輪郭をもつ化粧芯把持体１５
が貫通孔１２内に摺動自在に挿入される。把持体
１５は３本の把持爪１６を三角形の頂点相当位置
に有している。これに後端を把持された化粧芯１
は、各把持爪１６の間隔の中心で貫通孔１２の孔
壁各辺と線接触している。把持体１５は一体に後
方へ進退軸１９として延長され、後端に凸部１９
ａを有する。前記のように、進退軸１９の断面形
状はもはや三角形でなくてもよく、例えば丸棒で
もよい。

先筒１３の外周は、段部１３ａで軸筒２０の先
端と接合され、先筒後半部の外周に設けた小凸起
１３ｂと軸筒２０の肉薄部内周の対応する凹条と
で互いに相対回動自在に連結される。軸筒２０の
後方部分の内周には螺旋凹条２０ａが設けられ、
これと前記凸部１９ａが係合して進退軸１９及び
化粧芯把持体１５に直線的な運動を与える。前述
のように、軸筒２０と進退軸１９との間には、従
来のような回動防止部材を設ける必要がない。

このように、この好適実施例は、前記基本的実
施例と同様に、化粧芯１を貫通孔１２との線接触
で案内するので、化粧芯１の安定度を最大にしつ
つその摩損を最小にする効果を有するほか、先筒
と把持進退軸と軸筒とのわずか３点の部品だけで
化粧品繰出容器を構成できるので、製作組付けを
極めて簡易化し迅速化し安価ならしめることがで
きる。

本考案の断面四角形、五角形及び六角形とした
場合の実施例を、それぞれ第５，６図、第７図及
び第８図に示す。

第５図において、化粧芯１が内接ａする断面四
角形の案内孔２２が案内筒２３内に形成される。
四角形の各頂点に対応する４本の把持爪２６を有
する化粧芯把持体２５が案内孔２２に摺動自在に
挿入される。案内筒２３の外形は、四角形状に示
されているが、これに限らない。化粧芯１は、各
把持爪２６の間隔の間で案内孔２２の各辺と線接
触して案内される。把持体２５と案内孔２２との
四角形輪郭が回動防止機能をも果たすので、第６
図に示すように押棒２９は丸棒でもよい。押棒２
９の後端（図示しない）には螺旋繰出機構と係合
する凸部が形成される。

第７図は五角形断面の実施例であり、適宜の外
形輪郭をもちうる案内筒３３内に断面五角形の案
内孔３２が形成され、ここに５本の把持爪３６を
もつ化粧芯把持体３５が摺動自在に挿入される。
把持体３５に後端を把持された化粧芯１は、各把
持爪の間隔から案内孔３２の各辺に線接触ａして
案内される。

六角形断面の場合は第８図に示される。この場
合も、適宜外形輪郭を取りうる案内筒４３の中に
六角形の案内孔４２が形成され、ここに６本の把
持爪４６をもつ化粧芯把持体４５が摺動自在に挿
入され、これに後端を把持された化粧芯１が孔壁
各辺と線接触ａで摺接案内される。第７図及び第
８図の場合とも、把持体の後方は、第２，３，６
図などと同様に進退軸として延長される。

〔考案の効果〕

本考案によれば、断面多角形状に形成した案内
孔の孔壁各辺に内接線接触させて化粧芯を案内す
るから、摩損を最小にし安定度を最大にして化粧
芯を前進後退させることができる。そして案内孔
の断面形状と実質的に同一の多角形状に化粧芯把
持体の外形輪郭を形成するから、把持体自体に回
動防止機能をもたせることができ、他の特別の回
動防止機能を設ける必要を省くことができる。ま
た多角形状輪郭の各頂点相当部に化粧芯把持体の
把持爪を位置させるから、把持爪の肉厚を薄くす
る必要もなく、また案内孔の孔壁に把持爪を追い
込むための凸溝などを加工する必要もなくすこと
ができ、案内孔壁は直線的な平面の集合であるか
ら加工を極めて容易にすることができる等、多大
の効果が奏せられる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の基本的実施例の横断面図、第
２図は第１図の化粧芯把持体の一部切除した斜視
図で案内筒は鎖線で示し、第３図は本考案の好適
実施例の縦断面図、第４図は第３図４−４線にお
ける横断面拡大図、第５図は本考案の断面五角形
の実施例の横断面図、第６図は第５図の化粧芯把
持体の一部切除した斜視図、第７図は本考案の断
面五角形の実施例の横断面図、第８図は本考案の
断面六角形の実施例の横断面図である。 主要符号、１…化粧芯、２…断面三角形の案内
孔、５…三角形輪郭の化粧芯把持体、６…把持
爪、９…後半部、１２…断面三角形状の案内孔
（貫通孔）、１３…先筒（案内筒）、１５…三角形
状輪郭の化粧芯把持体、１６…把持爪、２２…断
面四角形の案内孔、２５…四角形輪郭の化粧芯把
持体、２６…把持爪、３２…断面五角形の案内
孔、３５…五角形輪郭の化粧芯把持体、３６…把
持爪、４２…断面六角形の案内孔、４５…六角形
輪郭の化粧芯把持体、４６…把持爪。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 断面円形の化粧芯１に外接する三角形、四角
   形、五角形等々の多角形状、または該多角形状の
   頂点部分をそいだ多角形相当形状の断面形状をな
   す案内孔２，１２…を先筒３，１３…の内部に設
   け、 前記案内孔の孔壁に事実上すき間なく摺接する
   外壁を有する、前記多角形状または多角形相当形
   状に対応する多角形状または多角形相当形状の断
   面形状をなす化粧芯把持体５，１５…を前記案内
   孔の中に摺動可能に収納し、 該化粧芯把持体５，１５…には内周壁が化粧芯
   の外周を密嵌させる円弧切片をなす把持爪６，１
   ６…を前記多角形状または多角形相当形状の頂点
   または頂点相当部分４，１４…の数に相当する数
   だけ設け、 隣接する各把持爪の間には化粧芯の外周一部を
   前記案内孔の孔壁に事実上線接触させるに足る間
   隔をあけ、 前記把持体５，１５…の後方は回動可能な螺旋
   繰出機構に係合させて成る、化粧芯の摩損防止摺
   接案内構造を有する化粧品繰出容器。