JPS6328592Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は小形、高品質の防埃タイプのトリマコ
ンデンサに関するものである。

従来例の構成とその問題点 従来のこの種のトリマコンデンサは、第１図に
示すように構成されている。すなわち、先端に接
触部を有するステータ端子１を底辺にインサート
モールドしかつ有底筒状に形成された合成樹脂製
の絶縁ケース２を備え、この絶縁ケース２の内部
に、上部の開口から順次、ステータ電極３を下面
に有しかつセラミツク誘電体よりなるステータ４
を回転不自在に嵌合するとともに、メタルロータ
５を回転自在に嵌合して積重ね、そして絶縁ケー
ス２の上部の開口に、ロータ端子６を有しかつ接
触部にばね性を有するスプリング７を積重ね、そ
して絶縁ケース２の上端部８を加熱等により折曲
して固定し、スプリング７が飛び出さないように
配設することにより構成されている。

このような構造のトリマコンデンサにおいて
は、下記のような問題がある。

すなわち、絶縁ケース２内に積重ねたステータ
４、メタルロータ５、スプリング７は絶縁ケース
２の上端部８を加熱等により軟化させることによ
り、折曲げして固定する構造となつているが、絶
縁ケース２の上端部８の折曲げ部分は溶融から固
着するまでの間に寸法変化が起るため、溶融によ
る折曲げ固定は非常に不安定な固定方法で、回転
トルク等の機械的特性がバラツキ、その結果トリ
マコンデンサの構造として不安定である。

また、絶縁ケース２の合成樹脂材料は、熱によ
り軟化し、溶融、固着できることが必要で、耐熱
特性の悪い材料からなつているため、プリント基
板取付けの際のはんだ熱等により、樹脂が熱変化
を起しやすく、長期間の耐熱特性においても変化
が大きい。

また、ロータ端子６は絶縁ケース２の外周に沿
つて折曲げることにより形成されており、ステー
タ端子１のように絶縁ケース２にインサートモー
ルドされていないため、ステータ端子１、ロータ
端子６をプリント基板にはんだ付け固定の際に、
はんだフラツクスがロータ端子６をつたつて、絶
縁ケース２の上端部８まであがり、その結果スプ
リング７の表面および接点部９まではんだフラツ
クスが付着する。この場合、スプリング７の接点
部９とメタルロータ５の接触部分にフラツクスが
介在することになり、導通不良等の問題が発生す
る。

考案の目的 本考案はこのような従来の欠点を除去するもの
で、トリマコンデンサの構造の安定化をはかると
ともに、フラツクス上がり等の問題点をなくすこ
とを目的とするものである。

考案の構成 この目的を達成するために本考案は、軸を備え
たロータ端子とステータ端子を一定の間隔をもつ
て底部にインサートモールドした有底筒状の絶縁
体よりなる絶縁ケースを備え、この絶縁ケースの
内部に、接触片とステータ電極を形成したステー
タとを前記軸に貫通させた状態で配設するととも
に、前記接触片を介してステータ端子とステータ
電極を電気的に導通させ、かつそのステータ上に
ロータ電極となるメタルロータを前記軸に貫通さ
せて回転自在に支持した状態で配設するとともに
前記メタルロータとステータを圧接するスプリン
グをメタルロータの上面のくぼみ内に前記軸を貫
通させた状態で配設し、軸の上端部をめるとと
もに、上記メタルロータのくぼみ上には段差をつ
けて調整溝を形成したものである。

この構成によつて、絶縁ケースの内部に積重ね
たステータおよびメタルロータはスプリングを介
して軸によつて機械的に結合されているため、絶
縁ケースの上端部は開口したままでよく、絶縁ケ
ースの合成樹脂材料は耐熱性等を考慮して自由に
選択でき、またステータ端子と同様に、ロータ端
子もインサートモールドされているため、ロータ
端子をつたつてフラツクスが上がるという問題も
なくなる。

実施例の説明 以下、本考案の一実施例を示す第２図〜第１０
図の図面を用いて説明する。

第２図において、１０は第３図ａ，ｂに示すよ
うな合成樹脂からなる有底筒状に成形された絶縁
ケースで、第４図ａ，ｂに示すような金属板から
なるステータ端子１１とロータ端子１２とが間隔
を持つて位置した状態で、底辺にインサートモー
ルドされており、ステータ端子１１の先端部に
は、突出加工による接点１３が設けられている。
ロータ端子１２の先端部には孔加工が施されてお
り、この孔を介して第５図に示すようなめ孔１
４，１５およびストツパ１６を有する軸１７が
めにより結合されており、軸１７が結合された第
４図に示す状態で絶縁ケース１０にインサートモ
ールドされている。また、絶縁ケース１０は上面
が開口しており、その内面形状は完全な丸形では
なく、底面部には接点１３の高さより若干高い段
部１８および接点の高さより若干低いくぼみ１９
が設けられている。

２０はスプリングで、このスプリング２０は第
６図ａ，ｂに示すような板ばねで、バネ特性の優
れた金属材料からなり、中央には透孔２１が、外
周にはストツパ２２が設けられている。

次に、メタルロータ２３は第７図ａ〜ｃに示す
ように、金属材料よりなり、中央に透孔２４を有
しかつ下面には半円形状のロータ電極２５とダミ
ー電極２６が形成されている。ロータ電極２５と
ダミー電極２６の下面は面一に形成され、ロータ
電極２５とダミー電極２６を除くメタルロータ２
３の下面は浮遊容量を少なくするため、段差２７
が設けられている。メタルロータ２３の上面には
メタルロータ２３を回転するための調整溝２８お
よびスプリング２０を挿入するためのくぼみ２９
が設けられている。なお調整溝２８は第７図のご
とくくぼみ２９上に段差を設けて形成したもので
ある。

ステータ３０は第８図ａ，ｂに示すように磁器
誘電体３１の下面に外周部分を残した状態で半円
形状のくぼみ３２をもうけ、このくぼみ内に半円
形状のステータ電極３３を銀焼付けやメツキ等に
よつて形成し形成されており、中央に透孔３４を
有している。また、第９図ａ，ｂに示すものは、
絶縁ケース１０の底面部のステータ端子１１の先
端の接点１３上に配置するりん青銅などのバネ特
性の優れた金属材料からなる接触片３５で、上部
に接点３６，３７を有している。

次に、このような構成のトリマコンデンサにお
いては、合成樹脂材料からなりかつロータ端子１
２と結合の軸１７を有する絶縁ケース１０の上部
開口から順次に、接触片３５をステータ端子１１
先端の接点１３上に回転しないように嵌合させ、
その上にステータ３０を接触片３５の上部の接点
３６，３７がステータ電極３３を形成している半
円形状のくぼみ３２内におさまるようにステータ
電極３３を下面にして回転しないように嵌合し、
その上にメタルロータ２３を回転自在に嵌合して
積重ね、さらにスプリング２０をメタルロータ２
３の上面くぼみ２９内に積重ねる。ステータ３
０、メタルロータ２３、スプリング２０のそれぞ
れの中央透孔３４，２４，２１には、絶縁ケース
１０の軸１７が貫通しており、軸１７の上端部３
８をめてステータ３０、メタルロータ２３、ス
プリング２０を一定の圧力で挾持する。この結
果、絶縁ケース１０の底面部のステータ端子１１
の接点１３は、接触片３５の下面部と接触し、接
触片３５の接点３６，３７はステータ３０の下部
の半円形状のステータ電極３３と接触し、導電的
に接続される。

以上の説明において、ロータ端子１２と軸１７
はそれぞれ個別に加工したものをめにより結合
したが、第10図に示すようにロータ端子１２の先
端部分において絞り加工を施し、ロータ端子１２
と一体に軸３９を設けてもよい。この場合、絞り
加工のための加工孔が必要である。また、ステー
タ端子１１の接点１３とステータ３０の下面のス
テータ電極３３とは接触片３５を介して導電的に
接続したが、接触片３５の代りに導電性ゴムや導
電性ペイントを介して導電的に接続することも可
能である。

このような構成でメタルロータ２３の調整溝２
８内に調整用ドライバーをはめこんでメタルロー
タ２３を回転してロータ電極２５とステータ３０
のステータ電極３３の対向面積を変え静電容量の
調整を行なう。スプリング２０のストツパー２２
は、メタルロータ２３の上面調整溝２８内に嵌合
されているため、メタルロータ２３と同時にスプ
リング２０を回転することができる。

考案の効果 以上のように本考案のトリマコンデンサによれ
ば、絶縁ケースの底面部に軸を結合したロータ端
子とステータ端子のそれぞれはインサートモール
ドされており、この絶縁ケース内にケース底面部
くぼみおよび軸を介して接触片、ステータ、メタ
ルロータ、スプリングが収納され、その収納した
構成部品を一定の圧力で押圧、挾持して組立てら
れるため、組立てが容易で、回転トルク等の機械
的特性が安定している。また、絶縁ケースの合成
樹脂材料は耐熱特性の優れた内容のものを使用す
ることができ、電気特性や耐熱特性が優れ、特性
が安定する。しかも、絶縁ケース底面部は完全密
閉のため、はんだ付けの際のフラツクス流れ等の
影響がなく、また基板に取付ける際に、他の部品
と接触してしまうという問題がない。

また本考案ではメタルロータのくぼみ上に段差
をつけて調整溝を形成したものであるので、この
調整溝にドライバーを挿入して調整を行う時に、
そのドライバーの先端がくぼみ内のスプリングに
当接せず、この結果としてスプリングが変形して
荷重変動がおきて各部品間のガタツキがおきた
り、メタルロータの回転トルクが軽くなりすぎた
りせず、安定した特性が維持できるものとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のトリマコンデンサの一例を示す
断面図、第２図は本考案のトリマコンデンサの一
実施例を示す断面図、第３図ａ，ｂは同コンデン
サのケース部分の平面図および断面図、第４図
ａ，ｂは同コンデンサのステータ端子、ロータ端
子の平面図および断面図、第５図は同コンデンサ
の軸の断面図、第６図ａ，ｂは同コンデンサのス
プリングの平面図および断面図、第７図ａ，ｂ，
ｃは同コンデンサのメタルロータの上面図、断面
図および下面図、第８図ａ，ｂは同コンデンサの
ステータの平面図および断面図、第９図ａ，ｂは
同コンデンサの接触片の平面図および断面図、第
１０図は本考案の他の実施例によるトリマコンデ
ンサを示す断面図である。 １０……絶縁ケース、１１……ステータ端子、
１２……ロータ端子、１３……接点、１７……
軸、２０……スプリング、２３……メタルロー
タ、２５……ロータ電極、２８……調整溝、３０
……ステータ、３１……磁器誘電体、３３……ス
テータ電極、３５……接触片。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 軸を備えたロータ端子とステータ端子を一定
   の間隔をもつて底部にインサートモールドした
   有底筒状の絶縁体よりなる絶縁ケースを備え、
   この絶縁ケースの内部に、接触片とステータ電
   極を形成したステータとを前記軸に貫通させた
   状態で配設するとともに、前記接触片を介して
   ステータ端子とステータ電極を電気的に導通さ
   せ、かつそのステータ上にロータ電極となるメ
   タルロータを前記軸に貫通させて回転自在に支
   持した状態で配設するとともに、前記メタルロ
   ータとステータを圧接するスプリングをメタル
   ロータの上面のくぼみ内に前記軸を貫通させた
   状態で配設し、軸の上端部をめるとともに、
   上記メタルロータのくぼみ上には段差をつけて
   調整溝を形成したトリマコンデンサ。 (2) 軸をロータ端子先端部分に絞り加工を施すこ
   とにより構成した実用新案登録請求の範囲第１
   項記載のトリマコンデンサ。 (3) ステータの下面にくぼみを設け、このくぼみ
   内にステータ電極を形成し、接触片をくぼみ内
   に配設してなる実用新案登録請求の範囲第１項
   記載のトリマコンデンサ。