JPS6324718Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、ハニカム構造体を振動板として用
いたスピーカーの改良に関するものである。

第１図はハニカム構造体を振動板として用いた
スピーカーを示す。第１図において、１はハニカ
ム構造体をコーン形に成形した振動板、２はエツ
ジ、３は第２図、第３図にも示すように、振動板
１のハニカムコアー１１と上側、下側スキン１
３，１２との剥離に対する補強を兼ねて、振動板
１とエツジ２とを接着する補強用の接着剤であ
る。また、４はダストキヤツプ、５はフレーム、
６はダンパー、７はポールピース、８はマグネツ
ト、９はプレート、１０はボイスコイルであり、
これらは通常のこの種スピーカーと同様である。

前述したように、スライスされたハニカムコア
ー１１に両側から薄板状のスキン１３，１２を貼
付けたハニカム構造体を第１図に示すコーン形
や、平板形あるいはドーム形に成形し、これを振
動板として用いたスピーカーでは、振動板は、一
般に用いられている紙の振動板に比べて、ヤング
率が大きく、曲げ剛性も大きい点で大きな長所を
もつている。

そして、ハニカム構造体を実際に振動板として
用いる際には、第１図、第２図に示すように、振
動板１の外周部のエツジ２接着個所で、ハニカム
構造体を振動板形状に仕上げる時の切断工程によ
る振動板のハニカムコアーとスキンとの間の剥
離、および振動中に局所的に加わる引剥ぎ力での
剥離現象があり、異常の発生や応答性の劣化を生
じる。これらの剥離現象を防止するためには、振
動板の切断面に露出するセルへの接着剤の塗布が
不可欠であつた。しかし、第１図、第２図の形状
のエツジでは補強用の接着剤３が垂れ落ちるた
め、接着剤の塗布が困難であるという欠点があつ
た。

また、従来の紙製の振動板に比べて機械的損失
が約半分である一般の低損失ハニカム構造体の振
動板では、高次分割共振のレベルを低下させるた
めに、第１図に示すように、発泡ポリエチレンな
どのダンピングシート１４を振動板１に貼付ける
必要があつた。

この考案は、前述した事情に鑑みてなされたも
ので、振動板の外周部の前記剥離現象による異音
発生の防止と、振動板への機械的損失の付加とが
同時にできるようにしたスピーカーを提供するこ
とを目的とするものである。

以下、この考案の一実施例を第４図に基いて説
明する。第４図において、１はハニカム構造体を
コーン形に成形した振動板、２はエツジ、１６は
接着性ダンプ剤である。前記エツジ２は振動板１
の外周部上に当接支持される部分２ｄから外周側
に連続する部分２ａを下方に折曲げ、下方に開端
を有するＶ字形すなわち倒立Ｖ字形の溝１５を振
動板１の外周切断面との間に形成するように成形
し、さらに外周面に断面半円状の部分２ｂを介し
て外側フランジ部２ｃを設けたものである。そし
て、振動板１とエツジ２とを接着した後、前記開
端が上になるように上下を逆にして、接着性ダン
プ剤１６をＶ字形の溝１５の奥に向つて注入充填
することにより、振動板１を構成するハニカム構
造体の外周部を補強すると共に、機械的損失を付
加したものである。なお、この実施例において、
前述した以外の構成は第１図から第３図までに示
した従来例のものと同様であるから説明を省略す
る。

なお、この考案に用いる接着性ダンプ剤として
は、シリコーンゴム、ブチルゴムなどの高損失の
材料でかつ剥離に対する補強目的が達せられるよ
うな十分な接着強度を有するものを用いる必要が
ある。

以上説明したように、この考案によれば、接着
性ダンプ剤を単に同一方向から溝に注入すればよ
く、接着性ダンプ剤の充填量も溝の開端面からの
盛上がり量を目視することにより、容易に規定量
だけ充填でき、前述の目的を達成して品質を向上
させることができ、また加工コストを安価にでき
るという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例のスピーカーを示す縦断面図、
第２図は同要部の拡大縦断面図、第３図は同振動
板の外周部の一部切欠き拡大斜視図、第４図はこ
の考案の一実施例によるスピーカーを示す要部の
拡大縦断面図である。 １……振動板、２……エツジ、１５……倒立Ｖ
字形の溝、１６……接着性ダンプ剤。なお、図中
同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ハニカム構造体を振動板として用いたスピーカ
   ーにおいて、内端側が振動板の外周部上に当接し
   振動板の外周切断面と倒立Ｖ字形の溝を形成する
   ように成形したエツジを備え、上記溝に接着剤を
   充填したことを特徴とするスピーカー。