JPS6324276B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はトーラス型原子炉格納容器を有する原
子力発電所の原子炉建屋の施工方法に関する。

従来の原子炉建屋の施工方法における原子炉格
納容器の据付方法および地下壁の建設方法につい
て第１図を参照しながら説明する。第１図は原子
力発電所の原子炉建屋と原子炉格納容器との関連
を一部側面で示す断面図である。

地盤Ｆを堀削して原子炉建屋１のマツトスラブ
２が完了し、地下壁３の建設用足場４を組み、地
下壁３のコンクリートを打設したのち養生完了
後、トーラス室５の清掃及び足場４の解体を行
い、タワークレーン６によつて原子炉格納容器７
のトーラス８を搬入する。その後トーラス８、組
立用の足場９を設置するが、トーラス８と地下壁
３との間隔は、建屋の構造上約600〜700mm程度と
非常に狭く、通常設置される足場を設置するのが
不可能なため、パイプ等により簡易な足場を組
み、トーラス８の組立を行つている。そして、原
子炉格納容器７の外面塗装を行い、シールド壁１
０及び原子炉建屋１の建設工事を実施し原子炉建
屋を完成させるのである。

しかしながら上記従来の原子炉格納容器７およ
び地下壁３の施工方法は次の様な欠点があつた。

すなわち、原子炉建屋１の地下壁３が完成した
後に原子炉格納容器７のトーラス８を搬入する手
順のためトーラス８の組立開始時期が極めて遅く
なり、したがつて原子炉格納容器組立のクリチカ
ルパスとなつている。また壁があるため機械側の
搬入及び作業が非常に規制をうける。さらにトー
ラス８と地下壁３との間隔が狭くて並行作業が困
難であり、機械側及び建築側工事が各々手待ち工
事となり、工事量の標準化が極めて困難となる。
さらには、足場を建築側または機械側と組替る必
要があり、かつパイプ足場であるため安全上も問
題があつた。この結果、地下壁３の施工及び格納
容器のトーラス８の据付組立が、原子力発電所の
全体建設期間におけるクリチカルパスとなり、原
子炉建屋全体の建設工期が長期におよぶ最大の原
因となつている。

本発明は、以上の事情に鑑みてなされたもので
その目的とするところは、工期の大巾短縮と工数
の低減及び標準化作業上の安全性向上および能率
の向上を図つた原子炉格納容器トーラス８を地下
壁３における原子炉建屋の施工方法を提供するこ
とにある。

すなわち、本発明は、トーラス型原子炉格納容
器７の組立工事を原子炉建屋地下壁３の建設工事
と無関係に組立を開始して、さらに原子炉格納容
器７とトーラス８組立作業とは並行作業で原子炉
建屋地下壁３及び天井１１の建設作業を実施しよ
うとする原子炉建屋の施工方法である。

以下第２図および第３図を参照して本発明の一
実施例を説明する。

第２図は本発明において使用するトーラス８と
地下壁３用の鉄骨型枠形状を示す断面図である。
第３図に示したように、先ず原子炉建屋１のマツ
トスラブ２完了後、タワークレーン６により第２
図のように予め工場及び現場の地上組立場でトー
ラス８と地下壁３の鉄骨型枠１２、鉄骨型枠支持
材１３及びトーラス上部床鉄骨デツキプレート１
１を一体化にしたトーラス８をマツト２上に吊り
込みを行なう。吊り込みが完了したならば、トー
ラス８の据付および組立を開始するとともにトー
ラス室５側に鉄骨型枠１２の設定が終つている地
下壁３の施工を並行作業により行なう。地下壁３
の建設が完了したならば、引き続き鉄骨デツキプ
レート１１が設定されているトーラス室上部の施
工を行なう。トーラス８及び原子炉格納容器７の
据付が完了したならば全体漏洩試験を実施して、
外面塗装完了後、シールド壁１０の施工を開始し
て原子炉建屋１を完成させる。

以上の説明の様に、本発明による原子炉格納容
器およびトーラスの据付による原子炉建屋の施工
方法によれば、原子炉建屋マツトスラブのコンク
リート打設養生後、すぐにトーラスの搬入および
組立、地下壁の建設工事に入いることが出来る。
また機械側、建築側の建設工事とが並行作業を行
えるため、トーラス型原子炉格納容器を有する原
子力発電所の建設工程のクリチカルパスとなつて
いる地下壁とトーラス組立工期が短縮されること
から、原子力発電所の全体工期の大巾な短縮が出
来る。さらにトーラスの搬入は、地下壁・天井の
鉄骨型枠、鉄骨型枠支持材ともに一体化で同時に
吊り込むため、大巾に作業性の向上を図ることが
出来る。

またさらに、従来用いられていたトーラス室の
側面を形成する地下壁のトーラス室に面する側の
型枠を組立てる建設用足場及びトーラスの組立用
の足場を設定することがなくなり、安全性の向上
及び上述した足場の組立、解体作業に費す工期を
短縮させることができる。

なお、本発明において、吊り込みが行なわれた
各々のトーラスの組立に足場が用いられ、さらに
はこの組立作業と並行に行なわれる地下壁のコン
クリート打設時にトーラス室と対向する位置に足
場が用いられる。しかしながらこれらの作業に用
いられる足場はトーラスの吊り込み後であるた
め、工期に規制を与えるものではなく、本発明の
作用効果には影響がない。

これらの種々の効果の総合により原子力発電所
建設工期の大巾な短縮と建設費用の節約は著しい
ものであることは、容易に理解出来る。

以上本発明はその具体的実施例について説明し
たが、本発明はこれら特定の実施例に限定される
ものでなく本発明の精神を逸脱しないで幾多の応
用例および変形例がなし得ることは勿論である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の原子炉建屋の施工方法における
格納容器（トーラス型）のトーラス部分の吊り込
み及び据付状況を一部側面で示す断面図、第２図
は本発明において使用する鉄骨型枠を取付けたト
ーラスの側面図、第３図は本発明による原子炉建
屋の施工方法の一実施例を説明するための格納容
器のトーラス部の吊り込み及び据付状況を一部側
面で示す断面図である。 １……原子炉建屋、２……原子炉建屋マツト、
３……原子炉建屋地下壁、４……建設用足場、５
……原子炉建屋トーラス室、６……タワークレー
ン、７……原子炉格納容器、８……原子炉格納容
器トーラス、９……原子炉格納容器組立用足場、
１０……原子炉建屋シールド壁、１１……原子炉
建屋トーラス天井、１２……鉄骨型枠、１３……
鉄骨型枠支持材。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ トーラス型原子炉格納容器が設置される原子
   力発電所における原子炉建屋の施工方法におい
   て、トーラスを収容するトーラス室の側面を形成
   する地下壁の鉄骨型枠をトーラスに取り付けると
   ともに該トーラスの据付組立と地下壁の建設工事
   を並行して行うことを特徴とする原子炉建屋の施
   工方法。