JPS632222B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、灯油などの液体燃料、水、薬液など
の液体の霧化器に関するものであり、さらに詳し
くは、圧電振動子などの電気振動子を利用した霧
化器に関するものである。

従来例の構成とその問題点 従来この種の霧化ポンプは、第１図に示すよう
に構成されている。すなわち電気振動子１の相対
向する平滑面には、電極膜２ａ，２ｂが形成さ
れ、電極膜２ｂとノズル板３とは軟鑞４ａを介し
て接合がされていた。さらにノズル板３の他方の
面と、ボデイー５は軟鑞４ｂを介して接合されて
いた。

電気振動子１は主成分がPbO、TiO₂、ZrO₂、
MbO、MgOからなるセラミツク体で、円形中央
部に開口部を設けたリング形状を有し、電極膜２
ａ，２ｂは、銀系の厚膜用導電性ペーストの焼結
体などが用いられ、ノズル板３は厚さ約50μm程
度のデイスク状に加工された金属板が用いられ、
その中央部にはノズル孔６（孔径約70〜100μm）
が複数個設けられていた。尚、ノズル板３は、各
構成部材を軟鑞で接合するため、軟鑞に不活性な
金属を用いた場合、第２図に示す様にノズル板３
表面を予じめ軟鑞に活性な金属薄膜層３１で形成
してあつた。この金属薄膜層３１とノズル板３表
面との付着強度を高めるために、クロム、チタン
等の金属薄膜による中間薄膜層３２を設ける方法
もおこなわれていた。

次に、電極膜２ａは外部リード線接続用電極で
あり、ボデイー５には液体通路７および液体室８
が設けられ、この様にして霧化ポンプユニツトは
構成されていた。

この構成では、ノズル板３と電気振動子１（電
極膜２ｂ）ならびに、ノズル板３とボデイー５を
軟鑞４ａで接合するため、軟鑞溶融時に軟鑞流れ
が生じ易く接合界面以上に軟鑞４ａ，４ｂが拡大
し、軟鑞４ａ，４ｂの位置規正ができなかつた。
従つて、電気振動子１からの振動伝播が異なつ
て、霧化特性の安定化が得られないという欠点を
有していた。また、半田レジスト膜により軟鑞接
合部を規正することもおこなわれていたが、ノズ
ル孔６を汚染したり、目詰りさせる問題や、軟鑞
４ｂ側の接合では、レジスト膜が除去できないと
いう欠点を有していた。

発明の目的 本発明はかかる従来の欠点を除去するもので、
霧化器の電気振動子とノズル板ならびにノズル板
とボデイーを軟鑞接合するうえで、実用上信頼性
の高いユニツトを提供することを目的とする。

発明の構成 この目的を達成するために本発明は、リング形
状を有した電気振動子と、１ないし１以上のノズ
ル孔を設けたノズル板とボデイーからなり、前記
のノズル板表面の一部に軟鑞に活性な金属薄膜層
を形成し、その後、軟鑞を介して前記電気振動子
と前記ノズル板ならびに前記ノズル板と前記ボデ
イーとを接合したものである。

この構成によつて、軟鑞層の位置規正が精度よ
くでき、霧化特性の安定した霧化ポンプユニツト
が得られる。

実施例の説明 以下、本発明の一実施例を、第３図、第４図を
用いて説明する。尚、これらの図において第１図
と同じものについては、同一番号を付している。

第３図において、電気振動子１は外径10mm、開
口径3.5mm、厚さ約1.0mmのリング状で従来例と同
じものであり、電極膜２ａ，２ｂが形成されてい
る。ノズル板３は、軟鑞に不活性なステンレス、
チタン等の金属薄板で、従来と同じ材質を選ん
だ。ノズル板３の両面の一部には、軟鑞に活性な
銅、金、銀、真鍮、コバール等の金属薄膜層９
が、真空蒸着法、スパツタ法、メツキ法、溶射法
などにより形成される。この金属薄膜層９の形成
は、ノズル板３面上で電気振動子１ならびにボデ
イーとの接合を要す部分のみにパターン形成がな
されている。

ついで、電気振動子１（電極膜２ｂ）とノズル
板３ならびにノズル板３とボデイー５は、軟鑞層
４ａおよび軟鑞層４ｂを介して接合される。ま
た、液体通路７、液体室８は従来と同じ形態であ
る。

上記構成において、電気振動子１（電極膜２
ｂ）とノズル板３ならびにノズル板３とボデイー
５間の軟鑞接合の場合、ノズル板３面上には軟鑞
に活性な金属薄膜層９をパターン形成しているた
め、各軟鑞層４ａ，４ｂは接合界面が規正され、
従つて形状的に安定した接合部が得られる。

また、上記構成によれば、レジスト膜を用いた
ときのような、ノズル孔６を汚染したり、目詰り
させるなどの問題は全くない。

尚、上記実施例ではノズル板３表面上に、金属
薄膜層９を直接的に形成する方法で述べてきた
が、ノズル板３と金属薄膜層９の付着力を高める
ために、第４図に示す如く、ノズル板３両面の全
表面上あるいは、第５図に示す如くノズル板３両
面の一部分に金属薄膜層９と同一パターンで、付
着力の高いクロム、チタンなどの中間薄膜層３２
を形成する方法でも、上記実施例と同様の効果が
得られる。

尚、本実施例で用いられる軟鑞は、Pb―Sn共
晶合金を始めとした450℃より低い融点をもつ、
鑞付用金属溶加材である。

発明の効果 以上のように、本発明の霧化器によれば、次の
効果が得られる。

(1) 金属薄膜層をパターン形成するため、接合部
の接合界面が形状的に安定化できる。従つて、
電気振動子からの振動伝播が安定し、霧化特性
の安定化が得られる。

(2) 半田レジスト膜を用いた場合のような、目詰
りやノズル孔の汚染などの問題がない。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の霧化器の構成を示す断面図、第
２図は従来の要部の拡大断面図、第３図は本発明
の霧化器の一実施例を示す断面図、第４図ならび
に第５図は本発明の他の実施例を示す断面図であ
る。 １……電気振動子、２ａ……電極膜、２ｂ……
電極膜、３……ノズル板、３２……中間薄膜層、
４ａ……軟鑞、４ｂ……軟鑞、５……支持容器、
６……ノズル孔、７……液体通路路、８……液体
室、９……金属薄膜層。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ リング形状を有し相対向する平滑面に電極膜
   を設けた電気振動子と、この電気振動子で加振さ
   れる１ないし１以上のノズル孔を設けたノズル板
   と、このノズル板を装着したボデイーとからな
   り、前記のノズル板表面の一部には軟鑞に活性な
   金属薄膜層を形成し、軟鑞を介して前記電気振動
   子と前記ノズル板ならびに前記ノズル板と前記ボ
   デイーとを接合した霧化器。 ２ ノズル板は軟鑞に不活性なステンレス、チタ
   ンなどの金属薄板とした特許請求の範囲第１項記
   載の霧化器。 ３ 軟鑞に活性な金属薄膜層は、銅、金、銀、真
   鍮、コバールなどの金属とした特許請求の範囲第
   １項記載の霧化器。 ４ 軟鑞に活性な金属薄膜層は、ノズル板表面で
   電気振動子ならびにボデイーを接合するに必要な
   範囲に形成した特許請求の範囲第１項記載の霧化
   器。