JPS6322022Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は例えば第１図に示すデイフアレンシヤ
ル装置の様な製品に於いて、軸受で回転自在に支
えられているピニオン軸を軸方向に固定保持する
ために締付け用のナツトで締付けられる際、ピニ
オン軸の軸回転トルクが常に定められたトルクに
なる様にナツトを締付けることを可能とする設定
トルク締付け装置に関するものである。

従来のこの種の製品に於いて、ピニオン軸が定
めた軸回転トルクになるようにナツトが締付けら
れるのは、作業者が手作業でレンチと測定器具を
交互に使用して、軸回転トルクを測定器具で測定
しながらすこしずつレンチを用いてナツトを締付
ける方法であり、この方法が従来では最も正確で
効率よく締付けるものであつた。また従来より、
ナツトを締付ける締付け装置とピニオン軸の軸回
転トルクを測定する測定装置とを並列に配置し、
夫々を交互に製品に作動させて、軸回転トルクが
設定トルクになるまで少しずつナツトを締付けて
いく機構も考案されたが、製品のオイルシール，
軸受等の摩擦やねじ部の摩擦係数が夫々の製品に
よつて違うので、ピニオン軸の軸回転トルクを一
定の値にするためにはナツトを締付けるナツト締
付けトルクが個々の製品により変化し不安定とな
り、一定のナツト締付けトルクでナツトを締付け
るのが不可能であり、従来の機構ではナツトの締
付けをくり返すうちにナツトを締付け過ぎてしま
うことが多く発生して不良率が高く、ナツトを取
りはずして再び締付けをくり返さねばならないと
いう製品の多発で作業効率が非常に悪く、あまり
実用に供さないのが現状であつた。

本考案は上記に鑑みて考案したもので、ピニオ
ン軸の軸回転トルクを測定しながらナツトをしだ
いに締付けていく方法を採用した装置のため、正
確に効率よくナツトを締付けることが可能で、ナ
ツトの締付け過ぎによる不良の発生をなくするも
のである。

以下本考案を具体化した実施例により説明す
る。第１図は本考案で加工する製品の例を示すデ
イフアレンシヤル装置で、１は外枠，２は軸受，
３は軸受２で回転自在に支えられるピニオン軸，
４はオイルシール，５はフランジでピニオン軸３
の上端とスプラインにより結合されて回転止めと
され軸方向にのみ可動となり、６はナツト，７は
足部，８は位置決め孔，９は保持孔である。第２
図は全体外観図，第３図はその要部縦断面図，第
４図は第３図の−断面図第５図は第４図の
−断面図，第６図は第３図の−断面図，第
７図は第６図の−断面図である。図に於い
て、作業台１０の上に形設する上台１１にロケー
トピン１２が植設され、作業者が該ロケートピン
１２に製品の位置決め孔８を嵌合させ、該製品の
上台１１に載置する際の位置が定められる。該上
台１１は複数本のサポート軸１３の上端を固定し
ており、（第５図）該サポート軸１３下端ではフ
ランジ１４を固定し、該フランジ下面には下シリ
ンダ１５を固着し、下シリンダ１５のシリンダ軸
１６はフランジ１４を貫通して上方に上下動可能
とされ、その先端は上台１１及びフランジ１４の
間に立設した複数本のガイドロツド１７で軸受１
８を介して摺動可能に保持したスライドプレート
１９の中央に固着され、該スライドプレート１９
は下シリンダ１５の作用により上下動する。ま
た、スライドプレート１９には製品のピニオン軸
３の下端のセンタ穴に当接する尖鋭な先端を有
し、かつピニオン軸３の軸心と同じ軸心を有した
センタツール２０の下端が固着され、前記下シリ
ンダ１５の作用によりスライドプレート１９が上
昇した際、センタツール２０の先端は上台１１よ
り設定量だけ上方（軸受１８が上台１１の下面に
当接するまで）に移動可能である。該センタツー
ル２０外周には軸受２１を介して円筒形の回転ケ
ース２２がセンタツール２０を回転中心として回
転可能に設けられ、回転ケース２２の側面上端に
製品の足部７を嵌入可能な通孔２３を有するＬ形
のアーム２４が取着され、回転ケース２２の下端
では歯車２５がボルト２６により嵌着保持され、
該歯車２５は前記スライドプレート１９に止着し
たハウジング２７に埋設した軸受２８を介して回
転自在に保持され、かつ軸心をセンタツール２０
と平行に設けられた回転軸２９に止着した歯車３
０と噛み合わされ、該回転軸２９下端は上台１１
に複数本のサポート軸を介して保持される受板
（図示せず）上に固着したトルクテスター３１の
回転軸３２と連結されている。さらにスライドプ
レート１９の下面には位置決めシリンダ３３が取
着され、シリンダ軸３４はスライドプレート１９
を貫通して上方に上下動可能とし、シリンダ軸３
４の先端に位置決めピン３５を取着し、該位置決
めシリンダ３３の作用で位置決めピン３５を歯車
２５に穿設された位置決め孔３６に嵌通可能とさ
せ、この作用により回転ケース２２に取着したア
ーム２４の位置を常に一定の位置に定め、前記ロ
ケートピン１２で位置が定められる製品の足部７
と該アーム２４の通孔２３との夫々の軸心を一致
可能とさせる。また、前記トルクテスター３１に
は回転モータ（図示せず）が連結されており、該
回転モータの回転動力はトルクテスター３１の回
転軸３２により回転軸２９，歯車３０，２５を介
して回転ケース２２を回転させ、回転ケース２２
に取着したアーム２４により製品を回転させるこ
とを可能とする。一方、作業台１０より後板３７
を介して上台１１と平行に設置される上板３８の
上に上シリンダ３９が固着され、シリンダ軸４０
は上板３８を貫通して下方に上下動可能とされ、
上板３８及び後板３７のフランジ部４１の間で垂
直に立設させた複数本のガイドロツド４２の外周
で嵌合され、該ガイドロツド４２に沿つて上下動
可能な連結筒４３を設置し、該連結筒４３の上端
に上プレート４４をボルト４５で止着し、前記上
シリンダ３９のシリンダ軸４０の先端に螺合する
コネクター４６を該プレート４４の上後端に於い
てクランプ板４７を介して止着し、該連結筒４３
の下端には下プレート４８をボルト４９で止着す
る。また、上シリンダ３９のシリンダ軸４０の上
下動で上プレート４４，連結筒４３を介して上下
する下プレート４８に対向する後板３７の後方位
置にストツプシリンダ５０が固着され、シリンダ
軸５１は後板３７を貫通して前後動可能とされ、
シリンダ軸５１の先端に取着したストツパー５２
を下プレート４８の上に取着したストツププレー
ト５３の上面に当接及び離脱を可能とさせる。さ
らに、上プレート４４の上端にストツプ板５４で
吊り上げるように上端を保持し、下プレート４８
の通孔５５を貫通して下方まで突出する複数本の
ガイドポスト５６を設け、該ガイドポスト５６の
中間部にばね座５７が止着され、ばね座５７と上
プレート４４との間に圧縮ばね５８を介装し、ガ
イドポスト５６下端に取着したコネクト板５９を
常に下方に付勢させる。さらに該コネクト板５９
の中央下面には下方に向けてクランプツール６０
が固着され、該クランプツール６０は上シリンダ
３９の作用で上プレート４４，ガイドポスト５６
を介してコネクト板５９が下降した際、上台１１
の上にロケートピン１２で位置を定められた製品
のフランジ５と嵌合可能な形状を有する。またク
ランプツール６０の内側には下方に向けて製品の
フランジ５に穿孔した保持孔９と対向するクラン
プピン６１が植設され、フランジ５に回転が与え
られクランプピン６１と保持孔９が一致したとき
前記圧縮ばね５８の力で嵌合可能である。さらに
上プレート４４の上にはナツトランナ６２が製品
のピニオン軸３と同じ軸心で固着され、ナツトラ
ンナ６２の回転軸６３の先端には係合ピン６４を
介して遊合状態でかつ回転軸６３の回転に伴ない
回転可能に回転ツール６５が保持され、該回転ツ
ール６５の下端には製品のナツト６の形状に合致
する凹溝６６が凹設され、また回転ツール６５の
下方には下プレート４８及びコネクト板５９を貫
通して先端がクランプツール６０の内部まで突出
するように設けられる。

本考案は上記構造の設定トルク締付け装置に関
するもので、作業者は上台１１の上のロケートピ
ン１２に製品の位置決め孔８を嵌合させることで
所定の位置に製品を載置する。この状態から上シ
リンダ３９を作用させてシリンダ軸４０を下降さ
せ、シリンダ軸４０の先端に連結される上プレー
ト４４及び上プレート４４と連結筒４３を介し連
結される下プレート４８がガイドロツド４２に沿
つて下降し、上プレート４４に於いて上端に取着
するストツプ板５４で係合し、圧縮ばね５８で常
に下方に付勢されるガイドポスト５６を介して保
持されたコネクト板５９も上プレート４４の下降
に伴ない下降することとなり、コネクト板５９の
下面に固着されたクランプツール６０が製品のフ
ランジ５に嵌合する。また上プレート４４が下降
することにより、クランプツール６０内に植設さ
れたクランプピン６１が製品のフランジ５の上面
に当接し、以降は上プレート４４が下降しても圧
縮ばね５８が圧縮されて、クランプツール６０は
下降しない。またそのとき、ナツトランナ６２の
回転軸６３先端に保持される回転ツール６５が製
品のナツト６上端に当接し、さらに上プレート４
４が下降することでナツトランナ６２の内部に設
けた圧縮ばね（図示せず）が圧縮される。続い
て、下シリンダ１５のシリンダ軸１６が上昇し、
シリンダ軸１６に固着するスライドプレート１９
がガイドロツド１７に沿つて上昇し、スライドプ
レート１９の上面に固着するセンタツール２０が
上台１１の上に載置されている製品のピニオン軸
３の軸心下端のセンタ穴に当接する。また、その
時同時に、位置決めシリンダ３３のシリンダ軸３
４の先端に取着した位置決めピン３５が歯車２５
に凹設した位置決め孔３６に嵌通されてセンタツ
ール２０の外周に設けた回転ケース２２の上端に
取着したアーム２４の通孔２３が製品の足部７と
同じ軸心を有する位置に定められているので、前
記スライドプレート１９の上昇によりアーム２４
の通孔２３が製品の足部７に嵌入する。続いて、
下シリンダ１５のシリンダ軸１６が上昇し、セン
タツール２０で製品のピニオン軸３の軸心下端を
支えた状態で上台１１から上方に押し上げ、この
センタツール２０の上昇による製品の上台１１及
びロケートピン１２からの離脱と同時に前記上シ
リンダ３９が今度は逆にシリンダ軸４０を引き寄
せて上プレート４４，連結筒４３，下プレート４
８，ガイドポスト５６，コネクト板５９の上昇を
行なわせ、製品をセンタツール２０先端とクラン
プツール６０で保持しつつ上昇させる。また製品
が上昇されるとき同時にストツプシリンダ５０が
作動し、シリンダ軸５１の先端に取着したストツ
パー５２を前進させる。このため上シリンダ３９
のシリンダ軸４０の作用で上方に引き寄せられつ
つある下プレート４８の上に取着したストツププ
レート５３の上面に該ストツパー５２がやがて当
接し、上記上シリンダ３９のシリンダ軸４０の動
作が停止させられる。この下プレート４８の停止
に伴なうコネクト板５９に固着したクランプツー
ル６０の上昇停止と同時に製品を押し上げるセン
タツール２０の上昇も停止させられる。すなわ
ち、上記クランプツール６０が停止するとき同時
にガイドロツド１７に沿つて摺動するスライドプ
レート１９に保持された軸受１８を上台１１下面
に当接させて、下シリンダ１５のシリンダ軸１６
により押し上げられるスライドプレート１９を停
止させ、さらにこれ以上センタツール２０が上昇
しないように設定する。この状態は製品がセンタ
ツール２０上で自由に回転可能な位置であり、製
品は上下方向に於いてはピニオン軸３の下端をセ
ンタツール２０で支えられ、水平方向のバランス
に於いてはクランプツール６０で倒れないように
支えられて保持される。この状態で上プレート４
４の上に設けたナツトランナ６２は回転軸６３の
先端に保持する回転ツール６５を回転させ、この
回転によりまず回転ツール６５の下端に凹設した
凹溝６６が前記ナツトランナ６２の内部に設けた
圧縮ばねの力で確実に製品のナツト６に嵌合す
る。続いてセンタツール２０上に保持された製品
のフランジ５がナツトランナ６２の回転軸６３の
回転によるナツト６の回転に連れてゆつくり回転
を始め、フランジ５に穿孔した保持孔９とフラン
ジ５を嵌合させるクランプツール６０内に植設し
たクランプピン６１が対向したとき、圧縮ばね５
８の力でガイドポスト５６，コネクト板５９を介
してクランプツール６０のクランプピン６１が保
持孔９に嵌入し、これ以降のフランジ５の回転を
止める。一方このとき、位置決めシリンダ３３が
シリンダ軸３４を引き寄せ、歯車２５に穿設した
位置決め孔３６から位置決めピン３５の係合を解
き、歯車２５の回転を可能とさせ、続く回転モー
タの回転により、回転軸３２，２９歯車３０，２
５を介して回転ケース２２をセンタツール２０を
回転中心としてその外周を回転させ、該回転ケー
ス２２に取着したアーム２４は製品の足部７を介
してセンタツール２０を軸心として製品の外枠１
を回転させ、この軸回転トルクをトルクテスター
３１にて測定する。この測定で得られる軸回転ト
ルクはピニオン軸３にナツト６がまだ着座してい
ない状態の軸受２，オイルシール４等の摩擦によ
る軸回転トルクとして測定値を記憶しておく。さ
らに続いて、ナツトランナ６２が回転ツール６５
を回転させ、この回転によりナツト６をピニオン
軸３に締付けていく。また上記摩擦による軸回転
トルクの測定からタイマーで一定時間経過後、再
度トルクテスター３１で軸回転トルクの測定を開
始し、その測定値から上記の記憶した摩擦による
軸回転トルクを減算し、純粋の軸回転トルクを算
出する。そして、この純粋の軸回転トルクを予め
個々の製品によつて定められた設定軸回転トルク
に比較し、比較値が合致するまでナツトランナ６
２の回転軸６３を回転させ、回転ツール６５でピ
ニオン軸３にナツト６をしだいに締付けていく。
そしてトルクテスター３１の測定による純粋の軸
回転トルクが予め設定された軸回転トルクと合致
したときナツトランナ６２の回転軸６３の回転を
止め、ピニオン軸３でのナツト６の締付けを停止
させる。また上記ナツトランナ６２の回転軸６３
の停止と同時に位置決めシリンダ３３を作動さ
せ、シリンダ軸３４の先端に取着した位置決めピ
ン３５を歯車２５の方へ上昇させ、回転モータの
作用で回転する歯車２５に穿設した位置決め孔３
６に該位置決めピン３５が一致したときに、位置
決めピン３５を位置決め孔３６に嵌通させて回転
ケース２２の回転を停止させ、このとき回転モー
タの回転を停止させる。このため、回転ケース２
２の上端に取着したアーム２４及びアーム２４の
通孔２３に嵌入された足部７を有する製品は元の
回転を始めた定位置に定められる。続いて、上シ
リンダ３９のシリンダ軸４０を下降させて、上プ
レート４４，ガイドポスト５６，コネクト板５９
を介してクランプツール６０を下降させると同時
に下シリンダ１５はシリンダ軸１６を引き寄せ、
スライドプレート１９を介してセンタツール２０
を下降させることにより、製品を上台１１の上へ
製品の位置決め孔８をロケートピン１２に嵌合さ
せるように載置させる。このとき、ストツプシリ
ンダ５０はシリンダ軸５１を引き寄せ、シリンダ
軸５１の先端に取着したストツパー５２が後板３
７の後方に退避し、下プレート４８の上昇する時
の妨げとならないようにする。そして、製品を上
台１１の上へ載置させて後、上シリンダ３９のシ
リンダ軸４０は再度上プレート４４を引き寄せ、
連結筒４３，下プレート４８，ガイドポスト５
６，コネクト板５９，クランプツール６０を上昇
させ、また下シリンダ１５もシリンダ軸１６を続
いて引き寄せ、スライドプレート１９，センタツ
ール２０を下降させて、クランプツール６０及び
センタツール２０は夫々次の製品のナツト締めに
備える。作業者は上記装置の夫々の作動が終了し
たのち、上台１１の上にロケートピン１２で位置
決めされている製品を取り出し、次の製品をロケ
ートピン１２で位置決めさせて上台１１の上に載
置させればよい。

以上説明のように、本考案は上台１１の所定の
位置に製品を載置すれば、それ以降は装置が自動
的に設定された軸回転トルクでナツト６をピニオ
ン軸３に締付けるものである。また、この装置は
常に軸回転トルクを測定しながらナツト６をピニ
オン軸３に締付けるので確実に設定された軸回転
トルクでナツト６を締付けることが可能で、いま
まで多発したナツト６の締付け過ぎによる軸回転
トルクの許容値を超えることがなく、不良の発生
を抑えることが可能で、効率よく製品を加工する
ことができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案で加工する製品例、第２図は本
考案装置の全体外観図、第３図はその要部縦断面
図、第４図は第３図の−断面図、第５図は第
４図の−断面図、第６図は第３図の−断
面図、第７図は第６図の−断面図である。 ３……ピニオン軸、２２……回転ケース、５…
…フランジ、２４……アーム、６……ナツト、２
５……歯車、１１……上台、３１……トルクテス
ター、１５……下シリンダ、３３……位置決めシ
リンダ、１９……スライドプレート、３９……上
シリンダ、２０……センタツール、４４……上プ
レート、４８……下プレート、６０……クランプ
ツール、５０……ストツプシリンダ、６２……ナ
ツトランナ、５９……コネクト板、６５……回転
ツール。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 製品のピニオン軸を設定軸回転トルクで保持さ
   せるようピニオン軸にナツトを締付ける装置に於
   いて、製品を定位置に載置させるロケートピン
   と、製品を押し上げるピニオン軸と同じ軸心を有
   するセンタツールと、センタツールを上下動させ
   る下シリンダと、センタツールの周囲を旋回する
   製品の足部と嵌合可能な通孔を有したアームと、
   アームの回転と連動して回転する回転軸を有した
   トルクテスターと、アームを回転させる回転モー
   タと、アームを所定位置に定める位置決めピン
   と、製品のフランジと嵌合可能なクランプツール
   と、クランプツールを上下動させる上シリンダ
   と、製品のナツトと嵌合して回転する回転ツール
   と、回転ツールを回転させるナツトランナとから
   構成され、アームを回転させて製品を回転させ、
   その軸回転トルクをトルクテスターで測定しなが
   らナツトランナでナツトをピニオン軸に締付け、
   所定の軸回転トルクになつたときナツトランナを
   停止させることを特徴とする設定トルク締付け装
   置。