JPS6321606Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は鉄骨鉄筋コンクリート造または柱鉄
骨鉄筋コンクリート造梁鉄骨造などの複合構造に
おける柱梁接合部、いわゆるパネルゾーンのせん
断補強構造に関するものである。

建築物の骨組構造において、柱と梁とで囲まれ
たパネルゾーンは骨組の中でも最も応力が集中す
る部分であり、構造的に極めて重要な部分であ
る。鉄骨鉄筋コンクリートの柱と鉄骨鉄筋コンク
リートの梁または鉄骨梁とで構成される骨組にお
いては、このパネルゾーンについて、工事現場で
鉄筋をまいて補強するのが通常であるが、この施
工が極めて複雑である。

従来このような柱梁接合部の補強構造としては
例えば、第１図に示すようなものがある。しか
し、接合部では梁のウエブを貫通させて配筋する
ため施工上その形状は簡単な形に制限される。

そのためＬ形をしたせん断補強筋を４本１組に
して、それぞれ重ね長さだけラツプし、この部
分を溶接したり、定着長さ分だけ確保したりして
いるのが、現状である。ところが、溶接は補強法
としては効果的だが施工が大変であり、一方定着
長さ分確保する方法は、施工はしやすいが、接合
部のはらみ出しに対して効果的でないという欠点
がある。

この考案の柱梁接合部の補強構造は、上述のよ
うな従来技術における欠点を解消するために考案
されたものである。

すなわち、梁ウエブに設けた貫通孔に両方向か
らＬ字状またはコ字状のせん断補強筋を通して交
差させ、交差部にくさびを打ち込んでなるせん断
補強構造を考え、それによりパネルゾーンの補強
鉄筋の施工性の大幅な改善および確実な補強を図
つた。

以下、この考案を図示した実施例（第２図〜第
４図）に基づいて説明する。

第２図はこの考案で使用するせん断補強筋の位
置を概略的に示した斜視図で、第３図は要部の縦
断面図、第４図はさらにその要部の拡大図を示し
たものである。

Ｈ形鋼からなる鉄骨梁２のウエブには第４図に
示すように貫通孔５が設けられ、Ｌ字状またはコ
字状に析り曲げたせん断補強筋６が、この貫通孔
５に両方向から通してあり、貫通孔５部分で交差
している。なお、第２図では省略して示してある
が、このせん断補強筋は通常のフープ筋と同様、
柱主筋３を取り巻くようにして配される。そし
て、このラツプしたせん断補強筋６どうしの間に
くさび７を外側からウエブ貫通孔５に向けて打ち
込み、せん断補強筋６を機械的に定着させてあ
る。

従つて、施工は鉄骨建方および柱主筋３の配筋
が完了したら、Ｌ字状またはコ字状のせん断補強
筋６を鉄骨梁２のウエブの貫通孔５に通して両方
向からのせん断補強筋６を交差させ、次にくさび
７を打ち込むことにより簡単に行なうことができ
る。

そして、このようなせん断補強筋６による補強
を柱の材軸方向に適切なピツチで行なうことによ
り、パネルゾーン全体を捕強することができる。

なお、図の実施例は柱鉄骨１として断面十字状
のものを用いているが、柱鉄骨がＨ形鋼の場合も
同様である。

この考案は以上の構成からなり、次のような利
点特徴を有する。

施工が非常に容易である。

コンクリートに埋め込まれると、くさびを打
込まれたせん断補強筋は十分定着され、破断強
度まで耐える。従つて、確実な補強効果が得ら
れる。

せん断補強筋は貫通孔部分で定着され、コン
クリートの充填を特に阻害することはない。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示す横断面図、第２図はこの
考案の実施例を示す斜視図、第３図は要部の縦断
面図。第４図はさらにその要部の拡大図である。 １……柱鉄骨、２……鉄骨梁、３……柱主筋、
４……せん断補強筋、５……貫通孔、６……せん
断補強筋、７……くさび。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. Ｌ字状またはコ字状のせん断補強筋を梁ウエブ
   に設けた貫通孔に通し、この貫通孔部分において
   反対方向から配筋した同様のせん断補強筋と交差
   させ、この交差部の両方向からくさびを打ち込み
   前記せん断補強筋を定着させてあることを特徴と
   する柱梁接合部の補強構造。