JPS6318527Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、車両のブレーキ、クラツチ等の操作
力を軽減する目的で使用される真空倍力装置に係
り、特にブーツの環状バルブハウジングへの取付
構造を改良することによりその取付作業を容易に
行なえるようにしたものである。

一般に真空倍力装置では、シエル内に収納した
パワーピストン軸部の環状バルブハウジングを上
記シエルの開口部から突出させ、この開口部と環
状バルブハウジングの外端部との間に筒状ブーツ
を取付けている。従来、この筒状ブーツを上記外
端部に取付けるには、予め筒状ブーツの先端部分
を内側に折返してその折返し部の外周に係合溝を
形成しておくとともに、環状バルブハウジングの
外端部には環状リテーナを取付けておき、この環
状リテーナの内周部に上記係合溝を係合させるよ
うにしていた。

しかるに従来、上記環状リテーナの内周部に係
合溝を係合させる作業はブーツの先端部分を押圧
変形させつつ行う必要があることからその自動化
が困難で、しかも比較的時間を要するという欠点
があつた。

本考案はこのような事情に鑑み、筒状ブーツの
先端部分を環状バルブハウジングの軸方向に押込
むだけで容易に環状リテーナの内周部と係合溝と
を係合させることができるようにした真空倍力装
置を提供するものである。

以下図示実施例について本考案を説明すると、
第１図は真空倍力装置としてのブレーキ倍力装置
を示したもので、シエル１にシール２を介して摺
動自在に嵌合されたパワーピストン３の環状バル
ブハウジング４は上記シエル１の開孔部５より突
出し、こ突出された円筒部は筒状ブーツ６で覆わ
れている。この筒状ブーツ６のシエル側端部はビ
ードによつてシエル１の開孔部５の外周端に嵌着
され、筒状ブーツ６の他側先端部分は内側に折返
されてその折返し部６ａの外周に係合溝７が形成
され、この係合溝７は上記環状バルブハウジング
４の外端部内周に嵌着した環状リテーナ８の内周
部に係合されている。

上記環状リテーナ８は、第３図に拡大して示す
ように、円錐状部材から構成され、その主たる外
周部８ａは環状バルブハウジング４の外端部内周
に形成した段部を構成する溝４ａ（第２図参照）
と実質的に同一の径を有している。さらに環状リ
テーナ８はその外周部等間隔複数位置に、それぞ
れ一対の切欠き８ｂ，８ｂおよび両切欠き間の係
止爪８ｃを備えている。この係止爪８ｃの径は上
記外周部８ａの径したがつて溝４ａの径よりも僅
かに大きく、第１図、第２図に示すように、その
溝４ａ内に環状リテーナ８を挿入した後、これが
溝４ａから外部に抜出るのを阻止する。さらに上
記筒状ブーツ６の先端、すなわち折返し部６ａの
上記係合溝７よりも先端部分の外周には、先端が
窄まつたテーパ面６ｂを形成している。

したがつて環状リテーナ８の内周部に筒状ブー
ツ６の係合溝７を係合させるには、まず円錐状の
環状リテーナ８を、上記環状バルブハウジング４
の内側となる内側面８ｄが上記溝４ａの段部に当
接するまでその溝４ａ内に嵌合挿入し、これを環
状バルブハウジング４に係合するように取付け
る。次に筒状ブーツ６の折返し部６ａ先端を内方
に向けて押込めば、その先端のテーパ面６ｂが環
状リテーナ８の外側面に形成されるテーパ面８ｅ
に当接し、次いで、環状リテーナ８のテーパ面８
ｅがガイド面として作用し筒状ブーツ６の折返し
部６ａ先端を環状バルブハウジング４の内に摺動
案内するため、上記テーパ面６ｂ部分は縮径され
て環状リテーナ８の内周部を通過し、次に係合溝
７が環状リテーナ８の内周部に係合すればテーパ
面６ｂ部分は自己の弾性により元の径に復帰する
ので、係合溝７と環状リテーナ８の内周部との係
合状態が解除されることはない。

また上述のように、環状リテーナ８を環状バル
ブハウジング４内に嵌入収納しているのでその環
状バルブハウジング４の外周面全域をシール２と
の摺接面として確保することができ、さらに上記
環状リテーナ８を円錐状部材で構成しているので
溝４ａに挿入するのが容易でしかも外れにくく、
かつ係合溝７もこれから外れにくくなるという作
用効果が得られる。

加わうるに、上記環状リテーナ８は極めて簡単
な偏平形状を有するため、その成型加工を容易に
行い得られ、その重積配置が可能となることと相
俟ち環状リテーナ８の自動供給が容易となつて、
筒状ブーツ６の環状バルブハウジング４に対する
組付けの自動化が極めて容易になる。

なお、上記環状リテーナ８を第４図に示すよう
に断面略Ｌ字形の環状リテーナ９とし、これを環
状バルブハウジング４の溝４ａに嵌着してその外
側面をテーパ面９ａとしてもよい。

さらに、環状リテーナ８の外周に、第５図に示
すように、例えば１つの切欠き８ｆを形成し、外
周部８ａ全体を環状バルブハウジング４の溝４ａ
に嵌着させる構成としてもよい。また、上記切欠
き８ｆに代え、第５図に想像線で示すように、切
断部８ｇにより環状リテーナ８の円環を切断する
構造としても、組立てが容易でしかも外れにくい
という効果が得られる。

以上のように本考案によれば、環状バルブハウ
ジング円筒部の外端部内周に段部を形成するとと
もに、この段部に嵌着された環状リテーナにバル
ブハウジング内側方向に窄まり傾斜するテーパ面
を形成するとともに、上記ブーツの係合溝より先
端側の折返し部外側面に上記リテーナと同一方向
に傾斜するテーパ面を形成したため、環状リテー
ナのテーパ面が筒状ブーツ先端テーパ面のガイド
面として作用し、筒状ブーツの先端を圧入するだ
けで、該先端部を自動的に挾窄凹入させてその先
端外周面の係合溝と環状リテーナの内周面とを係
合させることができ、したがつてその組付けが容
易となり、しかも環状リテーナの形状の簡素化と
ともに組付時間の短縮及び自動化を図ることが可
能となるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す縦断面図、第
２図は第１図の要部の拡大図、第３図ａは環状リ
テーナの平面図、第３図ｂは第３図ａのＡ−Ａ線
に沿う断面図、第４図は本考案の他の実施例を示
す要部の断面図、第５図ａは環状リテーナのさら
に他の実施例を示す平面図、第５図ｂは第５図ａ
のＢ−Ｂ線に沿う断面図である。 １……シエル、３……パワーピストン、４……
環状バルブハウジング、５……シエル開孔部、６
……筒状ブーツ、６ａ……折返し部、６ｂ……テ
ーパ面、７……係合溝、８，９……環状リテー
ナ、８ｅ，９ａ……テーパ面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 圧力差を受けて進退動するパワーピストンをシ
   エル内に収納し、このパワーピストン軸部の環状
   バルブハウジング円筒部を上記シエルの開口部か
   ら突出させ、かつ筒状ブーツの一端を上記開口部
   に止着するとともに、このブーツの他端を内側に
   折返してその折返し部外周に形成した係合溝を、
   上記環状バルブハウジング円筒部の外端部に取付
   けた環状リテーナの内周部に係合させた真空倍力
   装置において、上記環状バルブハウジング円筒部
   の外端部内周に段部を形成するとともに、この段
   部に嵌着された環状リテーナにバルブハウジング
   内側方向に窄まり傾斜するテーパ面を形成すると
   ともに、上記ブーツの係合溝より先端側の折返し
   部外側面に上記リテーナと同一方向に傾斜するテ
   ーパ面を形成したことを特徴とする真空倍力装
   置。