JPS6314061Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は内燃機関に用いられるエアクリーナ
に関し、特にその濾材の支持の改良に関する。

従来より用いられている一般的な内燃機関用エ
アクリーナは、濾紙や不織布等を交互に折曲した
濾材をその山と谷が径方向に交互に位置するよう
に環状に捲回した、所謂菊形濾材を用いている。

しかしながら、このような濾材を用いたエアク
リーナにあつては、有底円筒状のボデイとカバー
間にその上下面を気密に接合された濾材の外周部
より含塵空気を導入し、これを中心方向に通過さ
せることでその空気を浄化させるようにしている
ために、濾材の外周部に空気通路を形成しなけれ
ばならず、その濾過面積の割りには全体の外形寸
法が大きくならざるを得なかつた。

このような不都合を解消するために、上下端が
交互に山と谷とになるように折曲され、かつ同心
状に捲回してなる所謂扇形の濾材を用いることが
提案されている。このような形状の濾材を用いれ
ば、空気の通過方向は上下のみとなり、その濾過
面積の割には全体の外形寸法、厚み等を小形化で
きる。

しかしながらその反面前記扇形濾材を用いる場
合の問題点としては、その上下方向に山と谷が連
続しているため、上下方向の荷重に対する抗力が
低いこと、およびその内、外周のシール性に問題
があることである。

つまり、従来の菊形濾材の場合には、荷重方向
に対し、円柱状をなしているので、荷重に対する
抗力が高いこと、およびその上下面を一面にシー
ルすればよいが、扇形ではその配置が逆になつて
いることから、前記の問題点が生ずる。またこの
ことによつて、扇形濾材が前記の利点を有するに
も拘らず、実際には広く実用化されるには至つて
いない原因を作つている。

この考案は以上の背景に基づきなされたもので
あつて、この種の扇形濾材の荷重に対する影響を
なくし、かつその内外周端面のシールを十分にす
るとともに、ケース内に簡単に脱着できることを
目的とする。

前記目的を達成するために本考案では、前記扇
形濾材の内外周を、中空円筒状の外筒部と、この
外筒部の中央に支持ステーを介して一体化された
有底円筒状の内筒部とからなる二重円筒状の濾材
ホルダに気密に嵌合固定してなり、かつ前記濾材
ホルダの外筒部周縁には環状のガスケツトを一体
的に嵌着し、このガスケツトを前記ボデイとカバ
ーとに設けたフランジ部で挾持したことを特徴と
する。

以下、この考案の一実施例を図面を用いて詳細
に説明する。

第１図はこの考案の実施例に係るエアクリーナ
の全体構成を示す。

図において、１，２はケースを構成する有底円
筒状のボデイおよびカバー、３は濾過組立体であ
る。

この濾過組立体３は前述の如く濾紙あるいは不
織布等の濾材を上下端が交互に山と谷とになるよ
うに折曲し、かつ同心状に捲回してなる扇形濾材
４と、この濾材４の内外周を気密に嵌合固定する
濾材ホルダ５とからなつている。

濾材ホルダ５はプラスチツク射出成形体などか
らなるもので、前記濾材４の外形に等しい内径で
あつて、かつその厚みにほぼ匹敵する深さの中空
円筒状の外筒部６と、この外筒部６の中央にあつ
て、前記濾材４の内径に等しい外形の有底円筒状
の内筒部７とを有し、かつこの内筒部７と該当部
６は、両者の底面に放射状に形成された複数の支
持ステー８によつて一体に結合されている。

そして、前記外筒部６の上縁には環状のガスケ
ツト９が嵌合されており、外筒部６の周縁にフラ
ンジ状に設けられている。

このガスケツト９は、前記ボデイ１およびカバ
ー２のそれぞれの開口縁に形成されたフランジ部
１ａ，２ａに挟持状態に固定されるものであると
ともに、前記支持ステー８と共働して濾材４の上
下を固定する機能を有する。

第２図は前記濾材４をホルダ５に組付けて濾過
組立体３を完成した状態を示すものである。この
組立順序としては、前記ガスケツト９を取外した
状態で前述の如く扇形に形成された濾材４を外筒
部６と内筒部７間に挿通すれば、その内外に形成
されたＶ字形の山および谷の縁部は外筒部６の内
へきおよび内筒部７の外周壁に圧接され、この部
分が完全閉塞された状態で挿填され、かつ谷部分
の底部が支持ステー８に当接することで挿填が完
了する。

次いでガスケツト９を外筒部６の上縁に嵌め付
ければ、ガスケツト９の内周縁下面が濾材４の山
部分外周縁に当接し、これにより濾材４は上下方
向への抜き止めがなされることになる。

以上のように組上げられた濾過組立体３は、ボ
デイ１の内筒部に装着され、これに形成されたフ
ランジ部１ａにガスケツト９がフランジ結合する
ことで位置決めが行なわれる。

次いでカバー２のフランジ部２ａを前記フラン
ジ部１ａに当接し、図示しないバツクル等の締結
部材によりボデイ１とカバー２間を結合すれば、
前記ガスケツト９によりボデイ１とカバー２間は
気密に区画され、濾材４を介してのみ流通可能と
なる。従つて、カバー２に形成された外気取入口
２ｂよりケース内に取り入れられた外気は、濾材
４上下方向に通過して清浄化され、ボデイ１の底
面中央に形成されたキヤブレター流通口１ｂより
キヤブレターに供給されることになる。

また濾材４の濾過能力が低下し、交換する場合
等においては濾過組立体３ごとに交換できる。

なお、前記実施例においては前記ホルダを構成
する外筒部および内筒部を真円筒形に形成してあ
り、この場合においても前記濾材のＶ字形端面と
の接触は十分保たれ、各接触部間の機密性は十分
に保たれる。しかしながら、さらに機密性を増そ
うとする場合には、外筒部および内筒部の内、外
周面に前記濾材のＶ字形のピツチに応じたＶ字形
の突出部を形成するか、あるいは濾材の端面にシ
ール性の部材を設けるか塗布するようにすればよ
い。

以上、実施例により説明したように、この考案
に係るエアクリーナにあつては、扇形濾材を上述
の如き濾材ホルダにより支持するようにしたもの
であるから、濾材自体には外力が加わらず、保形
性が十分保たれるとともに、そのＶ字形の内外周
端面とホルダ間の機密性が十分保たれる。

また、ホルダ自体も二重同心状の簡単な構造で
安価なものであり、これとケースとの脱着も極め
て簡単なものであるから、カセツト式に交換がで
きるとともに、単一のガスケツトでエレメントの
両側の清浄側とダーテイ側とを隔成できる。

従つて、この考案にあつては従来の菊形濾材を
用いたエアクリーナに比して小形化できることは
勿論、その実用価値も大である。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例に係るエアクリー
ナの全体構成を示す分解斜視図、第２図は濾過組
立体の完成斜視図である。 １……ボデイ、１ａ……フランジ部、１ｂ……
キヤブレター流通口、２……カバー、２ａ……フ
ランジ部、２ｂ……外気取入口、３……濾過組立
体、４……扇形濾材、５……濾材ホルダ、６……
外筒部、７……内筒部、８……支持ステー、９…
…ガスケツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 有底円筒状のボデイとカバーとからなるケース
   内に、上下端が交互に山と谷とになるように折曲
   され、かつ同心状に捲回されてなる扇形濾材を収
   納し、空気が該濾材の端面間を上下方向に流通す
   ることにより、これを濾過してなるエアクリーナ
   において、前記濾材は、その内外周を濾材ホルダ
   に気密に嵌合固定されてなり、かつこの濾材ホル
   ダは中空円筒状の外筒部と、この外筒部の中央に
   支持ステーを介して一体化された有底円筒状の内
   筒部とからなる二重円筒状をなし、かつ前記外筒
   部の周縁には環状のガスケツトを一体的に嵌着
   し、このガスケツトを前記ボデイとカバーとに設
   けたフランジ部で挟持したことを特徴とするエア
   クリーナ。