JPS6311168Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は高級鋼の製造過程における真空脱ガス
を行なう取鍋のパツキン保護装置に係るものであ
る。

一般に、溶融金属の入つた取鍋の減圧加熱また
は真空脱ガス装置において、取鍋蓋が吊上げられ
て移動する場合または蓋を吊上げた状態で取鍋本
体を移動する場合、蓋に取付けてあるシールパツ
キンは溶融金属からの高温輻射熱及び熱風に曝さ
れることになる。これを防ぐために、従来よりパ
ツキン保護装置が設けられているが、これには当
該装置の駆動手段例えば流体圧シリンダ等が必要
となり、従つて、そのためのレイアウトが複雑と
なり、延いてはコスト高にもつながるという欠点
がある。

これに対して、本考案は前記欠点を除去し得る
真空取鍋のパツキン保護装置を提供しようとする
ものであつて、その要旨とするところは、蓋と取
鍋本体とから成る真空取鍋の前記蓋が上昇した時
に吊ビーム乃至架台に懸吊した支持部材に枢着さ
れているリンク部材にて前記蓋下面のシールパツ
キンを被覆すると共に下降した時に前記と逆の動
作で開放する遮熱板の多数組を前記蓋下方周囲に
繞設した点に存するものであり、かくして、本考
案によれば、何ら特別の駆動装置を用いずに取鍋
蓋の昇降運動を利用して遮熱板を自動的にタイミ
ング良く簡単且つ確実に動作させてシールパツキ
ンを保護することができるものである。

次に、第１図乃至第３図に示されている一実施
例により本考案を更に詳細に説明する。

真空取鍋を示す第１図において、１は自体周知
の昇降装置２にて水冷取鍋蓋３を懸吊している吊
ビーム、４は内部に溶湯５を貯溜し且つ上方外周
にパツキン座乃至フランジ６を有する取鍋本体を
それぞれ示すものであつて、前記蓋は昇降装置２
により吊上げられて矢印Ａ方向へ移動するか、ま
たは前記取鍋本体が台車（図示せず）により矢印
Ｂ方向へ移動するものであり、前記蓋の下面周囲
には第２図及び第３図に示すようにシールパツキ
ン７が嵌装してある。

第２図及び第３図において、上端が適宜架台８
乃至吊ビーム１に固定されている支持具９の下端
には摺動溝１０を有する二股状のガイド１１が垂
設してあり、前記溝とピン１２を介して摺動連結
されている上方コネクチングロツド１３はターン
バツクル１４にて下方コネクチングロツド１５と
連結せしめられており、該下方コネクチングロツ
ドの下端はピン１６を介して１対のリンク板１７
と枢着連結してある。また、水冷取鍋蓋３の下方
周囲に亘つて多数の小片に分割して繞設されるべ
き内方折曲舌片１８を有する遮熱板１９はこれと
同数で前記蓋の下方外周に設けてある支持ブラケ
ツト２０にヒンジピン２１を介して枢着連結され
ているリンク板１７に取付けられており、この場
合、実際の組立には、予め遮熱板１９にリンク板
１７を取付けておき、該リンク板をピン１６，２
１にて下方コネクチングロツド１５、支持ブラケ
ツト２０にそれぞれ枢着連結せしめるものであ
る。

なお、叙上においては、遮熱板１９を多数と
し、支持ブラケツト２０を前記遮熱板と同数とし
たが、その他の各部材も当然のことながら前記遮
熱板と同数となるものである。

次に、前記構成を有する本案装置の作動態様を
説明すると、第２図に示すようにシールパツキン
７を遮熱板１９にて被覆した保護状態から蓋３が
l₁だけ降下する間、ピン１２は吊ビーム１乃至架
台８に支持具９にて固定されたガイド１１の溝１
０を下端まで下降し、この間は遮熱板１９は作動
せず、更に前記蓋が下降し続けることによつて前
記遮熱板は下方コネクチングロツド１５にてヒン
ジピン２１を中心として時針方向に回動して前記
シールパツキンを保護状態から開放し、前記蓋が
パツキン座乃至フランジ６にセツトされて第３図
に示す状態となる。この場合、蓋３のストローク
ｌとl₁及びl₂の間にはｌ＝l₁＋l₂の関係があり、l₁
及びl₂を適切に選ぶことにより遮熱板１９とパツ
キン座乃至フランジ６とが干渉せずタイミング良
く作動させることができ、このタイミングの調整
はターンバツクル１４によつても修正することが
できる。

また、第３図に示す状態からシールパツキン７
を遮熱板１９にて保護するには、蓋３を昇降装置
２で上昇せしめれば、リンク板１７（遮熱板１
９）は自重によりヒンジピン２１を中心として反
時針方向に回動し、ピン１６は点線にて示す位置
となり、前記遮熱板は前記蓋の下面に当接して第
２図に示す状態となるために、前記シールパツキ
ンは溶融金属よりの高温輻射熱及び熱風から保護
され、引き続いて前記蓋の上昇に伴ないピン１２
もガイド１１の摺動溝１０をl₂だけ上昇する。

更に、水冷取鍋蓋３の下方周囲に繞設されるべ
き多数の遮熱板１９は、第４図及び第５図に示す
ように隣り合うものを一部オーバラツプさせる
か、または第６図に示すようにジヨイント目板２
２にて突き合せても良く、何れの場合にも石綿等
の断熱材２３が板外側に貼着してあり、また隣り
合う前記遮熱板はターンバツクル１４の調整によ
り作動開始タイミングをずらせて相互に干渉しな
いように考慮されており、また第７図に示すよう
に前記遮熱板の折曲舌片１８の内側にシールパツ
キン７を囲むようにしてリブ２４を設ければ、パ
ツキン保護効果を一層増大せしめることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るパツキン保護装置が設置
されるべき真空取鍋を蓋吊上げ状態で示す断面
図、第２図及び第３図は第１図のＣ部拡大詳細断
面図で、パツキンの保護及び非保護状態を示し、
第４図は第２図中の矢印Ｄ方向から見た底面図、
第５図は第４図中の−線に沿う断面図、第６
図は第５図と異なる実施例を示す断面図、第７図
は遮熱板の他の実施例を示す断面図である。な
お、図示された主要部と符号との対応関係は下記
の通りである。 １……吊ビーム、３……蓋、４……取鍋本体、
６……パツキン座乃至フランジ、９……支持具、
１０……摺動溝、１１……ガイド、１２……ピ
ン、１３……上方コネクチングロツド、１４……
ターンバツクル、１５……下方コネクチングロツ
ド、１７……リンク板、１９……遮熱板、２０…
…支持ブラケツト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 蓋と取鍋本体とから成る真空取鍋の前記蓋が
   上昇した時に吊ビーム乃至架台に懸吊した支持
   部材に枢着されているリンク部材にて前記蓋下
   面のシールパツキンを被覆すると共に下降した
   時に前記と逆の動作で開放する遮熱板の多数組
   を前記蓋下方周囲に繞設したことを特徴とする
   真空取鍋のパツキン保護装置。 (2) 実用新案登録請求の範囲(1)項記載の装置にお
   いて、支持部材が支持具と一体の摺動溝を有す
   るガイドと該溝に摺動嵌合している上方コネク
   チングロツドと該ロツドにターンバツクルを介
   して接続する下方コネクチングロツドから成る
   パツキン保護装置。 (3) 実用新案登録請求の範囲(1)項記載の装置にお
   いて、リンク部材が遮熱板を固着し且つ下方コ
   ネクチングロツドに枢着連結したリンク板と該
   リンク板にヒンジピンを介して枢着連結される
   べき蓋の下方周囲に設けた支持ブラケツトから
   成るパツキン保護装置。