JPS629391B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

四フツ化エチレン樹脂、四フツ化エチレン―六
フツ化プロピレン共重合体等のフツソ系樹脂はす
ぐれた耐熱性、耐薬品性をもつた樹脂であり、さ
らに非粘着性などの性質もかね備えている。この
ようなフツソ樹脂の特徴を生かした用途として炊
飯器、保温ジヤー、フライパン等の厨房器あるい
は複写機用ローラ等の機械部品があり、これらは
アルミニウムステンレスなどの金属にフツソ樹脂
を被覆して使用されている。 特にアルミニウムにフツソ系樹脂を被覆した厨
房器は近年急速に普及してきており、前述のジヤ
ー、フライパンなどの他にホツトプレート、電気
鍋などにおいてもフツソ系樹脂を被覆したものが
用いられている。このようなフツソ樹脂の中で最
もすぐれた特性をもつものが四フツ化エチレン樹
脂（PTFE）である。 フツソ系樹脂を金属に被覆する場合、樹脂は金
属と接着しにくいため通常の塗装とは異なつた被
覆方法が用いられている。アルミニウムの場合に
はこの方法は大きく分けて化学的に接着させる方
法および機械的に接着させる方法の二つがある。
前者は、いわゆるプライマー法とよばれアルミニ
ウムとフツソ系樹脂との間にこの両者に対して接
着性を有するプライマー層を設け、この層を介し
てフツソ樹脂とアルミニウムとを接着させる方法
である。後者はエツチング法とよばれ、アルミニ
ウム表面にたこつぼ形の微細な凹凸を設け、この
凹凸にフツソ系樹脂がはいりこんで投錨効果によ
つてアルミニウムとフツソ系樹脂とを機械的に接
着させる方法である。このようにフツソ系樹脂を
被覆する方法は他の樹脂を被覆には見られない複
雑な施工方法が必要である。プライマー法の場合
には、通常プライマーを塗布して高温で焼きつけ
たあと、さらにフツソ系樹脂を塗布して焼きつけ
るといういわゆる２コート２ベーク方式による被
覆方法が必要であり、またエツチング方法におい
ては被覆基材がアルミニウムに限定されるという
問題点があつた。 本発明者らはこれらの問題点を解決し、従来の
ものよりも簡単に安価にまた金属アルミニウム、
ステンレス等の基材に適用でき、かつ基材と樹脂
との接着性の大きなフツソ系樹脂被覆法を開発す
るため、種々検討した結果、本発明を完成するに
到つた。 つまり本発明の特徴は少なくとも分子中に１つ
以上のエポキシ基またはアミノ基とケイ素結合官
能基（Si―ORで示され、Ｒは水素原子、アルキ
ル基、アシル基またはSi―Ｘで示され、Ｘはハロ
ゲン原子）とを有する有機ケイ素化合物を金属基
材にあらかじめ塗布した後に、この上に樹脂に対
して１重量％以上の顔料等の無機充てん材を含有
するフツソ系樹脂分散液を被覆し、次いで加熱・
焼きつけを行なうことである。 このような本発明において用いられる有機ケイ
素化合物はいわゆるシランカツプリング剤とよば
れる化合物の一種である。 このシランカツプリング剤は一般にビニル基、
アミノ基あるいはエポキシ基等をもつ有機官能基
とハロゲン、アルコキシ基、アセトキシ基といつ
た官能基からなる有機ケイ素化合物である。 これらの代表例としてはビニルトリエトキシシ
ランCH₂＝CHSi（OC₂H₅）₃あるいはγ―アミノ
プロピルトリエトキシシランNH₂（CH₂）₃Si
（OC₂H₅）₃あるいはγ―グリンドキシプロピルト
リメトキシシラン

【式】などがあ る。 これらの化学構造からわかるようにシランカツ
プリング剤は反応性の有機ケイ素化合物で１つの
分子中に有機相と無機相の両方にそれぞれ親和性
をもつ化合物である。 従来このシランカツプリング剤を介してフツソ
系樹脂と金属との接着させる方法としては特開昭
50−2036あるいは特開昭52−50328に示されるも
のがある。これらはいずれも四フツ化エチレン―
六フツ化プロピレン共重合体（FEP）あるいは
エチレン―四フツ化エチレン共重合体、フツ化ビ
ニル樹脂等の四フツ化エチレン樹脂以外のものを
フイルムとして、さらにアミノシランを介して貼
りつけるものである。したがつて四フツ化エチレ
ン樹脂をこのようなシランカツプリング剤を用い
て接着させる技術は全く知られていなかつた。 本発明者らは、このシランカツプリング剤を用
いて四フツ化エチレン樹脂を金属等の基材に接着
させる方法を種々検討した結果、エポキシ基また
はアミノ基をもつシランカツプリング剤を基材に
あらかじめ塗布し、次いで顔料等を含むフツソ系
樹脂分散液をさらに被覆することによつて基材に
対するフツソ系樹脂の接着性が大幅に増強される
ことを明らかにした。この場合、シランカツプリ
ング剤を塗布する方法としては、水あるいはアル
コール等、このカツプリン剤が溶ける溶媒にとか
し、スプレー等で塗布した後、これを乾燥させる
方法が好ましい。 これらのエポキシシランには

【式】で示される γ―グリンドキシプロピルトリメトキシシランあ
るいは

【式】で示され るβ―（3.4―エポキシシクロヘキシル）エチル
トリメトキシシラン等がある。 またアミノシランにはNH₂（CH₂）₃Si
（OC₂H₅）₃で示されるγ―アミノプロピルトリエ
トキシシランあるいはNH₂（CH₂）₂NH（CH₂）₃Si
（OCH₃）₃で示されるＮ―β―（アミノエチル）―
γ―アミノプロピルトリメトキシシランなどがあ
る。 本発明の場合、フツソ樹脂分散液中に顔料等の
無機充てん材がある場合について接着力増強の効
果があり、充てん材の含有量は樹脂に対して１重
量％以上であることが必要である。 さらに、この充てん材の中でも白色顔料として
用いられるTiO₂（二酸化チタン）およびFe₂O₃
（ベンガラ）が特に大きな効果をもつことが明ら
かになつた。 このように本発明は従来の方法に比較して簡単
に安価にかつ広範囲の基材にも適用でき、かつ基
材とフツソ樹脂との接着性の大きなフツソ樹脂被
覆法を提供するものであり、被覆面の非粘着性等
を利用した各種厨房器あるいは機械部品等に広く
適用できるものである。 以下、本発明の実施例について述べる。 実施例 １ γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン およびＮ―β―（アミノエチル）―γ―アミノプ
ロピルトリメトキシシラン（NH₂（CH₂）₂NH
（CH₂）₃Si（OCH₃）₃）のエタノール溶液をそれぞ
れ作成した。（濃度は10重量％）これをサンドブ
ラストで粗面化したアルミニウム板にそれぞれ塗
布し、100℃にて10分間乾燥した。この面に表１
に示す各種四フツ化エチレン分散液を塗布し、
100℃にて10分間乾燥後380℃にて20分加熱し焼結
を行なつた。 得られた被覆物のアルミニウムと樹脂との接着
力を180゜剥離強さによつて測定した。また比較
のためシランカツプリング剤を添加しないものを
同種のアルミニウム板に被覆したものを同様の方
法で作成し、接着力を測定した。 これらの結果を表１に示す。

【表】 実施例 ２ 顔料の充てん量をかえたものについてシランカ
ツプリング剤の効果を検討した例を示す。 γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
の10％エタノール水溶液をサンドブラストによつ
て粗面化したステンレス板表面に塗布し100℃に
て10分間乾燥させた。この面に樹脂に対して0.5
％〜７％のFe₂O₃を含有する四フツ化エチレン樹
脂分散液を塗布し、100℃にて10分間乾燥後380℃
にて20分焼結を行なつた。Fe₂O₃の含有量と被覆
物の接着力との関係は表２のようであつた。

【表】

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 分子中に１つ以上のエポキシ基またはアミノ
   基と、ケイ素結合官能基（Si―ORで示されＲは
   水素原子、アルキル基、アシル基またはSi―Ｘで
   示されＸはハロゲン原子）とを有する有機ケイ素
   化合物を金属基材にあらかじめ塗布した後、樹脂
   に対して１重量％以上の顔料等の無機充てん材を
   含有しているフツソ系樹脂分散液を前記基材に被
   覆し、加熱・焼きつけを行なうことを特徴とする
   フツソ系樹脂被覆法。 ２ 無機充てん材がTiO₂またはFe₂O₃であること
   を特徴とする特許請求の範囲１のフツソ系樹脂被
   覆法。 ３ フツソ系樹脂が四フツ化エチレン樹脂である
   ことを特徴とする特許請求の範囲１のフツソ系樹
   脂被覆法。