JPS628804B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「発明の技術分野」 この発明は、マスタシリダに接続される入口室
と、従属シリンダに接続される出口室と、これら
入口室と出口室との間に配置され、所定の切換え
圧力で閉じられる制御弁と、この制御弁に対し並
列に配置され、出口室の圧力よりも入口室の圧力
が減少したとき、その締切り力に抗して開かれる
逆止弁とを具備してなる圧力制御ユニツトに関す
る。

「発明の技術的背景とその問題点」 この種の圧力制御ユニツトは、米国特許第
3088285号に開示されている。この公知の圧力制
御ユニツトにおいて、第１圧力室と第２圧力室と
の間は、バイパス通路を介して相互に連通可能で
あるとともに、また、別の戻り通路を介して相互
に連通可能となつている。ここで、バイパス通路
及び戻り通路は、１つの弾性を有した弾力性弁体
によつて開閉可能となつている。即ち、戻り通路
の開閉についてみれば、第１圧力室の圧力が第２
圧力室の圧力よりも高い場合、弾力性弁体は、第
１圧力室の圧力により押圧摺動されて戻り通路を
閉じるようになつており、一方、逆に、第２圧力
室の圧力が第２圧力室の圧力よりも高い場合、弾
力性弁体は、第２圧力室の圧力により押圧摺動さ
れて戻り通路を開くようになつている。

しかしながら、上述したように第１圧力室と第
２圧力室との間の圧力差を利用して、戻り通路の
開閉作動をなす弾力性弁体においては、その製造
公差を極めて精密にしないと、弾力性弁体によつ
て戻り通路が閉じたままの状態になつたり、ある
いは、弾力性弁体の摺動抵抗が大となつて、戻り
通路の開閉作動を良好に行なえない不具合があ
る。

また、弾力性弁体は、弾力性を有することか
ら、第１圧力室及び第２圧力室の圧力によつて過
度の応力が加えられると変形し、このことから
も、弾力性弁体の確実な開閉作動を維持できない
不具合がある。

更に、弾力性弁体においては、上述したように
摺動されることから、弾力性弁体に摩耗が生じ、
この摩耗によつて、圧力制御ユニツトの寿命が決
定されることにもなる。

「発明の目的」 この発明の目的は、構造が簡単で、摩耗及び著
しい変形のない弾力性弁体を備えてなり、その作
動を確実になすことができる圧力制御ユニツトを
提供することにある。

「発明の概要及びその効果」 この発明の圧力制御ユニツトは、内部に縦軸線
と同心的な穴を有してなるハウジングと、この穴
に規定された入口室と、穴内に入口室よりも離れ
て規定された出口室と、入口室と出口室との間の
穴の途中に規定された弁口と、穴内に同心的にし
て且つ縦軸線に沿つて移動可能に配置され、一端
部が弁口を遊貫して出口室に突出するとともに、
他端に出口室に向かう所定の制御力が加えられる
タペツト部材と、このタペツト部材の一端部に、
この一端部を同心的に囲むように取付けられ、入
口室側の端部が開口された円筒形状のキヤツプ部
材と、このキヤツプ部材内に、外周面が接触した
状態で、タペツト部材の一端部を囲むように取付
けられ、出口室の圧力が所定の切換え圧力に達
し、タペツト部材とともにキヤツプ部材が入力室
側に向かつて移動されたとき、弁口を閉じる弾力
性弁体と、弾力性弁体の内周面とタペツト部材に
おける一端部の外周面との間に形成され、入口室
側の端部が弁口を介して連通する環状通路と、キ
ヤツプ部材の底壁に形成され、環状通路を出口室
と連通させる連通孔と、弾力性弁体と一体に形成
され、この弾力性弁体からタペツト部材の一端部
に向かつて延びて、この一端部を取囲み、入口室
の圧力が出口室の圧力よりも低いときのみ、環状
通路と入口室との間を連通させる弾性逆止体とを
具備して構成されている。

この発明の圧力制御ユニツトの主な効果は、以
下の通りである。(1)弾力性弁体は、キヤツプ部材
により保護されているため、機械的には弱い力し
か受けず、従つて、弾力性弁体の著しい変形を防
止することができる。(2)弾力性弁体は、ハウジン
グの穴の内面等に対して摺動することがないの
で、摩耗を受けることがない。(3)圧力制御ユニツ
ト全体として、その部品点数が少なく、製造コス
トを安価にすることができる。

また、この発明の別の利点は、弾力性弁体がキ
ヤツプ部材により覆われているので、このキヤツ
プ部材が弾力性弁体の補強をなすことにある。

更に、弾力性弁体の閉弁作動を制限するため
に、キヤツプ部材の開口端を止めに対する当接部
として利用することができる。

更にまた、ハウジングの穴内において、入口室
と出口室との間にスリーブを固定して配置すると
ともに、このスリーブの出口室の端面に環状溝を
形成すれば、この環状溝内に、キヤツプ部材の開
口端を挿入して、キヤツプ部材の移動案内をなす
ことができる。これにより、開閉作動時、弾力性
弁体の傾きを防止できるので、弾力性弁体によ
り、弁口を確実に閉じることができる。

又、この発明の他の利点は、弾力性弁体がキヤ
ツプ部材により覆われていても、弁口が開かれて
いるとき、キヤツプ部材に圧力媒体を確実に流す
ための孔を設けることもできる。

弾力性弁体の閉弁作動に要する距離を決定する
場合には、出口室内に、キヤツプの移動を阻止す
る止めを設けるのが好ましい。

弾性逆止弁体は、弾力性弁体と一体に形成され
ているので、圧力制御ユニツト全体の部品点数を
削減できるとともに、その組立てもまた容易にな
る。

「発明の実施例」 以下、この発明の一実施例を図面に基づき詳細
に説明する。

図において、圧力制御ユニツトは、ハウジング
１を備え、このハウジング１は、圧力媒体接続部
３を介してマスタシリンダと接続される。ハウジ
ング１内には、このハウジング１の縦軸線と同心
的にして、段付きの穴２が形成されている。圧力
媒体接続部３は、穴２及び圧力媒体接続部４を介
して自動車のブレーキシリンダ等の従属シリンダ
と接続可能である。

穴２内には、第１スリーブ５と第２スリーブ６
とが挿入されており、これら第１及び第２スリー
ブ５，６と穴２の内周面との間には、シール７，
８が夫々配置されている。穴２の開口端部におけ
るねじ部１０には、リング９がねじこまれてお
り、このリング９のねじこみにより、先ず、第２
スリーブ６が第１スリーブ５に当接され、そし
て、次に、第１スリーブ５が穴２の内周面に形成
した第１止め１１に当接された状態に保持されて
いる。

第２スリーブ６内には、タペツト部材１２が軸
線方向に移動自在に取付けられている。タペツト
部材１２と第２スリーブ６との間には、シール１
３が配置されている。このシール１３は、第２ス
リーブ６内における入口室１４を区画しており、
この入口室１４は、第１スリーブ５の径方向開口
１５を介して圧力媒体接続部３に連通されてい
る。

タペツト部材１２の一端側は、テーパ部を介し
て縮径されており、この縮径部１２′の先端に
は、円筒形状をなしたキヤツプ部材１６が固定さ
れている。キヤツプ部材１６の底壁は、穴２内に
おいて、出口室１７を区画している。キヤツプ部
材１６の開口端１６′は、第１スリーブ５の環状
溝１８内に挿入されている。キヤツプ部材１６の
開口端１６′は、環状溝１８内に遊びを存して案
内されており、この遊びにより、圧力媒体のため
の充分な流路が確保されている。

キヤツプ部材１６内には、円筒形状をなした弾
力性弁体１９が取付けられている。この弾力性弁
体１９は、キヤツプ部材１６の内側底面及び内周
面の双方に接触されている。また、弾力性弁体１
９の内周面とタペツト部材１６における縮径部１
６′の外周面との間には、所定の間隙が設けられ
ている。従つて、弾力性弁体１９とタペツト部材
１６における縮径部１６′との間には、環状通路
２０が形成されており、この環状通路２０は、キ
ヤツプ部材１６の底壁に形成した連通孔２１を介
して出口室１７に連通されている。環状通路２０
における入口室１４に面する側の部位には、弾性
逆止弁体としてのシールリツプ２２が一体的に設
けられている。このシールリツプ２２の先端は、
タペツト部材１６における縮径部１６′の外周面
に接触し、このシールリツプ２２により、環状通
路２０における入口室１４に面する側の部位が閉
じられている。

弾力性弁体１９と第１スリーブ５との間の軸線
方向の間隙は、キヤツプ部材１６の開口端１６′
と環状溝１８の底面との間の軸線方向の間隔に等
しい。従つて、弾力性弁体１９が第１スリーブ５
の出口室１７側端面に当接すると、弾力性弁体１
９は、第１スリーブ５の内孔、つまり、弁口を閉
じる方向にこれ以上移動することはできず、これ
により、弾力性弁体１９の変形を確実に防止でき
る。

一方、タペツト部材１６に制御力Ｆのみが作用
しているとき、キヤツプ部材１６は、タペツト部
材１２を介して、穴２の内周面に形成された第２
止め２３に押付けられることになり、これによ
り、弾力性弁体１９は、前記弁口を開いた状態に
保持される。

次に、上述した圧力制御ユニツトの作動につい
て説明する。

圧力制御ユニツトが休止状態にあるとき、全て
の可動部材は、図に示す位置にある。

入口室１４内に圧力が生起されると、弾力性弁
体１９により弁口は開いた状態にあるので、出口
室１７にも入口室１４の圧力と等しい圧力が生起
される。入口室１４と出口室１７の圧力が上述し
た制御力Ｆによつて決定される切換え圧力のレベ
ルに達すると、弾力性弁体１９は、タペツト部材
１２とともに入口室１４側に移動し、第１スリー
ブ５の出口室１７側の端面、つまり、弁座に着座
して、弁口を閉塞する。第１スリーブ５の出口室
１７側端面に形成される上記弁座の外径寸法がシ
ール１３によりシールされるタペツト部材１２の
直径寸法と等しい場合には、入口室１４内の圧力
が更に増加しても、出口室１７の圧力は変化しな
い。この場合、この発明の圧力制御ユニツトは、
圧力制限器として機能する。

入口室１４内の圧力が切換え圧力以下のレベル
に達すると、出口室１７と入口室１４との間の圧
力差によつて、シールリツプ２２は、タペツト部
材１６の縮径部１６′から離れ、これにより、環
状通路２０を介して、入口室１４と出口室１７と
の間の圧力的平衡がもたらされる。この結果、出
力室１７内の圧力は、切換え圧力以下に低下し、
これにより、弾力性弁体１９は、制御力Ｆの力を
受けて、弁口を再び開く。

第１スリーブ５における出口室１７側の端面に
形成される弁座の外径寸法がシール１３によりシ
ールされているタペツト部材１２の外径寸法より
も大きい場合には、この発明の圧力制御ユニツト
は、減圧器として機能する。この場合において
も、入口室１４及び出口室１７の圧力が切換え圧
力に達すると、弾力性弁体１９は、弁口を閉じ
る。入口室１４内の圧力が更に増加すると、弾力
性弁体１９は、入口室１４内の圧力増加によつ
て、再び弁口を開き、出口室１７内の圧力は増加
する。この出口室１７内の圧力増加により、弁口
を閉じる方向への弾力性弁体１９に作用する力が
増加することから、弾力性弁体１９は、再び弁口
を閉じる。このような弾力性弁体１９の開閉作動
により、入口室１４内の圧力上昇に伴い、出口室
１７内の圧力をも増加されることになるが、この
場合、出口室１７内の圧力増加は、入口室１４内
の圧力増加に対し、タペツト１部材２と弾力性弁
体１９との圧力作用面積の比に応じて減じられる
ことになる。

出口室１７内の圧力よりも入口室１４内の圧力
が減少されると、シールリツプ２２は、タペツト
部材１２の縮径部１２′から離れ、入口室１４と
出口室１７との間には、上述したように圧力平衡
がもたらされる。

この発明の圧力制御ユニツトは、種々の形式の
圧力制御システムに適しており、特に、自動車の
ブレーキシステムに好適する。この発明の圧力制
御ユニツトは、構造が簡単且つ小形であるため、
双子型又は水平対向型に配置することに関しても
適している。

この発明は、上述した一実施例に制限されるも
のではなく、例えば、キヤツプ部材１６の開口端
１６′と環状溝１８の内壁との間における径方向
の遊びが少なく、圧力媒体の流路が充分に確保で
きない場合は、図面に示されているように、キヤ
ツプ部材１６に於ける開口端１６′と弾力性弁体
１９との間に径方向の開孔２４を形成するように
してもよい。

【図面の簡単な説明】

図は、この発明の一実施例を示す圧力制御ユニ
ツトの縦断面図である。 １…ハウジング、２…穴、３，４…圧力媒体接
続部、５…第１スリーブ、６…第２スリーブ、
７，８，１３…シール、１１…第１止め、１２…
タペツト部材、１２′…縮径部、１４…入口室、
１６…キヤツプ部材、１６′…開口端、１７…出
口室、１８…環状室、１９…弾力性弁体、２０…
環状通路、２２…シールリツプ、２３…第２止
め。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 内部に縦軸線と同心的な穴を有してなるハウ
   ジングと、 穴内に規定された入口室と、 穴内に入口室よりも離れた規定された出口室
   と、入口室と出口室との間の穴の途中に規定され
   た弁口と、 穴内に同心的にして且つ縦軸線に沿つて移動可
   能に配置され、一端部が弁口を遊貫して出口室に
   突出するとともに、他端に出口室に向かう所定の
   制御力が加えられるタペツト部材と、 タペツト部材の一端部に、この一端部を同心的
   に囲むように取付けられ、入口室側の端部が開口
   された円筒形状のキヤツプ部材と、 キヤツプ部材内に外周面が接触した状態で、タ
   ペツト部材の一端部を囲むように取付けられ、出
   口室の圧力が所定の切換え圧力に達し、タペツト
   部材とともにキヤツプ部材が入口室に向かつて移
   動されたとき、弁口を閉じる弾力性弁体と、 弾力性弁体の内周面とタペツト部材における一
   端部の外周面との間に形成され、入口室側の端部
   が弁口を介して入口室に連通する環状通路と、 キヤツプ部材の底壁に形成され、環状通路を出
   口室と連通させる連通孔と、 弾力性弁体と一体に形成され、この弾力性弁体
   からタペツト部材の一端部に向かつて延びて、こ
   の一端部を取囲み、入口室の圧力が出口室の圧力
   よりも低いときのみ、環状通路と入口室とを連通
   させる弾性逆止弁体とを具備してなることを特徴
   とする圧力制御ユニツト。 ２ キヤツプ部材における開口端は、弾力性弁体
   の閉弁作動を制限するための当接部として構成さ
   れることを特徴とする特許請求の範囲第１項に記
   載の圧力制御ユニツト。 ３ キヤツプ部材の開口端は、入口室の近傍に位
   置して穴内に固定されてなる第１スリーブの環状
   溝内に移動自在に挿入されていることを特徴とす
   る特許請求の範囲第２項に記載の圧力制御ユニツ
   ト。 ４ キヤツプ部材の開口端は、環状溝の内壁との
   間に径方向の間隙を存して、この環状溝内に挿入
   されていることを特徴とする特許請求の範囲第３
   項に記載の圧力制御ユニツト。 ５ キヤツプ部材における開口端近傍の外周壁に
   は、弁口が開かれているとき、第１スリーブと弾
   力性弁体との間に位置して、少なくとも１個の径
   方向孔が形成されていることを特徴とする特許請
   求の範囲第４項に記載の圧力制御ユニツト。 ６ 出口室近傍の穴内には、弾力性弁体が弁口を
   開いているとき、キヤツプ部材の底壁が押付けら
   れる止めが設けられていることを特徴とする特許
   請求の範囲第５項に記載の圧力制御ユニツト。