JPS625361Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、自動車の遊動車輪を支持する車
軸、詳しくはアクスルビームの端部に固定され、
ブレーキ装置を支持するバツキングプレートを取
付けた自動車の固定車軸に関する。

従来、この種自動車の固定車軸にあつては、第
３図に示す如く車軸Ｓの軸方向中間部に、該車軸
Ｓの半径方向外方に延びる肉厚のフランジS₁を熱
間鍛造により一体に形成し、このフランジS₁にボ
ルトＰを介してバツキングプレートＣを固定する
ごとく成す一方、更に前記フランジS₁の軸方向内
側に、前記車軸Ｓの径よりも大径とした取付軸部
S₂を一体に形成し、この取付軸部S₂を、アクスル
ビームＢの端部に挿通して適宜溶接することで前
記車軸ＳをアクスルビームＢの端部に固定してい
たのである。

以上の如く、前記車軸Ｓには、バツキングプレ
ートＣの取付用フランジS₁と、アクスルビームＢ
への取付軸部S₂とを１体に形成しているため、前
記支軸Ｓの形成は、熱間鍛造によるしかなく、そ
の結果製造コストの高騰を招ねくのであり、しか
も、前記フランジS₁は、前記バツキングプレート
Ｃの取付強度を得るため、その肉厚を厚くしてお
り、また、前記取付軸部S₂は、その内端部に空胴
部Ｄを設けているものの、前記フランジS₁と連続
して１体に形成しているため、その基部は、中実
になつているのであつて、これらの結果、車軸全
体の重量が増大するという問題があつた。

而して本考案は従来この種車軸にまつわる前記
した問題点を解決すべく考案したものであつて、
車軸を構成する軸主体の中間部外周に、フランジ
を設け、該フランジの軸方向一側に板材から成る
バツキングプレートの取付板を固着し、この取付
板にカツプ状の取付筒のフランジ部を固定すると
共に、該取付筒の底部を軸主体の端部に固着し、
かつ該取付筒を前記アクスルビームに挿嵌固着
し、前記軸主体を前記アクスルビームに前記取付
筒を介して固着することを特徴とするものであ
る。

即ち、本考案は、従来の前記した問題が前記車
軸Ｓに、前記フランジS₁と取付軸部S₂とを一体に
形成していることに原因があることを究明し、バ
ツキングプレートを取付ける取付部材と、アクス
ルビームに挿嵌して固着する取付部材とを、軸主
体と別に形成し、前記各部材を、前記軸主体に結
合すると共に、前記バツキングプレートを取付け
る取付部材を板状に、またアクスルビームに固着
する取付部材を筒状にして、前記軸主体を冷間鍛
造による製造を可能にし、製造コストを低くし、
かつ、軽量化も可能にしたのである。

以下本考案主軸の実施例を、第１，２図に基づ
いて説明する。

本考案車軸は、軸主体１と、バツキングプレー
トＣを支持するプレートから成る取付板２及びア
クスルビームＢに挿嵌して、前記車軸を、前記ア
クスルビームＢに固着するカツプ状の取付筒３と
から構成するものであつて、前記軸主体１は、そ
の軸方向全長に亘つて、ほゞ同一径とし、冷間鍛
造により製造可能にするのであり、この軸主体１
の軸方向中間部に、前記取付板２を固定するので
ある。

図面に示した前記軸主体１は、その中間部外周
に、前記軸主体１の外径よりやゝ大径のフランジ
１１を設けると共に、このフランジ１１の軸方向
内側には、前記取付筒３の支持部１２を設けてい
る。

又、前記取付板２は、金属製プレートを用い、
円盤状に打抜き加工により形成するもので、その
中心部には、前記軸主体１に挿嵌する挿通孔２１
を設け、外周部には、複数のボルト孔２２を設け
ている。

そして、以上の如く形成する前記取付板２は、
前記挿通孔２１を介して軸主体１に挿通した後、
この軸主体１の前記フランジ１１に当てがつて溶
接することで、前記取付板２を前記軸主体１の中
間部外周に固着するのである。

又、前記取付筒３は、前記取付板２に固定する
のであつて、この取付筒３を前記アクスルビーム
Ｂの端部に挿嵌することで、前記軸主体１を前記
アクスルビームＢに固着するのである。

即ち、前記取付筒３は、カツプ状、換言すれ
ば、有底円筒状とし、その外径を、前記アクスル
ビームＢの内径と付合させると共に、開放側に
は、複数のボルト孔３１を備えたフランジ３２を
形成するのであり、閉鎖側、即ち底壁３３には、
前記軸主体１の一端部を支持するための支持孔３
４を形成したものであつて、前記取付筒３の支持
孔３４を前記軸主体１における前記支持部１２の
端部を嵌合せしめ、適宜溶接するとともに、第２
図に示す如くボルト４を介して前記フランジ３２
を、前記バツキングプレートＣとともに取付板２
に固定して、前記軸主体１に結合するのである。

そして以上の如く取付板２を介して軸主体１に
固定された前記取付筒３を、アクスルビームＢの
端部に挿嵌して溶接することで、該取付筒３を介
して前記軸主体１を前記アクスルビームＢに固着
するのである。

斯くして、以上の構成からなる本案自動車の固
定車軸は、前記した如くプレートからなる取付板
を前記軸主体の中間部外周に固着して、この取付
板にバツキングプレートを支持せしめるから、前
記軸主体に、第３図に示した従来のごとく、大径
で肉厚大なるフランジS₁を設ける必要がなく、前
記軸主体を、軸方向全長に亘つてほゞ同一径とし
て、冷間鍛造を可能にでき、しかも前記取付板
は、打抜き加工などにより極めて簡単に形成でき
るものである。

従つて本考案によれば、従来の如く前記軸主体
に、前記バツキングプレート取付用のフランジを
一体として熱間鍛造によつて形成する場合に比
し、その製造コストが非常に安価となるのであ
る。

又、本考案は、前記取付板をプレートにより形
成すると共に、前記軸主体をアクスルビームに取
付ける取付筒をカツプ状として、前記軸主体に組
合わせ、取付筒を介して前記軸主体を前記アクス
ルビームに固着させるから、車軸全体の重量が従
来よりも格段に軽量となるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の１実施例を示す側面図、第
２図は、第１図−線断面図、又第３図は従来
の車軸を一部切欠して示す正面図である。 １……軸主体、２……取付板、３……取付筒、
４……ボルト、１１……フランジ、Ｂ……アクス
ルビーム、Ｃ……バツキングプレート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. アクスルビームに固着され、ブレーキのバツキ
   ングプレートを固定すると共に、車輪を回転自由
   に支持する自動車の固定車軸において、軸主体の
   中間部外周にフランジを設け、該フランジの軸方
   向一側に板材から成るバツキングプレートの取付
   板を固着し、この取付板にカツプ状の取付筒のフ
   ランジ部を固定すると共に、該取付筒の底部を軸
   主体の端部に固着し、且つ該取付筒を前記アクス
   ルビームに挿嵌固着して、前記軸主体を前記アク
   スルビームに固着したことを特徴とする自動車の
   固定車軸。