JPS6245934B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はプレキヤストコンクリート版を用いた
合成床構造に関する。

一般にプレキヤストコンクリート版を用いた合
成床構造としてはプレキヤストコンクリート版を
型枠として使用し、その上面に鉄筋を一体的に突
設しておき、これに連結させて現場打コンクリー
ト層の補強鉄筋を配設してプレキヤストコンクリ
ート版の上にコンクリートを打設し、一体の合成
床構造となす工法が知られている。

この工法はプレキヤストコンクリート版を型枠
と兼用させることに主として意味がありプレキヤ
ストコンクリート版に耐荷重能力をもたせるもの
ではなかつた。これがために合成された床は全体
が厚いものとならざるを得ないものであり、ま
た、プレキヤストコンクリート版の製造に手作業
が多くなり高コストとなるとともに鉄筋を突設さ
せたプレキヤストコンクリート版はその取り扱い
が不便である等の問題があつた。

本発明は上述の如き問題にかんがみ、鉄筋等を
表面に突出させることがなく、自動コンクリート
打設成形が可能な平らなプレキヤストコンクリー
ト版を使用し、しかもそのプレキヤストコンクリ
ート版とその上面に現場において打設される現場
打コンクリート層及びプレキヤストコンクリート
版相互間が外力によつて分離されることがなく、
力学的に床として有効に一体化がなされ、強度的
に優れた合成床構造の提供を目的としたものであ
り、その要旨とするところは、鉄骨梁に支持させ
てプレキヤストコンクリート版を多数敷設し、そ
の上面に現場打コンクリート層を一体に備えてな
るプレキヤストコンクリート版を用いた合成床構
造において、前記プレキヤストコンクリート版
は、その肉厚内に長手方向に向けた複数の中空孔
を連続して有するとともに長辺側側面にその上縁
部及び下縁部をそれぞれ側方に張り出させた上フ
ランジと下フランジとを有し、該下フランジは上
フランジより張り出し長さが長く成形されてお
り、該下フランジが互いに接合されて各プレキヤ
ストコンクリート版が多数敷設されており、且つ
前記上フランジ上には、互いに隣接するプレキヤ
ストコンクリート版にまたがる配置に多数の凹陥
部が間隔を隔てて設けられており、該凹陥部内に
底面が嵌り上部が突出する大きさに枠組された鉄
筋枠が嵌め合わされており、該鉄筋枠上に前記現
場打コンクリート層の補強鉄筋が接合され、該現
場打コンクリート層は前記凹陥部及び下フランジ
上のプレキヤストコンクリート版側面間の凹部内
に一体に打設されていることを特徴としてなるプ
レキヤストコンクリート版を用いた合成床構造に
存する。

次に本発明の合成床構造の実施例を図面につい
ての製法とともに説明する。

図中１は本発明において使用するプレキヤスト
コンクリート版である。このプレキヤストコンク
リート版１は第１図に示すように矩形状に成形さ
れ、その厚み内に長手方向に向けて中空孔２，２
……が貫通開口されているとともに、各中空孔
２，２……間の上下位置にPC鋼線３，３……が
緊張されて埋設されている。

また、プレキヤストコンクリート版１の長手方
向の側面には、その上縁部及び下縁部を側方に張
り出した上フランジ１ａ及び下フランジ１ｂが一
体形成されている。また上フランジ１ａは下フラ
ンジ１ｂよりその張り出し長さを短くしている。

更に、このプレキヤストコンクリート版１の上
面の周縁部、即ち端部上面及び前記上フランジ１
ａの上面には一定間隔毎に略半円形をした凹陥部
４ａ，４ａ……が形成されている。この凹陥部４
ａ，４ａ……は互いに接合する隣り合つた他のプ
レキヤストコンクリート版１の凹陥部４ａと合致
し、両プレキヤストコンクリート版１，１間にま
たがつた円形の凹陥部４が形成されるようにして
いる。

このようにあらかじめ形成したプレキヤストコ
ンクリート版１を第２図に示すように枠組した鉄
骨梁５上にその周縁部を支持させ下フランジ１
ｂ，１ｂを互いに当接させて敷設する。このとき
前述した凹陥部４ａ，４ａが互いに隣接するプレ
キヤストコンクリート版１，１相互間において合
致し、両者にまたがつた凹陥部４が形成されるよ
うに配置している。

なお、この凹陥部４はプレキヤストコンクリー
ト版１の敷設後、円形カツターで切欠形成しても
よいものであり、またその形状も円形の他、角形
に形成してもよいものである。

このようにして敷設したプレキヤストコンクリ
ート版１の上面の凹陥部４内に鉄筋枠７を嵌合す
る。この鉄筋枠７は一例として第３図イに示すよ
うに、コ字状の折曲鉄筋７ａ，７ｂを互いにクロ
スさせて一体化し、立体形状に枠組したものを使
用する。

この他第３図ロに示すように一対の方形の枠を
互いに組み合わせた鉄筋枠８ａ、更に第３図ハに
示すように方体形状に枠組した鉄筋枠８ｂ、第３
図ニに示すように線材を折曲形成して底部中央に
凹陥部４に嵌り合う突部９ａを形成し、上部９ｂ
を凹陥部４の上縁外周に張り出す形状の鉄筋枠９
等適宜のものが使用される。

而して、この鉄筋枠７，８ａ，８ｂ，９は下端
側が凹陥部４内に略いつぱいに嵌り合い、上部が
プレキヤストコンクリート版１上に突出するもの
であればよいものである。

このように鉄筋枠７をセツトし、その後、この
鉄筋枠７に支持させて現場打コンクリート用の補
強鉄筋１０を布設する。而してこの補強鉄筋１０
を埋め込んで、各プレキヤストコンクリート版１
の上面及びフランジ１ｂ，１ｂ上に形成される中
空の凹溝１３内に現場打コンクリート１１を打設
し、第４図、第５図に示す如き合成床構造を得
る。

なお、第４図はプレキヤストコンクリート版１
の両縁の接合部の断面を示し、第５図は両端の突
き合せ部分の断面を示しており、プレキヤストコ
ンクリート版１の先端間には鉄骨梁５よりスタツ
ドボルト１２を立設させている。

このように構成される合成床構造はプレキヤス
トコンクリート版１，１の上下のフランジ間に囲
まれた凹溝１３内のコンクリート及び凹陥部４内
の鉄筋枠７の水平方向の部分によつて補強された
コンクリートによつて、互いに水平方向のずれが
有効に防止され、また、プレキヤストコンクリー
ト版１と現場打ちコンクリート層１１とは凹陥部
４内に一体に打設されたコンクリートが鉄筋枠７
の垂直部分によつて補強されているため、その剪
断抵抗により水平方向にずれることがなく、結
局、水平及び垂直の両方向において、強固に一体
化された合成床となる。

本発明のプレキヤストコンクリート版を使用し
た合成床構造は上述のように構成され、肉厚内に
複数の中空孔を連続して有するプレキヤストコン
クリート版は、幅方向に複数のＩ型の梁を一体に
有する構造であるため、それ自体軽量で高強度と
なすことが可能であり、かくすることによりその
上面の現場打コンクリート層の厚さを薄いものと
することができ、現場施工が容易となる。またプ
レキヤストコンクリート版相互間には下側が下フ
ランジによつて閉じられた凹溝が形成され、その
凹溝内のコンクリートとプレキヤストコンクリー
ト版上面のコンクリートが一体となつて一種の梁
が形成され、現場打コンクリート層自体の断面係
数も大きくなり、更に上記凹溝内のコンクリート
はその側部が下・上下フランジで挟まれた構造と
なり、プレキヤストコンクリート版相互の上下方
向のずれに対抗する力が大きくなり、更にプレキ
ヤストコンクリート版相互間にまたがらせ、凹陥
部を設け、その内部に上端がプレキヤストコンク
リート版の上方に突出される大きさの鉄筋枠を嵌
め合せ、これに上部の現場打コンクリート層の補
強鉄筋を支持させたことによつてプレキヤストコ
ンクリート版相互間及びプレキヤストコンクリー
ト版と現場打コンクリート層とが合成床構造とし
て力学的に有効に一体化され強靭な合成床構造と
なる。

またこの合成床構造は使用するプレキヤストコ
ンクリート版は表面が平らであり、現場打コンク
リート層等との一体化のための鉄筋を突設してい
ないため、製造が容易であり、また積み上げ保管
や運搬等の際の取り扱いが容易となり、全体とし
て低コストの合成床構造となる等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すもので第１図は本
発明において用いるプレキヤストコンクリート版
の斜視図、第２図は同プレキヤストコンクリート
版の敷設状態の平面図、第３図イ〜ニはそれぞれ
鉄筋枠の別々の例の斜視図、第４図、第５図は合
成床構造の異つた位置の部分断面図である。 １……プレキヤストコンクリート版、１ａ……
上フランジ、１ｂ……下フランジ、２……中空
孔、３……PC鋼線、４……凹陥部、５……鉄骨
梁、７，８ａ，８ｂ，９……鉄筋枠、１３……凹
溝。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 鉄骨梁に支持させてプレキヤストコンクリー
   ト版を多数敷設し、その上面に現場打コンクリー
   ト層を一体に備えてなるプレキヤストコンクリー
   ト版を用いた合成床構造において、前記プレキヤ
   ストコンクリート版は、その肉厚内に長手方向に
   向けた複数の中空孔を連続して有するとともに長
   辺側側面にその上縁部及び下縁部をそれぞれ側方
   に張り出させた上フランジと下フランジとを有
   し、該下フランジは上フランジより張り出し長さ
   が長く成形されており、該下フランジが互いに接
   合されて各プレキヤストコンクリート版が多数敷
   設されており、且つ前記上フランジ上には、互い
   に隣接するプレキヤストコンクリート版にまたが
   る配置に多数の凹陥部が間隔を隔てて設けられて
   おり、該凹陥部内に底部が嵌り上部が突出する大
   きさに枠組された鉄筋枠が嵌め合わされており、
   該鉄筋枠上に前記現場打コンクリート層の補強鉄
   筋が接合され、該現場打コンクリート層は前記凹
   陥部及び下フランジ上のプレキヤストコンクリー
   ト版側面間の凹部内に一体に打設されていること
   を特徴としてなるプレキヤストコンクリート版を
   用いた合成床構造。