JPS624402Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はスローアウエイ式の突切り用チツプの
改良に関する。

第１図ａ〜ｅは、従来のスローアウエイ式の突
切り用チツプ（以下、単に突切りチツプと称す
る。）とその突切り加工例を示すものである。ま
ず第１図ａは、突切りチツプ１の平面図を示して
おり、切刃２からチツプ後縁にかけてバツクテー
パτがつけられている。これは、第１図ｂに示す
ように切削を行なう切刃２以外を、加工物３に接
触させないようにするためである。また、第１図
ｃは突切りチツプの側面図を示しており、前逃げ
角γ_eがつけられている。第１図ｄは、突切り加
工中の状態を側面から見た図であり、前逃げ角γ
_eのために切刃２以外は加工物３に接触していな
い。さらに、第１図ｅは突切りチツプの正面図を
示しており、切刃のコーナ部４以外が加工物３と
接触しないように横逃げ角γ_sがつけられてい
る。

ところで、一般に突切り加工は溝入れ加工に比
べて切込みが深いため、第１図ｂに示すように突
切りチツプ１全体が加工物３中に入ることにな
り、バツクテーパτが必要となるのであるが、こ
のため通常の突切りチツプは主切れ刃を一つしか
有することができず、一切れ刃当たりのチツプの
価格が割高になるという問題がある。

そこで、最近では切刃数を増やすことを目的と
した第２図に示すような三角形チツプ６が提供さ
れている。しかし乍ら、この場合には切刃２ａに
よる突切り加工によつて、切刃のコーナ部４が摩
耗損傷することが多く、その結果残りの２つの切
刃２ｂ，２ｃは使用できないか、あるいは使用で
きても切刃の両コーナ部４の摩耗状態が異なるた
め加工面の表面あらさが劣化したり切削抵抗が切
刃の両コーナ部４で異なるためバイトホルダ５が
曲がりやすく良好な切削加工を行なうことができ
ないという問題がある。

本考案は上記のような従来技術の有する欠点を
解消するために成されたもので、その目的は２つ
の切刃を設けて１切刃当たりのチツプ価格を廉価
にすると共に、２つの切刃に夫々独立した切刃の
コーナ部を有して良好な切削加工を行なうことが
できるスローアウエイ式突切り用チツプを提供す
ることにある。上記の目的を達成するために本考
案では、略直方体の形状をなすスローアウエイ式
の突切り用チツプ本体における相対向する第１，
第２の面からなる一対の面のうちの上記第１の面
の所定の一辺に第１の切刀を設けると共に、上記
第２の面の上記所定の一辺と互いに直交する辺の
うちの一辺に第２の切刀を設け、かつ上記第１の
切刀，第２の切刀に横逃げ角，および切刀からチ
ツプ後縁に向かうバツクテーパを夫々設けるよう
にしたことを特徴とする。

以下、本考案の一実施例について図面を参照し
て説明する。第３図ａ〜ｃは、本考案による突切
りチツプの基本形状を示すものであり、第３図ａ
は平面図、第３図ｂは側面図、第３図ｃは正面図
を夫々示すものである。本形状にあつては、バツ
クテーパτのみを設けているため切刃２，２′は
４箇所となるが、後述するように前逃げ角γ_eお
よび横逃げ角γ_sを設けると切刃は２箇所とな
る。

第４図は、第３図における基本形状のものに、
前逃げ角γ_e，横逃げ角γ_s、および本突切りチツ
プをバイトホルダに安定よく固定させるための凹
部７を、夫々の切刃の反対側の底面に設けたもの
である。この場合、凹面の一端Ｐは横逃げ角γ_s
だけ、切刃のコーナ部４よりも逃げるようにす
る。第４図に示すように、本考案によるスローア
ウエイ式突切り用チツプでは、略直方体の形状を
なすチツプ本体における、相対向する第１，第２
の面からなる一対の面のうちの第１の面の所定の
一辺に第１の切刀２を設けると共に、上記第２の
面の上記所定の一辺と互いに直交する辺のうちの
一辺に第２の切刀２を設けており、使用済の切刃
を未使用の切刃に替える場合、第５図においてチ
ツプの前後を反転し、90゜右回転すれば、未使用
の切刃が使用可能状態となるような形状としてい
る。

次に、かかるように構成した本考案の突切りチ
ツプにおいては、第４図ａおよびｂに示すように
各々の切刃２からチツプ後縁にかけてそれぞれバ
ツクテーパτがつけられているため、第２図に示
すような径の大きな加工物の突切り加工で、突切
りチツプ全体が加工物３内に入つてしまうような
場合でも、切刃２以外のチツプ側面が加工物に接
触することはない。また、前逃げ角γ_eがつけら
れているため、チツプの前面においても切刃２以
外は加工物３に接触しない。一方、第４図ｃに示
す正面図において切刃２のコーナ部４で最大幅と
なるように横逃げ角γ_sがつけられているため、
上記コーナ部４以外は加工物３と接触することは
ない。

上述したように、略直方体の形状をなす突切り
用チツプ本体の相対向する第１，第２の面からな
る一対の面のうちの上記第１の面の所定の一辺に
第１の切刀２を設けると共に、上記第２の面の上
記所定の一辺と互いに直交する辺のうちの一辺に
第２の切刀２を設け、かつこれら第１および第２
の切刀２に前逃げ角γ_e，横逃げ角γ_s，および切
刀２からチツプ後縁に向かうバツクテーパτを
夫々設けるようにしたようにしたので、どちらの
切刃を使用しても良好な突切り加工を行なうこと
ができ、１切刃当たりのチツプの価格を極めて廉
価にすることができる。また、第４図ｃに示すよ
うに切刃２の反対側の面を凹部７形状としたの
で、第５図に示すチツプ取付座を凸部８としたバ
イトホルダ５に安定に置くことができ、押え金１
０の先端下面で突切りチツプ１の上面を押え、締
付ボルト１１によつて押え金１０をバイトホルダ
５に締付けることにより、突切りチツプ１はバイ
トホルダ５に強固に固定されることになる。

尚、本考案は上記実施例に限定されるものでは
ない。

(1) 第５図は、本考案の突切りチツプ１をバイト
ホルダ５に取付けた状態を示す部分斜視図であ
り、突切りチツプ１の切刃２に凹状の切りくず
ブレーカー９を設けて、長くつながりがちな突
切り加工の切りくずを折れ易くするようにした
ものである。

(2) 第６図ａ，ｂは本考案の突切りチツプ１の正
のすくい角ｄをつけたすくい面１２を設けたも
のの平面図と側面図を示すものであり、鋭い刃
物角βのため切削抵抗が減少するほか、切りく
ずをカールさせ処理性の良い切りくずとするよ
うな効果が得られる。

(3) 上記以外にも本考案の要旨を変更しない範囲
において、チツプブレーカーの形状やバイトホ
ルダへの接触、拘束部の形状を変形させるよう
にしても良い。また、２つの切刃の位置もチツ
プの両端の稜で互いに90゜をなす角度であれ
ば、第３図ｃにおける切刃2′の位置としてもよ
い。

以上説明したように本考案のスローアウエイ式
突切り用チツプによれば、略直方体の形状をなす
突切り用チツプ本体の相対向する第１，第２の面
からなる一対の面のうちの上記第１の面の所定の
一辺に第１の切刀２を設けると共に、上記第２の
面の上記所定の一辺と互いに直交する辺のうちの
一辺に第２の切刀２を設け、かつこれら第１およ
び第２の切刀に横逃げ角γ_s，および切刀からチ
ツプ後縁に向かうバツクテーパを夫々設けるよう
にしたので、従来の１つの切れ刃しか有さない突
切りチツプに比べて、１切刃当たりのチツプ価格
が極めて廉価となり、また従来の三角形の突切り
チツプのように隣接する切刃が切刃コーナ部を共
有するため、１つの切刃の摩耗損傷によつて残り
の切刃も使用困難になるというような問題も解消
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ〜ｅは従来の突切りチツプとその突切
り加工を示す図、第２図は従来の３角形の突切り
チツプによる突切り加工を示す図、第３図ａ〜ｃ
は本考案の突切りチツプの基本形状を示す図、第
４図ａ〜ｃは本考案の突切りチツプの一実施例を
示す構成図、第５図はバイトホルダとの関連にお
いて示した部分斜視図、第６図はａ，ｂは本発明
の他の実施例を示す構成図である。 １……突切りチツプ、２……切刃、２ａ，２
ｂ，２ｃ……三角形チツプの切刃、３……加工
物、４……切刃のコーナ部、５……バイトホル
ダ、６……三角形チツプ、７……凹部、８……凸
部、９……切りくずブレーカー、１０……押え
金、１１……締付ボルト、１２……すくい面、τ
……バツクテーパ、γ_e……前逃げ角、γ_s……横
逃げ角、Ｐ……凹面の一端、α……すくい角、β
……刃物角。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 略直方体の形状をなすスローアウエイ式の突切
   り用チツプにおいて、チツプ本体の相対向する第
   １，第２の面からなる一対の面のうちの前記第１
   の面の所定の一辺に第１の切刀を設けると共に、
   前記第２の面の前記所定の一辺と互いに直交する
   辺のうちの一辺に第２の切刀を設け、かつ前記第
   １の切刀，第２の切刀に横逃げ角，および切刀か
   らチツプ後縁に向かうバツクテーパを夫々設ける
   ようにしたことを特徴とするスローアウエイ式突
   切り用チツプ。