JPS6242789Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はグラビア塗布装置に係り、塗布溝間
の凸条の断面形状に改良を加えて塗膜の厚みむら
発生を防止することを目的とする。

例えば磁気テープなどの磁気記緑媒体の製造に
際しては、広幅の原反ウエブに磁性塗料をグラビ
ア塗布装置で塗布しているが、そこでは塗布ロー
ルでウエブに塗料を一旦筋目状に塗布する。そし
てスムーザにかけて一定厚の塗膜を形成してい
る。この塗布ロールによるウエブ表面への転移塗
布量が不均一になると、次にスムーザにかけたと
き塗布厚を均平にできず、塗膜に厚みむらが出
る。

しかるに、従来の第６図に示す如き塗布ロール
１においては、ロール周面に断面が逆台形の塗布
溝１０を刻設し、塗布溝１０・１０間の凸状１１
の突出端面１１ａを角落としした丸みを帯びた断
面形状に形成し、ウエブ１３をロール周面に押し
付けてウエブ１３に塗料３を塗布したとき、塗料
が凸条１１側にも回り込んでウエブ表面に転移塗
料３ａが第７図に示す如く連続した一定の凹凸波
状の転移塗布状態になるように設定されている。

ところが、長期間使用するうちに、凸条１１の
表面がドクターブレードで摩耗し、該凸条１１の
突出端面１１ａが第６図の破線Ｆで示す如く平坦
面になり、該突出端面１１ａに角稜部が生じる
と、ここで塗料３が切れてウエブ表面への塗料の
塗布形態が、第７図に示すようになるべきところ
が第８図に示す如く不定形の凹凸波形状になる傾
向が認められた。塗料がこのように転移される
と、スムーザにかけても完全に均平化することが
因難ないし不可能になり、最終的に塗膜の厚みむ
らとなつて現われ、これが感度むらやドロツプア
ウトなどの好ましくない現象を招く。

この考案はかかる事実に着目して、塗布溝の形
状に改良を加え、長期間使用のうちにロール周面
の塗布溝間の凸条が摩耗してもウエブに対する塗
料の塗布量が可及的に均一になるようにしたもの
である。

以下、その詳細を図面に基づき説明すると、第
１図および第２図において、１は塗布ロール、塗
布皿２内の塗料３に一部が浸された状態で矢印Ａ
の方向に回転する。この塗布ロール１の周面には
該ロール軸に対し一定角度で傾斜する多数の塗布
溝７が、エツチング法により平行に刻設されてい
る。４は塗布ロール１に圧接して回転するゴム製
のバツキングロール、５はその先端部が塗布ロー
ル１の周面に当接するドクターブレード、６は両
ロール１・４間に通されたウエブ、８はスムーザ
である。

かかる基本形態のグラビア塗布装置において、
本考案では塗布ロール１の塗布溝７・７間に設け
られる凸条９のロール周面側の端面９ａを平坦面
に形成するとともに、該端面９ａと各側面９ｂと
が交わる稜の部分、即ち凸条９のエツジの角度θ
を、第３図に示すように鋭角に設定し、以て各塗
布溝７を奥拡がりの断面等脚台形状に形成した。

しかるときは、塗布ロール１の周面に付着した
塗料３はドクターブレード５によりその余剰分が
掻き取られ、所要分のみが塗布溝７内に保持され
てウエブ６に転移塗布されることになる。このさ
い、凸条９の端面９ａの鋭角な稜の部分がウエブ
６に強く圧接するため、塗布溝７内の塗料３が凸
条９の端面９ａ上に回り込むのを抑止し、転移塗
料の切れがよくなる。したがつて、第４図および
第５図に示すごとくウエブ６には塗布溝７のパタ
ーンに応じて、相隣る転移塗料３ａ・３ａどうし
が一定間隔を置いて離れた定形形状の塗布状態に
なり、次のレベリング工程のスムーザ８で容易に
かつ均一に塗布される。長期間の使用でドクター
ブレード５の摺接により凸条９が摩耗しても、そ
の稜の部分は鋭角を維持するため、前記したと同
様に相隣る転移塗料３ａ・３ａどうしが一定間隔
を置いて離れた定形形状の塗布状態を維持し、ス
ムーザ８により均一に塗布されることに変りはな
い。

なお、前記凸条９の端面９ａと側面９ｂとが交
わる部分は丸く形成しておいてもよい。

以上説明したように本考案のグラビア塗布装置
によれば、塗布ロール１の塗布溝７・７間の凸条
９の端面９ａを平坦面に形成したうえで、該端面
９ａと側面９ｂとが交わる部分の角度θを鋭角に
設定し、以て各塗布溝７を奥拡がりの断面等脚台
形状に形成した。したがつて、塗布溝７内におい
て凸条９の側面９ｂに沿つている塗料は、該凸条
９の側面９ｂから端面９ａに回り込み難くウエブ
６に転移する際の切れが良くなるので、塗布溝７
のパターンに応じてウエブ６に塗料を定形形状の
筋目状に確実に塗布できる。しかも、長期間の使
用で凸条９の端面９ａが摩耗しても、ウエブ表面
に塗料を厚みむらなく均一に転移塗布し続けるこ
とができる。その結果、塗布後のスムーザ８によ
るレベリングが容易となつてウエブ６に厚みむら
のない均一な塗膜を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第５図は本考案に係るグラビア塗
布装置の実施例を示しており、第１図は概略側面
図、第２図は塗布ロールの平面図、第３図は塗布
ロールの塗布溝の拡大断面図、第４図はウエブに
塗料を転移塗布する作動状態を示す断面図、第５
図は塗料が転移塗布されたウエブの拡大断面図で
ある。第６図ないし第８図は従来例を示してお
り、第６図は塗布ロールの塗布溝の拡大断面図、
第７図は使用初期の好ましいウエブ表面への塗料
の転移塗布状態を示す断面図、第８図は長期間使
用後のウエブ表面への塗料の転移塗布状態を示す
断面図である。 １……塗布ロール、６……ウエブ、７……塗布
溝、８……スムーザ、９……凸条、９ａ……凸条
の端面、９ｂ……凸条の側面。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 塗布ロール１の周面に多数の塗布溝７を平行
   に刻設し、塗布溝７・７間の凸条９のロール周
   面側の端面９ａを平坦面に形成するとともに、
   該凸条９の前記端面９ａと各側面９ｂとが交わ
   る角度θを鋭角に設定し、以て塗布溝７を奥拡
   がりの断面等脚台形状に形成したことを特徴と
   するグラビア塗布装置。 (2) 塗布溝７が、エツチング法で形成されたもの
   である実用新案登録請求の範囲第１項記載のグ
   ラビア塗布装置。