JPS6233140Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、小型の精密機械、省力化機器、測定
機械および工作機械など直線で動く機構に組込ま
れる機械要素に関し、更に詳述すると、トルク伝
達し、荷重を支承する負荷帯域には剛性にとむ特
殊鋼材からなる外筒、非負荷帯域には軽量にして
成型可能な合成樹脂材料からなる側蓋および特定
形状の保持器と多数のボールを介して組立ててな
るベアリングに４角形状のスプラインシヤフトを
挿通した小型の無限ボールスプラインを提供する
ことにある。

「従来の技術」 従来の無限ボールスプラインは負荷ボール案内
溝、無負荷ボール案内溝および方向転換用周方向
溝が内面に形成された単一体の外筒と、該外筒内
に装着される保持器と、これら外筒と保持器間に
多数のボールを充填し、ストツプリングを介して
一体的に固定されてなるベアリングに特定形状の
スプラインシヤフトを挿入されたものが知られて
いる。（特公昭53−22210号公報、実公昭58−
29289号公報） また、外スリーブ（本考案の外筒と同じ）は負
荷領域と戻り領域にあるボールのための真直にの
びる軌道が内面に形成され、該外スリーブ内のボ
ールを案内し、かつ方向転換用軌道を備えたプラ
スチツク製の保持器を装着するとともに、該保持
器にプラスチツク製エンドリングをかぶせた所謂
ボールプツシユとリニヤモーシヨン玉軸受が知ら
れている。

（特開昭52−76547号公報、特開昭53−54638号公
報） また、一体形の保持器の外面に突出部を設けて
外筒に対する円周方向の位置決めを行い、外筒端
部に再循環するボールを案内するエンドキヤツプ
を設け、このエンドキヤツプの片側を取外した状
態でボールの組込みを容易に行うことができるよ
うにしたボールスプラインも知られている。（特
開昭55−159321号公報） ところが、これらボールスプラインあるいはボ
ールブツシユなどはいずれも外径略150m／ｍか
ら15m／ｍの普通サイズには製作上左程問題点は
ないが、小型にする場合、鋼材、鋼管よりなる外
筒の内周面に直線形状以外の円周方向溝を形成す
ることは機械工作上の他に強度を確保する上で問
題点があり、またトルク伝達並びに保持器の余分
な個所をカツトし、２分割された保持器を外筒内
に確実に保持され、円周方向に相対運動がおきな
いようにするには小型の場合薄くなるので問題点
があり、また外筒と保持器間の小径負荷ボールは
該保持器のスリツトの側壁に摺接するために抵抗
が生じる。

また、保持器のスリツトの巾が高精度に製作さ
れていないとボールが脱落するなどの問題点があ
る。

また、ボールスプライン全体が小型化されるた
め、外筒と保持器間に多数のボールを充填する上
で難しく、組立て上問題点がある。

「考案が解決しようとする問題点」 本考案はこれらの問題点に鑑みなされたもの
で、外筒の円周面に形成される保持器固定用Ｖ字
溝が三角形状突出部を挾んで上下に大きく形成さ
れることにより、該Ｖ字溝内に装着される保持器
の無負荷ボール側の端面側壁とその軸方向先端
が、前記Ｖ字溝底壁に密接するとともに該側壁と
反対側の外段部が前記Ｖ字溝と分離頂壁によつて
形成される内段部に係合することにより保持器が
外筒に確実に保持され、また外筒より軸方向に突
出せる保持器の両サイド外周に形成されるボール
方向転換凹溝と略同形状のボール方向転換凹溝を
内周に形成した側蓋によつてつゝみ込む形の円形
輪郭通路が形成されることによりボールの方向転
換がスムーズに行うことができるような構成を具
備することが本考案の技術的課題とするものであ
る。

「問題点を解決するための手段」 本考案は上記技術的課題を解決するため、以下
の技術的構成をとるものである。

下記A.B.C.DおよびＥの条件を備えた無限ボー
ルスプライン。

Ａ 外筒の内周側面の負荷ボール案内溝はＵ字溝
の底面両側面に該外筒の軸線に平行にして、か
つ上下対称に形成され、同じく保持器固定用Ｖ
字溝が前記外筒内周側面軸方向に形成された三
角形状突出部の上下両側に断面略梯形状で、か
つ左右対称に形成され、さらに外筒内のボール
を端蓋のボール方向転換凹溝に案内するための
傾斜面が該外筒の両端内周に形成されているこ
と。

Ｂ 前記外筒内に装着される一対の保持器はその
内周面に略Ｖ字状に形成され、同じく外周側面
に環状凹溝が形成され、該環状凹溝の内前記外
筒のＵ字溝に形成された負荷ボール案内溝に対
応する負荷ボール凹溝が略中央に形成されてい
るとともに該負荷ボール凹溝に前記負荷ボール
の径より稍小さい径の長窓が形成され、該負荷
ボール凹溝とボール方向転換凹溝を介して一体
的に形成された無負荷ボール案内溝が該保持器
の左右端面側に形成されていること。

Ｃ 前記保持器の両サイド突出部に嵌挿し、外筒
の端面に接合される断面略コ字状側蓋はその中
央に後記スプラインシヤフトの外形より幾分大
きい貫通孔が形成され、前記保持器のボール方
向転換凹溝に合致するボール方向転換凹溝によ
りボールをつゝみこむ軌道孔が形成されるとと
もに保持器固定用溝が該側蓋の内周側面軸方向
に形成された三角形状突出部の上下両側に対称
に形成されていること。

Ｄ 負荷ボールを介して外筒の負荷ボール用案内
溝にトルクを伝えるスプラインシヤフトのボー
ル転走面が略４角形状の対角の突部両側に形成
されていること。

Ｅ 外筒．保持器および側蓋によつて形成される
ボール循環無限軌道孔に多数のボールが充填さ
れていること。

「作 用」 外筒内周側面および側蓋の軸方向に形成された
三角形状突出部の上下に断面略梯形状のＶ字溝が
上下左右対称に形成されているので、保持器の端
面側壁が確実に保持されることにより、該保持器
が円周方向に相対運動が生じ得ない。

外筒内の負荷ボール案内溝から傾斜面にいたる
と、ボールは外筒とスプラインシヤフト間の予圧
（負荷）から解放され、所謂無負荷ボールとなつ
た状態で保持器と側蓋のボール方向転換凹溝によ
つて形成される円形輪郭通路によりボールはスム
ーズに転動し、騒音、振動発生が解消される。

「実施例」 図に基いて本考案の一実施例を説明する。

本考案の無限ボールスプラインは大別して有効
軌道溝が形成される外筒１０と該外筒１０内に装
着される上下対称の保持器２０，２０と該保持器
２０の左右突出部２０１，２０１に嵌挿する側蓋
３０とスプラインシヤフト４０および多数のボー
ル５０に分けることができる。

まず、外筒１０の両端面１０８，１０８から内
方に環状の傾斜面１０９，１０９が形成され、該
傾斜面１０９にボールが達すると、予圧（負荷）
から解放される。（第４図イ，ロ参照） 次に、該外筒１０の内周面の負荷ボール案内溝
１０１，１０１…はＵ字溝１０２，１０２の底面
両側面に該外筒１０の軸線に平行にして、かつ左
右対称に形成され、同じく外筒１０の内周側面に
保持器固定用Ｖ字溝１０５が前記外筒１０内周側
面軸方向に形成される略三角形状突出部１０６の
両側に上下、左右対称に形成されている。（第３
図参照） 該保持器固定用Ｖ字溝１０５と該三角形状突出
部１０６間には隔壁１０３，１０４が左右対称に
形成されている。

前記外筒１０内に装着される一対の保持器２
０，２０はスプラインシヤフト４０と僅かの間隙
が形成されるべくその内周面２０２が断面略Ｖ字
状に形成され（第２図および第６図参照）、同じ
く保持器２０の外周面に環状凹溝が形成され、該
環状凹溝の内、前記外筒１０のＵ字溝１０２に形
成された負荷ボール案内溝１０１，１０１に対応
する負荷ボール凹溝２０３，２０３が略中央に形
成されるとともに該負荷ボール凹溝２０３，２０
３にはボール５０の径より小さい長窓２０４と舌
片２１６が形成され、さらに該負荷ボール凹溝２
０３と左右端面側の無負荷ボール案内溝２０５は
ボール方向転換凹溝２０６を介して連通せしむ
る。

該ボール方向転換凹溝２０６は該保持器２０の
前後に形成されている。（第５図参照） ２０７は外筒１０の保持器固定用Ｖ字溝１０５
に保持器２０を装着したさいの脱落を防止するた
め左右端面側に形成された保持器固定片で、該固
定片２０７の軸方向先端縁２０８は前記保持器固
定用Ｖ字溝１０５の内面に当接し、これにより該
固定片２０７は正確に位置決めされると同時に安
定する。（第２図参照） 前記無負荷ボール案内溝２０５と負荷ボール溝
２０３間に形成される左右区画部２１５側の支承
側壁２１０と支承面２１３が外筒１０の隔壁１０
３，１０４の側壁１０３１，１０４１を支承する
ことにより、該保持器２０の位置決めが正確にな
ると同時に保持器２０全体を安定した状態で保持
することができる。（第５図および第６図参照） ２１１は前記左右連結片２０９，２０９間であ
つて、かつ負荷ボール案内溝２０３，２０３間に
形成される中央連結片で、該中央連結片２１１の
外周は水平面を有し、前記左右連結片２０９の外
周は前記外筒１０のＵ字溝１０２と略同一形状の
凸曲面２１２を有する。（第６図参照） ２１４，２１４は保持器２０の左右連結片２０
９，２０９に形成された隔壁１０３，１０４のガ
イド溝で、該ガイド溝２１４は前記区画部２１５
の支承面２１３と同一軸線上に形成されている。

前記外筒１０内に嵌合される前記保持器２０の
両サイド突出部２０１，２０１に嵌挿し、該外筒
１０の端面１０８に接合される断面略コ字状側蓋
３０はその中央にスプラインシヤフト４０の断面
形状に略等しくかつスプラインシヤフト４０の外
径より幾分大きい貫通孔３０１が形成され、該側
蓋３０の端面３０２より軸方向内方に前記保持器
２０の左右連結片２０９の曲面２１２に合致する
凹曲面３０３，３０４が形成され、そして該凹曲
面３０３，３０４を挾んで左右には前記保持器２
０のボール方向転換凹溝２０６に合致すべくボー
ル方向転換凹溝３０５〜３０８が軸方向に形成さ
れ、さらに前記保持器固定片２０７に装着する断
面略Ｖ字溝３０９が該側蓋３０の左右側面半径方
向に形成された三角形状突出部３１０，３１０を
挾んだその上下軸方向に形成される。

スプラインシヤフト４０は略４角形状のシヤフ
トで、該シヤフト４０の対角の突出部４０１，４
０２の両側にボール転送面４０３，４０４が形成
されている。

上記外筒１０の内周面に相対向して側面に形成
された凹部に保持器２０，２０を装着し、しかる
のち該外筒１０より左右に突出した突出部２０
１，２０１の一方に側蓋３０を嵌挿し、続いて多
数のボール５０，５０…を充填し、他方の側蓋３
０を嵌挿する。

しかるのち、保持器２０に側蓋３０をプラスチ
ツクウエルダーで圧着固定してベアリング本体が
できる。

該ベアリング本体にスプラインシヤフト４０を
挿通することにより無限ボールスプライン軸受が
できあがる。

「考案の効果」 小型な外筒および保持器の両サイドに装着され
る側蓋の上下、左右のＶ字溝に一対の保持器が装
着されると、該外筒のＶ字溝の軸方向側壁と保持
器の端面側壁が密接し、これにより一対の保持器
が所定の位置に確実に保持されるので組立上きわ
めて便利である。

また、該保持器の両サイド突出部には側蓋が装
着されるとともにプラスチツクウエルデングにて
外筒に圧着固定されるので、外筒内の負荷ボール
は傾斜面により予圧（負荷）から解放され、無負
荷ボールとなり、保持器と側蓋によつて形成され
るつゝみ込み状態の円形輪郭通路内を転走し、保
持器の無負荷ボール案内溝へスムーズに案内され
る。

所謂ボールは側蓋と保持器によつて形成される
全面案内の通路内を転送することができる。

しかも荷重を支承する外筒部品とスプラインシ
ヤフトのみに熱処理可能な鋼材を使用し、その他
の保持器および側蓋の如き非負荷帯域の個所には
軽量にして成型可能な可塑材料を使用することが
できるので、精度の高く、かつ多量生産に適し、
これによつてコスト低減に役立つ。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案無限ボールスプライン軸受の縦
断側面図、第２図は第１図Ａ−Ａ線縦断正面図、
第３図は本考案無限ボールスプライン軸受の外筒
の縦断正面図、第４図イは第３図Ｂ−Ｂ線縦断側
面図、ロは第３図Ｘ−Ｘ線縦断面の斜視図、第５
図は本考案無限ボールスプライン軸受の保持器の
平面図、第６図は第５図Ｃ−Ｃ線縦断側面図、第
７図は本考案無限ボールスプライン軸受の側蓋の
正面図、第８図は第７図Ｄ−Ｄ線縦断側面図、第
９図は第８図右側面図、第１０図はスプラインシ
ヤフトの正面図、第１１図は保持器に側蓋を嵌合
せしむる状態を示す斜視図である。 １０：外筒、２０：保持器、３０：側蓋、４
０：スプラインシヤフト、５０：ボール、１０
１：負荷ボール案内溝、１０２：Ｕ字溝、１０
３，１０４：隔壁、１０５：保持器固定用Ｖ字
溝、１０６：三角形状突出部、１０８：両端面、
１０９：傾斜面、２０１：左右突出部、２０２：
内周面、２０３：負荷ボール凹溝。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 下記A.B.C.DおよびＥの条件を備えた無限ボ
   ールスプライン。 Ａ 外筒の内周側面の負荷ボール案内溝はＵ字
   溝の底面両側面に該外筒の軸線に平行にし
   て、かつ上下対称に形成され、同じく保持器
   固定用Ｖ字溝が前記外筒内周側面軸方向に形
   成された三角形状突出部の上下両側に断面略
   梯形状で、かつ左右対称に形成され、さらに
   外筒内のボールを端蓋のボール方向転換凹溝
   に案内するための傾斜面が該外筒の両端内周
   に形成されていること。 Ｂ 前記外筒内に装着される一対の保持器はそ
   の内周面が略Ｖ字状に形成され、同じく外周
   側面に環状凹溝が形成され、該環状凹溝の
   内、前記外筒のＵ字溝に形成された前記負荷
   ボール案内溝に対応する負荷ボール凹溝が略
   中央に形成されているとともに、該負荷ボー
   ル凹溝にボールの径より稍小さい径の長窓が
   形成され、該負荷ボール凹溝とボール方向転
   換凹溝を介して一体的に形成された無負荷ボ
   ール案内溝が該保持器の左右端面側に形成さ
   れていること。 Ｃ 前記保持器の両サイド突出部に嵌挿し、外
   筒の端面に接合される断面略コ字状側蓋はそ
   の中央に後記スプラインシヤフトの外形より
   幾分大きい貫通孔が形成され、前記保持器の
   ボール方向転換凹溝に合致するボール方向転
   換凹溝によりボールをつつみこむ軌道孔が形
   成されるとともに保持器固定用溝が該側蓋の
   内周側面軸方向に形成された三角形状突出部
   の上下両側に対称に形成されていること。 Ｄ 負荷ボールを介して外筒の負荷ボール用案
   内溝にトルクを伝えるスプラインシヤフトの
   ボール転走面が略４角形状の対角の突部両側
   に形成されていること。 Ｅ 外筒．保持器および側蓋によつて形成され
   るボール循環無限軌道に多数のボールが充填
   されていること。 (2) 実用新案登録請求の範囲の第１項記載の無限
   ボールスプラインにおいて、側蓋を外筒の端面
   への接合手段がプラスチツクウエルデングによ
   るもの。