JPS6232098B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は防水シートの接着方法に係り、詳しく
は貯水池、ため池、処理池、河川などの遮水に使
用する加硫合成ゴム系防水シート同志の接着方法
に関する。 加硫ゴムシートの接合の場合、従来においては
工場で一定巾、厚みに成型された加硫ゴムシート
を施工現場まで運搬し、現場において加硫ゴムシ
ート同志を接合していたが、ここで使用される接
合材は一般に溶剤系接着剤であつた。しかしこの
溶剤系接着剤を使用する場合には、所定の塗布量
オープンタイム、適度な圧着等の制約条件がある
が、この条件は作業時の環境条件によつて大きく
左右される。例えば、強風時には砂塵の付着によ
つて接着阻害を生じたり、高温時にはオープンタ
イムが短かくなり乾燥オーバーによる接着不良に
なつたり、また低温時にはオープンタイムが長く
なつて施工能率に影響し、更には高湿時には接着
剤表面に結露水が付着して接着不良を生じること
もあつて、環境条件を十分に把握する必要があつ
た。また、それだけでなく塗布むらによる接着力
のバラツキ、転圧不足による接着不良など接着不
良要因も非常に多い。これらの接着不良はコーナ
ー部での接合部の浮き、接合端部のめくれ、剥離
などという漏水に直接起因する現象になつて現わ
れている。 このような点を改善するため、本出願人は先に
自然加硫タイプの未加硫ゴムを接着テープとして
防水シートのラツプ部に介在させ接着シートを自
然加硫することによつて防水シート同志を接合す
る方法を提案しそれなりの効果を達成したが、し
かしかかる接着テープを使用する場合は防水シー
トの接合構造がラツプ接合に限定されて他のジヨ
イント構造が得られにくいために、かかる接着テ
ープの使用範囲が狭いこと、また接着テープ自身
かたれ、また伸び等の変形を生じやすいために所
定の接着性能を得られなかつたこと、更に施工後
残存歪の大きい箇所は収縮率も大きくなつて接合
不良箇所となる場合があり、未だ、充分、改善の
余地が残存していた。 かくして本発明はこのような欠点を接着テープ
の構造を改善することにより解消し、防水シート
のラツプ接合だけでなく突き合せ接合も可能であ
ると共に接着テープの変形を阻止して施工能率を
改善し、かつ防水シートを強固に接合して遮水効
果を上げることを目的とするものである。 即ち本発明の特徴はエチレン−プロピレン−タ
ーポリマー、ブチルゴムあるいはこれらのブレン
ド物からなるゴム質ポリマーに加硫剤、加硫促進
剤等を含み、ムーニー粘度（Ｍ L₁₊₅、100℃）
５〜20で自着性を有する自然加硫タイプの粘着層
とエチレン−プロピレンータ−ポリマー、ブチル
ゴムあるいはこれらのブレンド物からなる加硫ゴ
ムシートの基材とを積層接着した接着テープを、
加硫合成ゴムからなる防水シートの突き合せ部あ
るいはラツプ部でかつ両シートにまたがつた状態
で積層し、上記接着テープの粘着層を現場加硫さ
せることによつて防水シートを接着する方法にあ
る。 以下、本発明の接着方法の具体的実施態様を添
付図面を参照しつつ詳細に説明する。 第１図は本発明の一例を示し、接着される両加
硫ゴムシート（防水シート）１，１′が突き合せ
た状態になり、この両シート１，１′にまたがつ
て予め粘着層３と加硫ゴムシートの基材４とを積
層接着した接着テープ２が置かれ、この接合部を
ローラ等によつて転圧して貼り合わせることによ
つて行なわれる。 又、第２図は本発明方法を実施する他の実施例
であり、防水シート１，１′を単にラツプし、粘
着層３と加硫ゴムシートの基材４とを積層した接
着テープ２を前記両シート１，１′をまたがるよ
うに貼り合せることによつて行なわれる場合を示
している。 しかして、上記各場合に使用する接着テープの
基材４としては耐候性の優れたエチレン−プロピ
レン−ターポリマー、ブチルゴムあるいはこれら
のブレンド物からなる加硫ゴムシートであり、ま
た粘着層３はエチレン−プロピレン−ターポリマ
ー（EPDM）、ブチルゴム（IIR）あるいはこれら
のブレンド物からなるゴム質ポリマーに加硫剤、
加硫促進剤、粘着剤そして軟化剤の外、ステアリ
ン酸、カーボンブラツク無機充填剤、ZnO等を適
宜必要に応じて混合配合したものである。 このうち、上記加硫剤としては硫黄、モルホリ
ン．ジスルフアイド、含リンポリスルフイド、塩
化硫黄等の含硫黄化合物からなる硫黄系、Ｐ−キ
ノンジオキシム、Ｐ−Ｐ−ジベンゾイル．キノン
ジオキシム等のオキシム系あるいはα−クミルハ
イドロパーオキサイド、メチレンエチルケトンパ
ーオキサイド、過酸化水素、アセチルアセトンパ
ーオキサイド、ｔ−ブチルハイドロパーオキサイ
ド、ｔ−ブタルパーオキシペンゾエート等のパー
オキサイド系などが挙げられ、これらの加硫剤は
使用に際しゴム質ポリマー100重量部に対して１
〜６重量部使用される。 また、加硫促進剤としては２−メルカプトベン
ゾチアゾール、ジベンゾチアゾル．ジサルフアイ
ド等のチアゾール系、テトラメチルチウラム．モ
ノサルフアイド、テトラメチルチウラム．ジサル
フアイド、ジペンタメチレンチウラム．ヘキササ
ルフアイド等のチウラム系、あるいはZn−ジ−
ｎ−ブチルジチオカルバメート等のジチオカルバ
ート系、そしてPbO₂、トリメンベース等があ
り、これらの加硫促進剤の使用量はゴム質ポリマ
ー100重量部に対して２〜10重量部である。 更に混合される粘着剤としては、通常石油系炭
化水素樹脂であるペトロジン（三井石油化学社
製）等の芳香族系炭化水素樹脂、ハイレツツ（三
井石油化学社製）等の脂肪族系環状炭化水素、エ
スコレツツ（エツツケミカル社製）等の不飽和炭
化水素の重合体、タツクエース（三井石油化学社
製）等の炭化水素系粘着樹脂、あるいはフエノー
ルホルムアリデヒド樹脂であるフエノール樹脂等
があり、これらの粘着剤はゴム質ポリマー100重
量部に対して30〜100重量部程度が好適に使用さ
れる。また、これらの粘着剤と共に使用される軟
化剤としては公知のものが使用され、その代表的
なものとしてはプロセスオイル、ポリブデン、流
動パラフイン、パインタール、その他石油系高沸
点化合物などがある。 そしてこれらの軟化剤の使用量はゴム質ポリマ
ー100重量部に対して30〜150重量部である。 なお、ここで使用する接着テープの粘着層３は
上記配合からなる自然加硫タイプのもので、特に
防水シート１との初期粘着強度、すなわち接合部
をローラ等により転圧した後の自着力として1.0
〜3.0Kg/25cm程度発生しなければならず、この自
着力がなければ施工時において接合した防水シー
トを巻付けたり引張つたりした場合に接合部で防
水シートのずれ変形が起る。そのため、この自着
力を満足させるためには粘着剤をゴム質ポリマー
100重量部に対して30〜100重量部加えて表面タツ
クをもたせ、更に軟化剤を30〜150添加して粘着
層のムーニー粘度（Ｍ L₁₊₅100℃）を５〜20の
範囲にすることが肝要である。何故ならばこのム
ーニー粘度であれば防水シートのジヨイント表面
にゴミ、砂ほこり等が付着しても、粘着層がこれ
らの異物を包囲し、かつ、この異物が粘着層の内
部へ侵入するために防水シートと接着テープの接
着力はあまり影響を受けないからである。 この接着テープ２の厚みは0.5〜2.0mmとし２mm
以上にすると接合部において防水シートとの段差
ができ、接合初期に剥離し易くなるので好ましく
ない。そのうち、粘着層３の厚みとしては0.5〜
2.0mm好適には0.5〜1.5mmとする。 また、前記本発明方法で使用される防水シート
１は耐候性の優れた、例えばエチレン−プロピレ
ン−ターポリマー、ブチルゴムあるいはこれらの
ブレンド物からなるものが好適である。 しかして、本発明方法において使用する接着テ
ープ２は加硫シートの基材４と粘着層３を積層し
たものであるため、粘着層単独の接着テープに比
べて変形も少なくなつてその取り扱いが容易であ
り、そのため施工能率が良い。また、この接着テ
ープは防水シートの接合構造がラツプだけでなく
突き合せの場合も使用可能であり、その用途範囲
も極めて広い等の特長がある。 実施例 １ 下記第１表にその配合組成割合（括弧内は本実
施例配合）を示す粘着層組成物を厚さ0.8mm、幅
120mm、ムーニー粘度（Ｍ L₁₊₅、100℃）９のテ
ープ状に成型したものを厚さ１mmのEPDM／IIR
系合成ゴム加硫シート（第１表参照）にラミネー
トした接着テープの中央が厚さ1.5mmのEPDM／
IIR系合成ゴム加硫シートからなる被着体を、２
枚つき合わせた部分にくるように、上側から設置
し、線圧0.5Kg/cmでローラー転圧した。

【表】 上記得られた接合した防水シートについて剥離
試験を行なうため１×６インチに打ち抜いてテス
トピースを作り、これを引張試験機で剥離速度50
mm/min、測定温度20〜25℃でＴ字剥離テストに
準じて試験した。 その結果、初期剥離接着力は2.5Kg／25mmであ
り、又80℃ギヤオーブン中及び70℃温水中の各保
存条件における経日接着力ならびに南向き45度に
試料をとりつけた曝露における経日接着力は
夫々、第３図、第４図に示す通りであつた。 又、次にモルタルからなる鈎型模型５に第５図
の如く防水シート１，１′を貼りつけ、そのジヨ
イント部に接着テープ２を介して貼りつけ、曝露
させた後、接合コーナー部の浮き状態を調べたと
ころ、第３表に示す結果を得た。

【表】 実施例 ２ 次に、実施例１と同じ加硫ゴムからなる防水シ
ートのラツプ部（100mm）に溶剤系自然加硫型ブ
チル接着剤を0.4〜0.5mm膜厚に塗布し、塗布後、
オープンタイム30分でローラ転圧（線圧0.5Kg/
cm）によつて防水シートを圧着したもの（比較例
１）、同比較例１のラツプに前記実施例１に示さ
れる粘着層組成物と同じ粘着テープを介在させロ
ーラ転圧（線圧0.5Kg/cm）によつて圧着したもの
（比較例２）及び実施例１の方法とを利用し現場
施工を行ない、夫々の場合の施工性を比較した。
その結果を第４表に示す。 尚、施工時期は日本の９〜10月（屋外表面最高
温度56〜64℃）であつた。

【表】 以上の各実施例より分る如く、本発明の接着方
法は自然加硫タイプの粘着層と加硫ゴムシートか
らなる保形性を有する接着テープを用いることに
よつて施工時の取り扱いが簡単になり、また施工
時のミスが少なくなることによつて施工能率が一
段と向上し、更には防水シートの接合もラツプ接
合だけでなく突き合せ接合も可能となり、特に突
き合せ接合方法では単に接着テープを両シートに
またがつた状態で貼り合せるだけであるため溶剤
系接着剤あるいは粘着テープをラツプ部に介在さ
せる方法より格段に施工時間を短縮でき、防水シ
ートの接着方法として従来法を著しく改善なし、
実用性にすぐれた方法である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の接着方法に係る防水シートの
接合部の１例を示す断面図、第２図は本発明の変
形例を示す防水シート接合部の断面図、第３図は
実施例１において得られた防水シートの80℃のギ
ヤーオーブン中と70℃の温水中に保存した場合の
経日後の剥離接着力の変化を示す図表、第４図は
実施例１で得られた防水シートの暴露における経
時接着力の変化を示す図表、第５図は実施例１に
おける防水シートの下地角部への貼着状態を示す
斜視図である。 １，１′…防水シート、２…接着テープ、３…
粘着層、４…基材。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ エチレン−プロピレン−ターポリマー、ブチ
   ルゴムあるいはこれらのブレンド物からなるゴム
   質ポリマーに加硫剤、加硫促進剤等を含みムーニ
   ー粘度（Ｍ L₁₊₅、100℃）５〜20で自着性を有
   する自然加硫タイプの粘着層と、エチレン−プロ
   ピレン−ターポリマー、ブチルゴムあるいはこれ
   らのブレンド物からなる加硫ゴムシートの基材と
   を積層接着せしめた接着テープを、加硫ゴムから
   なる防水シートの突き合せ部あるいはラツプ部で
   両シートにまたがつた状態で積層し、上記接着テ
   ープの粘着層を自然加硫させることによつて防水
   シートを接合することを特徴とする防水シートの
   接着方法。