JPS6230582Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車用クラツチデイスクに適したダ
ンパーデイスクに関する。

従来例を第１図により説明する。縦断面部分図
である第１図において、出力軸（図示せず）にス
プライン嵌合するスプラインハブ１は外周面に環
状のフランジ２を備え、フランジ２の両側に１対
の環状サイドプレート３，４が配置してある。両
サイドプレート３，４の外周部はストツパーピン
５により互に連結され、又１方のサイドプレート
３の外周部にはクツシヨニングプレートを介して
摩擦フエーシング（共に図示せず）が取り付けて
ある。両サイドプレート３，４とフランジ２の間
には環状のサブプレート７，８が配置してある。
両サブプレート７，８の外周寄りの部分はサブピ
ン６により互に連結されている。ピン６はフラン
ジ２の切欠き又は長孔内を通つている。前記ピン
５はフランジ２の切欠き及びサブプレート７，８
の切欠き内を通つている。図示されていないが、
フランジ２、サイドプレート３，４、サブプレー
ト７，８は窓孔を備え、該窓孔に嵌合したトーシ
ヨンスプリングにより各部は次のように連結され
ている。すなわちサイドプレート３，４からトー
シヨンスプリングを介してフランジ２へトルクが
伝達されると、トーシヨンスプリングが圧縮さ
れ、サイドプレート３，４がフランジ２に対して
捩れるが、その場合に第２図の区間Ｏ−Ａ，Ｏ−
A′如く伝達トルクＴが小さい間は捩れ角θの増
加率が高く、伝達トルクＴが大きくなると区間Ａ
−Ｂ，A′−B′の如く捩れ角θの増加率が低くな
るように前記スプリングや窓孔が構成されてい
る。又サブプレート７，８は区間Ｏ−Ａ，Ｏ−
A′においてサイドプレート３，４と共に捩れ、
区間Ａ−Ｂ，A′−B′においてフランジ２と一体
化するように構成されている。

そして従来品においてはフランジ２の内周部と
サブプレート７，８の間に例えば環状のウエーブ
スプリング１０，１１が圧縮状態で配置され、サ
ブプレート７，８とサイドプレート３，４の両内
周部の間にアスベスト製又は樹脂製の環状フリク
シヨンワツシヤー１２，１３が圧縮状態で配置し
てある。この構造によると、低トルクの捩れ区間
Ｏ−Ａ，Ｏ−A′においてウエーブスプリング１
０，１１の表面に滑りが生じ、該滑りによる摩擦
力が第２図の捩れ特性に小さいヒステリシストル
クｈとなつて表われるので、低トルク領域、すな
わちアイドリング時のトルク振動を吸収でき、異
音の発生を防止できる。又高トルクの捩れ区間Ａ
−Ｂ，A′−B′ではフリクシヨンワツシヤー１
２，１３の表面に滑りが生じ、該滑りによる摩擦
力が第２図の捩れ特性に大きいヒステリシストル
クＨとなつて表われるので、高トルク領域、すな
わち高速運転時のトルク振動を吸収して異音の発
生を防止できる。

ところが従来の構造によると、ウエーブスプリ
ング１０，１１ならびにフランジ２や各プレート
３，４，７，８が鉄等の金属製品であるので、使
用を継続すると例えばウエーブスプリング１０，
１１の摩擦面（摺動面）が摩耗し、圧接力が低下
する。従つて長期間使用後にはウエーブスプリン
グ１０，１１表面の摩擦力が低下してヒステリシ
ストルクｈも低下し、アイドリング状態において
初期のトルク振動吸収効果を発揮できなくなる。

本考案は摩擦係数が低くかつ耐摩耗性が高いシ
ートを例えばウエーブスプリング等に貼り付けて
上記従来の不具合を解決するもので、図面により
説明すると次の通りである。

断面部分図である第３図において、第１図の各
部と対応する部分には同一符号が付してある。２
ａ，２ｂ，１０ｂ，１１ａはフランジ２の内周部
両面とそれに対向するウエーブスプリング１０，
１１の表面で、これらの面２ａ，２ｂ，１０ｂ，
１１ａには全面にわたつて環状のシート１５が接
着剤で貼り付けてある。シート１５はフランジ２
やスプリング１０，１１に比べて耐摩耗性に優
れ、かつ摩擦係数が低い素材で作られており、例
えばふつ素樹脂（テフロン等）、グラフアイト、
炭素繊維等でできている。又接着剤としては例え
ばエポキシ系、フエノール系、シリコン系、セラ
ミツク系等のものが使用される。

上記構造によるとサブプレート７，８とウエー
ブスプリング１０，１１の間の摩擦係数に比べ、
フランジ２とウエーブスプリング１０，１１の間
の摩擦係数（シート１５，１５間の摩擦係数）の
方が小さいので、第２図の区間Ｏ−Ａ，Ｏ−
A′において常にシート１５の表面で滑りが発生
し、所定のヒステリシストルクｈが発生する。し
かもシート１５は耐摩耗性に優れており、摩耗は
完全に（又はほとんど）発生しないので、使用を
継続してもシート１５表面の摩擦力は変化せず、
ヒステリシストルクｈは初期の一定値のままとな
る。従つて長期間使用した後でも所定のトルク振
動吸収効果をアイドリング運転状態において得る
ことができる。なおフリクシヨンワツシヤー１
２，１３は前述の如くアスベスト製又は樹脂製で
あり、耐摩耗性に優れているので、使用を継続し
ても摩耗は全く（又はほとんど）発生せず、初期
のヒステリシストルクＨを維持することができ
る。従つて高速運転状態におけるトルク振動吸収
効果も長期間にわたつて維持される。

以上説明したように本考案によると、外周部に
トルクが伝達される１対の環状サイドプレート
３，４をスプラインハブ１の環状フランジ２の両
側に配置し、フランジ２とサイドプレート３，４
をトーシヨンスプリングにより連結し、フランジ
２の内周部とサイドプレート３，４の間に環状の
摩擦部材（ウエーブスプリング１０，１１、フリ
クシヨンワツシヤー１２，１３及びサブプレート
７，８内周部）を設け、フランジ２、サイドプレ
ート３，４、摩擦部材の圧接面の一部又は全部に
耐摩耗性が高くかつ摩擦係数が低いシート１５を
貼り付け、フランジ２に対してサイドプレート
３，４が捩れた時に上記シート１５の表面におい
て滑りが生じるようにしている。従つて摩擦面の
摩耗を防止して常にヒステリシストルクｈを所定
値に保ち、優れたトルク振動吸収効果を保つこと
ができる。

なお本考案を具体化する場合、面２ａ，２ｂだ
け又は面１０ｂ，１１ａだけにシート１５を貼り
付けることもできる。ウエーブスプリング１０，
１１とサブプレート７，８の互に対向する面１０
ａ，１１ｂ及び７ｂ，８ａの一方（例えば７ｂ，
８ａ）又は両方にシート１５を貼り付けることも
でき、その場合には面２ａ，２ｂ，１０ｂ，１１
ａ上のシート１５を廃止することもでき、又残す
こともできる。サブプレート７，８とフランジ２
の間に上述の如くシート１５を設けると共に、フ
リクシヨンワツシヤー１２，１３と圧接するサイ
ドプレート３，４及びサブプレート７，８の摩擦
面３ｂ，４ａ及び７ａ，８ｂの一方（例えば７
ａ，８ｂ）にも所定のヒステリシスＨを発生させ
ることができかつ耐摩耗性に優れたシートを貼り
付けることができる。又ワツシヤー１２，１３が
金属製品である場合等にはその表面１２ａ，１２
ｂ，１３ａ，１３ｂにシートを貼り付けることも
できる。

本考案をトーシヨンスプリングが１段又は３段
に作用するデイスクや、サブプレート７，８を備
えていないデイスクに適用することもでき、又図
示のウエーブスプリング１０，１１及びフリクシ
ヨンワツシヤー１２，１３の組合体以外の構造に
より摩擦部材が形成されたデイスクに本考案を適
用することもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例の縦断面部分図、第２図は捩り
特性のグラフ、第３図は本考案実施例の断面部分
図である。 １……スプラインハブ、２，３……サイドプレ
ート、１０，１１……ウエーブスプリング（摩擦
部材）、１５……シート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外周部にトルクが伝達される１対の環状サイド
   プレートをスプラインハブの環状フランジの両側
   に配置し、上記フランジと両サイドプレートをト
   ーシヨンスプリングにより連結し、フランジの内
   周部とサイドプレートの間に環状の摩擦部材を設
   け、フランジ、サイドプレート、摩擦部材の圧接
   面の一部又は全部に耐摩耗性が高くかつ摩擦係数
   が低いシートを貼り付け、上記フランジに対して
   サイドプレートが捩れた時に上記シートの表面に
   おいて滑りが生じるようにしたことを特徴とする
   ダンパーデイスクの摩擦装置。