JPS6225815Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、硬貨両替機又は釣銭機などに備え
られて、多数枚無造作にバラ積み状に供給される
コインを整列しながら、１枚ずつ、所定枚数だ
け、円盤外へ送出す傾斜円盤型コイン処理機にお
いて、バラ積み状コインが傾斜円盤上におけるコ
イン収容空間部内の底部においてコイン撹拌部材
により噛込まれるのを防止するようにした装置に
関する。

従来、この種傾斜円盤型コイン処理機では、回
転円盤の前面上にバラ積みされたコインを撹拌す
るための撹拌部材が取付けられているが、その撹
拌部材による撹拌作用によつてコインの円滑かつ
確実な掻揚げ、送出しをなすようにしてある。し
かし、前記撹拌部材は回転円盤の前面上に固定状
に取付けられているため、時折、回転円盤の前面
上におけるコイン収容空間部の底部において前記
撹拌部材によりコインが噛込む現象が生じ、この
噛込みによつて回転円盤の回転が制動されてコイ
ン送出しを中断したり、又コインおよびコイン収
容壁材の下縁などに変形、損傷を来たすなどの問
題を惹起していた 上記問題点を解決するものとして、例えば、実
開昭51−121097号公報に記載のものが公知であ
る。この従来のものは「傾斜して回転する円盤に
設けられたピンによつて硬貨を一枚づつ整理送出
するものにおいて、円盤と回転中心を同じくし、
スプリングによつて円盤上に圧着せられ、円盤と
は独立に回転可能なかく拌針と、このかく拌針を
押し上げ、且つ衝撃を与える突起物を円盤上に設
けた事を特徴とする硬貨整理装出装置におけるか
み込み防止機構」であつた。

しかし、上記従来のものは、硬貨がかく拌針を
円盤側に押え付けるように噛み込んだ場合、かく
拌針は突起物上に乗り上げることが困難となり、
逆に、楔作用で強力な噛み込み状態になるおそれ
があつた。

この考案は従来の上記問題点を解消し、コイン
撹拌部材によるコイン噛込みを防止することので
きる傾斜円盤型コイン処理機におけるコイン噛込
み防止装置を提供しようとするものであり、した
がつて、その特徴とするところは、支持フレーム
に回転円盤がその回転軸心を水平面に対して傾斜
状に設けられ、該回転円盤の前面周辺部にコイン
が平面状に１列に並ぶ環状のコイン整列溝が凹設
され、該コイン整列溝内にコインの厚みと略同じ
厚みを有するコイン掻揚突部がコインの径より僅
かに大きい周方向間隔をおいて列設され、前記回
転円盤の前面下部外周を囲繞してコイン溜りを形
成するコイン収容壁材が前記支持フレームに設け
られ、かつ、前記コイン溜りのコインを撹拌する
コイン撹拌用棒状体が前記回転円盤の前面に半径
方向にわたつて取着されたものにおいて、前記回
転円盤の前面中心部に皿形凹部が形成され、該凹
部をまたぐ細長状のばね板が回転円盤の前面に添
設され、該ばね板上に沿つて前記コイン撹拌用棒
状体が設けられ、該コイン撹拌用棒状体は前記皿
形凹部に入り込む長さとされ、前記コイン撹拌用
棒状体及びばね板は回転円盤の軸心部に挿入され
たボルトで回転円盤に相対回動可能に共締され、
前記ばね板とコイン撹拌用棒状体は一体回転すべ
く係合され、かつ前記コイン撹拌用棒状体の端部
より外方に突出するばね板の各端部は回転円盤に
対して斜め上方に突出してコイン撹拌用の補助部
材とされている点にある。

以下、この考案の実施例を図面に基づき説明す
る。

図面において、１は支持フレームで、水平線と
或る角度傾斜して固定され、かつ全周に突周壁２
を形成してある。３は傾斜型回転円盤で、この前
面の周辺部にコインが平面状に１列に並ぶ環状の
コイン整列溝４を凹設すると共に、該コイン整列
溝４の内周縁５にはコインＣの周縁一部を緩装状
に嵌合すべく、コインＣの厚みよりわずかに大き
い溝幅ｔをもつコイン周縁嵌合溝６を円周方向
に、かつコイン整列溝４の底面と面一に形成して
ある。この回転円盤３は後面中央部に回転軸７を
突設し、この軸７を上記支持フレーム１の軸受部
８に挿通支持させることによつてコイン整列溝４
の外周が突周壁２により囲まれるように、支持フ
レーム１に取付けられる。回転軸７は支持フレー
ム１の後部に装着したモータ９と直結されて、モ
ータ９の駆動により回転円盤３を図中矢印Ａ方向
に回転させるようにしてある。

回転円盤３のコイン整列溝４内にはコイン掻揚
突部１０が円周方向に、コインＣの直径よりもわ
ずかに大きい一定間隔をおいて固着してある。各
コイン掻揚突部１０の回転方向Ａに先行する側の
前縁１１は回転円盤３の直径線上に位置し、同反
対側の後縁１２はコイン整列溝４の内周縁５の接
線方向に略一致する斜向縁に形成してある。この
コイン掻揚突部１０の厚みはコインＣの厚みと略
同一にされている。

１３は皿形断面のコインガイド円板で、これは
回転円盤３の前面の中央凹部１４に噛込み状に固
定されている。このコインガイド円板１３の全周
縁を上記コイン整列溝４に張出すことによつて上
記内周縁５が構成される。

１５はコイン撹拌用棒状体で、四角形断面の耐
摩耗性に優れる合成樹脂製棒状体等で第３図の様
に一直線状に、あるいは第８，９図の様に交叉
状、三叉状に構成されて、上記円盤３の前面上に
おけるコインガイド円板１３上の中心部にその径
方向に配置されると共に、その中心をコインガイ
ド円板１３の中心部と合わしてばね板１６を介し
てボルト１７、ナツト１８で半固定状に止着され
る。前記ばね板１６は、回転円盤３の中心部に設
けられたコインガイド円板１３により形成された
皿形凹部をまたぐ細長状とされ、前記コイン撹拌
用棒状体１５は、前記皿形凹部に入り込む形状と
されている。

前記ばね板１６は第６図に示すように前記撹拌
用棒状体１５の下面に沿つた細長状に形成される
と共に、第５図にみられるように側面からみて皿
形に屈曲形成されており、その皿形形状は上記し
た皿形断面のコインガイド円板１３との間で或る
程度のクリアランスを持つ様に設定されている。
また、ばね板１６は撹拌用棒状体１５の一側に係
合して一体回転するように係合突部が備えられて
いる。そして、上記の如く、撹拌用棒状体１５が
ばね板１６を介して半固定状に止着された際ばね
板１６は第４図に示される如く弾性変形し、その
両端部１６ａ，１６ｂは撹拌用棒状体１５の両端
より径方向外方、かつ斜め上方に突出して取付け
られ、撹拌補助部材として利用される。また撹拌
用棒状体１５と回転円盤３とはばね板１６の弾性
変形による摩擦力によつて、平常時は回転円盤３
と同行回転し、後述のようなコイン噛込みが生じ
る回転円盤３と一体のコインガイド円板１３内で
ばね板１６がスリツプして相対摺動が生じるよう
に構成されている。

１９は板金製のコイン収容壁材で、横断面形状
が上記支持フレーム１の突周壁２の内周に沿うべ
く円弧形に形成され、かつその下端縁に外向舌部
２０を円周方向に一体に張出してある。このコイ
ン収容壁材１９は回転円盤３の円周下部の外周を
囲繞すべく外向舌部２０を、上記支持フレーム１
の下部突周壁２の内側に張出した内向壁２１の下
側に配置させると共に、この側端部１９ａ，１９
ｂをフレーム突周壁２に横軸２２を以て該軸回り
に回動自在に支持されている。また、このコイン
収容壁材１９の外面上には調整ねじによる当り部
材２３が上記内向壁２１の上方に対応すべく取付
けられている。この当り部材２３は、コイン収容
壁材１９と支持フレーム１間に張設したばね部材
２４の張力を受けて内向壁２１の上面に接当して
おり、この接当により外向舌部２０と回転円盤３
のコイン整列溝４との間の間隔が一定に保持され
てこの部分にコインが溜まるように設定してあ
る。即ち、コインＣは、回転円盤３の前面下部に
おいて、コイン収容壁材１９で囲われるコイン溜
りに貯留され、これらコインＣの一部は、外向舌
部２０と、コイン整列溝４と、突周壁２とで囲わ
れる空間に入り込み、この空気に入り込んだコイ
ンＣがコイン整列溝４内に列設されたコイン掻揚
突部１０間の間隙内に１個づつ入り込んで、回転
円盤３の回転によつて上方へ持ち上げられる。

上記回転円盤３の上部位置に対応する支持フレ
ーム突周壁２の一部分は切欠してコイン送出口２
５を開口し、かつ送出シユート２６を連設してあ
る。送出シート２６にはコインＣの送出枚数をカ
ウントする計数スイツチ２７が備えられている。

また、コイン送出口２５の近傍位置には加圧ロ
ーラ２８がコイン整列溝４の外周より内部に突入
するよう加圧ばね２９によつて支持され、コイン
掻揚突部１０によりこの加圧ローラ２８の前方に
送られてきたコインＣは周縁一部をそのローラ２
８と摺擦し、この摺擦力によりコイン整列溝４の
内周縁５の方向に寄せられるよう加圧されるので
ある。加圧ばね２９の取付端は支持フレーム１に
ビス３０を以て固着されている。加圧ローラ２８
は加圧ばね２９の先端にローラ保持体３１を以て
取付けられている。

今、上記回転円盤３の前面上にコインＣを収容
し、モータ９を駆動させると、回転円盤３はＡ方
向に回転し、コインＣはコイン掻揚突部１０によ
り掻揚げられながらコイン整列溝４内の各掻揚突
部１０，１０間に順次整列され、送出口２５の方
へ送られて行く。そして送出口２５の前方に移動
してきたコインＣは一旦加圧ローラ２８の加圧力
を受け、加圧の解放と同時に前記掻揚突部１０の
後縁１２に沿つて送出口２５の中へ勢いよく放出
される。このときに計数スイツチ２７によりカウ
ントされる。続いて、後続するコインＣも同様に
順次放出され、その所定枚数が送り出されるので
ある。また、かかるコインの掻揚げ、送出しと同
時に、コイン撹拌用棒状体１５が回転円盤３と同
行回転し、コインＣを撹拌して前記掻揚げ、送出
し動作を円滑かつ確実に促進するのである。

しかし、上記撹拌用棒状体１５により撹拌され
るコインＣは、時折、第７図に示す様にコイン整
列溝４と、外向舌部２０と、突周壁２とで囲まれ
る空間へ強制的に押し込められる状態が生じる。
すなわち、第１０図にみられるコインＣ群が同
図の様に支持フレーム突周壁２内面に対し撹拌
用棒状体１５の回転力で押えつけられる噛込み状
態が生じる。

コインＣがこのように噛込まれた場合は、撹拌
用棒状体１５はその噛込みコインＣの抵抗を受け
てコインガイド円板１３内でスリツプしながら停
止するが、回転円盤３はコインガイド円板１３と
もに回転を続行する。したがつて、コイン噛込み
に際会した場合でも回転円盤３によるコイン送出
しは中断することなく続行されるし、また、同図
に示すようにこの円盤３と同行回転して噛込み
コインＣの方へ移行してくるコイン掻揚突部１０
が噛込みコインＣに衝突し、その噛込み状態が解
除され、この結果、コインＣ、外向下部２０、突
周壁２、及びコイン掻揚突部１０が変形したり、
損傷するを未然に防止できる。コイン噛込みの解
消後は同図に示すように、撹拌用棒状体１５は
もと通り回転円盤３と同行回転してコイン撹拌機
能を発揮するのである。

また、ばね板１６の両端部１６ａ，１６ｂが撹
拌用棒状体１５の両端より径方向外方に突出する
と共に、撹拌用棒状体１５の長手方向と異なる方
向、即ち、斜め上方に突出して設けられた構成で
あるため、第２図にみられる如く、コイン収容空
間方向に突出しており、コインＣの撹拌効果が大
である。さら、この各端部１６ａ，１６ｂとコイ
ン収容壁材１９間にコインＣの噛込みが生じた場
合であつても、各端部１６ａ，１６ｂが弾性を有
しているため、コインＣの噛込みを解除する方向
に容易に弾性変形し、噛込みが容易に解除され
る。また、この各端部１６ａ，１６ｂの弾性によ
つて発生する振動が撹拌用棒状体１５にも伝達さ
れ、その振動により撹拌用棒状体１５とコイン収
容壁材１９間とのコイン噛込み防止機能も発揮す
る。しかも、撹拌用棒状体１５は回転円盤３に半
固定状に取付けるためのばね板１６の各端部１６
ａ，１６ｂを撹拌補助部材として兼用した構成で
あり、部品点数増大が防止でき、簡単な構成であ
り、安価に提供できる。

この考案は上記構成とするものであり、傾斜型
回転円盤３の前面上の中央部に径方向に止着され
るコイン撹拌用棒状体１５を、平常時、回転円盤
３と同行回転し、コイン噛込み時に停止するよう
半固定状に止着したものであるから、平常時はこ
の撹拌用棒状体１５によつてコインを撹拌するこ
とができ、特にこの撹拌用棒状体１５はたとえば
円盤３前面上に突設する単なるピン形状の撹拌部
材とは異なつて円盤３の径方向に長く設けてコイ
ンＣとの接触機会が多くなるように設定してある
ため、撹拌効率はピン形状撹拌部材に比し極めて
良好となるのであり、しかも、コイン噛込みに際
会してもこれをすぐに解消でき、コイン送出しを
中断するようなこともなくなり、又コインおよび
コイン収容壁材１９の下縁部などを変形ないし損
傷するようなことも防止できる等の利点がある。

さらに、撹拌用棒状体１５を半固定状に回転円
盤３に取付けるにあたつて介在されたばね板１６
の各端部１６ａ，１６ｂを撹拌補助部材として兼
用しているので、撹拌効果が大であり、その弾性
作用によつてコイン噛込み防止機能も発揮でき、
部品点数増大が防止でき、また簡単な構成であ
り、安価に提供できる利点を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係るコイン処理機の平面
図、第２図は断面図、第３図は同機における回転
円盤の中央部分の平面図、第４図は第３図におけ
る−線断面図、第５図は第４図に示す組立て
状態の前の状態を示す分解図、第６図は第３図に
おける−線断面図、第７図はコイン噛込み状
態を示す斜視図、第８図および第９図は第３図に
相応して示す他例図、第１０図乃至はコイン
の噛込みおよびこの解除経過を示す平面図であ
る。 ３……回転円盤、４……コイン整列溝、１０…
…コイン掻揚突部、１５……撹拌用棒状体、１６
……ばね板、１６ａ，１６ｂ……ばね板端部、１
９……コイン収容壁材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 支持フレームに回転円盤がその回転軸心を水平
   面に対して傾斜状に設けられ、該回転円盤の前面
   周辺部にコインが平面状に１列に並ぶ環状のコイ
   ン整列溝が凹設され、該コイン整列溝内にコイン
   の厚みと略同じ厚みを有するコイン掻揚突部がコ
   インの径より僅かに大きい周方向間隔をおいて列
   設され、前記回転円盤の前面下部外周を囲繞して
   コイン溜りを形成するコイン収容壁材が前記支持
   フレームに設けられ、かつ、前記コイン溜りのコ
   インを撹拌するコイン撹拌用棒状体が前記回転円
   盤の前面に半径方向にわたつて取着されたものに
   おいて、 前記回転円盤の前面中心部に皿形凹部が形成さ
   れ、該凹部をまたぐ細長状のばね板が回転円盤の
   前面に添設され、該ばね板上に沿つて前記コイン
   撹拌用棒状体が設けられ、該コイン撹拌用棒状体
   は前記皿形凹部に入り込む長さとされ、前記コイ
   ン撹拌用棒状体及びばね板は回転円盤の軸心部に
   挿入されたボルトで回転円盤に相対回動可能に共
   締され、前記ばね板とコイン撹拌用棒状体は一体
   回転すべく係合され、かつ、前記コイン撹拌用棒
   状体の端部より外方に突出するばね板の各端部は
   回転円盤に対して斜め上方に突出してコイン撹拌
   用の補助部材とされていることを特徴とする傾斜
   円盤型コイン処理機におけるコイン噛込み防止装
   置。