JPS6222661Y2

JPS6222661Y2 -

Info

Publication number: JPS6222661Y2
Application number: JP1980059247U
Authority: JP
Priority date: 1980-04-30
Filing date: 1980-04-30
Publication date: 1987-06-09
Also published as: JPS56160158U

Description

【考案の詳細な説明】本考案は、シエル内に、圧力差を受けて変位す
るダイヤフラムを収納したブレーキ倍力装置にお
いて、このシエルを車体等の所定箇所に取付ける
べく、該シエル内より突出させて設けるようにし
た固定ボルトの取付構造に関する。

第１図は、この種ブレーキ用真空倍力装置を例
示したもので、前方シエル１と後方シエル２との
間にダイヤフラム３が挾着され、シエル内は、こ
のダイヤフラム３およびこれに取付けたピストン
４により負圧室５と変圧室６とに画成されてい
る。そして、周知のように、この倍力装置は、入
力軸７を変位させるブレーキ操作時には弁機構に
より変圧室６に大気を導入し、この変圧室６と負
圧室５との間に生じる圧力差により、ピストン４
およびこれに支持したプツシユロツド８に推力を
与え、このプツシユロツド８を介し、隣接配置さ
れたマスターシリンダ（図示せず）に作動力を伝
達するよう構成されている。

ところで、このブレーキ倍力装置を車体側へ固
定するには、図示のように、上記前方シエル１の
マスターシリンダ側取付部９にボルト挿通孔１０
を穿設し、該孔１０に前方シエル１の内部から固
定ボルト１１を嵌入させており、また同様に後方
シエル２の取付部１２にもボルト挿通孔１３を設
けて固定ボルト１４を挿通させている。

そして、これら固定ボルト１１，１４は各シエ
ル１，２に対して気密に、かつ堅固に緊着するこ
とを要するため、従来は第２図に固定ボルト１１
の場合を拡大して示すように、前方シエル１に設
けたボルト挿通孔１０において、該シエル１の外
側面に円錐面状の面取りを施し皿状部１０ａを形
成させ、また固定ボルト１１には予め基端段部１
１ａを設けておき、該段部１１ａをカシメ等によ
り塑性変形させることにより上記皿状部１０ａ内
を補填させ、固定ボルト１１を前方シエル１に緊
着固定させている。なお、固定ボルト１４におい
ても同様な手段に依つている。

このように、上記従来手段においては、ボルト
挿通孔１０の外側周縁に面取りを施して皿状部１
０ａを形成しこれを塑性加工により補填させてい
るが、この手法も、従来の如くシエル板厚を充分
な値に取り得た場合には、皿状部１０ａのなす補
填空間も比較的大きくとれ、塑性加工もほぼ満足
しうる結果が得られていた。しかるに、近時にお
ける装置軽量化の要請から、シエル板厚が従来の
ものの約半分程度の薄肉のものを採用するように
なると、上記皿状部１０ａ内は文字通り収容容積
が薄小となるため、その内部を塑性変形により補
填さすべきボルト側段部１１ａの寸法設定が困難
であつて、通常の場合、該塑性変形の結果ボルト
基端部周縁に余肉冗肉による盛り上がりを生ぜし
めることとなつた。ところが、この取付部９の外
側取付端面９ａは、エアーチヤンバの取付寸法精
度を維持できるように、相手側取付面と密着する
ような高い平滑度を要求されることから、上述の
盛り上がりが生じたときには、これを研削して平
滑化するための余分の加工手段を要するという欠
点を伴つていた。

しかも、上述の如くボルト挿通孔１１に面取り
を施すことは孔周縁における強度を削ぐことに繋
り、上記シエルの薄肉軽量化の要請に対してもそ
の実現を阻む要因の一つとなつていた。

本考案は以上の点に鑑み、シエル取付面におけ
る上記盛り上がりを生じさせることなく、しかも
ボルト挿通孔周縁における強度劣化を伴わずして
補強板を用いることによりシエル板厚のより薄い
ものを採用できるようにするとともに、気密性を
確保できるようにすることを目的とするものであ
つて、シエル内に圧力差を受けて変位するダイヤ
フラムを取付け、上記シエルの取付部にボルト挿
通孔を穿設するとともに該ボルト挿通孔よりシエ
ル内部から固定ボルトを突出させるようにしたブ
レーキ倍力装置において、上記シエルのボルト挿
通孔周縁をシエル内方へ屈曲させて環状段部を形
成し、かつこの環状段部を、上記固定ボルト頭部
とシエル内壁面との間に介装した補強板の該ボル
ト軸部を囲繞する孔内に収容させ、この固定ボル
トの軸部を塑性変形させることにより、このボル
ト軸部を囲む上記環状段部内を補填させたことを
特徴とするものである。

以下図示実施例について本考案を説明すると、
第３図において、シエル２０に穿設したボルト挿
通孔２１の周縁をシエル内方に屈曲させて環状段
部２１ａを成形し、上記ボルト挿通孔２１にシエ
ル内方より固定ボルト２２を貫通させている。

そして、この固定ボルト２２の基端軸部２２ａ
は、上記ボルト挿通孔２１の内径と略同径で、か
つ、ねじ軸部２２ｂより大径に設定されている。
したがつて、この基端軸部２２ａと上記環状段部
２１ａとにより環状凹部２３が形成されるが、こ
の凹部２３内には、上記基端軸部２２ａの肩部余
肉部２２ｃすなわち、第２図に破線で示した部分
を、カシメ等塑性変形させることにより該凹部内
を補填せしめている。この構成によれば、上記凹
部２３内に変形転移された上記ボルト２２の余肉
が、シエル２０の外周面、つまり取付端面２０ａ
より***することのないように、充分大きな転移
空間を有する上記環状段部２１ａの形状を容易に
設定することができる。

一方、シエル２０の内周面側には、上記環状段
部２１ａを囲繞し、かつこの段部２１ａの高さと
略同寸法の板厚を有するワツシヤ状の補強板２４
を設け、固定ボルト２２の頭部２２ｄと上記シエ
ル２０とによりこの補強板２４を挾着させてい
る。換言すれば、該補強板２４の孔部と基端軸部
２２ａとの間に構成した環状窪み２２ｅ内に上記
段部２１ａを収容させたものである。またこのボ
ルト頭部２２ｄの補強板２４との接触面には複数
個の円錐状回り止め突起２５を突設し、固定ボル
ト２２のシエル２０への取付け時に、この突起２
５を補強板２４に圧入して該ボルト２２の回り止
めを図つている。なお、上記補強板２４はワツシ
ヤ状のものに止まらず、シエル２０の取付面側全
周に沿うようなドーナツ状のものであつてもよ
い。

以上の構成を有する本実施例装置は、環状凹部
２３を屈曲形成しこれにボルト２２の余肉部２２
ｃを転移補填させるものであるから、当該装置の
目的、用途等に応じてこの環状凹部２３の大き
さ、形状を自由に設定することができ、上記余肉
部２２ｃの転移成形時にその成形部分をシエル取
付端面２０ａから***させるような惧れが全くな
い。また、補強板２４を設けるようにすれば、ボ
ルト挿通孔２１近傍の強度性能が向上し、固定ボ
ルト２２をシエル２０および取付相手材に対して
強固に締付けることが可能となる。そして、従来
のもののようにボルト挿通孔２１に面取りを施す
ものでないため、該挿通孔周縁の強度が削がれ
ず、シエル２０自身の板厚を減少させることが可
能で、ひいては当該装置の軽量化を図ることがで
きる。

なお、環状段部２１ａの形状は、必ずしも完全
な円環形状にする必要はなく、その周縁に凹凸を
形成するなどして、これにより固定ボルト２２の
回り止めを図つてもよい。

以上のように、本考案によれば、予めシエルに
形成した環状段部を補強板の孔内に収容し、この
環状段部をボルト軸部の塑性変形により補填させ
るようにしているから、この補填部によりシエル
の気密性を確保できるとともに、この部分が使用
時に緩むような恐れを全く無くすることができ
る。

また、従来のもののように、塑性変形により転
移成形されるボルトの余肉がシエル取付端面より
***することがなく、更にボルト挿通孔に面取り
を施すものでない上、ボルト頭部とシエルとの間
に補強板を介装させるようにしているため、シエ
ル自身の板厚を可及的に薄くすることが可能とな
り、ひいてはブレーキ倍力装置全体の軽量化を図
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来のブレーキ用真空倍力装置を示
し、一部を断面とした側面図、第２図は第１図の
固定ボルト取付部を示す拡大断面図、第３図は本
考案の一実施例の要部を拡大して示す断面図であ
る。１，２，２０……シエル、３……ダイヤフラ
ム、９，１２……取付部、１０，１３，２１……
ボルト挿通孔、１１，１４，２２……固定ボル
ト、２１ａ……環状段部、２２ｄ……頭部、２２
ｅ……環状窪み、２３……環状凹部。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

シエル内に圧力差を受けて変位するダイヤフラ
ムを取付け、上記シエルの取付部にボルト挿通孔
を穿設するとともに該ボルト挿通孔よりシエル内
部から固定ボルトを突出させるようにしたブレー
キ倍力装置において、上記シエルのボルト挿通孔
周縁をシエル内方へ屈曲させて環状段部を形成
し、かつこの環状段部を、上記固定ボルト頭部と
シエル内壁面との間に介装した補強板の該ボルト
軸部を囲繞する孔内に収容させ、この固定ボルト
の軸部を塑性変形させることにより、このボルト
軸部を囲む上記環状段部内を補填させて成るブレ
ーキ倍力装置。