JPS6215084Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、真空倍力装置におけるブースタピ
ストンの戻し機構に関するものである。

従来知られた真空倍力装置は、その殆んどがブ
ースタピストンのリターンスプリングをシエル内
部に設けている。即ち、リターンスプリングの一
端をシエルのフロント壁内面に係止し、スプリン
グの他端はピストンのバルブボデイ先端に係止し
てブレーキ制動時に移動したブースタピストンを
復帰するようにしている。

しかしながら、このような構成の倍力装置は、
シエルの軸方向長さが制限されることからリター
ンスプリングのセツト長さに限界が生じ、ピスト
ンストロークを大きくとることができない或いは
車体への取付ボルトがシエル内部を貫通する倍力
装置において取付ボルトの配設位置を変えること
が要求されても、大きなスペースを占めるスプリ
ングに邪魔されてそれができない等設計面で制約
を受ける。また、リターンスプリングはフロント
シエルとリヤシエルの係合を解かないと取外せな
いので、その交換作業も大変である。

この考案は、上記に鑑みてなされたものであつ
て、その目的は倍力装置の設計自由度を広げ、か
つリターンスプリングの交換も容易に行えるよう
にしたブースタピストンの戻し機構を提供するこ
とにある。

以下、この考案の構成を添付図面に基いて説明
する。

第１図及び第２図は、この考案を適用した真空
倍力装置の一例を示す。図のように、フロントシ
エル及びリヤシエルから成るシエル１内部にブー
スタピストン２が設けられ、このピストンのプレ
ート３に支持されるダイヤフラム４によりシエル
内部の前後の圧力室５，６が分離されている。ピ
ストンプレート３を取付けたピストンのバルブボ
デイ７は、その円筒部８がシエルのリヤ壁９に設
けた中心開口部から外部に突出しており、また、
上記円筒部８とリヤ壁９の開口部に形成した環状
突出部１０との間には、バルブボデイ７の移動を
ガイドする軸受１１とシエルの後部圧力室６を気
密にシールするシール部材１２が介在され、さら
に、シエル外部に露出した円筒部８の周りは伸縮
自在の保護ブーツ１３で覆われている。

また、バルブボデイ７の内部には第２図に示す
ように入力軸１４の係合したプランジヤ１５、こ
のプランジヤの弁座及びバルブボデイの弁座を開
閉する制御弁１６、制御弁の押圧スプリング１
７、入力軸の復帰スプリング１８、サイレンサー
フイルタ１９が設けられ、さらに、プランジヤ１
５の先端にはリアクシヨンデイスク２０を介して
出力軸２１が取付けられている。

この考案は、以上の如き構成の倍力装置におい
て、ブースタピストンのリターンスプリングをシ
エル外部に突出したバルブボデイ円筒部の外周部
に設けたところに特徴を有する。

即ち、第２図を見てよくわかるように、保護ブ
ーツ１２にはリターンスプリング３０が一体にモ
ールドされており、このスプリングの一端をシエ
ルのリヤ壁９に係止し、一方スプリングの他端は
バルブボデイ円筒部８の後端開口部にねじ係合す
る等して固定したスプリング受け３１のフランジ
３２で受けることによりブースタピストン２を常
時復帰方向に付勢している。

なお、スプリング３０は、保護ブーツ１３と一
体にする必要はなく、第３図に示すように保護ブ
ーツ１３の内側又は第４図のようにブーツ１３の
外側に設けてもよい。

また、スプリング受け３１は、先端に制御弁１
６の支持部を一体に形成し部品数の増加を抑えて
いるが、このスプリング受け３１と制御弁の支持
部材は別々に形成することもできる。

さらに、図に示す実施例では、プランジヤ１５
に入力軸１４の戻りを規制するストツパ２２を取
付けているが、この考案はダイヤフラムをシエル
のリヤ壁に当接する等してブースタピストンを停
止するタイプの倍力装置にも適用される。

この考案のブースタピストン戻し機構は、以上
説明したように、バルブボデイ円筒部の後端にス
プリング受けを取付け、このスプリング受けのフ
ランジとシエルのリヤ壁間にリターンスプリング
を装架することによりシエル内部からリターンス
プリングを無くしたので、倍力装置シエル内部の
設計自由度が増し、ブースタピストンのストロ
ークを長くとるシエルの軸方向長さを短かくす
る車体への取付ボルトがシエル内部を貫通する
タイプの倍力装置において取付ボルトの配設位置
を軸心側に近づけるといつたことが可能になるほ
か、スプリング受けの着脱だけでリターンスプリ
ングの交換ができ、交換作業が楽になる利点もあ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案のブースタピストン戻し機
構を採用した真空倍力装置の一例を示す一部破断
正面図、第２図は同上の要部を示す拡大断面図、
第３図及び第４図は他の実施例を示す要部拡大断
面図である。 １……シエル、２……ブースタピストン、７…
…バルブボデイ、８……円筒部、９……シエルリ
ヤ壁、１３……保護ブーツ、３０……リターンス
プリング、３１……スプリング受け、３２……フ
ランジ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) ブースタピストンのバルブボデイ円筒部をリ
   ヤシエルの中心開口部より突出させた真空倍力
   装置において、ブースタピストンのリターンス
   プリングをシエルより露出したバルブボデイ円
   筒部の外周部に装架し、このスプリングの一端
   はシエルのリヤ壁に係止し、他端はバルブボデ
   イ円筒部の後端開口部に固定して取付けたスプ
   リング受けのフランジで受けるようにしたブー
   スタピストン戻し機構。 (2) 上記リターンスプリングを、バルブボデイ円
   筒部を覆う保護ブーツ内に一体にモールドした
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第(1)
   項記載のブースタピストン戻し機構。