JPS6221982Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は秒針押えバネ構造の改良に関し、特に
組立作業性を改良したものである。

秒針押えバネは秒針剣の不正な振れを防止する
為に秒針軸もしくは秒針軸に固着された秒針車を
適度なバネ圧により押圧する為のものである。

従来での組立作業性の良好な秒針押えバネ構造
に、板状の秒針押えバネを秒針軸に遊嵌させ、該
バネを地板と秒針車に当接させてなるものが知ら
れている。しかしながら、この方式においては、
秒針押えバネを単に秒針軸に遊嵌させただけの
為、組立作業時での地板組込時に何らかの振動が
生じると簡単にはずれてしまう問題を発生させて
いた。この問題は特に時計の自動組立を行なつた
場合に大きな障害を与えており、例えば秒針押え
バネがはずれたままで時計が組立てられた場合に
は、その全てが不良品となつてしまい、この改善
方法が望まれていた。

本考案は上記従来の問題を解決するために為さ
れたものであり、その目的は組立作業時に秒針押
えバネが秒針軸から簡単にははずれないようにし
て、作業性の改良を果たすことである。

上記目的を達成するために本考案では、板状の
秒針押えバネを秒針軸に遊嵌させ、該バネを地板
と秒針車に当接させてなる秒針押えバネ構造にお
いて、秒針押えバネには秒針車と遊嵌可能な孔と
該孔につながる長穴を設け、秒針軸には秒針押え
バネが遊嵌可能な小径部と秒針押えバネの挿入方
向側に前記穴よりも大径な大径部を設け、前記秒
針押えバネは秒針軸に装着された後に時計輪列へ
組込まれることを特徴とする。

以下、好適な実施例に基づき本考案を詳細に説
明する。

第１図には本考案実施例としての時計ムーブメ
ントの組立完了状態での展開断面図が示されてい
る。アナログ表示時計を構成する輪列としてのロ
ータ３０，５番車４０，秒針車５０，３番車６
０，分針車７０，日の裏車８０，時針車９０およ
び修正車１００は、上板２，中板４および下板６
により回転可能に軸支されている。この実施例に
おける上板２および下板６は、夫々の周縁に側壁
が延出形成されており（図示省略）、ケースとし
ての機能も有するものである。

秒針押えバネ１０は上板２と秒針車５０との間
に配置されており、後に詳細に説明するが、秒針
軸２０を適度なバネ圧により中板４に押圧し、秒
針軸の先端に取付けられる秒針剣（図示なし）の
不正な振れを防止することができる。秒針押えバ
ネ１０に関する組立作業について第２図，第３図
および第４図を用いて説明すると、第２図および
第３図には上板２の組込前の状態が示され、該バ
ネ１０は秒針軸２０に挿入されている。秒針押え
バネ１０は第５図に示す形状に金属のバネ材をプ
レス抜き加工により形成したものであり、中央部
に秒針軸２０に挿入する為の孔１２を有し、かつ
この孔１２につながる長穴１４を有している。こ
れに対して秒針軸２０には、秒針押えバネ１０の
挿入方向側、すなわち実施例においては上板２側
の端部に大径部２４が形成され、その次に小径部
２２が形成されている。この小径部２２は秒針押
えバネ１０の上記孔１２より若干小径に設定さ
れ、すなわち該バネ１０が小径部２２位置に挿入
されたときに遊嵌するようになつている。一方、
前記大径部２４は該孔１２より若干大径に設定さ
れている。秒針押えバネ１０は前記大径部２４を
通過して小径部２２まで挿入する必要があるので
あるが、該バネ１０には孔１２につながる長穴１
４を形成している為、孔１２の径を弾性的に広げ
ることを可能として対処している。秒針押えバネ
１０が秒針軸２０の小径部２２位置まで挿入され
た状態においては、該バネ１０は秒針軸２０に保
持される。したがつて、この秒針押えバネ１０を
先に秒針軸２０に挿入してから、時計ムーブメン
トの組立を行なうことにより、秒針車５０（秒針
軸２０を含む）の中板４への組込時や、上板２の
組込み時に生じる振動などによる秒針押えバネ１
０のはずれ不良を防止することができる。そし
て、第４図に示す上板２の組込完了状態において
は、秒針押えバネ１０の中央位置１６が上板２の
突出部２ａと当接し、端部１８が秒針車５０の環
状突起５２と夫々弾性的に当接することによつ
て、秒針軸２０および秒針車５０を中板４に対し
て適度なバネ圧により押圧することができる。

なお、実施例においては秒針押えバネ１０を上
板２と秒針車５０の間に配置させたが、例えば秒
針車５０と中板４との間に配置し、秒針軸２０お
よび秒針車５０を上板２方向に押圧させることも
実施刊能であり、同様な効果を有する。

一方、実施例における上板２はケースとしての
機能を有しダストカバーとしての機能も兼用させ
ているが、例えば上板とダストカバーとを両方独
立して設けるような構造においては、秒針押えバ
ネ１０を秒針車５０とダストカバーとの間に配置
する実施も可能であり、同様な効果を有する。

以上、説明したように本考案は秒針押えバネ構
造の改良に関し、秒針押えバネ１０に秒針軸２０
と遊嵌させる為の孔１２および該孔１２につなが
る長穴１４を形成し、また秒針軸２０には秒針押
えバネ１０が遊嵌する小径部２２および該バネ１
０の挿入方向側に大径部２４を形成したことによ
り、秒針押えバネ１０を秒針軸２０に対して挿入
した際には保持され、組立時での不正なはずれを
防止することを可能としたものである。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第５図は本考案実施例としての秒針押
えバネ構造を示し、第１図は時計ムーブメントの
組立完了後の状態を示す展開断面図。 第２図は上板の組込前を示す要部拡大断面図。
第３図は第２図の平面図。第４図は上板の組入後
を示す要部拡大断面図。第５図は秒針押えバネの
斜視図。 １０……秒針押えバネ、１２……孔、１４……
長穴、２０……秒針、２２……小径部、２４……
大径部、５０……秒針車。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 板状の秒針押えバネを秒針軸に遊嵌させ、該バ
   ネを地板と秒針車に当接させてなる秒針押えバネ
   構造において、秒針押えバネには秒針軸と遊嵌可
   能な孔と該孔につながる長穴を設け、秒針軸には
   秒針押えバネが遊嵌可能な小径部と秒針押えバネ
   の挿入方向側に前記孔よりも大径な大径部を設け
   前記秒針押えバネは秒針軸に装着された後に時計
   輪列へ組込まれることを特徴とする秒針押えバネ
   構造。