JPS6221605Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は建物の壁面を構成するカーテンウオ
ールの下端部を若干の摺動自在に支持する支持部
の構造の改良に関する。

近年、ビルデイングの様な大型建築物の壁面
は、組立てた鉄骨枠組（鉄骨または鉄筋をコンク
リートで包み固めたものや、鉄骨のまま防錆処理
したもの等があるが、この明細書ではこれらを総
称して鉄骨枠組といい、これにボルト類を溶接、
埋込みにより固定してカーテンウオールを取付け
るようにされる。）にカーテンウオールを吊下げ
るカーテンウオール工法により形成される事が多
くなつた。このようなカーテンウオール工法に於
いては、カーテンウオールの上端を鉄骨枠組に吊
下げて強固に取付けるとともに、下端は地震或は
火災発生時に吊下げ部分に無理な力が加わつてカ
ーテンウオールが落下するのを防止するため、鉄
骨枠組に対して緩く取付けている。これは、地震
や熱膨張により鉄骨枠組が歪み、カーテンウオー
ルを取付けた上下の枠組が上下や水平方向に相対
的に移動して、矩形のカーテンウオールを平行四
辺形に変形させようとする無理な力がカーテンウ
オール取付け部に加わり、このため取付け部が破
損しカーテンウオールが落下するのを防止しよう
としたものである。

第１〜２図は、このような従来のカーテンウオ
ール下部のゆるい取付け構造を示す。

カーテンウオールの取付け構造は、建物の構造
に対応して種々であるが、第１図は上記のような
取付けの要領を一例について示した屋内側から見
た取付け部の正面図、第２図は第１図のＡ−Ａ線
に沿つて切断し拡大すると共に具体的に示した断
面図である。

カーテンウオール１の下端部には、横の長孔２
を穿設したブラケツト３が固着されており、一方
鉄骨枠組４には大き目の円孔５を穿設したブラケ
ツト６が固着されている。両ブラケツト３，６は
長孔２と円孔５とに挿通したボルト７にナツト８
を螺合させることにより連結し、カーテンウオー
ル下端部を鉄骨枠組４に取付ける。この際、両ブ
ラケツト３，６が、ボルト７と長孔２との係合範
囲内で互いに摺動できるように、ナツト８の締付
けは緩くし、締付け後ボルト７とナツト８とを溶
接する。また、ボルト頭部７ａとブラケツト３と
の間および両ブラケツト３，６の間には、それぞ
れ摩擦作用の小さい摺り板１２を介在させて該両
ブラケツト３，６が摺動し易くしている。摺り板
１２は、ステンレス鋼板、合成樹脂板等で通常の
座金状に形成したもので、ブラケツト３，６の間
等の互に摺動する部分間の摩際を緩和し、しかも
がたつきなく両部分を結合するために、両摺動部
分間にゆるく挿入するものである。（第４図は、
このゆるさを誇張して示している。） ところが、上述のような従来のカーテンウオー
ル支持部の構造に於いては、カーテンウオール１
の下端部に固着するブラケツト３が長孔２を穿設
する分だけ幅の広い大きなものとなつてしまう。
また、ボルト７とナツト８との締付力の調節が難
しく、強い力で締め過ぎるとブラケツト３，６が
摺動しなくなり、火災でカーテンウオールが熱変
形したり、或は地震発生時に該カーテンウオール
の吊下げ部分に強い力が加わつて該吊下げ部分が
破損し、カーテンウオールが落下するおそれがあ
る。

本考案のカーテンウオール支持部の構造は上記
したいずれの欠点をも解消したものである。

以下、実施例を示す図面により本考案を説明す
る。

第３〜４図は本考案の実施例を示し、第３図は
下部支持部の構造を原理的に示したもの、第４図
は第３図のＢ−Ｂ線に沿つて切断し拡大すると共
に具体的に示した断面図である。

第３図において、カーテンウオール１の下端部
には断面Ｌ字形（断面形状はＬ字形に限定せず、
平板状でも、或はコ字形でも良い。）の連結材９
の上端が枢着されている。該連結材９の下端は鉄
骨枠組４に固定したブラケツト６に枢着されてい
る。連結材９の上端の枢着部の構造は、具体的に
例示すると第４図のようになつている。即ち、カ
ーテンウオール１の下端に固着したブラケツト３
に穿設した透孔１０と連結材９の上端に穿設した
透孔１１とにゆるく挿通したボルト７にナツト８
を螺合させ、ボルト７の頭部７ａとブラケツト３
との間、およびブラケツト３と連結材９との間に
はそれぞれ摺り板１２が挿入されている。１３
は、ボルト７の杆部７ｂに外嵌し、該ボルト７の
頭部７ａとナツト８との間で挾持されたスペーサ
で、全体を短円筒状、或は第５図に示すように一
端に外向きフランジを有する短円筒状に形成され
ている。スペーサ１３の長さは、該スペーサ１３
をボルト７の杆部７ｂに外嵌した状態でナツトを
緊締しても、カーテンウオール１と連結材９とが
強く当接せず枢着部が自由に回動できる長さとす
る。ナツト８はボルト７に緊締後該ボルト７に溶
接される。

一方、連結材９の下端部も同様の構造により鉄
骨枠組４に固定したブラケツト６に穿設した透孔
１４に枢着されている。なお、図示の実施例で
は、連結材９の下端の枢着部に使用するスペーサ
１３は２分割し、中間部で両半部を螺合させたも
のを使用している。このように、スペーサ１３を
構成することにより、該スペーサ１３の長さを任
意に調節してボルト７とナツト８とによるブラケ
ツト６と連結材９との締付力を最適にすることが
できる。勿論スペーサ１３は上下ともに一体のも
のでも、或は二分割のものでも良い。

なお、上述のように連結材９を介してカーテン
ウオール１と鉄骨枠組４に固定したブラケツト６
とを連結する場合、カーテンウオール１の移動時
に於ける支持部の動きがより自由になるように、
ブラケツト３の透孔１０とブラケツト６の透孔１
４との少なくとも一方の内径はスペーサ１３の外
径よりも十分に大きくし、該孔１０，１４内でス
ペーサ１３が上下左右に動き得るようにする。

本考案のカーテンウオール支持部の構造は以上
に述べたように構成されるので、支持を構成する
ブラケツトや連結材が小さいもので済み、また、
スペーサを挿入したためナツトの締め過ぎによる
作動不良を生じることがなく、火災時や地震発生
時にカーテンウオールが落下することを有効に防
止できる。

【図面の簡単な説明】

第１〜２図は従来のカーテンウオール支持部の
構造を例示する図で、第１図はカーテンウオール
下部の取付け部の屋内側から見た正面図、第２図
は第１図のＡ−Ａ線に沿つて切断し具体的に示し
た拡大断面図、第３図以下は本考案の実施例を示
しており、第３図は第１図同様の図、第４図は具
体的に示した第３図の拡大Ｂ−Ｂ断面図、第５図
はスペーサの１例を示す斜視図である。 １：カーテンウオール、２：長孔、３：ブラケ
ツト、４：鉄骨枠組、５：円孔、６：ブラケツ
ト、７：ボルト、７ａ：頭部、７ｂ：杆部、８：
ナツト、９：連結材、１０，１１：透孔、１２：
摺り板、１３：スペーサ、１４：透孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. カーテンウオール１の下端部に固着したブラケ
   ツト３に上端を枢着した連結材９の下端を、鉄骨
   枠組４に固着したブラケツト６に枢着するカーテ
   ンウオール支持部の構造であつて、上記各枢着部
   は、ブラケツト３およびブラケツト６にそれぞれ
   穿設した透孔１０，１４と連結材９の両端に穿設
   した透孔１１とに挿通するボルト７，７と、該ボ
   ルト７の杆部７ｂに外嵌した円筒状のスペーサ１
   ３と、該ボルト７に螺合し、ボルト頭部７ａとの
   間でスペーサ１３をゆるく挾持するナツト８とか
   ら成り、カーテンウオール１に固着したブラケツ
   ト３および鉄骨枠材４に取付けたブラケツト６の
   両面とボルト頭部７ａ又は連結材９との間には摺
   り板１２をゆるく挾持し、上記透孔１０，１１，
   １４の少なくとも一つの内径はスペーサ１３の外
   径よりも大きくして成るカーテンウオール支持部
   の構造。