JPS622150Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は筆記具として広く使用されているマー
キングペン、特にマーキングペンのインク保持体
の改良に関する。

従来、マーキングペンは水性又は油性のインク
を繊維体に含浸させてインク保持体を形成し、こ
のインク保持体を金属又はプラスチツクの筒状の
容器に内蔵し、筆記用芯体の先端を容器外部へ突
出させると共にその他端をインク保持体に挿入
し、インク保持体内部のインクを筆記用芯体の他
端から先端まで吸引供給されるようになしたもの
が一般的である。ところが、インク保持体は、平
坦な表面のセロフアン、ポリエステル等の薄膜で
繊維体を巻囲して構成されるか、あるいは繊維体
の表面にプラスチツクを塗布して構成されてお
り、いずれの場合もインク保持体の表面は平滑な
ものが主体となつていた。一方、金属又はプラス
チツクの容器は芯体を突出させる為の、又は芯体
保持用中蓋を螺合・締結する為のテーパ部を有し
ていた。そこで、前記のようなインク保持体を容
器に挿入する場合、容器内壁のテーパ部とインク
保持体先端部との接合部において容器内のエア交
代が円滑に行なわれず、従つて芯体よりのインク
の流れが阻害される。このため通常、インク保持
体の内部に細チユーブを挿入したり、容器テーパ
部内壁に溝を形成したり、或はインク保持体先端
部にリングを装填したりして容器内のエア流通を
はかつていた。

本考案はこのような事情に鑑みて案出したもの
で、インク保持体自体の構造に簡単な工夫を加え
ることにより容器内のエア流通をはかり、芯体よ
りのインクの流れが円滑に行なわれるようにした
マーキングペンを提供することにある。

このような目的を実現するために、本考案で
は、インクを含浸させた繊維体から成るインク保
持体を筒状の容器に内蔵し、筆記用芯体の先端を
前記容器より外部へ突出させると共にその他端を
前記インク保持体に挿入し、インク保持体内部の
インクを前記筆記用芯体の他端から先端まで吸引
供給されるようになしたマーキングペンにおい
て、前記インク保持体は、外側に軸方向にのびた
複数の突起を形成した外被で繊維体を巻回して構
成されたものであることを特徴とするマーキング
ペンが提案される。

以下、添付図面を参照し本考案の実施例につい
て詳細に説明する。第１図において、円筒状の容
器１はアルミニウム等の金属又はプラスチツクで
成型され、その一端には筆記用芯体２を固定する
ための径の小さくなつた絞り部１ａを有し、この
絞り部１ａと容器１の円筒部との間はテーパ部１
ｂで連続している。容器１の他端はこの部分に蓋
１ｃを設けこの蓋で閉じるようにしているか一体
構造で閉じられている（図示せず）。インク保持
体４は、第２図に示すように、アセテート等の繊
維体５を、軸方向にのびた複数の突起部７を有す
る外被６で少なくともこれらの突起部７が外周に
来るように巻き込んで構成したものである。

第３図は外被６として樹脂薄膜（フイルム）を
用いた実施例を断面図で示したものであり、突起
７は薄板６の片面にあつてもよくａ，ｂ、また両
面にあつてもよいｃ，ｄ。ただし、突起７が片面
のみにある場合はこれらの突起７が外周にくるよ
うに繊維体５を巻き込む必要がある。両面にある
場合は同じ位置にあつてもよくｃ、千鳥になつて
いてもよいｄ。また、突起７はその断面形状が半
円形であつてもよくａ，ｃ，ｄ、また三角形であ
つてもよくｂ、その他の形状であつてもよい。第
３図の実施例ではいずれも突起７が等間隔に平行
に設けてあるが、必ずしも等間隔である必要はな
い。なお、このような突条を有する樹脂フイルム
は市販品を用いることも可能である。また、外被
６は、繊維の表面に樹脂コーテイングする際にそ
の外表面に前記の如き突起部をもつた断面とした
ものも考えられる。

第２図に示す如きインク保持体４を形成した
後、繊維体５に水性又は油性のインクが含浸さ
れ、容器１に装填される。筆記用芯体２はプラス
チツク、金属、セラミツク或いは繊維体で構成さ
れ、それより軟かい繊維体で構成された中継芯３
を経由するか或いは直接インク保持体４に挿入・
固定されている。筆記用芯体２の先端筆記部は容
器１より外部へ突出されている。この先端筆記部
にて筆記されるに従つてインクが被筆記物に供給
されるので、芯体２および中継芯３は負圧とな
り、それらの毛細管現象により繊維体５内部のイ
ンクが芯体２の先端筆記部に供給されるのであ
る。

さて、本考案では、インク保持体４が外面に軸
方向の突起７を有する外被６で繊維体５を巻囲し
て構成されているので、容器１のテーパ部１ｂと
インク保持体４の先端部との接合部Ａにおいて、
突起７が容器内壁テーパ部の少なくとも一部に接
触することとなり、その結果、前記接合部Ａにお
いて間隙が生じ、また容器１の円筒内壁において
も空気通路Ｄが確保され、容器１の前部領域Ｂと
後部領域Ｃとの間のエア交代即ち、負圧又は温度
変化による内圧の変化に伴なう容器内のエア又は
ガス圧の流通が円滑に行なわれることとなり、従
つて芯体２よりのインクの流れもスムーズにな
る。また、突起７が容器１の内壁一部に軸方向に
接触固定され容器１内でのインク保持体４のガタ
付きも防止される、また突起７によりインク保持
体４自体の硬度を高めこの保持体４の容器１内へ
の機械的装填の際の作業性の向上も計られる。

なお、上述の実施例では、筆記用芯体２とイン
ク保持体４との間を中継芯３で結合した構造につ
いて説明かつ図示したが、筆記用芯体２を直接イ
ンク保持体４に差し込んだものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のマーキングペンの実施例の長
手方向断面図、第２図はインク保持体の斜視図、
第３図ａ〜ｄは突起を有する外被の実施例を示す
断面図である。 １……容器、２……筆記用芯体、３……中継
芯、４……インク保持体、５……繊維体、６……
外被、７……突起。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. インクを含浸させた繊維体５から成るインク保
   持体４を筒状の容器１に内蔵し、筆記用芯体２の
   先端を前記容器１より外部へ突出させると共にそ
   の他端を前記インク保持体４に挿入し、インク保
   持体内部のインクを前記筆記用芯体の他端から先
   端まで吸引供給されるようになしたマーキングペ
   ンにおいて、前記インク保持体４は、外側に軸方
   向にのびた複数の突起部７を有する外被６で繊維
   体を巻回して構成されたものであることを特徴と
   するマーキングペン。