JPS6219183Y2

JPS6219183Y2 -

Info

Publication number: JPS6219183Y2
Application number: JP15168983U
Authority: JP
Priority date: 1983-09-29
Filing date: 1983-09-29
Publication date: 1987-05-16
Also published as: JPS6057559U

Description

【考案の詳細な説明】本考案は、生鮮食品の鮮度保持シートに関す
る。

果実、野菜、鮮魚、肉類等の生鮮食品は、鮮度
を生命とし、その貯蔵、輸送等の流通過程で、腐
敗、変色、萎縮等の老化を防止し、長期に亘つて
鮮度を保持することが、必要とされる。

生鮮食品の鮮度低下は、青果類においては、箱
詰め、袋詰め等の密閉状態もしくはそれに近い状
態で、青果類から発生するエチレンガス等による
過熱、呼吸作用による水蒸気の結露等が原因で起
り、肉魚類においては、例えばトレー包装で、肉
魚類からの脱汁が原因で起る。また、水分の過度
の蒸散も、生鮮食品の鮮度低下の原因となる。

近時、これらの鮮度低下の原因に着目し、生鮮
食品の鮮度シートの使用が試みられている。此種
の鮮度保持シートは、紙又は不織布からなる表面
材の間に、粉粒状のガス吸着剤又は水分吸収剤を
挾着し、アクリル系又はウレタン系のエマルジヨ
ン接着剤、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂粉末又
は繊維をバインダーとして使用し、、一体化した
ものである。

ところが、かような鮮度保持シートにあつて
は、バインダーを使用するため、このバインダー
によつて、ガス吸着剤又は水分吸収剤の表面が部
分的に覆われ、鮮度保持の性能が低下する欠点が
あつた。また、表面材となる紙又は不織布は、厚
さの薄いもので、緩衝性がなく、水分調節性能も
悪かつた。さらに、鮮度保持シートの製造の際
に、紙又は不織布の面上に、ガス吸着剤又は水分
吸水剤の粉粒体を均一に散布しても、粉粒体が移
動しやすく、均一に挾着させることが困難であつ
た。

本考案は、上述の如き従来の鮮度保持シートの
有する欠点を除去し、ガス吸着性能、水分調節性
能及び緩衝性能に優れ、生鮮食品の鮮度保持に有
効な鮮度保持シートを提供するものである。

以下、図面を参照しながら、本考案について説
明する。

図において、１１はセルロース繊維不織マツト
であり、この不織マツト１１としては、砕木パル
プ、リンターパイプ、故紙パルプ等のパルプ類を
マツト状に集積したもの、或いはテイツシユペー
パーの如き坪量が約20ｇ／m²以下の柔らかい薄葉
紙をマツト状に重ねたものが使用される。これ等
の不織マツトは、嵩高で柔らかい性質を有し、そ
の厚さは通常0.3〜３mmのものが使用される。不
織マツト１１の片面には、粉粒状のガス吸着剤１
２と粉粒状の高吸水性高分子材料１３との混合層
が設けられ、芯１が形成されている。

ガス吸着剤１２は、生鮮食品から発生するエチ
レンの如きガスを吸着するためのもので、活性
炭、炭素繊維、ハロゲン化炭素、珪藻土、酸性白
土、ゼオライト等が使用される。高吸水性高分子
材料１３は、生鮮食品から発生する水蒸気、脱汁
等の水分を吸収するためのもので、水にほとんど
不溶で吸水により膨潤し、含水ゲルを形成する。
高吸水性高分子材料１３としては、アクリル酸
（塩）グラフトデンプン、ビニルアルコール−ア
クリル酸（塩）ブロツクコポリマー、架橋ポリア
クリル酸（塩）変性ポリビニルアルコール等が使
用される。

ガス吸着剤と高吸水性高分子材料とは、通常60
メツシユ以下の粉粒体として使用され、その混合
割合は、ガス吸着剤30〜70重量％、高吸水性高分
子材料70〜30重量％の範囲内で、要求性能に応じ
て定められる。また、この混合物は、不織マツト
１１の片面に30〜100ｇ／m²程度の目付量で、層
状に設けられ、芯材１となされている。

上記芯材１は、紙又は不織布からなる表面材
２，２′の間に挾着され、加熱エンボス処理によ
り一体化されている。表面材２は、芯材１を構成
するガス吸着剤と高吸水性高分子材料との混合層
を被覆保護するとともに、枡１を構成する不織マ
ツトの弱い強度を補強し、さらに発生するガス及
び水分を芯材へ吸収させるためのものである。し
たがつて、表面材２，２′は、通気性と透水性と
適度の強度を具えた紙又は不織布が使用され、紙
としては、坪量20〜100ｇ／m²程度の紙が使用さ
れ、不織布としては、ポリエステル、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン等の合成繊維からなる坪量20
〜100ｇ／m²程度の不織布が使用される。３１
は、加熱エンボス処理により一体化された鮮度保
持シート３の窪み模様、３２は、浮出し模様であ
る。

本考案の鮮度保持シート３は、不織マツト１１
の上に、ガス吸着剤１２と高吸水性高分子材料１
３の粉粒状の混合物を均一に散布し、これを表面
材２と２′との間に挾み、エンボスロールとゴム
ロールとからなる一対の加熱された型押しロール
間を通すことにより容易に製造することができ
る。

本考案の鮮度保持シートは、生鮮食品の箱詰
め、袋詰め、トレー包装の際に、そのまま生鮮食
品の間に挿入して使用されるが、野菜について
は、鮮度保持シートに打水し、湿つた状態にして
使用される場合が多い。

上述の通り、本考案の鮮度保持シートは、紙又
は不織布からなる表面材の間に、セルロース繊維
不織マツトの片面に粉粒状のガス吸着剤と高吸水
性高分子材料との混合層を設けてなる芯材が挾着
されており、芯材を構成しいるセルロース繊維不
織マツトの層は、表面材を介して、過湿時の水分
吸収と乾燥時の水分放出という水分調節機能に優
れ、生鮮食品の鮮度保持効果が向上するものであ
る。

また、ガス吸着剤と高吸水性高分子材料との混
合層が、不織マツトの片面に設けられているの
で、生鮮食品から発生する水蒸気等の水分は、表
面材を介して、高吸水性高分子材料により速かに
吸収され、ガス吸着剤への水蒸気によるガス吸着
防害を受けることが少くなり、エチレンガス等の
ガス吸着機能が低下せず、吸着効果を長時間持続
させることができる。

上記の様な水分調節機能とガス吸着機能の向上
は、セルローズ繊維不織マツトの片面に、ガス吸
着剤と高吸水性高分子材料の混合層を設けること
により、はじめて達成されるもので、セルローズ
繊維とガス吸着剤と高吸水性高分子材料を混合し
て、バインダーで結合し、一つの層とした芯材で
は、良好な鮮度保持機能は得られない。

さらに、本考案においては、前記の芯材を表面
材の間に挾着し、これを加熱エンボス処理によつ
て一体化するものであつて、セルローズ繊維不織
マツトは、嵩高で柔かい性質を有しているため、
この上に散布して設けられるガス吸着剤と高吸水
性高分子材料の粉体は、製造中に移動して不均一
になることがなく、安定して均一に表面材の間に
挾着され、しかも、加熱エンボスロールの突部で
強く押圧されるため、嵩高な不織マツトが、ガス
吸着剤と高吸水性高分子材料の混合層及び表面材
とともに、全体として均一に固められ、バインダ
ーを使用せずとも強く一体化され、使用中に剥離
することがなく、バインダー使用によるガス吸着
性能の低下を防止することができ、また緩衝効果
も優れた鮮度保持シートが得られる。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案鮮度保持シートの一例を示す一
部切欠断面図である。１……芯材、１１……セルロース繊維不織マツ
ト、１２……ガス吸着剤、１３……高吸水性高分
子材料、２，２′……表面材、３１……窪み模
様、３２……浮出し模様、３……鮮度保持シー
ト。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

紙又は不織布からなる表面材の間に、セルロー
ス繊維不織マツトの片面に粉粒状のガス吸着剤と
高吸水性高分子材料との混合層を設けてなる芯材
が挾着され、加熱エンボス処理により一体化され
ていることを特徴とする鮮度保持シート。