JPS6213869Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、変速装置がニユートラル位置に操作
されている場合にのみエンジンを始動することが
できるようにした始動安全装置の改良に関する。

従来、エンジンを始動させるための始動スイツ
チは、安全のためクラツチペダルに連動する安全
スイツチと直列に設けられ、クラツチを断状態に
した時にのみ安全スイツチを閉成状態に作動して
始動スイツチによつてエンジンを始動できるよう
に構成されているが、このものでは変速装置がい
ずれかの変速位置にある場合においても、クラツ
チペダルを踏みさえすればエンジンが始動できる
ため、変速装置の作動状態を確認せずにエンジン
を始動させた場合、クラツチペダルを離した瞬間
にトラクタあるいは移動農機等の車輛が不用意に
動き出すことにより、運転者あるいは周囲の人に
負傷させるという事故を発生させていた。それを
防止するため、変速操作におけるニユートラル位
置でのみ安全スイツチが作動することによりエン
ジンを始動可能としたり、または変速レバーを変
速位置と同様に設けた別個のニユートラル状態の
始動位置に操作することによりエンジンを始動で
きるようにした手段が提案されているが、前者で
は、変速操作を行なうたびに安全スイツチをエン
ジンの始動に関係なく作動させることになり、安
全スイツチの耐久性を著しく損うという欠点があ
り、また、後者では、変速位置を一ケ所犠牲にし
なければならないという構造上の欠点があつた。

そこで、本考案は、変速レバーを回動して複数
個のシフターの内任意の１個を選択するに際して
複数個のシフターが全てニユートラル状態にある
場合にのみ所定軸方向に摺動すると共に、通常の
シフター選択範囲を越えて上記所定軸方向におけ
る一方方向にスプリングに抗して変速レバーを変
位させることによつてのみ安全スイツチを作動さ
せるように構成し、もつて、変速装置に格別の変
更を与えずに、しかも変速位置を犠牲にすること
なく、更に通常の変速操作に際しては安全スイツ
チを何ら作動することなく、必要時ニユートラル
位置でのみ確実に安全スイツチを作動させてエン
ジンを始動させることができるようにした始動安
全装置を提供することを目的とするものである。

以下、図面に沿つて、本考案による実施例につ
いて説明する。

変速レバー１は、第１図に示すように、軸２を
中心に矢示Ａ方向に、そして、第２図に示すよう
に、軸２に直交する軸３を中心に矢示Ｂ方向に
夫々回動できるようになつており、変速レバー１
を上記矢示Ａ方向に回動した場合、プレート部材
５の長穴６の存在により何ら回動に利限を受ける
ことなく、順次連結されるアーム７、ロツド９、
アーム１０を介して変速カバー１１に回動自在に
軸支された軸１２を回動してアーム１３を揺動
し、該アーム１３の揺動によつて同じく変速カバ
ー１１によつて回動自在に軸支された軸１５に摺
動自在に案内されたシフター選択アダプタ１６を
矢示Ｃで示すように軸１５の軸方向にのみ摺動
し、後述するようにシフター選択動作を行なうよ
うになつており、また、変速レバー１を上記矢示
Ｂ方向に回動した場合、順次連結されるアーム１
７、ロツド１９、アーム２０を介して上記軸１５
を回動し、その先端部にスプライン嵌合されたシ
フター作動アーム２１を揺動して、上記シフター
選択アダプタ１６によつて選択されたシフタ２２
あるいは２３を変速位置に摺動させるようになつ
ている。上記シフター選択アダプタ１６は、第１
図に明示されているように、その下部に軸１５方
向に間隔を置いて２個の脚部１６ａ，１６ｂを有
しており、それら脚部１６ａ，１６ｂ間に前述し
たシフター作動アーム２１を回動可能に挾持して
いて、上記脚部１６ａ，１６ｂの先端部はシフタ
ー作動アーム２１の先端が嵌合し得るシフター２
２，２３の変速用溝２２ａ，２３ａに嵌合できる
ようになつている。従つて、通常操作時たとえば
第１図に示されているように脚部１６ａがシフタ
ー２２の変速用溝２２ａから外れていて、そこに
シフター作動アーム２１が嵌入し、脚部１６ｂが
シフター２３の変速用溝２３ａに嵌入している状
態では、シフター２２がシフター作動アーム２１
によつて変速位置に摺動でき、その際、シフター
２３は脚部１６ｂによつてニユートラル位置にロ
ツクされるようになつている。そして、上記の状
態から逆にシフター２２をニユートラル位置にロ
ツクし、シフター２３を変速位置に摺動できる状
態にするには、変速レバー１を矢示Ｂ方向におい
てニユートラル位置に戻し、その状態で変速レバ
ー１を矢示Ａ方向の右側方向に回動すれば良い。
すると、シフター作動アーム２１の先端と脚部１
６ａ，１６ｂが一直線上にある状態となつて同じ
く一直線上にある変速用溝２２ａ，２３ａを通過
できるので、通常の操作力で変速レバー１が停止
される位置まで回動すると、シフター選択アダプ
タ１６は、脚部１６ａがシフター２２の変速用溝
２２ａに嵌入し、脚部１６ｂがシフター２３の変
速用溝２３ａから外れ、そしてそれら脚部１６
ａ，１６ｂ間のシフター作動アーム２１がシフタ
ー２３の変速用溝２３ａに嵌入した状態で停止さ
れるようになつている。そして、上記シフター２
２，２３の選択にあたつて、シフター選択アダプ
タ１６の通常の摺動範囲Ｄは、第３図に示すよう
に、軸１５に嵌合されたスナツプリング２５とス
トツパー２６によつて規制されるようになつてい
て、具体的には、第３図においてシフター選択ア
ダプタ１６のＮ方向への摺動はアダプタ１６とス
ナツプリング２５との当接によつて、またアダプ
タ１６のＭ方向への摺動はアダプタ１６に固定し
たプレート１６′とストツパー２６との当接によ
つて規制されるようになつている。そして、上記
ストツパー２６は、変速カバー１１の一部分に穴
２７をあけ、そこに先端に鍔部を有し他端に抜け
止めピンを有するストツパーピン２９をスプリン
グ３０による所定の抵抗力で付勢するようにして
挿入して構成されていて、前記のシフター２３の
選択時に変速レバー１が停止した位置から更に変
速レバー１に通常の操作力以上の大きな力を加え
て操作すると、ストツパー２６はスプリング３０
を圧縮してシフター選択アダプタ１６を通常の摺
動範囲を越えて更にＭ方向に摺動させ、シフター
選択アダプタ１６の適宜位置に設けたプレート１
６″により始動スイツチ３１に直列に接続した安
全スイツチ３２を閉成作動するようになつてい
る。なお、シフター選択アダプタ１６に設けたプ
レート１６′，１６″を省略してアダプタ１６自体
の部分をストツパー２６および安全スイツチ３２
に当接するように構成しても良いし、また、スト
ツパーピン２９の変位を利用してストツパーピン
２９によつて安全スイツチ３２を作動するように
構成しても良い。

本実施例は以上のような構成よりなるので、エ
ンジンが作動している際の通常の操作時には、変
速レバー１をＨ字型に操作することにより、シフ
ター作動アーム２１もシフター選択アダプタ１６
の働きを共同して変速レバー１の動きに追従して
Ｈ字型に作動され、所定の変速操作がなされる。
その際、前記したように、シフター選択アダプタ
１６はその脚部１６ａ，１６ｂとシフター２２，
２３の変速用溝２２ａ，２３ａが一直線上に揃つ
たニユートラル状態でのみ第３図のＭ，Ｎ方向に
摺動でき、その摺動範囲Ｄは第３図矢示Ｎ方向へ
の動きがスナツプリング２５で、そして矢示Ｍ方
向への動きがストツパー２６によつて規制され
る。そして、エンジンを停止している状態から始
動させるには、変速レバー１をニユートラル状態
において第３図のシフター選択アダプタ１６をＭ
方向に摺動させるように操作し、シフター選択ア
ダプタ１６がストツパー２６に当接した状態から
ストツパー２６のスプリング３０の抵抗力に抗し
て更にＭ方向に摺動するように操作すると、シフ
ター選択アダプタ１６に固定したプレート１６″
によつて安全スイツチ３２が閉成作動されるの
で、この状態で始動スイツチ３１をオンすれば、
エンジンは安全に始動される。なお、このときシ
フター選択アダプタ１６の脚部１６ａは、第４図
に示すように、シフター２２，２３の両方の変速
用溝２２ａ，２３ａに跨つた形となり、エンジン
始動時におけるシフター選択アダプタ１６を作動
した場合のシフター２２，２３の不測な摺動が防
止される。

以上説明したように、本考案によれば、複数個
のシフター２２，２３が全てニユートラル状態に
ある場合にのみ所定軸１５方向に摺動すると共
に、通常のシフター選択範囲を越えて所定軸１５
方向における一方方向にスプリング３０に抗して
変速レバー１を変位させるのみ安全スイツチ３２
を作動するように構成したので、安全スイツチ３
２は変速装置のニユートラル状態のときのみ作動
され、エンジンの始動にあたつて不測の事故が防
止でき、また、変速レバー１の所定軸１５方向の
動きの延長線上に安全スイツチ３２を配設したた
め、特別に変速位置と同様に設けた別個のニユー
トラル状態の始動位置を設ける必要がなく、それ
によつて変速装置の構造を大きく変更する必要が
なくなり、更に、スプリング３０に抗して通常の
シフター選択範囲を越えて変位させることによつ
てのみ安全スイツチ３２を作動させるように構成
したので、エンジン始動時のみ安全スイツチ３２
を作動でき、それ以外の通常の変速操作時には安
全スイツチ３２と全く無関係に変速操作ができ、
従つて安全スイツチ３２を必要時以外は作動させ
ることがないため安全スイツチ３２の耐久性を損
うことがなくその寿命を大巾に延長することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す変速操作部の横
断面図、第２図は第１図のＸ矢示方向から見た側
断面図、第３図は第１図のＹ矢示方向から見た平
断面図、そして第４図は安全スイツチ作動時のシ
フター選択アダプタの位置関係を示す部分断面図
である。 １……変速レバー、１５……軸、１６……シフ
ター選択アダプタ、２１……シフター作動アー
ム、２２，２３……シフター、２６……ストツパ
ー、３０……スプリング、３２……安全スイツ
チ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 変速レバーの第１の方向への回動操作により複
   数個のシフターの内任意の１個を選択し、同変速
   レバーの上記第１の方向と直交する第２の方向へ
   の回動操作により上記選択されたシフターをシフ
   ター作動アームの回動により摺動させて適宜変速
   操作を行なわせるように構成した変速装置におい
   て、上記シフター選択に際して複数個のシフター
   が全てニユートラル状態にある場合にのみ所定軸
   方向に摺動すると共に、通常のシフター選択範囲
   を越えて上記所定軸方向における一方方向にスプ
   リングに抗して変速レバーを変位させることによ
   つてのみ安全スイツチを作動させるように構成し
   た始動安全装置。