JPS6211305Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はエンジンのシリンダから吹き抜けるブ
ローバイガスを吸気系に還流させるブリーザに関
し、特にブローバイガス中に混入するオイルミス
トの除去対策に関する。

シリンダからクランク室さらにこれに連通する
ロツカカバー内空間に吹き抜けるブローバイガス
は大気に放出すると汚染の原因となるため吸気系
に還流して再燃焼させるようにしているが、かか
るブローバイガス中には多量のオイルミストが含
まれている。かかる多量のオイルミストがそのま
ま吸気系に還流されると燃焼性能が低下し、又吸
気系が汚損しひいては耐久性低下につながる。こ
のため従来ではブローバイガス通路の途中に迷路
状に形成したオイルセパレータを介装してオイル
ミストを除去していた。

しかしながらかかるオイルセパレータではオイ
ルミストを重量による慣性で迷路壁に付着分離す
る構成であるため極く細かい微粒子或いは蒸気状
のオイルミストはオイルセパレータを素通りして
しまいオイル除去機能を低下させていた。

また、実開昭51−68948号に示されるようにオ
イル分離用にウレタン製等のろ材を使用したもの
もあるが、細目のろ材を用いるとブローバイガス
流出抵抗が大となつてロツカカバーの内圧が高め
られ他の隙間からの流出量を増大させるおそれが
あり、また荒目のろ材を用いるとオイルミストの
分離機能が損なわれる。

本考案は、かかる従来の問題点を解決したエン
ジンのブリーザを提供することを目的としてなさ
れたもので、後述する手段によつて構成される。

即ち、エンジンのロツカカバー内空間と吸気系
とを結ぶブローバイガス通路のロツカカバー出口
部にオイルの付着し易い多孔質材料で形成された
フイルタを介装したオイルセパレータを設けると
共に、少なくともエンジン運転時にフイルタに液
状のオイルを供給するオイル供給手段を設ける。

かかる構成において、エンジン運転時にオイル
供給手段から供給された液状のオイルにより運転
開始当初からフイルタに含浸されたオイルの膜に
粒径大のオイルミストは勿論のこと、粒径の極く
小さいものあるいは蒸気状のオイルミストまでも
効果的に付着して分離除去される。そして、この
ように積極的に形成されたオイル膜によるオイル
ミスト分離機能の向上により、多孔質フイルタと
してガス流通抵抗の小さいものを使用でき、ブロ
ーバイガスのみが効率よく吸気通路に還流される
ため、燃焼性能の低下、吸気系の汚損を効果的に
防止できる。

また、オイルセパレータをロツカカバーに取り
付けたことにより、取付、交換、整備も容易に行
える。

以下に本考案を図示した実施例に基づいて説明
する。

一実施例を示す第１図において、シリンダヘツ
ド１頂壁に結合されたロツカカバー２は一側壁に
ブローバイガス出口３が開口され、該ロツカカバ
ー２の出口３部外壁にガスケツト（又はラバー）
４を介してオイルセパレータ５が締結される。該
オイルセパレータ５はケース６内部に前記ブロー
バイガス出口３を覆う発泡金属等オイルの付着し
易い多孔質材料からなるフイルタ７が装着され、
ケース６頂壁に形成された取付口６ａに一端を取
り付けたホース８の他端は図示しない吸気管に連
通して接続される。

かかるオイルセパレータ５とホース８とでブロ
ーバイガス通路としてのブリーザが形成される。

一方、ロツカシヤフト９の一端部に前記フイル
タ７に指向する噴孔１０ａを開設したオイル供給
手段としてのノズル１０を嵌挿固定し、該噴孔１
０ａをロツカシヤフト９内のオイル通路９ａと連
通させる。

次に作用を説明する。エンジン運転時にはロツ
カシヤフト９内のオイル通路９ａに圧送されたオ
イルの一部がノズル１０の噴孔１０ａからフイル
タ７に向けて噴出され、フイルタ７全体にオイル
が含浸される。

この状態において、エンジン運転にともなつて
シリンダからクランク室に吹き抜けさらにロツカ
カバー２内空間に導入されたブローバイガスはオ
イルセパレータ５、ホース８を経由して吸気管に
還流される。そしてブローバイガスがフイルタ７
を通過する際、粒径大のオイルミストは勿論のこ
と粒径の極く小さいもの或いは蒸気状のオイルミ
ストまでもフイルタ７に含浸されたオイル膜に良
好に付着して取り除かれる。こうしてオイルミス
トを効果的に除去されたブローバイガスのみが吸
気通路に還流されるため燃焼性能の低下、吸気系
の汚損を防止できるのである。尚、運転停止中に
フイルタが乾燥しても運転再開と共にオイルが供
給されてフイルタをオイルで含浸させることがで
きるため、再開直後から高いオイルミスト分離機
能が得られる。

又、オイルセパレータ５をエンジン上部にある
ロツカカバーに取り付けたから、複雑な形状を有
したクランクケースに取り付ける場合に比べ設計
が容易で整備性がよく交換も容易に行なえる。さ
らにロツカカバー内室間は元来クランク室に比べ
てオイルミスト濃度が低いため、この点でも吸気
通路に還流されるブローバイガス中のオイルミス
ト濃度を下げられる。

第２図は本考案の第２の実施例を示し、オイル
セパレータ５のケース６に内装された外側フイル
タ７Ａとロツカカバー２の内側から中央部をブロ
ーバイガス出口３に嵌入させた同一材料製の内側
フイルタ７Ｂとを重合し、両フイルタ７Ａ，７Ｂ
をボルト１１、ナツト１２を介して締結する。フ
イルタ７Ａ，７Ｂとロツカカバー２の出口３周縁
部との間及びボルト１１，ナツト１２とフイルタ
７Ａ，７Ｂとの間にはガスケツト（又はラバー）
４を介装する。

ここで内側フイルタ７Ｂの底部をシリンダヘツ
ド１頂壁に接触又は近接させることにより、該頂
壁上に溜るオイルに浸潰させると多孔質材料のも
つ毛細管現象によりフイルタ７Ａ，７Ｂ全体にオ
イルが浸透する。

従つて前記実施例同様ブローバイガス中のオイ
ルミストを良好に除去でき、燃焼性能の低下、吸
気系の汚損を防止できる。

以上説明したように、本考案によればロツカカ
バー内空間と吸気系とを結ぶブローバイガス通路
のロツカカバー出口部にオイルの付着し易い多孔
質材料で形成されたフイルタを介設し、機関運転
中に該フイルタに液状オイルを供給含浸させる構
成としたから、運転当初からフイルタの含浸され
たオイル膜に粒径の大きなオイルミストは勿論の
こと粒径が極めて小さい微粒子状、蒸気状のオイ
ルミストも良好に吸着除去でき、オイルミストに
よる燃焼性能の低下、吸気系の汚損及び汚損によ
る耐久性低下を防止できるものである。

又、オイルセパレータをロツカカバーのブロー
バイガス出口に取り付ける構成であるため設計も
容易で低コストに実施でき、整備性、交換性にも
優れるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す要部断面図、
第２図は本考案の別の実施例を示す要部断面図で
ある。 ２……ロツカカバー、３……ブローバイガス出
口、５……オイルセパレータ、７……フイルタ、
７Ａ……外側フイルタ、７Ｂ……内側フイルタ、
８……ホース、１０……ノズル。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) エンジンのロツカカバー内空間と吸気系とを
   結ぶブローバイガス通路のロツカカバー出口部
   にオイルの付着し易い多孔質材料で形成された
   フイルタを介装したオイルセパレータを設ける
   と共に少なくともエンジン運転時にフイルタに
   液状のオイルを供給するオイル供給手段を設け
   たことを特徴とするエンジンのブリーザ。 (2) オイル供給手段は、ロツカシヤフトに噴孔が
   ロツカシヤフト内オイル通路と連通して設けら
   れたノズルである実用新案登録請求の範囲第１
   項記載のエンジンのブリーザ。 (3) オイル供給手段は、シリンダヘツド頂壁上に
   溜るオイルに底部を浸潰させたフイルタで構成
   され、毛細管現象によりフイルタ全体にオイル
   を含浸させてなる実用新案登録請求の範囲第１
   項記載のエンジンのブリーザ。